本発明の芳香族アミン誘導体は、分子中に、少なくとも1つの前記一般式(1)で表される置換基Aと、少なくとも1つの前記一般式(2)又は(3)で表される置換基Bとを有し、置換基A及び置換基Bは互いに異なる基であり、また、置換基A及び置換基Bは分子中の同一又は異なる窒素原子に結合する化合物である。
  本発明において、「芳香族アミン誘導体」とは、分子量300〜2000である芳香族からなる置換基を有するアミン化合物が好ましく、当該分子量は400〜1500であることがさらに好ましく、500〜1200であることが特に好ましい。分子量が300〜2000であると、昇華による精製が可能であり、その結果、化合物の高純度化が可能となり、これを用いて得られる素子の性能が向上する。また、分子量が300〜2000であると、蒸着法により素子の作成ができるため好ましい。
  「芳香族アミン誘導体」は特に限定されるものでないが、一般式(5)〜(9)で表されることが好ましく、一般式(5)又は(6)がさらに好ましく、一般式(5)が特に好ましい。一般式(5)で表されるモノアミン誘導体及び一般式(6)で表されるジアミン誘導体は合成が比較的容易なため、低コストにより製造することが期待できる。また、モノアミン誘導体及びジアミン誘導体はイオン化ポテンシャル(以下「IP」と略記することがある。)が大きいため、正孔輸送材料として用いた場合、発光層への正孔注入性が向上し、素子の電圧低下が期待できる。特にモノアミン誘導体は、エネルギーギャップが大きく、正孔輸送層への電子の注入を抑制できるため、素子の発光効率向上及び長寿命化が期待できる。
  前記一般式(1)〜(3)、(1−1)〜(1−3)及び(2−1)におけるR1〜R6は、それぞれ独立に、炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、環形成炭素数3〜10、好ましくは5〜7のシクロアルキル基、炭素数3〜10、好ましくは3〜6のトリアルキルシリル基、環形成炭素数18〜30、好ましくは18〜24のトリアリールシリル基、炭素数8〜15、好ましくは8〜12のアルキルアリールシリル基(アリール部分の環形成炭素数は6〜14、好ましくは6〜10)、環形成炭素数6〜16、好ましくは6〜10のアリール基、ハロゲン原子(フッ素原子が好ましい)又はシアノ基である。隣接した複数のR1〜R6はそれら自身およびR1とR2、R3とR4、R5とR6は結合して飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
  アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
  シクロアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、4−フルオロシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、1−ノルボルニル基、2−ノルボルニル基等が挙げられ、好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
  トリアルキルシリル基の具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリペンチルシリル基、トリヘプチルシリル基、トリヘキシルシリル基等が挙げられ、好ましくは、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基である。シリル基に置換したアルキル基は同一でも異なっていても良い。
  トリアリールシリル基の具体例としては、例えば、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基、トリアントリルシリル基等が挙げられ、好ましくは、トリフェニルシリル基である。シリル基に置換したアリール基は同一でも異なっていても良い。
  アルキルアリールシリル基の具体例としては、例えば、ジメチルフェニルシリル基、ジエチルフェニルシリル基、ジプロピルフェニルシリル基、ジブチルフェニルシリル基、ジペンチルフェニルシリル基、ジヘプチルフェニルシリル基、ジヘキシルフェニルシリル基、ジメチルナフチルシリル基、ジプロピルナフチルシリル基、ジブチルナフチルシリル基、ジペンチルナフチルシリル基、ジヘプチルナフチルシリル基、ジヘキシルナフチルシリル基、ジメチルアントリルシリル基、ジエチルアントリルシリル基、ジプロピルアントリルシリル基、ジブチルアントリルシリル基、ジペンチルアントリルシリル基、ジヘプチルアントリルシリル基、ジヘキシルアントリルシリル基、ジフェニルメチル基等が挙げられ、好ましくは、ジメチルフェニルシリル基、ジエチルフェニルシリル基、ジフェニルメチル基である。
  アリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、ビフェニリル基、4−メチルビフェニリル基、4−エチルビフェニリル基、4−シクロヘキシルビフェニリル基、アントラセニル基、ナフタセニル基、ターフェニル基、トリフェニリル基、3,5−ジクロロフェニリル基、ナフチル基、5−メチルナフチル基、フェナントリル基、クリセニル基、ベンズフェナントリル基、ターフェニル基、ベンズアントラニル基、ベンゾクリセニル基、ペンタセニル基、ピセニル基、ペンタフェニル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、フルオランテニル基、ペリレニル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基である。ハロゲン原子の具体例はフッ素、塩素、臭素である。
  複数のR1〜R6はそれら自身およびR1とR2、R3とR4、R5とR6が結合して形成される飽和もしくは不飽和の環の具体例としては、前記アリール基やシクロアルキル基ならびに後で述べるヘテロアリール基等が上げられる。
  一般式(1)のうち、L1、R1及びR2を除いた置換基Aの骨格構造や、一般式(2)のうち、L2、R3及びR4を除いた置換基Bの骨格構造であって、Xが酸素原子を表すものの具体例としては、下記に示す骨格構造が挙げられる。
  前記一般式(1)〜(3)、(1−1)〜(1−3)及び(2−1)におけるa、c、e及びfは、それぞれ独立に、0〜3の整数である。b及びdは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。
  L1及びL2は、それぞれ独立に、単結合、又は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜21、より好ましくは6〜15のアリーレン基を表し、L3は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜21、より好ましくは6〜15のアリーレン基を表す。但し、L1〜L3が有していてもよい置換基は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、環形成炭素数3〜10、好ましくは5〜7のシクロアルキル基、炭素数3〜10、好ましくは3〜6のトリアルキルシリル基、環形成炭素数18〜30、好ましくは18〜24のトリアリールシリル基、炭素数8〜15、好ましくは8〜12のアルキルアリールシリル基(アリール部分の環形成炭素数は6〜14、好ましくは6〜12)、環形成炭素数6〜16、好ましくは6〜10のアリール基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)又はシアノ基である。
  連結基L1、L2が単結合であり、ジベンゾフラン構造又はカルバゾール構造が直接に窒素原子と結合する場合、アミン化合物の電子密度が上昇し、IPを小さくすることができる。一方、置換もしくは無置換のアリーレン基である連結基L1、L2を介して窒素原子と結合した場合、アミン化合物の電子密度の向上を抑制し、IPを大きくすることができる。
  芳香族アミン誘導体が後述の一般式(5)で表わされるものである場合、L1及びL2は、置換もしくは無置換のアリーレン基であることが好ましい。
  即ち、連結基L1、L2の選択によりアミン化合物のIPを調節することが可能であり、正孔注入材料、あるいは正孔輸送材料として好適な値にすることで、発光層への正孔注入性が向上し、素子の電圧低下が期待できる。
  L1〜L3で表されるアリーレン基の具体例としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、テトラフルオロフェニレン基、ジメチルフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、ナフタセニレン基、クゥーターフェニレン、ペンタセニレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基、コロニレン基、フルオレニレン基、アセナフトフルオレニレン基、9,9−ジメチルフルオレニレン基等のアリーレン基が挙げられる。
  前記一般式(1)〜(3)、(1−1)〜(1−3)及び(2−1)において、L1〜L3のアリーレン基としては、下記一般式(4)、(10)及び(11)のいずれかで表わされるものが好ましい。
  Xが−N(Ar1)−基である場合の一般式(2)及び(2−1)においては、L2のアリーレン基が一般式(4)で表される場合、アミン化合物の電子密度の向上を抑制し、その結果、IPが大きくなり、正孔輸送材料として用いた場合、発光層への正孔注入性が向上し、素子の電圧低下が期待できる。特に、本発明の芳香族アミン誘導体が、ジベンゾフラン構造含有基と、カルバゾール構造含有基とを有するものである場合、具体的には、前記一般式(1)で表される置換基Aと、前記一般式(2−1)又は(3)で表される置換基Bとを有する場合、該置換基BにおいてL2及びL3で表されるアリーレン基が、前記一般式(4)で表されることが好ましい。
  置換基Bが一般式(3)で表される場合、芳香族アミン誘導体のエネルギーギャップが大きくなり、正孔輸送層への電子の注入を抑制できるため、素子の発光効率向上及び長寿命化が期待できる。特に、芳香族アミン誘導体がジベンゾフラン構造を有する置換基A及びカルバゾール構造を有する置換基Bを有するアミンである場合、置換基Bが一般式(3)で表されることが好ましい。
  本発明の芳香族アミン誘導体が複数の置換基Aを有する場合、当該複数の置換基Aが、それぞれ互いに異なる基であることが好ましい。また、本発明の芳香族アミン誘導体が複数の置換基Bを有する場合、当該複数の置換基Bが、それぞれ互いに異なる基であることが好ましい。置換基A同士および/または置換基B同士が互いに異なる基であると、分子の対象性をさらに低下させることができ、結晶化をさらに抑制することが期待できる。
  また、ジベンゾフラン構造を有する置換基は(1−1)、(1−2)、(1−3)、のうち、合成及び精製の容易性の観点から、(1−1)、(1−2)が好ましい。
  一般式(4)、(10)及び(11)において、R7〜R11は、それぞれ独立に、炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、環形成炭素数3〜10、好ましくは5〜7のシクロアルキル基、炭素数3〜10、好ましくは3〜6のトリアルキルシリル基、環形成炭素数18〜30、好ましくは18〜24のトリアリールシリル基、炭素数8〜15、好ましくは8〜12のアルキルアリールシリル基(アリール部分の環形成炭素数は6〜14、好ましくは6〜10)、環形成炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリール基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)又はシアノ基である。隣接した複数のR7〜R11は結合し、飽和もしくは不飽和の環を形成してもよい。
  一般式(4)、(10)及び(11)におけるR7〜R11のアルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、アルキルアリールシリル基、アリール基、ハロゲン原子の具体例および好ましい例は前記R1〜R16の説明において列挙したものと同じである。R7〜R11は、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基である。
  一般式(11)におけるR12およびR13は、それぞれ独立に、炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、あるいは、環形成炭素数3〜10、好ましくは5〜7のシクロアルキル基である。アルキル基およびシクロアルキル基の具体例および好ましい例は前記R1〜R6の説明において列挙したものと同じである。
  一般式(4)、(10)及び(11)におけるg、hおよびiはそれぞれ独立に0〜4の整数、好ましくは0〜1の整数である。jおよびkはそれぞれ独立に0〜3の整数、好ましくは0〜1の整数である。
  前記一般式(1)〜(3)、(1−1)〜(1−3)及び(2−1)におけるL1〜L6の置換基は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、環形成炭素数3〜10、好ましくは5〜7のシクロアルキル基、環形成炭素数3〜10、好ましくは3〜6のトリアルキルシリル基、環形成炭素数18〜30、好ましくは18〜24のトリアリールシリル基、炭素数8〜15、好ましくは8〜12のアルキルアリールシリル基(アリール部分の環形成炭素数は6〜14、好ましくは6〜10)、環形成炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリール基、ハロゲン原子又はシアノ基である。
  アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、アルキルアリールシリル基、アリール基、ハロゲン原子の具体例および好ましい例は前記R1〜R6の説明において列挙したものと同じである。
  一般式(8)〜(10)の好ましい具体例としては、置換または無置換のフェニレン基、ビフェニレン基、9,9−ジメチルフルオレニレン基が挙げられる。
  前記一般式(2)におけるAr1は置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14、好ましくは6〜10のアリール基である。アリール基の具体例および好ましい例は前記R1〜R6の説明において列挙したものと同じである。
  アリール基の置換基は、それぞれ独立に炭素数1〜10、好ましくは1〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、環形成炭素数3〜10、好ましくは5〜7のシクロアルキル基、炭素数3〜10、好ましくは3〜6のトリアルキルシリル基、環形成炭素数18〜30、好ましくは18〜24のトリアリールシリル基、炭素数8〜15、好ましくは8〜12のアルキルアリールシリル基(アリール部分の環形成炭素数は6〜14)、環形成炭素数6〜16、好ましくは6〜10のアリール基、ハロゲン原子(好ましくフッ素原子)、シアノ基である。
  アルキル基、シクロアルキル基、トリアルキルシリル基、トリアリールシリル基、アルキルアリールシリル基、アリール基の具体例および好ましい例は前記R1〜R6の説明において列挙したものと同じである。
  次に、前記一般式(5)〜(9)で表される化合物について説明する。
  前記一般式(5)において、Ar2〜Ar4のうち少なくとも1つは前記一般式(1)で表される置換基Aであり、少なくとも1つは前記一般式(2)又は(3)で表される置換基Bであり、置換基Aと置換基Bは互いに異なる基である。
  前記一般式(6)において、Ar5〜Ar8のうち少なくとも1つは前記一般式(1)で表される置換基Aであり、少なくとも1つは前記一般式(2)又は(3)で表される置換基Bであり、置換基Aと置換基Bは互いに異なる基である。
  前記一般式(7)において、Ar9〜Ar13のうち少なくとも1つは前記一般式(1)で表される置換基Aであり、少なくとも1つは前記一般式(2)又は(3)で表される置換基Bであり、置換基Aと置換基Bは互いに異なる基である。
  前記一般式(8)において、Ar14〜Ar19のうち少なくとも1つは前記一般式(1)で表される置換基Aであり、少なくとも1つは前記一般式(2)又は(3)で表される置換基Bであり、置換基Aと置換基Bは互いに異なる基である。
  前記一般式(9)において、Ar20〜Ar25のうち少なくとも1つは前記一般式(1)で表される置換基Aであり、少なくとも1つは前記一般式(2)又は(3)で表される置換基Bであり、置換基Aと置換基Bは互いに異なる基である。
  前記一般式(3)〜(7)において、Ar2〜Ar25のうち、前記置換基A又は置換基Bでない基は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜21、より好ましくは6〜14のアリール基であり、アリール基の具体例および好ましい例は前記R1〜R6の説明において列挙したものと同じであるが、特にターフェニル基であると好ましい。還元安定性に優れるターフェニル基を有することで分子の還元安定性が向上し、得られる有機EL素子の寿命を長くする効果があり、特に青色発光素子と組み合わせることにより、顕著な長寿命効果が得られる。
  Ar2〜Ar25の置換基の具体例および好ましい例は前記R1〜R6の説明において列挙したものと同じである。
  前記一般式(5)〜(9)におけるL4〜L12は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50、好ましくは6〜21、より好ましくは6〜15のアリーレン基を表す。L4〜L12のアリーレン基の具体例および好ましい例は、前記一般式(1)〜(3)、(1−1)〜(1−3)及び(2−1)について説明したL1〜L3において列挙したものと同じである。
  前記一般式(5)〜(9)におけるAr2〜Ar25が前記置換基A又は置換基Bである場合、前記一般式(1)〜(3)、(1−1)〜(1−3)及び(2−1)におけるR1〜R6、L1〜L3およびa〜fは前記一般式(1)で表わされる芳香族アミン誘導体について説明した通りである。
  前記一般式(5)〜(9)のいずれかで表される芳香族アミン誘導体において、好ましいものは下記の組み合わせの化合物である。
(I)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2が前記一般式(1)で表され、Ar3とAr4がそれぞれ独立に前記一般式(3)または(2−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(II)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2とAr3が前記一般式(1)で表され、Ar4が前記一般式(3)または(2−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(III)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2が前記一般式(1)で表され、Ar3が前記一般式(3)または(2−1)で表され、Ar4が置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基である[但し、Ar4の置換基は、それぞれ独立に環形成炭素数6〜50のアリール基、炭素数1〜50の分岐もしくは直鎖のアルキル基、ハロゲン原子およびシアノ基のいずれかである]芳香族アミン誘導体。
