以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
 (第1の実施の形態)
 図1は、本発明の第1の実施の形態における生体試料測定装置100の構成を示す斜視図である。図2は、同生体試料測定装置100の断面構成を示す図である。図3は、本発明の第1の実施の形態における生体試料測定器1の構成を示す斜視図である。
 図1に示したように、生体試料測定装置100は、例えば血液から血糖値を測定する生体試料測定器(以下、単に測定器とも記す)1、および、測定器1に対して温度情報を供給する温度情報供給器を兼ねる保持器2を備えている。
 測定器1は、例えば、病院における病室間の移動時等には、保持器2の上面に設けられた保持部3に保持される。
 保持部3は、図1および図2に示すように、先端から後端(紙面に向かって右側から左側)に向けて、下方に傾斜する面を有している。この傾斜の下端部分には、保持部3の傾斜面に当接する測定器1を受け止めるストッパ4が設けられている。
 保持器2は、その底部近傍の外周部分に温度センサ5を有している。すなわち、本実施の形態において、温度センサ5(第1の温度センサ)は、測定器1の外部に設けられている。
 また、図3に示したように、測定器1は、板状の本体ケース6を有している。本体ケース6の先端部には、薄板状の血糖値センサ7(生体試料測定センサの一例)の接続端子8を挿入するためのセンサ装着部9が設けられている。本体ケース6の上面には、血糖値を表示するための表示部10が設けられている。
 測定者は、血糖値センサ7の接続端子8をセンサ装着部9に装着し、その状態で、血糖値センサ7の先端側の点着部11に血液を点着する。これにより、そのときの血糖値が、本体ケース6に内蔵される測定部12によって測定される。
 図4は、本発明の第1の実施の形態における生体試料測定器1の機能ブロック図である。
 図4に示したように、センサ装着部9は測定部12に接続されている。測定部12は制御部13に接続されている。また、制御部13には、血糖値の表示を行う表示部10、保持器2から温度情報を受け取る温度情報受信部14、および、電源15が接続されている。
 さらに、制御部13には、測定者、患者、および、センサを収納するボトル(図示せず)それぞれのバーコードID(個別識別情報であり、以下IDと記す)を読み取るバーコード読取部64が接続されている。
 図5は、本発明の第1の実施の形態における温度情報供給器(保持器)2の機能ブロック図である。
 保持器2の保持部3に測定器1が保持されたことを検出する保持検出部16は、制御部17に接続されている。また、制御部17には、保持器2の外周部に配置した温度センサ5(図1参照)、温度センサ5が検出した検出温度を測定器1の温度情報受信部14に送る温度情報送信部18、および、電源19が接続されている。
 図2に戻って説明を続けると、図2に示した保持状態では、測定器1のセンサ装着部9とは反対側の端部がストッパ4に当接して位置決めされる。このとき、保持器2の保持部3表面に設けられた保持検出部16が測定器1によって押される。
 これにより、保持器2の制御部17は、測定器1が保持部3に保持されていることを検出することができる。なお、保持検出部16は、一般的な接触型のスイッチで構成することが可能である。
 測定器1の下面には、金属端子形状の温度情報受信部14が設けられている。一方、保持部3の上面には、金属板バネ形状の温度情報送信部18が設けられている。測定器1が保持部3に保持されたときには、温度情報送信部18と温度情報受信部14とが当接し、機械的および電気的に接続される。
 以上述べた構成において、以下、生体試料測定装置100の動作について、病院の病室で使用される状態を例として説明する。
 図6は、本発明の第1の実施の形態における生体試料測定装置100の使用状態の一例を説明するための図である。
 図6は、病院の病室を示している。病室内に患者A~Fが紙面の左右に3人ずつカーテンに仕切られて待機しているものとする。そして、測定者(例えば看護士)が、ワゴン20上に測定器1と保持器2とを乗せて、病室の中央部分に運び込んだ状態が示されている。
