【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体に関
し、詳しくは特定のスチリル化合物またはヒドラゾン化
合物とフタロシアニン類を含有することを特徴とする電
子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式の利用は複写機の分
野に限らず印刷版材、スライドフィルム、マイクロフィ
ルム等の従来では写真技術が使われていた分野へ広が
り、またレーザーやLED、CRTを光源とする高速プ
リンターへの応用も検討されている。従って電子写真感
光体に対する要求も高度で幅広いものになりつつある。
これまで電子写真方式の感光体としては無機系の光導電
性物質、例えばセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、シ
リコン等が知られており、広く研究され、かつ実用化さ
れている。これらの無機物質は多くの長所を持っている
のと同時に、種々の欠点をも有している。例えばセレン
には製造条件が難しく、熱や機械的衝撃で結晶化しやす
いという欠点があり、硫化カドミウムや酸化亜鉛は耐湿
性、耐久性に難がある。シリコンについては帯電性の不
足や製造上の困難さが指摘されている。更に、セレンや
硫化カドミウムには毒性の問題もある。
【0003】これに対し、有機系の光導電性物質は成膜
性がよく、可撓性も優れていて、軽量であり、透明性も
よく、適当な増感方法により広範囲の波長域に対する感
光体の設計が容易である等の利点を有していることか
ら、次第にその実用化が注目を浴びている。
【0004】ところで、電子写真技術において使用され
る感光体は、一般的に基本的な性質として次のような事
が要求される。即ち、(1) 暗所におけるコロナ放電に対
して帯電性が高いこと、(2) 得られた帯電電荷の暗所で
の漏洩(暗減衰)が少ないこと、(3) 光の照射によって
帯電電荷の散逸(光減衰)が速やかであること、(4)光
照射後の残留電荷が少ないこと等である。
【0005】しかしながら、今日まで有機系光導電性物
質としてポリビニルカルバゾールを始めとする光導電性
ポリマーに関して多くの研究がなされてきたが、これら
は必ずしも皮膜性、可撓性、接着性が十分でなく、又上
述の感光体としての基本的な性質を十分に具備している
とはいい難い。
【0006】一方、有機系の低分子光導電性化合物につ
いては、感光体形成に用いる結着剤等を選択することに
より、皮膜性や接着性、可撓性等機械的強度に優れた感
光体を得ることができ得るものの、高感度の特性を保持
し得るのに適した化合物を見出すことは困難である。
【0007】このような点を改良してより高感度の特性
を有する感光体を得るため、電荷発生機能と電荷輸送機
能とを異なる物質に分担させた有機感光体が開発されて
いる。機能分離型と称されているこのような感光体の特
徴はそれぞれの機能に適した材料を広い範囲から選択で
きることであり、任意の性能を有する感光体を容易に作
製し得ることから多くの研究が進められてきた。
【0008】このうち、電荷発生機能を担当する物質と
しては、フタロシアニン顔料、スクエアリウム色素、ア
ゾ顔料、ペリレン顔料等の多種の物質が検討され、中で
もアゾ顔料は多様な分子構造が可能であり、また、高い
電荷発生効率が期待できることから広く研究され、実用
化も進んでいる。しかしながら、このアゾ顔料において
は、分子構造と電荷発生効率の関係は未だに明らかにな
っていない。膨大な合成研究を積み重ねて、最適の構造
を探索しているのが実情であるが、先に掲げた感光体と
して求められている基本的な性質や高い耐久性等の要求
を十分に満足するものは、未だ得られていない。
【0009】また、近年従来の白色光の代わりにレーザ
ー光を光源として、高速、高画質、ノンインパクトを長
所としたレーザービームプリンター等が、情報処理シス
テムの進歩と相まって広く普及するに至り、その要求に
耐えうる材料の開発が要望されている。特に近年コンパ
クトディスク、光ディスク等への応用が増大し技術進歩
が著しい半導体レーザーは、コンパクトでかつ信頼性の
高い光源材料としてプリンター分野でも積極的に応用さ
れてきた。この場合、該光源の波長は780nm前後で
あることから、780nm前後の長波長光に対して高感
度な特性を有する感光体が適しており、その開発が強く
望まれている。その中で、特に近赤外領域に光吸収を有
するフタロシアニンを使用した感光体の開発が盛んに行
われているが、未だ十分満足するものは得られていな
い。
【0010】一方、電荷輸送機能を担当する物質には正
孔輸送物質と電子輸送物質がある。正孔輸送物質として
はヒドラゾン化合物やスチリル化合物等、電子輸送性物
質としては2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノ
ン、ジフェノキノン誘導体等多種の物質が検討され、実
用化も進んでいるが、こちらも膨大な合成研究を積み重
ねて最適の構造を探索しているのが実情である。事実、
これまでに多くの改良がなされてきたが、先に掲げた感
光体として求められている基本的な性質や高い耐久性等
の要求を十分に満足するものは、未だ得られていない。
【0011】以上述べたように電子写真感光体の作製に
は種々の改良が成されてきたが、先に掲げた感光体とし
て要求される基本的な性質や高い耐久性等の要求を十分
に満足するものは未だ得られていないのが現状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、帯電
電位が高く高感度で、繰返し使用しても諸特性が変化せ
ず安定した性能を発揮できる電子写真感光体を提供する