(IV)前記一般式(6)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar5とAr6が前記一般式(1)で表され、Ar7とAr8がそれぞれ独立に前記一般式(3)または(2−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(V)前記一般式(6)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar5とAr7が前記一般式(1)で表され、Ar6とAr8がそれぞれ独立に前記一般式(3)または(2−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(VI)前記一般式(7)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar9が前記一般式(1)で表され、Ar11とAr12がそれぞれ独立に前記一般式(3)または(2−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(VII)前記一般式(7)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar11とAr12が前記一般式(1)で表され、Ar9が前記一般式(3)または(2−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(VIII)前記一般式(8)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar14とAr19が前記一般式(1)で表され、Ar16とAr17がそれぞれ独立に前記一般式(3)または(1)で表される芳香族アミン誘導体。
(IX)前記一般式(8)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar16とAr17が前記一般式(1−1)で表され、Ar14とAr19がそれぞれ独立に前記一般式(3)または(2−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(X)前記一般式(9)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar20、Ar22及びAr24が前記一般式(1)で表され、Ar21、Ar23及びAr25がそれぞれ独立に前記一般式(3)または(2−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(XI)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2〜Ar4が前記一般式(1−3)で表される芳香族アミン誘導体。
(XII)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2〜Ar4が前記一般式(1−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(XIII)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2〜Ar4のうち2つが前記一般式(1−3)で表され、1つが置換、または無置換の環形成炭素数が6〜16のアリール基である芳香族アミン誘導体。
(XIV)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2〜Ar4のうち2つが前記一般式(1−1)で表され、1つが置換、または無置換の環形成炭素数が6〜16のアリール基である芳香族アミン誘導体。
(XV)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2〜Ar4のうち少なくとも1つが前記一般式(1−3)で表され、少なくとも一つが前記一般式(1−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(XVI)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2が前記一般式(1−3)で表され、Ar3及びAr4が、それぞれ独立に、前記一般式(1−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(XVII)前記一般式(5)で表される芳香族アミン誘導体であって、前記Ar2及びAr3が前記一般式(1−3)で表され、Ar4が前記一般式(1−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(XVIII)Ar5〜Ar8のうち少なくとも2つ、Ar9〜Ar13のうち少なくとも2つ、Ar14〜Ar19のうち少なくとも1つ、またはAr20〜Ar25のうち少なくとも1つが前記一般式(1−3)または前記一般式(1−1)で表される芳香族アミン誘導体。
(XIX)前記Ar5〜Ar8のうち少なくとも1つは前記一般式(1−3)で表され、一般式(1−3)ではないAr5〜Ar8のうち少なくとも1つは前記一般式(1−1)で表される前記一般式(6)の芳香族アミン誘導体、前記Ar9〜Ar13のうち少なくとも1つは前記一般式(1−3)で表され、一般式(1−3)ではないAr9〜Ar13のうち少なくとも1つは前記一般式(1−1)で表される前記一般式(7)の芳香族アミン誘導体、前記Ar14〜Ar19のうち少なくとも1つは前記一般式(1−3)で表され、一般式(1−3)ではないAr14〜Ar19のうち少なくとも1つは前記一般式(1−1)で表される前記一般式(8)の芳香族アミン誘導体および前記Ar20〜Ar25のうち少なくとも1つは下記一般式(1−3)で表され、一般式(1−3)ではないAr20〜Ar25のうち少なくとも1つは下記一般式(1−1)で表される前記一般式(9)の芳香族アミン誘導体のいずれかである芳香族アミン誘導体。
(XX)前記Ar5が前記一般式(1−3)で表され、Ar6が前記一般式(1−1)で表される前記一般式(5)の芳香族アミン誘導体である芳香族アミン誘導体。
(XXI)前記Ar5とAr7が前記一般式(1−3)で表され、Ar6とAr8が前記一般式(1−1)で表される前記一般式(5)の芳香族アミン誘導体である芳香族アミン誘導体。
(XXII)前記Ar9が前記一般式(1−3)で表され、Ar11とAr12が前記一般式(1−1)で表される前記一般式(6)の芳香族アミン誘導体である芳香族アミン誘導体。
(XXIII)前記Ar10とAr13が前記一般式(1−3)で表され、Ar11とAr12が前記一般式(1−1)で表される前記一般式(6)の芳香族アミン誘導体である芳香族アミン誘導体。
(XXIV)前記Ar14とAr19が前記一般式(1−3)で表され、Ar16とAr17が前記一般式(1−1)で表される前記一般式(8)の芳香族アミン誘導体である芳香族アミン誘導体。
(XXV)前記Ar15とAr18が前記一般式(1−3)で表され、Ar16とAr17が前記一般式(1−1)で表される前記一般式(8)の芳香族アミン誘導体である芳香族アミン誘導体。
(XXVI)前記Ar20、Ar22及びAr24が前記一般式(1−3)で表され、Ar21、Ar23及びAr25が前記一般式(1−1)で表される前記一般式(9)の芳香族アミン誘導体である芳香族アミン誘導体。
(XXVII)前記Ar2〜Ar25のうち置換基A又は置換基Bでない基が、それぞれ独立に、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基又はフルオレニル基である芳香族アミン誘導体。
  前記一般式(5)〜(9)のいずれかで表わされる芳香族アミン誘導体の具体例としては下記のものが挙げられる。
  本発明の芳香族アミン誘導体は、結晶化しにくく、有機EL素子用発光材料、中でも、有機EL素子用正孔輸送材料として好ましく用いられる。本発明の芳香族アミン誘導体を用いた有機EL素子は高温においても効率が高く、寿命が長いものとなる。
  次に、本発明の芳香族アミン誘導体の製造方法について説明する。
  本発明の芳香族アミン誘導体の製造方法は、特に限定されず、例えば、下記の通りである。
(製造方法1)
  一般式(5)によって表される本発明の芳香族アミン誘導体は例えば以下の反応により合成することができる。
(a)Ar2〜Ar4の全てが置換基A又は置換基Bである芳香族アミン誘導体の合成
  まず、一般式(1)で表される構造を生成させる化合物〔例えば、ジベンゾフラン−4−ボロン酸と4−ヨードブロモベンゼン〕を触媒〔例えば、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)〕の存在下、溶媒〔例えば、トルエン〕とアルカリ性化合物〔例えば、炭酸ナトリウム〕水溶液中、50〜150℃で反応させることにより、ハロゲン化物を得る。更に、上記ハロゲン化物、アミノ基を生成させる化合物〔例えば、アセトアミド〕を触媒(ヨウ化銅のような金属ハロゲン化物およびN,N‘−ジメチルエチレンジアミンのようなアミン〕およびアルカリ性物質〔例えば、炭酸カリウム〕の存在下、溶媒〔例えば、キシレン〕中、50〜250℃で反応させた後、アルカリ性物質〔例えば、水酸化カリウム〕と水の存在下、溶媒〔例えば、キシレン〕中、50〜250℃で反応させることにより、中間体Xを合成する。反応はアルゴンのような不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましい。
  別途、一般式(3)で表わされる構造を生成させるハロゲン化物〔例えば、カルバゾールと4−ヨードブロモベンゼン〕を触媒〔例えば、ヨウ化銅(CuI)およびtrans−1,2−シクロヘキサンジアミンのようなアミン〕の存在下、溶媒〔例えば、1,4−ジオキサンン〕とアルカリ性化合物〔例えば、燐酸三カリウム〕中、50〜150℃で反応させることにより、中間体Yを合成する。反応はアルゴンのような不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましい。
  次に、中間体Xおよび中間体Yを触媒〔例えば、t−ブトキシナトリウムおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)〕存在下、溶媒〔例えば、脱水トルエン〕中、0〜150℃で反応させることにより本発明の芳香族アミン誘導体を合成することができる。反応はアルゴンのような不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましい。
  反応終了後、室温まで冷却し、水を加えて反応生成物を濾過し、濾液をトルエンのような溶媒で抽出し、無水硫酸マグネシウムのような乾燥剤で乾燥させ、これを減圧下で脱溶媒して濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンのような溶媒で再結晶し、それを濾別して乾燥することにより精製された本発明の芳香族アミン誘導体が得られる。
  一般式(5)で表わされる芳香族アミン誘導体中に一般式(1)および一般式(2−1)を導入するには、上記中間体Yを合成する際に一般式(2−1)で表わされる構造を生成させるハロゲン化物〔例えば、9−フェニルカルバゾールとヨウ素〕を触媒〔例えば、過ヨウ素酸2水和物、酢酸および硫酸〕の存在下、溶媒〔例えば、水〕中、50〜100℃で反応させることにより、一般式(2−1)を導入することができる中間体Yを合成する。次に、中間体Xおよび中間体Yを上記と同様に反応させることにより一般式(1)および一般式(2−1)を導入した本発明の芳香族アミン誘導体を合成することができる。反応はアルゴンのような不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましい。
(b)Ar2〜Ar4のうちの一つが一般式(1)、(2−1)又は(3)以外の基を有する芳香族アミン誘導体の合成
  一般式(5)で表わされる芳香族アミン誘導体中に一般式(1)、(2−1)又は(3)以外の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基を導入するには、中間体Xを合成する際、または中間体Xと中間体Yを反応させる際に反応量比を制御し、一般式(1)および一般式(3)以外の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基のハロゲン化物〔例えば、4−ブロモ−p−テルフェニル〕を同様に順次反応し、導入すればよい〔例えば、アセトアミドに4−(4−ヨードフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、4−ブロモ−p−テルフェニルを1当量投入して反応した後、加水分解することで一般式(1−1)と「一般式(1−1)、(1−2)及び(2)以外のアリール基」を導入した中間体Xが得られる〕。
  一般式(1)のハロゲン化物と一般式(3)のハロゲン化物と一般式(1)および一般式(3)以外の置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜50のアリール基のハロゲン化物は任意に中間体Xに導入することが可能である。また、アリール基は1つもしくは2つ導入することが可能であり、さらに任意の組み合わせで導入することが可能である。その導入の結果得られたアミン化合物(中間体X)と任意のハロゲン化物(中間体Y)を反応させることで目的物を得ることができる。これらの反応順序や組み合わせ方は、反応性や精製の容易さ等を考慮して行うことができる。
  次に、前記一般式(6)で表される芳香族アミン誘導体の製造方法について述べる。
(a)Ar5〜Ar8の全てが一般式(1)、(2−1)又は(3)の基を有する芳香族アミン誘導体の合成
  上記と同様に一般式(1)と一般式(3)を含むアミン化合物を中間体Xとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ヨードフェニル)-ジベンゾフランを1:1で反応させた後、9−(4−ブロモ−フェニル)カルバゾールを1当量投入して反応させ、次いで加水分解することで一般式(1)と一般式(3)を導入した中間体Xが得られる〕。
  ハロゲン化物としてジハロゲン化物〔例えば、4,4’−ジブロモビフェニル〕を中間体Yとする。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(6)におけるAr5〜Ar8の全てが一般式(1)、(2−1)又は(3)で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。
(b)Ar5〜Ar8のうちの少なくとも一つが一般式(1)、(2−1)又は(3)以外の基を有する芳香族アミン誘導体の合成
  上記と同様に一般式(1)と一般式(3)を含むアミン化合物を中間体Xとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ヨードフェニル)-ジベンゾフランを1:1で反応させた後、9−(4−ブロモ−フェニル)カルバゾールを1当量投入して反応した後、加水分解することで一般式(1)と一般式(3)を導入した中間体Xが得られる〕。
  ハロゲン化物としてアミノ基含有化合物〔例えば、4−ブロモフェニル−ジフェニルアミン〕を中間体Yとする。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(6)におけるAr5〜Ar8のうちの少なくとも一つが一般式(1)、(2−1)又は(3)以外の基で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。
  次に、前記一般式(7)で表される芳香族アミン誘導体の製造方法について述べる。
  上記と同様の方法で一般式(1)を含むアミン化合物を中間体Xとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ヨードフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、加水分解することで一般式(1)を導入した中間体Xが得られる〕。ハロゲン化物としてアミノ基含有化合物を中間体Yとして合成する〔例えば、アニリンとカルバゾールを1:1反応させた後、さらに4‘−ヨードブロモビフェニルを1:1で反応させることで一般式(3)を導入した中間体Yが得られる〕。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(7)で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。出発原料や反応中間体を代えることでAr11〜Ar15の置換基の種類や数を代えることができる。また、全てが一般式(1)、(2−1)又は(3)の基を有する芳香族アミン誘導体の合成が可能である。
  次に、前記一般式(8)で表される芳香族アミン誘導体の製造方法について述べる。
  上記と同様の方法で一般式(1)を含むアミン化合物を中間体Xとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ヨードフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、4,4‘−ジヨードビフェニルと2:1で反応させた後、加水分解することで一般式(1)を導入したジアミン化合物の中間体Xが得られる〕。
  ハロゲン化物としてアミノ基含有化合物を中間体Yとして合成する〔例えば、アニリンとカルバゾールを1:1反応させた後、さらに4‘−ヨードブロモベンゼンを1:1で反応させることで一般式(3)を導入した中間体Yが得られる〕。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(8)で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。出発原料や反応中間体を代えることでAr14〜Ar19の置換基の種類や数を代えることができる。また、全てが一般式(1)、(2−1)又は(3)の基を有する芳香族アミン誘導体の合成が可能である。
  次に、前記一般式(9)で表される芳香族アミン誘導体の製造方法について述べる。
  上記と同様の方法で一般式(1)を含むアミン化合物を中間体Xとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ヨードフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、9−(4−ブロモ−フェニル)カルバゾールを1当量投入して反応した後、加水分解することで一般式(1)と一般式(3)を導入した中間体Xが得られる〕。
  ハロゲン化物としてアミノ基含有化合物を中間体Yとする〔例えば市販のトリス(4−ブロモフェニル)アミン〕。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(9)で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。出発原料や反応中間体を代えることでAr22〜Ar27の置換基の種類や数を代えることができる。また、全てが一般式(1)、(2−1)又は(3)の基を有する芳香族アミン誘導体の合成が可能である。
また、上記の合成については公知技術(特開2003−171366号公報、WO2006/114921号公報、WO2006/073054号公報、WO2007/125714号公報、WO2008/062636号公報)中に記載された個別の類似合成法を用いてもよい。
