ビットレー卜制御方法及び装置 技術分野
 本発明は音声データや画像データなどのリアルタイム卜ラフィックを送信する 技術に係り、 特にそのビッ卜レー卜制御方法及び装置に関する。 明
背景技術
 田
 周知のように、 従来の公衆電話網などに用いられている回線交換方式は、 送信 される情報の有無に関係なく両端末間で通信回線を占有するため、 音声や画像な どをリアルタイムで伝送するのに適している反面、 ネッ卜ワークの利用効率を高 めることが困難である。 また、 回線交換方式では、 端末間の接続においてネット ワーク全体の利用率を監視した呼制御を行うため、 端末数が増加するにつれて呼 制御の負荷が増大するという問題もある。
 一方、 パケット交換方式は回線を占有しないので、 回線交換方式よりもネット ワークの利用効率が高いため、 現在広く普及している。 特に、 TC P Ί P (Transmission Control Protocol/Internet Protocol) を用い,こパケット父換 方式においては、 呼制御が行われず、 各端末でネットワークの利用帯域が公平と なるような自律分散型のレー卜制御が行われているために、 上述したような呼制 御の負荷増大という問題は生じない。 さらに、 TC Pではパケットの欠落の有無 をチェックしており、 バケツ卜損失が生じた場合には再送要求を行うことで通信 の信頼性を高めている。
 しかし、 近年広まりつつある I Pを用いたパケット交換方式による音声,画像 データのリアルタイム通信では、 TC Pによるレ一卜制御は適用できない。 TC Pにおけるバケツ卜再送は、 ファイル転送等のデータ通信では信頼性を高めるの で望ましいが、 音声■画像などのリアルタイム通信では大きな遅延の原因となり, また送信ビッ卜レー卜の激しい変動により音質 ·画質の劣化が生ずるからである <  そこで、 リアルタイム通信では、 TC Pに代わって、 レート制御を行わない U D P (User Datagram Protocol) が用いられている。 しかしながら、 U D Pでは データを一方的に送り続けるために、 u D Pの卜ラフィックが増大すると T C P の利用する帯域を占有してしまい、 TC Pとの公平性の問題が新たに生じる。 こ れらの問題を解決するために開発された R S V P (Resource reservation
Protocol) は、 接続時に各端末の帯域を確保する方式であり、 遅延やパケット損 失の問題は解決されるものの、 回線交換方式と同じネッ卜ワーク効率の問題が生 じる。
 そこで、 別の解決策として考えられているのが、 TC Pと公平性のあるレー卜 制御を行う TC Pフレンドリー制御である。 TC Pフレンドリー制御には、 次の 2つの方式がある。
 1 ) T C Pのレー卜制御法である A I M D (Additive Increase/Multiple Decrease) に基づく方式 (文献 1 : Reza Rejaie, Mark Handley, Deborah Estrin, "RAP: An End-to-end Rate-based Congestion Control Mechanism for Realtime Stream in the Internet," INFOCOM' 99 (1999.3)を参照)。
 2) TC Pのスループットを目標ビットレ一卜とする方式 (T F R C) (文献 2 : "TCP Friendly Rate Control (TFRC): Protocol Specification," IETF Internet draft (draft-ietf-tsvwg-tfrc-03. txt) を参照)。
 A I MD方式では、 送信ビットレー卜を上げる場合は一定値を加算し、 送信ビ ットレ一卜を下げる場合は 1より小さい値を乗算する。 これら加算値および乗算 値を適切に設定することにより、 TC Pとの公平性を保ちつつ、 TC Pのような 大きな送信ビットレー卜の変動を抑えることも可能である。
 TC R F方式は、 次式 (1 ) で示す TC Pのスループットを目標ビットレー卜 とした制御を行う。
 R = 1/(RTTx (2xL/3) +TOxmin (1,3xV(3xL/8) )xLx(1 + 32xL2)) (1) ここで、 RTTはラウンド卜リップ時間、 TOはタイムアウト時間、 Lはバケツ 卜損失率を示す。
 ただし、 上記 T C Pフレンドリ一制御では、 送信ビッ卜レー卜が連続値となる ことを前提としている。 実際には音声■画像符号化器の送信ビットレー卜は離散 的であるため、 これら制御方式をそのまま音声 ·画像符号化器に適用することは できない。
 一方、 ネッ卜ワークの輻輳状態に応じて符号化器が動作するビッ卜レー卜を予 め決めておく方式も考えられている。 たとえば、
 文献 3 : Jeong ook Seo, et aに, A study on the application of an AMR speech codec to VoIP," Pro ICASSP2001 Vol. 3, pp.1373-1376、 および
 文献 4 : V. Abreu-Sernandez, et al., 'Adaptive mu 11 i-rate speech coder for VoIP transmission," Electronics Letters, Vol. 36, pp.〗978- 1980 を参照。 文献 3ではラウンド卜リップ時間に応じて、 文献 4ではバケツ卜損失率に応じ て、 それぞれ符号 ί匕器のビッ卜レー卜を切り替えている。 しかし、 これらの方式 は TC Pとの公平 1生がない。
 次に、 図 1を参照して、 従来の音声 ·画像データ通信装置の一例を説明する。 一般に、 音声 ·画像データ通信装置は、 図 1に示すように、 音声 ·画像符号化咅 402、 バケツト送信部 403、 バケツ卜受信部 404、 ビッ卜レー卜制御部 4 05、 音声 '画像復号部 406で構成される。 音声 ·画像符号化部 40 2は、 入 力音声 ·画像 40 1を符号化し、 音声 ·画像ビットストリームをパケット送信部 403に出力する。 バケツ卜送信部 403は、 入力された音声 ·画像ビッ卜ス卜 リームに I P/U D P/RT Rヘッダ (文献 5 : "RTP:A Transport Protocol for Real-Time Appl ications," IETF RFC1889を参照) を付加し、 ネットワークに送 信する。 R T Pヘッダには、 音声 ·画像デ一夕の通信に必要な情報が付加されて いる。
