【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばPDC(Pe
rsonal Digital Cellular )等の通信機能を備えた情報
処理装置に係り、特に省電対策として、シリアル−パラ
レル通信コントローラに対するクロック制御を行う通信
機能一体型携帯情報処理装置及びデータ受信方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、PDCの普及はめざましく、ま
た、ディジタル通信であるという長所を有効に利用して
データ通信を行うということが注目され、現在、実用化
に至っている。それに伴い、このPDC機能をMPU、
表示装置、入力装置等を有する携帯情報処理装置と一体
化させた通信機能一体型の携帯情報処理装置が注目され
ている。
【0003】ところで、携帯情報処理装置においては、
一般にバッテリでの動作時間が大きな問題となってお
り、そのため装置内部のMPUをはじめとして各種I/
O装置等に様々な省電対策が考えられている。この場
合、上述したPDC機能を備えた携帯情報処理装置で
は、PDCと情報処理装置との間にシリアル−パラレル
通信コトンローラが設けられ、省電対策として、データ
待ち受け時に、このシリアル−パラレル通信コトンロー
ラに対するクロック信号の供給を停止することが考えら
れる。
【0004】しかし、シリアル−パラレル通信コトンロ
ーラに対するクロック信号の供給を停止していると、デ
ータ受信時にクロック信号の供給を開始までに時間を要
するため、PDCが最初に受信したデータを転送できな
い問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、従
来、省電対策として、シリアル−パラレル通信コトンロ
ーラに対するクロック信号の供給を停止した場合に、最
初に受信したデータを転送できない問題があった。
【0006】本発明は上記のような点に鑑みなされたも
ので、データ待ち受け時にシリアル−パラレル通信コン
トローラに対するクロック信号の供給を停止して省電対
策を施し、かつ、データ受信時にはそのデータを確実に
転送することのできる通信機能一体型携帯情報処理装置
及びデータ受信方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の通信機能一体型
携帯情報処理装置は、通信装置と情報処理装置との間の
データの送受信をシリアル−パラレル通信コントローラ
により行うものである。
【0008】本発明の請求項1において、上記通信装置
は、外部端末からのデータを受信する受信手段と、この
受信手段によって受信されたデータを格納するバッファ
手段と、データを受信したことを上記情報処理装置に通
知する受信通知手段と、上記シリアル−パラレル通信コ
ントローラが受信可能状態になったことを確認し、上記
バッファ手段に格納されたデータを上記シリアル−パラ
レル通信コントローラに転送する転送制御手段とを具備
する。
【0009】上記情報処理装置は、データ待ち受け時に
上記シリアル−パラレル通信コントローラに対するクロ
ック信号の供給を停止し、上記受信通知手段からデータ
受信の通知を受けたときに上記シリアル−パラレル通信
コントローラに対するクロック信号の供給を開始するク
ロック制御手段と、このクロック制御手段によるクロッ
ク信号の制御により上記シリアル−パラレル通信コント
ローラが受信可能状態になったことを上記通信装置に通
知する状態通知手段とを具備する。
【0010】このような構成によれば、データの待ち受
け時にシリアル−パラレル通信コントローラに対するク
ロック信号の供給を停止しておくことで、無駄な電力消
費を抑えることができる。ここで、通信装置によりデー
タが受信されると、その旨が通信装置から情報処理装置
に通知され、シリアル−パラレル通信コントローラに対
するクロック信号の供給が開始される。その際、シリア
ル−パラレル通信コントローラが受信可能状態になるま
での間、通信装置側で受信データをバッファリングして
いるため、受信可能状態になったときに、最初に受信し
たデータを漏らさずにシリアル−パラレル通信コントロ
ーラに転送することができる。
【0011】また、本発明の請求項2において、上記通
信装置は、外部端末からのデータを受信する受信手段
と、この受信手段によってデータを受信したときに、上
記シリアル−パラレル通信コントローラに対するクロッ
ク要求信号を出力するクロック要求手段と、このクロッ
ク要求手段によるクロック要求信号の出力後に、上記受
信手段によって受信されたデータを上記シリアル−パラ
レル通信コントローラに転送する転送制御手段とを具備
