本実施形態にかかるプラズマ処理装置及び基板支持部について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<プラズマ処理システム>
 一実施形態にかかるプラズマ処理システムについて、図1を参照して説明する。
 図1は、プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムは、基板処理システムの一例であり、プラズマ処理装置1は、基板処理装置の一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間10s(後述する図2参照)を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10sに供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間10sからガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間10s内に配置され、基板W(後述する図2参照)を支持するための基板支持面を有する。
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間10s内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-Resonance Plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、 100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
 制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、処理部2a1、記憶部2a2及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aにより実現される。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。処理部2a1は、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
 以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
 容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10の筐体とは電気的に絶縁される。
 基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
 一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、誘電体部材1111aと誘電体部材1111a内に配置される吸着電極層(静電電極層、チャック電極層、クランプ電極層ともいう)1111bとを含む。誘電体部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、誘電体部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、後述するRF電源31及び/又はDC電源32に結合される少なくとも1つのRF/DC電極が誘電体部材1111a内に配置されてもよい。この場合、少なくとも1つのRF/DC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号及び/又はDC信号が少なくとも1つのRF/DC電極に供給される場合、RF/DC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材と少なくとも1つのRF/DC電極とが複数の下部電極として機能してもよい。また、吸着電極層1111bが下部電極として機能してもよい。従って、基板支持部11は、少なくとも1つの下部電極を含む。
 一実施形態において、基台1110は、後述する空間を有する。空間には、後述する第1の制御回路基板及び第2の制御回路基板が配置される。第1の制御回路基板及び第2の制御回路基板には後述する電源30から電力が供給される。また、空間は、後述する伝熱媒体により低温になることを防止するために、第2の制御回路基板により一定の温度に制御される。一定の温度は、例えば100℃である。
 リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
 また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、伝熱媒体流路1110a、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。伝熱媒体流路1110aには、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、伝熱媒体流路1110aが基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111の誘電体部材1111a内に配置される。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間の間隙に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
 シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、少なくとも1つの上部電極を含む。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
 ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
 電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、少なくとも1つのRF信号(RF電力)を少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
 一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
 第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
 また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
 種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
 排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
