以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態による半導体装置、表示装置、ならびに半導体装置の製造方法を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態に限られるものではない。
 (実施形態1)
 本発明による半導体装置の実施形態1は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に使用されるTFT基板である。以下では、FFSモードの表示装置に使用されるTFT基板を例に説明する。なお、本実施形態の半導体装置は、TFTと2層の透明導電層とを基板上に有していればよく、他の動作モードの液晶表示装置、液晶表示装置以外の各種表示装置や電子機器などに用いられるTFT基板を広く含むものとする。
 図1は、本実施形態の半導体装置(TFT基板)100の平面構造の一例を模式的に示す図である。半導体装置100は、表示に寄与する表示領域(アクティブ領域)120と、表示領域120の外側に位置する周辺領域(額縁領域)110とを有している。
 表示領域120には、複数のゲート配線Gと複数のソース配線Sとが形成されており、これらの配線で包囲されたそれぞれの領域が「画素」となる。図示するように、複数の画素はマトリクス状に配置されている。各画素には画素電極(図示せず)が形成されている。図示しないが、各画素において、複数のソース配線Sと複数のゲート配線Gとの各交点の付近には、能動素子である薄膜トランジスタ(TFT)が形成されている。各TFTは、コンタクト部により、画素電極と電気的に接続されている。本明細書では、TFTおよびコンタクト部が形成される領域を「トランジスタ形成領域101R」と称する。また、本実施形態では、画素電極の下方には、誘電体層(絶縁層)を介して画素電極と対向する共通電極(図示せず)が設けられている。共通電極には、共通信号(COM信号)が印加される。
 周辺領域110には、ゲート配線Gまたはソース配線Sと外部配線とを電気的に接続するための端子部102が形成されている。また、各ソース配線Sと端子部102との間に、ゲート配線Gと同じ導電膜から形成された接続配線に接続するためのS-G接続部(ソース配線Sからゲート配線Gへのつなぎ換え部)103が形成されていてもよい。その場合、この接続配線は、端子部102において外部配線と接続される。本明細書では、複数の端子部102が形成される領域を「端子部形成領域102R」、S-G接続部103が形成される領域を「S-G接続部形成領域103R」とそれぞれ称する。
 また、図示する例では、周辺領域110に、共通電極にCOM信号を印加するためのCOM信号用配線SCOM、GCOMと、共通電極とCOM信号用配線GCOMとを接続するCOM-G接続部(図示せず)、共通電極とCOM信号用配線SCOMとを接続するCOM-S接続部(図示せず)、とが形成されている。ここでは、COM信号用配線SCOM、GCOMは、表示領域120を包囲するようにリング状に設けられているが、COM信号用配線SCOM、GCOMの平面形状は特に限定されない。
 この例では、ソース配線11に平行に延びるCOM信号用配線SCOMは、ソース配線11と同じ導電膜から形成され、ゲート配線3に平行に延びるCOM信号用配線GCOMは、ゲート配線3と同じ導電膜から形成されている。これらのCOM信号用配線SCOM、GCOMは、例えば周辺領域110において、表示領域120の各角部の近傍で、互いに電気的に接続されている。なお、COM信号用配線を形成するための導電膜は上記に限定されない。COM信号用配線全体がゲート配線3と同じ導電膜、またはソース配線11と同じ導電膜から形成されていてもよい。
 COM信号用配線GCOMと共通電極とを接続するためのCOM-G接続部は、周辺領域110において、隣接するソース配線Sの間に、S-G接続部103と重ならないように配置されていてもよい。本明細書では、COM-G接続部が形成される領域を「COM-G接続部形成領域104R」と称する。
 図示しないが、周辺領域110において、COM信号用配線SCOMと共通電極とを接続するためのCOM-S接続部が配置されていてもよい。
 なお、半導体装置100を適用する表示装置の動作モードによっては、対向電極は共通電極でなくてもよい。その場合には、周辺領域110に、COM信号用配線およびCOM-G接続部が形成されていなくてもよい。また、半導体装置100を縦電界駆動方式の動作モードの表示装置に適用する場合などには、誘電体層を介して画素電極に対向して配置される透明導電層を電極として機能させなくてもよい。
 <トランジスタ形成領域101R>
 本実施形態の半導体装置100は画素毎にTFT101、およびTFT101と画素電極とを接続するコンタクト部105とを有している。本実施形態では、コンタクト部105もトランジスタ形成領域101Rに設けられる。
 図2(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態におけるTFT101およびコンタクト部105の平面図および断面図である。なお、図2(b)に示す断面図では、基板1に対して傾斜した面(テーパー部など)が階段状の線で示されているが、実際には、なめらかな傾斜面である。本願の他の断面図についても同様である。
 トランジスタ形成領域101Rには、TFT101、TFT101を覆う絶縁層14、絶縁層14の上方に配置された第1透明導電層15、および、第1透明導電層15の上に誘電体層(絶縁層)17を介して配置された第2透明導電層19aが形成されている。本明細書では、第1透明導電層15とTFT101との間に形成された絶縁層14を「層間絶縁層」、第1透明導電層15と第2透明導電層19aとの間に形成され、これらの導電層15、19aと容量を形成する絶縁層を「誘電体層」と称する。本実施形態における層間絶縁層14は、TFT101のドレイン電極に接して形成された第1絶縁層12と、その上に形成された第2絶縁層13とを含んでいる。
 TFT101は、ゲート電極3aと、ゲート電極3aの上に形成されたゲート絶縁層5と、ゲート絶縁層5の上に形成された半導体層7aと、半導体層7aに接するように形成されたソース電極11s及びドレイン電極11dとを備えている。基板1の法線方向から見たとき、半導体層7aのうち少なくともチャネル領域となる部分は、ゲート絶縁層5を介してゲート電極3aと重なるように配置されている。
 ゲート電極3aは、ゲート配線3と同じ導電膜を用いて、ゲート配線3と一体的に形成されている。本明細書では、ゲート配線3と同じ導電膜を用いて形成された層をまとめて「ゲート配線層」と称する。従って、ゲート配線層は、ゲート配線3およびゲート電極3aを含む。ゲート配線3は、TFT101のゲートとして機能する部分を含んでおり、この部分が上述したゲート電極3aとなる。また、本明細書では、ゲート電極3aとゲート配線3とが一体的に形成されたパターンを「ゲート配線3」と呼ぶこともある。ゲート配線3を基板1の法線方向から見たとき、ゲート配線3は所定の方向に延びる部分と、その部分から上記所定の方向とは異なる方向に延びる延出部分とを有し、延出部分がゲート電極3aとして機能してもよい。あるいは、基板1の法線方向から見たとき、ゲート配線3は、一定の幅で所定の方向に延びる複数の直線部分を有し、各直線部分の一部がTFT101のチャネル領域と重なって、ゲート電極3aとして機能していてもよい。
 ソース電極11s及びドレイン電極11dは、ソース配線11と同じ導電膜から形成されている。本明細書では、ソース配線11と同じ導電膜を用いて形成された層をまとめて「ソース配線層」と称する。従って、ソース配線層は、ソース配線11、ソース電極11sおよびドレイン電極11dを含む。ソース電極11sはソース配線11と電気的に接続されている。ここでは、ソース電極11sは、ソース配線11と一体的に形成されている。ソース配線11は所定の方向に延びる部分と、その部分から上記所定の方向とは異なる方向に延びる延出部分とを有し、延出部分がソース電極11sとして機能してもよい。
 層間絶縁層14および誘電体層17は、TFT101のドレイン電極11dの表面に達する(ドレイン電極11dを露出する)コンタクトホールCH1を有している。ドレイン電極11dと第2透明導電層19aとは、コンタクトホールCH1内で接し、コンタクト部105を形成している。なお、本明細書では、「コンタクト部105」は、コンタクトホール全体を指すのではなく、TFT101のドレイン電極11dと第2透明導電層19aとが接する部分を意味する。
 なお、図示するように、ゲート絶縁層5は、第1ゲート絶縁層5Aと、その上に形成された第2ゲート絶縁層5Bとの積層構造を有していてもよい。また、半導体層7aのうち少なくともチャネル領域となる領域を覆うように保護層9が形成されていてもよい。ソースおよびドレイン電極11s、11dは、それぞれ、保護層9に設けられた開口部内で半導体層7aと接していてもよい。
 層間絶縁層14のうちTFT101側に位置する第1絶縁層12は、例えば無機絶縁層であり、ドレイン電極11dの一部と接するように形成されている。絶縁層12は、パッシベーション層として機能する。第1絶縁層12の上に形成された第2絶縁層13は、有機絶縁膜であってもよい。なお、図示する例では、層間絶縁層14は2層構造を有するが、第1絶縁層12のみからなる単層構造であってもよいし、3層以上の積層構造を有してもよい。