 この状態から、測定者が、患者A~Fの血糖値を、測定器1を用いて順番に測定する場合について説明する。
 このような病院においては、測定記録を残すため、例えば、患者IDおよび生体試料センサID等の測定関連情報を、測定毎に収集する。
 以下、患者Aに対する血糖値の測定を例として具体的に説明する。
 図7は、本発明の第1の実施の形態における生体試料測定装置100の動作フローを示すフローチャートである。また、図8Aおよび図8Bは、本発明の第1の実施の形態における生体試料測定器1の表示部10に表示される画面の一例を示す図である。
 病院業務における血糖値の測定においては、例えば、測定者ID、患者IDおよびセンサを収納したボトルID等の測定関連情報を、測定毎に収集する。この収集を行うために、測定者は、測定器1を保持器2から取り上げて持ち、測定器1のバーコード読取部64を用いて、測定者ID、患者IDおよびボトルIDを読み取る(S1)。
 このとき、測定器1に内蔵された部品(例えば、バーコード読取部64、制御部13または表示部10等の部品)が動作する。これにより、測定器1内に温度上昇が起こる。しかしながら、測定器1は、保持器2から取り上げられた状態で使用されているので、この測定器1の内部の温度上昇が、保持器2の温度センサ5に影響することはない。つまり、保持器2の温度センサ5は、測定環境である病室内の温度を検出することができる。
 次に、測定者は、患者Aの血糖値を測定するために、血糖値センサ7の接続端子8をセンサ装着部9に装着する。そうすると、測定器1の制御部13に電源15から電源が供給される。このとき、表示部10には、図8Aに示したように、「測定器を置き台に置いてください(室内温度を取得します)」とのメッセージが表示される(S2)。
 このメッセージを読んだ測定者は、測定器1を保持器2に戻す。そして、穿刺具(図示せず)を用いて、患者Aの指を穿刺する。そして、図3に示すように、血液をわずかに流出させる。
 一方、このとき、保持器2は、保持検出部16によって、測定器1が保持部3に保持されたことを検出する。保持検出部16は、この保持情報を制御部17に通知する(S3)。なお、保持器2には電源スイッチ(図示せず)が設けられており、あらかじめ電源スイッチがオンにされ、電源19から制御部17に電源が供給された状態となっているものとする。
 保持情報を通知された制御部17は、温度センサ5を用いて病室内の温度を検出する。制御部17は、検出された温度を、温度情報送信部18を介して測定器1に送信する。測定器1の制御部13は、送信された検出温度を、温度情報受信部14を介して取得する。そして、例えば、図8Bに示すように、表示部10に「室内温度を取得しました、23.5℃」とのメッセージを表示する(S4)。
 この、測定器1の制御部13が保持器2から検出温度を受け取る動作は、患者Aの穿刺作業中に実施される。
 次に、穿刺作業を終えた測定者は、測定器1の表示部10の表示を見て取得された病室の温度を確認する。そして、測定者は、測定器1を保持器2から取りはずし、血糖値センサ7の先端側の点着部11に血液を点着する(S5)。そうすると、患者Aの血糖値が、測定部12によって測定される(S6)。
 その後、制御部13は、測定部12で測定した測定値を、保持器2の温度センサ5で検出した検出温度(測定環境温度)によって補正する(S7)。なお、測定値の検出温度による補正についての説明は、省略する。
 このとき、本実施の形態においては、測定器1の外に設けられた保持器2の温度センサ5による検出温度を補正に使用することとなる。
 この点を詳細に説明する。血糖値センサ7における血糖値測定の反応は、図3に示すように、点着部11において行われる。つまり、反応は、測定器1外の測定環境温度で行われる。そして、この反応は温度によって大きく変動するので、測定値を測定環境温度によって補正する必要がある。
 従来は、温度センサ5を測定器1の内部に配置していた。このため、測定器1内に搭載されている部品(例えば、バーコード読取部64、制御部13および表示部10等の部品)の温度上昇により、温度センサ5の検出する温度が影響される場合がある。その結果、測定器1の外側にある血糖値センサ7の点着部11の環境温度とは異なる温度によって測定値を補正してしまうことがあり、測定値がばらついてしまう。