 また、プラズマ処理装置1は、インターロック機構(図示せず)を備えている。インターロック機構とは、プラズマ処理装置1に何かしらの異常状態が発生した場合に、プラズマ処理チャンバ10への電力の供給を停止させるシステムである。異常状態とは、例えば、温度異常や配線の断線による通信不良などである。インターロック機構が動作した場合は、前述した第2の制御回路基板への電源30からの電力の供給も停止する。従って、前述した基台1110内の空間は伝熱媒体流路を流れる伝熱媒体により急速に低温状態になる。
<基板支持部>
 基板支持部11の構成を、図3を用いて説明する。図3は、一実施形態にかかる基板支持部11の構成例の概略を示す断面図である。前述のように、基板支持部11の本体部111は、静電チャック1111及び基台1110を含む。
 静電チャック1111は、前述のように誘電体部材1111aを含む。誘電体部材1111aは、略円板状に形成される。誘電体部材1111aは、酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等のセラミックス材料で形成される。誘電体部材1111aは、前述の中央領域111aと環状領域111bとを有する。なお、誘電体部材1111aは、セラミックス材料の溶射により形成されてもよい。
 一実施形態において、中央領域111aは、基板Wの直径よりも小さい直径を有し、環状領域111bより高い位置にある。従って、基板Wが中央領域111a上に支持されたときに、基板Wの周縁部分が中央領域111aから水平方向に張り出す。
 図3の例では、一体に形成された誘電体部材1111aの上面は、中央領域111aと環状領域111bとを有する。なお、誘電体部材1111aが中央部分と環状部分とに分割されてもよい。この場合、中央部分の上面が中央領域111aを有し、環状部分の上面が環状領域111bを有する。また、図3の例では、中央部分及び環状部分は、一体として形成されるが、中央部分及び環状部分は、別体として形成されてもよい。
 誘電体部材1111aは、中央領域111aの下方に配置される吸着電極層1111bを含む。吸着電極層1111bには、AC電源又はDC電源(図示せず)からの電力が印加される。これにより生じる静電力により、中央領域111aに基板Wが吸着保持される。つまり、吸着電極層1111bは、基板Wの吸着電極層として機能する。一実施形態において、吸着電極層1111bは、平面視で円形状に形成される。また、吸着電極層1111bは、例えば径方向及び/又は周方向に分割された複数の電極層セグメントを有していてもよい。また、誘電体部材1111aは、環状領域111bの下方に配置される吸着電極層を含んでもよい。この場合、環状領域111bの下方に配置される吸着電極層は、リングアセンブリ(エッジリング)112の吸着電極層として機能する。
 図4は、静電チャック1111の上面の一例を示す図である。静電チャック1111の誘電体部材1111aの中央領域111aは、例えば、図4に示すように複数の分割領域(ゾーンともいう)111adに区分けされる。図4では、各々の分割領域111adを破線で区切って示している。各々の分割領域111adには、図3に示すように、吸着電極層1111bの下方にヒータ電極層1111c(第1のヒータ素子)が配置される。ヒータ電極層1111cは、例えば、抵抗加熱型のヒータである。各々のヒータ電極層1111cによって中央領域111aの各々の分割領域111adの温度が個別に制御される。これにより、基板Wの温度の均一性を向上させることができる。なお、図3及び図4の例では、各々の分割領域111adに1つのヒータ電極層1111cが配置されるが、これに限定されるものではない。複数の分割領域111adごとに1つのヒータ電極層1111cが配置されていてもよい。また、1つの分割領域111adに複数のヒータ電極層1111cが配置されていてもよい。図3及び図4の例では、環状領域111bは、複数の分割領域に分けられていないが、環状領域111bが複数の分割領域に分けられていてもよい。この場合は、環状領域111bの複数の分割領域ごとに、リングアセンブリ(エッジリング)112の吸着電極層の下方にヒータ電極層1111cが配置されてもよい。即ち、少なくとも1つのヒータ電極層1111cが静電チャック1111内に配置される。一実施形態において、少なくとも1つのヒータ電極層1111cは、複数のヒータ電極層1111cを含む。
 誘電体部材1111a内には、複数のヒータ電極層1111cの各々の下方に複数の温度センサ1111dが配置される。複数の温度センサ1111dは、各々の上方に配置されるヒータ電極層1111cの温度を電気信号として検出する。複数のヒータ電極層1111cは、後述する第1の制御回路基板60により複数の温度センサ1111dの出力に基づいて制御される。なお、図3の例では、各々のヒータ電極層1111cの下方に温度センサ1111dが配置されるが、これに限定されるものではない。各々のヒータ電極層1111cの近傍であれば、温度センサ1111dは、ヒータ電極層1111cの上方に配置されてもよいし、側方に配置されてもよい。また、複数のヒータ電極層1111cごとに1つの温度センサ1111dが配置されていてもよい。
 誘電体部材1111aの下面には、コネクタ802が配置される。誘電体部材1111a内に配置される複数のヒータ電極層1111cは、誘電体部材1111a内の配線90c及びコネクタ802を介して後述する第1の制御回路基板60と電気的に接続される。また、誘電体部材1111a内に配置される複数の温度センサ1111dは、誘電体部材1111a内の配線90d及びコネクタ802を介して後述する第1の制御回路基板60と電気的に接続される。
 基台1110は、例えばアルミニウム等の導電性材料で形成される。基台1110には、前述の伝熱媒体流路1110aが形成される。一実施形態において、基台1110と静電チャック1111は、例えば接着層等により接合される。基台1110は、内部に伝熱媒体流路1110aと異なる空間50sを有する。基台1110は、空間50sの一部を規定する底板1110bを含む。底板1110bは、基台1110に着脱可能に取り付けられる。底板1110bを基台1110から取り外すことにより、後述する第1の制御回路基板60や第2の制御回路基板70が空間50s内に挿入可能となる。基台1110の底板1110bには、空間50s内に低湿度のガスを供給するための供給孔1110cを有する。供給孔1110cから空間50s内に低湿度のガスを供給することで、空間50s内の低温時における結露の発生を抑制することができ、空間50s内に配置される電子デバイスの水分を原因とする誤動作等を防止することができる。本実施形態において、低湿度のガスは、例えばドライエアーである。なお、図3の例では、基台1110は、導電性材料で形成されているがこれに限定されるものではない。SiC(炭化ケイ素)、AlN(窒化アルミニウム)、Al2O3(アルミナ又は酸化アルミニウム)等の非導電性材料で形成されていてもよい。なお、底板1110bは、非導電性材料で形成されていてもよい。
