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らびっとブログ

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IBM PC(PC/AT互換機)の記事で良く見る間違い5点

43年前(1981年)の8月12日は現在のPC(Personal Computer)の直接の祖先である初代IBM PCの発売日なので、記事で良く見る間違い(不正確な説明)を5点を書いてみました。

 

 

①「IBMはオープン・アーキテクチャ戦略で互換機を普及させた」

結果論ではともかく正確ではないですね。確かにIBMは市場調達容易なCPU(Intel 8088)を採用し、互換性の中核となるBIOSを公開(ソースをマニュアル掲載)しましたが、理由は早期参入と周辺機器やソフトウェアの普及で、しかしBIOS著作権保護で合法的な互換機は作れないと考えており、互換機普及は意図的ではありませんでした。ところがクリーンルーム方式で著作権問題をクリアしたAMIなどのBIOSメーカーが複数登場し、更にはCompaq DeskPro 386でのCPUと外部バス間のブリッジ付きATバス(後にISA陣営が規定)などで互換機市場とエコシステムが形成され、更に1990年代に日本IBMはOADGで互換機市場を推進しました。

 

なおIBMは1960年代にメインフレームのSystem/360でもアーキテクチャ(I/Oを含めた命令セット)をマニュアルで一般公開して大成功して、これも富士通や日立を含む多数の互換機を招きましたが、当時もIBMとしては互換機容認ではありませんでした。なお現在IBMは日立にメインフレームのハードウェアを提供しています。

 

②「IBM PCの標準採用でMS-DOS(PC DOS)が主流になった」

正確には「標準採用」ではなく、初代IBM PCでも複数のOSが選択できました。しかしユーザーの大半は高価なCP/M-86より安価なMS-DOS(正確にはPC DOS)を選択したため、日本のNECPC-9801など非IBM PC系を含めて世界的に16bit市場ではMS-DOSが徐々に主流になりました。

 

③「MS-DOSIBM向けOEM版がPC DOS

正確には逆で、PC DOSの非IBM向けのOEM版がMS-DOSです。当時はIBMMicrosoftのOS共同開発契約で、DOS普及のためにPC DOSMicrosoft経由のOEMが認められました。なおMicrosoft資料や日本でも多い「1981年MS-DOS 1.0発売」との説明は、遡っての表現で、当時は「MS-DOS」との製品は存在しませんでした。

 

なお本来は「OEM = 相手先ブランドによる供給」ですが、当初Microsoftは「COMPAQ PC DOS」(リンク先はタイトルではなく画面表示を参照)や「Z-DOS (Zenith DOS)」など各相手先ブランド名で供給していたものの、後に(PC DOSと互換性のあるものは)「MS-DOS」製品名に統一したために、一見すると最初のPC DOSの方がOEMに見えるような、逆転したネーミングとなりました。

 

④「PC/AT互換機との用語」

世界的には「IBM PC互換機」(IBM PC Compatibles)で、特に理由がなければ「AT」は入れないし、そもそもATの公式略称は「IBM PC AT」でスラッシュは無い。「IBM PCをベースに上位互換を保ってデファクト・スタンダードを積み上げたPC」といった概念で、既にそもそも「特定機種の互換機」の意味ではありません。

 

時々「既にATバスでは無いのに」と言う方もいますが、ビデオ規格(テキストとグラフィック)なども含めた主にソフトウェア上の上位互換の観点と思います。

 

なお日本でも元は業界紙などでも「IBM互換機」や「PC互換機」が一般的でしたが、90年代に以下理由で「PC/AT互換機」が普及したと思われます。

  1. IBM互換機」はメインフレーム(汎用機)と紛らわしく、「PC互換機」は日本で当時主流のNECPC-9801などと紛らわしく、「IBM PC互換機」も日本IBMの独自PCと紛らわしい
  2. 1990年代の日本での普及時期(486,SVGA,DOS/Vブーム)ではPC ATと互換機が中心
  3. 各社は他社名を避けて固有名詞風の「PC/AT」を好んだ(VT100のように)
  4. IBM自身も「PC/AT」などの非公式略称を多用(なおS/360,PS/2,OS/2などは公式略称)
  5. MicrosoftWindows 95日本語版の「PC/AT互換機」記載が決定打となる

 

「PC互換機」との用語を使う記事の例(世界に詳しいライターさんに多い)

PCエンサイクロペディア:第2回 日本のPC史を振り返る(後編)〜PC-9801からPC互換機へ 2. Windowsの登場でPC-9801からPC互換機へ - @IT

 

「IBM PC」がやってきた エストリッジ、シュタゲ、そして互換機の台頭:“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る(2/2 ページ) - ITmedia NEWS

 

個人的には日本特有の「PC/AT互換機」との用語はハードウェア偏重的ですし誤解も招くので、もう止めるべきと思っています。

 

⑤「IBM PCは端末用途を兼ねたキーボードレイアウト」

最初からではなく、正確には以下の3段階(大きく見れば2段階)です

  1. IBM PC, XTの83キーボード (F1~F10、CtrlはAの隣など他社PCに近い)
  2. AT前期の84キーボード (SysReqキー追加のマイナーチェンジ)
  3. AT後期の101キーボード (F1~12、Ctrl/Altは左右の下など端末兼用に。後にANSI規格化され、日本語106/109(OADG)のベースに)

 

84キーボードで追加されたSysReq (System Request)キーはメインフレームの端末として使用中にシステムコマンド発行モードにできるので、TSOやCMS使用中にはとても便利です。最近はキートップへの刻印もありませんが。

 

101キーボードはIBMのメインフレーム用端末の3270や、ミニコンオフコン)端末の5250を兼ねられるキー配置となりました。

  • PF1~PF12(Program Function key)に相当するF1~12(Function key)
  • Shiftと同様にCtrl/Altも左右に (指の不自由な方への配慮と説明されている)
  • 特に右下Ctrlは(改行=Returnとは別の)実行キー(Execution/Enter)も兼ねる

 

つまりVT100のような基本コマンドラインのダム端末(キー入力のたびに接続先に通信して表示する)とは異なり、3270, 5250などフルスクリーンの(当時では)インテリジェンス端末で、タブや改行も使って画面入力(専用端末またはPCのメモリに格納)を完成してから、最後に実行キーを押すと接続先(ホスト)に一括通信する事で、操作性と回線効率を向上できます。

 

しかしPCに端末の操作性を持ち込んだこの変更は、特にエディターでCtrlやEscが近い位置に欲しいプログラマーからの批判は今も多く、色々な配列やツールもあるのは文化の対立と思います。

 

以上です。

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