【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像入出力装置に係
わり、特に携帯用で小型な原稿読み取り用2次元画像入
力装置と画像を表示する2次元ディスプレイ装置を備え
た画像入出力装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来の携帯用画像入出力装置は、1次元ハ
ンディースキャナーや1次元イメージリーダー等の画像
入力装置と液晶ディスプレイ等の画像出力装置を組み合
わせたものが多く用いられていた。しかしながら、この
ような携帯用画像入出力装置においては画像入出力装置
であるスキャナーを操作する人が原稿上を移動させる、
又は機械的にスキャンさせることが必要となり、その為
走査速度が不適切等の理由により読み取り不良を起こす
など使い勝手が悪いという問題や、スキャンさせる装置
が大型化するという問題があった。又、ディスプレイ装
置の他に別体のスキャナーが必要となるため構造が複雑
でありコストが上昇するという問題や携帯性の面で問題
があった。
【0003】そこで、近年は2次元の画像入力装置と2
次元の液晶ディスプレイ等の画像出力装置を重ねること
により、同一面上での原稿読み取りと画像表示を行う方
法が提案されている。
【0004】例えば、特開平4−282609号公報に
おいては、透明基板に画像入力用のイメージセンサを備
えたイメージセンサ基板の上に、透明基板に液晶駆動用
のTFT及び液晶を備えた画像出力用の液晶ディスプレ
イ基板を重ねた例が示されている。
【0005】又、特開平5−244346号公報におい
ては、液晶ディスプレイ基板の上にイメージセンサ基板
を重ねた例が示されている。
【0006】どちらの例においても、図19に示すよう
に画像入力面と画像出力面が共通であるため従来のよう
に画像出力面を持つ本体と別体のスキャナー部、あるい
は画像出力面と独立した画像入力面などが必要でなくな
り、装置全体を小型化且つ低コスト化することが可能に
なってきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年発
表されている上記画像入出力装置では、図19に示すよ
うに画像入出力面が同一なため、原稿を読み取るために
装置全体を下向きに裏返し原稿上に置くことが必要とな
り、更にその後、読み取った画像を表示しその画像を目
視により確認するためには、再度装置全体を上向きに裏
返し画像出力面を目視可能にすることが必要となる。
【0008】たとえ装置全体を下向きに裏返すことを行
わず、原稿を裏返して画像入出力面上に載置することに
より原稿読み取りを行ったとしても、読み取った画像を
表示しその画像を目視により確認するためには、操作す
る人が読み取った原稿を取り去ることが必要不可欠とな
る。
【0009】このように上記従来例においては、画像入
力面と画像出力面が同じなため、画像入力と画像出力を
交互に行う場合、その都度画像入力装置全体を裏返す操
作が必要となり、使い勝手が悪いという問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の画像入出力装置
は、片面に2次元の画像入力用読み取り手段を配置し、
前記読み取り手段により入力した画像の処理を行う画像
処理手段を有し、前記片面に対し裏側となる他面に2次
元の画像出力用表示手段を配置し、前記2次元の画像入
力用読み取り手段は、原稿を照明する2次元の第1照明
手段と該原稿を反射した光信号を電気信号に変換する2
次元の光電変換素子とを備え、前記2次元の画像出力用
表示手段は、2次元の画像を表示する光透過型表示素子
と該光透過型表示素子を照明する2次元の第2照明手段
とを備えており、前記2次元の第1及び第2照明手段の
少なくとも一方は、1次元のEL光源を2次元的に並列
に配置したものである。
【0011】また本発明の画像入出力装置は、片面に2
次元の画像入力用読み取り手段を配置し、前記読み取り
手段により入力した画像の処理を行う画像処理手段を有
し、前記片面に対し裏側となる他面に2次元の画像出力
用表示手段を配置し、前記2次元の画像入力用読み取り
手段は、原稿を反射した光信号を電気信号に変換する2
次元の光電変換素子を備え、前記2次元の画像出力用表
示手段は、2次元の画像を表示する光透過型表示素子を
備えており、前記2次元の画像入力用読み取り手段と前
記2次元の画像出力用表示手段の間に、前記原稿と前記
