以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、層状ケイ酸塩の存在下に、アミン化合物(I)を酸素により酸化して、オキシム化合物(II)を製造する。
前記式(I)、(II)及び(III)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基又は置換されていてもよい複素環基を表す場合、R1及びR2が共に水素原子であることはない。ここで、「置換されていてもよい」とは、炭化水素基又は複素環基中の水素原子の一部または全部が、置換基で置換されていてもよい炭化水素基又は複素環基のことをいう。R1及びR2において、炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数が1~24のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、エイコシル基、ヘンイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数が2~24のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、2−メチルアリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−1−ブテニル基、2−メチル−1−ブテニル基、3−メチル−1−ブテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−メチル−1−ペンテニル基、2−メチル−1−ペンテニル基、4−メチル−3−ペンテニル基、2−エチル−1−ブテニル基、2−ヘプテニル基、2−オクテニル基、2−ノネニル基、2−デセニル基、2−ウンデセニル基、2−ドデセニル基、2−トリデセニル基、2−テトラデセニル基、2−ペンタデセニル基、2−ヘキサデセニル基、2−ヘプタデセニル基、2−オクタデセニル基、2−ノナデセニル基、2−イコセニル基、2−エイコセニル基、2−ヘンイコセニル基、2−ヘンエイコセニル基、2−ドコセニル基、2−トリコセニル基、2−テトラコセニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数が2~24のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−3−ブチニル基、2−メチル−3−ブチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、2−ヘプチニル基、2−オクチニル基、2−ノニニル基、2−デシニル基、2−ウンデシニル基、2−ドデシニル基、2−トリデシニル基、2−テトラデシニル基、2−ペンタデシニル基、2−ヘキサデシニル基、2−ヘプタデシニル基、2−オクタデシニル基、2−ノナデシニル基、2−イコシニル基、2−エイコシニル基、2−ヘンイコシニル基、2−ヘンエイコシニル基、2−ドコシニル基、2−トリコシニル基、2−テトラコシニル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数が3~8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
シクロアルケニル基としては、炭素数が3~8のシクロアルケニル基が好ましく、例えば、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
炭化水素基がアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;シクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、1−メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数が3~6のシクロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、s−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数が1~4のアルコキシ基;チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオブトキシ基等の炭素数が1~4のチオアルコキシ基;アリルオキシ基、2−プロペニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、2−メチル−3−プロペニルオキシ基等の炭素数が3~4のアルケニルオキシ基;炭素数が7~20のアラルキルオキシ基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等の炭素数が6~18のアリール基;フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;炭素数が2~7のアルカノイル基;炭素数が7~19のアリロイル基;炭素数が1~6のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。炭化水素基がアルキル基の場合、炭素数が6~18のアリール基で置換されたアルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、トリフェニルエチル基、(1−ナフチル)メチル基、(2−ナフチル)メチル基等のアラルキル基が挙げられる。
R1及びR2において、炭化水素基がシクロアルキル基、シクロアルケニル基又はアリール基の場合、その置換基としては、例えば、上述のハロゲン原子、炭素数が3~6のシクロアルキル基、炭素数が1~4のアルコキシ基、炭素数が1~4のチオアルコキシ基、炭素数が3~4のアルケニルオキシ基、炭素数が7~20のアラルキルオキシ基、炭素数が6~18のアリール基、アリールオキシ基、炭素数が2~7のアルカノイル基、炭素数が7~19のアリロイル基、炭素数が1~6のアルコキシカルボニル基や、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数が1~6のアルキル基や、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−メチル−2−ブテニル基、2−メチル−2−ブテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等の炭素数が2~6のアルケニル基や、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等の炭素数が7~20のアラルキル基等が挙げられる。
R1及びR2において、複素環基としては、例えば、ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基等が挙げられる。ヘテロアリール基としては、炭素数が3~9のヘテロアリール基が好ましく、例えば、ピリジル基、キノニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、フリル基、インドリル基、チエニル基、オキサゾリル基等が挙げられる。ヘテロアラルキル基としては、炭素数が5~10のヘテロアラルキル基が好ましく、例えば、ピリジルメチル基、キノリルメチル基、インドリルメチル基、フリルメチル基、ピロリルメチル基等が挙げられる。
R1及びR2が複素環基の場合、置換基は、例えば、上述のハロゲン原子、炭素数が3~6のシクロアルキル基、炭素数が1~4のアルコキシ基、炭素数が1~4のチオアルコキシ基、炭素数が3~4のアルケニルオキシ基、炭素数が7~20のアラルキルオキシ基、炭素数が6~18のアリール基、アリールオキシ基、炭素数が2~7のアルカノイル基、炭素数が7~19のアリロイル基、炭素数が1~6のアルコキシカルボニル基や、上述の炭素数が1~6のアルキル基、炭素数が2~6のアルケニル基、炭素数が7~20のアラルキル基等が挙げられる。
前記式(I)において、R1及びR2が、それぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよい炭化水素基を表す場合、アミン化合物(I)は、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、エイコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ヘンエイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、1−メチルブチルアミン、2−メチルブチルアミン、シクロプロピルメチルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、1−フェニルエチルアミン、2−フェニルエチルアミン、3−アミノメチルピリジン、1−(4−クロロフェニル)エチルアミン、2−(2−クロロフェニル)エチルアミン、1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン、1−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、2−(2−メトキシフェニル)エチルアミン、2−(3−メトキシフェニル)エチルアミン、2−(4−メトキシフェニル)エチルアミン、1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]エチルアミン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−(2−ナフチル)エチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、3−フェニルプロピルアミン等が挙げられる。
前記式(I)及び(II)において、R1及びR2が、R1及びR2が結合する炭素原子と共に置換されていてもよい炭素数3~12の脂環式炭化水素基を形成する場合、その炭素数は6~12が好ましい。ここで、炭素数3~12の脂環式炭化水素基とは、3~12員環の脂環式炭化水素基をいい、「置換されていてもよい」とは、該脂環式炭化水素基中のメチレン基における水素原子の一部または全部が、他の置換基で置換されていてもよい脂環式炭化水素基のことをいう。他の置換基で置換されている場合、該置換基の炭素数は上記の炭素数には含まれない。R1及びR2が、R1及びR2が結合する炭素原子と共に置換されていてもよい炭素数3~12の脂環式炭化水素基を形成する場合、アミン化合物(I)としては、例えば、シクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘプチルアミン、シクロドデシルアミン、2−メチルシクロヘキシルアミン、4−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
アミン化合物(I)の中でも、シクロヘキシルアミンが好ましい。シクロヘキシルアミンとしては、例えば、アニリン、ニトロベンゼン、ニトロシクロヘキサン等を水素化することにより得られたものであってもよいし、シクロヘキセン又はシクロヘキサノールと、アンモニアとのアミノ化反応により得られたものであってもよい。
前記酸化に用いられる酸素の酸素源としては、酸素含有ガスを用いることが好ましい。この酸素含有ガスは、例えば、空気であってもよいし、純酸素であってもよいし、空気又は純酸素を、窒素、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガスで希釈したものであってもよい。また、空気に純酸素を添加した酸素富化空気を使用することもできる。酸素含有ガスを使用する場合、その酸素濃度は1~30容量%が好ましい。
