ハンドオーバ制御システム、ユーザ端末、シグナリング中継装置並びにセッション制御装置 本発明は、データ通信ネットワークの技術に関する。特に、本発明は、モバイルデータ通信システム内のユーザ端末に関するシグナリング制御の技術に関する。
 大規模ネットワークの多くは、例えば、プロキシモバイルIP(PMIP:Proxy Mobile Internet Protocol、下記の非特許文献1参照)などのネットワークによるモビリティ管理方式が適切に設定されている。これにより、ユーザ端末(UE:User Equipment)の構成が簡素化され、サービス挙動においてオペレータがより制御できるようになる。こうしたネットワークでは、通常、ユーザ端末のハンドオーバによってユーザ端末のアドレスが変更されることはない。これによって、アプリケーションレイヤに対してモビリティを隠すことができるようになる。
 一方、携帯電話のパケット通信ネットワークを用いてマルチメディアサービスを実現するための技術として、IMS(IP multimedia subsystem)が存在している(下記の非特許文献2を参照)。IMSは、コアネットワークをIP化するために策定された技術であり、音声通話とデータ通信との統合を図り、様々なサービスを提供するためのシステム基盤を規定するためのシステムである。
Proxy Mobile IPv6, S. Gundavelli et al., IETF RFC5213, August, 20083GPP TS23.228 v8.6.0、2008-093GPP TS24.229 v8.5.1、2008-09
 しかしながら、IMSを使ったセッション管理では、ユーザ端末のハンドオーバによってシグナリングパスが変わるたびに、セッションの張り替えに伴う登録処理(例えば、認証処理やQoS(Quality of Service)制御)が必要となり、シグナリングが行われる必要がある。すなわち、ユーザ端末がハンドオーバを行ってシグナリングパスが変わった場合には、シグナリングは、呼制御処理(セッションの開始や終了などのシグナリング)の前に、登録処理(認証処理やシグナリングパスの設定処理)を再度行う必要がある。したがって、ユーザ端末がハンドオーバを行うたびに、複数回メッセージ交換を往復する必要があり、セッションハンドオーバ処理に遅延が生じることになる。さらには、こうした多数のシグナリングメッセージが交換されることで、ネットワークトラフィックに負荷を与えてしまったり、ユーザ端末による電力消費が増大してしまったりする可能性もある。
 また、PMIPなどのネットワークによるモビリティ管理方式が使用されている場合も同様である。ネットワークによるモビリティ管理方式のようなトランスペアレント(transparent:透過)なモビリティの取り扱いによって、QoSの提供やシグナリングの適応などを始めとする任意の局所的な制御を行う必要があるIPマルチメディアサービスに弊害が生じる可能性がある。例えば、ユーザ端末がアクセスネットワークを変更した際に、利用可能な帯域幅が変化する場合や、さらには、シグナリングエントリポイント(例えば、非特許文献2に定義されているP-CSCF(Proxy Call Session Control Function:プロキシ呼び出しセッション制御機能))が変わる場合も起こり得る。しかしながら、ユーザ端末のIPアドレスは変更されないので、ネットワークをアップデートするためのシグナリングが開始されることはない。
 一方、この状態が起こらないようにするため、ユーザ端末が、下位レイヤの再接続を検出するたびにシグナリングを実行するように構成されてもよい。しかしながら、すべての下位レイヤの変更がアプリケーションレイヤの変更をもたらすわけではないので、このような構成とした場合には、不要なシグナリングが発生する場合がある。また、この場合においても、シグナリングパス探索及び確立には、複数回メッセージ交換を往復する必要があるので、セッションハンドオーバ処理に遅延が生じることになる。さらには、こうした多数のシグナリングメッセージが交換されることで、ネットワークトラフィックに負荷を与えてしまったり、ユーザ端末による電力消費が増大してしまったりする可能性もある。
 例えば、標準的な手続きでは、ユーザ端末は、アプリケーションレイヤのシグナリングが実行できるようになる前に、まず、シグナリングシステムに対して登録を行う必要がある。シグナリングにおいてセキュリティを確保する場合には、登録処理において認証を行うことになり、更なる遅延が生じることになる。
 以下、図1及び図2を参照しながら、具体的に、従来の技術に係る問題点について説明する。
 図1には、従来の技術を説明するためのネットワークアーキテクチャの一例が図示されている。なお、後述の本発明の説明の際においても、図1に図示されているネットワークアーキテクチャを参照する。ここでは、図1に図示されているネットワークアーキテクチャに関して簡単に説明するに留め、詳細な構成に関しては後述する。
 図1において、UE(ユーザ端末)(100)は、最初(移動前)は、eNB(evolved Node B)1(111)及び対応するSGW(Signaling Gateway)1(115)を含むアクセスネットワークに接続されている。そして、UE(100)は移動を行って(移動後のUEをUE(101)と表記)、eNB2(113)及び対応するSGW2(117)を含むアクセスネットワークに接続する。SGW1(115)及びSGW2(117)は、P-GW(Packet Data Network Gateway:パケットデータネットワークゲートウェイ)(119)を経由してコアネットワーク(135)に接続されている。
 また、eNB1(111)及びSGW1(115)を含むアクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルのエントリポイント(例えば、P-CSCF1(121))、eNB2(113)及びSGW2(117)を含むアクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルのエントリポイント(例えば、P-CSCF2(123))が、それぞれP-GW(119)を経由してアクセスネットワークに接続されている。エントリポイントは、UE(100)又はUE(101)とアプリケーションセッション制御システム(例えば、非特許文献2に定義されているようなS-CSCF及び/又はAS(S-CSCF/AS(125)と記載))との間の制御シグナリングを中継する機能を有している。
 また、図2には、従来の技術(非特許文献2で定義されている処理)に基づいたIPマルチメディアセッションに関する制御シグナリングのシーケンスの一例が図示されている。
 ステップS2001に示すように、UE(100)は、最初、SGW1(115)へ接続されており、P-CSCF1(121)及びS-CSCF/AS(125)を経由してIPマルチメディアサービスセッションを確立している。ここで、ステップS2003において、UE(100)が、新たな位置(図1のUE(101の位置)へ移動したとする。ステップS2005において、UE(101)は、新たな位置において、ネットワークによるモビリティ管理方式によって、使用中のアドレスと同一のアドレスを取得する。すなわち、UE(101)はSGW2(117)に接続し、モビリティ管理されたネットワークを経由して同一のP-GW(119)から同一のIPアドレスを取得する。
 UE(101)が下位レイヤ情報を使用してアプリケーションのシグナリングをトリガするよう構成されている場合には、UE(101)は、ステップS2007において、P-CSCF探索処理の実行を試み、この新たな位置に対応するP-CSCF2(123)を発見する。なお、この処理は、例えば、DNSクエリであってもよく、DHCPクエリであってもよい。
 P-CSCF探索処理によって異なるP-CSCFのアドレス(すなわち、UE(100)において使用していたP-CSCF1(121)のアドレスではなく、P-CSCF2(123)のアドレス)を取得するので、UE(101)は、非特許文献2に定義されているような登録処理を開始する。すなわち、UE(101)は、ステップS2009において、IMS_Register(IMS登録)メッセージを新たなP-CSCF2(123)へ送信する。
 P-CSCF2(123)は、このIMS_Registerメッセージの受信によって、ステップS2011に示すように、UE(101)にとって適切なS-CSCFの探索処理を開始し、UE(101)にとって適切なS-CSCF(すなわち、S-CSCF/AS(125))を特定する。そして、P-CSCF(123)は、非特許文献2に定義されているような必要な処理を行った後、ステップS2013において、S-CSCF/AS(125)へIMS_Registerメッセージを転送する。
 このとき、制御シグナリングに関してセキュリティが必要な場合には、認証処理が実行される。この認証処理は、例えば上記の非特許文献3に定義されているようにS-CSCF/AS(125)が401メッセージ(Unauthorized:認証が必要であることを通知するメッセージ)をUE(101)に返信することによって開始される。なお、用いられる認証方式に依存するが、ステップS2015において、認証処理では複数回のメッセージ交換の往復が行われる。
 認証に成功した場合には、S-CSCF/AS(125)は、ステップS2017において、ユーザプロファイルをチェックし、例えばデータベースへのユーザ情報の記録や、任意のイベントへの登録などのようなサービス制御を行う。そして、S-CSCF/AS(125)は、ステップS2019において、UE(101)へIMS_Accept(IMS受諾)メッセージを返信し、S2021において、P-CSCF2(123)経由でUE(101)へIMS_Acceptメッセージが転送される。
 登録に成功した場合にのみ、UE(101)は、ステップS2023及びS2025に示すように、P-CSCF2(123)及びS-CSCF/AS(125)を経由するIMS_INVITE(IMS招待)メッセージを通信セッションの他方のエンド(例えばCN)に向けて送信することによって、セッションのアップデートを行うためのシグナリングを開始する。S-CSCF/AS(125)は、ステップS2027及びS2029に示すように、例えばリモートアクセスレグ(remote access leg)をアップデートすることによってメッセージを処理し、IMS_AcceptメッセージによってUE(101)へ応答を返す。
 なお、上述の説明で示されているように、シグナリング処理は、実際にセッションのアップデートを行う処理(すなわち、ステップS2023~S2029の処理)の前に行われる登録及び認証に関する主要な処理である。これらの登録及び認証のシグナリング処理(すなわち、ステップS2007~S2021の処理)は長時間を要するため、ハンドオーバ後のセッションアップデートに遅延が生じてしまう可能性がある。さらに、これらの登録及び認証のシグナリング処理に関連するシグナリングメッセージが、ネットワークトラフィックに負荷を与えたり、UE(101)による電力消費が増大したりする可能性がある。