光透過型表示素子の両方を照明する、1次元のEL光源
を2次元的に並列に配置した照明手段を設けたものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】まず、本発明の実施の形態の説明
に先立って、本発明の作用について説明する。
【0013】本発明の画像入出力装置は、片面に2次元
の画像入力用読み取り手段を配置し、前記片面に対し裏
側となる他面に2次元の画像出力用表示手段を配置する
ことにより、装置全体を小型化且つ低コスト化できるだ
けでなく、画像入力面と画像出力面が異なるため、画像
入力面を下向き且つ画像出力面を上向きの状態で原稿上
に置くことのみにより、読み取った画像情報をリアルタ
イムで上面の画像出力面に表示することが可能となり、
使い勝手が向上する。
【0014】また本発明の画像入出力装置は、照明手段
として、1次元のEL光源を2次元的に並列に配置した
ものを用いることにより、装置全体を小型化且つ低コス
ト化できるだけでなく、EL光源は照明光の分布が非常
に均一であるため、光拡散層は不要となる。さらに、各
々の1次元状のEL光源を独立に照明する事が可能とな
り、読み取り手段及び照明手段に於いて、照明したい部
分のみを照明する事が可能となり、消費電力の節約及び
発熱量の低下を行う事が可能となる。
【0015】また、本発明の画像入出力装置は、原稿を
照明するための照明手段と、光透過型表示素子を照明す
る照明手段とを同一な両面光源として構成することによ
り、装置全体を更に小型化且つ低コスト化できる。
【0016】以下、本発明の実施の形態について図面を
用いて詳細に説明する。 [実施形態1]図1は本発明の第1の実施形態に係る画
像入出力装置の模式的一部断面斜視図であり、図2乃至
図4は夫々本実施形態の画像読み取り状態における原稿
と画像入出力装置の状態の一例を説明するための模式的
斜視図を示す。
【0017】図1に示す本実施形態の画像入出力装置
は、光透過型表示素子、例えば液晶ディスプレイのよう
な画像出力部(画像出力用表示手段)1が表面に図面
上、上向き配置されその背面に液晶ディスプレイを背面
から照明するためのバックライト2が配置されている。
又、裏面には透明基板上にアモルファスシリコンセンサ
が形成された2次元イメージセンサのような画像入力部
(画像入力用読み取り手段)3が図面上、下向きに配置
され、その背面には前記アモルファスシリコンセンサ素
子間を通して原稿面を照射する読取用光源4が配置され
ている。
【0018】画像出力部1とバックライト2との間及び
画像入力部3と読取用光源4との間には夫々空間9,1
0が形成されている。尚、この空間は各光源からの光を
より均一に照射するために設けられており、充分な均一
照明がなされればこの空間は不要であるし、必要に応じ
て更に一層の均一化を図るために導光体を配しても良
い。
【0019】また、バックライト2及び読取用光源4は
ともに筐体8からのびる仕切部5に取付けられ、画像出
力部1側と画像入力部3側とを分離している。しかしな
がら、この仕切部5は必ずしも必要でない。
【0020】画像入出力装置30にはキーボード部6が
設けられ、装置30のon・offや読み取りや表示の
ための各機能の選択、実行を行なえる。回路部7は装置
30内に設けられ、装置30がバッテリー等の電源を有
する場合はその電源を利用して駆動される画像処理部、
メモリ、各機能あるいは各部を駆動制御するためのIC
を含む制御部を有する。
【0021】画像入力部3から読み取られる画像情報は
回路部7のメモリに格納され、その後画像処理部により
画像処理が行われる。画像処理が行われた情報は画像出
力部1に表示される、もしくはメモリ格納された後、画
像出力部1に表示される。
【0022】もちろん、電源は装置外部からの供給によ
っても良く、必要に応じて電圧調整回路を有していて良
い。
【0023】また、装置30の駆動は前記キーボード部
6のみによらず、コンピューターなどの外部の他の装置
からのコマンド指令によって実行されるようにしても良
い。キーボード部6やコマンドによって、読み取り、表
示画像の拡大や縮小、移動、コントラスト変更、色変
更、画像反転など必要に応じた表示や読み取りの条件変
更や切り換えを行うことができる。
【0024】バックライト2や読取用光源4の光源とし
てはLED、ELのような固体発光装置や蛍光灯、キセ
ノン放電管のような放電管あるいはハロゲンランプのよ
