【発明の詳細な説明】(産業上の利用分野)本発明は逆サイクルによる除霜(デフロスト)を行わせ
る機構を有する空冷ヒートポンプ冷凍機において液戻り
を防止して安全性に冨む除霜装置の構成に関する。
(従来の技術)アンローダ機構を有する圧縮機を運転し、かつ除霜サイ
クルに切換えて熱源側コイルに付着した霜を融かす空冷
ヒートポンプ式冷凍機において、特に差圧式の四路切換
弁を使用する場合に切換えが速やかに行われるため、高
圧側と低圧側の圧力変動が激しくて圧縮機への液戻りが
起るおそれがある。
か−る液戻り現象を排除し得る除霜運転が行える装置と
しては、特公昭59−6345号公報等によって公知の
ものが従来からあるが、これは、除霜開始信号の発生時
から1定時間アンローダ機構を作動させて圧縮機を低能
力運転させた後、高能力運転に切換えるよう構成したも
のである。
(発明が解決しようとする問題点)上述の従来装置は低能力運転の時間を長くするとヒート
ポンプ式冷凍機の積算暖房能力の大巾な低下をもたらし
て好ましくなく、逆に時間を短くして急激に負荷率をあ
げると液戻りが完全に避け6れないおそれがあることが
ら、低能力運転を行わせる時間を適正値に設定すること
は可成り難かしかった。また、急激に負荷率をあげる切
換え直後にどうしても液戻りが生じ易いために、低能力
運転の時間を可成り長くせざるを得なくて積算暖房能力
の高率維持が難しいのも問題であった。
本発明はか\る従来の装置が有する欠陥を排除しようと
して成されたものであって、除霜開始時の圧縮機能力を
低能力から段階的に漸増させることによって、液戻りの
排除と積算暖房能力の高率維持とを併せて果させようと
する点を目的とする。
(問題点を解決するための手段)しかして本発明は複数段のアンローダ機構(10)を有
する圧縮機(1)を運転し、かつ除霜サイクルに切換え
る除霜運転を除霜指令6園の除霜指令により行わせ、除
霜完了指令器α2の除霜完了指令により停止せしめる空
冷ヒートポンプ式冷凍機の除霜装置として、第1能力制
御手段a3及び第2能力制御手段14)の両手段により
構成したものである。
前記第1能力制御手段031は、除霜指令器ωの前記除
霜指令によって作動し圧縮機(1)が最小能力になるよ
う前記アンローダ機Ill no+を制御せしめると共
に、これを例えば30秒程度の所定短時間保持するよう
形成している。
1万、前記第2能力制御手段Q41は、上記の第1能力
制御手段Q31に続いて切り換り作動し圧縮機(1)が
中間能力となるように前記アンローダ機構+IO+ 全
制御せしめると共に、これを所定短時間保持し、その後
アンローダ機構(IO)を不作動にするよう形成してい
る。
(作用)本発明は除霜開始時は液戻り防止のために圧縮機fi+
を最小能力で運転し、つづいて短時間のうちに中間能力
まで増大させる除霜運転を行わせることにより、圧縮機
(1)への液戻りを防止しながら可及的に短時間で最大
能力に至らせて効率の良い除霜運転が可能となる。
(実施例)以下、本発明の1実施例を添付図面にもとづいて説明す
る。
第1図は空冷ヒートポンプ式冷凍機であって、II+は
アンローダ機tll++αを有する圧縮機、(21は四
路切換弁、131は熱源側対空気熱交換器(以下熱源側
コイルと、称す) 、fuは冷媒調節器、(51は冷房
用膨張弁、(61は利用側対水熱交換器(以下利用側コ
イルと称す) 、H−+は暖房用膨張弁、(8A)〜(
8D)は整流用各逆止弁、(91はアキュムレータであ
って、相互を図示した配管接続を行うことによって密閉
回路となし、公知の可逆冷凍サイクルを形成せしめ、冷
房サイクルは冷媒が実線矢示の流通となって、熱源側フ
ィル131が凝縮器、利用側コイル(61が蒸発器とな
って、利用側コイル(61において冷房用の冷水が得ら
れる。
また、暖房サイクルは冷媒が破線矢示の流通となって、
熱源側コイル13+が蒸発器、利用側フィル161が凝
縮器となって、利用側コイル161において暖房用の温
水が得られる。
圧縮機(1)におけるアンローダ機構1101は、3個
のアンローダ制御弁(IIA)〜(110)を有[、て
いて、それ等を全て非作動の閉弁状態とした場合には圧
縮4!1 (1)が100%能力となり、第1アンロー
