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クマは明確に「人間を食べるため」に住宅街に現れている…80年間の新聞を分析して判明「令和グマ」の異常さ 北海道の猟師が「小さいクマ」を警戒するワケ
写真=時事通信フォト、写真提供=北海道斜里町
2025/10/24 8:00

クマは明確に「人間を食べるため」に住宅街に現れている…80年間の新聞を分析して判明「令和グマ」の異常さ北海道の猟師が「小さいクマ」を警戒するワケ

今年度クマに襲われて死亡した人が7人となり、過去最多を更新した。ノンフィクション作家の中山茂大さんは「約80年分の北海道の地元紙を通読し、人喰い熊出没の兆候を分析した。その結果、平成令和期のクマは、それまでとはまったく異なる傾向を見せ始めていることがわかった」という――。
市街地に現れたヒグマ
写真=時事通信フォト、写真提供=北海道斜里町
北海道斜里町の市街地に現れた親子とみられるヒグマ。

「クマ犠牲者」が過去最多を更新

今年もクマによる被害が相次いでいる。

10月4日付の「読売新聞」によれば、全国のクマによる死者数は「過去最悪だった2023年度の6人を上回る7人になった」という。環境省によると、けが人を含めた人身被害の件数は108人に上った(4~9月)。

特に本州ではツキノワグマによる死亡事故が多発し、岩手県北上市では、7月4日、屋内に侵入したクマが81歳の老婆を殺害し、10月7日には同じ北上市で、キノコ狩りに出かけた男性が襲われ、遺体がバラバラになるほど食い荒らされるというショッキングな事件が起きた。さらに16日にも、同市内の瀬美温泉で従業員男性が行方不明となり、17日に遺体となって発見、付近にいたクマが駆除された。

筆者が何度か既報した通り、ツキノワグマによる食害事件は、次の一文が示すように、長らく「あり得ない」と言われてきた。

「それはよほど前のことだそうであるが、福井県下で、あるおばあさんが山菜とりに山に入ってクマにやられて死んだ事件があった。そこでその犯行の主とおぼしいクマを射殺して解剖したところ、被害者の片足が、胃の中から出たそうで、これが現在知られる限りの、わが国でツキノワグマが人を食った、唯一つの珍らしい事例だということである」(『くま』斉藤基夫 農林出版 昭和38年)

しかし1988年の「山形県戸沢村事件」(3人死亡)、2016年の「秋田県十和利山事件」(4人死亡)など、食害をともなったツキノワグマによる襲撃事件が相次いでいる。

一方で北海道でも、7月に福島町で新聞配達の男性が喰い殺され、8月に知床の羅臼岳を下山中の男性が襲われ食害されるなどの重大事件が起きた。

人喰いグマ事件は「新しいフェーズ」に入った

筆者は今夏、福島町を訪ねたが、事件現場は国道沿いのコンビニエンスストアから、わずか100メートルほどの空き地で、付近には民家が建ち並び、目の前は老人ホームという、どこにでも目にする、ごく普通の住宅街であった。

事件は午前3時頃に発生し、加害熊は被害者の身体をくわえて、付近の草むらに引きずりこんでいったという。現場の雑草はすでに刈り取られていたが、襲撃当時は腰高以上に生い繁っており、捕らえた獲物を安全圏に引っ張り込むヒグマの習性にも合致する。

しかも事件の4日前から、被害者男性がヒグマを何度も目撃していたという証言があり、以前からつけ狙っていたことがわかる。

さらに4年前に同じ福島町で農作業中の女性が食い殺された事件の加害熊であることも判明した。

これらの事実に、筆者は極めて異質なものを感じた。

確かに本州でも、ツキノワグマがスーパーマーケットに入りこんだり(秋田県秋田市・群馬県沼田市)、立体駐車場にクマが居座ったり(福島県福島市)している。

しかしこれらはエサを求めて人里に迷いこんだ結果であって、人間に危害を加えるために下りてきたわけではない。

福島町の事件の加害熊は、これらとはまったく異なる。この個体は、明確に、人間を喰うために山を下りてきた。そして執拗に被害者を追い回し、ついに住宅街のど真ん中で凶行に及んだのである。

ツキノワグマは人間を喰らうという新しい習性を体得し、ヒグマは人間を喰らうために平気で住宅街に出没しはじめている。

人喰い熊事件は、新しいフェーズに入ったと言ってもいいかもしれない。

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