うな各種電源が使用可能である。これら光源は装置30
の大きさや重さ、光源の明るさなどによって適宜選択さ
れる。
【0025】バックライト2に放電管を、読取用光源4
にLEDを用いた場合を例に挙げると、バックライト2
はインバータ回路などを有する照明用電源から供給され
ればよく、読取用光源4は直流電源から供給されればよ
い。本実施形態においては後述するように光源としてE
L光源を用いている。
【0026】次に、図2乃至図4を用いて、画像入出力
装置の駆動中の状態について説明する。
【0027】図2は画像入出力装置30の一方の面(下
面)の2次元イメージセンサを有する画像入力部3によ
り原稿20に描かれている画像(ここでは文字)を読み
取り、同時に画像入出力装置30の他方の面(上面)の
ディスプレイを有する画像出力部に読み取った情報を表
示している状態を表わしている。
【0028】図3は図2と同じ状態を説明するものであ
るが、図示されるように、画像入出力装置30と原稿2
0との相対的な移動によって表示内容も変化することを
示している。
【0029】図4はキーボード部6などの操作によっ
て、画像入力部3で読み取った情報を拡大して画像出力
部1に表示した場合の状態を示している。この状態は原
稿20の画像を拡大表示しているので電子ルーペ(つま
り光学的でなく電気的に拡大するルーペ)状態である。
このモードのときも通常は画像入出力装置30の原稿2
0との相対的な移動によって表示画像は変化する。
【0030】次に本実施形態を電子ルーペとして使用す
る場合の動作について図7のフローチャート及び図1の
断面斜視図及び図2〜図6の各動作状態斜視図を用いて
説明を行う。
【0031】まず、電子ルーペを動画として用いる場
合、即ちリアルタイムでの読み取り及び表示を行う場合
について説明する。
【0032】初めに、読み取りを行いたい原稿20の上
に画像入出力装置30を載せる。そして電源スイッチを
onし、キーボード部6にある[読み取り]キーを押
す。その時の状態が図2である。
【0033】次に、拡大したい文字の位置に本実施形態
の画像入出力装置30の位置を微調整する。
【0034】その時の状態が図3である。図3の図で
は、文字『C』に位置合わせされている。
【0035】次に、キーボード部6にある[拡大]キー
を1度押す、すると液晶ディスプレイの画像出力部1上
に表示されていた文字『C』は2倍の大きさになる。そ
の時の状態が図4である。
【0036】このような図2→図3→図4の一連の動作
を図7のフローチャートを用いて説明すると、(a)の
2次元画像入力→(c)の画像処理[拡大]→(e)の
2次元画像出力というフローチャートで表すことができ
る。
【0037】次に、電子ルーペを静止画として用いる場
合、即ち読み取り画像を一度メモリに記憶させ画像処理
を行い、再び液晶ディスプレイの画像出力部1上に表示
する場合について説明する。
【0038】動画として用いる場合と同様に、電源スイ
ッチをonし、キーボード部6にある[読み取り]キー
を押し、原稿上の位置を微調整する。その時の状態が図
3であり、画像入出力装置の位置は文字『C』に合わせ
られている。
【0039】次に、キーボード部6にある[メモリ]キ
ーを押す。すると、読みとられている画像がメモリに記
憶される。その状態で、キーボード部6にある[メモリ
表示]キーを押す。そうすることにより、メモリに記憶
されている画像が液晶ディスプレイの画像出力部1上に
表示される。その時の状態が図5である。
【0040】次に図5の状態で、キーボード部6にある
[拡大]キーを押す。すると、液晶ディスプレイの画像
出力部1上に表示されていた文字『C』は2倍の大きさ
になる。その時の状態が図6である。この状態から、再
度キーボード部6にある[メモリ]キーを押す。する
と、拡大された文字『C』は電源をオフしてもメモリに
記憶されているため、電源をオンし、再度表示すること
が可能となる。
【0041】このような図3→図5→図6の一連の動作
を図7のフローチャートを用いて説明すると、(a)の
2次元画像入力→(b)のメモリ→(c)の画像処理
[拡大]→(d)のメモリ→(e)の2次元画像出力と
いうフローチャートで表すことができる。
【0042】次に、図7に示した(c)の画像処理[拡
大]について説明する。図8は画像処理[拡大]のフロ
ーチャートである。ここでは例として、画像入力部及び
画像出力部が縦横1mmあたり5×5個の大きさの画素