ダ制御弁(IIA)を開弁作動させた場合には、70%
能力となり、また第2アンローダ制御弁CIIB)を開
弁作動させた場合には、40%能力となり、また、第3
アンローダ制御弁(110)を開弁作動させた場合には
、12%能力となるように設けられている。
なお、このとき一つのアンロード弁が開のとき、他の2
つのアンロード弁は閉制御される。
この場合の12%能力とは、通常の低負荷時において用
いる小能力に比しさらに低い値であって、スクリュー形
圧縮機を例にあげると、気体圧縮を殆ど行わなくて単な
るポンプ作用をなす如き極小能力に相当するものである
。
なお、アンローダ機構(101としては、この他に圧縮
機[1)を駆動するモータの回転速度を無段階あるいは
段階的に制御することにより圧縮能力の制御を行い得る
ものであってもよく、また、能力低減率を前記例とは異
ならしめたものでもよく、各種の能力制御機構を総称し
てアンローダ機構と呼んでいる。
上記冷凍機は暖房運転の際に、前記熱源側フィル+31
の伝熱部分に着霜が生じるので、その場合には冷凍サイ
クルを冷房サイクルに切換えて自身の冷媒が保有する熱
によって除霜を行わせるが、熱源側コイル]31には図
示しないが着霜を検出して除霜指令を発する除霜指令器
、例えばコイル温度検知器が設けられ、一方、四路切換
弁(21と熱源側コイル131とを接続するガス管の途
中には第1高圧々力開閉器α2を介設せしめて、この開
閉器α力を除霜が完了したことを圧力の上昇によって検
知し除霜完了指令を発する除霜完了指令器lI2)を利
用している。
なお・除霜完了指令器としては、この他に熱源側フィル
Illの冷房サイクル時出口における冷媒温度を検知す
る温度検知器、除霜指令器の除霜指令によって計時開始
し、除霜完了までに要する時間として予め設定しておい
た所定時間経過すると、指令を発するタイマなど各種の
制御器が利用可能である。
しかして上記冷凍機には、前記アンローダ機構101に
関連して、除霜運転時の圧縮機能力を制御する除霜出力
制御系を付設せしめており、該制御系は第1能力制御手
段u3、第2能力制御手段圓、融霜検知手段(lω及び
第3能力制御手段[+61から形成している。
上記除霜出力制御系は、冷凍機の運転全般を集中制御す
るマイクロ・コンピュータ中に機能の一部として組込ま
せ、あるいは有接点方式による回路で形成することも可
能であるが、融霜検知手段α5)については、例えば四
路切換弁(2)と熱源側コイル13)とを接続するガス
管中に前記高圧々カ開閉器112Iと協調的な関係を存
して介設した第2高圧々力開閉器が利用されるものであ
って、前記除霜完了指令器としての第1高圧々力開閉器
021が完全除霜によって高圧々力の上昇(18鴇以上
)に伴い常開接点を閉成するのに対して、それよりも圧
力が低く、例えば15鴇以上になると常開接点を閉成し
て・霜の大部分が溶けて若干量着霜した状態になってい
ることを圧力の変化で検知し指令信号を発することがで
きるように構成している。
次に第1能力制御手段f131は、前記除霜指令器の除
霜指令を受けて作動し、第3アンローダ制御弁(110
)に開弁出力を発してアンローダ機構uO)を制御せし
め、圧縮機(1)を12%能力の最小能力に低下させる
と共に、これを所定短時間例えば30秒程度保持するよ
う構成している。
また、第2能力制御手段[141は、前記第1能力制御
手段a3に絖いて切り換り作動し、第3アンロード制御
弁(110)を閉とし、第2アンロード制御弁(IIE
)を開とし、所定短時間例えば約30秒を経過した徒、
第2アンローダ制御弁CIIB)を閉とし、かつ第1ア
ンローダ制御弁(IIA)の閉状態を持続してアンロー
ダ機構110)を最大能力まで段階的に逓増するよう段
階的に制御せしめて最終段の100能力では当然アンロ
ーダ機構を不作動にするよう構成している。
さらに第3能力制御手段aSは、前記融霜検知手段α5
)としての第2高圧々力開閉器α5)が15鴇の高圧々
力を検知して指令信号を発すると、これを受けて第2ア
ンローダ制御弁(IIB)に開出力を発し、圧縮機(1
)を40%能力に低下させるためにアンローダ機構(1
0)を制御せしめるよう構成している。