 基台1110の空間50sには、前述した誘電体部材1111a内に配置されるヒータ電極層1111cを温度センサ1111dの出力に基づいて制御する第1の制御回路基板60が配置される。第1の制御回路基板60は、プリント基板60pを含む。プリント基板60pの上面には、複数の素子制御デバイス(制御素子)602及びコネクタ804が実装される。また、プリント基板60pの下面には、コネクタ806及びコネクタ810が実装される。素子制御デバイス602は、ヒータ電極層1111cの温度制御を行う。また、素子制御デバイス602は、温度センサ1111dからの電気信号を処理し、ヒータ電極層1111cの温度を特定する制御を行う。素子制御デバイス602は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を採用できる。また、プリント基板60pには、通気用の貫通孔604が形成される。なお、図3の例では、プリント基板上に2つの素子制御デバイス602が実装されているが、これに限定されるものではない。素子制御デバイス602は、制御するヒータ電極層1111c及び温度センサ1111dの数に応じて、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。即ち、第1の制御回路基板60は、少なくとも1つの素子制御デバイス602を含む。1つの素子制御デバイス602がヒータ電極層1111cの温度制御及び温度センサ1111dからの電気信号の処理を行ってもよいし、ヒータ電極層1111cの温度制御と温度センサ1111dからの電気信号の処理をそれぞれ異なる素子制御デバイス602によって行ってもよい。また、プリント基板60pの通気用の貫通孔604は、形成されていなくてもよい。
 図5は、第1の制御回路基板60の構成例を説明するための上面図である。一実施形態において、基台1110内の空間50sは、略円筒形状を有する。また、プリント基板60pは、空間50sの直径よりも小さい直径を有し、基台1110とプリント基板60pの間に隙間を形成する。なお、本実施形態においては、空間50s及びプリント基板60pは、上面視で円形状をしているが、これに限定されるものではない。楕円形状や多角形状をしていてもよい。また、素子制御デバイス602、コネクタ804及び通気用の貫通孔604の配置位置は図5の形態に限定されるものではない。
 基台1110は、複数の貫通孔1110dを有し、貫通孔1110d内には、ケーブル配線902c及びケーブル配線902dが縦方向に延在している。ヒータ電極層1111cは、誘電体部材1111a内の配線90c、誘電体部材1111aの下面に配置されるコネクタ802、ケーブル配線902c、コネクタ804及びプリント基板60pの表層又は内層の配線を介して素子制御デバイス602と電気的に接続される。また、温度センサ1111dは、誘電体部材1111a内の配線90d、誘電体部材1111aの下面に配置されるコネクタ802、ケーブル配線902d、コネクタ804及びプリント基板60pの表層又は内層の配線を介して素子制御デバイス602と電気的に接続される。
 プリント基板60pの下面に実装されるコネクタ810は、第1の制御回路基板60の給電用に配置されている。第1の制御回路基板60の素子制御デバイス602は、プリント基板60pの表層又は内層の配線、コネクタ810、プリント基板70pに形成された貫通孔706及び基台1110の底板1110bに形成された貫通孔1110e内を通る配線910を介して電源301に接続される。なお、電源301は、前述した電源30に含まれてもよく、電源30以外の外部の電源であってもよい。そして、第1の制御回路基板60の素子制御デバイス602は、電源30以外の外部の電源から給電されてもよい。
 基台1110の空間50sには、さらに基台1110の空間50sの温度を制御する第2の制御回路基板70が配置される。第2の制御回路基板70は、プリント基板70pを含む。プリント基板70pの上面には、後述するリカバリ回路704、ヒータ素子702(第2のヒータ素子)及びコネクタ808が実装される。ヒータ素子702は、例えば、抵抗加熱型のヒータである。ヒータ素子702は、プリント基板70pの表層又は内層の配線、コネクタ808、配線906、配線908、コネクタ806及びプリント基板60pの表層又は内層の配線を介して素子制御デバイス602と電気的に接続される。配線906は、後述するリカバリ回路の給電配線である。また、配線908は、後述するリカバリ回路の基準電位配線である。素子制御デバイス602は、前述したヒータ電極層1111cの温度制御及び温度センサ1111dからの電気信号の処理を行うだけでなく、ヒータ素子702を制御して、空間50s内の温度の制御も行う。空間50s内の温度は、空間50s内に配置された温度センサ(図示せず)により測定され、素子制御デバイス602は、温度センサにより測定された空間50s内の温度に基づき、ヒータ素子702を制御する。また、図3の例では、プリント基板70pには、通気用の貫通孔708が形成さるが、貫通孔708はなくてもよい。
 図6は、第2の制御回路基板の構成例を説明するための上面図である。一実施形態において、プリント基板70pは、空間50sの直径よりも小さい直径を有し、基台1110とプリント基板70pの間に隙間を形成する。また、プリント基板70pは、プリント基板60pと略同一の直径を有する。なお、本実施形態においては、プリント基板70pは、上面視で円形状をしているが、これに限定されるものではない。楕円形状や多角形状をしていてもよい。また、プリント基板70pは、プリント基板60pと異なるサイズや異なる形状であってもよい。また、リカバリ回路704、ヒータ素子702、コネクタ808及び通気用の貫通孔708の配置位置は図6の形態に限定されるものではない。
 プリント基板60p及びプリント基板70pは、空間50s内においてスペーサ502及びスペーサ504を介して底板1110bに固定される。また、プリント基板60p及びプリント基板70pは、空間50s内において互いに離間している。
 なお、図3の例では、リカバリ回路704は、第2の制御回路基板70のプリント基板70pに実装されているが、これに限定されるものではない。リカバリ回路704は、第1の制御回路基板60のプリント基板60pに実装されてもよい。また、空間50s内に別途設けられた他のプリント基板に実装されてもよい。
 また、図3の例では、基台1110の空間50sにおいて、第2の制御回路基板70が第1の制御回路基板60の下方に配置されているが、これに限定されるものではない。第2の制御回路基板70は、第1の制御回路基板60の上方に配置されていてもよい。また、第2の制御回路基板70は、基台1110の空間50sにおいて、複数配置されていてもよい。この場合、リカバリ回路704は、それぞれの第2の制御回路基板70に設けられていてもよい。
<リカバリ回路>
 リカバリ回路704の構成を、図7を用いて説明する。図7は、一実施形態にかかるリカバリ回路704の構成例を説明するための図である。
