【発明の詳細な説明】〔発明の利用分野〕本発明は磁気八ツ1(に係り、特に高保磁力磁気テープ
用に好適な非晶質磁性合金登用いた磁気八ツ1くに関す
る。
〔発明の背景〕近年、磁気記録技術は高保磁カテーブおよび同テープ用
の高性能磁気ヘッド材料の開発により著しい進展を遂げ
つつある。特に高保磁力のメタルテープを用いた場合に
は、記録波長数μmがら]、 71m以下の高記録密度
の領域において、従来に比して著しい出力の増加、C/
N (出力−ノイズ比)の増加が達成され、V T R
などの高記録密度が必要とされる分野において大幅な記
@密度の向」−が達成されつつある。しかし、従来V 
’T” Rなどに用いられて来たフェライ1−を用いた
磁気八ツ1(では、フェライ1への飽和磁束密度が約5
000カウス以−ドであるために、記@磁界の大きさが
十分でなく、高保磁カメタルテープを使用するためには
飽和磁束密度の大きい金属磁性材料を用いた磁気ヘラ1
くが必要になって来た。従来用いらオシて来た金m磁(
a。
材料としては、p’e−An−8j系合金、あるいはF
c−Nj系合金などの結晶質合金があり、また最近開発
された非晶質磁性合金がある。F’ c−靜−S]系あ
るいはト”e−Nj系などの結晶質合金は、結晶である
がゆえに結晶磁気異方性を有しており、磁気パノ1くに
好適な優れた磁気特性、特に高い透磁率に得るためには
、結晶磁気異方性が零となる近傍の組成としなければな
らない。また磁気ヘッドに使用するためには、同時に磁
歪定数も零に近くしなければならす、従って、使用でき
る組成は極めて限られており、組成の制御が困難である
という問題があった。非晶質磁性合金は前記結晶磁気異
方性がないため、磁歪定数のみを調整すればよく、使用
可能な組成が比較的広いこと、誘導磁気異方性による透
磁率の劣化が適当な熱処理により改善できること、結晶
質合金では得られない高飽和磁束密度で、低保磁力の合
金が得られること、電気抵抗が高いため渦電流損失を低
減できること、などの利点かある。この非晶質合金の中
で、金11゜元素を非晶質合金膜・3とする金属−金属
系非晶質合金は5金にj(−メタロイト系非晶質合金よ
りも結晶化4、A度が高く、また耐食性、耐摩耗性に優
れているため磁気ヘラ1く用材料として有望である。
これらの非晶質磁性合金は従来スブラッ1へクーリング
法によって作製され、厚さ10〜50 )tmの薄板状
のものが得られていた。一方、非晶質磁性合金をスパッ
タリンクなどの:a膜形成技術により作製することか近
年行なわれるようになり、試料の酸化などのために作り
にくかった組成の非晶質合金も作製が可能となった。ま
た#膜形成技術によれは、非晶質合金膜と酸化物などの
絶縁物膜を多層に積Rりすることも容易であり、これに
より渦電流損失を低減でき、高周波で用いる■ゴ■く用
磁気ヘソ1〜、i1算機用磁気ヘッドに好適な材料を提
供できる。さらに磁気パットのギャップ近傍にのみに非
晶質磁性合金を用い、他の部分を磁性フエライ1−とし
た複合型磁気ヘッド、あるいは薄膜磁気ヘッドなどへの
応用が期待されている。
3−上述の非晶質磁性合金より磁気ヘッドを製造する方法と
して、スプラッ1へクーリング法によって作製された薄
板状試料を接着剤を用いて積層し、これを機械加工する
方法、」二記薄板状試料を非磁性あるいは強磁性の保護
材と接着し、これを機械加工する方法、または、非磁性
もしくは強磁性の基板−1−に非晶質磁性合金をスッパ
タリング法あるいは真空蒸着法などの薄膜形成技術によ
って被着し、これ髪機械加工により磁気ヘッドとする方
法などがある。何れの方法においても、製造工程の一部
に、有機接着剤の硬化、ガラスなどの無機接着剤の融解
、固化などのために加熱工程を含むことが一般である。
また、非晶質磁性合金の特性の改善のために熱処理を含
むことも多い。
以上のような磁気ヘッドの製造工程において、非晶質磁
性合金は機械加工による加工応力、接着剤の硬化に伴う
収縮応力、加熱工程における種々の構成材料の熱膨張率