を400×400個2次元的に配置されており、画像デ
ータを記憶するメモリ内にも400×400個データが
図9に示すように、DAT(1,1)〜DAT(40
0,400)まで存在する場合を示す。
【0043】図8において、本実施形態を電子ルーペと
して用いる場合、即ち[拡大]スイッチが押されると、
メモリ内の400×400個データは図8のフローチャ
ートに基づいて変更される。
【0044】つまり、等倍の表示のときは画像処理S1
は拡大しないので、拡大の判定(S2)はNOになり等
倍処理(S3)を選択し、入力データをそのまま出力デ
ータとして使用する(S4)。
【0045】次に、拡大表示のとき(ここでは2倍に拡
大する場合)は拡大の判定(S2)はYESになるので
mが偶数か奇数かを判定する(S5)。図8ではmが奇
数か否かを判断しているので、mが偶数であればNOに
従って進み、nが奇数か否かを続いて判断する(S
6)。そして、nが偶数であればS7に、nが奇数であ
ればS8に従ってデータを変換する。
【0046】また、mが奇数の場合は、S5においてY
ESが選択されるが、同様に続いてnが奇数であるかが
判断され(S9)、nが偶数であればS10に、nが奇
数であればS11に従ってデータを変換する。
【0047】このように、m行n列目のデータDAT
(m,n)はm,nが偶数か奇数かにより変換式が異な
り図8のように4つの変換式により決定される。この結
果として2次元的なデータの中の100×100個のデ
ータがX軸及びY軸方向共に各々2倍に拡大される。
【0048】もちろん、上記処理は倍率の違いや画素数
によって適宜変更可能であるし、上述の処理方法に限ら
れるものでもない。
【0049】次に図1で示したバックライト2及び原稿
読取用光源4の構成例を示す。バックライト2及び原稿
読取用光源4の照明手段については、以前我々が提案し
ているので(特開平6−217084号公報)、それに
基づいて説明を行うが、以前提案した内容は主に1次元
方向の照明手段であり、本実施形態に用いる2次元的な
照明手段の構成例としては、1次元方向の照明手段を並
列的に配置する構成で考えられる。
【0050】図10及び図11は、EL(エレクトロ・
ルミネセンス)33を用いた例であり、1次元方向の照
明手段を2次元的に配置した照明手段の断面図である。
図10では、透光性部材77がプリズム状になってい
る。EL33の発光部33aから発した光束は、一部は
透光性部材77を通過してそのまま上方へ向かい、一部
は発光部33bに向かう。発光部33bに向かった光
は、透光性部材の他面に入射する光束の角度によって、
あるいは透光性部材77の内面における全反射によっ
て、あるいは発光部33bの蛍光体による拡散反射によ
って上方へ反射される。これは発光部33bから発した
光束についても同様である。
【0051】図11においては、発光部33a及び33
bから発した光束はそのまま上方へ向かう。EL光源は
照明光の分布が非常に均一であるため、従来用いられて
いた光拡散層が不要となる。又、材料として非常に薄い
構造であるため装置の小型化が容易である。又、拡散層
が不要であるので画像入力部及び画像出力部に密着して
配置する事が可能となり、強い強度の照明を行う事が可
能となる。
【0052】又、1次元状のEL光源を並列的に複数本
配置し、2次元状の照明手段を構成する事により、各々
の1次元状のEL光源を独立に照明する事が可能とな
り、読み取り手段及び照明手段に於いて、照明したい部
分のみを照明する事が可能となり、消費電力の節約及び
発熱量の低下を行う事が可能となる。
【0053】このように本構成例に示した照明手段は、
小型で且つ均一な照明を強い強度で照明する事ができ、
更に構成が簡単で且つ作製工程も簡略化できる。加え
て、安定した表示を行う事ができるディスプレイ装置、
及び安定した画像読み取りを行う事ができる画像読み取
り装置を提供する事ができる。
【0054】このように本実施形態において、原稿上の
文字を拡大するルーペ機能を手のひらに乗るほどの小型
で携帯的な装置によって、容易に得ることができる。
【0055】本発明の画像入出力装置は、本実施形態に
示したものに限定するものではない。つまり、片面に2
次元の画像入力用読み取り手段を配置し、前記読み取り
手段により入力した画像の処理を行う画像処理手段を有
し、前記片面に対し裏側となる他面に2次元の画像出力
用表示手段が配置されていればよい。