 リカバリ回路704は、プリント基板60pに実装される素子制御デバイス602とプリント基板70pに実装されるヒータ素子702との間に配置される。リカバリ回路704は、プリント基板70pの表層又は内層に形成される給電配線906b及び基準電位配線908bに電気的に接続される。給電配線906bは、第1の制御回路基板60の素子制御デバイス602からリカバリ回路704の第1の回路セグメント704s1、第2の回路セグメント704s2及び第3の回路セグメント704s3に給電するために設けられる。基準電位配線908bは、リカバリ回路704の各素子に対する基準電位を決定するために設けられる。基準電位は、例えば接地電位(グランド電位)である。給電配線906bは、コネクタ808を介して前述した給電配線906に電気的に接続される。給電配線906は、コネクタ806及びプリント基板60pの表層又は内層に形成される給電配線906aを介して素子制御デバイス602と電気的に接続される。同様に、基準電位配線908bは、コネクタ808を介して前述した基準電位配線908に電気的に接続される。基準電位配線908は、コネクタ806及びプリント基板60pの表層又は内層に形成される基準電位配線908aを介して素子制御デバイス602と電気的に接続される。なお、図7の例では、素子制御デバイス602からリカバリ回路704の第1の回路セグメント704s1、第2の回路セグメント704s2及び第3の回路セグメント704s3に給電するが、これに限定されるものではない。プリント基板60p又はプリント基板70p上に他の制御デバイス(第2の制御素子)を実装し、当該他の制御デバイスからリカバリ回路704の第1の回路セグメント704s1、第2の回路セグメント704s2及び第3の回路セグメント704s3へ給電するように構成されてもよい。
 また、リカバリ回路704は、給電配線906g及び基準電位配線908bを介してヒータ素子702と電気的に接続される。
 リカバリ回路704は、少なくとも1つの素子制御デバイス602と少なくとも1つのヒータ素子702との間に電気的に接続され、並列に接続される複数の回路セグメントを含む。複数の回路セグメントは、第1の回路セグメント704s1、第2の回路セグメント704s2及び第3の回路セグメント704s3を含む。従って、第1の回路セグメント704s1、第2の回路セグメント704s2及び第3の回路セグメント704s3は、各々並列に電気的に接続されている。第1の回路セグメント704s1は、第1のスイッチ素子SW1、第1のコンデンサC1及び第1のダイオードD5を含む。第1のコンデンサC1は、第1の蓄電素子の一例である。第1のダイオードD5は、第1の並列整流素子の一例である。第1のコンデンサC1は、第1のスイッチ素子SW1と直列に接続されている。また、第1のダイオードD5は、第1のスイッチ素子SW1と並列に接続されている。第2の回路セグメント704s2は、第2のスイッチ素子SW2、第2のコンデンサC2及び第2のダイオードD6を含む。第2のコンデンサC2は、第2の蓄電素子の一例である。第2のダイオードD6は、第2の並列整流素子の一例である。第2のコンデンサC2は、第2のスイッチ素子SW2と直列に接続されている。また、第2のダイオードD6は、第2のスイッチ素子SW2と並列に接続されている。第3の回路セグメント704s3は、第3のスイッチ素子SW3、第3のコンデンサC3及び第3のダイオードD7を含む。第3のコンデンサC3は、第3の蓄電素子の一例である。第3のダイオードD7は、第3の並列整流素子の一例である。第3のコンデンサC3は、第3のスイッチ素子SW3と直列に接続されている。また、第3のダイオードD7は、第3のスイッチ素子SW3と並列に接続されている。なお、図7の例では、3つの回路セグメント704s1,704s2,704s3が並列に接続されるが、これに限定されるものではない。例えば、少なくとも1つの回路セグメントが設けられていればよい。一実施形態において、並列に接続される4つ以上の回路セグメントが設けられてもよい。また、第1~第3の蓄電素子はコンデンサであるが、これに限定されるものではない。第1~第3の蓄電素子は基板実装型のバッテリであってもよい。また、第1~第3の並列整流素子はダイオードであるが、これに限定されるものではない。第1~第3の並列整流素子はサイリスタであってもよい。また、第1のダイオードD5、第2のダイオードD6及び第3のダイオードD7が設けられているが、少なくとも1つのいずれかのダイオードが設けられなくてもよい。
 第1のスイッチ素子SW1、第2のスイッチ素子SW2及び第3のスイッチ素子SW3は、空間50s内の温度に基づきスイッチング動作を行うように構成され、例えば、バイメタルサーモスタットやリードスイッチである。また、第1のスイッチ素子SW1、第2のスイッチ素子SW2及び第3のスイッチ素子SW3は、各々異なる温度でオフ(open;非導通)するように構成される。図7の例では、第1のスイッチ素子SW1は第1の温度、第2のスイッチ素子SW2は第2の温度、第3のスイッチ素子SW3は第3の温度を超えるとオフ(open;非導通)するように構成される。すなわち、第1のスイッチ素子SW1は第1の温度以下、第2のスイッチ素子SW2は第2の温度以下、第3のスイッチ素子SW3は第3の温度以下になるとオン(close;導通)するように構成される。一実施形態において、第1の温度は、第2の温度よりも高く、第2の温度は、第3の温度よりも高い。一実施形態において、第1の温度は、95℃~85℃であり、第2の温度は、85℃~75℃であり、第3の温度は、75℃~65℃である。また、他の実施形態において、第1の温度は、第2の温度よりも低く、第2の温度は、第3の温度よりも低い。他の実施形態において、第1の温度は、75℃~65℃であり、第2の温度は、85℃~75℃であり、第3の温度は、95℃~85℃である。バイメタルサーモスタットを使用する場合は、第1の温度、第2の温度及び第3の温度は、バイメタルの材質や形状を調整することで設定される。また、リードスイッチを使用する場合は、第1の温度、第2の温度及び第3の温度は、スイッチ内の軟磁性体の配合率を調整し、キュリー温度を調整することで設定される。
 また、図7の例では、給電配線906bと基準電位配線908bとの間には、第1の回路セグメント704s1、第2の回路セグメント704s2及び第3の回路セグメント704s3と並列にコンデンサC0が電気的に接続されている。コンデンサC0は、追加の蓄電素子の一例である。なお、追加の蓄電素子として、コンデンサC0の代わりに基板実装型のバッテリが用いられてもよい。