前記層状ケイ酸塩は、天然物であってもよく、人工的に合成された合成品であってもよく、これらの混合物であってもよい。合成品の合成方法としては、例えば、水熱合成反応法、固相反応法、溶融合成法等が挙げられる。該層状ケイ酸塩としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ソーコナイト、スチーブンサイト、ヘクトライト、ボルコンスコアイト、スインホルダイト等のスメクタイト;バーミキュライト;白雲母、金雲母、鉄雲母、イーストナイト、シデロフィライトテトラフェリ鉄雲母、ポリリシオナイト、セラドン石、鉄セラドン石、鉄アルミノセラドン石、アルミノセラドン石、砥部雲母、パラゴナイト等のマイカ;クリントナイト、ビテ雲母、真珠雲母等の脆雲母;クリノクロア、シャモサイト、ペナンタイト、ニマイト、ベイリクロア、クッケアイト、スドーアイト等の緑泥石;タルク;パイロフィライト;カオリン石、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト、アメサイト、ベルチェリン、クロンステダイト、ヌポア石、ケリアイト、フレイポナイト、ブリンドリアイト等のカオリナイト;アンチゴライト、クリソタイル、リザーダイト等の蛇紋石;等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、得られるオキシム化合物(II)の選択率の点で、スメクタイトが好ましい。本発明においては、前記層状ケイ酸塩は、層状ケイ酸塩を含有する粘土鉱物の形態で用いてもよく、層状ケイ酸塩を含有する粘土鉱物としては、例えば、ベントナイト、酸性白土、活性白土等のモンモリロナイトを含有する粘土鉱物が挙げられる。前記層状ケイ酸塩は、焼成してから使用してもよく、該焼成の温度は、150~600℃が好ましく、焼成の時間は0.1~100時間が好ましい。
前記層状ケイ酸塩としては、層間に陽イオンを含有するものが好ましく、該陽イオンとしては、水素イオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、アルカリ金属元素の陽イオン、アルカリ土類金属元素の陽イオン、第3族金属元素の陽イオン、第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン、第7族金属元素の陽イオン、第8族金属元素の陽イオン、第9族金属元素の陽イオン、第10族金属元素の陽イオン、第11族金属元素の陽イオン、第12族金属元素の陽イオン、第13族金属元素の陽イオン、スズイオン、鉛イオン、ゲルマニウムイオン、ケイ素イオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物、正に荷電した第7族金属元素の酸化物、正に荷電した第8族金属元素の酸化物、正に荷電した第9族金属元素の酸化物、正に荷電した第10族金属元素の酸化物、正に荷電した第11族金属元素の酸化物、正に荷電した第12族金属元素の酸化物、正に荷電した第13族金属元素の酸化物、正に荷電したスズの酸化物、正に荷電した鉛の酸化物、正に荷電した酸化ゲルマニウム、正に荷電したケイ素の酸化物等が挙げられる。
層間に陽イオンを含有する層状ケイ酸塩における陽イオンとしては、中でも、水素イオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、水素イオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、第4族金属元素の陽イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種がより好ましく、水素イオン、第4族金属元素の陽イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種がさらに好ましく、第4族金属元素の陽イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種がさらにより好ましく、第4族金属元素の陽イオン及び正に荷電した第4族金属元素の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種が特に好ましい。第4族金属元素としては、チタン、ジルコニウム等が挙げられる。第5族金属元素としては、バナジウム、ニオブ、タンタル等が挙げられる。第6族金属元素としては、クロム、モリブデン、タングステン等が挙げられる。特に、層状ケイ酸塩として、チタンイオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した酸化チタン及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する層状ケイ酸塩を使用する場合に、得られるオキシム化合物(II)の選択率の点で、本発明の方法は有利に採用される。
前記層状ケイ酸塩としては、水素イオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種と、第8族金属元素、第9族金属元素、第10族金属元素、第11族金属元素、第12族金属元素、第13族金属元素、第8族金属元素化合物、第9族金属元素化合物、第10族金属元素化合物、第11族金属元素化合物、第12族金属元素化合物、第13族金属元素化合物及び正に荷電したケイ素の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種とを含有する層状ケイ酸塩も好適に使用できる。中でも、第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種と、第8族金属元素、第9族金属元素、第10族金属元素、第11族金属元素、第12族金属元素、第13族金属元素、第8族金属元素化合物、第9族金属元素化合物、第10族金属元素化合物、第11族金属元素化合物、第12族金属元素化合物、第13族金属元素化合物及び正に荷電したケイ素の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種とを含有する層状ケイ酸塩が好ましい。第8族金属元素、第9族金属元素、第10族金属元素、第11族金属元素、第12族金属元素又は第13族金属元素は、陽イオンとして層間に含まれてもよいし、金属単体として層状ケイ酸塩に担持されていてもよい。第8族金属元素化合物、第9族金属元素化合物、第10族金属元素化合物、第11族金属元素化合物、第12族金属元素化合物又は第13族金属元素化合物は、正に荷電した金属元素の酸化物として層間に含まれてもよいし、金属化合物として層状ケイ酸塩に担持されていてもよい。
第8族金属元素としては、例えば、ルテニウム等が挙げられる。第9族金属元素としては、例えば、イリジウム等が挙げられる。第10族金属元素としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金等が挙げられる。第11族金属元素としては、例えば、銀、金等が挙げられる。第12族金属元素としては、例えば、亜鉛等が挙げられる。第13族金属元素としては、例えば、アルミニウム等が挙げられる。上記の第8族金属元素、第9族金属元素、第10族金属元素、第11族金属元素、第12族金属元素、第13族金属元素、第8族金属元素化合物、第9族金属元素化合物、第10族金属元素化合物、第11族金属元素化合物、第12族金属元素化合物、第13族金属元素化合物及び正に荷電したケイ素の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種としては、第8族金属元素の陽イオン、第9族金属元素の陽イオン、第10族金属元素の陽イオン、第11族金属元素の陽イオン、第12族金属元素の陽イオン、第13族金属元素の陽イオン、正に荷電した第8族金属元素の酸化物、正に荷電した第9族金属元素の酸化物、正に荷電した第10族金属元素の酸化物、正に荷電した第11族金属元素の酸化物、正に荷電した第12族金属元素の酸化物、正に荷電した第13族金属元素の酸化物及び正に荷電したケイ素の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。
本発明において好適に使用されるスメクタイトは、陽イオンと酸素とから構成される四面体シート及び陽イオンと酸素又は水酸化物とから構成される八面体シートが、負に荷電した単位層を形成し、単位層と単位層の間に陽イオンが存在してなる層状化合物であり、一般には次式(A)
X0.2~0.6(Y1,Y2)2~3Z4O10(OH)2・nH2O (A)
〔式中、XはK+、Na+、1/2Ca2+及び1/2Mg2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、Y1はMg2+、Fe2+、Mn2+、Ni2+及びZn2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、Y2はLi+、Al3+、Fe3+、Mn3+及びCr3+からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、ZはSi及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種(但し、ZがAlのみの場合を除く)を表し、n≧0である。〕
で示される層状ケイ酸塩である。尚、Xは層間の陽イオンを表し、Y1、Y2は八面体シートの陽イオンを表し、Zは四面体シートの陽イオンを表す。
本発明においては、得られるオキシム化合物(II)の選択率の点で、スメクタイトの中でも、モンモリロナイト、サポナイト、スチーブンサイト、ヘクトライトを用いることが好ましい。
本発明において好適に使用されるモンモリロナイトは、ケイ酸シート/アルミン酸シート/ケイ酸シートの2:1型構造を層の基本構造とし、アルミン酸シートのアルミニウムの一部がマグネシウムで置換されることにより層が負電荷を帯び、層と層との間に交換可能なカチオンが存在する層状ケイ酸塩であり、一般には次式(B)
Xm(Al2−mMgm)Si4O10(OH)2・nH2O (B)
〔式中、XはK+、Na+、1/2Ca2+及び1/2Mg2+からなる群より選ばれる少なくとも1種を表し、0.2≦m≦0.6、n≧0である。〕
で示される層状ケイ酸塩である。尚、Xは層間の陽イオンを表す。
スメクタイト又はモンモリロナイトにおける層間の陽イオンXは、他の陽イオンと交換可能であるため、スメクタイト又はモンモリロナイトをイオン交換処理することにより、層間の陽イオンXの一部または全てを他の陽イオンに交換することができる。イオン交換処理に付されるスメクタイト又はモンモリロナイトとしては、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種を有するものが好ましく使用される。スメクタイト又はモンモリロナイト中のナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンのそれぞれの含有量は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により求めることができる。
本発明において好適に使用される、層間に水素イオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する層状ケイ酸塩としては、例えば、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩をイオン交換処理することにより得られるものが好適に使用できる。
層間の陽イオンとして水素イオンを含有する層状ケイ酸塩を調製する方法としては、例えば、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を酸処理する方法等が挙げられる。酸処理に用いられる酸としては、例えば、塩化水素、硝酸、リン酸、硫酸、亜硝酸等の無機酸;酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、中でも、無機酸が好ましく、無機酸の中でも、塩化水素、硝酸、リン酸が好ましい。該酸処理は、層間に交換可能な陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、酸を含む溶液と接触させることにより行われるのが好ましい。該酸処理により、層間の陽イオンがイオン交換され、層間の陽イオンとして水素イオンを含有する層状ケイ酸塩を調製することができる。