【0056】よって2次元の画像入力用読み取り手段
は、安価で大画面のものが作製できるアモルファスシリ
コンのイメージセンサのみならず、高速読み取りが可能
となる微結晶シリコン及び多結晶シリコンイメージセン
サや、光源に赤外線や紫外線を用いることにより検知可
能となる赤外線センサや紫外線センサでもよい。
【0057】又、本実施形態はプリンター等の記録手段
を構成してはいないが、本発明の画像入出力装置にプリ
ンター等の記録手段を構成することは容易に考えられる
ことは言うまでもない。 [実施形態2]以下、本発明の実施形態2を図面に基づ
いて説明する。図12(a)は本発明の第2の実施形態
に係る画像入出力装置の断面斜視図である。図12
(b)は本発明の参考となる形態に係る画像入出力装置
の断面斜視図である。
【0058】図12(a)に示す実施形態2の画像入出
力装置が、図1に示す実施形態1の画像入出力装置と異
なる点は、画像入力部3と液晶ディスプレイの画像出力
部1との間に、前記アモルファスシリコンセンサ素子間
を通して原稿面を照射する原稿読み取り用光源と液晶デ
ィスプレイを表示するためのバックライトを兼ねる両面
光源12が配置されている点である。
【0059】図12(a)においては、図13に示すよ
うに両面光源12を1次元のEL光源で且つ両面に照射
できる光源35を2次元的に並列配置する事により構成
している。
【0060】本実施形態の動作は実施形態1で説明した
ものと実質的に同様であるので詳細な説明は省略する。
【0061】以上のように本実施形態では光源を画像入
力部及び画像出力部に共通にしているため、より一層の
小型化を図ることができる。また、光源を共通にするこ
とで消費電力の低減を図ることができ、バッテリーの容
量や電源回路の一層の小型化を図ることができ、装置全
体の小型化に寄与する。また、バッテリー容量は変えず
とも回路や光源の実質的な小型化を達成することが可能
であり、同じ容量のバッテリーを使用することでより一
層長時間の駆動が可能になる。
【0062】なお、図12(b)に示した形態は参考と
して示したものであり、蛍光灯のような光源121と導
光体120とを有し、光源121からの光は導光体12
0を通して導かれるようにしたものであり、導光体12
0から射出された光は一方の面からの出射光は画像入力
部用に、他方の面からの出射光は画像出力部用として使
用される。
【0063】しかしながら、画像入力部のために出射し
た光も紙などの原稿表面に到達すれば該表面で反射され
一部は導光体を通って画像出力部を照射する照射光とし
て利用可能である。
【0064】従って、画像読み取りを行なわない時、た
とえばメモリーした画像を表示しているときは原稿上、
できれば文字等の描かれていない白紙上に画像入出力装
置を載置することでより一層、明るい表示画像を得るこ
とができる。 [実施形態3]図14は本発明の第3の実施形態を示す
画像入出力装置における画像入力部を示す画像入力部の
全体回路図、図15(a)は本実施形態中の1画素に相
当する各構成素子の平面図、および図15(b)はA−
B断面図である。図14においてS11〜S33は光電
変換素子で下部電極側をG、上部電極側をDで示してい
る。C11〜C33は蓄積用コンデンサ、T11〜T3
3は転送用TFTである。Vsは読み出し用電源、Vg
はリフレッシュ用電源であり、それぞれスイッチSW
s,SWgを介して全光電変換素子S11〜S33のG
電極に接続されている。スイッチSWsはインバータを
介して、スイッチSWgは直接にリフレッシュ制御回路
RFに接続されており、リフレッシュ期間はSWgがo
n、その他の期間はSWsがonするよう制御されてい
る。1画素は1個の光電変換素子とコンデンサ、および
TFTで構成され、その信号出力は信号配線SIGによ
り検出用集積回路ICに接続されている。本実施形態の
光電変換装置は計9個の画素を3つのブロックに分け1
ブロックあたり3画素の出力を同時に転送しこの信号配
線を通して検出用集積回路によって順次出力に変換され
出力される。また1ブロック内の3画素を横方向に配置
し、3ブロックを順に縦に配置することにより各画素を
2次元的に配置している。
【0065】図中破線で囲んだ部分は大面積の同一絶縁
基板上に形成されているが、このうち第1画素に相当す
る部分の平面図を図15(a)に示す。S11は光電変
換素子、T11はTFT、C11はコンデンサ、および