 また、温度センサ5で検出した温度と、測定器1に内蔵される部品(例えば、バーコード読取部64、制御部13および表示部等10)の温度上昇を用いて、測定器1の外にある点着部11の測定環境温度を推定する方法もある。しかしながら、やはり、点着部11の測定環境温度とは異なる温度によって測定値を補正してしまうことがあり、測定値がばらつくことがあった。
 これに対して、本実施の形態においては、上述したように、温度センサ5を、測定器1とは別に設けられた保持器2の外周部に配置している。このため、温度センサ5によって、測定器1の外の温度、つまり、血糖値測定の反応が実施される点着部11の環境温度に対応する温度(測定環境温度)を実測して検出することができる。そして、この実測した測定環境温度により、制御部13が患者Aの血糖値の補正を行う。
 これにより、点着部11の測定環境に対応した温度情報を用いて補正を行うことが出来るので、測定値のばらつきを抑制することができる。
 そして、補正された血糖値を、制御部13が表示部10に表示して、患者Aの測定が終了する(S8)。
 また、上述したように、図7のステップS1~S8においては、測定器1が測定環境温度を取得するときに、測定器1を保持器2の保持部3に乗せればよい。このため、測定器1と保持器2とが接触する時間を短くすることができ、測定器1内部の熱が温度センサ5に伝わりにくい。
 さらに、本実施の形態において、温度センサ5は、保持器2の底部近傍の外周部に配置されている。すなわち、温度センサ5を、保持器2の保持部3に乗せた状態の測定器1とはできるだけ遠い位置に配置している。このため、測定器1を保持器2の保持部3に乗せても、測定器1内部の熱が温度センサ5に伝わりにくい。
 その後、測定者は、順次、患者B~Fに対して、上述した図7のステップS1からステップS8までの各ステップを実行し、血糖値の測定を連続して行う。このような連続測定を行うと、測定器1に内蔵される部品(例えば、バーコード読取部64、制御部13および表示部10等)への通電による温度上昇が積算されて大きくなる。さらに、連続測定時には、測定者によって測定器1が頻繁に把持される。このため、測定者の手の熱が測定器1内部にまで伝わり、測定器1の内部温度を上昇させる。
 しかしながら、本実施の形態においては、上述したように、温度センサ5を、測定器1とは別に設けた保持器2の外周部に配置している。このため、このような病院業務における連続測定時にも、保持器2の温度センサ5によって、点着部11の測定環境温度に対応する温度を実測して検出することができる。その結果、点着部11の測定環境に対応した温度情報を用いて補正を行うことが出来るので、測定値のばらつきを抑制することができる。
 なお、上述の連続測定時においても、測定者が保持器2を把持することはないので、測定者の手の熱が保持器2に伝わることはない。
 なお、測定器1の外周面に温度センサ5を設け、測定場所の外気を測定することも考えられる。しかしながら、そうすると、測定者の手が温度センサ5に触れる可能性があり、必ずしも適切な温度を測定することができない。
 (第2の実施の形態)
 次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
 第2の実施の形態においては、病院の個室毎の測定業務に適した構成を説明する。生体試料測定装置200は、生体試料測定器22と、一または複数の温度情報供給器21とを備えている。
 図9は、本発明の第2の実施の形態における温度情報供給器21の構成を示す斜視図である。図10は、本発明の第2の実施の形態における温度情報供給器21および生体試料測定器22の使用環境を示す図である。
 本実施の形態においては、図9に示すような温度情報供給器21を、図10に示したように、病院の個室RA~RC毎に配置して使用する。
 図11は、本発明の第2の実施の形態における生体試料測定器22の構成を示す斜視図である。
 図11において、生体試料測定器(以下、単に測定器とも記す)22は、例えば血液から血糖値を測定する。測定器22は、例えば病院における病室間の移動時等には、保持器23の上面に設けられた保持部24に保持される。