 一方、 バケツ卜受信部 404は、 音声 ·画像バケツ卜をネッ卜ワークから受信 し、 受信バケツ卜から音声 ·画像ビットス卜リームを抽出して音声■画像復号部 406に出力する。 音声 ·画像復号部 40 6は、 バケツ卜受信部から得た音声 · 画像ビットストリ一厶を復号し、 出力音声■画像データ 40 7を出力する。
 また、 パケット受信部 404は、 例えば R TC P (Real-time Transport
Control Protocol) (文献 5) パケットを受信し、 そこからラウンド卜リップ時間  (Round Tr i p T i me, RTT) およびパケット損失率に関する情報を抽出し、 ネッ卜 ワーク情報としてビットレー卜制御部 4 0 5に出力する。 ビッ卜レー卜制御部 4 0 5では、 A I M Dや T F R C等に基づくビットレー卜制御が行われる。
 A I M Dに基づくビットレー卜制御では、 バケツ卜受信部 4 0 4から得たパケ ッ卜損失率に応じて、 バケツ卜損失がない場合には現在の送信ビットレートにあ る値を加算し、 バケツ卜損失がある場合には現在の送信ビットレー卜にある値を 乗算することにより目標ビットレー卜を計算する。
 T F R Cに基づくビットレー卜制御では、 バケツ卜受信部 4 0 4から得たラウ ンド卜リップ時間 R T Tとパケット損失率し、 及び式 (1 ) を用いて目標ビット レー卜を計算する。 ここで、 ラウンド卜リップ時間とパケット損失率は、 測定精 度を高めるため、 ある時間で平均した値を用いる。
 上述のように計算された目標ビットレー卜は、 音声 ·画像符号化部 4 0 2に設 定されている複数の離散的なビットレー卜の 1つと合致するとは限らない。 この ために、 実際には、 計算された目標ビッ卜レー卜に最も近い離散的ビッ卜レー卜 を選択し、 音声 ·画像符号化部 4 0 2をその選択された離散的ビットレー卜を送 信ビットレー卜として設定する。
 上記文献 3や文献 4におけるビットレー卜制御では、 バケツ卜受信部 4 0 4か ら得たラウンド卜リップ時間やパケッ卜損失率に応じて定められる符号化器のビ ッ卜レー卜が音声 ·画像符号化部 4 0 2に出力される。 しかし、 上述したように これらの方式は T C Pとの公平性がない。
 音声 ·画像復号部 4 0 6は、 ピッ卜レー卜制御部 4 0 5で得たビットレー卜で 音声 ·画像を復号する。
 特開平 5— 2 6 0 0 9 0号公報には、 離散的なビッ卜レー卜を有する符号化器 を用いたビットレー卜制御方法の一例が開示されている。 この従来例では、 送信 ビットレー卜として、 複数ステップのビッ卜レー卜 (1 2 8 k b p s, 6 4 k b p s, 1 0 k b p sなど) のいずれかを設定できる映像符号化部を伝送路の輻輳 状態に応じてビットレー卜制御する。 具体的には、 伝送路に輻輳が発生すると 1 ステップ小さいビットレートに設定し、 輻輳が発生していなければ 1ステップ大 きいビットレートに設定する、 というように制御する。
 上述したように、 A I M Dや T F R Cに基づく T C Pフレンドリー制御は、 ビ ットレー卜が連続値をとることを前提としているために、 符号化器のビットレー 卜が離散的な値を取る音声■画像通信にはそのまま適用することができない。 そ こで、 ビッ卜レー卜制御により得られた目標値に最も近いビットレー卜が選択さ れる。 しかし、 そうすると目標値と実際の値との誤差が生じてしまい、 この誤差 は設定される送信ビットレー卜を頻繁に変動させる要因となり、 音質■画質の劣 化をもたらす。
 図 2は従来の自律分散型ビッ卜レー卜制御法を採用した場合のビッ卜レー卜変 動を示すタイムチャートである。 たとえば、 ネットワークに接続された各端末に おいて、 ラウンドトリップ時間やバケツ卜損失率などのネッ卜ワーク情報に基づ いて目標ビットレー卜を算出し、 それに最も近い離散的ビットレー卜に符号化器 を設定する制御が行われるものとする。 ここでは、 説明のために、 ある離散的ビ ッ卜レート R ( n + 1 ) に設定されるとネットワークが輻輳して目標ビットレー 卜が低下し、 それより低いビットレー卜 R ( n ) に設定されると目標ビットレー 卜が上昇するものと仮定する。
 この場合、 図 2に示すように目標ビットレー卜が低下すると、 ビッ卜レー卜制 御部 4 0 5は符号化部 4 0 2を R ( n + 1 ) から現在の目標値に最も近いビット レー卜 R ( n ) に低下させる。 この状態がしばらく続くと、 今度は目標ビットレ 一卜が上昇し、 それに追随するために、 符号化部 4 0 2を R ( n + 1 ) へ再び上 昇させる。 このような送信ビットレー卜変動が繰り返されると、 音声 ·画像を送 受信している端末間でリアルタイム卜ラフィックの品質が著しく低下する。 また、 文献 3や文献 4におけるラウンド卜リップ時間やバケツ卜損失率に応じ て符号化器のビットレートを切り替える方式ゃ特開平 5— 2 6 0 0 9 0号公報に 開示された方式では、 T C P制御との公平性が実現できない。 発明の開示
 そこで、 本発明の目的は、 ネットワークの状態に応じてリアルタイムトラフィ ックの送信ビッ卜レー卜を離散的に変更する場合でも、 リアルタイム通信の品質 劣^を抑制できるビットレー卜制御方法及び装置を提供することにある。
 本発明の他の目的は、 リアルタイム通信の品質を劣化させる送信ビットレ一卜 の変動を抑え、 且つ T C Pなどの他の制御方式との公平性を実現できるビットレ 一卜制御方法及び装置を提供することにある。
 本発明によれば、 リアルタイム卜ラフィック送信時の送信ビットレー卜を制御 する際に、 確率に基づいて送信ビットレー卜を決定することを特徴とするビッ卜 レー卜制御方法が得られる。
 このビッ卜レー卜制御方法によれば、 利用可能なビットレー卜が離散的であつ ても、 全端末の送信ビットレー卜を平均した値が所望のビットレートとなるよう に、 各端末の送信ビットレー卜を変更する確率値を定めておくことにより、 送信 ビットレ一卜の変動の少ない制御が可能となる。
 即ち、 ネッ卜ワーク全体の平均ビッ卜レー卜が所望の値となるように確率値を 計算し、 その確率値に基いて各端末の送信ビッ卜レー卜を変更する制御を行うこ とによって、 図 3に示すように送信ビットレー卜の変動を抑えることができる。 また、 ネッ卜ワークの状態に応じて符号化器の動作ビットレー卜を変更する場 合に、 上記計算された確率に基づいて送信ビッ卜レー卜を変更するようにすれば、 T C P等の制御方式との公平性を損なわないビッ卜レー卜制御が可能となる。