する。
【0012】上記情報処理装置は、データ待ち受け時に
上記シリアル−パラレル通信コントローラに対するクロ
ック信号の供給を停止し、上記クロック要求手段から出
力されるクロック要求信号に基づいて上記シリアル−パ
ラレル通信コントローラに対するクロック信号の供給を
開始するクロック制御手段を具備する。
【0013】このような構成によれば、データの待ち受
け時にシリアル−パラレル通信コントローラに対するク
ロック信号の供給を停止しておくことで、無駄な電力消
費を抑えることができる。ここで、通信装置によりデー
タが受信されると、通信装置から直接シリアル−パラレ
ル通信コントローラに対するクロック要求信号を出力し
てクロック信号の供給制御を行う。これにより、データ
を受信してから速やかにクロック信号の供給を開始する
ことができ、データのバッファリングを必要とせず、デ
ータの転送をロス無く行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。 (第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態に係
る通信機能一体型携帯情報処理装置の構成を示すブロッ
ク図である。本装置は、バッテリで駆動される携帯機器
として用いられるものであり、PDC1と情報処理装置
2とからなる。
【0015】PDC1は、通信処理を行うものであり、
ここではアンテナ11、符号化・復号化部12、クロッ
クジェネレータ13、受信通知部14、バッファ15を
有し、1つの通信ユニットとして構成されている。
【0016】アンテナ11は、外部端末との間でデータ
(電波)を送受信するものであり、データの受信時には
電波を電気信号に変換し、データの送信時には電気信号
を電波に変換する。符号化・復号化部12は、データの
符号化および復号化を行う。クロックジェネレータ13
は、符号化・復号化部12を駆動するためのクロック信
号を発生する。受信通知部14は、PDC1がデータを
受信したことを情報処理装置2側に通知する。バッファ
15は、情報処理装置2に設けられたシリアル−パラレ
ル通信コントローラ24が受信可能状態になるまでの
間、受信データを一時的に格納しておくためのものであ
る。
【0017】一方、情報処理装置2は、MPU21、M
PU−バスブリッジ22、メモリ23、シリアル−パラ
レル通信コントローラ24、クロック制御部25、クロ
ックジェネレータ26を有する。
【0018】MPU21は、本装置全体の制御を行うも
のであり、ここでは受信通知部14からデータ受信通知
(wakeup信号)を受けたときに、クロック制御部
25にクロック要求信号を出す。
【0019】シリアル−パラレル通信コントローラ24
は、PDC1と情報処理装置2との間のデータの送受信
を制御するものであり、送信時にはパラレルデータをシ
リアルデータに変換し、受信時にはシリアルデータをパ
ラレルデータに変換する。クロック制御部25は、MP
U21の制御の下で、シリアル−パラレル通信コントロ
ーラ24に対するクロックの供給を制御する。クロック
ジェネレータ26は、通信コントローラ24を駆動する
ためのクロック信号を発生する。
【0020】次に、第1の実施形態の動作を説明する。
図2は第1の実施形態におけるPDC1側の処理動作を
示すフローチャートである。データ待ち受け状態では、
省電対策として、シリアル−パラレル通信コントローラ
24に対するクロック信号の供給が停止されている。
【0021】ここで、アンテナ11が外部端末からのデ
ータを受信すると(ステップA11)、その受信データ
である電波を電気信号に変換し、これを符号化・復号化
部12に転送する(ステップA12)。このとき、PD
C1に設けられた受信通知部14が情報処理装置2のM
PU21に対してデータを受信したことを通知する(ス
テップA13)。これは、データバスを介さず、専用線
(以後、wakeup信号と呼ぶ)により行う。
【0022】符号化・復号化部12は、受信データの復
号化を開始し(ステップA14)、情報処理装置2側の
シリアル−パラレル通信コントローラ24にクロック信
号の供給が開始されるまでの間、そのデータをバッファ
15にバッファリングする(ステップA15)。
【0023】なお、現在シリアル−パラレル通信コント
ローラ24に対してクロック信号の供給が行われている
か否かは、例えば符号化・復号化部12とシリアル−パ
ラレル通信コントローラ24との間に設けられる受信可
能ステータス信号(以後、RR信号と呼ぶ)に基づいて
判断することができる。
【0024】一方、MPU21は、受信通知部14から
出力されたwakeup信号を受け取ると、クロック制