 保持部24は、図11に示したように、先端から後端(紙面に向かって右側から左側)に向けて、下方に傾斜する面を有している。この傾斜の下端部分には、保持部24の傾斜面に当接する測定器22を受け止めるストッパ25が設けられている。
 図12は、本発明の第2の実施の形態における生体試料測定器22の構成を示す斜視図である。
 図12に示したように、測定器22は、板状の本体ケース26を有している。本体ケース26の先端部には、薄板状の血糖値センサ27の接続端子28を挿入するためのセンサ装着部29が設けられている。本体ケース26の上面には、血糖値を表示するための表示部30と、温度情報供給器21から温度情報を取得するためのトリガーが入力される温度取得ボタン31とが設けられている。
 さらに、本体ケース26の先端部には、温度情報供給器21からの温度情報を受け取るために、電波または光による通信を行う温度情報受信部32が設けられている。本実施の形態においては、温度情報受信部32は、一般的な赤外線通信を温度情報供給器21の温度情報送信部40と行うものとする。
 測定者は、血糖値センサ27の接続端子28をセンサ装着部29に装着し、その状態で、血糖値センサ27の先端側の点着部33に血液を点着する。これにより、そのときの血糖値が、本体ケース26に内蔵される測定部34によって測定される。
 図13は、本発明の第2の実施の形態における生体試料測定器22の機能ブロック図である。
 図13に示したように、センサ装着部29は測定部34に接続されている。測定部34は制御部35に接続されている。また、制御部35には、血糖値の表示を行う表示部30、温度取得ボタン31、温度情報受信部32、および、電源36が接続されている。
 図9に戻って、温度情報供給器21の構成について説明する。温度情報供給器21は、多面体形状の本体ケース37を有している。本体ケース37の外周部には、温度情報供給器21の外部温度を取得する温度センサ38が配置されている。また、本体ケース37の後端側(図9の左側)上部には、温度センサ38で取得した温度情報を表示する表示部39が設けられている。
 さらに、本体ケース37の後端側には、測定器22の温度情報受信部32に対して、電波または光の通信を行う温度情報送信部40が設けられている。本実施の形態においては、温度情報送信部40は一般的な赤外線通信を測定器22の温度情報受信部32と行う構成である。
 本体ケース37の前端側(図9の右側)には、接続部41を介して電源プラグ42が接続されている。電源プラグ42を一般のコンセント(例えばAC100V)に差し込むことにより、温度情報供給器21に電源が供給される。
 図14は、本発明の第2の実施の形態における温度情報供給器21の機能ブロック図である。
 図14に示したように、測定器22に温度情報を送信する温度情報送信部40は制御部43に接続されている。制御部43には、表示部39、温度センサ38、および電源プラグ42が接続されている。
 以上述べた構成において、以下、生体試料測定器22および温度情報供給器21の動作について、病院で使用される状態を例として説明する。
 図10は、病院の病室を示している。病室の個室RA~RC内に患者A1~C1がそれぞれ待機しているものとする。そして、測定者は、患者A1~C1の血糖値を順番に測定すべく、ワゴン44上に測定器22および保持器23を乗せてきた状態であるとする。
 個室RA~RCの各個室では、温度情報供給器21の電源プラグ42が、例えば個室RA~RCそれぞれのベッドの壁に用意されているコンセントに予め差し込まれている。温度情報供給器21は、壁に取り付けられた状態で通電状態となっている。この状態において、温度情報供給器21の制御部43は、本体ケース37の外周部に設けられた温度センサ38を用いて、個室RA~RC内の室内温度を定期的に検出している。また、この検出された温度が、制御部43により表示部39に表示されている。
 この状態において、患者A1に対する血糖値の測定を例として説明する。