層間の陽イオンとしてアンモニウムイオンを含有する層状ケイ酸塩は、例えば、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種でイオン交換処理することにより調製することができる。該アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。該イオン交換処理は、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶液と接触させることにより行われるのが好ましい。該イオン交換処理により、層間の陽イオンXがイオン交換され、層間の陽イオンとしてアンモニウムイオンを含有する層状ケイ酸塩を調製することができる。
層間の陽イオンとして第四級アンモニウムイオンを含有する層状ケイ酸塩は、例えば、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、第四級アンモニウム化合物でイオン交換処理することにより調製することができる。該第四級アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、n−プロピルトリメチルアンモニウム、テトラ−n−プロピルアンモニウム、テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリ−n−プロピルメチルアンモニウム、トリ−n−ブチルメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウムのような各種第四級アンモニウムの水酸化物やハロゲン化物等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。該イオン交換処理は、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、第四級アンモニウム化合物を含む溶液と接触させることにより行われるのが好ましい。該イオン交換処理により、層間の陽イオンがイオン交換され、層間の陽イオンとして第四級アンモニウムイオンを含有する層状ケイ酸塩を調製することができる。
上記の酸を含む溶液や、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶液や、第四級アンモニウム化合物を含む溶液の調製において、使用される溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、1,2−ジメトキシエタン等の極性溶媒が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも、水が好ましい。溶媒の使用量は適宜設定される。前記酸処理を行う場合、酸を含む溶液のpHは、3以下が好ましい。
上記の酸処理や、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種でのイオン交換処理や、第四級アンモニウム化合物でのイオン交換処理は、回分式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。回分式で行う方法としては、例えば、撹拌槽中で層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、上記の酸を含む溶液、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶液、又は第四級アンモニウム化合物を含む溶液に浸漬し撹拌混合する方法等が挙げられる。連続式で行う方法としては、例えば、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を充填した管状容器に、上記の酸を含む溶液、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶液、又は第四級アンモニウム化合物を含む溶液を流通させる方法や、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を入れた撹拌槽に、上記の酸を含む溶液、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶液、又は第四級アンモニウム化合物を含む溶液を供給しながら、混合物の液相を抜き出す方法等が挙げられる。
上記の酸処理、又はアンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種でのイオン交換処理、又は第四級アンモニウム化合物でのイオン交換処理における温度は、通常0~150℃であり、好ましくは20~100℃である。これらの処理における時間は通常0.1~240時間であり、好ましくは0.5~120時間である。これらの処理における圧力は、通常、絶対圧で0.1~1MPa、好ましくは大気圧である。また、上記の酸を含む溶液、アンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む溶液、又は第四級アンモニウム化合物を含む溶液の使用量は、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩に対して適宜設定される。尚、上記の酸処理、又はアンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種でのイオン交換処理、又は第四級アンモニウム化合物でのイオン交換処理は、必要に応じて複数回行ってもよく、これらの処理を組み合わせて行ってもよい。
層間の陽イオンとして第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン及びゲルマニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陽イオンを含有する層状ケイ酸塩は、例えば、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物でイオン交換処理する〔以下、該イオン交換処理を、金属元素化合物によるイオン交換処理ということがある。〕ことにより調製することができる。該イオン交換処理は、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液と接触させることにより行われるのが好ましい。該イオン交換処理により、層間の陽イオンがイオン交換され、層間の陽イオンとして第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン及びゲルマニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陽イオンを含有する層状ケイ酸塩を調製することができる。該層状ケイ酸塩中の第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン及びゲルマニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陽イオンの含有量は、好ましくは0.01~50重量%、より好ましくは0.1~25重量%、さらに好ましくは0.2~10重量%である。該層状ケイ酸塩において、第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン及びゲルマニウムイオンからなる群より選ばれる二種以上の陽イオンが含まれる場合、その合計含有量が上記範囲となればよい。第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン及びゲルマニウムイオンのそれぞれの含有量は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析により求めることができる。
第4族金属元素の化合物としては、第4族金属元素の無機化合物、第4族金属元素の有機化合物が挙げられる。第4族金属元素の無機化合物としては、例えば、三塩化チタン(TiCl3)、四塩化チタン(TiCl4)、四臭化チタン(TiBr4)、四フッ化チタン(TiF4)、四ヨウ化チタン(TiI4)、三塩化ジルコニウム(ZrCl3)、四塩化ジルコニウム(ZrCl4)、三臭化ジルコニウム(ZrBr3)、四臭化ジルコニウム(ZrBr4)、四フッ化ジルコニウム(ZrF4)、四ヨウ化ジルコニウム(ZrI4)等の第4族金属元素のハロゲン化物;四硝酸チタン(Ti(NO3)4)、四硝酸ジルコニウム(Zr(NO3)4)等の第4族金属元素の硝酸塩;硝酸ジルコニル(ZrO(NO3)2)等の第4族金属元素のオキシ硝酸塩;二硫酸チタン(Ti(SO4)2)、二硫酸ジルコニウム(Zr(SO4)2)等の第4族金属元素の硫酸塩;リン酸チタン(Ti3(PO4)4)、リン酸ジルコニウム(Zr3(PO4)4)等の第4族金属元素のリン酸塩;等が挙げられる。第4族金属元素の有機化合物としては、例えば、Ti(OR3)4(以下、R3は炭素数1~4のアルキル基を表す。)、Zr(OR3)4等の第4族金属元素のアルコキシド化合物;TiCl(OR3)3、TiCl2(OR3)2、TiCl3(OR3)、ZrCl(OR3)3、ZrCl2(OR3)2、ZrCl3(OR3)等の第4族金属元素のハロゲン化アルコキシド化合物;四酢酸チタン(Ti(CH3COO)4)、四酢酸ジルコニウム(Zr(CH3COO)4)等の第4族金属元素の酢酸塩;等が挙げられる。第4族金属元素の化合物として、これら例示化合物の水和物を使用してもよい。また第4族金属元素の化合物を2種以上用いてもよい。第4族金属元素の化合物としては、中でも、第4族金属元素のハロゲン化物、第4族金属元素の硫酸塩、第4族金属元素のアルコキシド化合物、第4族金属元素のオキシ硝酸塩が好ましく、第4族金属元素のハロゲン化物がより好ましい。
第5族金属元素の化合物としては、第5族金属元素の無機化合物、第5族金属元素の有機化合物が挙げられる。第5族金属元素の無機化合物としては、例えば、三塩化バナジウム(VCl3)、四塩化バナジウム(VCl4)、三臭化バナジウム(VBr3)、三フッ化バナジウム(VF3)、四フッ化バナジウム(VF4)、三ヨウ化バナジウム(VI3)、三塩化ニオブ(NbCl3)、五塩化ニオブ(NbCl5)、三臭化ニオブ(NbBr3)、五臭化ニオブ(NbBr5)、五フッ化ニオブ(NbF5)、五ヨウ化ニオブ(NbI5)、三塩化タンタル(TaCl3)、五塩化タンタル(TaCl5)、五臭化タンタル(TaBr5)、五フッ化タンタル(TaF5)、五ヨウ化タンタル(TaI5))等の第5族金属元素のハロゲン化物等が挙げられる。第5族金属元素の有機化合物としては、例えば、Nb(OR3)5、Ta(OR3)5等の第5族金属元素のアルコキシド化合物等が挙げられる。第5族金属元素の化合物としてこれら例示化合物の水和物を用いてもよい。また第5族金属元素の化合物を2種以上用いてもよい。
第6族金属元素の化合物としては、第6族金属元素の無機化合物、第6族金属元素の有機化合物が挙げられる。第6族金属元素の無機化合物としては、例えば、二塩化クロム(CrCl2)、三塩化クロム(CrCl3)、二臭化クロム(CrBr2)、三臭化クロム(CrBr3)、二フッ化クロム(CrF2)、三フッ化クロム(CrF3)、二ヨウ化クロム(CrI2)、三ヨウ化クロム(CrI3)、三塩化モリブデン(MoCl3)、五塩化モリブデン(MoCl5)、三臭化モリブデン(MoBr3)、四フッ化モリブデン(MoF4)、六フッ化モリブデン(MoF6)、四塩化タングステン(WCl4)、六塩化タングステン(WCl6)、五臭化タングステン(WBr5)、六フッ化タングステン(WF6)等の第6族金属元素のハロゲン化物;三硝酸クロム(Cr(NO3)3)等の第6族金属元素の硝酸塩;硫酸クロム(III)(Cr2(SO4)3)、等の第6族金属元素の硫酸塩;等が挙げられる。第6族金属元素の有機化合物としては、例えば、Mo(OR3)5、W(OR3)5、W(OR3)6等の第6族金属元素のアルコキシド化合物;三酢酸クロム(Cr(CH3COO)3)等の第6族金属元素の酢酸塩;等が挙げられる。第6族金属元素の化合物として、これら例示化合物の水和物を用いてもよい。また第6族金属元素の化合物を2種以上用いてもよい。
ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムの無機化合物、ゲルマニウムの有機化合物が挙げられる。ゲルマニウムの無機化合物としては、例えば、四塩化ゲルマニウム(GeCl4)、四臭化ゲルマニウム(GeBr4)、四フッ化ゲルマニウム(GeF4)、四ヨウ化ゲルマニウム(GeI4)等のゲルマニウムのハロゲン化物;硫化ゲルマニウム(GeS)等のゲルマニウムの硫化物;等が挙げられる。ゲルマニウムの有機化合物としては、例えば、Ge(OR3)4等のゲルマニウムのアルコキシド化合物;GeCl(OR3)3、GeCl2(OR3)2、GeCl3(OR3)等のゲルマニウムのハロゲン化アルコキシド化合物;等が挙げられる。ゲルマニウム化合物として、これら例示化合物の水和物を用いてもよい。またゲルマニウム化合物を2種以上用いてもよい。ゲルマニウム化合物としては、中でも、ゲルマニウムのハロゲン化物、ゲルマニウムのアルコキシド化合物が好ましい。
上述の金属元素化合物によるイオン交換処理において、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の使用量は、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物に含まれる金属元素に換算して、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩100重量部に対して、0.01~100重量部が好ましく、0.05~50重量部がより好ましい。第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる二種以上の化合物を使用する場合、その合計使用量が前記範囲となればよい。
上述の金属元素化合物によるイオン交換処理を、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液と接触させることにより行う場合、該溶液の調製において使用される溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、1,2−ジメトキシエタン等の極性溶媒が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。該溶液は、酸性でもよく、塩基性でもよく、中性でもよいが、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む酸性水溶液を用いるのが好ましい。該酸性水溶液としては、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を水と混合して水溶液としたときのpHが酸性である場合は、それをそのまま使用してもよいし、さらに酸を混合して使用してもよい。第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を水と混合して水溶液としたときのpHが酸性でない場合は、酸を混合して得られる酸性水溶液を使用すればよい。
前記酸性水溶液の調製に必要に応じて使用される酸としては、有機酸、無機酸が挙げられ、中でも、無機酸が好ましい。無機酸としては、例えば、塩化水素、硫酸、リン酸、硝酸等が挙げられ、中でも、塩化水素が好ましい。該酸性水溶液のpHは、4以下が好ましい。該酸性水溶液には、メタノール、エタノール、アセトン、1,2−ジメトキシエタン等の極性有機溶媒が含まれてもよい。該酸性水溶液の調製において、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物として、加水分解性のハロゲン化物、アルコキシド化合物、オキシ硝酸塩等の化合物を用いると、化合物が加水分解され酸化物となり、層間の陽イオンが、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種でイオン交換された層状ケイ酸塩を調製することができる。また、2種以上の第4族金属元素の加水分解性のハロゲン化物、アルコキシド化合物またはオキシ硝酸塩等の化合物、2種以上の第5族金属元素の加水分解性のハロゲン化物、アルコキシド化合物またはオキシ硝酸塩等の化合物、もしくは2種以上の第6族金属元素の加水分解性のハロゲン化物、アルコキシド化合物またはオキシ硝酸塩等の化合物であって、これら2種以上の化合物に含まれる第4族金属元素、第5族金属元素又は第6族金属元素がそれぞれの化合物間で同一でない場合には、2種以上の第4族金属元素、2種以上の第5族金属元素又は2種以上の第6族金属元素を構成元素とする複合酸化物も生成し得るため、層間の陽イオンとして、2種以上の第4族金属元素、2種以上の第5族金属元素又は2種以上の第6族金属元素を構成元素とする正に荷電した複合酸化物が導入され得る。また、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる二種以上の化合物を使用する場合、層間の陽イオンとして、第4族金属元素、第5族金属元素、第6族金属元素及びゲルマニウムからなる群より選ばれる二種以上の金属元素を構成元素とする正に荷電した複合酸化物が導入され得る。
また、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液には、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物以外に、下記の元素の化合物が含まれてもよい。また、該溶液と層状ケイ酸塩とを接触させる前及び/又は接触させた後に、下記の元素の化合物を含む溶液との接触を行ってもよい。第4族金属元素、第5族金属元素、第6族金属元素及びゲルマニウム化合物以外の元素(以下、他の元素という言う場合がある)の化合物としては、例えば、アルカリ金属元素の化合物、アルカリ土類金属元素の化合物、第3族金属元素の化合物、第7族金属元素の化合物、第8族金属元素の化合物、第9族金属元素の化合物、第10族金属元素の化合物、第11族金属元素の化合物、第12族金属元素の化合物、第13族金属元素の化合物、スズ化合物、鉛化合物、ケイ素化合物、ヒ素化合物、アンチモン化合物、ビスマス化合物、セレン化合物、テルル化合物等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、第8族金属元素の化合物、第9族金属元素の化合物、第10族金属元素の化合物、第11族金属元素の化合物、第12族金属元素の化合物、第13族金属元素の化合物、ケイ素化合物が好ましい。これら元素の化合物として、アルコキシド化合物等の酸性条件で加水分解される化合物を用い、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、他の元素の化合物とを含む溶液が酸性水溶液である場合、得られる層状ケイ酸塩の層間の陽イオンが、以下のi)、ii)及び/又はiii)でイオン交換された層状ケイ酸塩を調製することができる。
i)第4族金属元素、第5族金属元素、第6族金属元素及びゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素の陽イオンと、他の元素の正に荷電した酸化物との混合物
ii)第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が酸性条件で加水分解される化合物である場合、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種と、他の元素の正に荷電した酸化物との混合物
iii)第4族金属元素、第5族金属元素、第6族金属元素及びゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属元素と、他の元素とを構成元素とする正に荷電した複合酸化物
酸性条件で加水分解される他の元素を含む化合物としては、例えば、ケイ素アルコキシド化合物が挙げられ、ケイ素アルコキシド化合物としては、例えば、オルトケイ酸テトラメチル、オルトケイ酸テトラエチル、オルトケイ酸テトラプロピル、オルトケイ酸テトラブチル等のオルトケイ酸テトラアルキルが挙げられる。ケイ素アルコキシド化合物を使用することにより、正に荷電したケイ素の酸化物を含有する層状ケイ酸塩を調製することができる。
上述の金属元素化合物によるイオン交換処理は、回分式で行ってもよいし、連続式で行ってもよい。回分式で行う方法としては、例えば、撹拌槽中、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液に浸漬し撹拌混合する方法等が挙げられる。連続式で行う方法としては、例えば、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を充填した管状容器に、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液を流通させる方法や、層間に陽イオンを有する層状ケイ酸塩を入れた撹拌槽に、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液を供給しながら、混合物の液相を抜き出す方法等が挙げられる。
上述の金属元素化合物によるイオン交換処理における温度は、通常0~150℃であり、好ましくは10~100℃、さらに好ましくは30~70℃である。該イオン交換処理の時間は通常0.1~240時間であり、好ましくは0.5~120時間である。該イオン交換処理時の圧力は、通常、絶対圧で0.1~1MPa、好ましくは大気圧である。また、第4族金属元素の化合物、第5族金属元素の化合物、第6族金属元素の化合物及びゲルマニウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含む溶液の使用量は、層間に交換可能な陽イオンを有する層状ケイ酸塩に対して、適宜設定される。尚、上述の金属元素化合物によるイオン交換処理は、必要に応じて複数回行ってもよい。また、上記の酸処理、上記のアンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種でのイオン交換処理、並びに上記の第四級アンモニウム化合物でのイオン交換処理からなる群より選ばれる少なくとも一種の処理と組み合わせて行ってもよい。上記の金属元素化合物によるイオン交換処理、上記の酸処理、上記のアンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種でのイオン交換処理、並びに上記の第四級アンモニウム化合物でのイオン交換処理からなる群より選ばれる少なくとも一種の処理を行うことにより、水素イオン、アンモニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン、ゲルマニウムイオン、正に荷電した第4族金属元素の酸化物、正に荷電した第5族金属元素の酸化物、正に荷電した第6族金属元素の酸化物及び正に荷電した酸化ゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する層状ケイ酸塩を調製することができる。
また、層間の陽イオンとして第4族金属元素の陽イオン、第5族金属元素の陽イオン、第6族金属元素の陽イオン及びゲルマニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陽イオンを含有する層状ケイ酸塩に対して、上述した他の元素の化合物を含む溶液との接触処理を施してもよい。かかる接触処理により、他の元素及び他の元素の化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を担持する、あるいは他の元素の陽イオン及び正に荷電した他の元素の酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種を層間に導入することができる。