ことである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成すべく研究を行なった結果、特開平2−18485
7号公報等に記載されている特定の構造を有するスチリ
ル化合物、または特開平2−184859号公報等に記
載されている特定の構造を有するヒドラゾン化合物をフ
タロシアニン類と組み合わせることによって、極めて良
好な感度、耐久性を有する感光体が得られることを見出
し、本発明に至った。ここでフタロシアニン類とは無金
属フタロシアニン、無金属ナフタロシアニン、中心原子
として金属原子を含むフタロシアニンもしくはナフタロ
シアニンを示し、これらの中心金属原子は必要に応じて
配位子を有していてもよく、またフタロシアニン骨格に
置換基を有していてもよい。上記で特定の構造を有する
スチリル化合物またはヒドラゾン化合物とはそれぞれ下
記一般式(1)、(2)で示される化合物である。
【0014】
【化2】
【0015】一般式(1)、(2)において、R1及び
R2はそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基を示
す。R3〜R8はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケ
ニル基、アラルキル基、アリール基を示し置換基を有し
ていてもよく、R9及びR10はそれぞれアルキル基、ア
ルケニル基、アラルキル基、アリール基を示し置換基を
有していてもよい。また、R3とR4、R5とR6、R7と
R8及びR9とR10はそれぞれ環を形成していてもよい。
A1及びA2はそれぞれ二価の芳香環基または窒素原子と
共に複素環を形成するのに必要な原子群を示し、置換基
を有していてもよい。m及びnはそれぞれ0または1を
示す。
【0016】R1及びR2の具体例としては、水素原子、
メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェ
ニル基、ナフチル基等のアリール基を挙げることができ
る。R3〜R8の具体例としては、水素原子、上述のアル
キル基、アリール基、アリル基、メタリル基、2−メチ
ル−1−プロペニル基等のアルケニル基、ベンジル基、
β−フェニルエチル基、α−ナフチルメチル基等のアラ
ルキル基を挙げることができ、置換基の具体例としては
フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、メ
トキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ
基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、上述のアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基を挙げることができ
る。R9及びR10の具体例としては、上述のアルキル
基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基を挙げる
ことができ、置換基の具体例としては、上述のアルキル
基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、アルコ
キシ基を挙げることができる。A1及びA2の具体例とし
ては、フェニレン基、ナフチレン基等の二価の芳香環基
を挙げることができ、置換基の具体例としては上述のハ
ロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基を挙げることが
できる。また、窒素原子と共に複素環を形成するのに必
要な原子群の例としては、カルバゾール環、フェノキサ
ジン環、フェノチアジン環等を形成するのに必要な原子
群を挙げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明にかかわる一般式(1)で
示されるスチリル化合物もしくは(2)で示されるヒド
ラゾン化合物の具体例を以下に例示するが、これらに限
定されるものではない。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
【化18】
【0034】
【化19】
【0035】
【化20】
【0036】
【化21】
【0037】
【化22】
【0038】これら一般式(1)、(2)で示される化
合物の合成例を以下に示すが、これらに限定されるもの
ではない。
【0039】
【化23】
【0040】合成例1 例示化合物(7)の合成 上記スチリル化合物(83)2.32gをジメチルスル
ホキシド20mlに溶かし、室温撹拌下にカリウム t
−ブトキシド1.12gを徐々に添加した。同温にて3
0分間撹拌した後反応液を水300mlで希釈し、トル
エンで有機成分を抽出した。抽出液を減圧下に濃縮し、
得られた油状物をカラムクロマトグラフィーで精製して
例示化合物(7)を2.01g得た。1 H−NMR(CDCl3)δ1.27ppm(s,3
H)、δ1.69ppm(s,3H)、δ5.75pp
m(s,1H)、δ6.7〜6.9ppm(m,10
H)、δ7.2〜7.4ppm(m,20H)
【0041】
【化24】
【0042】合成例2 例示化合物(43)の合成 上記ヒドラゾン化合物(84)1.26gをジメチルス
ルホキシド40mlに溶かし、室温撹拌下にカリウム
t−ブトキシド0.58gを徐々に添加した。同温にて
1時間撹拌した後反応液をメタノール80mlで希釈
し、析出した結晶を濾取した。これを酢酸エチルで再結
晶して、例示化合物(43)を0.85g得た。得られ
た例示化合物(43)の融点は185.4〜186.0
℃であった。1H−NMR(CDCl3)δ1.38pp