 さらに、ステップS2007において発見されたP-CSCF2(123)は、UE(101)の新たな位置に対応するP-CSCFであるにすぎず、実際には、UE(101)のセッションを継続して取り扱うために最適なP-CSCFではない可能性もある。例えば、P-CSCF1をそのまま使用したほうがよい場合や、管理などの理由によって別のP-CSCFを使用しなければならない場合などがある。こうした場合には、例えば、S-CSCF/AS(125)がステップS2021における登録を拒絶し、これによって、UE(101)は登録処理を再度行うことになるため、更に多くのシグナリングメッセージを送受信する必要が生じ、実際にセッションのアップデートを行うまで、更に長時間かかってしまう可能性がある。
 本発明は、上記の問題を解決するため、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させることを目的とする。
 上記の目的を達成するため、本発明のハンドオーバ制御システムは、
 ユーザ端末が第1アクセスネットワークから第2アクセスネットワークへハンドオーバを行う際のシグナリング制御を行うハンドオーバ制御システムであって、
 前記第1アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第1エントリポイントと、
 前記第2アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第2エントリポイントと、
 前記第1アクセスネットワーク及び前記第2アクセスネットワークのいずれかに接続されている前記ユーザ端末のアプリケーションセッションの管理を行うセッション制御装置とを有し、
 前記ユーザ端末が前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへ前記ハンドオーバを行った際に前記ユーザ端末のアドレスが変わらない場合に、前記ユーザ端末が、前記アプリケーションセッションのアップデートを行うためのセッションアップデートシグナリングメッセージを前記第1エントリポイントへ送信し、
 前記第1エントリポイントが、前記アプリケーションセッションのアップデートを行うための前記セッションアップデートシグナリングメッセージを前記セッション制御装置へ転送することによって、
 前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定を利用して前記アプリケーションセッションのアップデートを行うよう構成されている。
 上記の構成により、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させることが可能となる。
 また、上記の目的を達成するため、本発明のユーザ端末は、
 第1アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第1エントリポイントと、第2アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第2エントリポイントと、第1アクセスネットワーク及び第2アクセスネットワークのいずれかに接続されているユーザ端末のアプリケーションセッションの管理を行うセッション制御装置とを有するハンドオーバ制御システムにおいて、前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへハンドオーバを行うユーザ端末であって、
 前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへ前記ハンドオーバを行った際に前記ユーザ端末のアドレスが変わらない場合に、前記アプリケーションセッションのアップデートを行うためのセッションアップデートシグナリングメッセージを前記第1エントリポイントへ送信するよう構成されており、
 前記第1エントリポイントが、前記アプリケーションセッションのアップデートを行うための前記セッションアップデートシグナリングメッセージを前記セッション制御装置へ転送することによって、前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定を利用した前記アプリケーションセッションのアップデートが行われる。
 上記の構成により、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させることが可能となる。
 また、上記の目的を達成するため、本発明のシグナリング中継装置は、
 第1アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第1エントリポイントと、第2アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第2エントリポイントと、前記第1アクセスネットワーク及び前記第2アクセスネットワークのいずれかに接続されているユーザ端末のアプリケーションセッションの管理を行うセッション制御装置とを有し、前記ユーザ端末が前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへハンドオーバを行う際のシグナリング制御を行うハンドオーバ制御システムにおいて前記第1エントリポイントとして機能するシグナリング中継装置であって、
 前記ユーザ端末が前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへ前記ハンドオーバを行った際に前記ユーザ端末のアドレスが変わらない場合に、前記アプリケーションセッションのアップデートを行うためのセッションアップデートシグナリングメッセージを前記ユーザ端末から受信し、前記アプリケーションセッションのアップデートを行うための前記セッションアップデートシグナリングメッセージを前記セッション制御装置へ転送するように構成されており、
 これにより、前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定を利用して前記アプリケーションセッションのアップデートが行われる。
 上記の構成により、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させることが可能となる。
 また、上記の目的を達成するため、本発明のシグナリング中継装置は、第1アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第1エントリポイントと、第2アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第2エントリポイントと、前記第1アクセスネットワーク及び前記第2アクセスネットワークのいずれかに接続されているユーザ端末のアプリケーションセッションの管理を行うセッション制御装置とを有し、前記ユーザ端末が前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへハンドオーバを行う際のシグナリング制御を行うハンドオーバ制御システムにおいて前記第2エントリポイントとして機能するシグナリング中継装置であって、
 前記第1エントリポイントへ送信する前記アプリケーションセッションのアップデートを行うためのセッションアップデートシグナリングメッセージを前記ユーザ端末から受信し、前記アプリケーションセッションのアップデートに必要な情報を前記セッションアップデートシグナリングメッセージに追加して前記第1エントリポイントへ転送するよう構成されており、
 前記第1エントリポイントが、前記アプリケーションセッションのアップデートを行うための前記セッションアップデートシグナリングメッセージを前記セッション制御装置へ転送することによって、前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定を利用した前記アプリケーションセッションのアップデートが行われる。
 上記の構成により、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させることが可能となる。
 また、上記の目的を達成するため、本発明のセッション制御装置は、第1アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第1エントリポイントと、第2アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第2エントリポイントと、前記第1アクセスネットワーク及び前記第2アクセスネットワークのいずれかに接続されているユーザ端末のアプリケーションセッションの管理を行うセッション制御装置とを有し、前記ユーザ端末が前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへハンドオーバを行う際のシグナリング制御を行うハンドオーバ制御システムにおける前記セッション制御装置であって、
 前記ユーザ端末が前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへ前記ハンドオーバを行った際に前記ユーザ端末のアドレスが変わらない場合に、前記ユーザ端末から前記第1エントリポイントへ送信された前記アプリケーションセッションのアップデートを行うためのセッションアップデートシグナリングメッセージが更に前記第1エントリポイントから転送されてきた場合、前記第1エントリポイントから受信した前記セッションアップデートシグナリングメッセージに基づいて、前記ユーザ端末との間の前記アプリケーションセッションのシグナリングパスを前記第2エントリポイント経由に変更するとともに、前記セッションアップデートシグナリングメッセージに対する応答メッセージを前記第2エントリポイント経由で前記ユーザ端末へ送信するよう構成されており、
 これにより、前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定を利用して前記アプリケーションセッションのアップデートが行われる。
 上記の構成により、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させることが可能となる。
 本発明は、上記の構成を有しており、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させるという効果を有している。