(製造方法2)
  一般式(5)によって表される本発明の芳香族アミン誘導体は例えば以下の反応により合成することができる。
  まず、一般式(1−2)で表される構造を生成させる化合物〔例えば、ジベンゾフラン−4−ボロン酸と4−ヨードブロモベンゼン〕を触媒〔例えば、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)〕の存在下、溶媒〔例えば、トルエン〕とアルカリ性化合物〔例えば、炭酸ナトリウム〕水溶液中、50〜150℃で反応させることにより、ハロゲン化物を得る。更に、上記ハロゲン化物、アミノ基を生成させる化合物〔例えば、アセトアミド〕を触媒(ヨウ化銅のような金属ハロゲン化物およびN,N‘−ジメチルエチレンジアミンのようなアミン〕およびアルカリ性物質〔例えば、炭酸カリウム〕の存在下、溶媒〔例えば、キシレン〕中、50〜250℃で反応させた後、アルカリ性物質〔例えば、水酸化カリウム〕と水の存在下、溶媒〔例えば、キシレン〕中、50〜250℃で反応させることにより、中間体Xを合成する。反応はアルゴンのような不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましい。
  別途、一般式(1−1)で表わされる構造を生成させるハロゲン化物〔例えば、ジベンゾフラン−2−ボロン酸と4−ヨードブロモベンゼン〕を触媒〔例えば、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)〕の存在下、溶媒〔例えば、トルエン〕とアルカリ性化合物〔例えば、炭酸ナトリウム〕水溶液中、50〜150℃で反応させることにより、中間体Yを合成する。反応はアルゴンのような不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましい。
  次に、中間体Xおよび中間体Yを触媒〔例えば、t−ブトキシナトリウムおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)〕存在下、溶媒〔例えば、脱水トルエン〕中、0〜150℃で反応させることにより本発明の芳香族アミン誘導体を合成することができる。反応はアルゴンのような不活性ガス雰囲気下で行なうのが好ましい。
  反応終了後、室温まで冷却し、水を加えて反応生成物を濾過し、濾液をトルエンのような溶媒で抽出し、無水硫酸マグネシウムのような乾燥剤で乾燥させ、これを減圧下で脱溶媒して濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンのような溶媒で再結晶し、それを濾別して乾燥することにより精製された本発明の芳香族アミン誘導体が得られる。
  上記ではAr2とAr3が一般式(1−2)であり、Ar4が一般式(1−1)で表わされる芳香族アミン誘導体の製造方法を示したが、Ar2が一般式(1−2)であり、Ar3とAr4が一般式(1−1)で表わされる芳香族アミン誘導体も同様の方法で製造できる。この場合は上記に製造において、一般式(1−2)を用いて中間体Xを合成し、一般式(1−1)を用いて中間体Yを合成した後、中間体Xと中間体Yを反応することで製造できる。
  また、一般式(1−2)および/または一般式(1−1)で表されるAr2〜Ar4が全て異なる場合も同様に合成することができる。異なるAr2〜Ar4を導入するには、中間体Xを合成する際、または中間体Xと中間体Yを反応させる際に反応量比を制御し、ハロゲン化物を同様に順次反応し、導入すればよい〔例えば、アセトアミドに4−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、2−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1当量投入して反応させた後、加水分解することで一般式(1−2)と一般式(1−1)を導入した中間体Xが得られる〕。その後、中間体Xと既に導入した置換基とは異なるハロゲン化物の中間体Y[例えば、4−(4−ブロモビフェニル)−ジベンゾフラン]と反応することで合成することができる。
  一般式(1−2)のハロゲン化物と一般式(1−1)のハロゲン化物は任意に中間体Xに導入することが可能である。その導入の結果得られたアミン化合物(中間体X)と任意のハロゲン化物(中間体Y)を反応させることで目的物を得ることができる。これらの反応順序や組み合わせ方は、反応性や精製の容易さ等を考慮して行うことができる。
  次に、前記一般式(6)で表される芳香族アミン誘導体の製造方法について述べる。
  上記と同様に一般式(1−2)と一般式(1−1)を含むアミン化合物を中間体Xとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、2−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1当量投入して反応させ、次いで加水分解することで一般式(1−2)と一般式(1−1)を導入した中間体Xが得られる〕。
  ハロゲン化物としてジハロゲン化物〔例えば、4,4’−ジブロモビフェニル〕を中間体Yとする。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(6)におけるAr7〜Ar10の全てが一般式(1−2)または(1−1)で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。
  また、ハロゲン化物としてアミノ基含有化合物〔例えば、4−ブロモフェニル−ジフェニルアミン〕を中間体Yとして、上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(6)におけるAr7〜Ar10のうちの少なくとも一つが一般式(1−2)または(1−1)以外の基で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。
  次に、前記一般式(7)で表される芳香族アミン誘導体の製造方法について述べる。
  アミン化合物(例えば市販のアニリン)を中間体Xとする。
  また、上記と同様の方法で一般式(1−2)と一般式(1−1)を含むアミン化合物を含むハロゲン化合物を中間体Yとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、2−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1当量投入して反応させ、次いで加水分解することで一般式(1−2)と一般式(1−1)を導入したアミン化合物が得られる。さらに4‘−ヨードブロモビフェニルを1:1で反応させることで一般式(1−2)と一般式(1−1)を導入した中間体Yが得られる〕。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(7)で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。出発原料や反応中間体を代えることでAr9〜Ar13の置換基の種類や数を代えることができる。また、全てが一般式(1−2)または(1−1)の基を有する芳香族アミン誘導体の合成が可能である。
  次に、前記一般式(8)で表される芳香族アミン誘導体の製造方法について述べる。
  アミン化合物(例えば市販のN,N‘−ジフェニルベンジジン)を中間体Xとする。
  また、上記と同様の方法で一般式(1−2)と一般式(1−1)を含むアミン化合物を含むハロゲン化合物を中間体Yとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、2−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1当量投入して反応させ、次いで加水分解することで一般式(1−1−3)と一般式(1−1−1)を導入したアミン化合物が得られる。さらに4‘−ヨードブロモベンゼンを1:1で反応させることで一般式(1−2)と一般式(1−1)を導入した中間体Yが得られる〕。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(8)で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。出発原料や反応中間体を代えることでAr14〜Ar19の置換基の種類や数を代えることができる。また、全てが一般式(1−2)または(1−1)の基を有する芳香族アミン誘導体の合成が可能である。
  次に、前記一般式(9)で表される芳香族アミン誘導体の製造方法について述べる。
  上記と同様に一般式(1−2)および一般式(1−1)を含むアミン化合物を中間体Xとして合成する〔例えば、アセトアミドに4−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1:1で反応させた後、2−(4−ブロモフェニル)−ジベンゾフランを1当量投入して反応させ、次いで加水分解することで一般式(1−2)および一般式(1−1)を導入した中間体Xが得られる〕。
  ハロゲン化物としてアミノ基含有化合物を中間体Yとする〔例えば市販のトリス(4−ブロモフェニル)アミン〕。上記と同様に中間体Xと中間体Yを0〜150℃で反応させることにより、一般式(9)で表わされる芳香族アミン誘導体を合成することができる。出発原料や反応中間体を代えることでAr20〜Ar25の置換基の種類や数を代えることができる。また、全てが一般式(1−2)または(1−1)の基を有する芳香族アミン誘導体の合成が可能である。
  また、上記の合成については公知技術(特開2003−171366号公報、WO2006/114921号公報、WO2006/073054号公報、WO2007/125714号公報、WO2008/062636号公報)中に記載された個別の類似合成法を用いてもよい。
  以下、本発明の有機EL素子構成について説明する。
  本発明の有機EL素子の代表的な構成としては、以下の構造を挙げることができる。
  (1)陽極/発光層/陰極
  (2)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
  (3)陽極/発光層/電子注入層/陰極
  (4)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
  (5)陽極/有機半導体層/発光層/陰極
  (6)陽極/有機半導体層/電子障壁層/発光層/陰極
  (7)陽極/有機半導体層/発光層/付着改善層/陰極
  (8)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
  (9)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
  (10)陽極/無機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
  (11)陽極/有機半導体層/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
  (12)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
  (13)陽極/絶縁層/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
  これらの中で通常(8)の構成が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
  また、本発明の有機EL素子において、本発明の一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体は、上記有機薄膜層のうちどの層に用いられてもよいが、正孔注入層や正孔輸送層に含有されていることが好ましい。一般式(1)で表される芳香族アミン誘導体の含有量は、30〜100モル%から選ばれる。
  本発明の芳香族アミン誘導体は正孔注入層又は正孔輸送層用の材料として好ましく用いられる。
  正孔注入層および正孔輸送層は、発光層への正孔の注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい。
  このような正孔注入層および正孔輸送層としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましい。また、正孔の移動度が、例えば104〜106V/cmの電界印加時に、少なくとも10-4cm2/V・s以上であることが好ましい。
  本発明の芳香族アミン誘導体は、イオン化エネルギーが小さく、正孔移動度が大きいため正孔輸送材料として好ましい。また、本発明の芳香族アミン誘導体は、分子内に極性基を含有するため陽極との接着性が良く、基板の洗浄条件等の影響を受けにくいため、正孔注入材料として好ましい。これらの要因により、本発明の芳香族アミン誘導体を用いた有機EL素子は長寿命化すると考えられる。
  正孔注入層または正孔輸送層は、本発明の芳香族アミン誘導体を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜を形成することにより得ることができる。正孔注入層または正孔輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。
  この正孔注入層または正孔輸送層は、正孔輸送帯域に本発明の芳香族アミン誘導体を含有していれば、上記芳香族アミン誘導体の一種又は二種以上からなる一層で構成されてもよいし、正孔注入層および正孔輸送層が、別種の化合物を含む正孔注入層および正孔輸送層を積層したものであってもよい。
  また、有機半導体層は、発光層への正孔注入又は電子注入を助ける層であって、10-10S/cm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや含アリールアミンオリゴマー等の導電性オリゴマー、含アリールアミンデンドリマー等の導電性デンドリマー等を用いることができる。
  有機EL素子は、通常、透光性の基板(透光性基板)上に作製する。この透光性基板は、有機EL素子を支持する基板であり、その透光性は、波長400〜700nmの可視領域の光の透過率が50%以上であるものが好ましく、さらに平滑な基板を用いるのが好ましい。
  このような透光性基板の好ましい例には、ガラス板、合成樹脂板などが含まれる。ガラス板の例には、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などで成形された板が含まれる。また、合成樹脂板の例には、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂などの板が含まれる。
  陽極は、正孔を正孔輸送層又は発光層に注入する機能を有しており、4.5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。本発明に用いられる陽極材料の具体例には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の混合物(IZO)、ITOと酸化セリウムの混合物(ITCO)、IZOと酸化セリウムの混合物(IZCO)、酸化インジウムと酸化セリウムの混合物(ICO)、酸化亜鉛と酸化アルミニウムの混合物(AZO)、酸化錫(NESA)、金、銀、白金、銅等が含まれる。
  陽極は、これらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等により薄膜を形成することで得ることができる。
  このように、発光層からの光を陽極から取り出す場合、陽極の光の透過率が10%より大きくすることが好ましい。また陽極のシート抵抗は、数百Ω/cm以下が好ましい。陽極の膜厚は、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲で選択される。
  陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例には、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、セシウム、マグネシウム・銀合金、アルミニウム/酸化アルミニウム、Al/Li2O、Al/LiO、Al/LiF、アルミニウム・リチウム合金、インジウム、希土類金属などが含まれる。
  陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等により薄膜を形成させることで、得ることができる。
  ここで、発光層からの光を陰極から取り出す場合、陰極の光の透過率は10%より大きくすることが好ましい。また、陰極のシート抵抗は数百Ω/cm以下が好ましい。陰極の膜厚は、通常10nm〜1μm、好ましくは50〜200nmである。
  一般に、有機EL素子は、超薄膜に電界を印加するために、リークやショートによる画素の欠陥が生じやすい。これを防止するために、一対の電極間に絶縁性の薄膜層からなる絶縁層を挿入してもよい。絶縁層に用いられる材料の例には、酸化アルミニウム、弗化リチウム、酸化リチウム、弗化セシウム、酸化セシウム、酸化マグネシウム、弗化マグネシウム、酸化カルシウム、弗化カルシウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム等が含まれる。これらの2種以上の化合物の混合物や、該2種以上の化合物ごとに層を形成した積層物を、絶縁層としてもよい。
  本発明の有機EL素子においては、発光層は、
  (i)注入機能;電界印加時に陽極又は正孔注入層から正孔が注入され、陰極又は電子注入層から電子が注入される機能、
  (ii)輸送機能;注入された電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、
  (iii)発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これにより発光する機能、を有する。
  発光層を形成する方法の例には、蒸着法、スピンコート法、LB法等の公知の方法が含まれる。発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい。分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、溶液状態又は液相状態の材料化合物から固体化されることで形成された膜のことである。この分子堆積膜は、通常、LB法により形成された薄膜(分子累積膜)とは、凝集構造、高次構造の相違や、それに起因する機能の相違により区別される。
  また、樹脂等の結着剤と、材料となる化合物とを溶剤に溶かして溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜を形成することによっても、発光層を形成することができる。
  本発明においては、発光層に、ピレン系誘導体及びアミン化合物からなる発光材料や他の公知の金属錯体化合物を含有させてもよい。
  金属錯体化合物としては、Ir、Ru、Pd、Pt、Os及びReの中から選ばれる少なくとも一つの金属を含む金属錯体化合物であることが好ましい。配位子は、フェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格及びフェナントロリン骨格から選ばれる少なくとも一つの骨格を有することが好ましい。