 図15は、本発明の第2の実施の形態における生体試料測定装置200の動作フローを示すフローチャートである。また、図16Aおよび図16Bは、本発明の第2の実施の形態における生体試料測定器22の表示部30に表示される画面の一例を示す図である。
 まず、測定者は、ワゴン44を押して、患者A1の個室RAに入る。
 次に、測定者は、測定器22を保持器23から取り出して、図12に示したように、血糖値センサ27の接続端子28をセンサ装着部29に装着する。これにより、測定器22の制御部35に電源36から電源が供給されて、表示部30には、図16Aに示したような、「室内温度を取得してください」とのメッセージが表示される(S101)。
 このメッセージを読んだ測定者は、測定器22先端部の温度情報受信部32を、ベッドの壁に取り付けられた温度情報供給器21の温度情報送信部40に向けて、測定器22の温度取得ボタン31(図12参照)を押す(S102)。
 これにより、温度情報受信部32から温度情報送信部40に向けて、温度取得要求が送信される。温度情報供給器21の制御部43は、温度情報送信部40を介してこの温度取得要求を受け取る。制御部43は、温度センサ38を用いて個室RA内の室内温度を検出して、表示部39に表示する。
 また、制御部43は、個室RAでの検出温度(室内温度、すなわち測定環境温度)の温度情報を、温度情報送信部40から、測定器22の温度情報受信部32に向けて送信する。測定器22側では、制御部35が温度情報受信部32を介して温度情報を受け取り、例えば、図16Bにしたように、表示部30に「室内温度を取得しました、23.5℃」と表示する(S103)。
 測定者は、この表示と、温度情報供給器21の表示部39に表示された温度とを見て、室内温度が正しく取得できたか否かの確認を行うことができる。
 その後、測定者は、穿刺具(図示せず)を取り出して、患者A1の指を穿刺し血液を表出させる。そして、測定者は、図12に示したように、血糖値センサ27の先端側の点着部33に血液を点着する(S104)。これにより、患者A1の血糖値が、測定部34によって測定される(S105)。
 その後、測定部34で測定した測定値を、制御部35が温度情報供給器21の温度センサ38で検出した検出温度(測定環境温度)によって補正する(S106)。
 このように、本実施の形態においても、測定器22とは別に設けられた温度情報供給器21の温度センサ38による検出温度を、測定値の補正に使用している。
 この点を詳細に説明する。血糖値センサ27における血糖値測定の反応は、図12に示すように、点着部33において行われる。つまり、反応は、測定器22外の測定環境温度(室内温度)で行われる。そして、この反応は温度によって大きく変動するので、測定値を測定環境温度によって補正する必要がある。
 補正に用いる測定環境温度は、温度センサ38により取得する。
 従来は、温度センサ38を測定器22の内部に配置していた。このため、測定器22内に搭載されている部品(例えば、制御部35、表示部30等の部品)の温度上昇により、温度センサ38の検出する温度が影響される場合がある。その結果、測定器22の外側にある血糖値センサ27の点着部33の環境温度とは異なる温度によって測定値を補正してしまうことがあり、その場合には、測定値がばらついてしまう。
 また、温度センサ38で検出した温度と、測定器22に内蔵される部品(例えば、制御部35および表示部30等)の温度上昇を用いて、測定器22の外にある点着部33の測定環境温度を推定する方法もある。しかしながら、やはり、点着部33の測定環境温度とは異なる温度によって測定値を補正してしまうことがあり、測定値がばらつくことがあった。
 これに対して、本実施の形態においては、上述したように、温度センサ38を、測定器22とは別に設けられた温度情報供給器21の外周部に配置している。このため、温度センサ38によって、測定器22の外の温度、つまり、血糖値測定の反応が実施される点着部33の測定環境温度(室内温度)を実測して検出することができる。そして、この実測した環境温度により、制御部35が患者A1の血糖値の補正を行う。
 これにより、点着部33の測定環境に対応した温度情報を用いて補正を行うことが出来るので、測定値のばらつきを抑制することができる。