 第1透明導電層15は、例えば共通電極として機能する。第1透明導電層15は、開口部15pを有している。基板1の法線方向から見たとき、コンタクトホールCH1は、開口部15pの内部に配置されている。第1透明導電層15の開口部15p側の側面は誘電体層17によって覆われており、コンタクトホールCH1の側壁に露出していない。この例では、第1透明導電層15は、各画素において略全体を占めている。第1透明導電層15の外縁は、各画素の外縁(各画素において可視光が透過する領域の外縁)と略整合していてもよい。第1透明導電層15は、画素内において、コンタクト部105を形成するための開口部以外の開口部を有していないことが好ましい。
 第2透明導電層19aは、例えば画素電極として機能する。この例では、第2透明導電層19aは、画素毎に分離されている。また、スリット状の複数の開口部を有している。
 基板1の法線方向から見たとき、第2透明導電層19aの少なくとも一部は、誘電体層17を介して第1透明導電層15と重なるように配置されている。このため、これらの導電層15、19aの重なる部分には容量が形成される。この容量は、表示装置における補助容量としての機能を有することが可能である。第2透明導電層19aは、コンタクトホールCH1内のコンタクト部105で、TFT101のドレイン電極11dと接している。
 基板1の法線方向から見たとき、コンタクト部105の少なくとも一部はゲート配線層(ここではゲート配線3またはゲート電極3a)と重なるように配置されている。
 ここで、図2(a)を用いて、コンタクト部105およびコンタクトホールCH1の形状を説明する。図2(a)には、第1透明導電層15、誘電体層17、および第2絶縁層13の開口部の輪郭の一例を、それぞれ線15p、17p、13pで示している。
 なお、本明細書では、各層に形成された開口部の側面が基板1に垂直ではなく、開口部の大きさが深さに応じて変化する場合(例えばテーパー形状を有する場合)には、開口部が最も小さくなる深さにおける輪郭を「開口部の輪郭」とする。従って、図2(a)において、例えば第2絶縁層13の開口部13pの輪郭は、第2絶縁層13の底面(第2絶縁層13と第1絶縁層12との界面)における輪郭である。
 開口部17p、13pは、何れも、第1透明導電層15の開口部15pの内部に配置されている。このため、コンタクトホールCH1の側壁には、第1透明導電層15は露出されず、コンタクト部105では、第2透明導電層19aとドレイン電極11dとのみが電気的に接続される。開口部17p、13pは、少なくとも一部が重なるように配置されている。これらの開口部17p、13pの重なる部分が、ドレイン電極11dと接する第1絶縁層12の開口部12pに相当する。本実施形態では、誘電体層17の開口部17pの輪郭の少なくとも一部は、第2絶縁層13の開口部13pの輪郭の内部に位置するように、開口部17p、13pが配置される。図示する例では、誘電体層17の開口部17pと第2絶縁層13の開口部13pとは部分的に重なっており、開口部17pの輪郭の左側の辺の一部が開口部13pの輪郭の内部に位置している。
 後述するように、コンタクトホールCH1は、誘電体層17と第1絶縁層12とを同時にエッチングすることによって形成されている。このため、第1絶縁層12の開口部12p側の側面(以下、「開口部の側面」と略する場合がある。)の少なくとも一部は、誘電体層17の開口部17p側の側面と整合する(図2(b)に示すコンタクトホールCH1の左側の側壁)。なお、本明細書において、異なる2以上の層の「側面が整合する」とは、これらの層の側面が垂直方向に面一である場合のみでなく、これらの層の側面が連続してテーパー形状などの傾斜面を構成する場合をも含む。このような構成は、同一のマスクを用いて、これらの層をエッチングすること等によって得られる。
 誘電体層17と第1絶縁層12とのエッチングは、層間絶縁層14を構成する他の絶縁層(ここでは第2絶縁層13)がエッチングされない条件で行ってもよい。例えば第2絶縁層13として有機絶縁膜を用いる場合、第2絶縁層13に開口部13pを形成した後、第2絶縁層13をエッチングマスクとして、誘電体層17および第1絶縁層12のエッチングを行ってもよい。これにより、第1絶縁層12の開口部12p側の側面の一部は、第2絶縁層13の開口部13p側の側面と整合する(図2(b)に示すコンタクトホールCH1の右側の側壁)。なお、後述するが、第2絶縁層13の開口部13pと誘電体層17の開口部17pとの配置関係によっては、第1絶縁層12の開口部12pの側面全体が、誘電体層17の開口部17pの側面と整合する場合や、第2絶縁層13の開口部13pの側面と整合する場合がある。
 このようなコンタクト部105は、例えば次のような方法で形成される。まず、基板1上に、TFT101を形成する。次いで、TFT101を覆うように、TFT101のドレイン電極11dと少なくとも接する第1絶縁層12を形成する。次いで、第1絶縁層12の上に、開口部15pを有する第1透明導電層15を形成する。この後、第1透明導電層15の上および開口部15p内に、誘電体層17を形成する。続いて、開口部15p内において、誘電体層17および第1絶縁層12を同時にエッチングしてコンタクトホールCH1を形成し、ドレイン電極11dの表面を露出させる。次いで、誘電体層17の上およびコンタクトホールCH1内に、ドレイン電極11dの表面と接するように、第2透明導電層19aを形成する。なお、図示する例のように、第1絶縁層12を形成した後、第1透明導電層15を形成する前に、例えば有機絶縁膜を用いて第2絶縁層13を形成してもよい。コンタクト部105のより具体的な製造工程について後述する。
 本実施形態におけるコンタクト部105は上記の構成を有するので、本実施形態によると、次のような利点が得られる。
 (1)コンタクト部105の縮小化
 従来の構成(例えば特許文献2に開示された構成)によると、ドレイン電極と共通電極とを接続するコンタクト部と、共通電極と画素電極とを接続するコンタクト部とを別個に形成する必要があり、コンタクト部に要する面積を小さくできないという問題がある。また、1つのコンタクトホール内で、ドレイン電極を、共通電極を介して画素電極と接続させようとすると、コンタクトホール内に2層の透明導電層が配置されることになり、コンタクトホールに要する面積は大きくなる。
 これに対し、本実施形態によると、コンタクトホールCH1内には第1透明導電層15が露出せず、コンタクトホールCH1内で第2透明導電層19aとドレイン電極11dとを直接接触させることができる。従って、より効率的なレイアウトが可能となり、従来よりもコンタクトホールCH1およびコンタクト部105を縮小化できる。この結果、より高精細なTFT基板を実現できる。
 (2)コンタクト部105の配置による高透過率化
 特許文献1~3に開示された構造では、基板の法線方向から見たとき、ドレイン電極と画素電極とを接続するコンタクト部は、画素内の光を透過する領域内に配置され、ゲート配線とは重なっていない(例えば特許文献1の図12、特許文献2の図1、特許文献3の図5など)。このため、コンタクト部に起因して、画素の開口率(透過率)が低下する。
 これに対し、本実施形態では、基板1の法線方向から見たとき、TFT101のドレイン電極11dと第2透明導電層19aとを接続するコンタクト部105は、ゲート配線層(例えばゲート配線3またはゲート電極3a)と重なるように配置されている。このため、コンタクト部105による開口率の低下を従来よりも抑えることが可能となり、高透過率化を実現できる、また、より高精細なTFT基板を得ることができる。なお、コンタクト部105は、ゲート配線3と重なっていなくてもよい。その場合でも、コンタクト部105の少なくとも一部がゲート配線層を構成する他の部分と重なっていれば、このような効果が得られる。ただし、コンタクト部105は、好ましくはゲート配線3またはゲート電極3aと重なるように配置され、より好ましくはゲート配線3のうち所定の方向に延びる直線部分と重なるように配置される。
 本実施形態では、上記(1)で説明したようにコンタクト部105の面積を小さくできるので、ゲート配線3の幅を増大させることなく、コンタクト部105全体をゲート配線3と重なるように配置させることが可能である。これにより、より効果的に透過率を高めることができ、さらなる高精細化を図ることができる。
 さらに、コンタクト部105を形成しようとする領域において、ドレイン電極11dの幅をゲート配線3の幅よりも十分に小さく設定し、ゲート配線3と重なるようにドレイン電極11d全体を配置することが好ましい。例えば、図2(a)に示す平面図において、ゲート電極3aのエッジとドレイン電極11dのエッジとの距離が2μm以上となるように、それぞれの電極パターンを設定してもよい。これにより、ドレイン電極11dによる透過率の低下を抑制できる。その上、アライメントずれによるCgdの変動を小さく抑えることができるので、液晶表示装置の信頼性を高めることが可能である。
 (3)ドレイン電極11dの表面保護
