
※本稿は、遠藤貴則『ザ・ニューロマーケティング』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
現代のビジネス環境では、顧客は商品・サービスを購入するまでに複数の接点(タッチポイント)を経由しながら意思決定を行っています。
たとえば、SNSで商品を知り、ウェブサイトで詳細を確認し、実店舗で実物を試し、最終的にオンラインショップで購入――といった、複雑な旅路(ジャーニー)が一般的です。
顧客は、AIDMA(Attention,Interest,Desire,Memory,Action)に代表されるプロセスを経て商品を購入します。しかしその過程では、次のようにさまざまな心理的バリアが発生します。
●認知段階のバリア
情報過多によるスルー。SNSや広告が溢れる現代、消費者は目にした情報の大半をスルーしてしまいます。脳のフィルター機能(RAS/脳幹網様体賦活系)が働き、興味がなければ瞬時に除外します。
●検討段階のバリア
不安・疑念。「本当によい商品なのか」「価格に見合う価値があるのか」といった疑念が脳の扁桃体を刺激し、購買行動を先延ばしにします。
●購入段階のバリア
購入手続きの面倒さ。会員登録や住所入力、決済情報の登録などが煩雑だと、ドーパミンの快感よりも面倒が上回り、離脱率が高まります。
ここでは、各接点で生じる心理的バリアをどのように克服し、脳科学や行動経済学の知見を活かして購入体験を最適化するかを解説します。
その具体例として、オンライン靴販売で有名なZappos(ザッポス)が導入している「返品無料」ポリシーが、なぜ顧客の心をつかむのかを紐解きます。



