 そして、補正した血糖値を、制御部35が表示部30に表示して、患者A1の測定が終了する(S107)。
 その後、測定者は、ワゴン44を押して、図10に示すように、順次、患者B1~C1の個室RB~RCを訪れて測定を行う。
 このとき、個室RA~RC毎にエアコンの調整がなされることがある。例えば、個室RAでは、指定された温度よりも高めに室内温度が設定され、一方、個室RBでは指定された温度よりも低めに室内温度が設定されることがある。このため、個室RAの室内温度と個室RBの室内温度との間には、数度の温度差が発生することがある。
 このような場合においても、本実施の形態においては、個室RA~RCに、あらかじめ温度情報供給器21を通電状態で配置しておくので、正確な室内温度を検出することができる。
 測定者は、個室RAから個室RBに移動した後に、上述したように、血糖値センサ27の接続端子28をセンサ装着部29に装着し、その状態で、血糖値センサ27の先端側の点着部33に血液を点着して血糖値の測定を行う。このときに使用される血糖値センサ27は、図12に示すように、薄板状をしている。このため、個室RAから個室RBに移動したときに、両個室間にたとえ数度の温度差があったとしても、薄板状の血糖値センサ27は、体積に対して表面積が大きいので、すぐに移動先の個室RBの室内温度と同じ温度になる。
 その後、温度情報供給器21の外周部に配置した温度センサ38によって個室RBの室内温度、つまり、点着部33の測定環境温度に対応する温度を実測して検出する。そして、この実測した測定環境温度を用いて、測定器22が患者B1の血糖値の補正を行う。これにより、測定値のばらつきを抑制することができる。
 なお、測定器22の外周面に温度センサ38を設けて、測定場所の外気を測定することも考えられる。しかしながら、そうすると、測定者の手が温度センサ38に触れる可能性があり、必ずしも適切な温度を測定することができない。
 また、本実施の形態においては、温度情報送信部40が一般的な赤外線通信を行う構成としたが、これを電波通信で行う構成としてもよい。電波通信を用いる場合には、送受信距離を短くすることで隣室の温度情報が混信しないようにすることができる。
 (第3の実施の形態)
 次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
 図17は、本発明の第3の実施の形態における生体試料測定装置300の構成を示す斜視図である。図18は、同生体試料測定装置300の断面構成を示す図である。図19は、本発明の第3の実施の形態における生体試料測定器1aの構成を示す斜視図である。
 図17に示したように、生体試料測定装置300は、生体試料測定器(測定器とも記す)1aと、温度情報供給器(保持器とも記す)2aとを有している。
 本実施の形態の生体試料測定装置300は、病院における緊急測定にも対応するものである。例えば病院において、緊急搬送された患者に対して、測定器1aを緊急的に持ち出して、保持器2aとは離れた場所で測定を行う必要がある。このような緊急測定時には、測定器1aが保持器2aの温度センサ5a(第1の温度センサ、図18参照)から温度情報を取得できない場合が発生する。
 このため、本実施の形態においては、測定器1a内にも温度センサ51(第2の温度センサ)を設けている。また、保持器2aは、測定器1aに送風する送風機57(図18参照)を有している。
 緊急測定時においては、測定器1aは、その内部に設けた温度センサ51から温度情報を取得して、測定値の補正を行う。そして、緊急測定後に、測定者が測定器1aを保持器2aに保持させると、保持器2aの送風機57が、測定器1aの温度センサ51を室内温度にまで冷却する。
 これにより、再び緊急測定の必要が生じた場合にも、測定器1aは、温度センサ51から正確な温度情報(室内温度、すなわち測定環境温度)を取得できるので、測定値のばらつきを抑制することができる。
 以下、詳細に説明する。
 図17および図18において、測定器1aは、例えば血液から血糖値を測定する。測定器1aは、測定時以外、例えば病室間の移動時等には、図18に示したように、保持器2aに着脱自在に保持されている。