 本発明によるビットレート制御方法は、 ネッ卜ワークを通してリアルタイム卜 ラフィックを送信する際のビットレー卜制御方法において、 a ) 複数の予め定め られた離散的ビットレー卜を用意し、 b ) 前記複数の離散的ビットレートのうち 任意の隣接したビットレー卜の一方を選択する確率を決定し、 c ) 前記決定され た確率に基づいて、 いずれか一方のビッ卜レー卜を設定するか否かを判定する、 ことを特徴とする。
 本発明の第 1実施例によれば、 前記ステップ (b ) は、 b. 1 ) 前記ネットワーク の状態に応じて目標ビットレー卜を計算し、 b. 2) 前記計算された目標ビットレー 卜に隣接するビットレー卜を決定し、 b. 3) 前記計算された目標ビットレー卜が前 記特定されたビッ卜レー卜の一方に近いほど、 当該一方のビットレー卜を選択す る確率を高くする、 ことを特徵とする。
 すなわち、 目標ビットレー卜が算出されると、 その目標ビットレー卜に隣接す る離散的ビットレ一卜が決定され、 その何れのビットレー卜に符号化器を設定す るかは、 目標ビットレー卜が何れのビットレー卜に近いかに依存して確率的に決 定される。 したがって、 全端末の平均設定ビットレー卜は目標ビットレート近く になり、 このために、 T C Pなどの他の制御方式との公平性を保持できると共に、 各端末が目標ビットレー卜に近づこうとしてビットレー卜の設定を頻繁に変動さ せるという従来生じていた事態を回避することができる。
 本発明の第 2実施例によれば、 前記ステップ (b ) は、 b. 1 ) 前記ネットワーク の状態に応じて目標ビットレー卜を計算し、 b. 2) 前記計算された目標ビットレー 卜と現在設定されている送信ビットレー卜との差の大きさに依存して、 前記現在 設定されている送信ビットレー卜に隣接するビットレー卜の一方を選択する確率 を変化させる、 ことを特徴とする。
 すなわち、 現在設定されている送信ビットレー卜と算出された目標ビットレー 卜との差が大きいほど、 ビットレー卜変更の確率が大きくなる。 したがって、 現 在設定されている送信ビットレー卜が目標ビットレー卜から離れている端末では、 送信ビットレー卜が変更される確率が高くなり、 目標ビットレー卜に近い端末で は低くなる。 このために、 全端末の平均設定ビットレー卜は目標ビットレー卜近 くになり、 T C Pなどの他の制御方式との公平性を維持できると共に、 各端末が 目標ビットレー卜に近づこうとして送信ビットレー卜の設定を頻繁に変動させる という従来生じていた事態を回避することができる。 さらに、 本発明の第 2実施 形態によれば、 各端末において、 現在設定されている送信ビットレー卜 R ( n ) から 1ステップ上下するだけであり、 急激な送信ビッ卜レー卜変更は生じない。 このことは、 音声 ·画像の品質劣化を抑える効果がある。
 本発明の第 3実施例によれば、 前記ステップ (b ) は、 b. l ) 前記ネットワーク の状態に応じて送信ビットレー卜の変更方向を決定し、 2) 前記複数の離散的ビ ッ卜レー卜における前記現在設定されている送信ビットレー卜の高さに依存して、 前記現在設定されている送信ビットレー卜に隣接するビットレー卜の一方を選択 する確率を変化させる、 ことを特徴とする。
 たとえば、 バケツ卜の損失が検出されて送信ビットレー卜を低下させる必要が 生じた場合、 あるいは、 バケツ卜損失が検出されないことから送信ビットレー卜 を上昇させることができる場合には、 現在設定されている送信ビットレー卜がビ ッ卜レー卜設定可能範囲のどの位置にあるかによって、 ビッ卜レ一卜変更の確率 を変化させる。 具体的には、 パケットの損失が検出されるようになると、 現在設 定されている送信ビットレー卜が高い端末では、 ビットレー卜を低下させる確率 を高くし、 低い端末では低くする。 逆に、 パケットの損失が検出されない場合に は、 現在設定されている送信ビットレー卜が低い端末は、 ビットレー卜を上昇さ せる確率を高くし、 高い端末では低くする。 このために、 全端末間で公平なビッ トレ一卜設定が可能となり、 ネットワークの利用効率を最適化できると共に、 各 端末が目標ビットレー卜に近づこうとして送信ビットレー卜の設定を頻繁に変動 させるという従来生じていた事態を回避することができる。 さらに、 T C Pフレ ンドリ一制御と整合するようにビッ卜レー卜変更確率を設定することで、 端末間 の公平性および T C Pとの公平性を確保することができる。
 本発明の第 4実施例によれば、 前記ステップ (b ) において、 隣接するビット レー卜の間隔に依存して前記確率を決定することを特徴とする。 すなわち、 隣接 ビッ卜レー卜の間隔の大きさを送信ビットレー卜低下及び上昇確率に反映させる < たとえば、 隣接ビットレー卜までの距離が大きいほどビットレー卜変更確率を小 さくすることで、 音声 ·画像の品質劣化を抑制することができる。 図面の簡単な説明
 図 1は、 音声■画像データ通信装置の基本構成を示すブロック図であり、 図 2は、 従来のビッ卜レー卜制御方法による送信ビッ卜レー卜変動を模式的に 示す図であり、
 図 3は、 本発明によるビッ卜レー卜制御方法による送信ビットレ一卜変動を模 式的に示す図であり、
 図 4は、 本発明の第 1実施例によるビットレー卜制御方法を示すフローチヤ一 卜であり、
 図 5は、 本発明の第 2実施例によるビッ卜レー卜制御方法を示すフローチヤ一 卜であり、
 図 6は、 ビットレ一卜低下判定に用いられる確率計算式 (3.1) 〜式 (3.4) に よって求められる目標ビッ卜レ一卜と確率 Pdとの関係を示すグラフであり、 図 7は、 ビットレー卜上昇判定に用いられる確率計算式 (4.1) 〜式 (4.4) に よって求められる目標ビットレー卜と確率 P uとの関係を示すグラフであり、 図 8は、 本発明の第 3実施例によるビッ卜レー卜制御方法を示すフロ一チヤ一 卜であり、
 図 9は、 本発明の上記各実施形態を実現するビッ卜レー卜制御部の構成を示す ブロック図であり、
 図 1 0は、 相手端末側からビッ卜レー卜制御が行われる場合のシステム構成を 示すプロック図である。 発明を実施するための最良の形態
 図面を参照して、 本発明の実施例について説明する。
 本発明によるビッ卜レー卜制御方法を採用した音声 ·画像通信装置は、 全体的 なブロック構成としては図 1に示すものと基本的に同じであるが、 ビットレー卜 制御部 405の動作が異なる。