  このような金属錯体化合物の具体例には、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2−フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2−フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2−フェニルピリジン)白金、トリス(2−フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2−フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が含まれるが、これらに限定されるものではない。要求される発光色、素子性能、ホスト化合物に応じて、適切な金属錯体化合物が選ばれる。
  また、本発明の有機EL素子の発光層には、りん光発光性のドーパントや蛍光性ドーパントが用いられてもよい。
  りん光発光性のドーパントは、三重項励起子から発光することのできる化合物である。三重項励起子から発光するものである限り、特に限定されないが、Ir、Ru、Pd、Pt、OsおよびReからなる群から選択される少なくとも一つの金属を含む金属錯体であることが好ましく、ポルフィリン金属錯体またはオルトメタル化金属錯体がより好ましい。ポルフィリン金属錯体としては、ポルフィリン白金錯体が好ましい。りん光発光性のドーパントは、単独で用いられてもよいし、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
  オルトメタル化金属錯体を形成する配位子には種々のものがあるが、好ましい配位子には、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等が含まれる。これらの誘導体は、必要に応じて置換基を有してもよい。特に、フッ素化物、トリフルオロメチル基を有する上記誘導体が、青色系ドーパントとして好ましい。さらに、補助配位子として、アセチルアセトナート、ピクリン酸等の、上記配位子以外の配位子を有していてもよい。
  りん光発光性のドーパントの発光層における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜70質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。りん光発光性のドーパントの含有量が0.1質量%未満では、発光が微弱であり、その含有効果が十分に発揮されず、70質量%を超えると、濃度消光と言われる現象が顕著になり、素子性能が低下する。また、発光層は、必要に応じて正孔輸送材、電子輸送材、ポリマーバインダーを含有しても良い。
  さらに、発光層の膜厚は、好ましくは5〜50nm、より好ましくは7〜50nm、最も好ましくは10〜50nmである。5nm未満では、発光層の形成が困難であり、色度の調整が困難となる虞があり、50nmを超えると駆動電圧が上昇する虞がある。
  蛍光性ドーパントは、アミン系化合物、芳香族化合物、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体等のキレート錯体、クマリン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体等から、要求される発光色に合わせて選ばれる化合物であることが好ましい。特に、アリールアミン化合物、アリールジアミン化合物が好ましく、その中でもスチリルアミン化合物、スチリルジアミン化合物、芳香族アミン化合物、芳香族ジアミン化合物がより好ましく、縮合多環アミン誘導体がさらに好ましい。これらの蛍光性ドーパントは、単独でもまた複数の蛍光ドーパントが組み合わせて使用されてもよい。
  本発明の有機EL素子においては、蛍光性ドーパントとしてスチリルアミン及び/又はアリールアミンを含有することが好ましい。スチリルアミン化合物及びまたはアリールアミンは、下記一般式(50)で表されるものが好ましい。
  一般式(50)において、Ar27〜Ar29は、置換もしくは無置換の、環形成炭素数が6〜40である芳香族基である。uは1〜4の整数であり、その中でも、uは1〜2の整数であることが好ましい。Ar27〜Ar29のいずれか一つは、スチリル基を含有する基であってもよい。Ar27〜Ar28のいずれか一つがスチリル基を有する場合、Ar28またはAr29の少なくとも一方は、スチリル基で置換されていることが好ましい。
  ここで、環形成炭素数が6〜40である芳香族基の例には、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ピレニル基、コロニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ピローリル基、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾチオフェニル基、オキサジアゾリル基、ジフェニルアントラニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ベンゾキノリル基、フルオランテニル基、アセナフトフルオランテニル基、スチルベン基、ペリレニル基、クリセニル基、ピセニル基、トリフェニレニル基、ルビセニル基、ベンゾアントラセニル基、フェニルアントラセニル基、ビスアントラセニル基又は下記一般式(C)および(D)で示されるアリーレン基等が含まれる。中でも、ナフチル基、アントラニル基、クリセニル基、ピレニル基または一般式(D)で示されるアリーレン基が好ましい。
  一般式(C)において、rは1〜3の整数である。
  なお、前記アリール基およびアリーレン基に置換する好ましい置換基の例には、炭素数1〜6のアルキル基(エチル基、メチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数1〜6のアルコキシ基(エトキシ基、メトキシ基、i−プロポキシ基、n−プロポキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロペントキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、炭素数5〜40のアリール基、炭素数5〜40のアリール基で置換されたアミノ基、炭素数5〜40のアリール基を有するエステル基、炭素数1〜6のアルキル基を有するエステル基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が含まれる。
  発光層に含まれる発光材料は、特に制限されず、ホスト材料としては、アントラセン化合物、フェナンスレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、トリフェニレン化合物、クリセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、ペリレン化合物、フタロペリレン化合物、ナフタロペリレン化合物、ナフタセン化合物、ペンタセン化合物のような多環芳香族化合物、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ポルフィリン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、クマリン系色素、ピラン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、又は希土類錯体系蛍光体、希土類系燐光発光性錯体(例えば、Ir錯体)及びポリビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリエチレンジオキサイドチオフェン(PEDOT)等の導電性高分子のような高分子材料等が挙げられ、これらは単独でも2種類以上の混合物として用いてもよい。
  本発明の化合物と組み合わせて用いられるホスト材料は、下記式(11)〜(17)で表される化合物が好ましい。
  一般式(51)において、A21およびA22は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数6〜60の芳香族環基である。R21〜R28は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族環基、置換もしくは無置換の原子数5〜50の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の原子数5〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の原子数5〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のシリル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基またはヒドロキシ基である。
  一般式(52)において、R30〜R39は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族環基、置換もしくは無置換の原子数5〜50の芳香族複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜50のアラルキル基、置換もしくは無置換の原子数5〜50のアリールオキシ基、置換もしくは無置換の原子数5〜50のアリールチオ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜50のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のシリル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基又はヒドロキシ基である。
  一般式(53)において、R40〜R49は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、置換してもよいアリール基、アルコキシル基、アリーロキシ基、アルキルアミノ基、アルケニル基、アリールアミノ基または置換してもよい複素環式基を示す。
  iおよびjは、それぞれ1〜5の整数を示し、それらが2以上の場合、R40同士又はR41同士は、それぞれにおいて、同一でも異なっていてもよい。また、R40同士またはR41同士が結合して環を形成していてもよいし、R42とR43、R44とR45、R46とR47、R48とR49が、互いに結合して環を形成していてもよい。
  L1は、単結合、−O−、−S−、−N(R)−(Rはアルキル基または置換してもよいアリール基である)、アルキレン基またはアリーレン基を示す。
  一般式(54)において、R50〜R59は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリーロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基または置換してもよい複数環式基を示す。
  k,l,mおよびnは、それぞれ1〜5の整数を示し、それらが2以上の場合、R50同士,R51同士,R55同士またはR56同士は、それぞれにおいて、同一でも異なっていてもよい。また、R52同士,R53同士,R54同士またはR55同士が結合して環を形成していてもよいし、R52とR53,R57とR58が、互いに結合して環を形成していてもよい。
  L2は、単結合、−O−、−S−、−N(R)−(Rはアルキル基又は置換しても良いアリール基である)、アルキレン基またはアリーレン基を示す。
  下記一般式(55)で表されるスピロフルオレン誘導体。
  一般式(55)において、A31〜A34は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のビフェニリル基または置換もしくは無置換のナフチル基である。
  一般式(56)において、Ar41〜Ar43はそれぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数6〜60のアリーレン基、Ar44〜Ar46はそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数6〜60のアリール基を示す。
  R61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、炭素数5〜18のアリールオキシ基、炭素数7〜18のアラルキルオキシ基、炭素数5〜16のアリールアミノ基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜6のエステル基またはハロゲン原子を示す。
  一般式(57)において、R73およびR74は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基,置換あるいは無置換の複素環基、置換アミノ基、シアノ基またはハロゲン原子を表わす。異なるフルオレン基に結合するR71同士、R72同士は、同じであっても異なっていてもよく、同じフルオレン基に結合するR71およびR72は、同じであっても異なっていてもよい。
  R93およびR94は、水素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアラルキル基、置換あるいは無置換のアリール基または置換あるいは無置換の複素環基を表わす。異なるフルオレン基に結合するR73同士、R74同士は、同じであっても異なっていてもよく、同じフルオレン基に結合するR73およびR74は、同じであっても異なっていてもよい。
  Ar71およびAr72は、ベンゼン環の合計が3個以上の置換あるいは無置換の縮合多環芳香族基またはベンゼン環と複素環の合計が3個以上の置換あるいは無置換の炭素でフルオレン基に結合する縮合多環複素環基を表わす。Ar71およびAr72は、同じであっても異なっていてもよい。vは、1乃至10の整数を表す。
  以上のホスト材料の中でも、好ましくはアントラセン誘導体、さらに好ましくはモノアントラセン誘導体、特に好ましくは非対称アントラセンである。
  カルバゾール環を含む化合物からなるりん光発光に好適なホストは、その励起状態からりん光発光性化合物へエネルギー移動が起こる結果、りん光発光性化合物を発光させる機能を有する化合物である。ホスト化合物としては励起子エネルギーをりん光発光性化合物にエネルギー移動できる化合物ならば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。カルバゾール環以外に任意の複素環などを有していてもよい。
  このようなホスト化合物の具体例には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン系化合物、ポルフィリン系化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等の高分子化合物等が含まれる。ホスト化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
  次に、電子注入層および電子輸送層は、発光層への電子の注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、電子移動度が大きい層である。また、付着改善層は、この電子注入層の中で特に陰極との付着がよい材料からなる層である。
  また、有機EL素子は、発光した光が電極(この場合は陰極)により反射するため、直接陽極から取り出される発光と、電極による反射を経由して取り出される発光とが干渉することが知られている。この干渉効果を効率的に利用するため、電子輸送層の膜厚は、数nm〜数μmの範囲で適宜選ばれる。特に、電子輸送層の膜厚が厚いとき、電圧上昇を避けるために、104〜106V/cmの電界印加時に電子移動度が少なくとも10-5cm2/V・s以上であることが好ましい。
  電子注入層に用いられる材料としては、8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体やオキサジアゾール誘導体が好適である。上記8−ヒドロキシキノリンまたはその誘導体の金属錯体の具体例としては、オキシン(一般に、8−キノリノール又は8−ヒドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートオキシノイド化合物、例えばトリス(8−キノリノール)アルミニウムを電子注入材料として用いることができる。
  一方、オキサジアゾール誘導体としては、以下の一般式で表される電子伝達化合物が挙げられる。
  式中、Ar81,Ar82,Ar83,Ar85,Ar86,Ar89はそれぞれ置換または無置換のアリール基を示し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。また、Ar84,Ar87,Ar88は置換または無置換のアリーレン基を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
  アリール基としては、フェニル基、ビフェニリル基、アントリル基、ペリレニル基、ピレニル基が挙げられる。また、アリーレン基としてはフェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基、アントリレン基、ペリレニレン基、ピレニレン基などが挙げられる。また、置換基としては炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基またはシアノ基等が挙げられる。この電子伝達化合物は、薄膜を形成することができる性質を有するものが好ましい。
  正孔注入層および正孔輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する層であって、正孔移動度が大きく、イオン化エネルギーが通常5.5eV以下と小さい。
  このような正孔注入層および正孔輸送層としては、より低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材料が好ましく、さらに正孔の移動度が、例えば104〜106V/cmの電界印加時に、少なくとも10-4cm2/V・sであれば好ましい。
  本発明の芳香族アミン誘導体を正孔輸送帯域に用いる場合、本発明の芳香族アミン誘導体単独で正孔注入層または正孔輸送層を形成してもよく、他の材料と混合して用いてもよい。
  本発明の芳香族アミン誘導体と混合して正孔注入層および正孔輸送層を形成する材料としては、前記の好ましい性質を有するものであれば特に制限はなく、従来、光導伝材料において正孔の電荷輸送材料として慣用されているものや、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用される公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。本発明においては、正孔輸送能を有し、正孔輸送帯域に用いることが可能な材料を正孔輸送材料と呼ぶ。
  正孔注入層および正孔輸送層に使用される芳香族アミン誘導体としては、下記式に示される化合物があげられる。
  Ar211〜Ar213、Ar221〜Ar223及びAr203〜Ar208は、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の原子数5〜50の芳香族複素環基である。p、q、s、t、wおよびyはそれぞれ0〜3の整数である。