 図19に示すように、測定器1aは、図19に示すように、板状の本体ケース45を有している。本体ケース45の先端部には、薄板状の血糖値センサ(生体試料測定センサの一例)46の端子部47を挿入するための開口部48が設けられている。また、本体ケース45の上面には、血糖値を表示するための表示部49が設けられている。
 測定者は、血糖値センサ46の端子部47を開口部48に挿入した状態で、血糖値センサ46の先端部の検出部(図示せず)に血液を付着させれば、そのときの血糖値が、本体ケース45に内蔵される測定部50(図20参照)によって測定される。
 図20は、本発明の第3の実施の形態における生体試料測定器1aの機能ブロック図である。
 図20に示したように、制御部52には、通信部53、測定部50、表示部49および温度センサ51が接続されている。
 前述のように、病院においては、例えば緊急搬送された患者に対して、保持器2aから測定器1aのみを緊急的に持ち出して測定することがある。
 このような緊急測定時には、保持器2aから温度を取得するのではなく、本体ケース45内で開口部48近傍に設けられた温度センサ51(図18参照)によって温度情報が取得される。
 具体的には、測定者が緊急測定ボタン(図示せず)を押すと、制御部52が温度センサ51から温度情報を取得し、この温度情報によって測定値の補正を行う。そして、この補正された血糖値が表示部49に表示される。
 なお、この緊急測定時には血糖値だけを測定できればよいので、この測定器1aのバーコード読取部(図示せず)を用いての測定関連情報の収集、すなわち測定者ID、患者ID、またはボトルID等の読み取りは行わなくてもよい。
 緊急測定が終わった後には、測定者は、測定器1aを保持器2aの場所まで持ち帰り、図18に示すように、測定器1aを保持器2aに保持させる。保持器2aは、図17および図18に示すように、その上面に一端から他端(紙面に向かって右側から左側)に向けて、下方に傾斜した保持部54が設けられている。また、傾斜下端側には、保持部54の傾斜面に当接する測定器1aを受け止めるストッパ55が設けられている。
 図18に示したように、測定器1aの開口部48側は、ストッパ55に当接して位置決めされる。この状態で上方の送風口56から送風して、測定器1aの本体ケース45の開口部48側、つまり、本体ケース45内の温度センサ51が設けられている側の冷却を行うと共に、開口部48を介して本体ケース45内部の冷却を行うことができる。
 保持器2aには、送風機57が設けられている。また、この送風機57と送風口56とは、風路58によって連結されている。風路58内には、OHラジカル、または、活性酸素を発生させる殺菌装置59が配置されている。
 図19に示したように、血糖値の測定が完了し、開口部48から血糖値センサ46が抜き取られた本体ケース45が、図18に示したように、保持器2aの保持部54に保持された状態を想定する。この状態においては、風路58および送風口56を介して、測定器1aは、送風機57から送風される風(測定場所である室内の空気、あるいは室外の空気)によって冷却される。これにより、温度センサ51による検出温度は、測定場所の温度と近似する値を示す。よって、上述した制御部52において行われる温度補正が適切に行われることとなる。
 図21は、本発明の第3の実施の形態における保持器2aの機能ブロック図である。
 図21に示したように、送風機57および殺菌装置59は、制御部60(第2の制御部)に接続されている。また、制御部60は、測定場所の温度(測定環境温度)を検出する温度センサ5a、保持器2aの保持部54に測定器1aが装着されたことを検出する装着検出部61、測定器1aの通信部53と赤外線通信をする通信部62、および電源63と接続されている。
 以上述べた構成において、図19に示したように、血糖値の測定が完了し、開口部48から血糖値センサ46が抜き取られた本体ケース45を、図18に示したように、保持器2aの保持部54に保持させた場合を想定する。
 図22は、本発明の第3の実施の形態における生体試料測定装置300の動作フローを示すフローチャートである。