上記の金属元素化合物によるイオン交換処理、上記の酸処理、上記のアンモニア及びアンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも一種でのイオン交換処理、並びに上記の第四級アンモニウム化合物でのイオン交換処理からなる群より選ばれる少なくとも一種の処理を行った後に得られる層状ケイ酸塩は、必要に応じて洗浄、乾燥等の処理に付される。処理後に得られる層状ケイ酸塩がスラリーの状態である場合、該スラリーを乾燥することにより層状ケイ酸塩を回収してもよいし、濾過やデカンテーション等により分離した後、必要に応じて洗浄し、乾燥することにより、層状ケイ酸塩を回収してもよい。高い触媒活性を示す層状ケイ酸塩が得られる点で、処理後に得られる層状ケイ酸塩には洗浄を施すことが好ましい。前記乾燥は、常圧下、減圧下のいずれでも行うことができ、乾燥温度は、20~250℃が好ましく、乾燥時間は、0.5~100時間が好ましい。前記乾燥は、空気等の酸素含有ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等の不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。
前記乾燥の後、必要に応じて焼成してもよい。該焼成の温度は、150~600℃が好ましく、焼成の時間は0.1~100時間が好ましい。
前記焼成は、空気等の酸素含有ガスの雰囲気下で行ってもよいし、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素等の不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。酸素含有ガスや不活性ガスには、水蒸気が含まれていてもよい。また、該焼成は、酸素含有ガス又は不活性ガスの雰囲気下、多段階で行ってもよい。前記焼成は、流動層式で行ってもよいし、固定床式で行ってもよい。前記焼成に用いられる装置としては、加熱できる装置であれば特に制限はないが、例えば、熱風循環式焼成炉、静置式焼成炉、トンネル炉、ロータリーキルン、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉等を使用することができる。
前記酸化に用いられる層状ケイ酸塩は、必要に応じてバインダーを用いて、成形してから使用してもよいし、担体に担持して使用してもよい。かかる成形処理又は担持処理は、イオン交換処理の前に行ってもよいし、イオン交換処理の後に行ってもよい。成形処理は、例えば、押出、圧縮、打錠、流動、転動、噴霧等の方法により行うことができ、所望の形状、例えば粒状、ペレット状、球状、円柱状、板状、リング状、クローバー状等に成形することができる。
前記酸化においては、溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、有機溶媒、水、有機溶媒と水との混合溶媒が挙げられ、中でも、有機溶媒又は有機溶媒と水との混合溶媒が好ましく、有機溶媒がより好ましい。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、n−ドデカノール等のアルコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、安息香酸エチル等のエステル化合物等が挙げられ、必要に応じてこれらの2種以上を用いることもできる。中でも、アルコール、芳香族炭化水素、ニトリルが好ましい。アルコールの中でも、メタノール、エタノール、t−ブタノールが好ましく、芳香族炭化水素の中でも、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレンが好ましく、ニトリルの中でも、アセトニトリルが好ましい。
溶媒を使用する場合、その量は、アミン化合物(I)1重量部に対して、通常0.1~300重量部、好ましくは0.5~100重量部である。
前記酸化は、回分式で行ってもよく、半回分式で行ってもよく、連続式で行ってもよく、回分式、半回分式及び連続式の組み合わせで行ってもよい。連続式で行う場合、固定床方式、流動床方式、移動床方式、懸濁床方式や、撹拌混合式又はループ式の反応器内に反応原料を供給しながら、反応混合物の液相を抜き出す方式等の各種の方式で実施することができる。
前記酸化における反応温度は、50~200℃が好ましく、より好ましくは70~150℃である。また、反応圧力は、通常、絶対圧で0.1~10MPa、好ましくは0.2~7.0MPaである。前記酸化は、加圧下に行うのが好ましく、この場合、窒素やヘリウム等の不活性ガスを用いて、圧力を調整してもよい。前記酸化を、撹拌混合式の反応器内で、液相条件下、酸素含有ガスを使用して回分式又は連続式で実施する場合には、反応器の気相部に酸素含有ガスを供給してもよいし、液相中に酸素含有ガスを供給してもよいし、反応器の気相部及び液相中に酸素含有ガスを供給してもよい。
前記酸化においては、ラジカル開始剤、フェノール系連鎖移動剤等を共存させてもよく、オキシム化合物(II)の選択率を向上させる観点から、ラジカル開始剤を共存させるのが好ましい。該ラジカル開始剤としては、例えば、国際公開第2005/009613号に開示されているヒドラジルラジカル、ヒドラジン化合物や、特開2005−15381号公報に開示されているアゾ化合物、過酸化物等が挙げられ、必要に応じて2種以上のラジカル開始剤を使用してもよい。ヒドラジルラジカルとしては、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル、2,2−ジ(4−tert−オクチルフェニル)−1−ピクリルヒドラジルが好ましい。ヒドラジン化合物としては、1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジンが好ましい。本発明においては、前記ラジカル開始剤として、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル及び1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジンからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく使用される。前記フェノール系連鎖移動剤としては、例えば、特開2005−15382号公報に開示されている化合物等が挙げられる。
前記酸化により得られたオキシム化合物(II)を含む反応混合物の後処理操作については、適宜選択でき、必要に応じて濾過、洗浄、蒸留、晶析、抽出、再結晶、クロマトグラフィー等の処理を組み合わせてオキシム化合物(II)を精製した後、各種用途に使用できる。前記酸化後に回収された触媒は、必要に応じて洗浄、焼成、イオン交換処理等の処理が施された後、再使用することができる。また、反応混合物中に溶媒や未反応原料が含まれる場合、回収された溶媒や未反応原料は再使用することができる。
得られたオキシム化合物(II)は、例えば、ベックマン転位反応させてアミド化合物(III)を製造するための原料として好適に使用される。
オキシム化合物(II)において、R1及びR2が、R1及びR2が結合する炭素原子と共に置換されていてもよい炭素数3~12の脂環式炭化水素基を形成する場合、該オキシム化合物(II)をベックマン転位反応させて得られたアミド化合物(III)は、R1及びR2が、R1が結合する窒素原子とR2が結合する炭素原子と共に置換されていてもよい炭素数3~12の脂肪族複素環を形成する。
かかるベックマン転位反応としては、液相条件下に行う方法、気相条件下に行う方法が挙げられる。液相条件下のベックマン転位反応は、例えば、発煙硫酸等の強酸の存在下で行う方法等が挙げられ、特公昭48−4791号公報等に記載の方法に準じて行うことができる。気相条件下のベックマン転位反応は、例えば、ゼオライト等の固体触媒の存在下で行う方法等が挙げられ、特開平5−170732号公報等に記載の方法に準じて行うことができる。例えば、アミン化合物(I)としてシクロヘキシルアミンを使用した場合には、前記酸化により得られるシクロヘキサノンオキシムをベックマン転位反応させることにより、ε−カプロラクタムを製造することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、実施例中、反応液中のシクロヘキシルアミン〔式(I)中、R1及びR2は一緒になって、R1及びR2が結合する炭素原子と共にシクロヘキサン環を形成した化合物〕及びシクロヘキサノンオキシム〔式(II)中、R1及びR2は一緒になって、R1及びR2が結合する炭素原子と共にシクロヘキサン環を形成した化合物〕の分析は、ガスクロマトグラフィーにより行い、シクロヘキシルアミンの転化率及びシクロヘキサノンオキシムの選択率を算出した。
参考例1
[触媒の調製]
2Lポリビーカー内に、1,2−ジメトキシエタン(和光純薬工業(株)製)687gと、35重量%塩酸(和光純薬工業(株)製)13.24gを入れ、得られた混合物を撹拌しながら、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)15gを加え、室温で5分間撹拌した後、窒素でポリビーカー内の気相部を置換した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温後、20重量%三塩化チタン溶液(TiCl3の希塩酸溶液、和光純薬工業(株)製)17.97gを1時間かけて滴下し、滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒A(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例1
熱電対、マグネチックスターラー、ガス供給ライン及びガス排出ラインを備えたSUS316製反応器(容量:200mL)に、参考例1で得られた触媒Aを0.30g、シクロヘキシルアミン(和光純薬工業(株)製)を1.52g(15.3mmol)、及びアセトニトリル(和光純薬工業(株)製)を7.07g入れ、反応器内の気相部を窒素ガスで置換した後、密閉し、反応器内の気相部に酸素と窒素との混合ガス(酸素濃度:7体積%)を導入して反応器内の圧力を0.90MPa(ゲージ圧)とした。次いで、撹拌しながら反応器内の温度を80℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は1.05MPa(ゲージ圧)であった。次いで、撹拌を継続しながら80℃で4時間保温した後、冷却した。得られた反応混合物にメタノールを加えて希釈した後、濾過し、得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は0.9%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は84.6%であった。
実施例2
80℃への昇温を90℃に変更し、90℃で4時間保温を行ったこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。90℃に昇温したときの反応器内の圧力は1.10MPa(ゲージ圧)であった。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は2.3%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は80.3%であった。
実施例3
触媒A、シクロヘキシルアミン及びアセトニトリルに加え、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(Aldrich社製)0.14g(0.36mmol)を反応器に入れたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は19.8%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は91.8%であった。
実施例4
2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジルの使用量を0.14gから0.014g(0.036mmol)に変更したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は2.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は86.5%であった。