  置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−テルフェニル−4−イル基、p−テルフェニル−3−イル基、p−テルフェニル−2−イル基、m−テルフェニル−4−イル基、m−テルフェニル−3−イル基、m−テルフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4’−メチルビフェニルイル基、4”−t−ブチル−p−テルフェニル4−イル基が挙げられる。
  置換もしくは無置換の原子数5〜50の芳香族複素環基の具体例としては、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフリル基、3−ベンゾフリル基、4−ベンゾフリル基、5−ベンゾフリル基、6−ベンゾフリル基、7−ベンゾフリル基、1−イソベンゾフリル基、3−イソベンゾフリル基、4−イソベンゾフリル基、5−イソベンゾフリル基、6−イソベンゾフリル基、7−イソベンゾフリル基、キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−フェナントリジニル基、2−フェナントリジニル基、3−フェナントリジニル基、4−フェナントリジニル基、6−フェナントリジニル基、7−フェナントリジニル基、8−フェナントリジニル基、9−フェナントリジニル基、10−フェナントリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナントロリン−2−イル基、1,7−フェナントロリン−3−イル基、1,7−フェナントロリン−4−イル基、1,7−フェナントロリン−5−イル基、1,7−フェナントロリン−6−イル基、1,7−フェナントロリン−8−イル基、1,7−フェナントロリン−9−イル基、1,7−フェナントロリン−10−イル基、1,8−フェナントロリン−2−イル基、1,8−フェナントロリン−3−イル基、1,8−フェナントロリン−4−イル基、1,8−フェナントロリン−5−イル基、1,8−フェナントロリン−6−イル基、1,8−フェナントロリン−7−イル基、1,8−フェナントロリン−9−イル基、1,8−フェナントロリン−10−イル基、1,9−フェナントロリン−2−イル基、1,9−フェナントロリン−3−イル基、1,9−フェナントロリン−4−イル基、1,9−フェナントロリン−5−イル基、1,9−フェナントロリン−6−イル基、1,9−フェナントロリン−7−イル基、1,9−フェナントロリン−8−イル基、1,9−フェナントロリン−10−イル基、1,10−フェナントロリン−2−イル基、1,10−フェナントロリン−3−イル基、1,10−フェナントロリン−4−イル基、1,10−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−1−イル基、2,9−フェナントロリン−3−イル基、2,9−フェナントロリン−4−イル基、2,9−フェナントロリン−5−イル基、2,9−フェナントロリン−6−イル基、2,9−フェナントロリン−7−イル基、2,9−フェナントロリン−8−イル基、2,9−フェナントロリン−10−イル基、2,8−フェナントロリン−1−イル基、2,8−フェナントロリン−3−イル基、2,8−フェナントロリン−4−イル基、2,8−フェナントロリン−5−イル基、2,8−フェナントロリン−6−イル基、2,8−フェナントロリン−7−イル基、2,8−フェナントロリン−9−イル基、2,8−フェナントロリン−10−イル基、2,7−フェナントロリン−1−イル基、2,7−フェナントロリン−3−イル基、2,7−フェナントロリン−4−イル基、2,7−フェナントロリン−5−イル基、2,7−フェナントロリン−6−イル基、2,7−フェナントロリン−8−イル基、2,7−フェナントロリン−9−イル基、2,7−フェナントロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル1−インドリル基、4−t−ブチル1−インドリル基、2−t−ブチル3−インドリル基、4−t−ブチル3−インドリル基が挙げられる。
  さらに、正孔注入層及び正孔輸送層に、下記式で表される化合物が使用できる。
  Ar231〜Ar234は、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の原子数5〜50の芳香族複素環基である。
  Lは、連結基であり、単結合、もしくは置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の原子数5〜50の芳香族複素環基である。xは、0〜5の整数である。
  ここで置換もしくは無置換の炭素数6〜50の芳香族炭化水素基、及び置換もしくは無置換の原子数5〜50の芳香族複素環基の具体例としては、前記と同様のものがあげられる。
  さらに、正孔注入層及び正孔輸送層の材料の具体例としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ポリシラン系、アニリン系共重合体、導電性高分子オリゴマー(特にチオフェンオリゴマー)等を挙げることができる。
  正孔注入層および正孔輸送層の材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第三級アミン化合物を用いることが好ましい。
  また、2個の縮合芳香族環を分子内に有する、例えば、4,4'-ビス(N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ)ビフェニル(以下NPDと略記する)、またトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4',4"-トリス(N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ)トリフェニルアミン(以下MTDATAと略記する)等を挙げることができる。
  この他に、下記式で表される含窒素複素環誘導体も用いることができる。
  上記式中、R121〜R126は、それぞれ置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアラルキル基、置換又は無置換の複素環基のいずれかを示す。但し、R121〜R126は同じでも異なっていてもよい。また、R121とR122、R123とR124、R125とR126、R121とR126、R122とR123、R124とR125が縮合環を形成していてもよい。
  上記式中、R131〜R136は置換基であり、好ましくはシアノ基、ニトロ基、スルホニル基、カルボニル基、トリフルオロメチル基、ハロゲン等の電子吸引基である。
  これらの材料に代表されるように、アクセプター性材料も正孔注入材料として用いることができる。これらの具体例は上述した通りである。
  さらに、発光層の材料として示した前述の芳香族ジメチリディン系化合物の他、p型Si、p型SiC等の無機化合物も正孔注入層および正孔輸送層の材料として使用することができる。
  正孔注入層および正孔輸送層は、本発明の芳香族アミン誘導体を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の公知の方法により薄膜を形成することにより得ることができる。
  正孔注入層および正孔輸送層としての膜厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μmである。この正孔注入層および正孔輸送層は、正孔輸送帯域に本発明の芳香族アミン誘導体を含有していれば、上述した材料の一種又は二種以上からなる一層で構成されてもよく、正孔注入層および正孔輸送層は、別種の化合物からなる正孔注入層および正孔輸送層を積層したものであってもよい。
  また、発光層への正孔注入を助ける層として有機半導体層を設けてもよく、10-10S/cm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材料としては、含チオフェンオリゴマーや、含アリールアミンオリゴマー等の導電性オリゴマー、含アリールアミンデンドリマー等の導電性デンドリマー等を用いることができる。
  本発明の有機EL素子を作製する方法については、例えば上記の材料及び方法により陽極、発光層、正孔注入層、及び電子注入層を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で有機EL素子を作製することもできる。
  以下、透光性基板上に、陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極が順次設けられた構成の有機EL素子の作製例について説明する。
  まず、適当な透光性基板上に、陽極材料からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着法あるいはスパッタリング法により形成し、陽極とする。
  次に、この陽極上に正孔注入層を設ける。正孔注入層は、前述したように真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法等の方法により形成することができる。均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から真空蒸着法により形成することが好ましい。
  真空蒸着法により正孔注入層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物(正孔注入層の材料)、目的とする正孔注入層の結晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450℃、真空度10-7〜10-3Torr、蒸着速度0.01〜50nm/s、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜選択することが好ましい。
  次に、この正孔注入層上に発光層を設ける。この発光層の形成も、本発明に係る発光材料を用いて真空蒸着法、スパッタリング、スピンコート法、キャスト法等の方法により、発光材料の薄膜を形成することにより得られる。均質な膜が得られやすく、かつピンホールが発生しにくい等の点から、真空蒸着法により形成することが好ましい。
  真空蒸着法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物により異なるが、一般的に正孔注入層の形成と同様な条件範囲の中から選択することができる。膜厚は10〜40nmの範囲が好ましい。
  次に、この発光層上に電子注入層を設ける。この場合にも正孔注入層、発光層と同様、均質な膜を得る必要から真空蒸着法により形成することが好ましい。蒸着条件は正孔注入層、発光層と同様の条件範囲から選択することができる。
  その後、陰極を積層して有機EL素子を得ることができる。陰極は、金属から構成されるもので、蒸着法、スパッタリング等により形成することができる。下地の有機薄膜層を製膜時の損傷から守る観点では、真空蒸着法が好ましい。
  以上の有機EL素子の作製は、一回の真空引きで、一貫して陽極から陰極まで作製することが好ましい。
  本発明の有機EL素子の各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空蒸着法、スピンコーティング法等による方法を用いることができる。本発明の有機EL素子に用いる、前記一般式(1)で示される化合物を含有する有機薄膜層は、真空蒸着法、分子線蒸着法(MBE法)あるいは溶媒に解かした溶液のディッピング法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法による公知の方法で形成することができる。
  本発明の有機EL素子の各有機薄膜層の膜厚は、特に制限されないが、ピンホール等の欠陥や、効率を良くするため、通常は数nmから1μmの範囲が好ましい。
  なお、有機EL素子に直流電圧を印加する場合、陽極をプラス(+)、陰極をマイナス(−)の極性にして、5〜40Vの電圧を印加すると発光を観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れず、発光は全く生じない。さらに、交流電圧を印加した場合には、陽極がプラス(+)、陰極がマイナス(−)の極性になった時のみ均一な発光を観測できる。印加する交流の波形は、任意でよい。
  本発明の有機EL素子は、壁掛けテレビのフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。また、本発明の材料は、有機EL素子だけでなく、電子写真感光体、光電変換素子、太陽電池、イメージセンサー等の分野においても使用できる。
<合成例1−1(中間体1−1の合成)>
  アルゴン気流下、1000ミリリットルの三つ口フラスコに4−ブロモビフェニルを47g、ヨウ素を23g、過ヨウ素酸2水和物を9.4g、水を42ミリリットル、酢酸を360ミリリットル、硫酸を11ミリリットル入れ65℃で30分撹拌後、90℃で6時間反応した。反応物を氷水に注入し、ろ過した。水で洗浄後、メタノールで洗浄することにより67gの白色粉末を得た。フィールドディソープションマススペクトル(以下、FD−MS)の分析により、C12H8BrI=359に対し、m/z=358と360の主ピークが得られたので、中間体1−1と同定した。
<合成例1−2(中間体1−2の合成)>
  合成例1−1において4−ブロモビフェニルのかわりに2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンを用いる以外は同様に反応を行ったところ、61gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、C15H12BrI=399に対し、m/z=398と400の主ピークが得られたので、中間体1−2と同定した。
<合成例1−3(中間体1−3の合成)>
  ジベンゾフラン150g(892ミリモル)と酢酸1リットルをフラスコに仕込み、窒素置換し、加熱溶解させた。臭素188g(1.18モル)を時々水冷しながら滴下した後、空冷下20時間撹拌した。析出した結晶を濾別し、酢酸、水で順次洗浄し、減圧下乾燥させた。得られた結晶を、減圧蒸留にて精製しした後、メタノールで数回再結晶を繰り返し、2−ブロモジベンゾフラン66.8g(収率31%)を得た。FD−MSの分析により、中間体1−3と同定した。
<合成例1−4(中間体1−4の合成)>
  アルゴン雰囲気下、2−ブロモジベンゾフラン(中間体1−3)24.7g(100ミリモル)に無水THF400ミリリットルを加え、−40℃で撹拌中に、1.6M濃度のn−ブチルリチウムのヘキサン溶液63ミリリットル(100ミリモル)を加えた。反応溶液を0℃まで加温しながら1時間攪拌した。反応溶液を再び−78℃まで冷却し、ホウ酸トリメチル26.0g(250ミリモル)の乾燥THFの50ミリリットル溶液を滴下した。反応溶液を室温で5時間攪拌した。1N塩酸200ミリリットルを加え、1時間攪拌後、水層を除去した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた固体をトルエンで洗浄し、ジベンゾフラン−2−ボロン酸15.2g(収率72%)を得た。FD−MSの分析により、C12H9BO3=212に対し、m/z=212の主ピークが得られたので、中間体1−4と同定した。
<合成例1−5(中間体1−5の合成)>
  アルゴン雰囲気下、4−ヨードブロモベンゼン28.3g(100ミリモル)、ジベンゾフラン−2−ボロン酸(中間体1−4)を22.3g(105ミリモル)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)2.31g(2.00ミリモル)にトルエン300ミリリットル、2M濃度の炭酸ナトリウム水溶液150ミリリットルを加え、10時間還流させながら加熱した。
  反応終了後、直ちにろ過した後、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、4−(4−ブロモフェニル)ジベンゾフランの白色結晶26.2gを得た(収率81%)。FD−MSの分析により、中間体1−5と同定した。
<合成例1−6(中間体1−6の合成)>
  合成例1−5において、ジベンゾフラン−2−ボロン酸の代わりにジベンゾフラン−4−ボロン酸を22.3g用いた以外は同様に反応を行ったところ、23.1gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−6と同定した。
<合成例1−7(中間体1−7の合成)>
  合成例1−6において、4−ヨードブロムベンゼンの代わりに中間体1−1を36g用いた以外は同様に反応を行ったところ、28.1gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−6と同定した。
<合成例1−8(中間体1−8の合成)>
  合成例1−6において、4−ヨードブロムベンゼンの代わりに中間体1−2を40g用いた以外は同様に反応を行ったところ、30.2gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−8と同定した。
<合成例1−9(中間体1−9の合成)>
  アルゴン雰囲気下、4−ヨードブロモベンゼン28.3g(100ミリモル)、カルバゾールを16.7g(100ミリモル)、ヨウ化銅(CuI) 0.2g(1.00ミリモル)、燐酸三カリウムを42.4g(210ミリモル)にtrans−1,2−シクロヘキサンジアミンを2ml、1,4−ジオキサンを300ミリリットル入れ、100℃にて20時間撹拌した。
  反応終了後、水300mlを加えた後分液し、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、白色結晶18.3gを得た(収率57%)。FD−MSの分析により、中間体1−9と同定した。
<合成例1−10(中間体1−10の合成)>
  合成例1−9において、4−ヨードブロムベンゼンの代わりに中間体1−1を36g用いた以外は同様に反応を行ったところ、23.1gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−10と同定した。
<合成例1−11(中間体1−11の合成)>
  アルゴン気流下、カルバゾールを670g、ヨードベンゼンを850kg、キシレンを20L、t−BuONaを460g、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)を入れ、8時間還流した。不純物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、ヘキサンで洗浄後、乾燥したところ、フェニルカルバゾールを820gの白色粉末として得た。中間体1−1の合成において4−ブロモビフェニルの代わりにフェニルカルバゾールを用いた以外は同様に反応を行ったところ、650gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−11と同定した。
<合成例1−12(中間体1−12の合成)>
  合成例1−4および1−5において、中間体1−3の代わりに中間体1−11を用いた以外は同様に反応を行ったところ、250gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−12と同定した。
<合成例1−13(中間体1−13の合成>)
  アルゴン気流下、ジフェニルアミンを16.8g、中間体1−1を36.0g、t−ブトキシナトリウム10g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)1.6g(東京化成社製)及びキシレン500mLを入れ、130℃にて24時間反応した。