m(s,3H)、δ1.79ppm(s,3H)、δ
3.38ppm(s,6H)、δ5.91ppm(s,
1H)、δ7.10ppm(d,4H)、δ7.2〜
7.4ppm(m,10H)、δ7.47ppm(s,
2H)、δ7.58ppm(d,4H)
【0043】フタロシアニン類としては一般色材用もし
くは電子写真用顔料として多くの化合物が知られている
が、本発明にはそのいずれの化合物でも用いることがで
きる。その具体例としては例えば、特開昭51−108
847号公報、同51−117637号公報、同56−
69644号公報、同57−211149号公報、同5
8−158649号公報、同58−215655号公
報、同59−44053号公報、同59−44054号
公報、同59−128544号公報、同59−1335
50号公報、同59−133551号公報、同59−1
74846号公報、同60−2061号公報、同61−
203461号公報、同61−217050号公報、同
62−275272号公報、同62−296150号公
報、同63−17457号公報、同63−286857
号公報、同63−95460号公報、特開平1−144
057号公報、特開昭64−38753号公報、特開平
1−204968号公報、同1−221459号公報、
同1−247469号公報、同1−268763号公
報、同1−312551号公報、同2−289657号
公報、同3−227372号公報、同4−277562
号公報、同4−360150号公報、同5−45914
号公報、同5−66594号公報、同5−93366号
公報、同7−53892号公報等に記載されているフタ
ロシアニン化合物を挙げることができる。これらの中で
も無金属フタロシアニン類、中心金属原子としてチタン
原子、銅原子、アルミニウム原子、ガリウム原子、ゲル
マニウム原子、インジウム原子、マグネシウム原子、ス
ズ原子、バナジウム原子、亜鉛原子、コバルト原子ある
いはニッケル原子のいずれかを含むフタロシアニン類が
より好ましい。
【0044】無金属フタロシアニン類の中で本発明にお
いて特に好ましい例としては、X線回折スペクトルにお
いて、CuKα1.541オンク゛ストロームのX線に対するブ
ラッグ角(2θ±0.2°)7.6°、9.2°、1
6.8°、17.4°、20.4°、20.9°に主要
なピークを示す無金属フタロシアニン(τ型無金属フタ
ロシアニン)、7.5°、9.1°、16.8°、1
7.3°、20.3°、20.8°、21.4°、2
7.4°に主要なピークを示す無金属フタロシアニン
(τ′型無金属フタロシアニン)、7.5°、9.1
°、16.7°、17.3°、22.3°に主要なピー
クを示す無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシア
ニン)、7.6°、9.2°、16.8°、17.4
°、28.5°あるいは7.6°、9.2°、16.8
°、17.4°、21.5°、27.5°に主要なピー
クを示す無金属フタロシアニン(η型無金属フタロシア
ニン)、7.5°、9.1°、16.8°、17.3
°、20.3°、20.8°、21.4°、27.4°
あるいは7.5°、9.1°、16.8°、17.3
°、20.3°、20.8°、21.4°、22.1
°、27.4°、28.5°に主要なピークを示す無金
属フタロシアニン(η′型無金属フタロシアニン)、
7.7°、9.3°、16.9°、22.4°、28.
8°に主要なピークを示す無金属フタロシアニン、6.
7°に主要なピークを示す無金属フタロシアニン、6.
7°、8.7°、15.1°、17.7°、23.8
°、26.1°、27.4°、30.0°に主要なピー
クを示す無金属フタロシアニン、6.7°、7.2°、
13.4°、14.5°、15.2°、16.0°、2
0.2°、21.7°、24.0°、24.8°、2
6.6°、27.3°に主要なピークを示す無金属フタ
ロシアニン、6.6°、13.4°、14.5°、2
0.2°、24.8°、26.6°、27.2°に主要
なピークを示す無金属フタロシアニン、6.7°、7.
3°、13.5°、14.9°、15.9°、16.7
°24.7°、26.1°に主要なピークを示す無金属
フタロシアニン、7.4°、9.0°、16.5°、1
7.2°、22.1°、23.8°、27.0°、2
8.4°に主要なピークを示す無金属フタロシアニン、
15.2°を中心に13.5°にショルダーを示す無金
属フタロシアニン、および26.8°を中心に24.8
°にショルダーを示す無金属フタロシアニンを挙げるこ
とができる。
【0045】中心金属原子としてチタン原子を含むフタ
ロシアニン類の中で本発明において特に好ましい例とし
ては、X線回折スペクトルにおいて、CuKα1.54
1オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2
°)7.5°、12.3°、16.3°、25.3°、
28.7°に主要なピークを示すチタニルオキシフタロ
シアニン(α型チタニルオキシフタロシアニン)、9.
3°、10.6°、13.2°、15.1°、15.7
°、16.1°、20.8°、23.3°、26.3
°、27.1°に主要なピークを示すチタニルオキシフ
タロシアニン(β型チタニルオキシフタロシアニン)、
7.0°、15.6°、23.4°、25.5°に主要
なピークを示すチタニルオキシフタロシアニン(C型チ
タニルオキシフタロシアニン)、6.9°、15.5
°、23.4°に主要なピークを示すチタニルオキシフ
タロシアニン(m型チタニルオキシフタロシアニン)、
9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.