従来の技術及び本発明の第1及び第2の実施の形態におけるネットワークアーキテクチャの一例を示す図従来の技術で定義されている処理に基づいたIPマルチメディアセッションに関する制御シグナリングの一例を示すシーケンスチャート本発明の第1の実施の形態における動作の一例を示すシーケンスチャート本発明の第1の実施の形態における動作の別の一例を示すシーケンスチャート本発明の第1の実施の形態における動作の更に別の一例を示すシーケンスチャート本発明の第1の実施の形態におけるUEの構成の一例を示す図本発明の第1の実施の形態におけるP-CSCFの構成の一例を示す図本発明の第1の実施の形態におけるS-CSCF/ASの構成の一例を示す図本発明の第1の実施の形態におけるIMS_INVITEメッセージの内容の一例を示す図本発明の第1の実施の形態におけるIMS_Acceptメッセージの内容の一例を示す図本発明の第1の実施の形態におけるIMS_Registerメッセージの内容の一例を示す図本発明の第2の実施の形態における動作の一例を示すシーケンスチャート
本発明を実施するための形態 以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明を詳細に理解できるようにするために、特定の番号や時間、構造、プロトコル名、及びその他のパラメータなどを挙げて説明する場合がある。しかしながら、本明細書で用いられている特定の条件は、本発明を説明するために用いられているにすぎず、本発明は、こうした特定の条件に限定されるものではない。
 <第1の実施の形態>
 まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。
 図1には、本発明を説明するためのネットワークアーキテクチャの一例が図示されている。図1に図示されているように、UE(ユーザ端末)(100)は、最初(移動前)は、eNB1(111)及び対応するSGW1(115)を含むアクセスネットワークに接続されている。さらに、SGW1(115)は、P-GW(119)を経由してコアネットワーク(135)に接続されている。
 また、UE(100)は、任意の制御シグナリングプロトコル(例えば、SIP)によって制御されるIPマルチメディアアプリケーションを起動しており、不図示の他のノード(すなわち、UE(100)の通信相手であるCN(Correspondent Node:コレスポンデントノード))と通信を行う。
 また、制御シグナリングプロトコルのエントリポイント(例えば、P-CSCF1(121))は、P-GW(119)を経由してアクセスネットワークに接続されている。エントリポイントは、UE(100)とアプリケーションセッション制御システム(例えば、非特許文献2に定義されているようなS-CSCF及び/又はAS(S-CSCF/AS(125)と記載))との間の制御シグナリングを中継する機能を有している。
 S-CSCF/AS(125)は、UE(100)からのシグナリングメッセージを処理するか、あるいは、通信セッションの他方のノード(すなわち、UE(100)の通信相手であるCN)に向けてそのメッセージを更に中継する機能を有している。なお、S-CSCF/AS(125)は、例えばセッション継続アンカ(Session Continuity Anchor)などのような他の機能を有していてもよい。
 なお、図1には、図面を簡略化するため、S-CSCF/AS(125)までのシグナリングパスのみが図示されているが、当業者であれば、S-CSCF/AS(125)から通信セッションの他方のノードへ向けた処理が、UE(100)からS-CSCF/AS(125)への処理と同様であることは明らかである。すなわち、UE(100)が開始処理(initiating process)を実行し、S-CSCF/ASが終了処理(terminating process)を実行する。また、S-CSCF/AS(125)以降の処理(S-CSCF/AS(125)と通信セッションの他方のノードとの間の処理)が本発明の基本的な概念に依存しないことは、当業者には明らかである。
 UE(100)は、無線通信機能を有しており、任意のタイミングで新たな位置に移動して、新たなeNBと接続することが可能である。なお、図1において、移動後(ハンドオーバ後)の新たな位置におけるUEはUE(101)によって表されており、UE(101)が新たなeNB2(113)及び対応するSGW2(117)を含む別のアクセスネットワークに接続されている状態が図示されている。SGW2(117)を含むアクセスネットワークは、同一のP-GW(119)を経由してコアネットワーク(135)に接続されている。また、SGW2(117)は、SGW1(115)と同様に、P-GW(119)を経由してコアネットワーク(135)に接続されている。
 この新たな位置では、UE(101)に関する対応する制御シグナリングエントリポイントは、UE(100)の状態(移動前の状態)とは異なっている。すなわち、移動後の新たな位置の制御シグナリングエントリポイントは、P-CSCF2(123)である。P-CSCF2(123)は、UE(101)とS-CSCF/AS(125)との間でシグナリングメッセージを中継する機能を有している。また、P-CSCF2(123)は、コアネットワーク(135)を経由してP-CSCF1(121)に接続している。
 なお、P-CSCF1(121)とP-CSCF(123)との接続は、異なる形式(例えば、直接接続、IPネットワーク経由、又は、S-CSCF/AS(125)のような任意のプロキシ経由)で行われていてもよい。P-CSCF2(123)が、UE(101)から提供されるアドレス情報を用いてシグナリングメッセージをP-CSCF1(121)へ転送可能でさえあれば、本発明の基本的な概念に影響を及ぼすものではない。
 SGW1(115)とP-GW(119)との間では、例えば、GPRS(General Packet Radio Service)トンネリングプロトコル(GTP:GPRS Tunneling Protocol)やPMIPなどのようなネットワークによるモビリティ管理方式が用いられる。また、SGW2(117)とP-GW(119)との間においても、ネットワークによるモビリティ管理方式が用いられるが、同一のプロトコルである必要はない。例えば、SGW1(115)はGTPを使用し、SGW2(117)はPMIPを使用してもよい。なお、アクセスネットワークにおいて用いられるモビリティ管理方式は、UE(100/101)のIPアドレスがハンドオーバ後も変更されない限りにおいて、本発明の基本的な概念に影響を及ぼすものではない。
 また、図1には、本発明に係るシグナリングに関連したネットワークノードのみが図示されているが、DNS(Domain Name System)サーバ、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ、MME(Mobility Management Entity)など、より多くのノード(不図示)が通信処理に関わっていてもよいことは、当業者には明らかである。
 図1には、P-CSCF1(121)及びP-CSCF2(123)がP-GW(119)経由でUEに接続している状態が図示されている。しかしながら、実際の構成では、P-CSCF1(121)及びP-CSCF2(123)はアクセスネットワーク内に配置され、例えば、SGW1(115)やSGW2(117)と同一の装置内に配置されてもよい。P-CSCF1(121)及びP-CSCF2(123)は、直接又は間接的(例えば、任意のその他のプロキシ経由)に相互に通信を行うことができれば、本発明の基本的な概念に影響を及ぼすものではない。
 また、図3には、本発明の第1の実施の形態における動作の一例が図示されている。なお、図2に図示されている従来技術に係るシーケンスと比較すれば分かるように、図3に図示されている本発明に係るシーケンスでは、シグナリングの低減が図られている。
 ステップS3001に示すように、UE(100)は、最初、SGW1(115)へ接続されており、P-CSCF1(121)及びS-CSCF/AS(125)を経由してIPマルチメディアサービスセッションを確立している。ここで、ステップS3003において、UE(100)が、新たな位置(図1のUE(101)の位置)へ移動したとする。ステップS3005において、UE(101)は、新たな位置において、ネットワークによるモビリティ管理方式によって、使用中のアドレスと同一のアドレスを取得する。すなわち、UE(101)はSGW2(117)に接続し、 モビリティ管理されたネットワークを経由して同一のP-GW(119)から同一のIPアドレス(ハンドオーバ前のアドレス)を取得する。なお、図3に示すステップS3001~S3005の処理は、図2に示すステップS2001~S2005の処理と同一であってもよい。
 本発明では、UE(101)のアドレスがハンドオーバ前のUE(100)と同一であることから、UE(101)が新たな位置に移動した場合に、ハンドオーバ前に使用されていたシグナリングパス(シグナリング接続)が再使用可能であることを利用する。
 接続処理の間に、UE(101)は、ステップS3007において、この新たな位置に対応するシグナリングエントリポイント(例えば、P-CSCF(123))を発見し、このP-CSCF2(123)のアドレスを取得する。なお、P-CSCF2(123)のアドレスの所得は、AND SF(Access Network Detection and Selection Function)処理の一部で行われてもよい。例えば、この処理はIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11ベースのクエリの一部であってもよく、オープンモバイルアライアンス(Open Mobile Alliance)のデバイスマネジメント方式(OMA-DM方式)を利用したネットワークベースのコンフィギュレーションプッシュであってもよい。また、アクセスネットワークがGPRS互換性を有している場合には、非特許文献2に定義されているように、P-CSCF2(123)のアドレスをベアラセットアップ処理に埋め込むことが可能である。上述のシステムが利用できない場合には、IP接続が確立した後に、UE(101)が、例えばDNSやDHCPなどのIPベースの探索メカニズムを利用してもよい。なお、P-CSCF2(123)のアドレスを取得するために用いられるメカニズムは、本発明の基本的な概念に影響を及ぼさないことは、当業者には明らかである。
 UE(101)は、P-CSCF2(123)のアドレス又は識別情報を取得した後、記憶しているハンドオーバ前のP-CSCF(すなわち、P-CSCF1(121))のアドレス又は識別情報との比較を行う。ここで、アドレス又は識別情報が変わっている場合(すなわち、移動前後でP-CSCFが異なる場合)には、UE(101)は、特別なシグナリング処理を実行する。
 UE(101)は、登録シグナリング処理(登録及び認証処理)を実行する代わりに、ステップS3009に示すように、通常のセッション制御シグナリングメッセージ(例えば、P-CSCF2(123)へのIMS_INVITEメッセージ)を送信する。3GPPアクセスの場合には、IMS_INVITEメッセージは、非特許文献2及び3に定義されているようなINVITEメッセージとなる。