 リカバリ回路704は、給電配線906bと給電配線906cとの間に接続されるダイオードD0を含む。従って、ダイオードD0は、素子制御デバイス602とコンデンサC0の入力端子との間に接続される。ダイオードD0は、電流の逆流防止用の整流素子であり、第1の直列整流素子の一例である。同様に、リカバリ回路704は、ダイオードD1、ダイオードD2、ダイオードD3及びダイオードD4を含む。ダイオードD1は、給電配線906cと給電配線906dとの間に接続される。従って、ダイオードD1は、コンデンサC0の入力端子と第1の回路セグメント704s1の入力端子との間に接続される。ダイオードD1は、第2の直列整流素子の一例である。ダイオードD2は、給電配線906dと給電配線906eとの間に接続される。従って、ダイオードD2は、第1の回路セグメント704s1の入力端子と第2の回路セグメント704s2の入力端子との間に接続される。ダイオードD2は、第3の直列整流素子の一例である。ダイオードD3は、給電配線906eと給電配線906fとの間に接続される。従って、ダイオードD3は、第2の回路セグメント704s2の入力端子と第3の回路セグメント704s3の入力端子との間に接続される。ダイオードD3は、第4の直列整流素子の一例である。ダイオードD4は、給電配線906fと給電配線906gとの間に接続される。従って、ダイオードD4は、第3の回路セグメント704s3の入力端子とヒータ素子702の入力端子との間に接続される。ダイオードD4は、第5の直列整流素子の一例である。なお、図7の例では、第1~第5の直列整流素子はダイオードであるが、これに限定されるものではない。第1~第5の直列整流素子はサイリスタであってもよい。また、図7の例では、5つのダイオードD0,D1,D2,D3,D4が設けられているが、これらのうち少なくとも1つのダイオードが設けられなくてもよい。
<リカバリ回路の動作>
 まず、プラズマ処理装置1の通常運転時のリカバリ回路704の動作を、図8A及び図8Bを用いて説明する。
 プラズマ処理装置1の電源が投入される初期の基台1110の空間50sの温度は、室温である。室温は、例えば、20℃~30℃である。初期の状態では、図8Aに示すように、第1のスイッチ素子SW1、第2のスイッチ素子SW2及び第3のスイッチ素子SW3の全てはオン状態である。従って、コンデンサC0は、給電配線906b及びダイオードD0を介して素子制御デバイス602から電流が流れ込むことで、完全充電される。第1のコンデンサC1は、給電配線906b、ダイオードD0、ダイオードD1及び第1のスイッチ素子SW1を介して素子制御デバイス602から電流が流れ込むことで、完全充電される。第2のコンデンサC2は、給電配線906b、ダイオードD0、ダイオードD1、ダイオードD2及び第2のスイッチ素子SW2を介して素子制御デバイス602から電流が流れ込むことで、完全充電される。第3のコンデンサC3は、給電配線906b、ダイオードD0、ダイオードD1、ダイオードD2、ダイオードD3及び第3のスイッチ素子SW3を介して素子制御デバイス602から電流が流れ込むことで、完全充電される。なお、第1のコンデンサC1の静電容量が大きい場合は、完全充電により長い時間がかかるため、第1のコンデンサC1が完全充電される前に第1のスイッチ素子SW1がオフする場合がある。この場合は、順方向にバイアスされた第1のダイオードD5を介して素子制御デバイス602から電流が流れ込むことで、第1のコンデンサC1は、完全充電される。同様に、第2のコンデンサC2の静電容量が大きい場合は、順方向にバイアスされた第2のダイオードD6を介して素子制御デバイス602から電流が流れ込むことで、第2のコンデンサC2は、完全充電される。第3のコンデンサC3の静電容量が大きい場合は、順方向にバイアスされた第3のダイオードD7を介して素子制御デバイス602から電流が流れ込むことで、第3のコンデンサC3は、完全充電される。
 図8Bは、一実施形態にかかるリカバリ回路704の定常状態を示す図である。定常状態では、第1のスイッチ素子SW1、第2のスイッチ素子SW2及び第3のスイッチ素子SW3の全てはオフ状態である。図8Aに示す初期状態から図8Bに示す定常状態への遷移は以下のようになる。プラズマ処理装置1の電源が投入された初期状態の後に、空間50s内に配置される第2の制御回路基板70のヒータ素子702により、空間50sの温度は徐々に上昇する。空間50sの温度が第3の温度(例えば、70℃)に達すると、第3のスイッチ素子SW3はオフする。その後、空間50sの温度が第2の温度(例えば、80℃)に達すると、第2のスイッチ素子SW2はオフし、さらに空間50sの温度が第1の温度(例えば、90℃)に達すると、第3のスイッチ素子SW3はオフすることで図8Bに示す定常状態になる。
 次に、プラズマ処理装置1のインターロック機構が動作した場合のリカバリ回路704の動作を、図9A~図9Dを用いて説明する。
 図9Aは、インターロック機構が動作した直後のリカバリ回路704の動作を示す図である。本実施例では、インターロック機構が動作する前の図8Bに示す定常状態における空間50s内温度を100℃として説明する。インターロック機構が動作すると、第1の制御回路基板60への電力供給が停止するため、素子制御デバイス602からヒータ素子702への給電も停止する。素子制御デバイス602からヒータ素子702への給電が停止すると、まず完全充電されたコンデンサC0から、蓄えられた電荷が、ダイオードD1、ダイオードD2、ダイオードD3及びダイオードD4を介して、電流I0としてヒータ素子702へ給電される。これにより、インターロック機構が動作し、素子制御デバイス602の制御が停止した場合においても、ヒータ素子702への給電を継続することができる。従って、基台1110内の空間50sが急速に低温状態になることを抑制又は遅延させることができ、空間50s内に配置される電子デバイスの推奨使用環境温度内の状態を維持することが可能となる。
 インターロック機構が動作した後、コンデンサC0から電流I0がヒータ素子702へ給電された場合に、空間50s内の温度が第1の温度(例えば、90℃)まで低下した場合は、図9Bに示すように、第1のスイッチ素子SW1がオンする。第1のスイッチ素子SW1がオンすると、完全充電された第1のコンデンサC1から、蓄えられた電荷が、ダイオードD2、ダイオードD3及びダイオードD4を介して、電流I1としてヒータ素子702へ給電される。これにより、コンデンサC0だけでなく第1のコンデンサC1からも、ヒータ素子702への給電を継続することができる。従って、基台1110内の空間50sが急速に低温状態になることを抑制又は遅延させることができ、空間50s内に配置される電子デバイスの推奨使用環境温度内の状態を維持することが可能となる。なお、図9Bの例では、第1のコンデンサC1からの電流I1のみがヒータ素子702へ給電されるが、コンデンサC0及び第1のコンデンサC1の静電容量に応じて、第1のコンデンサC1からの電流I1とコンデンサC0からの電流I0が同時にヒータ素子702へ給電されてもよい。