5°、24.1°、27.3°に主要なピークを示すチ
タニルオキシフタロシアニン(Y型チタニルオキシフタ
ロシアニン)、7.3°、17.7°、24.0°、2
7.2°、28.6°に主要なピークを示すチタニルオ
キシフタロシアニン(γ型チタニルオキシフタロシアニ
ン)、9.0°、14.2°、23.9°、27.1°
に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシアニン
(I型チタニルオキシフタロシアニン)、7.4°、1
1.0°、17.9°、20.1°、26.5°、2
9.0°に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシ
アニン(E型チタニルオキシフタロシアニン)、7.4
°、10.1°、12.4°、24.1°、25.2
°、28.5°に主要なピークを示すチタニルオキシフ
タロシアニン(ω型チタニルオキシフタロシアニン)、
7.5°、22.4°、24.4°、25.4°、2
6.2°、27.2°、28.6°に主要なピークを示
すチタニルオキシフタロシアニン、9.2°、13.1
°、20.7°、26.2°、27.1°に主要なピー
クを示すチタニルオキシフタロシアニン、7.3°、2
2.9°、27.4°に主要なピークを示すチタニルオ
キシフタロシアニン、7.6°、10.5°、12.5
°、15.6°、16.4°、17.7°、26.3
°、28.9°、30.5°、32.0°に主要なピー
クを示すチタニルオキシフタロシアニン、27.3°に
主要なピークを示すチタニルオキシフタロシアニン、
7.4°、11.0°、17.9°、20.1°、2
6.4°、29.0°に主要なピークを示すチタニルオ
キシフタロシアニン、6.8°、9.7°、15.4°
に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシアニン、
9.2°、11.6°、13.0°、24.1°、2
6.2°、27.2°に主要なピークを示すチタニルオ
キシフタロシアニン、9.1°、12.2°、16.3
°、26.9°に主要なピークを示すチタニルオキシフ
タロシアニン、7.4°、9.2°、10.4°、1
1.6°、13.0°、14.3°、15.0°、1
5.5°、23.4°、24.1°、26.2°、2
7.2°に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシ
アニン、4.8°、9.6°、26.2°に主要なピー
クを示すチタニルオキシフタロシアニン、6.5°、1
4.5°、23.8°に主要なピークを示すチタニルオ
キシフタロシアニン、7.0°、9.1°、14.1
°、18.1°、26.2°に主要なピークを示すチタ
ニルオキシフタロシアニン、6.8°、14.9°、2
4.8°、26.2°に主要なピークを示すチタニルオ
キシフタロシアニン、7.5°、27.3°に主要なピ
ークを示すチタニルオキシフタロシアニン、7.3°、
19.4°、21.5°、23.8°に主要なピークを
示すチタニルオキシフタロシアニン、10.5°、1
2.6°、15.0°、26.6°に主要なピークを示
すチタニルオキシフタロシアニン、8.5°、13.6
°、17.1°、18.0°、23.9°、27.4°
に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシアニン、
8.9°、11.4°、27.2°に主要なピークを示
すチタニルオキシフタロシアニン、6.8°、26.1
°、27.1°に主要なピークを示すチタニルオキシフ
タロシアニン、26.2°に主要なピークを示すチタニ
ルオキシフタロシアニン、7.3°、15.2°、2
6.2°に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシ
アニン、13.1°、20.6°、26.1°、27.
0°に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシアニ
ン、6.7°、7.4°、10.2°、12.6°、1
5.2°、16.0°、17.1°、18.2°、2
2.4°、23.2°、24.2°、25.2°、2
8.5°に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシ
アニン、6.8°、27.3°に主要なピークを示すチ
タニルオキシフタロシアニン、9.5°、24.1°、
27.2°に主要なピークを示すチタニルオキシフタロ
シアニン、7.2°、14.2°、24.0°、27.
2°に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシアニ
ン、21.6°、28.0°に主要なピークを示すチタ
ニルオキシフタロシアニン、9.6°、27.2°に主
要なピークを示すチタニルオキシフタロシアニン、7.
5°、22.5°、28.6°に主要なピークを示すチ
タニルオキシフタロシアニン、8.4°に主要なピーク
を示すチタニルオキシフタロシアニン、7.6°、1
0.3°、12.7°、16.3°、22.7°、2
4.3°、25.5°、28.6°に主要なピークを示
すチタニルオキシフタロシアニン、6.8°、7.4
°、15.0°、24.7°、26.2°、27.2°
に主要なピークを示すチタニルオキシフタロシアニン、
および明瞭なピークを示さないアモルファス型チタニル
オキシフタロシアニンを挙げることができる。
【0046】中心金属原子としてアルミニウム原子を含
むフタロシアニン類の中で本発明において特に好ましい
例としては、X線回折スペクトルにおいて、CuKα
1.541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ
±0.2°)6.7°、11.2°、16.7°、2
5.6°に主要なピークを示すクロロアルミニウムフタ
ロシアニン、7.0°に主要なピークを示すクロロアル
ミニウムフタロシアニン、25.5°に主要なピークを
示すクロロアルミニウムフタロシアニン、および6.5
°、11.1°、13.7°、17.0°、22.0
°、23.0°、24.1°、25.7°に主要なピー
クを示すクロロアルミニウムフタロシアニンを挙げるこ
とができる。
【0047】中心金属原子としてインジウム原子を含む
フタロシアニン類の中で本発明において特に好ましい例
としては、X線回折スペクトルにおいて、CuKα1.
541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±
0.2°)7.4°、16.7°、25.3°、27.
5°、28.4に主要なピークを示すブロモインジウム
フタロシアニン、および7.4°、16.7°、27.