 上述したように、本実施形態では、第1透明導電層15の開口部15p内に、コンタクト部105が形成される。このため、上述したように、第1絶縁層12でドレイン電極11dの表面を覆った状態で誘電体層17の形成まで行い、第2透明導電層19aを形成する直前に、誘電体層17および第1絶縁層12を同時にエッチングしてドレイン電極11dを露出させることができる。このようなプロセスを用いると、ドレイン電極11dを露出させた状態で複数工程を行う必要がなく、ドレイン電極11dの表面に生じるプロセスダメージを抑制できる。この結果、より低抵抗で、安定したコンタクト部105を形成できる。
 (4)透明補助容量による高透過率化
 本実施形態では、第2透明導電層19aの少なくとも一部が、誘電体層17を介して第1透明導電層15と重なるように配置され、容量を形成している。この容量は補助容量として機能する。誘電体層17の材料および厚さ、容量を形成する部分の面積などを適宜調整することにより、所望の容量を有する補助容量が得られる。このため、画素内に、例えばソース配線と同じ金属膜などを利用して補助容量を別途形成する必要がない。従って、金属膜を用いた補助容量の形成による開口率の低下を抑制できる。
 本実施形態において、TFT101の活性層として用いる半導体層7aは特に限定しないが、例えばIn-Ga-Zn-O系のアモルファス酸化物半導体層(IGZO層)などの酸化物半導体層であることが好ましい。酸化物半導体はアモルファスシリコン半導体よりも高い移動度を有するので、TFT101のサイズを低減できる。これに加えて、本実施形態の半導体装置に酸化物半導体TFTを適用すると、次のような利点がある。
 本実施形態では、コンタクト部105をゲート配線層(ここではゲート配線3)と重なるように配置し、画素の開口率を高めている。このため、従来よりもCgdが大きくなる。通常、Cgdの画素容量に対する比:Cgd/[Cgd+(CLC+CCS)]は、所定の値未満に抑えるように設計されるため、Cgdが大きくなる分だけ、画素容量(CLC+CCS)も増加させる必要が生じる。しかしながら、画素容量を大きくできたとしても、アモルファスシリコンTFTでは、従来のフレーム周波数で書き込みできないという問題が生じる。このように、従来のアモルファスシリコンTFTを用いた半導体装置では、コンタクト部をゲート配線と重なるように配置する構成は、表示装置に要求される他の特性と両立できないので実用的ではなく、そのような構成を採用することはなかった。
 これに対し、本実施形態では、上述した第1および第2透明導電層15、19aと誘電体層17とによって構成される補助容量を利用してCCSを大きくする。なお、導電層15、19aは何れも透明なので、そのような補助容量を形成しても透過率は低下しない。従って、画素容量を増加させることができるので、Cgdの画素容量に対する上記比を十分に小さく抑えることができる。さらに、本実施形態に酸化物半導体TFTを適用すると、画素容量が増加しても、酸化物半導体の移動度は高いので、従来と同等のフレーム周波数で書き込み可能である。従って、書き込み速度を維持し、Cgd/[Cgd+(CLC+CCS)]を十分小さく抑えつつ、コンタクト部105の面積に相当する分だけ開口率を高めることができる。
 本実施形態の半導体装置100をFFSモードの表示装置に適用する場合には、第2透明導電層19aは、画素毎に分離され、画素電極として機能する。各第2透明導電層19a(画素電極)は、複数のスリット状の開口部を有することが好ましい。一方、第1透明導電層15は、少なくとも、画素電極のスリット状の開口部の下に配置されていれば、画素電極の対向電極として機能し、液晶分子に横電界を印加させることができる。好ましくは、第1透明導電層15は、各画素において、ゲート配線3やソース配線11などの金属膜が形成されていない領域(光を透過する領域)の略全体を占めるように形成されている。本実施形態では、第1透明導電層15は、画素の略全体(コンタクト部105を形成するための開口部15p以外)を占めている。これにより、第1透明導電層15のうち第2透明導電層19aと重なる部分の面積を大きくできるので、補助容量の面積を増加させることができる。また、第1透明導電層15が画素の略全体を占めていると、第1透明導電層15よりも下に形成されている電極(または配線)からの電界が第1透明導電層15によってシールドできるという利点が得られる。画素に対する第1透明導電層15の占有面積は、例えば80%以上であることが好ましい。
 なお、本実施形態の半導体装置100は、FFSモード以外の動作モードの表示装置にも適用され得る。例えばVAモードなどの縦電界駆動方式の表示装置に適用し、第2透明導電層19aを画素電極として機能させ、画素内に透明な補助容量を形成するために、画素電極とTFT101との間に、誘電体層17および第1透明導電層15を形成してもよい。
 <COM-G接続部形成領域104R>
 図3(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態におけるCOM-G接続部形成領域104Rの一部を示す平面図および断面図である。
 COM-G接続部形成領域104Rに形成される各COM-G接続部104では、下部導電層3cgと、例えば共通電極である第1透明導電層15と同じ導電膜から形成された下部透明接続層15cgとを、上部透明接続層19cgを介して接続する。下部導電層3cgは、ゲート配線層を構成する、すなわちゲート配線3と同じ導電膜から形成されていてもよい。上部透明接続層19cgは、例えば画素電極である第2透明導電層19aと同じ導電膜から形成されていてもよい。
 具体的な構造を説明する。COM-G接続部104は、下部導電層3cgと上部透明接続層19cgとを接続するためのPix-G接続部と、上部透明接続層19cgと下部透明接続層15cgとを接続するためのCOM-Pix接続部とを有している。
 COM-G接続部104は、基板1上に形成された下部導電層3cgと、下部導電層3cgを覆うように延設されたゲート絶縁層5および保護層9と、ゲート絶縁層5および保護層9に設けられた開口部9u内で下部導電層3cgと接する上部導電層11cgと、上部導電層11cgを覆うように延設された層間絶縁層14および誘電体層17と、層間絶縁層14と誘電体層17との間に、第1透明導電層と同一の透明導電膜から形成された下部透明接続層15cgと、誘電体層17の上に、第2透明導電層19aと同一の透明導電膜から形成された上部透明接続層19cgとを備えている。上部透明接続層19cgは、層間絶縁層14および誘電体層17に形成されたコンタクトホールCH2内で上部導電層11cgと接している(Pix-G接続部)。このPix-G接続部が形成される領域には、下部透明接続層15cgは形成されていない。また、上部透明接続層19cgは、誘電体層17に形成された開口部(コンタクトホール)17v内で下部透明接続層15cgと接している(COM-Pix接続部)。
 このように、COM-G接続部104では、上部導電層11cgと下部透明接続層15cgとが直接接触せず、上部透明接続層19cgを介して接続される。これにより、前述したように、第1絶縁層12および誘電体層17を同時にエッチングするプロセスを利用してTFT101を形成した場合であっても、下部導電層3cgと下部透明接続層15cgとの電気的な接続を確保できる。なお、この構成によると、下部導電層3cgと下部透明接続層15cgとが直接接する構成よりも、COM-Pix接続部の分だけ、COM-G接続部104の要する面積が大きくなる。
 本実施形態では、下部透明接続層15cgは、共通電極である第1透明導電層15と接続されている。例えば下部透明接続層15cgと第1透明導電層15とは一体的に形成されている。下部導電層3cgは、COM信号用配線GCOM(図1)の一部であってもよいし、COM信号用配線GCOMに接続されていてもよい。従って、第1透明導電層15は、COM-G接続部104を介して、COM信号用配線GCOMと電気的に接続される。なお、COM信号用配線GCOMは、端子部102によって外部配線に接続されており、外部から所定のCOM信号が入力される。
 ゲート絶縁層5および保護層9に設けられる開口部9uは、ゲート絶縁層5および保護層9を同時にエッチングすることによって形成されていてもよい。その場合、ゲート絶縁層5および保護層9の開口部9u側の側面は整合する。また、開口部9uの周縁において、下部導電層3cgと上部導電層11cgとの間に、これらの絶縁層5、9が存在することが好ましい。なお、図示する例では、上部導電層11cgは、下部導電層3cgの上面および端面と接するように配置されているが、後述するように、上部導電層11cgは下部導電層3cgの上面でのみ接してもよい。
 コンタクトホールCH2は、前述したコンタクト部105を形成するためのコンタクトホールCH1と同様に、誘電体層17と第1絶縁層12とを一括してエッチングすることによって形成され得る。誘電体層17の開口部17u、第2絶縁層13の開口部13u、および、第1絶縁層12の開口部12uの形状や配置は、前述したコンタクト部105における各層の開口部の形状や配置と同じであってもよい。例えば開口部17uの輪郭の少なくとも一部は、開口部13uの内部に配置される。これにより、コンタクトホールCH2の側壁において、第1絶縁層12の開口部12uの側面の少なくとも一部は、誘電体層17の開口部17uの側面と整合する。
 <S-G接続部形成領域103R>
 図4(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態におけるS-G接続部形成領域103Rの一部を示す平面図および断面図である。