 上述した状態においては、装着検出部61によって測定器1aの装着が検出される(S201)。
 これにより、保持器2aの制御部60によって、送風機57と殺菌装置59とが駆動される(S202)。これにより、送風機57から風路58、送風口56を介して本体ケース45の開口部48部分に送風が開始されて、開口部48部分から冷却が開始される。
 同時に、殺菌装置59で発生したOHラジカルまたは活性酸素によって、開口部48近傍の殺菌が行われる。開口部48近傍の冷却を行っているときには、制御部60には、測定器1aの温度センサ51からの検出温度の温度情報が通信部53、通信部62を介して供給されている。さらに、保持器2aの温度センサ5aからの検出温度も制御部60に供給される(S203,S204)。
 保持器2aの制御部60は、測定器1aの温度センサ51によって検出した検出温度と、保持器2aの温度センサ5aによって検出した検出温度とを比較する。そして、制御部60は、測定器1aの温度センサ51の検出温度が、保持器2aの温度センサ5aの検出温度近傍に設定した設定温度に近づくまで、送風および殺菌を継続する(S205)。その後、設定温度に達すると、制御部60は、送風機57および殺菌装置59の駆動を停止する(S206)。
 このとき、図18に示したように、送風口56からの送風は、本体ケース45の開口部48を介して、本体ケース45内部に送風される。この送風により、本体ケース45内部を直接冷却できる。その結果、本体ケース45内を素早く冷却できる。このため、本体ケース45内の温度が測定場所である室内温度、または外気温と比較して大きく温度上昇することがなくなる。
 その結果、例えば緊急測定時等において、本体ケース45内の温度センサ51で検出した検出温度に基づいて測定部50の測定値を補正する場合、測定誤差を小さくすることができる。
 また、測定器1aの電源を、充電式の電池で構成した場合には、例えば、保持器2aに充電部を設け、測定器1aを保持器2aに保持した状態のときに、充電式の電池の充電を行わせることができる。しかしながら、充電時には、充電式の電池が充電によって加熱され、本体ケース45の内部温度が上昇する可能性がある。
 このような場合でも、本実施の形態によれば、測定器1aを保持器2aに保持させた状態で、保持器2aの送風機57による冷却を行うので、測定器1aの本体ケース45内の温度が測定場所である室内温度または外気温から大きく上昇することがなくなる。
 その結果、この本体ケース45内の温度センサ51で検出した検出温度に基づいて測定部50の測定値を補正する場合、測定誤差を小さくすることができる。
 上述のように、本実施の形態においては、測定器1aは保持器2aに保持され、測定器1a内部の温度が室内温度になるように送風機57によって冷却されるようにしている。
 このとき、冷却機構を構成する送風機57、送風口56および風路58を、図17および図18に示すように、保持器2aの後端側に設け、測定器1aの本体ケース45の開口部48を覆った状態としている。これに対し、測定器1aの中央部から先端部は、保持器2aの冷却機構に覆われることはなく、開放状態となっている。
 このため、測定者が測定器1aを保持器2aから取り出すときには、例えば親指と人差し指を用いて、測定器1aの中部を把持することができる。これにより、測定器1aを保持器2aから容易に取り出すことができる。
 以上、本実施の形態においては、緊急測定を例に取って、測定器1aが保持器2aの温度センサ5aからの温度情報を受け取ることができないときの測定について説明した。一方、通常の測定時には、第1の実施の形態および第2の実施の形態での説明と同様に、測定器1aは、保持器2aの温度センサ5aの温度情報(測定環境温度)を、保持器2aの通信部62および測定器1aの通信部53を介して受け取り、受け取った温度情報で測定値を補正する。
 なお、各実施の形態においては、生体試料測定装置それぞれが、人体の血糖値を測定するものとして説明を行ったが、本発明はこの例に限定されるものではない。生体試料測定装置は、他にも、測定環境の温度変化によって測定値のばらつきを生じ得る各種生体試料の測定を行う装置をも含むものである。