 登録処理が実行されていないので、ステップS3009で送信されたIMS_INVITEメッセージは、P-CSCF2(123)のオープンポートへ送られる。すなわち、事前に接続が行われている必要はない。UE(101)は、P-CSCF2(123)の探索の間に、例えばDHCPクエリ応答に含まれるP-CSCF2のアドレス情報の一部として、ポート情報を取得する。なお、UE(101)に対してポート情報が明示的に提供されなかった場合には、UE(101)は、任意の周知のポート(例えば非特許文献3に定義されているオープンポート)を使用する。
 ステップS3009で送信されるIMS_INVITEメッセージには、いくつかの追加フラグや情報要素が含まれる。以下、ステップS3009で送信されるIMS_INVITEメッセージに含まれる追加フラグ及び情報要素の一例のリストを示す。
 ・最初は新たな位置における登録を行わずにIMS_INVITEメッセージを送信するように指示するフラグ
 ・応答のマッチングに使用される特別なシーケンス
 ・UE(101)が現在のP-CSCF(例えばP-CSCF2(123))とは異なるP-CSCFを選択するシステムを容認することを示す指標
 ・ハンドオーバ前のP-CSCFに関する情報要素(例えば、アドレス及びポートナンバーを含む)
 ・ハンドオーバ前のP-CSCFに登録したUE(100)のユーザ識別情報
 ・UE(100)におけるユーザのインスタンス又はセッションの識別情報
 ・ハンドオーバ前のP-CSCFがメッセージの認証を行うためのセキュリティ情報要素、及び、新たな登録を実行できるようにする情報
 ・UE(101)がIPマルチメディアセッションをアップデートするために利用するローカル情報要素(例えば、メディアに関する新たなセットのパラメータ)
 ・セッションのアップデートに関連するアプリケーションセッション制御パラメータを含むアプリケーションセッション情報要素。メッセージのこの部分は、UE(101)とP-CSCF1(121)との間のセキュリティアソシエーションを用いて暗号化可能である。
 P-CSCF2(123)は、ステップS3009で送信されたIMS_INVITEメッセージを受信すると、このメッセージがまず登録処理を行わずに送信するものであることを、フラグから把握する。この場合、P-CSCF2(123)は、対応する情報要素から、ハンドオーバ前のP-CSCF(すなわち、P-CSCF1(121))の情報を読み出す。次に、P-CSCF2(123)は、メッセージから取得したアドレス情報に従って、P-CSCF1(121)に向けてIMS_INVITEメッセージを発送するための準備を行う。
 また、P-CSCF2(123)は、ステップS3011において、受信したIMS_INVITEメッセージに基づいてローカル情報要素をアップデートする。例えば、P-CSCF2(123)は、P-CSCF2(123)自身のアドレス情報、ローカルアクセスネットワーク情報、UE(101)のローカルアクセス情報などを、ローカル情報要素に追加する。
 さらに、P-CSCF2(123)は、必要に応じてセキュリティ情報要素のアップデートも行ってもよい。例えば、P-CSCF2(123)は、UE(101)から提供されたセキュリティ情報の任意の箇所(例えばノンス値)を格納することで、更なるセキュリティアソシエーションの確立を行ってもよい。また、P-CSCF2(123)は、S-CSCF/AS(125)がP-CSCF2(123)を認証するための追加セキュリティベクトルを情報要素に挿入してもよい。
 これらのアップデートの後、P-CSCF2(123)は、ステップS3013において、UE(101)によって示されたアドレスを用いて、P-CSCF1(121)に向けてIMS_INVITEメッセージを転送する。P-CSCF2(123)は、P-CSCF1(121)との間で既に存在する任意の関係を再利用して、メッセージを送信してもよい。P-CSCF2(123)は、例えば、ステップS3013で送信されたIMS_INVITEメッセージの送信元アドレスとユーザが最後に登録したアドレスとが一致するかどうかをP-CSCF1(121)が確かめることなく、P-CSCF1(121)がこのIMS_INVITEメッセージを受け入れるP-CSCF1(121)の特別なポートを使用することが可能である。
 P-CSCF1(121)は、ステップS3013で送信されたIMS_INVITEメッセージ内に、登録を行っていないことを示すフラグを見つけると、そのIMS_INVITEメッセージをUE(101)から直接受信したかのように、通常と同様の処理を行う。しかしながら、このIMS_INVITEメッセージをアップデートする際、P-CSCF1(121)は、P-CSCF2(123)によって追加された情報(例えば、ローカル情報要素内のP-CSCF2(123)のアドレスやセキュリティベクトルなど)の上書きを行わない。また、P-CSCF1(121)は、P-CSCF2(123)によって追加された情報が、P-CSCF2(123)がUE(101)に最も近いP-CSCFであることを示すような順序で存在していることを、例えばレコードルートヘッダ(Record-Route header)内のアドレスの配列から確認する。
 例えば、非特許文献2に定義されているような必要な処理を行った後、P-CSCF1(121)は、ステップS3015において、そのユーザ及びセッションに関するレコードに従って、S-CSCF/AS(125)へIMS_INVITEメッセージを転送する。S-CSCF/AS(125)は、ステップS3015において送信されたIMS_INVITEメッセージを受信すると、登録が行われていないことを示すフラグから、このIMS_INVITEメッセージが通常のセッションアップデートメッセージである以外に、さらに登録のアップデートのためのものでもあると推定する。
 この場合、S-CSCF/AS(125)は、ステップS3017に示されているように、通常のINVITEメッセージを受信した場合と同様に、ユーザプロファイルのアップデート及びサービス制御を行う。例えば、この処理において、タイマのリフレッシュ、セッションのリモートアクセスレグのアップデートなどが行われる。同時に、S-CSCF/AS(125)は、このIMS_INVITEメッセージに挿入されているP-CSCF2(123)の検索も行う。
 登録のアップデートは、主に、P-CSCF2(123)から提供された情報に基づいて行われる。例えば、P-CSCF2(123)のアドレス又は識別情報をS-CSCF/AS(125)において記憶する処理や、UE(101)に対する新たな一時的なIDの割り当て、セキュリティアソシエーションのアップデートなどが行われる。また、例えば、S-CSCF/AS(125)は新たなT-GRUU(temporary Globally Routable UA URI)をUE(101)へ割り当ててもよい。
 セッションアップデート及び登録処理を行った後、S-CSCF/AS(125)は、ステップS3019に示すように、IMS_Acceptメッセージによって、UE(101)へ応答を返信する。登録処理が行われた後はP-CSCF2(123)のアドレスはS-CSCF/AS(125)に格納されているので、ステップS3019で送信されるIMS_Acceptメッセージは、P-CSCF1(121)ではなく、P-CSCF2(123)を経由して転送される。
 IMS_Acceptメッセージには、2つのパラメータセット(セッションアップデートのためのものと登録のためのもの)が含まれる。また、例えば、2つの処理に関して、2つのセットの結果コードが存在し得る。S-CSCF/AS(125)は、セッションアップデートに関して、例えばSDP(Session Description Protocol)オブジェクトなどの追加パラメータを応答に挿入してもよい。また、S-CSCF/AS(125)は、登録処理に関して、P-CSCF2(123)に関する任意のセキュリティオブジェクトや鍵素材(keying materials)を応答に挿入してもよい。
 S-CSCF/AS(125)は、IMS_INVITEメッセージに含まれる特別なシーケンス値を応答(すなわち、ステップS3019で送信されるIMS_Acceptメッセージ)に含ませる必要がある。例えば、ステップS3019で送信されるIMS_Acceptメッセージに挿入される情報の一例として、以下のものが挙げられる。
 ・このメッセージがセッションアップデート及び登録アップデートの両方に対する応答であることを示すフラグ
 ・UE(101)がリクエストに対する応答のマッチングを行うためのものであって、ステップS3015で送信されたIMS_INVITEメッセージからコピーされた特別なシーケンス値
 ・S-CSCF/AS(125)のアドレス又は識別情報の情報要素
 ・セッションアップデート処理に関する結果コード
 ・登録アップデート処理に関する結果コード
 ・セッションを継続させるためにS-CSCF/AS(125)が選択したP-CSCFを示すP-CSCF識別情報要素
 ・P-CSCF2(123)がUE(101)とのアソシエーションを確立するためのセキュリティベクトル
 ・セッション制御パラメータを記述するSDPオブジェクト
 ステップS3019のIMS_Acceptメッセージを受信した後、P-CSCF2(123)は、IMS_Acceptメッセージ内のP-CSCF識別情報要素をチェックし、自身の識別情報に等しい場合には、UE(101)に転送するIMS_Acceptメッセージに、更なる通信で用いられる自身のアドレス情報(例えば、IPアドレス、ポートナンバー、対応する暗号化アルゴリズムなど)を挿入する。
 また、P-CSCF(123)は、UE(101)に関するレコードが存在していない場合には、UE(101)に関するレコードを作成して必要な情報を格納(例えば、S-CSCF/AS(125)のアドレスを格納)して、非特許文献2で登録に関して定義されているように、UEとの間における以降の通信のための鍵を生成する。なお、一部の情報に関しては、ステップS3009におけるIMS_INVITEメッセージから取得した情報から生成される。
 さらに、P-CSCF2(123)は、UE(101)にとって不要な任意の情報要素(例えば、課金の指示やセキュリティベクトルなど)を削除する。P-CSCF2(123)は、ステップS3021において、このようにして変更したIMS_AcceptメッセージをUE(101)へ転送する。なお、必要であれば、P-CSCF2(123)は、UE(101)に送信されるIMS_Acceptメッセージに対してセキュリティ保護を使用してもよい。
 UE(101)は、ステップS3021におけるIMS_Acceptメッセージを受信すると、シーケンス値に基づいて、ステップS3009で送信したIMS_INVITEメッセージに格納した状態のマッチング及び読み出しを行う。セキュリティ保護が使用可能であれば、UE(101)は、その状態に関連付けられているセキュリティ情報を用いてメッセージの検証を行い、以降の通信に必要となる鍵を生成する。さらに、UE(101)は、ステップS3021で送信されたIMS_Acceptメッセージに埋め込まれているP-CSCF2(123)のアドレス情報(IPアドレス、ポートナンバーなど)を格納する。同時に、UE(101)は、ステップS3021で送信されたIMS_Acceptメッセージ内のSDP情報を用いて、アプリケーション構成のアップデートを行う。