実施例5
アセトニトリル7.07gに代えて、t−ブタノール(和光純薬工業(株)製、含水量:2000重量ppm)7.03gを使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は9.6%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は94.5%であった。
実施例6
アセトニトリル7.07gに代えて、トルエン(和光純薬工業(株)製)7.05gを使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は14.3%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は88.6%であった。
実施例7
アセトニトリル7.07gに代えて、t−ブタノールと水との混合溶液〔t−ブタノール/水=7/1(重量比)〕7.04gを使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は2.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は87.8%であった。
実施例8
アセトニトリル7.07gに代えて、メタノール(和光純薬工業(株)製、含水量:1000重量ppm)7.14gを使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は7.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は86.9%であった。
実施例9
触媒A0.30gに代えて、モンモリロナイトKSF(Aldrich社製)0.31gを使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は9.5%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は59.3%であった。
実施例10
触媒A0.30gに代えて、活性白土(シグマアルドリッチジャパン社製)0.30gを使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は7.4%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は57.3%であった。
参考例2
[触媒の調製]
20重量%三塩化チタン溶液17.97gに代えて、20重量%三塩化チタン溶液36.18gを使用したこと以外は、参考例1と同様の操作を行い、触媒B(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例11
触媒A0.30gに代えて、参考例2で得られた触媒Bを0.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は1.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は77.0%であった。
参考例3
[触媒の調製]
20重量%三塩化チタン溶液17.97gに代えて、20重量%三塩化チタン溶液72.76gを使用したこと以外は、参考例1と同様の操作を行い、触媒C(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例12
触媒A0.30gに代えて、参考例3で得られた触媒Cを0.60g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は2.7%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は78.0%であった。
参考例4
[触媒の調製]
1Lセパラブルフラスコ内に、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)600gと、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)60gを入れ、室温で5分間撹拌した。次いで、オイルバスを使用して、セパラブルフラスコ内の混合物を撹拌しながら90℃に昇温し、90℃で12時間撹拌を継続した。12時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒D(層間に水素イオンを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例13
触媒A0.30gに代えて、参考例4で得られた触媒Dを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は6.7%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は65.1%であった。
参考例5
[触媒の調製]
2Lポリビーカー内に、1,2−ジメトキシエタン(和光純薬工業(株)製)700gを入れて撹拌しながら、20重量%三塩化チタン溶液(TiCl3の希塩酸溶液、和光純薬工業(株)製)1.71gを加え、室温で5分間撹拌した。得られた混合液に、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)15gを加え、室温で5分間撹拌した後、窒素でポリビーカー内の気相部を置換した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温し、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒E(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例14
触媒A0.30gに代えて、参考例5で得られた触媒Eを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は19.8%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は88.1%であった。
参考例6
[触媒の調製]
2Lポリビーカー内に、1,2−ジメトキシエタン(和光純薬工業(株)製)1400gを入れて撹拌しながら、硝酸ジルコニル二水和物(ZrO(NO3)2・2H2O、和光純薬工業(株)製)4.82gを加え、室温で5分間撹拌した。得られた混合液に、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)30gを加え、室温で5分間撹拌した後、窒素でポリビーカー内の気相部を置換した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温し、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒F(層間に正に荷電したジルコニアを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例15
触媒A0.30gに代えて、参考例6で得られた触媒Fを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は4.8%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は51.8%であった。
参考例7
[触媒の調製]
2Lポリビーカー内に、1,2−ジメトキシエタン(和光純薬工業(株)製)700gと、サポナイト(クニミネ工業(株)製のスメクトンSA)15gを入れ、室温で5分間撹拌した後、窒素でポリビーカー内の気相部を置換した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温後、20重量%三塩化チタン溶液(TiCl3の希塩酸溶液、和光純薬工業(株)製)17.97gを1時間かけて滴下し、滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒G(層間にチタンイオンを含有するサポナイト)を調製した。
実施例16
触媒A0.30gに代えて、参考例7で得られた触媒Gを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は3.7%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は82.0%であった。
参考例8
[触媒の調製]
5Lポリビーカー内に、イオン交換水2801gと、20重量%三塩化チタン溶液(TiCl3の希塩酸溶液、和光純薬工業(株)製)71.97gを入れ、室温で5分間撹拌した。得られた混合液に、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)60gを加え、室温で5分間撹拌した後、窒素でポリビーカー内の気相部を置換した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温し、50℃で12時間撹拌を継続した。12時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒H(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例17
熱電対、マグネチックスターラー、ガス供給ライン及びガス排出ラインを備えたSUS316製反応器(容量:1L)に、参考例8で得られた触媒Hを7.53g、シクロヘキシルアミン(和光純薬工業(株)製)を106g(1.1mol)、及びトルエン(和光純薬工業(株)製)を106g入れ、反応器内の気相部を窒素ガスで置換した後、密閉し、反応器内の気相部に窒素ガスを導入して反応器内の圧力を0.90MPa(ゲージ圧)とした。次いで、撹拌しながら80℃に昇温した。このときの反応器内の圧力は0.90MPa(ゲージ圧)であった。次いで、撹拌を継続しながら、反応器内の混合物の液相中に酸素と窒素との混合ガス(酸素濃度:7体積%)を450mL/minの流量で吹込み、反応器内を流通させることで反応を開始した。反応器内の圧力を0.90MPa(ゲージ圧)に保ちつつ、反応器内の気相部からガス排出ラインを介してガスを排出しながら、5時間反応を継続した後、酸素と窒素との混合ガスの供給を止め、冷却した。得られた反応混合物にメタノールを加えて希釈した後、濾過し、得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は1.9%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は60.1%であった。
実施例18
80℃への昇温を90℃に変更し、90℃で5時間反応を継続したこと以外は、実施例17と同様の操作を行った。90℃に昇温したときの反応器内の圧力は0.90MPa(ゲージ圧)であった。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は2.7%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は61.8%であった。
実施例19
80℃への昇温を100℃に変更し、100℃で5時間反応を継続したこと以外は、実施例17と同様の操作を行った。100℃に昇温したときの反応器内の圧力は0.90MPa(ゲージ圧)であった。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は3.0%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は60.3%であった。
実施例20
80℃への昇温を120℃に変更し、120℃で5時間反応を継続したこと以外は、実施例17と同様の操作を行った。120℃に昇温したときの反応器内の圧力は0.90MPa(ゲージ圧)であった。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は6.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は60.6%であった。