御部25にクロック要求信号を出し、シリアル−パラレ
ル通信コントローラ24にクロック信号の供給を開始す
る。クロック信号が供給されけてから所定時間後にシリ
アル−パラレル通信コントローラ24が受信可能状態に
なると(ステップA16のYes)、RR信号がアサー
トされ、符号化・復号化部12はバッファ15に格納さ
れたデータをシリアル−パラレル通信コントローラ5に
転送する(ステップA17)。
【0025】最後にデータの転送が完了したら、MPU
21がクロック制御部25に対してクロック停止要求を
出し、再びデータ待ち受け状態になる。図3は第1の実
施形態における符号化・復号化部12とシリアル−パラ
レル通信コントローラ24とのデータハンドシェイクの
一例を示すタイミングチャートである。なお、図中のC
LKはPDC1側のクロック信号(クロックジェネレー
タ13によって発生されるクロック信号)である。
【0026】図3に示すように、PDC1が外部端末か
らのデータを受信すると、PDC1から情報処理装置2
に対してwakeup信号が出力され、MPU21の制
御により、シリアル−パラレル通信コントローラ24に
対してクロック信号の供給が開始される。一定時間経過
後(準備期間)、シリアル−パラレル通信コントローラ
24が受信可能状態になると、通信コントローラ24か
ら符号化・復号化部12に対してRR信号が出力され
る。この間、受信データはバッファ15にバッファリン
グされており、このRR信号の出力後、シリアル−パラ
レル通信コントローラ24に転送される。
【0027】このように、データの待ち受け状態では、
シリアル−パラレル通信コントローラ24に対するクロ
ック信号の供給が停止されているので、無駄な電力消費
を抑えることができる。また、この状態でデータを受信
した際には、その旨がMPU21に通知され、シリアル
−パラレル通信コントローラ24にクロック信号が供給
される。その際、シリアル−パラレル通信コントローラ
24が受信可能状態になるまでの間、PDC1で受信し
たデータがバッファリングされているため、受信可能状
態になったときに、最初に受信したデータを漏らさずに
シリアル−パラレル通信コントローラ24に転送するこ
とができる。
【0028】なお、上記実施形態では、シリアル−パラ
レル通信コントローラ24が符号化・復号化部12に受
信可能状態であることを示す方法として、RR信号とい
う専用線を用いる方法を一例として挙げた。この機能を
実現するための他の方法としては、例えばシリアルデー
タ線を用いて、データ待ち受け状態時において、ある特
定のビットストリームがシリアル−パラレル通信コント
ローラ24から符号化・復号化部12に転送されるま
で、データ符号化−復号化手段2がデータをバッファリ
ングするといった方法がある。
【0029】また、図4に示すように、MPU21から
符号化・復号化部12に直接にRR信号と同等の信号を
与えるという方法も考えられる。シリアル−パラレル通
信コントローラ24として、PC/AT互換機等に広く
利用されているUART(Universal Asynchronous Rec
eiver Transmitter :汎用非同期送受信回路)を用いる
場合などは、RR信号のような専用線を利用することが
できないので、上記のような方法が有効である。
【0030】(第2の実施形態)次に、本発明の第2の
実施形態を説明する。上記第1の実施形態では、データ
受信時にPDC1が情報処理装置2のMPU21に割り
込みをかけて、MPU21の制御によりシリアル−パラ
レル通信コントローラ24にクロック信号を供給する構
成であったが、第2の実施形態では、PDC1が直接ク
ロック制御部25にクロック要求信号を出して、シリア
ル−パラレル通信コントローラ24に対するクロック制
御を行うことを特徴とする。
【0031】図5は第2の実施形態に係る通信機能一体
型携帯情報処理装置の構成を示すブロック図である。な
お、図1と同じ部分には、同一符号を付すものとする。
図5において、図1と異なる点は、PDC1が受信通知
部14とバッファ15を持たないことである。また、P
DC1から直接クロック制御部25を制御できる構成に
なっている。この場合、クロック制御部25は、データ
の受信を検知したら、MPU21からの指令なしにシリ
アル−パラレル通信コントローラ24に対してクロック
信号の供給を開始する。シリアル−パラレル通信コント
ローラ24は、クロックジェネレータ26によって発生
されるクロック信号をクロック制御部25を通じて入力
することにより動作状態となり、送信時にはパラレルデ
ータをシリアルデータに変換し、受信時にはシリアルデ
ータをパラレルデータに変換する。