 また、図4には、本発明の第1の実施の形態における動作の別の一例が図示されている。図4において、ステップS4001~S4015の処理は図3のステップS3001~S3015の処理と同一である。
 ステップS4017において、S-CSCF/AS(125)は、UE(101)が新たなP-CSCFを選択するシステムを容認しているという指標を含むIMS_INVITEメッセージ(ステップS4015のIMS_INVITEメッセージ)を受信した後、P-CSCF2(123)から送信されたIMS_INVITEメッセージ内のローカル情報要素(例えば、ローカルアクセスネットワーク情報)に基づいて、利用可能な複数のP-CSCFの評価を行う。
 例えば、評価の結果、S-CSCF/AS(125)は、UEがハンドオーバを行った後であっても、P-CSCF1(121)がセッションの継続性をサポートするためにより適していると判断したとする。この場合、S-CSCF/AS(125)は、より適切であると判断したP-CSCF1(121)に関して登録アップデートを実行する(例えば、対応するタイマのリフレッシュなど)。
 なお、S-CSCF/AS(125)がUE(101)にとって適切なP-CSCFを判断する基準として用いることが可能な例として、以下の条件が挙げられる。なお、例えば、以下の条件のうちの任意の1つ又は複数が、ユーザ及び/又はオペレータによってセットされたポリシに基づいて選択される。
 ・P-CSCFの負荷状態(例えば、負荷バランシングなど)
 ・UEの地理的な位置
 ・ソフトウェア/シグナリングスタックのバージョン番号
 ・加入しているサービスの種類(例えば、プレミアムサービス専用のP-CSCF)
 ・関連するアクセスノード(例えば、マクロセル又はHeNB経由)
 ・アクセスタイプ(例えば、CS(Circuit Switched:回線交換)又はPS(Packet Switched:パケット交換))
 ・現在の日付
 ・オペレータ側による保守の日程
 ・より詳細なユーザプロファイル/ユーザ嗜好(例えば、年齢、性別、コスト面)
 ・モビリティ/セッションの継続性の要件、SCC(Service Centralization and Continuity)サーバの条件
 そして、S-CSCF/AS(125)は、IMS_INVITEメッセージに関して、例えば登録アップデート、リモートアクセスレグのアップデート、セキュリティアソシエーションのアップデートなどの必要な処理を行った後、ステップS4019に示すように、選択された最適なP-CSCF(すなわち、P-CSCF1(121))に向けて応答メッセージを送信する。
 なお、ステップS4015のIMS_INVITEメッセージの転送には、S-CSCF/AS(125)とP-CSCF1(121)との間に既に存在しているアソシエーションを利用することが可能である。また、ステップS4019のIMS_Acceptメッセージのフォーマットは、ステップS3019で送信されたIMS_Acceptメッセージと同一である。しかしながら、ステップS4019のIMS_Acceptメッセージには、P-CSCF識別情報要素にP-CSCF1(121)の識別情報が含まれている。
 P-CSCF1(121)は、ステップS4019で送信されたIMS_Acceptメッセージを受信した後、このメッセージ内に含まれている、選択されたP-CSCFの識別情報(すなわち、P-CSCF1(121)の識別情報)が自身のものと等しいことを把握すると、UE(101)の対応する状態エントリをアップデートする(例えば、タイマのリフレッシュ、鍵のアップデートなど)。
 そして、P-CSCF1(121)は、UE(101)に転送するIMS_Acceptメッセージに、アドレス情報(例えば、UE(101)が使用するIPアドレスやポートナンバー、使用するプロトコル、セキュリティ方式など)を挿入する。なお、状態のアップデートを行う際には、ステップS4009で受信したIMS_INVITEメッセージから読み出した情報(鍵素材など)が使用される。さらに、P-CSCF1(121)は、IMS_AcceptメッセージからUE(101)にとって不要な任意の情報(課金の指示、ネットワーク情報など)を削除する。
 このようにして処理されたIMS_Acceptメッセージは、ステップS4021に示すように、P-CSCF1(121)からUE(101)へ転送される。UE(101)は、IMS_Acceptメッセージ(4021)を受信すると、シーケンス値を用いて、ステップS4009でIMS_INVITEメッセージ(4009)を送信した際に格納した状態のマッチング及び読み出しを行う。なお、セキュリティ保護が使用可能であれば、UE(101)は、その状態に関連付けられているセキュリティ情報を用いてメッセージの検証を行い、以降の通信に必要となる鍵を生成する。さらに、UE(101)は、以降の通信のために用いられるP-CSCF1(121)のアドレス情報(IPアドレス、ポートナンバーなど)を格納する。同時に、UE(101)は、ステップS4021で送信されたIMS_Acceptメッセージ内のSDP情報を用いて、アプリケーション構成のアップデートを行う。
 また、図5には、本発明の第1の実施の形態における動作の更に別の一例が図示されている。図5において、ステップS5001~S5007の処理は図3のステップS3001~S3007の処理と同一である。
 UE(101)は、ステップS5009において、IMS_RegisterメッセージをP-CSCF2(123)に向けて送信する。なお、UE(101)は、Registerメッセージの性質上、このIMS_RegisterメッセージをP-CSCF2(123)のオープンポートに向けて送信することができる。IMS_Registerメッセージ(5009)に含まれる情報の一例は、以下の通りである。
 ・登録がセッションアップデートに統合されていることを示すフラグ
 ・応答のマッチングに使用される特別なシーケンス
 ・UE(101)が現在のP-CSCF(P-CSCF2(123))とは異なるP-CSCFを選択するシステムを容認することを示す指標
 ・ハンドオーバ前のP-CSCFに関する情報要素(例えば、アドレス及びポートナンバーを含む)
 ・ハンドオーバ前のP-CSCFに登録したUE(100)のユーザ識別情報
 ・UE(100)におけるユーザのインスタンス又はセッションの識別情報
 ・ハンドオーバ前のP-CSCFがメッセージの認証を行うためのセキュリティ情報要素、及び、新たな登録を実行できるようにする情報
 ・例えば、メディアに関する新たなパラメータセットなど、UE(101)がIPマルチメディアセッションをアップデートするために使用するローカル情報要素
 ・UE(101)がIPマルチメディアセッションをアップデートするために利用するローカル情報要素(例えば、メディアに関する新たなセットのパラメータ)
 ・セッションのアップデートに関連するアプリケーションセッション制御パラメータを含むアプリケーションセッション情報要素。メッセージのこの部分は、UE(101)とP-CSCF1(121)との間のセキュリティアソシエーションを用いて暗号化可能である。
 P-CSCF2(123)は、ステップS5009で送信されたIMS_Registerメッセージを受信すると、登録及びセッションアップデートの統合を示すフラグの存在をチェックする。フラグが存在している場合には、P-CSCF2(123)は、標準のS-CSCF探索処理をスキップする(すなわち、P-CSCF2(123)によるS-CSCFへの登録処理をスキップする)。
 一方、P-CSCF2(123)は、ハンドオーバ前のP-CSCFの情報をステップS5009で送信されたIMS_Registerメッセージから取得し、指定されているアドレスに向けてメッセージを転送する処理を行う。このとき、P-CSCF2(123)は、ステップS5011に示すように、ローカル情報要素をアップデートする。P-CSCF2(123)は、例えば、自身のアドレス情報、ローカルアクセスネットワーク情報、UE(101)のローカルアクセス情報などをローカル情報要素に追加する。
 さらに、P-CSCF2(123)は、必要に応じてセキュリティ情報要素のアップデートを行ってもよい。例えば、P-CSCF2(123)は、UE(101)から提供されたセキュリティ情報の任意の部分(例えば、ノンス値)を格納し、更なるセキュリティアソシエーションを確立してもよい。また、P-CSCF2(123)は、S-CSCF/AS(125)がP-CSCF2(123)を認証するための追加セキュリティベクトルを情報要素に挿入してもよい。
 これらのアップデートの後、P-CSCF2(123)は、ステップS5013に示すように、UE(101)によって示されたアドレスを用いて、IMS_RegisterメッセージをP-CSCF1(121)へ転送する。なお、P-CSCF2(123)は、Registerメッセージの性質上、このIMS_RegisterメッセージをP-CSCF1(121)のオープンポートに向けて送信することができる。
 P-CSCF1(121)は、ステップS5013で送信されたIMS_REGISTERメッセージを受信すると、登録及びセッションアップデートの統合を示すフラグを検出する。そして、フラグが存在している場合には、P-CSCF1(121)は、ステップS5013のIMS_REGISTERメッセージに示されているUE(100)の識別情報に基づいて、UE(101)を認識することができるかどうかをチェックする。UE(100)の識別情報からUE(101)を認識することが可能である場合には、P-CSCF1(121)は、UE(100)の識別情報を用いてUE(100)の状態を読み出す。
 次に、P-CSCF1(121)は、ステップS5013のIMS_REGISTERメッセージ内のアプリケーションセッション情報要素を特定し、UEの状態に関連付けられている鍵を用いて復号する。そして、P-CSCF1(121)は、このIMS_REGISTERメッセージがセッションアップデートメッセージ(例えばIMS_INVITEメッセージ)であるかのように、ステップS5013のIMS_REGISTERメッセージの処理を行う。セッションアップデート処理の後、P-CSCF1(121)は、ステップS5015において、UE(100)の状態情報を用いて、S-CSCF/AS(125)に向けてメッセージを転送する。なお、このメッセージはIMS_INVITEメッセージとして(すなわち、INVITEメッセージの方法を用いて)転送される。