参考例9
[触媒の調製]
1Lポリビーカー内に、イオン交換水716.1gと、四塩化ゲルマニウム(GeCl4、和光純薬工業(株)製)5.06gを入れ、室温で5分間撹拌した。得られた混合液に、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)15gを加え、室温で5分間撹拌した後、窒素でポリビーカー内の気相部を置換した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温し、50℃で12時間撹拌を継続した。12時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒1(層間に正に荷電した酸化ゲルマニウムを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例21
触媒A0.30gに代えて、参考例9で得られた触媒1を0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は9.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は81.0%であった。
参考例10
500mLナスフラスコ内に、イオン交換水を150.2g、及び参考例8で得られた触媒Hを15.1g入れ、室温で10分間撹拌した。得られた混合物に、白金ナノコロイド(日本板硝子(株)製)5.0gを加え、室温で5分間撹拌した。次いで、得られた混合物から、50℃、減圧下に、ロータリーエバポレーターを用いて水を留去することにより固体を分離した。この固体を、空気流通下、450℃で6時間焼成し、触媒Jを調製した。
実施例22
触媒A0.30gに代えて、参考例10で得られた触媒Jを0.31g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は29.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は90.9%であった。
参考例11
500mLナスフラスコ内に、イオン交換水を50.7g、及び参考例1で得られた触媒Aを5.1g入れ、室温で5分間撹拌した。得られた混合物に、塩化ルテニウム水和物((株)フルヤ金属製、Ru含有量40.75重量%)0.12gを加え、室温で5分間撹拌した。次いで、得られた混合物から、50℃、減圧下に、ロータリーエバポレーターを用いて水を留去することにより固体を分離した。この固体を、空気流通下、450℃で6時間焼成し、触媒Kを調製した。
実施例23
触媒A0.30gに代えて、参考例11で得られた触媒Kを0.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は2.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は78.1%であった。
実施例24
触媒A0.30gに代えて、参考例11で得られた触媒Kを0.31g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は40.5%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は94.9%であった。
参考例12
塩化ルテニウム水和物0.12gに代えて、塩化銀(AgCl、和光純薬工業(株)製)0.07gを使用したこと以外は、参考例11と同様の操作を行い、触媒Lを調製した。
実施例25
触媒A0.30gに代えて、参考例12で得られた触媒Lを0.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は1.6%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は82.7%であった。
実施例26
触媒A0.30gに代えて、参考例12で得られた触媒Lを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は43.0%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は94.3%であった。
参考例13
塩化ルテニウム水和物0.12gに代えて、塩化パラジウム(PdCl2、和光純薬工業(株)製)0.07gを使用したこと以外は、参考例11と同様の操作を行い、触媒Mを調製した。
実施例27
触媒A0.30gに代えて、参考例13で得られた触媒Mを0.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は1.8%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は83.9%であった。
実施例28
触媒A0.30gに代えて、参考例13で得られた触媒Mを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は38.3%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は93.7%であった。
参考例14
塩化ルテニウム水和物0.12gに代えて、塩化イリジウム(IrCl4、和光純薬工業(株)製)0.10gを使用したこと以外は、参考例11と同様の操作を行い、触媒Nを調製した。
実施例29
触媒A0.30gに代えて、参考例14で得られた触媒Nを0.31g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は42.5%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は94.7%であった。
参考例15
[触媒の調製]
2Lポリビーカー内に、エタノール(和光純薬工業(株)製)1200gを入れ、撹拌しながら、20重量%三塩化チタン溶液(TiCl3の希塩酸溶液、和光純薬工業(株)製)32.13gを加え、室温で5分間撹拌した。得られた混合液に、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)26.88gを加え、室温で5分間撹拌した後、窒素でポリビーカー内の気相部を置換した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温し、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、得られた乾燥物を空気流通下、450℃で6時間焼成し、触媒Oを調製した。
実施例30
触媒A0.30gに代えて、参考例15で得られた触媒Oを0.31g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は29.3%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は93.9%であった。
参考例16
[触媒の調製]
1Lポリビーカー内に、メタノール(試薬特級、和光純薬工業(株)製)390gとモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)50.2gとを入れ、撹拌しながら、ウォーターバスを使用して50℃に昇温し、20重量%三塩化チタン溶液(TiCl3の希塩酸溶液、和光純薬工業(株)製)59.9gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒P(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例31
触媒A0.30gに代えて、参考例16で得られた触媒Pを0.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は3.4%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は82.3%であった。
実施例32
触媒A0.30gに代えて、参考例16で得られた触媒Pを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は27.4%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は91.5%であった。
参考例17
[触媒の調製]
1Lポリビーカー内に、メタノール(和光純薬工業(株)製)388gとモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)50.1gとを入れ、撹拌しながら、ウォーターバスを使用して50℃に昇温し、30重量%硫酸チタン溶液(Ti(SO4)2の希硫酸溶液、和光純薬工業(株)製)62.1gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒Q(層間にチタンイオンを含有するモンモリロナイト)を調製した。
実施例33
触媒A0.30gに代えて、参考例17で得られた触媒Qを0.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は3.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は69.5%であった。
実施例34
触媒A0.30gに代えて、参考例17で得られた触媒Qを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は26.4%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は91.7%であった。
参考例18
[触媒の調製]
50mLビーカー内に、エタノール(和光純薬工業(株)製)12.1gと、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)6.1gを入れ、得られた混合物を撹拌しながら、オルトケイ酸テトラエチル(和光純薬工業(株)製)25.3gを加え、撹拌しながらウォーターバスを使用して70℃に昇温した後、70℃で1時間撹拌を継続し、a液を調製した。一方、50mLビーカー内に、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)36.2gと、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業(株)製)3.6gを入れ、室温で1時間撹拌し、b液を調製した。
500mLポリビーカー内に、エタノール(和光純薬工業(株)製)187.5gと、モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製のクニピアF、層間の陽イオンとしてナトリウムイオン、カリウムイオン及びカルシウムイオンを含有するモンモリロナイト)30.5gを入れ、室温で5分間撹拌した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温後、a液全量とb液全量との混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒Rを調製した。
実施例35
触媒A0.30gに代えて、参考例18で得られた触媒Rを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は22.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は89.8%であった。
参考例19
[触媒の調製]
50mLビーカー内に、エタノール(和光純薬工業(株)製)12.6gと、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)3.1gを入れ、得られた混合物を撹拌しながら、オルトケイ酸テトラエチル(和光純薬工業(株)製)6.1gを加え、撹拌しながらウォーターバスを使用して70℃に昇温した後、70℃で1時間撹拌を継続し、c液を調製した。一方、50mLビーカー内に、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)18.1gと、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業(株)製)1.9gを入れ、室温で1時間撹拌し、d液を調製した。