SIGは信号配線である。本実施形態においては、コン
デンサC11と光電変換素子S11とは特別に素子を分
離しておらず光電変換素子S11の電極の面積を大きく
することによりコンデンサC11を形成している。これ
は本実施形態の光電変換素子とコンデンサが同じ層構成
であるから可能で本実施形態の特徴でもある。また図中
破線A−Bで示した部分の断面図を図15(b)に示
す。また、画素上部にはパッシベーション用窒化シリコ
ン膜SiNが形成されている。
【0066】なお、この窒化シリコン膜は化学量論的で
あることは必ずしも要件でない。また、パッシベーショ
ン用として使用し得る膜であれば酸化シリコン膜や炭化
シリコン膜などの他の膜を使用しても良い。
【0067】また、図15(b)において、102はC
r等の下部電極、107はSiN等の絶縁層、104は
i型の光電変換半導体層、105はn型のホール注入阻
止層、106は上部電極である。
【0068】i型の光電変換半導体層104は水素を含
有するアモルファスシリコンが好適に使用され得る。し
かしながら、光電変換可能で、TFTを構成できる半導
体層であればそれ以外に微結晶を含むアモルファスシリ
コン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどの半導体材
料を用いても良い。更に、それら半導体材料には水素原
子が含有されることが好ましいが、これはハロゲン原子
が含有されているのでも良く、水素原子とハロゲン原子
の両方が同時に含有されていても良い。
【0069】図15(b)において、光電変換素子部の
裏面側(図中、下側)より原稿照射用光が原稿に照射さ
れ、その反射光が光電変換素子に入射される。
【0070】本実施形態の動作を図15(b)において
説明すれば、リフレッシュ動作においてホールを半導体
層104から上部電極106側に導くように電界を与
え、光電変換動作において半導体層104で発生したホ
ールを半導体層104内に留まらせ、電子を上部電極1
06側に導くように電界を与え、当該光電変換動作で半
導体層104に蓄積されたホールまたは上部電極側に導
かれた電子を検出する。
【0071】本実施形態では光電変換素子のG電極が共
通に接続され、この共通の配線を、スイッチSWsとス
イッチSWgを介してリフレッシュ用電源Vgと読み取
り用電源Vsの電位に制御しているため、全光電変換素
子を同時にリフレッシュ動作と光電変換動作に切り換え
ることができる。このため、複雑な制御をすることがな
く、1画素あたり1個のTFTで光出力を得ることがで
きる。
【0072】次に図14と図16によって本実施形態の
光電変換装置の動作について説明する。図16は本実施
形態の動作を示すタイミングチャートである。
【0073】はじめにシフトレジスタSR1およびSR
2により制御配線g1〜g3、s1〜s3にHiが印加
される。すると転送用TFT・T11〜T33とスイッ
チM1〜M3がonし導通し、全光電変換素子S11〜
S33のD電極はGND電位になる(積分検出器Amp
の入力端子はGND電位に設計されているため)。同時
にリフレッシュ制御回路RFがHiを出力しスイッチS
Wgがonし全光電変換素子S11〜S33のG電極は
リフレッシュ用電源Vgにより正電位になる。すると全
光電変換素子S11〜S33はリフレッシュ動作になり
リフレッシュされる。つぎにリフレッシュ制御回路RF
がLoを出力はスイッチSWsがonし全光電変換素子
S11〜S33のG電極は読み取り用電源Vsにより負
電位になる。すると全光電変換素子S11〜S33は光
電変換動作になり同時にコンデンサC11〜C33は初
期化される。この状態でシフトレジストSR1およびS
R2により制御配線g1〜g3、s1〜s3にLoが印
加される。すると転送用TFT・T11〜T33とスイ
ッチM1〜M3がoffし、全光電変換素子S11〜S
33のD電極はDC的にはオープンになるコンデンサC
11〜C13によって電位は保持される。しかしこの時
点では照射光は入射されていないため全光電変換素子S
11〜S33には光は入射されず光電流は流れない。こ
の状態で照射光がパルス的又は連続的に出射され原稿に
照射されると、その反射光がそれぞれの光電変換素子S
11〜S33に入射する。この光は原稿の画像の情報が
含まれている。この光により流れた光電流は電荷として
それぞれのコンデンサC11〜C33に蓄積され、入射
光の照射終了後も保持される。つぎにシフトレジスタS