 ステップS5015で送信されるIMS_INVITEメッセージのメッセージフォーマットは、図3のステップS3015で送信されるIMS_INVITEメッセージと同一である。また、ステップS5017~S5021の動作は、図3に図示されているステップS3017~S3021の動作と同一である。なお、S-CSCF/AS(125)が、セッションの継続性に関して、新たな位置におけるUE(101)にとってP-CSCF1(121)が最も適切であると判断した場合には、この場合においてもステップS4017~S4021の処理が適用可能であることは、当業者には明らかである。
 図5に図示されている動作は、IMS_Registerメッセージ(例えば、ステップS5009~S5013)が事前のアソシエーションを必要とすることなく、P-CSCFのオープンポートに転送可能であるという利点を有している。同時に、UE(101)とP-CSCF1(121)との間のセッションアップデートに関する重要な情報に関しては、既に存在しているセキュリティアソシエーションを用いてそれぞれ保護することが可能となる。
 また、図6には、本発明の第1の実施の形態におけるUE(図1のUE(100)及びUE(101)に対応)の構成の一例が図示されている。図6に図示されているように、UE(600)は、セッション制御シグナリング機能(6001)、ベアラ確立制御機能(6003)、シグナリングエントリ探索機能(6005)、シグナリング状態管理機能(6007)の4つの主要な機能を有している。なお、UE(600)は、その他の機能を実装していてもよい。
 UE(600)が有する機能のうち、セッション制御シグナリング機能(6001)は、シグナリングメッセージの作成及び処理を行う。セッション制御シグナリング機能(6001)は、例えば、IMS_INVITEメッセージ(ステップS3009、S4009で送信されるIMS_INVITEメッセージ)、IMS_Register(ステップS5009で送信されるIMS_Registerメッセージ)の送信、IMS_Accept(ステップS3021、S4021、S5021で送信されるIMS_Acceptメッセージ)の受信及び処理を行う。
 また、セッション制御シグナリング機能(6001)は動作モードの決定も行う。セッション制御シグナリング機能(6001)は、例えば、図3、図4、図5に図示されているシーケンスを行うか否かを決定する。この決定は、UE(600)においてあらかじめ設定されたポリシ構成、又は、AND SF経由で取得したネットワーク構成情報、OMA-DMなどの方法によって提供されるネットワークポリシに基づいて行われる。例えば、新たな位置におけるP-CSCF(例えば、P-CSCF(123))がINVITEメッセージをオープンポートで聴取できるよう構成されている場合には、図3、図4のシーケンスが行うことが可能であり、ステップS3009又はステップS4009においてIMS_INVITEメッセージの送信が行われる。また、それ以外の場合には、図5に図示されているシーケンスが行われる必要があり、ステップS5009においてIMS_Registerメッセージが送信される必要がある。セッション制御シグナリング機能(6001)は、さらに、シグナリングされたパラメータに基づいてアプリケーションセッションの制御も行う。
 また、ベアラ確立制御機能(6003)は、UE(600)がネットワークへの接続を確立するための処理を行う。この処理は、例えば、PDP(Packet Data Protocol:パケットデータプロトコル)コンテキストセットアップ処理及びGPRSシステムにおけるベアラセット、あるいは、無線LANの接続及び認証処理である。なお、ベアラのセットアップにおいて、UE(600)のIPアドレスの構成処理が行われてもよい。
 また、シグナリングエントリ探索機能(6005)は、UE(600)がローカルネットワーク内のシグナリングエントリの位置を特定するための処理を行う。なお、本明細書で挙げている例では、シグナリングエントリはローカルなP-CSCFであるが、その他のノードであってもよい。シグナリングエントリ探索機能(6005)は、DNS又はDHCPクライアント、あるいは、IEEE802.21メディア独立ハンドオーバ情報サービスなどとして実現されてもよい。
 また、シグナリングエントリ探索機能(6005)は、例えばGPRSシステムにおいては、ベアラ確立制御機能(6003)と統合可能である。シグナリングエントリ探索機能(6005)が、ベアラシグナリングの前にP-CSCF(例えばP-CSCF2(123))を特定することが可能な場合には、UE(600)からの最初のシグナリングメッセージ(すなわち、IMS_INVITEメッセージ(ステップS3009、S4009で送信されるIMS_INVITEメッセージ)、又はIMS_Register(ステップS5009で送信されるIMS_Registerメッセージ)は、ベアラ確立処理を用いて(例えば、E-UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)アクセスにおけるNAS(Non Access Stratum)シグナリングによって)送信されてもよい。
 また、シグナリング状態管理機能(6007)は、シグナリングセッションに関する状態情報を格納するための処理を行う。例えば、シグナリング状態管理機能(6007)は、シグナリングエントリのアドレス、セキュリティアソシエーション、リフレッシュタイマなどの情報を格納する。
 また、図7には、本発明の第1の実施の形態におけるP-CSCF(図1のP-CSCF1(121)及びP-CSCF(123)に対応)の構成の一例が図示されている。P-CSCF(700)は、セッション制御シグナリング機能(7001)、PCC(Path Computation Client)相互作用機能(7003)、シグナリング状態管理機能(7005)の3つの主要な機能を有している。なお、P-CSCF(700)は、その他の機能を実装していてもよい。
 P-CSCF(700)が有する機能のうち、セッション制御シグナリング機能(7001)は、IMS_INVITEメッセージ(ステップS3009、S4009で送信されるIMS_INVITEメッセージ)のフラグを認識することが可能であり、先に説明したように、これらのフラグ処理を行う。また、セッション制御シグナリング機能(7001)は、IMS_INVITEメッセージ(ステップS3013、S4013で送信されるIMS_INVITEメッセージ)、又は、IMS_Registerメッセージ(ステップS5013で送信されるIMS_REGISTERメッセージ)にローカルアクセスネットワーク情報などを挿入することも可能である。
 また、PCC相互作用機能(7003)は、シグナリングされたパラメータに従った制御をネットワーク側で実施するために、ポリシコントロール及び課金フレームワークと相互作用を行う。また、シグナリング状態管理機能(7005)は、UE(UE(100)又はUE(101))に関するセッション状態エントリ(例えば、S-CSCF情報、セキュリティ鍵情報など)を作成及び格納する処理を行う。
 また、図8には、本発明の実施の形態におけるS-CSCF/AS(図1のS-CSCF/AS(125)に対応)の構成の一例が図示されている。図8に図示されているように、S-CSCF/AS(800)は、セッション制御シグナリング機能(8001)、P-CSCF選択機能(8003)、HSS相互作用機能(8005)、リモートアプリケーション相互作用機能(8007)、シグナリング状態管理機能(8009)の5つの主要な機能を有している。なお、S-CSCF/AS(800)は、その他の機能を実装していてもよい。
 S-CSCF/AS(800)が有する機能のうち、セッション制御シグナリング機能(8001)は、受信する統合された登録及びセッションアップデートメッセージ(例えば、IMS_INVITEメッセージ(ステップS3015、S4015のIMS_INVITEメッセージ)、IMS_Registerメッセージ(ステップS5015のIMS_Registerメッセージ))の処理を行い、応答(例えば、IMS_Acceptメッセージ(ステップS3019、S4019、S5019のIMS_Acceptメッセージ))の生成を行う。
 また、P-CSCF選択機能(8003)は、IMS_INVITEメッセージ(ステップS3015、S4015のIMS_INVITEメッセージ)、又は、IMS_Registerメッセージ(ステップS5015のIMS_Registerメッセージ)に挿入されているローカル情報要素(例えば、P-CSCFが配置されているローカルアクセスネットワークに関するローカルアクセスネットワーク情報)、及び、システムレベル情報(例えば、ネットワークトポロジ情報、S-CSCF/AS(125)と各P-CSCFとの接続などに関する情報)に基づいて、UE(101)にとって最適なP-CSCFの選択を行う。なお、P-CSCF選択機能(8003)は、UE(101)にとって最適なP-CSCFの選択処理を行う際に、他のノード(例えば、HSS(Home Subscriber Server))と相互に通信を行ってもよい。
 また、HSS相互作用機能(8005)は、UEの登録に関してHSSと通信を行ったり、S-CSCFがサービス制御に関する任意の情報を取得するためにHSSと通信を行ったりする機能を有している。また、リモートアプリケーション相互作用機能(8007)は、通信セッションのリモートエンドをアップデートする処理を行う。この処理では、例えば、通信セッションの終端のエンドノード(例えばCN)に向けて、シグナリングメッセージ(例えば、新たなIMS_INVITEメッセージ)を送信する処理が行われる。また、シグナリング状態管理機能(8009)は、UE(101)のセッションに関するシグナリングの状態情報の制御を行う。例えば、この状態情報には、新たな位置におけるUE(101)のために選択されたP-CSCFに関する情報が含まれる。
 また、図9には、本発明の第1の実施の形態におけるIMS_INVITEメッセージの内容の一例が図示されている。図9に図示されているように、非特許文献3に定義されているINVITEメッセージに関する要素以外に、IME_INVITEメッセージは、さらに以下の要素を有している。
 ・Msg Type(9001):このメッセージがIMS_INVITEメッセージであることを示すタイプ値
 ・No_Reg(9003):IMS_INVITEメッセージが、最初にP-CSCFによる登録が行われずに送信されることを示すフラグ
 ・SEQ(9005):UE(101)において応答のマッチングに用いられる特別なシーケンス
 ・Entry_Select(9007):UE(101)が、現在のP-CSCF(例えば、P-CSCF2(123))とは異なるP-CSCFを選択するシステムを容認することを示すフラグ
 ・Old_Entry(9009):ハンドオーバ前のP-CSCFに関する情報要素(例えば、アドレス及びポートナンバーなどが含まれる)
 ・UE_ID(9011)UE(100)がハンドオーバ前のP-CSCFに登録したユーザの識別情報