300mLポリビーカー内に、エタノール(和光純薬工業(株)製)93.7gと、サポナイト(クニミネ工業(株)製のスメクトンSA)15.1gを入れ、室温で5分間撹拌した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温後、c液全量とd液全量との混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒Sを調製した。
実施例36
触媒A0.30gに代えて、参考例19で得られた触媒Sを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は28.4%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は88.3%であった。
参考例20
[触媒の調製]
1Lポリビーカー内に、メタノール(試薬特級、和光純薬工業(株)製)117gとヘクトライト(コープケミカル(株)製のルーセンタイトSWF)15.8gとを入れ、撹拌しながら、ウォーターバスを使用して50℃に昇温し、20重量%三塩化チタン溶液(TiCl3の希塩酸溶液、和光純薬工業(株)製)18.0gを15分かけて滴下した。滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒T(層間にチタンイオンを含有するヘクトライト)を調製した。
実施例37
触媒A0.30gに代えて、参考例20で得られた触媒Tを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は19.8%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は85.2%であった。
参考例21
[触媒の調製]
50mLビーカー内に、エタノール(和光純薬工業(株)製)6.0gと、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)3.0gを入れ、得られた混合物を撹拌しながら、オルトケイ酸テトラエチル(和光純薬工業(株)製)12.6gを加え、撹拌しながらウォーターバスを使用して70℃に昇温した後、70℃で1時間撹拌を継続し、e液を調製した。一方、50mLビーカー内に、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)18.0gと、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業(株)製)1.8gを入れ、室温で1時間撹拌し、f液を調製した。
500mLポリビーカー内に、エタノール(和光純薬工業(株)製)93.6gと、ヘクトライト(コープケミカル(株)製のルーセンタイトSWF)15.0gを入れ、室温で5分間撹拌した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温後、e液全量とf液全量との混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒Uを調製した。
実施例38
触媒A0.30gに代えて、参考例21で得られた触媒Uを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は20.5%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は88.7%であった。
参考例22
[触媒の調製]
1Lポリビーカー内に、メタノール(試薬特級、和光純薬工業(株)製)156gとスチーブンサイト(クニミネ工業(株)製のスメクトンST)20.0gとを入れ、撹拌しながら、ウォーターバスを使用して50℃に昇温し、20重量%三塩化チタン溶液(TiCl3の希塩酸溶液、和光純薬工業(株)製)24.0gを25分かけて滴下した。滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒V(層間にチタンイオンを含有するスチーブンサイト)を調製した。
実施例39
触媒A0.30gに代えて、参考例22で得られた触媒Vを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は17.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は86.2%であった。
参考例23
[触媒の調製]
100mLビーカー内に、メタノール(和光純薬工業(株)製)15.9gと、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)8.0gを入れ、得られた混合物を撹拌しながら、オルトケイ酸テトラエチル(和光純薬工業(株)製)33.6gを加え、撹拌しながらウォーターバスを使用して70℃に昇温した後、70℃で1時間撹拌を継続し、g液を調製した。一方、100mLビーカー内に、2モル/L塩酸(和光純薬工業(株)製)48.0gと、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業(株)製)4.8gを入れ、室温で1時間撹拌し、h液を調製した。
1Lポリビーカー内に、メタノール(和光純薬工業(株)製)250gと、スチーブンサイト(クニミネ工業(株)製のスメクトンST)40.0gを入れ、室温で5分間撹拌した。次いで、ウォーターバスを使用して、ポリビーカー内の混合物を撹拌しながら50℃に昇温後、g液全量とh液全量との混合溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後、50℃で6時間撹拌を継続した。6時間経過後、室温まで冷却し、撹拌を停止した。得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、水で洗浄濾過し、洗浄濾液のpHが5以上になるまで繰り返し洗浄した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、触媒Wを調製した。
実施例40
触媒A0.30gに代えて、参考例23で得られた触媒Wを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は11.5%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は93.7%であった。
参考例24
1Lナスフラスコ内に、イオン交換水200gと、塩化ルテニウム水和物((株)フルヤ金属製、Ru含有量40.75重量%)0.51gとを入れ、室温で5分間撹拌した。得られた混合物に、参考例16で得られた触媒Pを20.1g加え、室温で1時間撹拌した。次いで、得られた混合物から、50℃、減圧下に、ロータリーエバポレーターを用いて水を留去することにより固体を分離した。この固体を、50mL/minの流量の空気流通下、450℃で6時間焼成し、触媒Xを調製した。
実施例41
触媒A0.30gに代えて、参考例24で得られた触媒Xを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は38.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は93.6%であった。
参考例25
500mLナスフラスコ内に、イオン交換水50.5gと、塩化ニッケル(II)(無水、NiCl2、和光純薬工業(株)製)0.12gとを入れ、室温で5分間撹拌した。得られた混合物に、参考例16で得られた触媒Pを5.0g加え、室温で1時間撹拌した。次いで、得られた混合物から、50℃、減圧下に、ロータリーエバポレーターを用いて水を留去することにより固体を分離した。この固体を、50mL/minの流量の空気流通下、450℃で6時間焼成し、触媒Yを調製した。
実施例42
触媒A0.30gに代えて、参考例25で得られた触媒Yを0.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は0.3%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は61.1%であった。
実施例43
触媒A0.30gに代えて、参考例25で得られた触媒Yを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は34.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は94.6%であった。
参考例26
塩化ニッケル(II)0.12gに代えて、塩化金(III)酸四水和物(HAuCl4・4H2O、関東化学(株)製)0.10gを使用したこと以外は、参考例25と同様の操作を行い、触媒Zを調製した。
実施例44
触媒A0.30gに代えて、参考例26で得られた触媒Zを0.30g使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は2.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は82.7%であった。
実施例45
触媒A0.30gに代えて、参考例26で得られた触媒Zを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は31.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は91.7%であった。
参考例27
200mLナスフラスコ内に、イオン交換水40.0gと、硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO3)3・9H2O、和光純薬工業(株)製)1.14gとを入れ、室温で撹拌し、溶液を得た。得られた溶液に、参考例16で得られた触媒Pを4.0g加えた後、水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.36gとイオン交換水30.0gとの混合溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。次いで、得られた混合物を加圧濾過することにより固体を分離し、この固体を、加圧濾過により、400mLの水で洗浄濾過した。洗浄後、得られた固体を110℃で一晩乾燥し、得られた乾燥物を50mL/minの流量の空気流通下、200℃で6時間焼成し、触媒αを調製した。
実施例46
触媒A0.30gに代えて、参考例27で得られた触媒αを0.30g使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は28.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は93.1%であった。
比較例1
触媒A0.30gに代えて、酸化チタン(TiO2、石原産業(株)社製のST−01)0.30gを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は0.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は5.6%であった。
比較例2
触媒A0.30gに代えて、酸化チタン(TiO2、石原産業(株)社製のST−01)0.30gを使用したこと以外は、実施例3と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は3.1%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は46.3%であった。
比較例3
触媒H7.53gに代えて、酸化チタン(TiO2、石原産業(株)社製のST−01)7.50gを使用したこと以外は、実施例17と同様の操作を行った。得られた濾液を分析したところ、シクロヘキシルアミンの転化率は0.2%であり、シクロヘキサノンオキシムの選択率は10.6%であった。