8°に主要なピークを示すクロロインジウムフタロシア
ニンを挙げることができる。
【0048】中心金属原子としてバナジウム原子を含む
フタロシアニン類の中で本発明において特に好ましい例
としては、X線回折スペクトルにおいて、CuKα1.
541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±
0.2°)9.3°、10.7°、13.1°、15.
1°、15.7°、16.1°、20.7°、23.3
°、26.2°、27.1°に主要なピークを示すバナ
ジルオキシフタロシアニン、7.5°、24.2°、2
7.2°、28.6°に主要なピークを示すバナジルオ
キシフタロシアニン、14.3°、18.0°、24.
1°、27.3°に主要なピークを示すバナジルオキシ
フタロシアニン、7.4°、10.3°、12.6°、
16.3°、17.8°、18.5°、22.4°、2
4.2°、25.4°、27.2°、28.6°に主要
なピークを示すバナジルオキシフタロシアニン、および
明瞭なピークを示さないアモルファス型バナジルオキシ
フタロシアニンを挙げることができる。
【0049】中心金属原子としてガリウム原子を含むフ
タロシアニン類の中で本発明において特に好ましい例と
しては、X線回折スペクトルにおいて、CuKα1.5
41オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.
2°)7.4°、16.6°、25.5°、28.3°
に主要なピークを示すクロロガリウムフタロシアニン、
6.7°、15.2°、20.5°、27.0°に主要
なピークを示すクロロガリウムフタロシアニン、6.7
°、13.7°、16.3°、20.9°、26.3°
に主要なピークを示すクロロガリウムフタロシアニン、
7.5°、9.5°、11.0°、13.5°、19.
1°、20.3°、21.8°、25.8°、27.1
°、33.0°に主要なピークを示すクロロガリウムフ
タロシアニン、11.0°、13.5°、27.1°に
主要なピークを示すクロロガリウムフタロシアニン、
6.8°、17.3°、23.6°、26.9°に主要
なピークを示すクロロガリウムフタロシアニン、8.7
〜9.2°、17.6°、27.4°、28.8°に主
要なピークを示すクロロガリウムフタロシアニン、2
7.1°に主要なピークを示し、それ以外のピークは2
7.1°の10%以下の強度であるクロロガリウムフタ
ロシアニン、7.5°、9.9°、12.5°、16.
3°、18.6°、25.1°、28.3°に主要なピ
ークを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン、7.7
°、16.5°、25.1°、26.6°に主要なピー
クを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン、7.9
°、16.5°、24.4°、27.6°に主要なピー
クを示すヒドロキシガリウムフタロシアニン、7.0
°、7.5°、10.5°、11.7°、12.7°、
17.3°、18.1°、24.5°、26.2°、2
7.1°に主要なピークを示すヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン、6.8°、12.8°、15.8°、2
6.0°に主要なピークを示すヒドロキシガリウムフタ
ロシアニン、および7.4°、9.9°、25.0°、
26.2°、28.2°に主要なピークを示すヒドロキ
シガリウムフタロシアニンを挙げることができる。
【0050】中心金属原子として銅原子を含むフタロシ
アニン類の中で本発明において特に好ましい例として
は、X線回折スペクトルにおいて、CuKα1.541
オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2
°)7.0°、9.2°、12.5°、16.8°、1
8.6°、21.3°、23.8°、26.2°、2
8.0°、30.5°に主要なピークを示す銅フタロシ
アニン(β型銅フタロシアニン)、7.6°、9.1
°、14.2°、17.4°、20.4°、21.2
°、23.0°、26.5°、27.2°、29.5°
に主要なピークを示す銅フタロシアニン(ε型銅フタロ
シアニン)、7.0°、9.8°、15.8°、24.
9°、26.7°、27.3°に主要なピークを示す銅
フタロシアニン(α型銅フタロシアニン)、および7.