 ・S_ID(9013):UE(100)におけるユーザのインスタンス又はセッションの識別情報
 ・SEC_IE(9015):ハンドオーバ前のP-CSCFがメッセージの認証を行えるようにするための情報要素、及び、新たな登録が行われるようにするための情報
 ・LOC_IE(9017):UE(101)がIPマルチメディアセッションをアップデートするために用いるローカル情報要素(例えば、メディアに関する新たなパラメータセットなど)
 ・APP_IE(9019):セッションアップデートに関連するアプリケーションセッション制御パラメータを含むアプリケーションセッション情報要素。なお、メッセージのこの部分は、UE(101)とP-CSCF1(121)との間のセキュリティアソシエーションを用いて暗号化することが可能である。
 また、図10には、IMS_Acceptメッセージに存在する内容の一例が図示されている。
 図10に図示されているように、非特許文献3に定義されている応答(Response)メッセージに関する要素以外に、IMS_Acceptメッセージは、さらに以下の要素を有している。
 ・Msg Type(10001):このメッセージがIMS_Acceptメッセージであることを示すタイプ値
 ・COMBINE(10003):このメッセージがセッションアップデート及び登録アップデートの両方に関する応答であることを示すフラグ
 ・SEQ(10005):UE(101)がリクエストに対する応答のマッチングを行うためにIMS_INVITEメッセージからコピーされる特別なシーケンス値
 ・S-CSCF_ID(10007):S-CSCF/AS(125)のアドレス及び識別情報を含む情報要素
 ・REG_RESULT(10009):登録アップデート処理における結果コード
 ・UP_RESULT(10011):セッションアップデート処理における結果コード
 ・Entry_ID(10013):セッションの継続性に関連してS-CSCF/AS(125)が選択したP-CSCFを示すP-CSCFの識別情報要素
 ・SEC_IE(10015):選択されたP-CSCFがUE(101)とセキュリティアソシエーションを確立するためのセキュリティベクトル
 ・SDP_IE(10017)セッション制御パラメータを記述するSDPオブジェクト
 また、図11には、IMS_Registerメッセージに関する内容の一例が図示されている。図11に図示されているように、非特許文献3に定義されているRegisterメッセージに関する要素以外に、IMS_Registerメッセージは、さらに以下の要素を有している。
 ・Msg Type(11001):このメッセージがIMS_Registerメッセージであることを示すタイプ値
 ・CONBINE(11003):登録処理がセッションアップデート処理に統合されていることを示すフラグ
 ・SEQ(11005):UE(101)において応答のマッチングを行うために用いられる特別なシーケンス値
 ・Entry_Select(11007):UE(101)が現在のP-CSCF(例えば、P-CSCF2(123))とは異なるP-CSCFを選択するシステムを容認することを示すフラグ
 ・Old_Entry(11009):ハンドオーバ前のP-CSCFに関する情報要素(例えば、アドレス及びポートナンバーなどが含まれる)
 ・UE_ID(11011):UE(100)がハンドオーバ前のP-CSCFに登録したユーザの識別情報
 ・S_ID(11013):UE(100)におけるユーザのインスタンス又はセッションの識別情報
 ・SEC_IE(11015):ハンドオーバ前のP-CSCFがメッセージの認証を行えるようにするための情報要素、及び、新たな登録が行われるようにするための情報
 ・LOC_IE(11017):UE(101)がIPマルチメディアセッションをアップデートするために用いるローカル情報要素(例えば、メディアに関する新たなパラメータセットなど)
 ・APP_IE(11019):セッションアップデートに関連するアプリケーションセッション制御パラメータを含むアプリケーションセッション情報要素。なお、メッセージのこの部分は、UE(101)とP-CSCF1(121)との間のセキュリティアソシエーションを用いて暗号化することが可能である。
 なお、図9~図11にはIMS_INVITEメッセージ、IMS_Acceptメッセージ、IMS_Registerメッセージの各メッセージフォーマットが図示されているが、各メッセージはこれらの各メッセージフォーマットに限定されるものではない。例えば、SIP(Session Initiation Protocol)を用いてメッセージを実現する場合、各情報要素はテキスト形式で表されることになる。
 なお、上述の本発明の第1の実施の形態では、UE(101)から送信されたメッセージ(ステップS3009、S4009のIMS_INVITEメッセージ、ステップS5009のIMS_Registerメッセージ)がハンドオーバ後のP-CSCF(すなわち、P-CSCF2(123))経由でハンドオーバ前のP-CSCF(すなわち、P-CSCF1(121))へ転送されているが、UE(101)からハンドオーバ前のP-CSCF(すなわち、P-CSCF1(121))へメッセージが直接(P-CSCF2(123)を経由せずに)送信されてもよい。この場合、UE(101)は、ハンドオーバ後のP-CSCF(すなわち、P-CSCF2(123))がメッセージに追加する情報を事前に取得し、この情報をハンドオーバ前のP-CSCF(すなわち、P-CSCF1(121))へ送信するメッセージに追加して送信してもよく、あるいは、ハンドオーバ前のP-CSCF(すなわち、P-CSCF1(121))が、ハンドオーバ後のP-CSCF(すなわち、P-CSCF2(123))あるいはその他のノードから必要な情報を取得してもよい。
 以上、説明したように、本発明の第1の実施の形態では、ハンドオーバの前のUE(100)に関するシグナリングの設定を利用して、アプリケーションセッションのアップデートを行うので、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させることが可能となる。
 <第2の実施の形態>
 次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
 図12には、本発明の第2の実施の形態における動作の一例が図示されている。ステップS12001に示すように、UE(100)は、最初、SGW1(115)へ接続されており、P-CSCF1(121)及びS-CSCF/AS(125)を経由してIPマルチメディアサービスセッションを確立している。
 この状態では、P-GW(119)は、UE(100)のセッションに関する情報(例えば、P-CSCF1(121)のアドレス)を格納している。P-GW(119)は、このUE(100)のセッションに関する情報を様々な方法で取得することが可能である。例えば、P-GW(119)は、UE(100)とP-CSCF1(121)との間のシグナリングメッセージを傍受してもよい。また、P-GW(119)は、DNS、DHCP、ベアラセットアップなどによって、UE(100)に対するP-CSCFの割り当てを管理してもよい。また、P-GW(119)は、S-CSCF/AS(125)又はホーム加入者サーバなどのバックエンドサーバによって、この情報をチェックしてもよい。
 ステップS12003においてUE(100)が新たな位置(すなわち、UE(101))に移動した場合、UE(101)は、ステップS12005に示すように、SGW2(117)への接続(Attach)を試みる。ステップS12005における接続処理では、関連するアクセスネットワークに依存して様々な処理が行われる。例えば、リンクレイヤ確立処理、認証処理、デフォルトのベアラセットアップ処理などが行われる。
 UE(101)の接続によって、SGW2(117)によるネットワークベースのモビリティ管理方式(例えば、PMIP又はGTP)の処理が開始される。図12に図示されているように、SGW2(117)は、ステップS12007において、非特許文献1に規定されているPBU(Proxy Binding Update)メッセージを送信する。なお、異なるネットワークベースのモビリティ管理方式が用いられている場合にはSGW2(117)は異なるメッセージを送信することは、当業者にとって明らかであるが、本発明の基本的な概念に影響を及ぼすものではない。
 P-GW(119)は、ステップS12007で送信されたPBUメッセージを受信した後、格納されているUE(100)のセッションに関する情報を読み出す。そして、P-GW(119)は、ステップS12009に示すように、新たな位置に移動したUE(101)に対して新たなP-CSCFの割り当てが行われるべきかをチェックする。P-GW(119)は、任意のバックエンドサーバ(例えば、DHCPサーバ、DNSサーバ、HSS)に対して問い合わせを行うことで、新たなP-CSCFの割り当てが行われるべきか否かの判断を行ってもよい。
 P-GW(119)がUE(101)に関するP-CSCF(例えば、P-CSCF2(123))を変更する必要があると判断した場合、P-GW(119)は、ステップS12011に示すように、Context_Trigger(コンテキストトリガ)メッセージをハンドオーバ前のP-CSCF(例えば、P-CSCF1(121))へ送信する。ステップS12011で送信されるContext_Triggerメッセージは、例えば、以下の情報を有している。
 ・ハンドオーバ前のP-CSCFのアドレス
 ・ハンドオーバ後に対応するP-CSCFのアドレス
 ・UEの識別情報
 ・UEのアドレス
 P-GW(119)は、ステップS12011におけるContext_Triggerメッセージを、UE(100)に関して格納されているセッション情報(例えば、P-CSCF1(121)のアドレス)を用いて送信する。ステップS12011におけるContext_Triggerメッセージの送信に成功すると、P-GW(119)は、新しいP-CSCF(すなわち、P-CSCF2(123))のアドレスによって、UE(101)に関して格納されるセッション情報をアップデートする。
 なお、P-GW(119)が、P-GW(119)とP-CSCF1(121)との間における任意の転送方法(例えば、一般的なIP、SIPメッセージ、事前に確立されている付加的な制御チャンネルなど)によって、ステップS12011のContext_Triggerメッセージの送信を行ってもよいことは、当業者には明らかである。この転送方法は、本発明の基本的な概念に影響を及ぼすものではない。
 P-CSCF1(121)は、ステップS12011のContext_Triggerメッセージを受信した後、UE(100)のセッションコンテキスト情報を読み出して、ステップS12013のContext_Triggerメッセージによって示されるように、新たなP-CSCF(例えば、P-CSCF2(123))へ転送する。セッションコンテキスト情報には、非特許文献2に規定されているような、登録処理後にP-CSCFに格納される情報が含まれている。