 以下の説明では、 音声■画像符号化部 402が N種類の離散的ビットレー卜 R (0)〜R (N— 1 )を有するものとして、 本発明によるビットレー卜制御の実施例 を詳細に説明する。 ただし、 R(0)<R(1 )< * · ' <R(N— 1 )とする。
 ( 1 ) 第 1実施例
 図 4は、 本発明の第 1実施例によるビットレー卜制御を示すフローチヤ一卜で ある。 まず、 目標ビッ卜レー卜 Rtを従来の A I MD又は T F R Cに基づく TC Pフレンドリ一制御等を用いて計算する (ステップ〗 0 1 )。
 この Rtに対し、 R(n)≤Rt<R(n + 1 )となる nを求め、 送信ビッ卜レー卜 が R(n)となる確率 Pを、 Rtが R(n)に近い程確率が高くなるような式、 たと えば式 (2) を用いて計算する (ステップ〗 02)。
 P(n) = (R(n + 1)— Rt)Z(R(n + 1)— R(n)) ...(2)
 なお、 このような式の代わりに、 目標ビットレー卜 Rtと確率 P(n)との対応 関係を具体的な数値として格納したテーブルを用いて、 検索により確率 P ( n )を 決定することも可能である。 いずれにしても、 このような式あるいはテーブルは、 変更確率生成情報としてメモリに予め格納されている。
 次に、 確率 P(n)に基づくビットレー卜判定を実行する。 本実施例では、 たと えば乱数を用いてビットレート判定を行う。 まず、 乱数 (正確には、 疑似乱数) Po を 0≤Po<1の範囲で生成する (ステップ 1 03)。 ここでは、 乱数として、 一様乱数を用いる。 得られた乱数 Poをステップ 1 02で算出した確率 P(n)と 比較し、 送信ビットレー卜を R(n)にするか R(n + 1 )にするかを判定する (ス テツプ〗 04)。 ここでは、 Po<P (n)の時には (ステップ 1 04の丫 E S)、 R (n)と判定され、 Po≥P(n)の時には (ステップ 1 04の NO)、 R(n + 1 )と 判定される。
 選択すべきビットレー卜が R ( n )と判定された場合は R = R ( n )と設定し (ス テツプ 1 05)、 R(n + 1 )と判定された場合は R==R(n + 1 )と設定して (ステ ップ 1 06)、 Rを符号化器に出力する (ステップ 1 07)。 こうして、 音声 -画 像符号化部 402は、 指定されたビッ卜レー卜 Rで入力音声 ·画像データを符号 化し、 符号化されたデータがバケツ卜送信咅 403を通してネッ卜ワークへ送出 される。
 以上説明したように、 本発明の第 1実施例によれば、 目標ビットレー卜 Rtが 算出されると、 その目標ビットレー卜 Rtに隣接する離散的ビッ卜レー卜が決定 され、 その何れのビッ卜レー卜に符号化器を設定するかは、 目標ビットレー卜 Rt が何れのビッ卜レー卜に近いかに依存して確率的に決定される。
 したがって、 目標ビットレー卜 Rtがビットレー卜 R(n)に近ければ、 そのビ ットレ一卜 R(n)に設定される確率が高くなる。 ネッ卜ワークに多数の端末が接 続され、 それらの端末で目標ビットレー卜がほぼ同じ程度であると仮定すれば、 その確率に対応する数の端末がビットレ一卜 R ( n )に設定され、 残りの端末がビ ッ卜レー卜 R(n + 1 )に設定される、 とみなせる。 したがって、 全端末の平均設 定ビットレートは目標ビットレー卜近くになり、 このために、 TCPなどの他の 制御方式との公平性を保持できると共に、 各端末が目標ビッ卜レー卜に近づこう としてビットレー卜の設定を頻繁に変動させるという従来生じていた事態を回避 することができる。
 (2) 第 2実施例
 本発明の第 2実施例では、 現在の送信ビットレー卜と目標ビッ卜レー卜との差 に依存してビットレー卜変更の確率を決定し、 その際、 送信ビットレー卜の大き な変動を避けるために隣接したビットレー卜にのみ変更可能としている。
 2. Ί ) 制御フロー
 図 5は、 本発明の第 2実施例によるビッ卜レー卜制御を示すフローチヤ一卜で ある。 まず、 第 1実施例と同じく目標とするビットレー卜 Rtを計算し (ステツ プ 1 01 )、 目標ビットレート Rtが現在の送信ビットレー卜 R(n)よりも小さい か否かを判定する (ステップ 202)。 Rtの方が小さいと判定された場合には
(ステップ 202の YES)、 送信ビットレー卜を下げるか否かの判定 (ビットレ 一卜低下判定:ステップ 204〜207) を行い、 そうでない場合は (ステップ 202の NO)、 Rtと現在の送信ビットレー卜 R(n)とが等しいか否かを判定す る (ステップ 203)。
 Rtと現在の送信ビットレー卜とが等しいと判定された場合は (ステップ 20 3の YES)、 そのまま R = R (n)とする (ステップ 21 4)。 そうでない場合は (ステップ 203の NO)、 送信ビットレー卜を上げるか否かの判定を行う (ビッ 卜レー卜上昇判定:ステップ 209〜21 2)。
 ビットレート低下判定 (ステップ 204〜207) では、 まず、 Rtと R(n) との差が大きい程、 値が大きくなるような確率 Pd (n)を計算する (ステップ 2 04)。 次式 (3) は、 このような計算式の一例である。
 P d(n) = (R(n) - Rt)X(R(N - l)-R(o)) -(3)
 次に、 確率 Pd(n)に基づくビットレー卜変更判定を実行する。 本実施例では、 たとえば乱数を用いてビットレート変更判定を行う。 まず、 乱数 (正確には、 疑 似乱数) Poを 0≤Po<1の範囲で生成する (ステップ 205)。 ここでは、 舌し 数として、 一様乱数を用いる。 続いて、 得られた乱数 Poをステップ 204で算 出した確率 Pd(n)と比較する (ステップ 206)。
 Poく Pd(n)であれば (ステップ 206の YE S)、 さらに現在のビットレー卜 R(n)が下限 (最低ビットレー卜) であるか否か (ここでは、 n = 0であるか否 か) を判定する (ステップ 207)。 現在の送信ビットレー卜 R(n)が下限でなけ れば (ステップ 207の Y ES)、 送信ビッ卜レー卜を下げると判定され、 nをデ クリメン卜 (n = n— 1 ) し (ステップ 208)、 R = R (n) と設定する (ステ ップ 2 1 4)。