  冷却後、水1000mLを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、12.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−13と同定した。
<合成例1−14(中間体1−14の合成)>
  合成例1−13において、中間体1−1の代わりに4−ヨードブロモベンゼンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、9.3gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−14と同定した。
<合成例1−15(中間体1−15の合成>)
  アルゴン気流下、1−アセトアミド185g(東京化成社製)、中間体1−6を323g(和光純薬社製)、炭酸カリウム544g(和光純薬社製)、銅粉12.5g(和光純薬社製)及びデカリン2Lを仕込み、190℃にて4日間反応した。反応後冷却し、トルエン2Lを添加し、不溶分を濾取した。濾取物をクロロホルム4.5Lに溶解し、不溶分を除去後、活性炭処理し、濃縮した。これにアセトン3Lを加え、析出晶を181g濾取した。FD−MSの分析により、中間体1−15と同定した。
<合成例1−16(中間体1−16の合成)>
  アルゴン気流下、中間体1−15をエチレングリコール5L(和光純薬社製)、水50mLに懸濁し、85%水酸化カリウム水溶液210gを添加後、120℃で8時間反応した。反応後、水10L中に反応液を注加し、析出晶を濾取し、水、メタノールで洗浄した。得られた結晶をテトラヒドロフラン3Lに加熱溶解し、活性炭処理後濃縮し、アセトンを加えて結晶を析出させた。これを濾取し、151gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−16と同定した。
<合成例1−17(中間体1−17の合成)>
  合成例1−15および1−16において、中間体1−6の代わりに中間体1−7を用いた以外は同様に反応を行ったところ、172gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−17と同定した。
<合成例1−18(中間体1−18の合成)>
  合成例1−15および1−16において、中間体1−6の代わりに中間体1−8を用いた以外は同様に反応を行ったところ、168gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−18と同定した。
<合成例1−19(中間体1−19の合成)>
  合成例1−15および1−16において、中間体1−6の代わりに中間体1−5を用いた以外は同様に反応を行ったところ、153gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−19と同定した。
<合成例1−20(中間体1−20の合成)>
  合成例1−15および1−16において、中間体1−6の使用量を323gから678gに変えた以外は同様に反応を行ったところ、280gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−20と同定した。
<合成例1−21(中間体1−21の合成)>
  合成例1−15および1−16において、1−アセトアミドの代わりに中間体1−15を用い、中間体1−6の代わりに4−ブロモ−p−ターフェニルを用いた以外は同様に反応を行ったところ、280gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−21と同定した。
<合成例1−22(中間体1−22の合成)>
  合成例1−15および1−16において、中間体1−6の代わりに中間体1−5を用いた以外は同様に反応を行ったところ、245gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−22と同定した。
<合成例1−23(中間体1−23の合成)>
  合成例1−15および1−16において、1−アセトアミドの代わりに中間体1−15を用い、中間体1−6の代わりに中間体1−9を用いた以外は同様に反応を行ったところ、255gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体23と同定した。
<合成例1−24(中間体1−24の合成)>
  アルゴン気流下、アニリンを11.0g、中間体1−9を32.3g、t−ブトキシナトリウム13.6g(広島和光社製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)0.92g (アルドリッチ社製)及び脱水トルエン600mLを入れ、80℃にて8時間反応した。
  冷却後、水500mL を加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、23.8gのアミン誘導体(淡黄色粉末)を得た。更に合成例1−13において、ジフェニルアミンの代わりに上記得られたアミン誘導体(淡黄色粉末)を用いた以外は同様に反応を行ったところ、28.4gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−24と同定した。
<合成例1−25(中間体1−25の合成)>
  合成例1−24において、2段階目の反応で中間体1−1の代わりに4−ヨードブロモベンゼンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、22.5gのアミン中間体(白色粉末)を得た。更に合成例1−13において、ジフェニルアミンの代わりに上記得られたアミン中間体(白色粉末)を用いた以外は同様に反応を行ったところ、23.4gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−25と同定した。
<合成例1−26(中間体1−26の合成)>
  アルゴン気流下、1−アセトアミド185g(東京化成社製)、中間体1−6を323g(和光純薬社製)、炭酸カリウム544g(和光純薬社製)、銅粉12.5g(和光純薬社製)及びデカリン2Lを仕込み、190℃にて4日間反応した。反応後冷却し、トルエン2Lを添加し、不溶分を濾取した。濾取物をクロロホルム4.5Lに溶解し、不溶分を除去後、活性炭処理し、濃縮した。これにアセトン3Lを加え、析出晶を175g濾取した。
  これに4,4’−ジヨードビフェニル120g(和光純薬社製)、炭酸カリウム163g(和光純薬社製)、銅粉3.8g(和光純薬社製)及びデカリン600mLを仕込み、190℃にて4日間反応した。
  反応後冷却し、トルエン600mLを添加し、不溶分を濾取した。濾取物をクロロホルム1.4Lに溶解し、不溶分を除去後、活性炭処理し、濃縮した。これにアセトン1Lを加え、析出晶を391g濾取した。
これをエチレングリコール1.5L(和光純薬社製)、水15mLに懸濁し、85%水酸化カリウム水溶液44gを添加後、120℃で8時間反応した。反応後、水10L中に反応液を注加し、析出晶を濾取し、水、メタノールで洗浄した。得られた結晶をテトラヒドロフラン1Lに加熱溶解し、活性炭処理後濃縮し、アセトンを加えて結晶を析出させた。これを濾取し、140gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−26と同定した。
<合成例1−27(中間体1−27の合成)>
  合成例1−15および1−16において、中間体1−6の代わりに中間体1−9を用いた以外は同様に反応を行ったところ、221gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−27と同定した。
<合成例1−28(中間体1−28の合成)>
  合成例1−15および1−16において、中間体1−6を323g反応後、その反応液に中間体1−5を323g添加し、引き続き反応した以外は同様に反応を行ったところ、232gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−28と同定した。
<合成例1−29(中間体1−29の合成)>
  合成例1−9において、4−ヨードブロムベンゼンの代わりに中間体1−2を40g用いた以外は同様に反応を行ったところ、25.4gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−29と同定した。
<合成例1−30(中間体1−30の合成)>
  合成例1−15および1−16において、1−アセトアミドの代わりにアセトアニリドを用い、中間体1−6の代わりに中間体1−29を用いた以外は同様に反応を行ったところ、20.5gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−30と同定した。
<合成例1−31(中間体1−31の合成)>
  合成例1−4および1−5において、中間体1−3の代わりに中間体1−11を用い、4−ヨードブロムベンゼンの代わりに中間体1−2を用いた以外は同様に反応を行ったところ、26gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−31と同定した。
<合成例1−32(中間体1−32の合成)>
  合成例1−15および1−16において、1−アセトアミドの代わりにアセトアニリドを用い、中間体1−6の代わりに中間体1−31を用いた以外は同様に反応を行ったところ、19.5gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−32と同定した。
<合成例1−33(中間体1−33の合成)>
  合成例1−15および1−16において、1−アセトアミドの代わりにアセトアニリドを用い、中間体1−6の代わりに中間体1−8を用いた以外は同様に反応を行ったところ、19.8gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−33と同定した。
<合成例1−34(中間体1−34の合成)>
  合成例1−4および1−5において、4−ヨードブロムベンゼンの代わりに中間体1−2を用いた以外は同様に反応を行ったところ、30gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−34と同定した。
<合成例1−35(中間体1−35の合成)>
  合成例1−15および1−16において、1−アセトアミドの代わりにアセトアニリドを用い、中間体1−6の代わりに中間体1−34を用いた以外は同様に反応を行ったところ、23.2gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体1−35と同定した。
<合成例1−36(中間体1−36の合成)>
  アルゴン雰囲気下、ジベンゾフラン78.0gに脱水テトラヒドロフラン600mLを加え、−30℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.65M)300mLを滴下して、攪拌しながら1時間かけて室温まで昇温した。室温で5時間撹拌後、−60℃まで冷却し、1,2−ジブロモエタン60mLを1時間かけて滴下した。
  室温で15時間撹拌した後、氷水1000mLに注ぎ、有機層をジクロロメタンで抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、テトラヒドロフラン/メタノールで洗浄し、減圧乾燥したところ、70gの固体を得た。FD−MSの分析により、中間体1−36と同定した。
<合成例1−37(中間体1−37の合成)>
  アルゴン雰囲気下、1−ブロモ−3−フルオロ−4−ヨードベンゼン120.0g(399ミリモル)、2−メトキシフェニルボロン酸72.7g(479ミリモル)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)  9.2g(7.96ミリモル)にトルエン1000ミリリットル、2M濃度の炭酸ナトリウム水溶液500ミリリットルを加え、10時間還流させながら加熱した。
  反応終了後、直ちにろ過した後、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、4−ブロモ−2−フルオロ−2’−メトキシビフェニルの白色結晶89.6gを得た(収率80%)。
  アルゴン雰囲気下、4−ブロモ−2−フルオロ−2’−メトキシビフェニル89.6g(319ミリモル)にジクロロメタン900ミリリットルを加え、氷冷下撹拌した。三臭化ホウ素95.9g(382ミリモル)を滴下して加え、その後、室温で12時間撹拌した。反応終了後、水200ミリリットルを加え、1時間攪拌後、水層を除去した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、4−ブロモ−2−フルオロ−2’−ヒドロキシビフェニルの白色結晶68.1gを得た(収率70%)。
  4−ブロモ−2−フルオロ−2’−ヒドロキシビフェニル68.1g(255ミリモル)、炭酸カリウム70.4g(510ミリモル)にN−メチルピロリドン1500ミリリットルを加え、180℃で3時間撹拌した。反応終了後、水を加え、トルエンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をトルエンから再結晶して精製し、3−ブロモジベンゾフランの白色結晶44.2gを得た(収率60%)。FD−MSの分析により、中間体1−37と同定した。
〔合成実施例1−1(化合物1−H1の合成)〕
  アルゴン気流下、中間体1−20を5.0g、中間体1−9を3.2g、t−ブトキシナトリウム1.3g(広島和光社製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)46mg (アルドリッチ社製)、トリ−t−ブチルホスフィン21mg及び脱水トルエン50mL を入れ、80℃にて8時間反応させた。
  冷却後、水500mL を加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、4.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H1(前記例示化合物AD−2)と同定した。
〔合成実施例1−2(化合物1−H2の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−9の代わりに中間体1−10を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.6gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H2(前記例示化合物AD−14)と同定した。
〔合成実施例1−3(化合物1−H3の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−21を4.9g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H3(前記例示化合物AD−4)と同定した。
〔合成実施例1−4(化合物1−H4の合成)〕
  合成実施例1−2において、中間体1−20の代わりに中間体1−21を4.9g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H4(前記例示化合物AD−16)と同定した。
〔合成実施例1−5(化合物1−H5の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−22を5.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.2gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H5(前記例示化合物AD−34)と同定した。
〔合成実施例1−6(化合物1−H6の合成)〕
  合成実施例1−2において、中間体1−20の代わりに中間体1−22を5.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.6gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H6(前記例示化合物AD−46)と同定した。
実施例化合物変更に伴い合成法を変更しています(中間体22→28)
〔合成実施例1−7(化合物1−H7の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−28を5.0g、中間体1−9の代わりに中間体1−12を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.2gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H7と同定した。
〔合成実施例1−8(化合物1−H8の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−16を1.3g、中間体1−9を6.4g用いた以外は同様に反応を行ったところ、2.2gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H8(前記例示化合物AD−190)と同定した。
〔合成実施例1−9(化合物1−H9の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−17を1.7g、中間体1−9を6.4g用いた以外は同様に反応を行ったところ、2.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H9(前記例示化合物AD−192)と同定した。
〔合成実施例1−10(化合物1−H10の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−18を1.9g、中間体1−9を6.4g用いた以外は同様に反応を行ったところ、2.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H10(前記例示化合物AD−194)と同定した。
〔合成実施例1−11(化合物1−H11の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−19を1.3g、中間体1−9を6.4g用いた以外は同様に反応を行ったところ、1.9gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H11(前記例示化合物AD−196)と同定した。
〔合成実施例1−12(化合物1−H12の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−9の代わりに中間体1−11を3.7g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.6gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H12(前記例示化合物AD−1)と同定した。
〔合成実施例1−13(化合物1−H13の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−22を5.0g用い、中間体1−9の代わりに中間体1−11を3.7g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H13(前記例示化合物AD−33)と同定した。