叙上の各機能を有する除霜出力制御系において各能力制
御手段α3.αもαGは第2図に示すシーケンスコント
ローラαη内に設けられていて、このシーケンスコント
ローラαηは入力端子部αaに対して、後記する除霜指
令器261のりレールの接点(25a)、第1・2高圧
々力開閉器1121.[151、運転用リレー、水循環
ポンプ1241用リレー、停止用リレー、冷暖切換リレ
ー、冷温水温度調節器等の各種指令器が入力指令を与え
る機器として夫々接続され一一万、出力端子F!v、Q
91に対しては、圧a機(1)用電磁開閉器ノ電磁コイ
ル(至)、四路切換弁121の電磁ソレノイド(2S)
、熱源側コイル131のファンムモータ用電磁開閉器の
電磁コイル!2B、利用側コイル16)の水循環ポンプ
例月電磁M閉器の電磁コイルの、前記第1乃至第3アン
ローダ制御弁(IIA)〜(110)の電磁ソレノイド
(IIAS)  〜 (llos)、タイマサーモ方式
の除霜指令器−及びそのリレー(251が駆動出力を与
える機器として夫々接続されている。
しかしてシーケンスコントローラαηは周知のマイクロ
コンピュータからなっていて、前記入・出力端子部t1
81.α創、電源回路、入力回路、タイマ回路、出力回
路、演算制御回路、プログラムカウンタ、P−ROM、
演算結果メモリを備えていて、冷温水設定温度、過電流
、異常高圧々力、熱源側フィル温度、圧力、外気温度、
などの各基本制御値や、リレーシーケンスの制御内容を
P−ROMに記憶させておいて、冷房、暖房各運転の際
における圧縮m mの発停、能力制御、暖房とデフロス
トとの間の運転切換え、ポンプダウン運転などをP−R
OMに書込まれたプログラム内容の指示に基いて随時行
わせるよう出力信号を発するものである0以上説明した電気制御回路ならびに第3図のフローチャ
ートによって、暖房運転中の除霜運転との切換え制御に
ついて説明する。
暖房運転開始の指令を押釦スイッチの操作等によって発
せしめると、シーケンスコントローラαηは利用側フィ
ル(61の水温と設定温度とを比較して暖房運転の必要
があると判断すれば、前記各電磁コイルω、 21+、
 +221に励磁のための出力を発する。
カくシて圧縮$1111、熱源側フィル131のファン
ツ、利用側フィル[61の水循環用ポンプ蜘は夫々付勢
して第1図において冷媒が破線矢示方向に流、れる冷凍
サイクルが形成され暖房運転が開始される。
なお、圧縮機!11の起動の際に前記各アンローダ制御
弁(IIA)〜(110)の順序励磁を行わせて、小能
力運転から順次能力を増大せしめるアンローダ運転を適
宜行わせる。
この暖房運転中に熱源側コイル131に着霜が進行して
くる除霜指令器−が作動して除霜指令を発する+()の
で、電磁ソレノイド(2S)を励磁させて四路切換弁+
2)を冷房側に切換えると共に、電磁コイルQ9]を消
磁させて熱源側フィル131のファンのを停止せしめる
と同時に、第1能力制御手段Q3を作動せしめるようシ
ーケンスコントローラaωは指令を発する(口]。
かくして冷凍機は除霜運転に切換って高圧冷媒が熱源側
コイルI31内に流れ込むことにより除霜が開始される
が、この場合、第1能力制御手段a3の作動によって電
磁ソレノイド(1108)  を励磁させてアンローダ
制御弁(110)を開弁状態に保持させるG/)。
従って圧縮機il+は12%の最小能力の下で運転され
ることとなり、液戻りを起させない除霜への切換えが成
される。
この最小能力による除霜運転が30秒経過したかどうか
のチェック(に)を行って30秒経過すると第1能力制
御手段03)を非作動に転じさせると共に、第2能力制
御手段Q4Iを作動せしめる[4゜第2能力制御手段α
4は作動と同時に電磁ソレノイド(11BS)全励磁さ
せ、かつ、電磁ソレノイド(11os)を非励磁にさせ
る出力を発するので、アンローダ機構floIは第3ア
ンローダ制御弁(110)及び第1アンローダ制御弁(
IIA)を閉弁に、第2アンローダ制御弁(IIB)を
開弁に夫々作動させる(−4こととなって圧縮機(口は
40%能力に段階的に増加する。
この40%能力運転が例えば30秒経過したかどうかの
チェック(ト]を行って30秒が経過したとき、第2能