 Po≥Pd(n)の場合 (ステップ 206の NO) あるいは現在の送信ビットレー 卜 R(n)が下限の場合 (ステップ 207の NO) には、 送信ビットレー卜を変更 しないと判定され、 そのまま R = R(n)とする (ステップ 2 1 4)。
 ビッ卜レー卜上昇判定 (ステップ 209〜21 2) では、 まず、 Rtと R(n) との差が大きい程、 値が大きくなるような確率 Pu(n)を計算する (ステップ 20 9)。 次式 (4) は、 このような計算式の一例である。
 P u(n) = (Rt - R(n))/(R(N - l)-R(0)) ...(4)
 次に、 確率 Pu(n)に基づくビットレー卜変更判定を実行する。 本実施形態では、 たとえば乱数を用いてビットレー卜変更判定を行う。 まず、 乱数 (正確には、 疑 似乱数) Poを 0≤Ρο<1の範囲で生成する (ステップ 2 1 0)。 ここでは、 乱 数として一様乱数を用いる。 続いて、 得られた乱数 Poをステップ 209で算出 した確率 Pu(n)と比較する (ステップ 21 1 )。
 Po<Pu(n)であれば (ステップ 2 1 1の YE S)、 さらに現在の送信ビッ卜レ —卜 R(n)が上限 (最高ビットレー卜) であるか否か (ここでは、 n = N— 1で あるか否か) を判定する (ステップ 21 2)。 現在の送信ビットレー卜 R(n)が上 限でなければ (ステップ 2 1 2の YE S)、 送信ビットレー卜を上げると判定され、 nをインクリメント (n = n + 1 ) し (ステップ 2 1 3)、 R = R(n)と設定する (ステップ 2 1 4)。
 Po≥Pu(n)の場合 (ステップ 2 1 1の NO) あるいは現在の送信ビットレ一 卜 R(n)が上限の場合 (ステップ 21 2の NO) には、 送信ビットレー卜を変更 しないと判定され、 そのまま R = R(n)とする (ステップ 21 4)。
 このようにして決定された Rを符号ィ匕器 402へ出力する (ステップ 21 5)。 こうして、 音声 ·画像符号化部 402は、 指定されたビットレート Rで入力音 声 ·画像データを符号化し、 符号化されたデータがバケツ卜送信部 403を通し てネッ卜ワークへ送出される。
 2. 2) 確率 Pd(n)の他の計算式
 確率 Pd(n)を求める計算式としては、 上記式 (3) のほかに、 次のようなバリ エーシヨンを用いることができる。
P d(n) = (Rin) - Rt)/(R(n) - R(0)) ··· (3.1)
 図 6は、 式 (3.1) 〜式 (3.4) によって決まる目標ビットレー卜と確率 Pdと の関係を示すグラフである。
 式 (3.1) は、 式 (3) の分母を現在の送信ビットレー卜 R(n)と最低のビット レー卜 R (0)との差に置き換えたものであり、 目標ビットレー卜 R tが現在の送 信ビットレート R(n)から離れているほど値が高くなるような確率 Pd(n)を生成 する。
 式 (3.2) も、 式 (3.1) と同様の確率 Pd(n)を生成するが、 目標ビットレー卜 R tが隣接したビットレー卜 R ( n _ 1 )よりも現在の送信ビットレー卜 R ( n )に 近い場合には確率 Pd(n)を 0にする。 これによつて、 送信ビットレー卜の無駄な 変動を抑えることができる。
 式 (3.3) は、 目標ビッ卜レー卜 Rtが隣接したビットレ一卜 R(n— 1 )より高 い場合には現在の送信ビットレー卜 R ( n )から離れているほど値が高くなるよう な確率 P d ( n )を生成し、 隣接したビットレート P ( n— 1 )以下の場合には確率 P d(n)を 1に固定する。
 式 (3.4) も、 式 (3.3) と同様の確率 Pd(n)を生成するが、 目標ビットレート R tが隣接したビットレー卜 R ( n— 1 )よりも現在の送信ビットレー卜 R ( η )に 近い場合には確率 Pd(n)を 0にする。 これによつて、 送信ビットレー卜の無駄な 変動を抑えることができる。
 ここで、 式 (3.1) 〜式 (3.4) を利用する場合には、 その右辺に 1より小さい 定数を乗じるようにしてもよい。 この場合、 この定数の値を小さくするほど、 送 信ビットレー卜の変動を抑えることができるが、 目標ビットレー卜への追従性が 低下する。
 2. 3) 確率 Pu(n)の他の計算式
 確率 Pu(n)の計算式としては、 上記式 (4) のほかに、 次のようなバリエーシ ヨンを用いることができる。
P u(n) =(Rt- R(n))/(Rin) - R(0)) · . · (4.1)  4.2
4.4
 図 7は、 式 (4,1) 〜式 (4.4) によって決まる目標ビッ卜レー卜と確率 Puと の関係を示すグラフである。
 式 (4.1) は、 式 (4) の分母を現在の送信ビットレート R (n)と最低のビッ 卜レ一卜 R(0)との差に置き換えたものであり、 目標ビットレー卜 Rtが現在の 送信ビットレート R (n)から離れているほど値が高くなるような確率 Pu(n)を生 成する。
 式 (4·2) も、 式 (4.1) と同様の確率 Pu(n)を生成するが、 目標ビットレー卜 Rtが隣接したビットレ一卜 R(n + 1 )よりも現在の送信ビットレー卜 R ( に 近い場合には確率 Pu(n)を 0にする。 これによつて、 送信ビットレー卜の無駄な 変動を抑えることができる。
 式 (4.3) は、 目標ビットレー卜 Rtが隣接したビットレー卜 R(n+ 1 )より低 い場合には現在の送信ビットレー卜 R ( n ) から離れているほど値が高くなるよう な確率 P u ( n )を生成し、 隣接したビットレート R ( n + 1 )以上の場合には確率 P u(n)を 1に固定する。
 式 (4.4) も、 式 (4.3) と同様の確率 Pu(n)を生成するが、 目標ビッ卜レー卜 R tが隣接したビッ卜レ一卜 R(n+ 1 )よりも現在の送信ビットレー卜 R(n)に 近い場合には確率 Pu(n)を 0にする。 これによつて、 送信ビットレー卜の無駄な 変動を抑えることができる。
 ここで、 式 (4.1) 〜式 (4.4) を利用する場合には、 その右辺に 1より小さい 定数を乗じるようにしてもよい。 この場合、 この定数の値を小さくするほど、 送 信ビットレー卜の変動を抑えることができるが、 目標ビットレ一卜への追従性は 低下する。
 なお、 上記式 (3)、 (4)、 (3.1) ~ (3,4) および (4.1) 〜 (4.4) の代わり に、 目標ビットレー卜 Rtと確率 Pd(n)/Pu(n)との対応関係を具体的な数値 として格納したテーブルを用いて、 検索によリ確率を決定することも可能である( いずれにしても、 このような式あるいはテーブルは、 変更確率生成情報としてメ モリに予め格納されている。