の違いによる応力などの数多くの応力を受け、これらの
応力のために非晶質磁性合金の磁気特性が劣化するとい
う問題がある。
=4−このような劣化を防ぐためには、非晶質磁性合金の磁歪
定数を出来るたけ零に近づけることが必要となる。
ところが、本発明者らは非晶質磁性合金の磁歪定数が磁
気ヘッドの製造工程における加熱工程で変化することを
見出した。従って、磁歪定数がほぼ零の非晶質磁性合金
を用いて磁気ヘッドを製造しても、製造工程において磁
歪定数が変化してしまうため、非晶質磁性合金の磁気特
性が劣化し、その結果、磁気ヘラ1(の特性が劣化する
という問題があった。
〔発明の目的〕本発明の目的は、」―記の問題を解決し、加熱工程を含
む磁気ヘッドの製造工程を経過した後でも磁気特性の劣
化しない、少なくとも一部に非晶質磁性合金を用いた磁
気ヘッドを提供することにある。
〔発明の概要〕本発明は、」二記の目的を達成するために、少なくとも
一部に非晶質磁性合金を用いた磁気ヘッドを製造する場
合に、その製造工程においてほぼ磁歪定数か変化する賭
だけ、磁歪定数のすれた非晶質磁性合金を用いることに
より、製造後の磁気ヘッドにおける非晶質磁性合金の磁
歪定数をほぼ零になるようにして、非晶質磁性合金の磁
気特性の劣化を防ぎ、特性の優れた磁気ヘラ1くを得よ
うとするものである。
本発明者らは、高精度の実験により、非晶質磁性合金を
製造後、熱処理を行なった時に、非晶質磁性合金の磁歪
定数は熱処理温度の一]−昇とともに正の側に変化し、
熱処理温度が結晶化温度近傍となり、非晶質磁性合金が
結晶化しはじめると、磁歪定数は急激に負の側に変化す
ることを見出した。
この事実を示す実験結果を第1図に示す。第1図は、ガ
ラス基板」二に高周波2極スパツタリングY人により作
製した4種の非晶質磁性合金膜を種々の温度で30分間
熱処理した時の磁歪定数の変化を示したものである。図
において、曲線1はC084Nb□3Zr31曲線2は
COC0l1o□、Zr9.曲線3はC061Mo、 
Zrx、+曲線4はCQ9+IW4 Zr、非晶質磁性
合金に対する変化を示す曲線である。同図から明らかな
ように、これらの非晶質磁性合金膜の磁歪定数は熱処理
温度の上昇とともに正の側に変化し、さI〕)に熱処理
温度を−に昇させると急激に負の側に変化する。図中で
磁歪定数が負の側に変化した試料は、X線回折試験の結
果、少なくとも部分的に結晶化していることがわかった
。同図から、これらの非晶質磁性合金膜の大部分は結晶
化温度以下の熱処理により、熱処理前に比較して約0.
5XIO””たけ磁歪が正の側に変化し、変化の大きい
Co9 o W 4 Zr Gにおいて、1x](1−
’(7)変化ヲ示すことがわかった。
第2図はスブラッ1〜クーリンク法により作製した非晶
質磁性合金薄板の磁歪定数の熱処理による変化を示した
ものである。図において、曲線11はCo81Nj9Z
r、。、曲線12はCo85Cr7Zr、l非晶質磁性
合金薄板に対する変化を示す曲線である。熱処理時間は
30分とした。同図から、これらの非晶質磁性合金薄板
もまた熱処理温度の上昇とともに磁歪定数は正の側に変
化し、さらに結晶化温度近−/−傍になると磁歪定数は急激に負の側に変化する。
そしてその正の側への変化量も合金膜の場合とほぼ同様
であることがわかった。
これらの非晶質磁性合金において、磁歪定数が負の側に
急激に変化する温度では結晶化が徐々に始まっており、
従って、保磁力T(cの増大が生ずるため、このような
熱処理温度を経過した非晶質磁性合金は使用不可となる
。従って、これらの非晶質磁性合金を用いて磁気ヘッド
を製造する場合には、磁歪定数が正の側に変化する、結
晶化しない加熱温度領域内での加熱工程を用いる必要が
ある。
以上述べたように、非晶質磁性合金の磁歪定数が熱処理
により変化することから、非晶質磁性合金を使用する磁
気ヘッドにおいては、磁気ヘッド製造工程における加熱
工程の温度で変化する磁歪定数の量だけ、あらかじめ磁
歪定数のずれた非晶質磁性合金を用いることが好ましい
。