 さらに、空間50s内温度が第2の温度(例えば、80℃)まで低下した場合は、図9Cに示すように、第2のスイッチ素子SW2がオンする。第2のスイッチ素子SW2がオンすると、完全充電された第2のコンデンサC2から、蓄えられた電荷が、ダイオードD3及びダイオードD4を介して、電流I2としてヒータ素子702へ給電される。これにより、コンデンサC0及び第1のコンデンサC1だけでなく第2のコンデンサC2からも、ヒータ素子702への給電を継続することができる。従って、基台1110内の空間50sが急速に低温状態になることを抑制又は遅延させることができ、空間50s内に配置される電子デバイスの推奨使用環境温度の状態を維持することが可能となる。なお、図9Cの例では、第2のコンデンサC2からの電流I2のみがヒータ素子702へ給電されるが、コンデンサC0、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2の静電容量に応じて、第2のコンデンサC2からの電流I2と第1のコンデンサC1からの電流I1が同時にヒータ素子702へ給電されてもよく、第2のコンデンサC2からの電流I2とコンデンサC0からの電流I0が同時にヒータ素子702へ給電されてもよい。また、第2のコンデンサC2からの電流I2、コンデンサC0からの電流I0及び第1のコンデンサC1からの電流I1が同時にヒータ素子702へ給電されてもよい。
 さらに、空間50s内温度が第3の温度(例えば、70℃)まで低下した場合は、図9Dに示すように、第3のスイッチ素子SW3がオンする。第3のスイッチ素子SW3がオンすると、完全充電された第3のコンデンサC3から、蓄えられた電荷が、ダイオードD4を介して、電流I3としてヒータ素子702へ給電される。これにより、コンデンサC0、第1のコンデンサC1及び第2のコンデンサC2だけでなく第3のコンデンサC3からも、ヒータ素子702への給電を継続することができる。従って、基台1110内の空間50sが急速に低温状態になることを抑制又は遅延させることができ、空間50s内に配置される電子デバイスの推奨使用環境温度の状態を維持することが可能となる。なお、図9Dの例では、第3のコンデンサC3からの電流I3のみがヒータ素子702へ給電されるが、コンデンサC0、第1のコンデンサC1、第2のコンデンサC2及び第3のコンデンサC3の静電容量に応じて、第3のコンデンサC3からの電流I3と第2のコンデンサC2からの電流I2が同時にヒータ素子702へ給電されてもよく、第3のコンデンサC3からの電流I3と第1のコンデンサC1からの電流I1が同時にヒータ素子702へ給電されてもよく、第3のコンデンサC3からの電流I3とコンデンサC0からの電流I0が同時にヒータ素子702へ給電されてもよい。また、第3のコンデンサC3からの電流I3とコンデンサC0からの電流I0、第1のコンデンサC1からの電流I1及び第2のコンデンサC2からの電流I2が同時にヒータ素子702へ給電されてもよい。なお、図9Aから図9Dに示す例では第1の回路セグメント704s1の第1のスイッチ素子SW1が第1の温度(例えば、90℃)で、第2の回路セグメント704s2の第2のスイッチ素子SW2が第2の温度(例えば、80℃)で、第3の回路セグメント704s3の第3スイッチ素子SW3が第3の温度(例えば、70℃)で、オフするように構成されているが、これに限定されるものではない。第1のスイッチ素子SW1、第2のスイッチ素子SW2及び第3のスイッチ素子SW3が異なる温度でオンするように構成されていてもよい。また、さらに4つ以上の回路セグメントを設け、より細かい温度設定で、ヒータ素子702へ電流を給電するように構成されていてもよい。
 図10は、リカバリ回路の効果を説明するための図である。図10は、プラズマ処理装置1のインターロック機構が動作した後に、リカバリ回路704が動作した場合の基台1110内の空間50sの温度変化を示す図である。横軸は時間、縦軸は温度を表す。温度Tsは、インターロック機構が動作する前の定常状態の温度を示す。温度Tsは、例えば100℃である。温度Teは、インターロック機構が動作した後の定常状態において、伝熱媒体流路1110a内の伝熱媒体の温度が安定した状態の温度を示す。温度Teは、例えば室温である。また、温度Ttは、空間50s内に配置される電子デバイスの推奨使用環境温度の下限値を示す。
 比較例として、リカバリ回路704が設けられていないプラズマ処理装置1の基台1110内の空間50sの温度変化をグラフRefで示す。比較例では、プラズマ処理装置1のインターロック機構が動作すると、素子制御デバイス602への電源30からの電力の供給も停止する。従って、ヒータ素子702への給電も停止する。これにより、基台1110内の空間50sは伝熱媒体流路1110aを流れる伝熱媒体により急速に低温状態になる。この場合、図10のグラフRefの最下点温度Tbで示すように、空間50sの温度は、電子デバイスの推奨使用環境温度の下限値である温度Ttを下回る。従って、電子デバイスの推奨使用環境温度の状態を維持することができなくなり、電子デバイスは正常に動作しない場合が発生し得る。
 一方、本実施形態のリカバリ回路704が設けられたプラズマ処理装置1の基台1110内の空間50sの温度変化をグラフTempで示す。本実施形態では、プラズマ処理装置1のインターロック機構が動作すると、素子制御デバイス602への電源30からの電力の供給も停止した場合においても、コンデンサC0、第1のコンデンサC1、第2のコンデンサC2及び第3のコンデンサC3の少なくともいずれかから供給される電流によりヒータ素子702への給電が継続される。これにより、グラフTempの最下点温度Tb’で示すように、基台1110内の空間50sが急速に低温状態になることを抑制又は遅延させることができ、空間50sの温度が電子デバイスの推奨使用環境温度の下限値である温度Ttを下回ることを防止することができる。従って、空間50s内に配置される電子デバイスを保護し、電子デバイスは正常動作を維持することができる。
<第1変形例>
 リカバリ回路704の構成の第1変形例を、図11を用いて説明する。図11は、第1変形例にかかるリカバリ回路704xの構成例を説明するための図である。なお、第1変形例において、前述の実施形態と実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
 第1変形例においては、リカバリ回路704xは、コンデンサC0、コンデンサC1、コンデンサC2及びコンデンサC3にそれぞれ並列に接続されるコンデンサC01、コンデンサC11、コンデンサC21及びコンデンサC31を含む。コンデンサC01は、追加の蓄電素子の一例である。コンデンサC11は、第1の蓄電素子の一例である。コンデンサC21は、第2の蓄電素子の一例である。コンデンサC31は、第3の蓄電素子の一例である。コンデンサC0とコンデンサC01の静電容量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、コンデンサC1とコンデンサC11の静電容量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。コンデンサC2とコンデンサC21の静電容量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、コンデンサC3とコンデンサC31の静電容量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。これにより、より多くの電荷を充電することができ、基台1110内の空間50sが急速に低温状態になることをより長時間に抑制又は遅延させることができる。また、回路セグメント704s1,704s2,704s3の各々に供給する電流を個別に調整することが可能となる。