力制御手段■は励磁中の第2電磁ソレノイドCIIBS
)  を非励磁に転じさせる出力を発するので、アンロ
ーダ機構+101は全てのアンローダ制御弁(IIA)
、 CIIB)、 (110)を閉弁に夫々作動させる
【力こととなって作動が解除される結果、圧縮機(11
は100%能力に段階的に増加する。
以上のように除霜開始から1分を経過した時点で第2能
力制御手段側は作動完了し、以後は圧縮機(1)が全能
力で除霜のための圧縮運転を行い、その運転態様は第4
図に示す通りである。
しかして除霜運転の開始と同時に第2高圧々力開閉器α
6)が圧力検出を行っているが、除霜が進行して霜の大
部分が融けた状態となって高圧々力が15鶏となるのを
検知し前記開閉器αωが作動したコトヲチェック(す)
すると、第3能力制御手段αeを作11J状態に保持せ
しめ(7)で、電磁ソレノイド(11B8)を励磁させ
て第2アンローダ制御弁CIIB)を開弁状態に保持さ
せ(’7)る口かぐして100%能力で運転していた圧縮Ill 11
1はアンローダm tRIIO+の作動によって40%
能力に低下し除霜運転を持続するために、除霜完了前の
高圧々力の上昇は第5図に示す如く緩やかになり、除霜
が完了する時点になると高圧々力が18獅に上昇するの
で第1高圧々力開閉器α2が作動する。
従って、シーケンスコントローラαηは第1高圧々力開
閉器α2の作動をチェック(至)して電磁ソレノイド(
2S)の励磁を解いて四路切換弁(2)を暖房側に切換
えると共に、電磁フィルf21)を励磁させて熱源側コ
イルL31のファンのを付勢せしめル(司。
つづいて除霜完了指令器としての第1高圧々力開閉器1
I21及び第2高圧々力開閉器α61が最初の状態に復
することによって第3能力制御手段[+61はサーモ自
動制御によるはじめの暖房運転に切換えられるOなお、デフロスト終了時の切換えによる暖房運転の開始
は冷凍サイクルの切換えが成されるので圧縮機(1)へ
の液戻りを防止するために除霜運転開始時と同じく、第
1能力制御手段(13と第2能力制御手段14)を利用
して圧縮機能力を小能力から段階的に漸増するようにす
ることは好ましい態様であり、この状態は第4図に示す
通りである。
以上述べた実施例は除霜運転の開始時に圧縮機(1)を
最小能力から全能力まで段階的に漸増させるよう制御し
ているので液戻りを確実に防止できる。
また、除霜運転の際に霜の大部分が融けるまでは圧縮機
fl+を100%高能力で運転して除霜能力を高く保持
し、その後の除霜完了までは低能力で運転して熱源側コ
イルC31における圧力の上昇を緩やかに制御するよう
にしているので除霜完了の誤検出を起生させないで残留
フロストラ排除シ、確実な除霜を行わすことができる。
なお、以上の実施例では除霜開始時から圧縮機H1の能
力12%→4o%→100%と制御したが、これは%1
2%→40%→70%→100(第4図破線参照)と制
御してもよくこの場合いずれの能力制御運転も例えば3
0秒間ずつ行うようにすればよい。
(発明の効果)本発明は以上詳述した如く、除霜運転開始時にアンロー
ダ機構+10)を作動させて圧縮機…を最小能力から最
大能力まで短時間中に段階的に漸増するよう能力制御を
行わせているので、圧縮機il+の吸入力が小さくなり
液戻り量を極端に少くでき、圧縮機での液圧縮を確実に
防止し得る。
しかも最初の圧縮機(1)能力をアンローダ機構+IO
Iで可能な最小能力に設定しているので、液戻りを抑え
ながら短時間中に速やかに100%能力まで移行できる
ことから、デフロスト所要時間を短く保持し得て積算暖
房能力を高めることが可能であり、特にスクロール、ス
クリューなどの回転圧縮機を持つ冷凍機に使用して顕著
な効果が奏される0
【図面の簡単な説明】第1図は本発明の1実施例に係るヒートポンプ冷凍機の
装置回路図、第2図は同じくシーケンスコントローラの
概要図、第3図は本発明の1実施例に係る除霜運転態様
を説明するフロー標図1第4図及び第5図は同じく除霜
運転特性線図である。(1)・・・圧縮機+  1101・・・アンローダ機
構。+121・・・除霜完了指令器。a3・・・第1能力制御手段。■・・・第2能力制御手段。園・・・除霜指令器。