R1により制御配線g1にHiの制御パルスが印加さ
れ、シフトレジスタSR2の制御配線s1〜s3への制
御パルス印加によって転送用TFT・T11〜T13、
スイッチM1〜M3を通してv1〜v3が順次出力され
る。同様にシフトレジスタSR1,SR2の制御により
他の光信号も出力される。これにより原稿上の2次元情
報がv1〜v9として得られる。静止画像を得る場合は
ここまでの動作であるが動画像を得る場合はここまでの
動作を繰り返す。
【0074】本実施形態では9個の画素を3×3に2次
元配置し3画素ずつ同時に、3回に分割して転送・出力
したがこれに限らず、例えば縦横1mmあたり5×5個
の画素を2000×2000個の画素を2次元的に配置
すれば40cm×40cmの画像入力部が得られる。
【0075】図17,図18は2000×2000個の
画素を2次元的に配置した例である。図17は画像入力
部の2辺に駆動用IC及び読み取り用ICを配置した例
であり、図18は画像入力部の4辺に駆動用IC及び読
み取り用ICを配置した例である。
【0076】またこのような非常に多くの画素をもつ大
面積の画像入力部を従来の光センサを用いた複雑な工程
では不可能であったが、本画像入力部の工程は各素子を
共通な膜で同時に形成しているため工程数が少なく、簡
易的な工程で済むため高歩留まりが可能で低コストで大
面積・高性能の画像入力部の生産を可能としている。ま
た、コンデンサと光電変換素子とが同じ素子内で構成で
き、実質上素子を半減することが可能でさらに歩留まり
を向上できる。
【0077】以上の説明から明らかなように、本発明の
第3の実施形態における光電変換素子は第3の実施形態
で示したものに限定するものではない。つまり第一の電
極層、ホールおよび電子の移動を阻止する絶縁層、光電
変換半導体層、第二の電極層があり、第二の電極層と光
電変換半導体層の間に光電変換半導体層へのホールの注
入を阻止する注入阻止層があればよい。また、以上説明
において、ホールと電子を逆にし構成してもよい。たと
えば注入阻止層はp層でもよい。この場合、第3の実施
形態において、電圧や電界の印加を逆にし、他の構成部
を構成すれば同様の動作となる。さらに光電変換半導体
層は光が入射して電子、ホール対を発生する光電変換機
能をもっていればよい。層構成も一層でなく多層で構成
してもよく、また連続的に特性が変化していてもよい。
【0078】同様にTFTにおいてもゲート電極、ゲー
ト絶縁膜、チャネル形成が可能な半導体層、オーミック
コンタクト層、主電極があればよい。例えばオーミック
コンタクト層はp層でもよく、この場合ゲート電極の制
御の電圧を逆にしてホールをキャリアとして使用すれば
よい。
【0079】また同様にコンデンサにおいても下部電
極、絶縁層を含んだ中間層、および上部電極があればよ
く、たとえば光電変換素子やTFTと特別分離しなくと
も各素子の電極部と兼用した構成でも良い。
【0080】またさらに絶縁基板も全て絶縁物である必
要はなく、導体もしくは半導体上に絶縁物が堆積された
ものでもよい。
【0081】また光電変換素子そのものに電荷を蓄える
機能もあるため特別なコンデンサ無しでも、ある一定期
間の光情報の積分値を得ることもできる。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の画像入出
力装置は、片面に2次元の画像入力用読み取り手段を配
置し、前記片面に対し裏側となる他面に2次元の画像出
力用表示手段を配置し、前記2次元の画像入力用読み取
り手段は、原稿を照明する2次元の第1照明手段と該原
稿を反射した光信号を電気信号に変換する2次元の光電
変換素子とを備え、前記2次元の画像出力用表示手段
は、2次元の画像を表示する光透過型表示素子と該光透
過型表示素子を照明する2次元の第2照明手段とを備え
ているようにし、前記2次元の第1及び第2照明手段
は、1次元のEL光源を2次元的に並列に配置されるも
のであり、装置全体を小型化且つ低コスト化できるだけ
でなく、EL光源は照明光の分布が非常に均一であるた
め、従来用いられていた光拡散層が不要となる。又、材
料として非常に薄い構造であるため装置の小型化が容易
である。更に、拡散層が不要であるので画像入力部及び
画像出力部に密着して配置する事が可能となり、強い強
度の照明を行う事が可能となる。
【0083】又、1次元状のEL光源を並列的に複数本
配置し、2次元状の照明手段を構成する事により、各々