〔合成実施例1−14(化合物1−H14の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−27を5.0g用い、中間体1−9の代わりに中間体1−3を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H14(前記例示化合物AD−191)と同定した。
〔合成実施例1−15(化合物1−H15の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−16を1.3g、中間体1−9の代わりに中間体1−11を7.4g用いた以外は同様に反応を行ったところ、2.6gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H15(前記例示化合物AD−193)と同定した。
〔合成実施例1−16(化合物1−H16の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−19を1.3g、中間体1−9の代わりに中間体1−11を7.4g用いた以外は同様に反応を行ったところ、2.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H16(前記例示化合物AD−24)と同定した。
〔合成実施例1−17(化合物1−H17の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−23を5.0g、中間体1−9の代わりに中間体1−3を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H17(前記例示化合物AD−195)と同定した。
〔合成実施例1−18(化合物1−H18の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−23を5.0g、中間体1−9の代わりに中間体1−13を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H18(前記例示化合物AD−120)と同定した。
〔合成実施例1−19(化合物1−H19の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−23を5.0g、中間体1−9の代わりに中間体1−14を3.2g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.9gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H19(前記例示化合物AD−197)と同定した。
〔合成実施例1−20(化合物1−H20の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−26を3.3g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.9gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H20(前記例示化合物AD−129)と同定した。
〔合成実施例1−21(化合物1−H21の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−16を1.3g、中間体1−9の代わりに中間体1−24を13.2g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H21(前記例示化合物AD−151)と同定した。
〔合成実施例1−22(化合物1−H22の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−26を3.3g、中間体1−9の代わりに中間体1−25を9.8g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.6gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H22(前記例示化合物AD−171)と同定した。
〔合成実施例1−23(化合物1−H23の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−23を5.0g、中間体1−9の代わりトリス(4−ブロモフェニル)アミンを9.8g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H23(前記例示化合物AD−187)と同定した。
〔合成実施例1−24(化合物1−H24の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−9の代わりに中間体1−12を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H24と同定した。
〔合成実施例1−25(化合物1−H25の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−30を4.5g、中間体1−9の代わりに中間体1−36を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H25と同定した。
〔合成実施例1−26(化合物1−H26の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−30を4.5g、中間体1−9の代わりに中間体1−3を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.5gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H26と同定した。
〔合成実施例1−27(化合物1−H27の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−30を4.5g、中間体1−9の代わりに中間体1−37を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.9gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H27と同定した。
〔合成実施例1−28(化合物1−H28の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−32を5.3g、中間体1−9の代わりに中間体1−37を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.0gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H28と同定した。
〔合成実施例1−29(化合物1−H29の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−32を5.3g、中間体1−9の代わりに中間体1−3を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H29と同定した。
〔合成実施例1−30(化合物1−H30の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−32を5.3g、中間体1−9の代わりに中間体1−37を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H30と同定した。
〔合成実施例1−31(化合物1−H31の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−33を4.5g、中間体1−9の代わりに中間体1−11を3.7g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.2gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H31と同定した。
〔合成実施例1−32(化合物1−H32の合成)〕
  合成実施例1−1において、中間体1−20の代わりに中間体1−35を4.5g、中間体1−9の代わりに中間体1−11を3.7g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物1−H32と同定した。
  前記合成例1−1〜1−37で合成された中間体1−1〜1−37および合成実施例1−1〜1−32で合成された本発明の芳香族アミン誘導体である化合物1−H1〜1−H32ならびに比較化合物1−1〜1−6の構造式は下記の通りである。
[実施例1−1(有機EL素子の製造)]
  25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。
  洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにして下記化合物H232を蒸着し、膜厚60nmのH232膜を正孔注入層として膜を成膜した。このH232膜上に上記化合物1−H1を蒸着し、膜厚20nmの正孔輸送層を成膜した。さらに下記化合物EM1を蒸着し膜厚40nmの発光層を成膜した。同時に発光分子として、下記のスチリル基を有するアミン化合物D1を、EM1とD1の重量比が40:2になるように蒸着した。
  この膜上に下記Alqを膜厚10nmに成膜した。この層は、電子注入層として機能する。この後、還元性ドーパントであるLi(Li源:サエスゲッター社製)とAlqを二元蒸着させ、電子注入層(陰極)としてAlq:Li膜(膜厚10nm)を形成した。このAlq:Li膜上に金属Alを蒸着させ金属陰極を形成し有機EL素子を形成した。
  次に、得られた有機EL素子を105℃で8h保存した後、発光効率を測定し、発光色を観察した。発光効率はミノルタ製CS1000を用いて輝度を測定し、10mA/cm2における発光効率を算出した。さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表1に示す。
[実施例1−2〜1−11(有機EL素子の製造)]
  実施例1−1において、正孔輸送材料として化合物1−H1の代わりに表1に記載の各化合物を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
  得られた有機EL素子について、実施例1−1と同様にして、発光効率を測定し、発光色を観察し、さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表1に示す。
[比較例1−1〜1−6]
  実施例1−1において、正孔輸送材料として化合物1−H1の代わりに前記各比較化合物1−1〜1−6を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
  また、得られた有機EL素子について、実施例1−1と同様にして、発光効率を測定し、発光色を観察し、さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表1に示す。
[実施例1−12(有機EL素子の製造)]
  実施例1−1において、スチリル基を有するアミン化合物D1の代わりに下記アリールアミン化合物D2を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。Meはメチル基である。
  また、得られた有機EL素子について、実施例1−1と同様にして、発光効率を測定し、発光色を観察し、さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表1に示す。
[比較例1−7]
  実施例1−12において、正孔輸送材料として化合物1−H1の代わりに上記比較化合物1−4を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
  また、得られた有機EL素子について、実施例1−1と同様にして、発光効率を測定し、発光色を観察し、さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表1に示す。
  表1の結果より、本発明の芳香族アミン誘導体を用いた有機EL素子は、比較用の芳香族アミン誘導体を用いた有機EL素子と比べて高温時においても高い発光効率が得られ、半減寿命が長いことが明らかである。
<合成例2−1(中間体2−1の合成)>
  アルゴン気流下、1000ミリリットルの三つ口フラスコに4−ブロモビフェニルを47g、ヨウ素を23g、過ヨウ素酸2水和物を9.4g、水を42ミリリットル、酢酸を360ミリリットル、硫酸を11ミリリットル入れ65℃で30分撹拌後、90℃で6時間反応させた。反応物を氷水に注入し、ろ過した。水で洗浄後、メタノールで洗浄することにより67gの白色粉末を得た。フィールドディソープションマススペクトル(以下、FD−MS)の分析により、C12H8BrI=359に対し、m/z=358と360の主ピークが得られたので、中間体2−1と同定した。
<合成例2−2(中間体2−2の合成)>
  合成例2−1において4−ブロモビフェニルのかわりに2−ブロモ−9,9−ジメチルフルオレンを用いる以外は同様に反応を行ったところ、61gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、C15H12BrI=399に対し、m/z=398と400の主ピークが得られたので、中間体2−2と同定した。
<合成例2−3(中間体2−3の合成)>
  ジベンゾフラン150g(892ミリモル)と酢酸1リットルをフラスコに仕込み、窒素置換し、加熱溶解させた。臭素188g(1.18モル)を時々水冷しながら滴下した後、空冷下20時間撹拌した。析出した結晶を濾別し、酢酸、水で順次洗浄し、減圧下乾燥させた。得られた結晶を、減圧蒸留にて精製しした後、メタノールで数回再結晶を繰り返し、2−ブロモジベンゾフラン66.8g(収率31%)を得た。FD−MSの分析により、中間体2−3と同定した。
<合成例2−4(中間体2−4の合成)>
  アルゴン雰囲気下、2−ブロモジベンゾフラン24.7g(100ミリモル)に無水THF400ミリリットルを加え、−40℃で撹拌中に、1.6M濃度のn-ブチルリチウムのヘキサン溶液63ミリリットル(100ミリモル)を加えた。反応溶液を0℃まで加温しながら1時間攪拌した。反応溶液を再び−78℃まで冷却し、ホウ酸トリメチル26.0g(250ミリモル)の乾燥THFの50ミリリットル溶液を滴下した。反応溶液を室温で5時間攪拌した。1N塩酸200ミリリットルを加え、1時間攪拌後、水層を除去した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた固体をトルエンで洗浄し、ジベンゾフラン−2−ボロン酸15.2g(収率72%)を得た。FD−MSの分析により、C12H9BO3=212に対し、m/z=212の主ピークが得られたので、中間体2−4と同定した。
<合成例2−5(中間体2−5の合成)>
  アルゴン雰囲気下、4−ヨードブロモベンゼン28.3g(100ミリモル)、ジベンゾフラン−2−ボロン酸(中間体2−4)を22.3g(105ミリモル)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)2.31g(2.00ミリモル)にトルエン300ミリリットル、2M濃度の炭酸ナトリウム水溶液150ミリリットルを加え、10時間還流させながら加熱した。
  反応終了後、直ちにろ過した後、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、4−(4−ブロモフェニル)ジベンゾフランの白色結晶26.2gを得た(収率81%)。FD−MSの分析により、中間体2−5と同定した。
<合成例2−6(中間体2−6の合成)>
  合成例2−5において、4−ヨードブロモベンゼンの代わりに中間体2−1を35.9g用いた以外は同様に反応を行ったところ、28.1gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−6と同定した。
<合成例2−7(中間体2−7の合成)>
  合成例2−5において、4−ヨードブロモベンゼンの代わりに中間体2−2を39.9g用いた以外は同様に反応を行ったところ、27.5gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−7と同定した。
<合成例2−8(中間体2−8の合成)>
  合成例2−5において、ジベンゾフラン−2−ボロン酸の代わりにジベンゾフラン−4−ボロン酸を22.3g用いた以外は同様に反応を行ったところ、23.1gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−8と同定した。
<合成例2−9(中間体2−9の合成)>
  合成例2−8において、4−ヨードブロムベンゼンの代わりに中間体2−1を36g用いた以外は同様に反応を行ったところ、28.1gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−9と同定した。
<合成例2−10(中間体2−10の合成)>
  合成例2−8において、4−ヨードブロムベンゼンの代わりに中間体2−2を40g用いた以外は同様に反応を行ったところ、30.2gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−10と同定した。
<合成例2−11(中間体2−11の合成)>
  アルゴン気流下、ジフェニルアミンを16.8g、中間体2−1を36.0g、t−ブトキシナトリウム10g(広島和光社製)、ビス(トリフェニルホスフィン)塩化パラジウム(II)1.6g(東京化成社製)及びキシレン500mLを入れ、130℃にて24時間反応させた。
  冷却後、水1000mLを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、12.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−11と同定した。
<合成例2−12(中間体2−12の合成)>
  合成例2−11において、中間体2−1の代わりに4−ヨードブロモベンゼンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、9.3gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−12と同定した。
<合成例2−13(中間体2−13の合成>)
  アルゴン気流下、1−アセトアミド185g(東京化成社製)、中間体2−8を323g(和光純薬社製)、炭酸カリウム544g(和光純薬社製)、銅粉12.5g(和光純薬社製)及びデカリン2Lを仕込み、190℃にて4日間反応させた。反応後冷却し、トルエン2Lを添加し、不溶分を濾取した。濾取物をクロロホルム4.5Lに溶解し、不溶分を除去後、活性炭処理し、濃縮した。これにアセトン3Lを加え、析出晶を181g濾取した。FD−MSの分析により、中間体2−13と同定した。
<合成例2−14(中間体2−14の合成)>