0°、7.7°、9.2°に主要なピークを示す銅フタ
ロシアニンを挙げることができる。
【0051】中心金属原子としてゲルマニウム原子を含
むフタロシアニン類の中で本発明において特に好ましい
例としては、X線回折スペクトルにおいて、CuKα
1.541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ
±0.2°)9.0°、11.2°、17.1°、1
8.1°、20.9°、22.7°、25.8°、2
9.3°に主要なピークを示すジフェノキシゲルマニウ
ムフタロシアニンを挙げることができる。
【0052】本発明に係わるフタロシアニン化合物の製
造方法としては、フタロジニトリルと金属塩化物、また
はアルコキシ金属とを加熱溶融または有機溶媒存在下で
加熱するフタロジニトリル法、無水フタル酸を尿素及び
金属塩化物と加熱溶融または有機溶媒存在下で加熱する
ワイラー法、シアノベンズアミドと金属塩とを高温で反
応させる方法、あるいはジリチウムフタロシアニンと金
属塩を反応させる方法等があるが、これらに限定される
ものではない。また、反応に用いる溶媒としては各種の
有機溶媒を用いることができるが、α−クロロナフタレ
ン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メ
トキシナフタレン、ジフェニルナフタレン、エチレング
リコール、ジアルキルエーテル、キノリン、スルホラ
ン、ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、
ジクロロトルエン等の反応不活性な高沸点の溶媒が望ま
しい。
【0053】上述の方法によって得たフタロシアニン化
合物を、酸、アルカリ、アセトン、メタノール、エタノ
ール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ピリ
ジン、キノリン、スルホラン、α−クロロナフタレン、
トルエン、キシレン、ジオキサン、クロロホルム、ジク
ロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチ
ル−2−ピロリドン等により精製して電子写真用途に用
い得る高純度のフタロシアニン化合物が得られる。精製
法としては、洗浄法、再結晶法、ソックスレー等の抽出
法、及び熱懸濁法、昇華法等各種の方法が知られている
がそのいずれの方法も用いることができる。また、精製
方法はこれらに限定されるものではなく、未反応物や反
応副生成物を取り除く公知の方法であればいずれでもよ
い。
【0054】また、フタロシアニン化合物を必要な結晶
型に変換する方法としては、アシッドペースティング
法、アシッドスラリー法等の酸処理による方法、ソルト
ミリング法やソルベントミリング法等のようにペイント
コンディショナーやボールミル、サンドミル、乳鉢等に
よって機械的剪断力を与える方法、加熱による方法、有
機溶剤処理による方法等が知られているが、本発明に係
わるフタロシアニン化合物の結晶型変換には、必要に応
じていずれかの方法を単独で、あるは二つ以上の方法を
組み合わせて用いることができる。
【0055】次に、本発明に係わるフタロシアニン化合
物の合成例を示すが、これらに限定されるものではな
い。
【0056】合成例3 β型チタニルオキシフタロシア
ニンの合成 1,3−ジイミノイソインドリン25.5g、チタン
(IV)テトラブトキシド15.0gを1−クロロナフタ
レン180mlに溶かし、油浴上180℃で加熱撹拌し
た。5時間後、析出した結晶を濾取し、トルエン、アセ
トンで順次洗浄し、乾燥してチタニルオキシフタロシア
ニンの結晶を21.4g得た。得られたオキシチタニル
フタロシアニンのX線回折スペクトルを図1に、IRス
ペクトルを図2に示す。
【0057】合成例4 アモルファス型チタニルオキシ
フタロシアニンの合成 合成例3で得たβ型チタニルオキシフタロシアニン3.
0gを約0℃に冷却した濃硫酸150mlにゆっくりと
加えて溶解させた。この溶液を氷水1.2lにゆっくり
と注ぎ込み、結晶を析出させた。結晶を濾取し、中性に
なるまで水で洗浄し、乾燥してアモルファスのチタニル
オキシフタロシアニンを2.6g得た。得られたアモル
ファスチタニルオキシフタロシアニンのIRスペクトル
は図2と同様のピークを示した。また、X線回折スペク
トルは図3に示す。これらより、この操作によって化合
物を分解させることなく、結晶型のみを変換させている
ことが確認できた。
【0058】合成例5 Y型チタニルオキシフタロシア
ニンの合成 合成例4で得たアモルファス型チタニルフタロシアニン
2.0g、水28.0g、クロロベンゼン6.0gを5
0℃で加熱撹拌した。1時間後、室温まで冷却し、結晶
を濾取し、メタノールで洗浄した。乾燥してY型チタニ
ルフタロシアニン1.7gを得た。この化合物のX線回
折スペクトルを図4に示す。
【0059】以下同様の手法で合成したX型無金属フタ
ロシアニン(図5)、τ型無金属フタロシアニン(図
6)、m型チタニルオキシフタロシアニン(図7)、ジ
フェノキシゲルマニウムフタロシアニン(図8)のX線
回折スペクトルを示す。
【0060】感光体の形態としては種々のものがある
が、本発明はそのいずれの形態においても用いることが
できる。例えば、導電性支持体上に電荷発生物質、電荷
輸送物質、およびフィルム形成性結着剤樹脂からなる感
光層を設けた単層型感光体、導電性支持体上に電荷発生
物質と結着剤樹脂からなる電荷発生層と、電荷輸送物質
と結着剤樹脂からなる電荷輸送層を設けた積層型の感光
体が挙げられる。電荷発生層と電荷輸送層はどちらが上
層となっても構わない。また、必要に応じて導電性支持
体と感光層の間に下引き層を、感光体表面にオーバーコ
ート層を、積層型感光体の場合は電荷発生層と電荷輸送
層との間に中間層を設けることもできる。本発明に係わ
る化合物を用いて感光体を作製する支持体としては金属
製ドラム、金属板、導電性加工を施した紙、プラスチッ
クフィルムのシート状、ドラム状あるいはベルト状の支
持体等が使用される。
【0061】それらの支持体上へ感光層を形成するため
に用いるフィルム形成性結着剤樹脂としては利用分野に
応じて種々のものがあげられる。例えば複写用感光体の
用途ではポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
ビニルアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、酢ビ・クロトン酸共重合体樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレ
ート樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル
樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。これらの中で