 以上説明したように、 本発明の第 2実施形態によれば、 現在設定されている送 信ビットレー卜 R(n)と算出された目標ビッ卜レー卜 Rtとの差が大きいほど、 送信ビットレー卜を変更する確率が大きくなる。 すなわち、 現在設定されている 送信ビットレート R ( n )が目標ビットレー卜 R tから離れている端末では、 送信 ビットレー卜が変更される確率が高く、 目標ビットレー卜に近い端末では低い。 したがって、 ネットワークに多数の端末が接続され、 それらの端末で目標ビッ 卜レー卜がほぼ同じ程度であると仮定すれば、 全端末の平均設定ビッ卜レー卜は 目標ビットレー卜近くになる。 このために、 TC Pなどの他の制御方式との公平 性を維持できると共に、 各端末が目標ビッ卜レートに近づこうとして送信ビッ卜 レー卜の設定を頻繁に変動させるという従来生じていた事態を回避することがで さる。
 さらに、 本発明の第 2実施形態によれば、 各端末において、 現在設定されてい る送信ビットレー卜 R(n)から 1ステップ上下するだけであり、 急激な送信ビッ 卜レー卜変更は生じない。 このことは、 音声■画像の品質劣化を抑える効果があ る。
 (3) 第 3実施例
 本発明の第 3実施例では、 A I MDにおける動作と同様に、 パケット損失に応 じて送信ビットレー卜を変更する。 送信ビットレー卜変更時に確率に基いた判定 を行うことにより、 設定可能なビットレー卜が離散的であっても、 TCPフレン ドリー制御を実現できる。
 3. 1 ) 制御フロー
 図 8は、 本発明の第 3実施例によるビッ卜レート制御を示すフローチヤ一卜で ある。 図 9において、 まず、 受信した音声 ·画像パケットの損失数や相手側端末 から通知されたパケッ卜損失率などに基づいてバケツ卜損失の有無を検出し (ス テツプ 301 )、 バケツ卜損失があるか否かの判定を行う (ステップ 302)。
 パケット損失がある場合には (ステップ 302の YES)、 送信ビットレートを 下げるか否かの判定 (ビッ卜レー卜低下判定:ステップ 303〜 306) を行い, パケット損失がない場合には (ステップ 302の NO)、 送信ビットレー卜を上げ るか否かの判定 (ビットレー卜上昇判定:ステップ 308〜31 1 ) を行う。
 ビットレー卜低下判定 (ステップ 303〜306) では、 まず、 現在の送信ビ ットレ一卜が高い程、 値が大きくなるような確率 Pd(n)を計算する (ステップ 3 03)。 次式 (5) は、 このような計算式の一例である。
 P d(n) = (R(n) - R(0))/(R(N - l)-R(O)) --(5)
 次に、 確率 Pd(n)に基づくビットレー卜変更判定を実行する。 本実施例では、 乱数を用いてビットレー卜変更判定を行う。 まず、 乱数 (正確には、 疑似乱数) Poを 0≤Po<1の範囲で生成する (ステップ 304)。 ここでは、 乱数として 一様乱数を用いる。 続いて、 得られた乱数 Poをステップ 303で算出した確率 Pd(n)と比較する (ステップ 305)。
 Po<Pd(n)であれば (ステップ 305の Y E S)、 さらに現在の送信ビットレ —卜 R(n)が下限 (最低ビットレ一卜) であるか否か (ここでは、 n = 0である か否か) を判定する (ステップ 306)。 現在の送信ビットレ一卜 R(n)が下限で なければ (ステップ 306の Y ES)、 送信ビットレー卜を下げると判定され、 n をデクリメント (n = n— 1 ) し (ステップ 307)、 R=R(n)と設定する (ス テツプ 3〗 3)。
 Po≥Pd(n)の場合 (ステップ 305の NO) あるいは現在の送信ビットレー 卜 R(n)が下限の場合 (ステップ 306の NO) には、 送信ビットレートを変更 しないと判定され、 そのまま R = R(n)とする (ステップ 3 1 3)。
 ビットレー卜上昇判定 (ステップ 308〜3 1 1 ) では、 まず、 現在の送信ビ ッ卜レー卜 R(n)が低い程、 値が大きくなるような確率 Pu(n)を計算する (ステ ップ 308)。 次式 (6) は、 このような計算式の一例である。
 P u(n) = (R(N一 1) - R(n))/(R(N— 1) _ R(0)) (6)
 次に、 確率 Pu(n)) に基づくビッ卜レー卜変更判定を実行する。 本実施形態で は、 乱数を用いてビットレー卜変更判定を行う。 まず、 乱数 (正確には、 疑似乱 数) Po (0≤Po<1 ) を発生させる (ステップ 309)。 ここでは、 乱数として 一様乱数を用いる。 続いて、 得られた乱数 Poをステップ 308で算出した確率 Pu(n)と比較する (ステップ 3 1 0)。
 P o<Pu(n)であれば (ステップ 3 1 0の YES)、 さらに現在の送信ビット レー卜 R(n)が上限 (最高ビットレ一卜) であるか否か (ここでは、 n = N— 1 であるか否か) を判定する (ステップ 31 1 )。 現在の送信ビットレー卜 R(n)が 上限でなければ (ステップ 3 1 1の YES)、 送信ビッ卜レー卜を上げると判定さ れ、 nをインクリメント (n = n + 1 ) し (ステップ 3 1 2)、 R = R(n)と設定 する (ステップ 3 1 3)。
 Po≥Pu(n)の場合 (ステップ 31 0の NO) あるいは現在の送信ビットレー 卜 R(n)が上限の場合 (ステップ 31 1の NO) には、 送信ビットレー卜を変更 しないと判定され、 そのまま R = R(n)とする (ステップ 3 1 3)。
 このようにして決定された Rを符号化器に出力する (ステップ 3 1 4)。 こうし て、 音声 ·画像符号化部 402は、 指定されたビットレー卜 Rで入力音声■画像 データを符号化し、 符号化されたデータがバケツ卜送信部 403を通してネッ卜 ワークへ送出される。
 ここで、 式 (5) および式 (6) の右辺に 1より小さい定数を乗じるようにし てもよい。 この場合、 この定数の値を小さくするほど、 送信ビットレー卜の変動 を抑えることができるが、 目標ビットレ一卜への追従性は低下する。
 なお、 上記式 (5) および (6) の代わりに、 目標ビットレート Rtと確率 P d ( n ) / P u ( n )との対応関係を具体的な数値として格納したテーブルを用いて、 検索により確率を決定することも可能である。 いずれにしても、 このような式あ るいはテーブルは、 変更確率生成情報としてメモリに予め格納されている。