  合成例2−13において、中間体2−8の使用量を323gから678gに変えた以外は同様に反応を行ったところ、330gの白色粉末を得た。さらに、アルゴン気流下、得られた白色粉末をエチレングリコール5L(和光純薬社製)、水50mLに懸濁し、85%水酸化カリウム水溶液210gを添加後、120℃で8時間反応させた。反応後、水10L中に反応液を注加し、析出晶を濾取し、水、メタノールで洗浄した。得られた結晶をテトラヒドロフラン3Lに加熱溶解し、活性炭処理後濃縮し、アセトンを加えて結晶を析出させた。これを濾取し、198gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−14と同定した。
<合成例2−15(中間体2−15の合成>)
  合成例2−14において、中間体2−8の代わりに中間体2−5を用いた以外は同様に反応を行ったところ、221gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−15と同定した。
<合成例2−16(中間体2−16の合成)>
  合成例2−13において、1−アセトアミドの代わりに中間体2−13を用い、中間体2−8の代わりに中間体2−5を用いた以外は同様に反応を行ったところ、190gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−16と同定した。
<合成例2−17(中間体2−17の合成)>
  合成例2−11において、ジフェニルアミンの代わりに中間体2−16を用い、中間体2−1の代わりに4−ヨードブロモベンゼンを用いた以外は同様に反応を行ったところ、45gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−17と同定した。
<合成例2−18(中間体2−18の合成)>
  合成例2−11において、ジフェニルアミンの代わりに中間体2−16を用いた以外は同様に反応を行ったところ、56gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−18と同定した。
<合成例2−19(中間体2−19の合成)>
  アルゴン雰囲気下、ジベンゾフラン78.0gに脱水テトラヒドロフラン600mLを加え、−30℃に冷却し、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.65M)300mLを滴下して、攪拌しながら1時間かけて室温まで昇温した。室温で5時間撹拌後、−60℃まで冷却し、1,2−ジブロモエタン60mLを1時間かけて滴下した。
  室温で15時間撹拌した後、氷水1000mLに注ぎ、有機層をジクロロメタンで抽出した。飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ別後、濃縮した。得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエン)で精製し、テトラヒドロフラン/メタノールで洗浄し、減圧乾燥したところ、70gの固体を得た。FD−MSの分析により、中間体2−19と同定した。
<合成例2−20(中間体2−20の合成)>
  アルゴン雰囲気下、1−ブロモ−3−フルオロ−4−ヨードベンゼン120.0g(399ミリモル)、2−メトキシフェニルボロン酸72.7g(479ミリモル)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)  9.2g(7.96ミリモル)にトルエン1000ミリリットル、2M濃度の炭酸ナトリウム水溶液500ミリリットルを加え、10時間還流させながら加熱した。
  反応終了後、直ちにろ過した後、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、4−ブロモ−2−フルオロ−2’−メトキシビフェニルの白色結晶89.6gを得た(収率80%)。
  アルゴン雰囲気下、4−ブロモ−2−フルオロ−2’−メトキシビフェニル89.6g(319ミリモル)にジクロロメタン900ミリリットルを加え、氷冷下撹拌した。三臭化ホウ素95.9g(382ミリモル)を滴下して加え、その後、室温で12時間撹拌した。反応終了後、水200ミリリットルを加え、1時間攪拌後、水層を除去した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、4−ブロモ−2−フルオロ−2’−ヒドロキシビフェニルの白色結晶68.1gを得た(収率70%)。
  4−ブロモ−2−フルオロ−2’−ヒドロキシビフェニル68.1g(255ミリモル)、炭酸カリウム70.4g(510ミリモル)にN−メチルピロリドン1500ミリリットルを加え、180℃で3時間撹拌した。反応終了後、水を加え、トルエンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をトルエンから再結晶して精製し、白色結晶44.2gを得た(収率60%)。FD−MSの分析により、中間体2−20と同定した。
<合成例2−21(中間体2−21の合成)>
  アルゴン雰囲気下、中間体2−20を34.2g(138ミリモル)、4−クロロフェニルボロン酸26.0g(166ミリモル)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)  3.2g(2.77ミリモル)にトルエン350ミリリットル、2M濃度の炭酸ナトリウム水溶液170ミリリットルを加え、12時間還流させながら加熱した。
  反応終了後、直ちにろ過した後、水層を除去した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製し、23.1gの白色結晶を得た(収率60%)。FD−MSの分析により、中間体2−21と同定した。
<合成例2−22(中間体2−22の合成>)
  合成例2−14において、中間体2−8の代わりに中間体2−21を用いた以外は同様に反応を行ったところ、35gの白色粉末を得た。FD−MSの分析により、中間体2−22と同定した。
〔合成実施例2−1(化合物2−H1の合成)〕
  アルゴン気流下、中間体2−14を5.0g、中間体2−5を3.2g、t−ブトキシナトリウム1.3g(広島和光社製)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)46mg(アルドリッチ社製)、トリ−t−ブチルホスフィン21mg及び脱水トルエン50mLを入れ、80℃にて8時間反応させた。
  冷却後、水500mLを加え、混合物をセライト濾過し、濾液をトルエンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。これを減圧下で濃縮し、得られた粗生成物をカラム精製し、トルエンで再結晶し、それを濾取した後、乾燥したところ、4.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H1と同定した。
〔合成実施例2−2(化合物2−H2の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−5の代わりに中間体2−6を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.3gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H2と同定した。
〔合成実施例2−3(化合物2−H3の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−5の代わりに中間体2−7を4.9g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H3と同定した。
〔合成実施例2−4(化合物2−H4の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−15を5.0g用い、中間体2−5の代わりに中間体2−8を3.2g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H4と同定した。
〔合成実施例2−5(化合物2−H5の合成)〕
合成実施例2−5(化合物2−H5の合成)
  合成実施例2−4において、中間体2−8の代わりに中間体2−9を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.2gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H5と同定した。
〔合成実施例2−6(化合物2−H6の合成)〕
  合成実施例2−4において、中間体2−8の代わりに中間体2−10を4.4g用いた以外は同様に反応を行ったところ、5.1gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H6と同定した。
〔合成実施例2−7(化合物2−H7の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−5の代わりに中間体2−9を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.5gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H7と同定した。
〔合成実施例2−8(化合物2−H8の合成)〕
  合成実施例2−4において、中間体2−8の代わりに中間体2−6を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.2gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H8と同定した。
〔合成実施例2−9(化合物2−H9の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−16を5.0g、中間体2−5の代わりに中間体2−12を3.2g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H9と同定した。
〔合成実施例2−10(化合物2−H10の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−16を1.9g、中間体2−5の代わりに中間体2−11を4.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.5gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H10と同定した。
〔合成実施例2−11(化合物2−H11の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−16を5.0g、中間体2−5の代わりに4,4’−ジブロモビフェニルを1.6g用いた以外は同様に反応を行ったところ、2.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H11と同定した。
〔合成実施例2−12(化合物2−H12の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりにアニリンを0.4g用い、中間体2−5の代わりに中間体2−18を7.3g用いた以外は同様に反応を行ったところ、2.1gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H12と同定した。
〔合成実施例2−13(化合物2−H13の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりにN,N‘-ジフェニルベンジジンを0.9g用い、中間体2−5の代わりに中間体2−17を6.6g用いた以外は同様に反応を行ったところ、2.4gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H13と同定した。
〔合成実施例2−14(化合物2−H14の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−16を5.0g用い、中間体2−5の代わりにトリス(4−ブロモフェニル)アミンを1.6g用いた以外は同様に反応を行ったところ、1.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H14と同定した。
〔合成実施例2−15(化合物2−H15の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−16を5.0g用い、中間体2−5の代わりに4−ブロモ−p−ターフェニルを3.0g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.5gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H15と同定した。
〔合成実施例2−16(化合物2−H16の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−5の代わりに中間体2−3を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.1gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H16と同定した。
〔合成実施例2−17(化合物2−H17の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−5の代わりに中間体2−20を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.9gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H17と同定した。
〔合成実施例2−18(化合物2−H18の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−15を5.0g用い、中間体2−5の代わりに中間体2−19を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.8gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H18と同定した。
〔合成実施例2−19(化合物2−H19の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−15を5.0g用い、中間体2−5の代わりに中間体2−20を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、3.6gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H19と同定した。
〔合成実施例2−20(化合物2−H20の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−22を5.0g用い、中間体2−5の代わりに中間体2−19を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.0gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H20と同定した。
〔合成実施例2−21(化合物2−H21の合成)〕
  合成実施例2−1において、中間体2−14の代わりに中間体2−22を5.0g用い、中間体2−5の代わりに中間体2−3を2.5g用いた以外は同様に反応を行ったところ、4.1gの淡黄色粉末を得た。FD−MSの分析により、化合物2−H21と同定した。
  前記合成例2−1〜2−22で合成された中間体2−1〜2−22および合成実施例2−1〜2−21で合成された本発明の芳香族アミン誘導体である化合物2−H1〜2−H21ならびに比較化合物2−1〜2−7の構造式は下記の通りである。
[実施例2−1(有機EL素子の製造)]
  25mm×75mm×1.1mm厚のITO透明電極付きガラス基板(ジオマティック社製)をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間行なった。
  洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に前記透明電極を覆うようにして下記化合物H232を蒸着し、膜厚60nmのH232膜を正孔注入層として膜を成膜した。このH232膜上に上記化合物2−H1を蒸着し、膜厚20nmの正孔輸送層を成膜した。さらに下記化合物EM1を蒸着し膜厚40nmの発光層を成膜した。同時に発光分子として、下記のスチリル基を有するアミン化合物D1を、EM1とD1の重量比が40:2になるように蒸着した。
  この膜上に下記Alqを膜厚10nmに成膜した。この層は、電子注入層として機能する。この後、還元性ドーパントであるLi(Li源:サエスゲッター社製)とAlqを二元蒸着させ、電子注入層(陰極)としてAlq:Li膜(膜厚10nm)を形成した。このAlq:Li膜上に金属Alを蒸着させ金属陰極を形成し有機EL素子を形成した。
  次に、得られた有機EL素子を105℃で8h保存した後、発光効率を測定し、発光色を観察した。発光効率はミノルタ製CS1000を用いて輝度を測定し、10mA/cm2における発光効率を算出した。さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表2−1に示す。
[実施例2−2〜2−8(有機EL素子の製造)]
  実施例2−1において、正孔輸送材料として化合物2−H1の代わりに表2に記載の各化合物を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
  得られた有機EL素子について、実施例2−1と同様にして、発光効率を測定し、発光色を観察し、さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表2に示す。
[比較例2−1〜2−7]
  実施例2−1において、正孔輸送材料として化合物2−H1の代わりに前記各比較化合物2−1〜2−7を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
  また、得られた有機EL素子について、実施例2−1と同様にして、発光効率を測定し、発光色を観察し、さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表2に示す。
[実施例2−9(有機EL素子の製造)]
  実施例2−1において、スチリル基を有するアミン化合物D1の代わりに下記アリールアミン化合物D2を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。Meはメチル基である。
  また、得られた有機EL素子について、実施例2−1と同様にして、発光効率を測定し、発光色を観察し、さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表2に示す。
[比較例2−8]
  実施例2−9において、正孔輸送材料として化合物2−H1の代わりに上記比較化合物2−1を用いた以外は同様にして有機EL素子を作製した。
  また、得られた有機EL素子について、実施例2−1と同様にして、発光効率を測定し、発光色を観察し、さらに、初期輝度5000cd/m2、室温、DC定電流駆動での発光の半減寿命を測定した結果を表2−1に示す。
  表2の結果より、本発明の芳香族アミン誘導体を用いた有機EL素子は、比較用の芳香族アミン誘導体を用いた有機EL素子と比べて高温時においても高い発光効率が得られ、半減寿命が長いことが明らかである。