 S-G接続部形成領域103Rに形成される各S-G接続部103は、基板1上に形成された下部導電層3sgと、下部導電層3sgを覆うように延設されたゲート絶縁層5および保護層9と、これらの絶縁層5、9に設けられた開口部9r内で下部導電層3sgと接する上部導電層11sgと、上部導電層11sgを覆うように延設された層間絶縁層12、13および誘電体層17とを備えている。
 本実施形態におけるS-G接続部103は、下部導電層3sgと上部導電層11sgとが直接接触する構造を有する。従って、例えば画素電極に用いられる透明導電膜などの他の導電層を介して下部導電層3sgと上部導電層11sgとを接続させる構造と比べて、サイズが小さく、低抵抗なS-G接続部103を形成できる。
 下部導電層3sgは、例えばゲート配線3と同じ導電膜から形成されている。上部導電層11sgは、例えばソース配線11と同じ導電膜から形成されている。言い換えると、ゲート配線層は下部導電層3sgを含み、ソース配線層は上部導電層11sgを含む。本実施形態では、上部導電層11sgがソース配線11に接続され、かつ、下部導電層3sgが端子部(ソース端子部)102の下部導電層3tと接続されている。これにより、ソース配線11を、S-G接続部103を介して端子部102と接続できる。
 ゲート絶縁層5および保護層9に設けられた開口部9rは、ゲート絶縁層5および保護層9を同時にエッチングすることによって形成されていてもよい。その場合、ゲート絶縁層5および保護層9の開口部9r側の側面は整合する。
 S-G接続部103では、開口部9rの周縁において、下部導電層3sgと上部導電層11sgとの間に絶縁層(ここではゲート絶縁層5および保護層9)が存在することが好ましい。図示する例では、上部導電層11sgは、下部導電層3sgの上面および端面と接するように配置されているが、後述するように、上部導電層11sgは下部導電層3sgの上面でのみ接してもよい。
 本実施形態におけるS-G接続部103によると、メタル同士(下部導電層3sgおよび上部導電層11sg)を直接接触させることができるので、例えば透明導電膜を介してこれらのメタルを接続する場合と比べて、S-G接続部103の抵抗を低く抑えることができる。また、S-G接続部103のサイズを低減できるので、さらなる高精細化に寄与できる。
 <端子部形成領域102R>
 図5(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態における端子部形成領域102Rの一部を示す平面図および断面図である。
 端子部形成領域102Rに形成される各端子部102は、基板1上に形成された下部導電層3tと、下部導電層3tを覆うように延設されたゲート絶縁層5および保護層9と、ゲート絶縁層5および保護層9に設けられた開口部9q内で下部導電層3tと接する上部導電層11tと、上部導電層11tを覆うように延設された第1絶縁層12および誘電体層17と、第1絶縁層12および誘電体層17に設けられた開口部17q内で上部導電層11tと接する外部接続層19tとを備えている。端子部102では、上部導電層11tを介して、外部接続層19tと下部導電層3tとの電気的な接続が確保される。
 図示する例では、下部導電層3tは、例えばゲート配線3と同じ導電膜から形成されている。下部導電層3tは、ゲート配線3と接続されていてもよい(ゲート端子部)。あるいは、S-G接続部を介してソース配線11と接続されていてもよい(ソース端子部)。上部導電層11tは、例えばソース配線11と同じ導電膜から形成されている。外部接続層19tは、第2透明導電層19と同じ導電膜から形成されていてもよい。
 ゲート絶縁層5および保護層9の開口部9qは、ゲート絶縁層5および保護層9を同時にエッチングすることによって形成されていてもよい。その場合、ゲート絶縁層5および保護層9の開口部9q側の側面は整合する。
 第1絶縁層12および誘電体層17の開口部17qは、誘電体層17と第1絶縁層12とを同時にエッチングすることによって形成されていることが好ましい。その場合、誘電体層17および第1絶縁層12の開口部17q側の側面は整合する。
 端子部102では、開口部9qの周縁において、下部導電層3tと上部導電層11tとの間に絶縁層(ここではゲート絶縁層5および保護層9)が存在することが好ましい。同様に、開口部13qの周縁において、上部導電層11tと外部接続層19tとの間に絶縁層(ここでは第1絶縁層12および誘電体層17)が存在することが好ましい。このような構成により、冗長構造を実現できるので、信頼性の高い端子部102を形成できる。
 <液晶表示装置の構成>
 ここで、本実施形態の半導体装置100を用いた液晶表示装置の構成を説明する。図24は、本実施形態の液晶表示装置1000を例示する模式的な断面図である。
 図24に示すように、液晶表示装置1000は、液晶層930を挟んで互いに対向するTFT基板100(実施形態1の半導体装置100に対応)および対向基板900と、TFT基板100および対向基板900のそれぞれの外側に配置された偏光板910および920と、表示用の光をTFT基板100に向けて出射するバックライトユニット940とを備えている。TFT基板100では、第2透明導電層19aは画素毎に離間し、画素電極として機能する。各画素電極にはスリット(図示せず)が設けられている。第1透明導電層15は、少なくとも画素電極のスリットの下方に、誘電体層17を介して存在し、共通電極として機能する。
 図示していないが、TFT基板100の周辺領域には、複数の走査線(ゲートバスライン)を駆動する走査線駆動回路、および複数の信号線(データバスライン)を駆動する信号線駆動回路が配置されている。走査線駆動回路及び信号線駆動回路は、TFT基板100の外部に配置された制御回路に接続されている。制御回路による制御に応じて、走査線駆動回路からTFTのオン-オフを切り替える走査信号が複数の走査線に供給され、信号線駆動回路から表示信号(画素電極である第2透明導電層19aへの印加電圧)が、複数の信号線に供給される。また、図1を参照しながら前述したように、共通電極である第1透明導電層15には、COM信号用配線を介してCOM信号が供給される。
 対向基板900は、カラーフィルタ950を備えている。カラーフィルタ950は、3原色表示の場合、それぞれが画素に対応して配置されたR(赤)フィルタ、G(緑)フィルタ、及びB(青)フィルタを含む。
 液晶表示装置1000では、TFT基板100の共通電極である第1透明導電層15と画素電極である第2透明導電層19aとの間に与えられる電位差に応じて、液晶層930の液晶分子が画素毎に配向し、表示がなされる。
 <半導体装置100の製造方法>
 以下、図面を参照しながら、本実施形態の半導体装置100の製造方法の一例を説明する。
 ここでは、基板1上に、図2~図5を参照しながら前述した構成を有するTFT101、コンタクト部105、端子部102、S-G接続部103およびCOM-G接続部104を同時に形成する方法を例に説明する。なお、本実施形態の製造方法は、以下に説明する例に限定されない。また、TFT101、コンタクト部105、端子部102、S-G接続部103およびCOM-G接続部104のそれぞれの構成も、適宜変更可能である。
 図6は、本実施形態の半導体装置100の製造方法のフローを示す図である。この例では、STEP1~8でそれぞれマスクを使用しており、合計8枚のマスクを用いる。
 図7~図9は、トランジスタ形成領域101Rにおいて、TFT101およびコンタクト部105を形成する工程を示す図であり、各図の(a1)~(a8)は断面図、(b1)~(b8)は平面図である。各図の(a1)~(a8)は、対応する平面図(b1)~(b8)のA-A’線に沿った断面を示している。
 図10~図12は、端子部形成領域102Rにおいて、端子部102を形成する工程を示す図であり、各図の(a1)~(a8)は断面図、(b1)~(b8)は平面図である。各図の(a1)~(a8)は、対応する平面図(b1)~(b8)のB-B’線に沿った断面を示している。
 図13~図15は、S-G接続部形成領域103Rにおいて、S-G接続部103を形成する工程を示す図であり、各図の(a1)~(a8)は断面図、(b1)~(b8)は平面図である。各図の(a1)~(a8)は、対応する平面図(b1)~(b8)のC-C’線に沿った断面を示している。
 図16~図18は、COM-G接続部形成領域104Rにおいて、COM-G接続部104を形成する工程を示す図であり、各図の(a1)~(a8)は断面図、(b1)~(b8)は平面図である。各図の(a1)~(a8)は、対応する平面図(b1)~(b8)のD-D’線に沿った断面を示している。
 なお、図7~図18の(a1)および(b1)は図6に示すSTEP1に対応している。同様にして、図7~図18の(a2)~(a8)および(b2)~(b8)は、それぞれ、STEP2~8に対応している。
 STEP1:ゲート配線形成工程(図7、図10、図13および図16の(a1)、(b1))
 まず、基板1上に、図示しないゲート配線用金属膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成する。ゲート配線用金属膜は、基板1の上にスパッタ法などによって形成される。