第1図および第2図の結果から300°C以」二、結晶
化温度以下の加熱工程を経過した非晶質磁性合8−金の磁歪定数は0.5 X 10−’〜lXl0−’大
きさで正の力面に変化するため、前記加熱工程を製造工
程に有する非晶質磁性合金を用いた磁気ヘッドにおいて
は、加熱工程前の非晶質磁性合金の磁歪定数を一〇、5
 X 10−6〜−]、X]O−’の大きさの程度ずら
した材料を用いることが望ましい。さらに望ましくは用
いようとする非晶質磁性合金にヘッド製造工程における
加熱工程と同じ温度プロセスを加えて、加熱工程前後の
磁歪定数の差を測定し、加熱工程後に非晶質磁性合金の
磁歪定数が零近傍の値となるように加熱工程前の非晶質
磁性合金の磁歪定数を負の側にずらしておくことが好ま
しい。この磁歪定数の測定は周知のストレーンゲージ法
によって行なうことが出来る。
本発明において用いられる非晶質磁性合金は、Fe、C
o、Ni、Mn、Tj、Y、Zr、Hf、Nb。
T a r W + V r Cr + MO+ Al
l + Cu I RII r Rh +Pd、 Ag
、 Re、 Os、 Ir、 Pt、 Au、稀土類。
R,C,N、Sj、P、Ge、Sb、Bj、 Teなど
の元素の組合せからなる。これらの中で、F e 。
Co、 Njなどの強磁性元素と、Ti、Y、Zr。
Hf、Nb、Ta、Wなどの非晶質化金属元素を含み、
必要に応じて、その他の添加物からなる金属−金属系非
晶質磁性合金は、Fe、 Co、 Njなどの強磁性元
素と、B g C+ N + S 11 P + Ge
。
S b + B j、 + T eなどのメタロイド元
素を含み、必要に応じて、その他の元素を含む金属−メ
タロイド系非晶質磁性合金に比較して耐食性、耐熱性、
耐摩耗性に優れているために特に好ましい。
本発明に用いられる磁歪定数が負となる非晶質合金とし
ては、Co−Nb系、Co−Ta系非晶質合金およびC
o−Zr系、 Co−Hf#?、 Go−Ti系。
Co−Y系非晶質合金にV、Nb、Ta、Cr、Mo。
W、 Nj、 B 、 Afl、、 Si、、 Ag、
 Au、 Pd、 Pt。
Rh、I r、 Ru、 Os、 Re+などの元素を
一種以上含むものが上げられる。またこれらに飽和磁束
密度を増加するためにFe、Mnを添加し、結晶化温度
を増加するために稀土類を添加する場合もある。これら
の非晶質合金の磁歪定数は、例えばCo−Nb−7,r
系合金においてはNbとZrの濃度比を調節することに
より変化することが出来、Nb7a度を増加した場合に
は磁歪定数は負の側に、Zrlll度を増加した場合に
は磁歪定数は正の側に変化する。またCo−W−Zr系
の場合にはWとZrの濃度比を調節することにより磁歪
定数を変化することが出来、w11度を増加した場合に
は磁歪定数は負の側に、Zr1度を増加した場合には磁
歪定数は正の側に変化する。同様の方法により−1−記
の3元系以上の非晶質磁性合金の磁歪定数を調節するこ
とが出来る。Go−■−If系、Co−Ti系。
Co−Y系においては、l−1f、 Tj、 YがZr
と同様の効果を有する。
〔発明の実施例]以下に、本発明の非晶質磁性合金を用いた磁気ヘットの
一実施例をその製造工程を用いて説明する。
第3図(イ)〜(1−)は、その製造工程の概略を示し
た図である。
図(イ)に示すように、Mn Znフェライト基基板を
一対用意し、基板21のギャップ対向面とす11−るへき面22に所定間隔で平坦部23を残して、該平坦
部23の間に隣接する一対の7字状の溝24を研削等に
より形成する。この場合、隣接する一対の7字状溝24
に挟まれた基板21の逆V字状突起25の頂部は平坦部
23より所定長さだけ低くなるようにする。
図(ロ)に示すように、溝加工を終った基板21の面2
2側にCo、Nb、Zr系非晶質磁性合金膜26を高周
波2極スパツタリング法により所定の厚さに被着する。
この際、種々の組成を有するターゲットを用い、膜の組
成はCOが約84原子%で、NbおよびZra度が変化
し、磁歪定数が+]−XIO−6から−0,9X 1.
