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End-to-End自動運転、やっています
お久しぶりです
久しぶりにQiitaに投稿します。NissanのQiita、ニキータです。 前回の投稿からなんと4年も経ってしまっていました。 この間にAI方面はすごいことになりましたね。このような文章を書こうと思った時にとりあえず一回AI先生に聞いてみるのが癖になってしまって、それで間に合いそうならそのまま使うことも増えました。イラストなんかもAI先生の描く絵をバシバシ貼ったりしてすでに食傷気味です。 なのでせっかくの久しぶりの投稿なので敢えてAIに頼らず自分の手で書いていこうと思います。それにしても”文章を自分で書きます”と宣言すると”逆にすごい”とか言われて、”文章を自分で書く”の逆が存在する世界とか改めてすごいなと思うのです。”カーナビに頼らず紙地図で運転してます。そりゃ逆にすごいな”と同列に見られる時代ですから本当に世界は変わってしまったなと思います。
E2E自動運動について
それで久しぶりのネタは自動車xAIネタの筆頭、自動運転についてです。日産はL4自動運転つまりドライバーレスの自動運転をやっていることは知られていると思います。広義にはそれで自動車xAIに当てはまるとは思いますが、最近のトレンドであるE2E自動運転とは違っています。
ご参考)
日産自動車、進化したドライバーレス自動運転実験車の走行を公開
https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/250310-01-j
動画はこちら
https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/250310-01-j?gallery=release-10e8a783c2c43c347a9bc041fb06aa4c&viewallTab=videos&video=video-618f2dda6c679271e564def3fc0466e5
そこで、この記事では日産のE2E自動運転の進捗状況について綴っていこうと思います。進捗状況があるということは実は既にだいぶやっているということなので、日産もちゃんとE2Eやってますよ、という宣言と受け取っていただいて構いません。お話しできる範囲でここで詳らかにできればと思うわけです。
世界中のベンチャーやOEMの間で自動運転のトレンドはE2Eに移りつつあります。 他と同じようにまずは日産もデータ取得からです。実はL4自動運転のテスト車両で横浜みなとみらい地区はかなり走り込んできましたからデータはたくさんあります。ただ基本、ロジックベースのODDを限定した自動運転コースなのでE2Eの学習向けにはもっとコーナーケースが欲しくなります。
じゃあもっとみなとみらい地区を走り込めばいいじゃないかと思うかもしれませんが、それがそう簡単ではありません。いまL4自動運転は25年11月のサービス実証に向けて増車しているところですが逆にいうとその目標が第一優先なのでデータ取得できる車両や時間が限られるということ。加えて万が一車を壊したりしようものなら本サービスに影響がでるわけで、いつもにも増して慎重に走らなければなりません。にもかかわらずそれはコーナーケースなのでだいたい自動運転には難易度の高いコースを走ることになるわけです。
いまのところ研究所員が自らステアリングを握ってデータ取得をやっていますから、かなりの負担になっています。まあデータ取りの宿命ですからここは根性論でやっていくしかないと思っています。LiDARやその他センサーとミックスしたデータを取得したいので基本は複数のL4自動運転のテスト車両そのものでデータ取得をしておりますが、近い将来にはデータ取得専用車両を走らせる予定でおります。そしたらもっと思いっきりそして計画的にデータが取れるようになると踏んでいます。
E2Eのためのデータ取得
某年某月のデータ取得風景をちょっと載せておきましょうか。なんか”中国で走っている日産の自動運転”、みたいなプロンプトでAI先生が描いた絵のようになってますが、大丈夫ですこれは本当に横浜の中華街で撮りました!
現在は取得目標時間のまだ20%ってところですが、もう直ぐ専用車両が手に入るのでそこからは加速する予定です。
データ取得後のパイプラインはだいたい図のような感じです。
車両から収集されるデータは全てrosbagで保存されます。それらのRAWデータを機械学習で利用できるデータフォーマットに変換しますが、ここで利用するフォーマットは業界で一般的に普及しているnuScenesデータセットを踏襲しています。これにより様々な研究機関が開発した新しいAIモデルを迅速に適用できるパイプラインになっています。我々がどのモデルを使おうとしているかはまた別途記事にします。パイプラインの詳細も記事化予定です。
E2E自動運動のこれから
データ取得を続けていますが、この先はE2Eのモデルを使って実際に走らせることを目指します。幸い私たちはAIで制御できる自動運転のテスト車両を既に何台も持っているので頭脳さえ取り替えれば比較的簡単に走らせることができます。加えて公道に出る前にしっかりと事前トレーニングができるテストコースがあるのも自動車会社のアドバンテージだと考えています。自動運転ができる車両、整備をしてくれる車両のメカニック、テストコース、何重もの安全確認スキーム、そう考えると非常に恵まれた環境にいるのだと思います。あとはE2Eの頭脳を作るだけです。
目標スローガンはズバリ"331"。"3都市3車種を1つのAI"で走る!というものです。日産の331ということで、電話番号的に23-331と覚えておいてください。具体的な日程はまだここには書けないですが、一刻も早く23-331が走り出したことをこの記事でお伝えできればと思っています。
おわりに
さて、いきなりたくさん文字を書いて疲れました。実際はキーをタイプしているだけですが、そのタイプさえいらない世界を知ってしまうともう後戻りはできないかもしれないですね。文章はまだ書いていて楽しいですが、プログラムはもうバイブコーディングにどっぷりになってしまいました。人類はどこまで横着になっていくのでしょうか。
電卓が出て暗算能力が退化しましたが、AI先生のおかげで文章能力が退化して大丈夫なのか、この記事を書きながらそんなことを考えていました。ドライバーレス自動運転は単なる横着でないと信じていますが、運転能力の退化みたいなことにならないか改めて自分の専門領域でも考えてしまうのでした。復活一発目はこの辺りで”筆”を置かせていただきます。
補足)本文中自動運転という言葉を連呼していますが、本当は定義によってしっかり使い分けないといけない言葉であることは承知しております。ただこの記事では厳密な自動運転の分類の話をしているわけではないので、一般的な概念として自動運転という言葉を使っています。どうぞご了承ください。
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