 次いで、ゲート配線用金属膜をパターニングすることにより、ゲート配線3を含むゲート配線層を形成する。このとき、図7(a1)、(b1)に示すように、トランジスタ形成領域101Rには、ゲート配線用金属膜のパターニングにより、TFT101のゲート電極3aをゲート配線3と一体的に形成する。この例では、ゲート配線3の一部がゲート電極3aとなる。同様に、端子部形成領域102Rには端子部102の下部導電層3t(図10(a1)、(b1))、S-G接続部形成領域103RにはS-G接続部103の下部導電層3sg(図13(a1)、(b1))、COM-G接続部形成領域104RにはCOM-G接続部104の下部導電層3cgを形成する(図16(a1)、(b1))。
 基板1としては、例えばガラス基板、シリコン基板、耐熱性を有するプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。
 ゲート配線用金属膜の材料は特に限定しない。アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。ここでは、Cu(銅)/Ti(チタン)からなる積層膜を用いる。上層であるCu層の厚さは例えば300nm、下層であるTi層の厚さは例えば30nmである。パターニングは、公知のフォトリソグラフィ法によって、レジストマスク(図示せず)を形成した後、レジストマスクで覆われていない部分のゲート配線用金属膜を除去することによって行われる。パターニングの後、レジストマスクは除去される。
 STEP2:ゲート絶縁層・半導体層形成工程(図7、図10、図13、図16の(a2)、(b2))
 次に、図7、図10、図13および図16の(a2)、(b2)に示すように、基板1上に、ゲート電極3a、下部導電層3t、3sg、3cgを覆うように、ゲート絶縁層5を形成する。この後、ゲート絶縁層5の上に半導体膜を形成し、これをパターニングすることにより、半導体層7aを形成する。半導体層7aは、トランジスタ形成領域101Rにおいて、少なくとも一部がゲート電極3a(ここではゲート電極3aはゲート配線3の一部である)と重なるように配置される。基板1の法線方向から見たとき、半導体層7aは、その全体が、ゲート絶縁層5を介してゲート配線層、好ましくはゲート配線3と重なるように配置されてもよい。図示するように、端子部、S-G接続部およびCOM-G接続部形成領域102R、103R、104Rでは、半導体膜は除去されてもよい。
 ゲート絶縁層5としては、酸化珪素(SiOx)層、窒化珪素(SiNx)層、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)層等を適宜用いることができる。ゲート絶縁層5は単層であってもよいし、積層構造を有していてもよい。例えば、基板側(下層)に、基板1からの不純物等の拡散防止のために窒化珪素層、窒化酸化珪素層等を形成し、その上の層(上層)に、絶縁性を確保するために酸化珪素層、酸化窒化珪素層等を形成してもよい。ここでは、第1ゲート絶縁層5Aを下層、第2ゲート絶縁層5Bを上層とする2層構造のゲート絶縁層5を形成する。第1ゲート絶縁層5Aは、例えば厚さが300nmのSiNx膜であり、第2ゲート絶縁層5Bは、例えば厚さが50nmのSiO2膜であってもよい。これらの絶縁層5A、5Bは、例えばCVD法を用いて形成される。
 なお、半導体層7aとして酸化物半導体層を用いる場合、積層膜を用いてゲート絶縁層5を形成するときには、ゲート絶縁層5の最上層(すなわち半導体層に接する層)は、酸素を含む層(例えばSiO2などの酸化物層)であることが好ましい。これにより、酸化物半導体層に酸素欠損が生じた場合に、酸化物層に含まれる酸素によって酸素欠損を回復することが可能となるので、酸化物半導体層の酸素欠損を効果的に低減できる。
 半導体層7aは特に限定せず、アモルファスシリコン半導体層やポリシリコン半導体層であってもよい。本実施形態では、半導体層7aとして酸化物半導体層を形成する。例えばスパッタ法を用いて、厚さが30nm以上200nm以下の酸化物半導体膜(図示せず)をゲート絶縁層5上に形成する。酸化物半導体膜は、例えばIn、GaおよびZnを1:1:1の割合で含むIn-Ga-Zn-O系のアモルファス酸化物半導体膜(IGZO膜)である。ここでは、酸化物半導体膜として、厚さが例えば50nmのIGZO膜を形成する。この後、フォトリソグラフィにより、酸化物半導体膜のパターニングを行い、半導体層7aを得る。半導体層7aは、ゲート絶縁層5を介してゲート電極3aと重なるように配置される。
 なお、IGZO膜におけるIn、GaおよびZnの割合は上記に限定されず適宜選択され得る。IGZOは、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質IGZO膜としては、c軸が膜面に概ね垂直に配向した結晶質IGZO膜が好ましい。このようなIGZO膜の結晶構造は、例えば、特開2012-134475号公報に開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。また、IGZO膜の代わりに、他の酸化物半導体膜を用いて半導体層7aを形成してもよい。他の酸化物半導体膜は、InGaO3(ZnO)5、酸化マグネシウム亜鉛(MgxZn1-xO)又は酸化カドミウム亜鉛(CdxZn1-xO)、酸化カドミウム(CdO)などであってもよい。
 STEP3:保護層およびゲート絶縁層のエッチング工程(図7、図10、図13、図16の(a3)、(b3))
 次に、図7、図10、図13および図16の(a3)、(b3)に示すように、半導体層7aおよびゲート絶縁層5の上に、保護層(厚さ:例えば30nm以上200nm以下)9を形成する。続いて、レジストマスク(図示せず)を用いて、保護層9およびゲート絶縁層5のエッチングを行う。このとき、保護層9およびゲート絶縁層5がエッチングされ、かつ、半導体層7aがエッチングされないように、各層の材料に応じて、エッチング条件が選択される。ここでいうエッチング条件とは、ドライエッチングを用いる場合、エッチングガスの種類、基板1の温度、チャンバー内の真空度などを含む。また、ウェットエッチングを用いる場合、エッチング液の種類やエッチング時間などを含む。
 これにより、図7(a3)および(b3)に示すように、トランジスタ形成領域101Rにおいては、保護層9に、半導体層7aのうちチャネル領域となる領域の両側をそれぞれ露出する開口部9pが形成される。このエッチングでは、半導体層7aはエッチストッパとして機能する。なお、保護層9は少なくともチャネル領域となる領域を覆うようにパターニングされればよい。保護層9のうちチャネル領域上に位置する部分はチャネル保護膜として機能する。例えば、後のソース・ドレイン分離工程において、半導体層7aに生じるエッチングダメージを低減できるので、TFT特性の劣化を抑制できる。
 一方、図10(a3)および(b3)に示すように、端子部形成領域102Rにおいては、保護層9およびゲート絶縁層5が一括してエッチングされる結果(GI/ES同時エッチング)、保護層9およびゲート絶縁層5に、下部導電層3tを露出する開口部9qが形成される。同様にして、図13および図16の(a3)、(b3)に示すように、S-G接続部およびCOM-G接続部形成領域103R、104Rにおいても、保護層9およびゲート絶縁層5に、下部導電層3sg、3cgの表面をそれぞれ露出する開口部9r、9uが形成される。図示する例では、開口部9r、9uは、下部導電層3sg、3cgの上面と、端部の側面の一部とを露出するように形成される。
 保護層9は、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜またはそれらの積層膜であってもよい。ここでは、CVD法により、保護層9として、厚さが例えば100nmの酸化シリコン膜(SiO2膜)を形成する。
 なお、半導体層7aの種類などによっては保護層9を形成しなくてもよい。ただし、特に半導体層7aが酸化物半導体層であれば、保護層9を形成することが好ましい。これにより、酸化物半導体層に生じるプロセスダメージを低減できる。保護層9として、SiOx膜(SiO2膜を含む)などの酸化物膜を用いることが好ましい。酸化物半導体層に酸素欠損が生じた場合に、酸化物膜に含まれる酸素によって酸素欠損を回復することが可能となるので、酸化物半導体層の酸素欠損をより効果的に低減できる。ここでは、保護層9として、厚さが例えば100nmのSiO2膜を用いる。
 STEP4:ソース・ドレイン形成工程(図8、図11、図14、図17の(a4)、(b4))
 次に、図8、図11、図14および図17の(a4)、(b4)に示すように、保護層9の上、および開口部9p、9q、9r、9u内に、ソース配線用金属膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)11を形成する。ソース配線用金属膜は、例えばスパッタ法などによって形成される。
 続いて、ソース配線用金属膜をパターニングすることにより、ソース配線(図示せず)を形成する。このとき、図8(a4)、(b4)に示すように、トランジスタ形成領域101Rには、ソース配線用金属膜からソース電極11sおよびドレイン電極11dを形成する。ソース電極11sおよびドレイン電極11dは、それぞれ、開口部9p内で半導体層7aに接続される。このようにして、TFT101を得る。