 3. 2) 他の確率設定法
 次に、 本実施形態における制御を T C Pフレンドリ一制御にする場合の図 8の ステップ 303および 308における確率 Pd(n)および Pu(n)の決定方法につ いて説明する。
 まず、 A I MD動作に基づく TCPフレンドリー制御におけるビットレー卜増 加時の加算値およびビットレー卜減少時の乗算値をそれぞれ Aおよび Mであると する。 本実施例における送信ビットレー卜の増加値の平均が A I MD動作に基づ く TCPフレンドリー制御の加算値とが等しいことを示す式 (7) を解くことに より、 送信ビットレートを上げるときの確率 Pu(n)を求めることができる。
 A=(R(n + l)-R(n))Pu(n) 〜ί7)
 P u(n) = A/ (R(n + 1)— R(n))
 また、 A I MD動作に基づく TCPフレンドリー制御では、 送信ビットレー卜 が R(n)のときビットレー卜減少値 D(n)は、 式 (8) で与えられる。
 D(n) = (l -M)R(n) ...(8)
 よって、 本実施例による送信ビットレー卜の減少値の平均が A I MD動作に基 づく TCPフレンドリ一制御による減少値と等しいことを示す式 (9) を解くこ とにより、 送信ビットレー卜を下げる時の P d ( n )を求めることができる。
 D(n) =(Rin)一 R(n - 1)) P d(n) · . -(9)
 P d(n) = D(n)Z (R(n) - R(n一 1))  以上のように送信ビットレー卜を下げるときの確率 Pd(n)および上げるときの 確率 Pu(n)を求めることにより、 ビットレー卜制御を TC Pフレンドリー制御に することができる。
 なお、 上記式 (5) 〜 (9) のような計算式の代わりに、 離散的ビットレー卜 の各々についてビットレー卜を低下させる確率 Pd(n)と上昇させる確率 Pu(n) とをテーブルにあらかじめ格納し、 現在の送信ビットレート R (n)を用いて検索 することで同様のビットレー卜変更確率を求めることもできる。
 以上説明したように、 本発明の第 3実施例によれば、 パケットの損失が検出さ れてビットレ一卜を低下させる必要が生じた場合、 あるいは、 パケット損失が検 出されないことからビッ卜レー卜を上昇させることができる場合には、 現在設定 されているビッ卜レー卜 R (n)がビッ卜レー卜設定可能範囲のどの位置にあるか に基づいて、 ビットレー卜変更の確率を決定する。 具体的には、 パケットの損失 が検出されると、 現在設定されているビットレー卜 R(n)が比較的高い端末では、 ビットレー卜を低下させる確率を高くし、 低い端末では低くする。 逆に、 パケッ 卜の損失が検出されない場合には、 ネットワークは順調に動作しているから、 現 在設定されているビッ卜レー卜 R (n)が比較的低い端末は、 ビッ卜レー卜を上昇 させる確率を高くし、 高い端末では低くする。
 したがって、 ネットワークに多数の端末が接続され、 それらがパケットの損失 を検出すると、 ビットレー卜が高い端末ほどビットレー卜を低下させる確率が高 くなリ、 バケツ卜損失が検出されない場合にはビットレ一卜が低い端末ほど上昇 させる確率が高くなる。 このために、 全端末間で公平なビットレー卜設定が可能 となり、 ネットワークの利用効率を最適化できると共に、 各端末が目標ビットレ 一卜に近づこうとしてビットレー卜の設定を頻繁に変動させるという従来生じて いた事態を回避することができる。
 さらに、 T C Pフレンドリ一制御と整合するようにビッ卜レー卜変更確率を設 定することで、 端末間での公平性および TC Pとの公平性を確保することができ る。  (4) 第 4実施例
 本発明の第 4実施例によるビッ卜レー卜制御では、 上記第 2実施例あるいは第 3実施例におけるビッ卜レート低下及び上昇確率 P d ( n )および P u ( n )に隣接ビ ッ卜レー卜の間隔の大きさを反映させる。 たとえば、 現在の送信ビットレー卜と 隣接ビッ卜レー卜との差が大きいほどビッ卜レー卜変更確率を小さくすることで, 音声 ·画像の品質劣化をさらに抑制することができる。
 上述したように、 音声■画像符号化部 402が有する N個の離散的ビットレー 卜 R(0)〜R(N— 1 )は、 R(0)<R(1 )< * ■ ' <R(N - 1 )である。 隣接す るビットレートの間隔 (即ち、 差) R(n)— R(n— 1 )あるいは R(n+ 1 )— R (n)は一般に一定ではない。 たとえば、 音声 ·画像符号化部 402が 3つのビッ 卜レ一卜 (1 0 kbps 64 kbpsおよび 1 28 kbps) を有する場合には、 R (1 )- R (0) = 54 kbps R(2)-R(1 )=64 k bpsとなる。
 このように離散的ビットレー卜の間隔が一定ではない場合、 一律の確率計算に 基づき送信ビットレー卜変更を行うと、 端末によっては大きなビットレー卜変更 が生じて音声 ·画像の品質を劣化させる要因となる場合がある。 そこで、 本実施 例では、 現在の送信ビットレー卜と隣接ビットレー卜との差に応じてビットレー 卜変更確率をあらかじめ設定しておく。 以下、 具体的に説明する。
 現在の送信ビットレートと隣接ビットレー卜の差に応じてビットレー卜変更確 率を決定する場合は、 計算式よりもテーブルを使用する方が適している。 たとえ ば、 次表に示すように、 離散的ビットレートの各々について送信ビットレー卜を 低下させる確率 Pd(n)と上昇させる確率 Pu(n)とを予めテーブルに格納してお 表 1
 離散的ビットレー卜の各々について、 ビッ卜レート低下 上昇確率 Pd(n)/P  u(n)は、 隣接ビットレー卜との距離が大きくなるほど、 値が小さくなるように設 定する。
 たとえば、 現在設定されている送信ビットレー卜を R(n)としたときに、 次式
(1 0) および (1 1 ) のように、 ビッ卜レー卜変更確率を隣接ビットレ一卜と の距離に反比例させる。
 P d(n) = C d(n)Z(R(n) - R(n— 1)) … (10)
 Pu(n) = Cu(n)/(R(n + l) - R(n)) -..(11)