0−6まで変化した試料を作製した。
図(ハ)に示すように、磁性合金膜26を被着した基板
21の磁性合金膜26−、Inに少なくとも残っている
V字状溝が埋まるようにpb系ガラス層7を溶融、形成
した。この際、加熱温度を460°C1加熱時間を15
分とした。
図(ニ)に示すように、ガラス層7を形成した基板21
のガラス層側を平坦部23まで研削、研摩す12−る。このとき、基板21のV字状突起部25の先端は研
摩されずに残るが、磁性合金膜26のV字状突起部の先
端部は一部が研摩、除去されて平坦となり、所定トラッ
ク幅を有する作動ギャップ形成面28が得られるように
する。
図(ホ)に示すように、図(ニ)の工程を終った基板2
】の一つの磁性合金膜26のある側の面に7字状溝24
に直角に巻線窓用溝29を加工し、全面」二にギャップ
材となるSio2膜をスパッタリングにより被着する。
図(へ)に示すように、図(ニ)の工程を終った基板1
と図(ホ)の工程を終った基板21とを磁性合金膜26
の作動ギャップ形成面8が対向するようにギャップ材層
を介して突き合わせて、ガラス層7を溶融して基板21
同士を接合し、接合コアブロックを作製する。この際の
加熱温度を460℃、加熱時間を15分とした。次いで
、接合ブロックを一点鎖線部で切断すれば、図(ト)に
示すような磁気ヘッド但ユが得られる。30は作動ギャ
ップである。
本磁気ヘッドに対して高保磁カメタルテープを用いた時
の記録・再生出力と、本磁気ヘッドに用いたCo−Nb
−Zr系非晶質磁性合金の磁気ヘッド加工前の磁歪定数
との関係を第4図に示した。
同図から、磁気ヘッド加工前において、−0,4X10
−6の磁歪定数を有する非晶質磁性合金を用いた場合に
、ヘッド出力(相対値)はほぼ1と最も大きく、加熱二
1程後の磁歪定数が−0,5X 10−’〜十0.5X
10−6の範囲でもヘッド出力(相対値)はほぼ0.8
以」二を示すことがわかる。さらに加熱工程後の磁歪定
数が−0,3X 10−6〜+〇、3 X 10−6の
範囲でヘラ1く出力(相対値)が0.9以−にを示し、
さらに望ましいことがわかる。
実施例 2Co−W−Zr系非晶質磁性合金スパッタ膜を用いて実
施例1と同様にして第3図に示した磁気ヘッドを作製し
た。膜の組成はCoが88原子%となるようにし、Wと
Zrの比を変えて、磁歪定数が−1,5xlO−’〜+
0.5 X 10−6の範囲で変化するようにした。第
3図の(ハ)の工程および(へ)の工程において用いた
加熱温度および時間はそれぞれ420℃と15分とした
。
得られた磁気ヘッドに対して高保磁カメタルテープを用
いた時の記録・再生出力と本磁気ヘッ1−に用いたCo
−W−Zr系非晶質磁性合金の磁気へソ1(加工工程の
非晶質磁性合金の磁歪定数との関係を第5図に示した。
同図から、磁気ヘッド加工工程前に一〇、7 X 10
−’〜−0,9X 10−6の磁歪定数の非晶質磁性合
金を用いた場合に、ヘッド出力(相対値)はほぼ1と最
も大きく、加熱工程後の磁歪定数がほぼ−0,5X 1
0−’〜+0.5 X 10−1′の範囲でもほぼ0.
8以上を示すことがわかる。さらに加熱工程後の磁歪定
数がほぼ一〇、3 X 10−’〜+0.3 X 1.
0−’の範囲でヘッド出力(相対値)がほぼ0.9以」
二を示しさらに望ましいことがわかる。
〔発明の効果〕以上述べたように、非晶質磁性合金を磁気回路の少なく
とも一部に用い、製造工程の少なくとも一部に300℃
以」−1結晶化温度以下の加熱工程を有する磁気ヘッド
において、前記非晶質磁性合金の15−加熱工程後の磁歪定数λ5を−0,5X 10−6≦λ
5≦十〇、5X]O−6の範囲にすることにより、ヘッ
ド特性の優れた磁気ヘラ1(が得られることが明らかと
なった。なお、実施例に述べた磁気ヘッド以外の磁気ヘ
ッド、例えば非晶質磁性合金薄板を積層して製造した磁
気ヘッド、あるいは非晶質磁性合金薄板と非磁性あるい
は強磁性保護材と複合化した磁気ヘッド、もしくは非磁
性基板に非晶質磁性合金薄膜を被着して作製した磁気ヘ
ッドにおいても、本発明の効果は同様である。
【図面の簡単な説明】第1図および第2図は非晶質磁性合金を熱処理した時の
磁歪定数の変化を示す図、第3図は本発明による磁気ヘ
ッドの製造方法を示す図、第4図および第5図は本発明
による磁気ヘッドの出力と該磁気ヘット製造工程前の非
晶質磁性合金の磁歪定数の変化との関係を示す図である
。図において、21・・・Mn−Znnフジイ1へ基板22・・ギャッ
プ対向面 23・・基板21の平坦部16−24・V字状の溝25・・基板21の逆v字状突起部26・・非晶質磁性合金膜 27・Pb系ガラス層28
・・・磁性膜26の作動ギャップ形成面29 巻線窓用
溝 3]・・磁気ヘッド代理人弁理士 中 村 純之助′8P1 図奏8釘り里5艮度(°C)第2 m(’X!JhFJn ffL(’−”v(軍随、トど8
牛) qη1.」へ′\l第1頁の続き0発 明 者 高 山 新 司 国分寺市東恋ケア央研
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