の1次元状のEL光源を独立に照明する事が可能とな
り、読み取り手段及び照明手段に於いて、照明したい部
分のみを照明する事が可能となり、消費電力の節約及び
発熱量の低下を行う事が可能となる。
【0084】このように本発明に係わる照明手段は、小
型で且つ均一な照明を強い強度で照明する事ができ、更
に構成が簡単で且つ作製工程も簡略化できる。加えて、
照明したい部分のみを照明する事が可能であるので、低
消費電力で且つ安定した表示を行う事ができるディスプ
レイ装置、及び安定した画像読み取りを行う事ができる
画像読み取り装置を提供する事ができる。
【0085】更に画像入力面と画像出力面が異なるた
め、画像入力面を下向き且つ画像出力面を上向きの状態
で原稿上に置くことのみにより、読み取った画像情報を
リアルタイムで上面の画像出力面に表示することが可能
となり、使い勝手が非常に向上する。
【0086】また、本発明の画像入出力装置は、原稿を
照明する原稿照明手段と、ディスプレイを照明する照明
手段を同一な両面光源として構成することにより、装置
全体を更に小型化且つ低コスト化できる。
【0087】また、本発明の画像入出力装置の画像入力
部内の光電変換素子は、注入阻止層が一カ所のみで光の
入射量を検出することができ、プロセスの最適化が容易
かつ、歩留まりの向上かつ、製造コストの低減が可能
で、SN比の高い低コストの画像入力部を作成すること
ができる効果がある。また、第一の電極/絶縁層/光電
変換半導体層においてトンネル効果や、ショットキーバ
リアを利用していないため、電極材料は自由に選択で
き、絶縁層の厚さやその他の制御も自由度が高い。また
同時に形成する薄膜電界効果トランジスタ(TFT)お
よび容量素子とはマッチングが良く、同一膜構成のため
共通な膜として同時に形成可能でかつ光電変換素子、T
FT共に重要な膜構成は同一真空内で同時に形成可能で
ありさらに画像入力部を高SN化、低コスト化すること
ができる効果がある。またコンデンサも中間層に絶縁層
を含んでおり良好な特性で形成でき複数の光電変換素子
で得られた光情報の積分値を簡単な構成で出力できる高
機能の画像入力部が形成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明に係る第1の実施形態における断面斜視
図である。
【図2】上記第1の実施形態の動作状態を説明するため
の全体斜視図である。
【図3】上記第1の実施形態の動作状態を説明するため
の全体斜視図である。
【図4】上記第1の実施形態の動作状態を説明するため
の全体斜視図である。
【図5】上記第1の実施形態の動作状態を説明するため
の全体斜視図である。
【図6】上記第1の実施形態の動作状態を説明するため
の全体斜視図である。
【図7】第1の実施形態における動作を示すフローチャ
ートである。
【図8】第1の実施形態における画像処理動作を示すフ
ローチャートである。
【図9】第1の実施形態におけるメモリ内データの配列
図である。
【図10】第1の実施形態に搭載した照明装置を説明す
るための図である。
【図11】第1の実施形態に搭載した照明装置を説明す
るための図である。
【図12】本発明に係る第2の実施形態における断面斜
視図及び参考となる形態に係わる断面斜視図である。
【図13】第2の実施形態に搭載した照明装置を説明す
るための図である。
【図14】本発明に係る第3の実施形態における画像入
力部を示す回路図である。
【図15】第3の実施形態における画像入力部を示す平
面図、及びA−B断面図である。
【図16】第3の実施形態における画像入力部の動作を
示すタイミングチャートである。
【図17】第3の実施形態における画像入力部の200
0×2000個の画素を持つ検出器の実装図である。
【図18】第3の実施形態における画像入力部の200
0×2000個の画素を持つ検出器の実装図である。
【図19】従来の画像入出力装置の全体斜視図である。
【符号の説明】 1 画像出力部 2 バックライト 3 画像入力部 4 原稿読み取り用光源 5 仕切り部 6 キーボード部 7 回路部 8 筺体 9,10 空間 12 バックライト兼原稿読み取り用光源である両面光
源 20 原稿 30 画像入出力装置 S11〜S33 光電変換素子 RF リフレッシュ制御回路 M1〜M3 スイッチ SWs,SWg スイッチ T11〜T33 転送用TFT C11〜C33 コンデンサ SR1,SR2 シフトレジスタ IC 検出用集積回路