 ただし、 Cd(n)は、 第 2実施例における式 (3)、 (3.1) あるいは (3.2)、 ま たは、 第 3実施形態の式 (5) により定まる。 Cu(n)は、 第 2実施例における式 (4)、 (4.1) あるいは (4.2)、 または、 第 3実施例の式 (6) により定まる。 このようなテーブルを用いたビットレー卜変更確率決定ステップを、 図 5のス テツプ 204および 209、 図 8のステップ 303および 308の代わりに用い ることで、 現在の送信ビットレー卜と隣接ビットレー卜との差が大きいほどビッ 卜レー卜変更確率が小さくなリ、 送信ビットレー卜の大きな変化が抑えられ、 音 声 ·画像の品質劣化を抑制することができる。
 (5) ビットレー卜制御部の構成例
 図 9は、 本発明の上記各実施形態を実現するビッ卜レー卜制御部の構成を示す ブロック図である。 ビットレー卜制御部は、 デジタルシグナルプロセッサ (DS P) や中央処理装置 (C PU) などのプログラム制御プロセッサ 601と、 プロ グラムメモリ 602と、 確率の計算式あるいはテーブルを格納した変更確率生成 情報メモリ (図示せず) と、 から構成される。 プログラムメモリ 602には上記 第 1〜第 4実施例のいずれかに対応するビッ卜レー卜制御プログラムがあらかじ め格納されている。
 プログラム制御プロセッサ 601は、 プログラムメモリ 602からビットレー 卜制御プログラムを読み出して実行し、 変更確率生成情報メモリに格納された計 算式あるいはテーブルを参照しながらラゥンド卜リップ時間あるいはパケッ卜損 失率などに応じて送信ビットレー卜 Rを決定し、 それを音声■画像符号化器 40 2へ出力する。  ( 6 ) ビッ卜レー卜制御システム
 上述したように、 図 1に示す端末では、 たとえばバケツ卜受信部 4 0 4で R T C Pバケツ卜を受信し、 そこからラウンド卜リップ時間およびバケツ卜損失率に 関する情報 (ネットワーク情報) を抽出して、 本発明によるビットレー卜制御部 4 0 5に出力する。 ビットレート制御 ¾54 0 5では、 上述したプロセスによりビ ッ卜レー卜制御が行われる。 すなわち、 自端末内でビッ卜レー卜の制御が行われ る。 これに対して、 相手側の端末から自端末のビットレー卜が制御されるように 構成することも可能である。
 図 1 0は、 相手側からビットレー卜制御が行われる場合のシステム構成を示す ブロック図である。 ここでは説明を簡単にするために、 ネットワークに 2つの端 末 Aおよび Bが接続され、 互いに音声 ·画像データを送受信しているものとする( また、 図 1と同様の機能を有するブロックには同じ参照番号を付けて説明は省略 する。
 図 1 0において、 たとえば端末 Aのパケット受信部 5 0 4は、 相手側の端末 B からネッ卜ワークを通して音声 ·画像バケツ卜を受信すると、 受信した音声 ·画 像バケツ卜の損失数などからバケツ卜損失率などの第 1のネッ卜ワーク情報を生 成し、 ビットレー卜制御部 5 0 5へ出力する。 ビットレー卜制御 0 5は、 第 1のネッ卜ワーク情報に基づいて、 本発明の第 1〜第 4実施形態で説明したよう に第 1の送信ビットレー卜 Rを決定し、 それを表わす第 1のビットレー卜情報を バケツ卜送信部 5 0 3へ出力する。 また、 バケツ卜受信部 5 0 4は、 端末 Bによ リ生成された第 2のビットレー卜情報を抽出して、 音声 ·画像符号化部 4 0 2へ 出力する。 パケット送信部 5 0 3は、 第 1のビットレ一卜情報と符号化された音 声 ·画像情報とから送信バケツ卜を生成し、 ネッ卜ワークを通して端末 Bへ送信 する。 たとえば、 R T Pによる音声通信において、 A M R (Adapt i ve Mu l t i - Rate) 音声 C o d e cを用いる場合、 ヘッダに 4ビットの C M R (Codec Mode Reques t) というフィールドがあり、 相手側から自端末へ向けて送信するビットレ 一卜を C o d e c M o d e (ビットレー卜に対応する番号) によって指定する ことができる。  端末 Bは、 端末 Aからバケツ卜を受信すると、 そこから第 1のビットレー卜情 報を抽出し、 音声 ·画像符号化き 4 0 2へ出力する。 音声 ·画像符号化部 4 0 2 は、 その第 1のビットレー卜情報により指定された第 1の送信ビットレー卜 で 送信音声 ·画像情報 4 0 1を符号化し、 符号化された音声 ·画像データは、 ビッ 卜レー卜制御部 5 0 5により生成された第 2のビットレー卜情報とともにバケツ 卜送信部 5 0 3から端末 Aへ送信される。
 このように、 端末 Aおよび Bが互いに相手の送信ビッ卜レー卜を制御すること で、 R T C Pバケツ卜を用いてネッ卜ワークの情報をやりとりする必要がなく、 R T C Pバケツ卜により消費される帯域を節約することができる。
 さらに、 R T C Pバケツ卜の送信間隔は 5秒程度であるためにネッ卜ワークの 変化に素早く対応することができないが、 各端末が受信したパケッ卜からネッ卜 ワークの状況を検出するために、 ネッ卜ワークの変化に迅速に対応することがで き、 本発明の効果をさらに向上させることができる。
 なお、 上記第 1〜第 4実施例において、 連続してビットレー卜が変更されるこ とにより生じる音質及び画質の劣化を避けるために、 ビットレー卜を変更してか ら一定時間は、 ビッ卜レー卜を変更する確率を 0又は小さくすることも可能であ る。 また、 例ぇば ( = + 1 ) = + 2 )のょぅに同じ値のビッ卜レー 卜を複数用いることで、 ビットレー卜の変動を抑えることも可能である。
 さらに、 本発明によるビットレ一卜制御方法は更新時間によらず適用可能であ る。 たとえば、 更新時間が 1 0秒で遷移確率を 0 . 1と設計した場合、 更新時間 が 1秒に変わったとしても、 遷移確率を 1 / 1 0の 0 . 0 1に調整すれば、 ほぼ 同様の効果を維持することができる。 産業上の利用可能性
 以上詳細に説明したように、 本発明によれば、 ネットワークの状態に応じてビ ッ卜レートを制御する際に、 確率に基いてビットレー卜を決定するために、 リア ルタイムトラフィックの品質劣化を引き起こすようなビットレー卜の激しい変動 を抑えることができ、 しかも T C Pとの公平性を実現することができる。  すなわち、 通信システムの全端末の各々において利用可能なビットレー卜が離 散的であっても、 全端末のビットレー卜を平均した値が所望のビットレー卜とな るように各端末のビッ卜レー卜を変更する確率値を定めることによリ、 各端末に おいてビットレー卜の変動の少ない制御が可能となり、 音声 ·画像などのリアル タイム通信の品質を向上させることができる。