も、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレー
ト樹脂等は感光体としての電位特性に優れている。又、
これらの樹脂は、単独あるいは共重合体として1種又は
2種以上を混合して用いることができる。これら結着剤
樹脂の光導電性化合物に対して加える量は、20〜10
00重量%が好ましく、50〜500重量%がより好ま
しい。
【0062】積層型感光体の場合、電荷発生層に含有さ
れるこれらの樹脂は、電荷発生物質に対して10〜50
0重量%が好ましく、50〜150重量%がより好まし
い。樹脂の比率が高くなりすぎると電荷発生効率が低下
し、また樹脂の比率が低くなりすぎると成膜性に問題が
生じる。また、電荷輸送層に含有されるこれらの樹脂
は、電荷輸送物質に対して20〜1000重量%が好ま
しく、50〜500重量%がより好ましい。樹脂の比率
が高すぎると感度が低下し、また、樹脂の比率が低くな
りすぎると繰り返し特性の悪化や塗膜の欠損を招くおそ
れがある。
【0063】これらの樹脂の中には、引っ張り、曲げ、
圧縮等の機械的強度に弱いものがある。この性質を改良
するために、可塑性を与える物質を加えることができ
る。具体的には、フタル酸エステル(例えばDOP、D
BP等)、リン酸エステル(例えばTCP、TOP
等)、セバシン酸エステル、アジピン酸エステル、ニト
リルゴム、塩素化炭化水素等が挙げられる。これらの物
質は、必要以上に添加すると電子写真特性の悪影響を及
ぼすので、その割合は結着剤樹脂に対し20%以下が好
ましい。
【0064】その他、感光体中への添加物として酸化防
止剤やカール防止剤等、塗工性の改良のためレベリング
剤等を必要に応じて添加することができる。
【0065】一般式(1)、(2)で示される化合物は
更に他の電荷輸送物質と組み合わせて用いることができ
る。電荷輸送物質には正孔輸送物質と電子輸送物質があ
る。前者の例としては、例えば特公昭34−5466号
公報等に示されているオキサジアゾール類、特公昭45
−555号公報等に示されているトリフェニルメタン
類、特公昭52−4188号公報等に示されているピラ
ゾリン類、特公昭55−42380号公報等に示されて
いるヒドラゾン類、特開昭56−123544号公報等
に示されているオキサジアゾール類等を挙げることがで
きる。一方、電子輸送物質としては、例えばクロラニ
ル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタ
ン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−ト
リニトロチオキサントン、1,3,7−トリニトロジベ
ンゾチオフェン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオ
フェン−5,5−ジオキシド等がある。これらの電荷輸
送物質は単独または2種以上組み合わせて用いることが
できる。
【0066】また、本発明に係わる有機導電性材料と電
荷移動錯体を形成し、更に増感効果を増大させる増感剤
としてある種の電子吸引性化合物を添加することもでき
る。この電子吸引性化合物としては例えば、2,3−ジ
クロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキ
ノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−ク
ロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン
類、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、9
−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−
ジニトロベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラ
ニトロベンゾフェノン等のケトン類、無水フタル酸、4
−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物、テレフタラル
マロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニト
リル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−
ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等の
シアノ化合物、3−ベンザルフタリド、3−(α−シア
ノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ
−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロ
ロフタリド等のフタリド類等を挙げることができる。
【0067】本発明に係わる有機光導電性材料は、感光
体の形態に応じて上記の種々の添加物質と共に適当な溶
剤中に溶解又は分散し、その塗布液を先に述べた導電性
支持体上に塗布し、乾燥して感光体を製造することがで
きる。
【0068】塗布溶剤としてはクロロホルム、ジクロロ
エタン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロ
ロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハ
ロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコー
ルジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチ
ル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエス
テル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニ
トリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド
等の非プロトン性極性溶剤及びアルコール系溶剤等を挙
げることができる。これらの溶剤は単独または2種以上
の混合溶剤として使用することができる。
【0069】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではな
い。
【0070】実施例1 X型無金属フタロシアニン1重量部及びポリエステル樹
脂(東洋紡製バイロン220)1重量部をジオキサン1
00重量部と混合し、ペイントコンディショナー装置で
ガラスビーズと共に3時間分散した。こうして得た分散
液を、アプリケーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に