<第2変形例>
 リカバリ回路704の構成の第2変形例を、図12を用いて説明する。図12は、第2変形例にかかるリカバリ回路704yの構成例を説明するための図である。なお、第2変形例において、前述の実施形態と実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
 第2変形例においては、リカバリ回路704は、コンデンサC0、コンデンサC1、コンデンサC2及びコンデンサC3にそれぞれ直列に接続されるコンデンサC02、コンデンサC12、コンデンサC22及びコンデンサC32を含む。コンデンサC02は、追加の蓄電素子の一例である。コンデンサC12は、第1の蓄電素子の一例である。コンデンサC22は、第2の蓄電素子の一例である。コンデンサC32は、第3の蓄電素子の一例である。コンデンサC0とコンデンサC02の静電容量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、コンデンサC1とコンデンサC12の静電容量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。コンデンサC2とコンデンサC22の静電容量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、コンデンサC3とコンデンサC32の静電容量は同一であってもよいし、異なっていてもよい。これにより、コンデンサ1つ当たりに印加される電圧を下げ、コンデンサの耐圧を確保することができ、コンデンサへの負担を軽減することが可能となる。また、回路セグメント704s1,704s2,704s3の各々に供給する電流を個別に調整することが可能となる。
<第3変形例>
 リカバリ回路704の構成の第3変形例を、図13を用いて説明する。図13は、第3変形例にかかるリカバリ回路704z1,704z2の構成例を説明するための図である。なお、第3変形例において、前述の実施形態と実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
 第3変形例においては、基台1110の空間50s内におけるヒータ素子702z1,702z2の配置領域ごとに、リカバリ回路704z1,704z2を構成する少なくとも1つのコンデンサの静電容量が異なる。即ち、リカバリ回路704z2における少なくとも1つのコンデンサの静電容量が、リカバリ回路704z1における対応するコンデンサの静電容量と異なる。
 図13において、基台1110の空間50s内におけるヒータ素子702z1の配置領域の特定の1つの領域をゾーン1、ゾーン1と異なる別のヒータ素子702z2の配置領域をゾーン2とする。ゾーン1に含まれるヒータ素子702z1のリカバリ回路704z1は、コンデンサC0、コンデンサC1、コンデンサC2及びコンデンサC3を含む。一方、ゾーン2に含まれるヒータ素子702z2のリカバリ回路704z2は、コンデンサC03、コンデンサC13、コンデンサC23及びコンデンサC33を含む。リカバリ回路704z1におけるコンデンサC0,C1,C2,C3は、リカバリ回路704z2におけるコンデンサC03,C13,C23,C33にそれぞれ対応している。第3変形例においては、コンデンサC0とコンデンサC03の静電容量、コンデンサC1とコンデンサC13の静電容量、コンデンサC2とコンデンサC23の静電容量、コンデンサC3とコンデンサC33の静電容量の少なくとも何れか1つは互いに異なる。即ち、リカバリ回路704z2におけるコンデンサC03,C13,C23,C33のうち少なくとも1つのコンデンサの静電容量は、リカバリ回路704z1におけるコンデンサC0,C1,C2,C3のうち対応するコンデンサの静電容量と異なる。例えば、リカバリ回路704z2におけるコンデンサC03の静電容量は、リカバリ回路704z1における対応するコンデンサC0の静電容量と異なってもよい。これにより、基台1110の空間50s内において、インターロック機構が動作した場合における低温状態の温度分布に偏りが生じる場合においても、空間50s内におけるヒータ素子702への給電量を温度分布の偏りが生じたゾーンごとに細かく調整することが可能となる。
<第4変形例>
 リカバリ回路704の構成の第4変形例を、図14を用いて説明する。図14は、第4変形例にかかるリカバリ回路704の構成例を説明するための図である。なお、第4変形例において、前述の実施形態と実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
 第4変形例においては、リカバリ回路704のスイッチ素子は、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)7041で構成される。MOSFET7041のゲート端子は、ゲート制御回路7042に接続されている。ゲート制御回路7042は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路を採用できる。ゲート制御回路7042は、空間50s内に配置された温度センサ(図示せず)により測定された温度に応じて、MOSFET7041のゲート端子への印加電圧を制御し、MOSFET7041のオン/オフ制御を行う。なお、ゲート制御回路7042は、第1の制御回路基板60に配置されてもよいし、第2の制御回路基板70に配置されてもよい。また、図14の例では、MOSFET7041が配置されているが、これに限定されるものではない。その他の半導体スイッチが配置されていてもよい。
 第4変形例においては、空間50s内に配置された温度センサ(図示せず)により測定された温度に応じて、MOSFET7041のゲート端子への印加電圧を制御するため、リカバリ回路704は、空間50sの外部に配置されていてもよい。
 以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、上述した例示的実施形態及び各変形例における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
 ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の(付記1)~(付記19)に記載する。