 P-CSCF2(123)は、ステップS12013のContext_Triggerメッセージを受信した後、UE(101)に関するサードパーティ登録を実行して、ステップS12015のRegisterメッセージの送信に示すように、新たなP-CSCFのアドレスに関してS-CSCF/AS(125)のアップデートを行う。ステップS12015のRegisterメッセージには、S-CSCF/AS(125)がこのアップデート(例えば、アクセスネットワーク情報のアップデート、UE(101)とP-CSCF2(123)との間のセッションシグナリングに係る鍵の再生成など)を行うために必要なセキュリティ情報が含まれていてもよい。
 ステップS12017に示すように、Response(応答)メッセージによって、アップデート処理の結果や必要なフィードバック(例えば、鍵素材)などがP-CSCF2(123)に返信される。P-CSCF2(123)は、この情報を利用して、以降のUE(101)との通信のためにセッションコンテキストのアップデートを行う。例えば、アクセスネットワークの特定の制御又はフィルタが、ステップS12017のResponseメッセージによってP-CSCF(123)へ返されてもよい。
 一方、P-GW(119)は、ステップS12011におけるContext_Triggerメッセージの送信後、ステップS12019に示すように、PBA(Proxy Binding Acknowledgement)メッセージによって、PBUメッセージに対する応答をSGW2(117)へ行う。なお、ステップS12019で送信されるPBAメッセージのフォーマットは、非特許文献1に規定されているものと同一である。
 さらに、非特許文献1においてPBAメッセージに関して規定されている情報要素に加えて、P-GW(119)は、UE(101)に対して割り当てられた新たなP-CSCFに関する情報要素を加える。この情報は、例えば、IPアドレス又はFQDN(Fully Qualified Domain Name)の形式であってもよい。
 SGW2(117)は、ステップS12019で送信されたPBAメッセージを受信した後、このPBAメッセージに含まれる情報を用いてUE(101)の構成を行い、ステップS12021において、Configure(構成)メッセージによる通知を行う。なお、Configureメッセージは、ルータ通知(Router Advertisement)メッセージ、DHCPメッセージ、ベアラセットアップ応答メッセージなどの形式であってもよい。ステップS12021で送信されるConfigureメッセージは、UE(101)が新たな位置においてセッションを継続できるようにするためのアドレス情報(例えば、IPアドレスのプレフィックス、デフォルトルータアドレスなど)を構成するものである。
 また、SGW2(117)は、ステップS12021で送信されるConfigureメッセージに、ステップS12019のPBAメッセージから取得したUE(101)の新たなP-CSCFのアドレスを挿入することも可能である。さらに、ステップS12021のConfigureメッセージに新たなP-CSCFのアドレスが含まれている場合には、コンテキストが準備できていることを示すフラグも挿入される。このフラグによって、登録を行う必要がないことがUE(101)に通知される。
 UE(101)は、ステップS12021のConfigureメッセージを受信した後、アドレス構成のアップデートを行う。UE(101)は、ステップS12021で送信されたConfigureメッセージ内に、新たなP-CSCFのアドレス及びコンテキストが準備できていることを示すフラグを見つけると、ステップS12023に示すように、新たなP-CSCF(例えば、P-CSCF2(123))に対してセッションシグナリングメッセージを直接送信する。すなわち、UE(101)は、ステップS12023において、ステップS12021のConfigureメッセージから取得されたP-CSCF2(123)のアドレスに向けて、IMS_INVITEメッセージを送信する。なお、ハンドオーバ前のP-CSCF1(121)との間でセキュリティが利用可能であるなら、UE(101)は、必要なアップデート(鍵の再生成など)を行う際に、同一のセキュリティ方式を用いてもよい。
 ステップS12023で送信されたIMS_INVITEメッセージは、ステップS12013のContext_Transferメッセージから取得され、ステップS12017のResponseメッセージによってS-CSCF/AS(125)からアップデートされたセッションコンテキスト情報を用いて、P-CSCF2(123)でインタセプトされる。P-CSCF2(123)は、このIMS_INVITEメッセージに基づいて必要なアップデートを行った後、ステップS12025に示すように、IMS_INVITEメッセージをS-CSCF/AS(125)へ転送する。
 S-CSCF/AS(125)は、このIMS_INVITEメッセージに基づいてシグナリングメッセージの処理及びセッションのアップデートを行った後、ステップS12027に示すように、P-CSCF2(123)に向けてIMS_Acceptメッセージを応答する。P-CSCF2(123)は、必要な処理(例えば、課金ルールなどの任意のネットワークに関連する情報の削除)を行った後、ステップS12029に示すように、UE(101)に向けてIMS_Acceptメッセージを転送する。
 以上、説明したように、本発明の第2の実施の形態では、ハンドオーバの前のUE(100)に関するシグナリングの設定を利用して、アプリケーションセッションのアップデートを行うので、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させることが可能となる。
 なお、本発明の第2の実施の形態によれば、下記のハンドオーバ制御システムが提供される。
 ユーザ端末が第1アクセスネットワークから第2アクセスネットワークへハンドオーバを行う際のシグナリング制御を行うハンドオーバ制御システムであって、
 前記第1アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第1エントリポイントと、
 前記第2アクセスネットワークに対応する制御シグナリングプロトコルの第2エントリポイントと、
 前記第1エントリポイント及び前記第2エントリポイントのそれぞれと通信可能な通信ノードとを有し、
 前記ユーザ端末が前記第1アクセスネットワークから前記第2アクセスネットワークへ前記ハンドオーバを行った際に前記ユーザ端末のアドレスが変わらない場合に、前記第2エントリポイントが、前記通信ノードに前記ユーザ端末の接続通知を行い、
 前記通信ノードが、前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定を保持している前記第1エントリポイントに対して前記ユーザ端末の識別情報及び前記第2エントリポイントのアドレスを通知するとともに、前記ユーザ端末に対して前記第2エントリポイントのアドレスを通知し、
 前記第1エントリポイントが、前記第2エントリポイントに対して、前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定に関する情報を転送し、
 前記ユーザ端末が、アプリケーションセッションのアップデートを行うための前記セッションアップデートシグナリングメッセージを前記第2エントリポイントへ送信し、
 前記第2エントリポイントが、前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定に関する情報を、前記ハンドオーバの後の前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定に再利用することによって、
 前記ハンドオーバの前に設定されていた前記ユーザ端末に関するシグナリングの設定を利用して前記アプリケーションセッションのアップデートを行うよう構成されているハンドオーバ制御システム。
 本発明の基本的な概念に影響しない範囲において、本明細書で説明した各実施の形態の動作が変更可能であることは、当業者にとって明らかである。例えば、本発明の第2の実施の形態において、P-GW(119)は、ステップS12019で送信されるPBAメッセージに新たなP-CSCFアドレスを挿入せず、その代わり、SGW2(117)が、UEからのP-CSCFに関するDHCPクエリ又はDNSクエリを、P-GW(119)へ中継するよう構成されていてもよい。そして、この応答において、P-GW(119)は、新たなP-CSCF(例えば、P-CSCF2(123))のアドレス、及び、登録処理が必要ではないことを示すフラグを挿入してもよい。
 また、図1には1つのP-GW(119)のみが図示されているが、移動後においてもUE(101)のアドレスが維持されるのであれば、ハンドオーバ後にUE(101)に対して異なるP-GW(UE(100)を管理していたP-GWとは異なるP-GW)が管理を行う場合であっても本発明の適用が可能であることは、当業者には明らかである。また、図1に図示されているeNBがホームnodeB(Home nodeB)、又は、eNB/CSG(Closed Subscriber Group)アクセスであってもよいことは、当業者には明らかである。また、本発明で提案されるシグナリングに関連した必要な情報をUE(101)で利用可能でさえあれば、図1に図示されているUE(100)及びUE(101)が異なる物理エンティティであってもよいことは、当業者には明らかである。
 上記の本発明の各実施の形態の説明で用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSI(Large Scale Integration)として実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又はすべてを含むように1チップ化されてもよい。なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC(Integrated Circuit)、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
 また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
 さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。例えば、バイオ技術の適応などが可能性としてあり得る。
 本発明は、データ通信ネットワークにおけるユーザ端末のハンドオーバを適切に制御して、シグナリング数を低減させるという効果を有しており、データ通信ネットワークの技術、及び、特にモバイルデータ通信システム内の端末に関するシグナリング制御の技術に適用可能である。