 また、端子部形成領域102Rには、ソース配線用金属膜から、開口部9q内で下部導電層3tと接する上部導電層11tを形成する(図11(a4)、(b4))。同様に、S-G接続部形成領域103Rには、開口部9r内で下部導電層3sgと接する上部導電層11sgを形成する(図14(a4)、(b4))。COM-G接続部形成領域104Rには、開口部9u内で下部導電層3cgと接する上部導電層11cgを形成する(図17(a4)、(b4))。
 ソース配線用金属膜の材料は特に限定せず、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、クロム(Cr)、チタン(Ti)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。ここでは、例えば、厚さが30nmのTi層を下層とし、厚さが300nmのCu層を上層とする積層膜を用いる。
 STEP5:層間絶縁層形成工程(図8、図11、図14、図17の(a5)、(b5))
 次に、図8、図11、図14および図17の(a5)、(b5)に示すように、TFT101および上部導電層11t、11sg、11cgを覆うように第1絶縁層12および第2絶縁層13をこの順で形成する。本実施形態では、第1絶縁層12として、例えばCVD法により、無機絶縁層(パッシベーション膜)を形成する。次いで、第1絶縁層12の上に、第2絶縁層13として、例えば有機絶縁層を形成する。この後、第2絶縁層13のパターニングを行う。
 これにより、図8(a5)、(b5)に示すように、トランジスタ形成領域101Rには、第2絶縁層13のうちドレイン電極11dの上方に位置する部分に、第1絶縁層12を露出する開口部13pを形成する。また、端子部形成領域102Rにおいては、第2絶縁層13を除去する。その結果、上部導電層11tは第1絶縁層12のみによって覆われる(図11(a5)、(b5))。S-G接続部形成領域103Rでは、上部導電層11sgは、第1および第2絶縁層12、13の両方で覆われる(図14(a5)、(b5))。COM-G接続部形成領域104Rには、第2絶縁層13のうち上部導電層11cgの上方に位置する部分に、第1絶縁層12を露出する開口部13uを形成する(図17(a5)、(b5))。
 第1絶縁層12としては、酸化珪素(SiOx)膜、窒化珪素(SiNx)膜、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)膜、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)膜等を適宜用いることができる。なお、さらに他の膜質を有する絶縁性材料を用いてもよい。第2絶縁層13は有機材料からなる層であることが好ましく、例えばポジ型の感光性樹脂膜であってもよい。本実施形態では、第1絶縁層12として、厚さが例えば200nmのSiO2膜、第2絶縁層13として、厚さが例えば2000nmのポジ型の感光性樹脂膜を用いる。
 なお、これらの絶縁層12、13の材料は上記材料に限定されない。第1絶縁層12をエッチングすることなく、第2絶縁層13をエッチングできるように、各絶縁層12、13の材料及びエッチング条件を選択すればよい。従って、第2絶縁層13は例えば無機絶縁層であっても構わない。
 STEP6:第1透明導電層形成工程(図8、図11、図14および図17の(a6)、(b6))
 次に、絶縁層13上および開口部13p、13u内に、例えばスパッタ法により透明導電膜(図示せず)を形成し、これをパターニングする。パターニングには、公知のフォトリソグラフィを用いることができる。
 図8(a6)、(b6)に示すように、トランジスタ形成領域101Rにおいて、透明導電膜のパターニングにより、透明導電膜のうち開口部13p内および開口部13pの周縁に位置する部分は除去される。なお、図8(a6)では、除去される部分をパターンを付して表している。他の図面でも、同様に除去される部分をパターンを付して表す場合がある。このようにして、開口部15pを有する第1透明導電層15が形成される。第1透明導電層15の開口部15p側の端部は、絶縁層13の上面上に位置する。言い換えると、基板1の法線方向から見たとき、絶縁層13の開口部13pは、第1透明導電層15の開口部15pの内部に配置される。
 なお、図8(b6)からは分かりにくいが、本実施形態では、第1透明導電層15は、画素内の開口部15p以外の部分の略全体を占めるように形成されている。
 また、端子部形成領域102RおよびS-G接続部形成領域103Rでは、透明導電膜を除去する(図11および図14の(a6)、(b6))。
 COM-G接続部形成領域104Rにおいては、図17(a6)、(b6)に示すように、透明導電膜から下部透明接続層15cgが形成される。透明導電膜のうち、開口部13u内および開口部13uの周縁に位置する部分は少なくとも除去され、下部透明接続層15cgの端部は、第2絶縁層13の上面上に位置する。言い換えると、基板1の法線方向から見たとき、第2絶縁層13の開口部13uは、下部透明接続層15cgが形成されていない領域内に配置される。下部透明接続層15cgは、共通電極である第1透明導電層15と一体的に形成されたものであってもよい。
 第1透明導電層15および下部透明接続層15cgを形成するための透明導電膜としては、例えばITO(インジウム・錫酸化物)膜(厚さ:50nm以上200nm以下)、IZO膜やZnO膜(酸化亜鉛膜)などを用いることができる。ここでは、透明導電膜として、厚さが例えば100nmのITO膜を用いる。
 STEP7:誘電体層形成工程(図9、図12、図15、図18の(a7)、(b7))
 次に、基板1の表面全体を覆うように、例えばCVD法により、誘電体層17を形成する。次いで、誘電体層17の上にレジストマスク(図示せず)を形成し、誘電体層17および第1絶縁層12のエッチングを行う。このとき、誘電体層17および第1絶縁層12がエッチングされ、かつ、第2絶縁層13がエッチングされないように、各絶縁層の材料に応じて、エッチング条件を選択する。
 これにより、図9(a7)、(b7)に示すように、トランジスタ形成領域101Rには、第1透明導電層15上および開口部13p内に誘電体層17が形成される。誘電体層17は、第1透明導電層15の開口部15p側の端部(側面)を覆うように形成される。次いで、誘電体層17のうちドレイン電極11d上に位置する部分と、第1絶縁層12のうちドレイン電極11d上に位置し、第2絶縁層13によって覆われていない部分とを同時にエッチングする。この工程では、2層のパッシベーション膜(絶縁層12、17)が一括してエッチングされることから、本エッチング工程を「PAS1/PAS2同時エッチング」と称することもある。PAS1/PAS2同時エッチングの結果、誘電体層17、第1および第2絶縁層12、13に、ドレイン電極11dの表面を露出するコンタクトホールCH1が形成される。コンタクトホールCH1の側壁において、第1絶縁層12の側面は、誘電体層17および第2絶縁層13のうち、より内側に位置する方の側面と整合する。
 この例では、基板1の法線方向から見たとき、誘電体層17の開口部17pは、第1透明導電層15の開口部15pの内部に位置し、かつ、開口部13pと部分的に重なるように配置されている。これらの開口部13p、15pの重なった部分で、ドレイン電極11dが露出する。第1絶縁層12の側面の一部は誘電体層17と整合し、他の部分は第2絶縁層13と整合している。
 また、図12(a7)および(b7)に示すように、端子部形成領域102Rでは、誘電体層17および第1絶縁層12が同時にエッチングされ(PAS1/PAS2同時エッチング)、上部導電層11tの表面を露出する開口部17q(コンタクトホール)が形成される。開口部17qの側壁において、第1絶縁層12の側面と誘電体層17の側面とは整合している。
 図15(a7)および(b7)に示すように、S-G接続部形成領域103Rでは、絶縁層13の上に誘電体層17が形成される。
 図18(a7)および(b7)に示すように、COM-G接続部形成領域104Rでは、まず、第2絶縁層13および下部透明接続層15cgの上、および、開口部13u内に誘電体層17が形成される。この後、誘電体層17のうち下部透明接続層15cg上に位置する部分と、上部導電層11cg上に位置する部分とをエッチングにより除去する。このとき、第1絶縁層12のうち上部導電層11cgの上に位置し、絶縁層13によって覆われていない部分も同時にエッチングされる(PAS1/PAS2同時エッチング)。これにより、誘電体層17に形成され、下部透明接続層15cgの表面を露出する開口部17v(コンタクトホール)と、誘電体層17および絶縁層12、13に形成され、上部導電層11cgの表面を露出するコンタクトホールCH2とを得る。コンタクトホールCH2でも、コンタクト部105を形成するためのコンタクトホールCH1と同様に、コンタクトホールCH2の側壁において、第1絶縁層12の側面は、誘電体層17および第2絶縁層13のうち、より内側に位置する方と整合する。
 この例では、基板1の法線方向から見たとき、誘電体層17の開口部17uは、第2絶縁層13の開口部13uと部分的に重なるように配置されている。これらの開口部13u、17uの重なった部分で、上部導電層11cgが露出する。コンタクトホールCH2の側壁において、第1絶縁層12の側面の一部は誘電体層17と整合し、他の部分は絶縁層13と整合している。