(付記1)
 プラズマ処理チャンバと、
 前記プラズマ処理チャンバ内に配置され、伝熱媒体流路及び空間を有する基台と、
 前記基台上に配置される静電チャックと、
 前記静電チャック内に配置される少なくとも1つの第1のヒータ素子と、
 少なくとも1つの前記第1のヒータ素子に電気的に接続される少なくとも1つの制御素子を含み、前記空間内に配置される第1の制御回路基板と、
 少なくとも1つの前記制御素子と電気的に接続される少なくとも1つの第2のヒータ素子を含み、前記空間内に配置される第2の制御回路基板と、
 少なくとも1つの前記制御素子と少なくとも1つの前記第2のヒータ素子との間に電気的に接続され、並列に接続される複数の回路セグメントを含むリカバリ回路であり、前記複数の回路セグメントのうち第1の回路セグメントは、直列接続される少なくとも1つの第1の蓄電素子及び第1のスイッチ素子を含み、前記第1のスイッチ素子は、前記空間内の温度に基づきスイッチング動作を行うように構成される、リカバリ回路と、を備える、
 プラズマ処理装置。
(付記2)
 前記第1の回路セグメントは、
 前記第1のスイッチ素子と並列に接続される第1の並列整流素子を含む、
 付記1に記載のプラズマ処理装置。
(付記3)
 前記リカバリ回路は、
 前記第1の回路セグメントと並列に接続される少なくとも1つの追加の蓄電素子を含む、
 付記1又は2に記載のプラズマ処理装置。
(付記4)
 前記複数の回路セグメントは、前記第1の回路セグメントと並列に接続される第2の回路セグメントを含み、
 前記第2の回路セグメントは、直列接続される少なくとも1つの第2の蓄電素子及び第2のスイッチ素子を含む、
 付記1~3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記5)
 前記リカバリ回路は、
 少なくとも1つの前記制御素子と前記追加の蓄電素子の入力との間に接続される第1の直列整流素子と、
 前記追加の蓄電素子の前記入力と前記第1の回路セグメントの入力との間に接続される第2の直列整流素子と、
 前記第1の回路セグメントの前記入力と前記第2の回路セグメントの入力との間に接続される第3の直列整流素子とを含む、
 付記3又は4に記載のプラズマ処理装置。
(付記6)
 少なくとも1つの前記第1の蓄電素子は、並列に接続される複数の第1の蓄電素子を含む、
 付記1~5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記7)
 少なくとも1つの前記第1の蓄電素子は、直列に接続される複数の第1の蓄電素子を含む、
 付記1~5のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記8)
 少なくとも1つの前記追加の蓄電素子は、並列に接続される複数の追加の蓄電素子を含む、
 付記3に記載のプラズマ処理装置。
(付記9)
 少なくとも1つの前記追加の蓄電素子は、直列に接続される複数の追加の蓄電素子を含む、
 付記3~7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記10)
 前記第1のスイッチ素子は、サーモスタット又はリードスイッチである、
 付記3~7のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記11)
 少なくとも1つの前記第1の蓄電素子及び少なくとも1つの前記追加の蓄電素子はコンデンサである、
 付記3~10のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記12)
 プラズマ処理チャンバと、
 前記プラズマ処理チャンバ内に配置され、伝熱媒体流路及び空間を有する基台と、
 前記基台上に配置される静電チャックと、
 前記静電チャック内に配置される第1のヒータ素子と、
 前記空間内に配置される第2のヒータ素子と、
 前記第1のヒータ素子及び前記第2のヒータ素子のうち少なくともいずれかに電気的に接続される少なくとも1つの制御素子を含み、前記空間内に配置される制御回路基板と、
 前記第2のヒータ素子と少なくとも1つの前記制御素子との間に電気的に接続され、前記空間内の温度に基づき前記第2のヒータ素子に電力を供給するように構成されるリカバリ回路と、を備える、
 プラズマ処理装置。
(付記13)
 前記リカバリ回路は、
 直列接続される第1の蓄電素子及び第1のスイッチ素子を有する第1の回路セグメントを含み、
 前記第1のスイッチ素子は、前記空間内の温度に基づきスイッチング動作を行うように構成される、
 付記12に記載のプラズマ処理装置。
(付記14)
 前記リカバリ回路は、
 並列に接続される複数の回路セグメントを含み、
 前記複数の回路セグメントは、直列接続される第1の蓄電素子及び第1のスイッチ素子を有する第1の回路セグメントを含み、
 前記第1のスイッチ素子は、前記空間内の温度に基づきスイッチング動作を行うように構成される、
 付記12又は13に記載のプラズマ処理装置。
(付記15)
 前記第1の回路セグメントは、
 前記第1のスイッチ素子と並列に接続される第1の並列整流素子を含む、
 付記13又は14に記載のプラズマ処理装置。
(付記16)
 前記複数の回路セグメントは、前記第1の回路セグメントと並列に接続される第2の回路セグメントを含み、
 前記第2の回路セグメントは、直列接続される少なくとも1つの第2の蓄電素子及び第2のスイッチ素子を含む、
 付記13~15のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記17)
 前記リカバリ回路は、
 さらに、前記第1の回路セグメントと並列に接続される追加の蓄電素子を含む、
 付記13~16のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記18)
 前記第1のスイッチ素子は、サーモスタット又はリードスイッチである、
 付記13~17のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
(付記19)
 前記第1の蓄電素子及び前記追加の蓄電素子はコンデンサである、
 付記13~18のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
 尚、本願は、2022年2月15日に出願したアメリカ合衆国特許出願63/268,004に基づく優先権を主張するものであり、これらのアメリカ合衆国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。また、本願は、2023年1月19日に出願した日本国特許出願2023-6578号に基づく優先権を主張するものであり、これらの日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。