【0032】次に、第2の実施形態の動作を説明する。
図6は第2の実施形態におけるPDC1側の処理動作を
示すフローチャートである。データ待ち受け状態では、
省電対策として、シリアル−パラレル通信コントローラ
24に対するクロック信号の供給が停止されている。
【0033】ここで、アンテナ11が外部端末からのデ
ータを受信すると(ステップB11)、その受信データ
である電波を電気信号に変換し、これを符号化・復号化
部12に転送する(ステップB12)。
【0034】符号化・復号化部12は、受信データの復
号化を開始するが(ステップB13)、その際に、クロ
ック制御部25に直接クロック要求信号を出す(ステッ
プB14)。これにより、クロック制御部25はシリア
ル−パラレル通信コントローラ24に対してクロック信
号の供給を開始する。
【0035】クロック信号の供給が開始されると、符号
化・復号化部12は通信コントローラ24に対してデー
タを転送することができる(ステップB15)。このよ
うに、第2の実施形態では、データの受信を検知した際
に、PDC1から直接シリアル−パラレル通信コントロ
ーラ24に対するクロックの供給制御を行ってデータを
転送する。この場合、クロックの供給制御の処理を簡易
なハードウエアで構成することが可能なので、データを
受信してから数10ns程度でクロック信号の供給を開
始することができる。このため、データのバッファリン
グをする必要がなく、データの転送をロス無く行うこと
ができる。
【0036】一方、データ送信時には、MPU21から
クロック制御部25に対してクロック要求信号を出すこ
とにより、クロック信号の供給を開始する。なお、上記
各実施形態において、クロック信号の停止方法について
は、クロック制御部25にタイマ機能などを持たせるこ
とにより、ハードウエアで自動的に行っても良いし、デ
ータ送信時のクロック供給方法と同様に、MPU21か
らの命令により行っても良い。タイマ機能を用いる場合
には、データ転送にどれくらいの時間を要するかは、デ
ータの種類などによりプロトコルで決まっているので、
その時間に合わせてタイマをセットし、所定時間後にク
ロック信号を停止するようにすれば良い。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明の請求項1によれ
ば、データの待ち受け時にシリアル−パラレル通信コン
トローラに対するクロック信号の供給を停止して無駄な
電力消費を抑え、データ受信時にその旨を通信装置から
情報処理装置に通知し、シリアル−パラレル通信コント
ローラに対するクロック信号の供給を開始する。その
際、シリアル−パラレル通信コントローラが受信可能状
態になるまでの間、通信装置側で受信データをバッファ
リングしておくことで、受信可能状態になったときに、
最初に受信したデータを漏らさずにシリアル−パラレル
通信コントローラに転送することができる。
【0038】また、本発明の請求項2によれば、データ
の待ち受け時にシリアル−パラレル通信コントローラに
対するクロック信号の供給を停止して無駄な電力消費を
抑え、データ受信時に通信装置から直接シリアル−パラ
レル通信コントローラに対するクロック要求信号を出し
てクロック信号の供給制御を行う。これにより、データ
を受信してから速やかにクロック信号の供給を開始する
ことができ、データのバッファリングを必要とせず、デ
ータの転送をロス無く行うことができる。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信機能一体型
携帯情報処理装置の構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態におけるPDC側の処理動作を
示すフローチャート。
【図3】第1の実施形態における符号化・復号化部とシ
リアル−パラレル通信コントローラとのデータハンドシ
ェイクの一例を示すタイミングチャート。
【図4】第1の実施形態において、MPUから符号化・
復号化部に直接にRR信号と同等の信号を与えた場合の
構成を示すブロック図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る通信機能一体型
携帯情報処理装置の構成を示すブロック図。
【図6】第2の実施形態におけるPDC側の処理動作を
示すフローチャート。
【符号の説明】 1…PDC 2…情報処理装置 11…アンテナ 12…符号化・復合化部 13…クロックジェネレータ 14…受信通知部 15…バッファ 21…MPU 22…MPU−バスブリッジ 23…メモリ 24…通信コントローラ 25…クロック制御部 26…クロックジェネレータ