 誘電体層17としては、特に限定されず、例えば酸化珪素(SiOx)膜、窒化珪素(SiNx)膜、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)膜、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)膜等を適宜用いることができる。本実施形態では、誘電体層17は、補助容量を構成する容量絶縁膜としても利用されるため、所定の容量CCSが得られるように、誘電体層17の材料や厚さを適宜選択することが好ましい。誘電体層17の材料としては、誘電率と絶縁性の観点からSiNxが好適に用いられ得る。誘電体層17の厚さは、例えば150nm以上400nm以下である。150nm以上であれば、より確実に絶縁性を確保できる。一方、400nm以下であれば、より確実に所望の容量が得られる。本実施形態では、誘電体層17として、例えば厚さが300nmのSiNx膜を用いる。
 STEP8:第2透明導電層形成工程(図9、図12、図15、図18の(a8)、(b8))
 続いて、誘電体層17の上、コンタクトホールCH1、CH2内、および開口部17q、17v内に、例えばスパッタ法により透明導電膜(図示せず)を形成し、これをパターニングする。パターニングには、公知のフォトリソグラフィを用いることができる。
 これにより、図9(a8)、(b8)に示すように、トランジスタ形成領域101Rには、第2透明導電層19aが形成される。第2透明導電層19aは、コンタクトホールCH1内でドレイン電極11dと接する。また、第2透明導電層19aの少なくとも一部は、誘電体層17を介して第1透明導電層15と重なるように配置される。なお、本実施形態では、第2透明導電層19aは、FFSモードの表示装置において画素電極として機能する。この場合、図9(b8)に示すように、各画素において、第2透明導電層19aのうちゲート配線3と重なっていない部分に、複数のスリットが形成されてもよい。
 図12(a8)および(b8)に示すように、端子部形成領域102Rでは、透明導電膜から、端子部102の外部接続層19tが形成される。外部接続層19tは、開口部17q内において、上部導電層11tと接続されている。
 図18(a8)および(b8)に示すように、COM-G接続部形成領域104Rでは、透明導電膜から上部透明接続層19cgが形成される。上部透明接続層19cgは、コンタクトホールCH2および開口部17vの両方を覆うパターンを有している。従って、コンタクトホールCH2内で上部導電層11cgと接し、開口部17v内で下部透明接続層15cgと接する。これにより、下部透明接続層15cgを、上部透明接続層19cgおよび上部導電層11cgを介して、下部導電層3cgと接続させることができる。
 第2透明導電層19aおよび上部透明接続層19cgを形成するための透明導電膜としては、例えばITO(インジウム・錫酸化物)膜(厚さ:50nm以上150nm以下)、IZO膜やZnO膜(酸化亜鉛膜)などを用いることができる。ここでは、透明導電膜として、厚さが例えば100nmのITO膜を用いる。
 <半導体装置100の変形例>
 ・コンタクト部105のバリエーション
 半導体装置100におけるコンタクト部105、端子部102、S-G接続部103およびCOM-G接続部104の構成は、上述した構成に限定されず、適宜変形され得る。以下、各部の変形例を説明する。なお、以下に示す変形例は、何れも、図6に示すフローに沿って製造され得る。
 図19および図20は、それぞれ、コンタクト部105(2)および105(3)を示す図であり、各図の(a)は断面図、(b)は平面図である。
 これらの変形例のコンタクト部105(2)、105(3)は、何れも、図2に示す例と同様に、画素電極である第2透明導電層19aを形成する直前に、誘電体層17および絶縁層12を一括してエッチングする工程によって形成され得る。従って、ドレイン電極11dの表面に生じるプロセスダメージを抑制できる。
 図19に示すコンタクト部105(2)では、図19(b)の平面図から分かるように、基板1の法線方向から見たとき、誘電体層17の開口部17pの内部に、絶縁層13の開口部13pが配置されるように、各開口部13p、17pを形成している。このため、図19(a)に示すように、コンタクトホールCH1(2)の側壁は、絶縁層12、13および誘電体層17によって構成される。コンタクトホールCH1(2)の側壁において、第1絶縁層12の側面は第2絶縁層13の側面と整合する。
 このような構成では、チャネル近傍に形成される第2絶縁層13の開口部13pのサイズを小さくできる。このため、開口部13pから水分等が侵入し、TFT101の特性が変化することを抑制できる。ただし、第2絶縁層13のうち、誘電体層17の開口部17pによって露出する部分が、コンタクトホールCH1(2)の形成時にエッチングダメージを受けやすく、表面あれなどを生じるおそれがある。また、誘電体層17のパターンエッジ(開口部17pの端部)は、下地である第2絶縁層13のエッチングダメージにより、高い精度でテーパー形状を制御しにくい。これは、接続抵抗値を高める要因になるおそれがある。
 図20に示すコンタクト部105(3)では、図20(b)の平面図から分かるように、基板1の法線方向から見たとき、第2絶縁層13の開口部13pの輪郭の内部に、誘電体層17の開口部17p全体が配置されるように、各開口部13p、17pを形成している。このため、図20(a)に示すように、コンタクトホールCH1(3)の側壁は、第1絶縁層12および誘電体層17によって構成される。第2絶縁層13はコンタクトホールCH1(3)の側壁に露出しない。また、コンタクトホールCH1(3)の側壁において、第1絶縁層12の側面は誘電体層17の側面と整合する。
 このような構成では、誘電体層17および第1絶縁層12を一括してエッチングする工程(PAS1/PAS2同時エッチング)により、コンタクトホールCH1(3)のテーパー形状を安定的に形成できる。従って、接続抵抗値をより確実に低く抑えることができる。一方、チャネル近傍に形成される第2絶縁層13の開口部13pのサイズが大きくなるので、開口部13pから水分等が侵入し、TFT101の特性が変化するおそれがある。
 なお、図2(a)および(b)を参照しながら前述した構成では、基板1の法線方向から見たとき、誘電体層17の開口部17pの輪郭と、絶縁層13の開口部13pの輪郭とが2点で交差するように、各開口部13p、17pを形成している。
 このような構成では、上述した変形例のコンタクト部105(2)、(3)の両方のメリットが得られる。すなわち、チャネル近傍に形成される第2絶縁層13の開口部13pのサイズを比較的小さくできるので、水分などの侵入が抑制される。また、誘電体層17および第1絶縁層12を一括してエッチングすることにより、コンタクトホールCH1のテーパー形状を安定的に形成できるので、接続抵抗を小さく抑えることが可能である。さらに、コンタクト部105(2)、105(3)に比べて、コンタクト部105の占有サイズを小さくできる。ただし、第2絶縁層13と誘電体層17とのパターンずれにより、コンタクトホールCH1によって露出されるドレイン電極11dの面積が小さくなり、抵抗値が悪化するおそれもある。
 このように、図2、図19および図20に示すコンタクト部105、105(2)、105(3)の構成は、それぞれ、メリットを有する。半導体装置100の用途やサイズに応じて、どのような構成にするかを適宜選択され得る。
 ・COM-G接続部104のバリエーションおよびCOM-S接続部
 図21(a)は、COM-G接続部104のバリエーションを例示する平面図である。また、図21(b)は、COM-S接続部を例示する平面図である。また、図21(c)に示すCOM-G接続部104(2)は、図3に示すCOM-G接続部104と同じである。
 図21(a)および(c)に示すCOM-G接続部104(1)および104(2)は、何れも、下部透明接続層15cgと、ゲート配線3と同じ導電膜から形成されたCOM信号用配線GCOM(図1)とを接続するように構成されている。一方、図21(b)に示すCOM-S接続部104’は、下部透明接続層15cgと、ソース配線11と同じ導電膜から形成されたCOM信号用配線SCOM(図1)とを接続するように構成されている。言い換えると、ゲート配線層はCOM信号用配線GCOMを含み、ソース配線層はCOM信号用配線SCOMを含む。
 これらのCOM-G接続部104(1)、104(2)、およびCOM-S接続部104’は、何れも、上部透明接続層19cgを利用して、ゲート配線用金属膜から形成された下部導電層3cgあるいはソース配線用金属膜から形成された上部導電層11cgと、下部透明接続層15cgとを電気的に接続する構造を有している。また、上部透明接続層19cgを形成する直前に、誘電体層17および絶縁層12を一括してエッチングする工程によって形成され得る。
 図21(a)に示すCOM-G接続部104(1)は、周辺領域において、例えば、基板の法線方向から見たとき、隣接するソース配線11の間に配置される。この例では、COM-G接続部104(1)は、表示領域120と端子部(ソース端子部)102との間に形成されている。