塗布して乾燥し、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成
した。次に例示化合物(43)を、ポリアリレート樹脂
(ユニチカ製U−ポリマー)と1:1の重量比で混合
し、ジクロロエタンを溶媒として10%の溶液を作り、
上記の電荷発生層の上にアプリケーターで塗布して膜厚
約20μmの電荷輸送層を形成した。
【0071】この様にして作製した積層型感光体につい
て、静電記録試験装置(川口電気製SP−428)を用
いて電子写真特性の評価を行なった。 測定条件:印加電圧−6kV、スタティックNo. 3(タ
ーンテーブルの回転スピードモード:10m/min
 )。その結果、帯電電位(Vo)が−785V、半減
露光量(E1/2)が1.1ルックス・秒と高感度の値を
示した。
【0072】更に同装置を用いて、帯電−除電(除電
光:白色光で400ルックス×1秒照射)を1サイクル
とする繰返し使用に対する特性評価を行った。5000
回での繰返しによる帯電電位の変化を求めたところ、1
回目の帯電電位(Vo)−785Vに対し、5000回
目の帯電電位(Vo)は−780Vであり、繰返しによ
る電位の低下が少なく安定した特性を示した。また、1
回目の半減露光量(E1/2)1.1ルックス・秒に対し
て5000回目の半減露光量(E1/2)は1.1ルック
ス・秒と変化がなく、優れた特性を示した。
【0073】実施例2〜11 実施例1の例示化合物(43)の代わりに、それぞれ表
1に示す例示化合物を用いた他は、実施例1と同様にし
て感光体を作製してその特性を評価した。結果を表1に
示す。
【0074】
【表1】
【0075】以下の実施例および比較例で用いたフタロ
シアニンのX線回折スペクトルにおけるピーク位置、お
よび表中で用いた略号を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】実施例12〜27 実施例1のX型無金属フタロシアニンの代わりにそれぞ
れ表3、表4に示すフタロシアニンを、例示化合物
(5)の代わりにそれぞれ表3、表4に示す例示化合物
を用いた他は、実施例1と同様にして感光体を作製して
その特性を評価した。結果を表3、表4に示す。
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】実施例28 X型無金属フタロシアニン1重量部とテトラヒドロフラ
ン40重量部を、ペイントコンディショナー装置でガラ
スビーズと共に4時間分散処理した。こうして得た分散
液に、例示化合物(43)を2.5重量部、ポリカーボ
ネート樹脂(三菱ガス化学製PCZ−200)10重量
部、テトラヒドロフラン60重量部を加え、さらにペイ
ントコンディショナー装置で30分間分散処理を行った
後、アプリケーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に塗
布し、膜厚約15μmの感光体を形成した。この感光体
の電子写真特性を、実施例1と同様にして評価した。た
だし、印加電圧のみ+5kVに変更した。その結果、1
回目の帯電電位(Vo)+405V、半減露光量(E1/
2)1.5ルックス・秒、5000回繰り返し後の帯電
電位(Vo)+395V、半減露光量(E1/2)1.5
ルックス・秒と、高感度でしかも変化の少ない、優れた
特性を示した。
【0081】実施例29〜38 実施例28の例示化合物(43)の代わりに、それぞれ
表5に示す例示化合物を用いた他は、実施例28と同様
にして感光体を作製してその特性を評価した。結果を表
5に示す。
【0082】
【表5】
【0083】実施例39〜54 実施例28のX型無金属フタロシアニンの代わりにそれ
ぞれ表6、表7に示すフタロシアニンを、例示化合物
(43)の代わりにそれぞれ表6、表7に示す例示化合
物を用いた他は、実施例28と同様にして感光体を作製
してその特性を評価した。結果を表6、表7に示す。
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】比較例1 電荷輸送物質として例示化合物(43)の代わりに下記
比較化合物(85)を用いた他は、実施例1と同様に感
光体を作製してその特性を評価した。その結果、1回目
の帯電電位は(Vo)−740V、 半減露光量(E1/
2)は1.9ルックス・秒と比較的良好な感度を示した
が、5000回目の帯電電位(Vo)は−225V、半
減露光量(E1/2)は1.1ルックス・秒であり、繰り
返しによる大幅な電位の低下がみられた。
【0087】
【化25】
【0088】比較例2 電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニンの代わり
に下記比較化合物(86)を用いた他は、実施例1と同
様に感光体を作製してその特性を評価した。その結果、
1回目の帯電電位(Vo)は−750V、半減露光量
(E1/2)は2.6ルックス・秒であり、感度不足であ
った。
【0089】
【化26】
【0090】比較例3 電荷輸送物質として例示化合物(43)の代わりに下記
比較化合物(87)を用いた他は、実施例28と同様に
感光体を作製してその特性を評価した。その結果、1回
目の帯電電位は(Vo)+465V、 半減露光量(E1
/2)は2.5ルックス・秒と比較的良好な感度を示した
が、5000回目の帯電電位(Vo)は+230V、半
減露光量(E1/2)は2.1ルックス・秒であり、繰り
返しによる大幅な電位の低下がみられた。
【0091】
【化27】
【0092】比較例4 電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニンの代わり
に前記比較化合物(86)を用いた他は、実施例28と
同様にして感光体を作製してその特性を評価した。その
結果帯電電位(Vo)が+400V、半減露光量(E1/
2)が4.3ルックス・秒と感度不足であった。
【0093】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明に係わ
る特定構造を有するスチリル化合物またはヒドラゾン化
合物とフタロシアニン類を併用すれば、高感度で高耐久
性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】【図1】合成例3で得たβ型チタニルオキシフタロシア
ニンのX線回折スペクトル図。
【図2】合成例3で得たβ型チタニルオキシフタロシア
ニンのIRスペクトル図。
【図3】合成例4で得たアモルファス型チタニルオキシ
フタロシアニンのX線回折スペクトル図。
【図4】合成例5で得たY型チタニルオキシフタロシア
ニンのX線回折スペクトル図。
【図5】X型無金属フタロシアニンのX線回折スペクト
ル図。
【図6】τ型無金属フタロシアニンのX線回折スペクト
ル図。
【図7】m型チタニルオキシフタロシアニンのX線回折
スペクトル図。
【図8】ジフェノキシゲルマニウムフタロシアニンのX
線回折スペクトル図。