 COM-G接続部104(1)は、基板1の法線方向から見たとき、下部導電層3cgと上部導電層11cgとを接続するための接続部(G-S接続部)と、上部導電層11cgと上部透明接続層19cgとを接続する接続部(S-Pix接続部)と、上部透明接続層19cgと下部透明接続層15cgとを接続する接続部(Pix-COM接続部)との3つの部分に分かれたレイアウトを有している。下部導電層3cgは、例えば図1に示すCOM信号用配線GCOMであり得る。G-S接続部では、下部導電層3cgと上部導電層11cgとは、ゲート絶縁層5および保護層9に形成された開口部9u内で接続されている。S-Pix接続部では、上部導電層11cgと上部透明接続層19cgとは、絶縁層12、13の開口部13uおよび誘電体層17の開口部17u内で接続されている。この例では、第2絶縁層13の開口部13uは、誘電体層17の開口部17uの内部に配置されている。従って、図19を参照しながら前述したように、コンタクトホールの側壁は絶縁層12、13および誘電体層17によって構成され、コンタクトホールの側壁において、第1絶縁層12の側面は第2絶縁層13の側面と整合している。Pix-COM接続部では、上部透明接続層19cgと下部透明接続層15cgとは、誘電体層17の開口部17v内で接続されている。
 このような構成によると、誘電体層17を形成する際のフォトレジストが、ゲート絶縁層5および保護層9に設けられた開口部9uの凹部に深く溜まり込むことを防止できる。この結果、露光・解像がしやすくなるという利点がある。一方、3つの部分に分けたレイアウトを有することから、COM-G接続部104(1)の占める面積が大きくなる。このため、周辺領域110のサイズに余裕がない場合には適用し難い。
 図21(c)に示すCOM-G接続部104(2)も、例えば表示領域120と端子部(ソース端子部)102との間に形成されている。この例では、G-S接続部とS-Pix接続部とを重ねて1つの接続部(G-Pix接続部)を形成している。このため、G-Pix接続部とPix-COM接続部との2つの部分に分かれたレイアウトを有している。従って、図21(a)に示すCOM-G接続部104(1)よりもレイアウト上縮小化できる。また、誘電体層17の開口部17u、17vをまとめて1つの開口部を形成してもよく、それにより、さらなる縮小化も可能である。しかしながら、誘電体層17を形成する際のフォトレジストが、絶縁層5および保護層9に設けられた開口部9uの凹部に深く溜まり込み、その結果、露光・解像が困難となるおそれがある。これは、露光タクトの悪化の要因となり得る。
 図21(b)に示すCOM-S接続部104’は、例えば、表示領域120と端子部(ゲート端子部)102との間に形成されている。
 COM-S接続部104’は、基板1の法線方向から見たとき、上部導電層11cgと上部透明接続層19cgとを接続する接続部(S-Pix接続部)と、上部透明接続層19cgと下部透明接続層15cgとを接続する接続部(Pix-COM接続部)との2つの部分に分かれたレイアウトを有している。上部導電層11cgは、例えば図1に示すCOM信号用配線SCOMであり得る。S-Pix接続部では、上部導電層11cgと上部透明接続層19cgとは、絶縁層12の開口部、絶縁層13の開口部13uおよび誘電体層17の開口部17u内で接続されている。この例では、絶縁層13の開口部13uは、誘電体層17の開口部17uと交差するように配置されている。従って、絶縁層12の開口部は、これらの開口部13u、17uの重なった部分に形成される。従って、コンタクトホールの側壁において、絶縁層12の側面の一部は絶縁層13の側面と整合し、他の部分は誘電体層17の側面と整合する。Pix-COM接続部では、上部透明接続層19cgと下部透明接続層15cgとは、誘電体層17の開口部17v内で接続されている。
 このように、COM-S接続部104’では、COM-G接続部104(1)と同様に、誘電体層17を形成する際のフォトレジストが、絶縁層5および保護層9に設けられた開口部9uの凹部に深く溜まり込むことを防止できる。その上、G-S接続部を形成しなくてもよいので、COM-G接続部104(1)よりも縮小化できる。ただし、周辺領域の配線構造に制限がかかる。例えば、COM信号用配線の少なくとも一部がソース配線11と同じ導電膜から形成されていること(COM-S、G接続部形成領域以外の領域で、COM信号用配線GCOMからつなぎ変えられていてもよい)、COM-S接続部104’が形成されるCOM信号用配線SCOMと交差する他の信号配線は何れもゲート配線3と同じ導電膜から形成されていること(ソース配線11と同層の他の信号配線が、COM-S接続部104’が形成される領域内のみ、ゲート配線3と同層に切り替えられていてもよい)が必要となる。
 ・S-G接続部103のバリエーション
 図22(a)および(b)は、それぞれ、S-G接続部103のバリエーションを例示する平面図である。ただし、図22(a)に示すS-G接続部103(1)は、図4に示すS-G接続部103と同じである。
 図22(a)に示すS-G接続部103(1)では、ゲート絶縁層5および保護層9に、下部導電層3sgの上面および側面(端面)を露出するように開口部9rを形成する。従って、下部導電層3sgの上面のみでなく側面も上部導電層11sgとの接続に寄与する。これに対し、図22(b)に示すS-G接続部103(2)では、ゲート絶縁層5および保護層9に、下部導電層3sgの上面が露出し、側面(端面)が露出しないように開口部9rを形成する。このため、下部導電層3sgの上面のみが上部導電層11sgとの接続に寄与する。
 S-G接続部103(1)は、例えば積層膜を用いてゲート配線3および下部導電層3sgを形成する場合に好適に用いられ得る。そのような場合、積層膜の最下層となる金属膜には、通常、酸化や腐食に強く、接続安定性に優れた材料が用いられる。従って、下部導電層3sgの側面を露出するように開口部9rを形成することにより、下部導電層3sgの最下層の金属膜と上部導電層11sgとの接続経路を確保できる。従って、低抵抗で安定した接続部を形成できる。ただし、S-G接続部に要求される抵抗値によっては、下部導電層3sgと上部導電層11sgとの接触面積を確保するために、下部導電層3sgの周縁の長さ(エッジ周囲長)を長くするなどの工夫が必要となる。このため、S-G接続部のサイズが大きくなり、レイアウト上不利となる場合がある。
 S-G接続部103(2)は、上記のS-G接続部103(1)と比べて、下部導電層3sgと上部導電層11sgとの接触面積を大きくできるので、S-G接続部のサイズを小さくできる。下部導電層3sg(すなわちゲート配線層)の表面を構成する材料が、接続安定性に優れた材料を含んでいる場合に、この構成を適用すると特に有利である。
・端子部102のバリエーション
 図23(a)~(e)は、それぞれ、端子部102のバリエーションを例示する平面図である。ただし、図23(c)に示す端子部102(3)は、図5に示す端子部102と同じである。
 これらの端子部は、例えば、表示領域から端子部まで引き回された配線(引き回し配線)上に配置される。
 図23(a)および(b)に示す端子部102(1)、102(2)は、下部導電層3tを配置する引き回し配線の延びる方向が異なっているが、同様の構成を有している。端子部102(1)、102(2)は、ゲート配線3と同じ導電膜で形成された引き回し配線3L上に設けられる。従って、例えばゲート信号側の端子部(ゲート端子部)に適用すると、ゲート配線層からソース配線層へのメタルチェンジが不要であり、端子部の面積をより小さくできる。例えばゲート信号側の周辺領域のサイズに余裕がない場合に、これらの構成を適用すると特に有利である。一方、ソース信号側の端子部(ソース端子部)に適用する場合には、メタルチェンジを少なくとも1回行う必要があり、端子部の面積が増大するおそれがある。
 図23(c)に示す端子部102(3)は、ゲート配線層およびソース配線層から形成され、互いに重なり合う2層の引き回し配線3L、11L上に配置されている。このため、1層の引き回し配線を用いる場合と比べて、端子部と表示領域間において引き回し配線の抵抗を低減できる。また、このような引き回し配線は冗長構造を有するので断線を抑制できる。ただし、このような2層の引き回し配線を形成するためには、表示領域の近傍にS-G接続部を少なくとも1ケ所設ける必要がある。このため、レイアウト上、引き回し配線形成用にS-G接続部領域を確保する必要がある。また、引き回し配線間のリークが問題となる場合には、その発生確率が2倍になる可能性がある。
 図23(d)および(e)に示す端子部102(4)、102(5)は、ソース配線11と同じ導電膜で形成された引き回し配線11L上に設けられている。端子パッド部にのみ、ゲート配線層から形成された導電層3tが形成されていてもよいし(端子部102(4))、そのような導電層が形成されていなくてもよい(端子部102(5))。このような端子部102(4)、102(5)を、例えばソース信号側の端子部(ソース端子部)に適用すると、メタルチェンジが不要であり、端子部の面積をより小さくできる。例えばソース信号側の周辺領域のサイズに余裕がない場合に、これらの構成を適用すると特に有利である。一方、ゲート信号側の端子部(ゲート端子部)に適用する場合には、メタルチェンジを少なくとも1回行う必要があり、端子部の面積が増大するおそれがある。