【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は突起電極を用いた表
面実装構造及び中間基板に係り、特に熱膨張率が異なる
二種類の基板を突起電極を用いて表面実装する突起電極
を用いた表面実装構造及び中間基板に関する。
【0002】近年、コンピュータ等の情報・通信の分野
においては、信号処理の高速化が要求されている。これ
に対応すべく、半導体チップを1個づつ配線基板に実装
していた従来の実装構造に代わり、システムを構成する
上で互いに関連する複数の半導体チップをひとつの基板
に予め実装したモジュール(マルチチップモジュール)
を作成し、これをマザーボードとしてのプリント基板上
に実装する方法が採用されている。
【0003】上記実装構造において、半導体チップを搭
載する基板としてはセラミック基板が一般に用いられて
おり、またセラミック基板とマザーボードとの接続は突
起電極(半田バンプ等)を用いて行っている。このよう
に材質の異なるセラミック基板とマザーボードとを突起
電極により接続する場合、熱膨張差に起因したストレス
が突起電極に印加されないよう構成する必要がある。
【0004】
【従来の技術】図7は、マルチチップモジュールを構成
するセラミック基板1をマザーボードとなるプリント基
板2に表面実装する従来の実装構造を示している。セラ
ミック基板1は多層セラミック基板であり、その上面に
は半導体チップ3が実装されている。また、セラミック
基板1には突起電極である半田バンプ4が接続されるバ
ンプパッド5が形成されている。この半導体チップ3と
バンプパッド5とは、セラミック基板1の内部に形成さ
れた内部配線により電気的に接続された構成とされてい
る。
【0005】また、プリント基板2は例えばガラス・エ
ポキシ製の基板であり、その上面には半田バンプ4が接
続されるバンプパッド6が形成されている。半田バンプ
4は、セラミック基板1に形成されたバンプパッド5と
プリント基板2に形成されたバンプパッド6との間に配
設され、これによりセラミック基板1はプリント基板2
上に表面実装され電気的に接続される構造とされてい
た。
【0006】ところで、半田バンプ4を用いてセラミッ
ク基板1をプリント基板2に実装する構造では、バンプ
接合時に半田バンプ4を溶融させるために加熱処理を行
う必要がある。しかるに、セラミック基板1とプリント
基板2とは熱膨張率が異なるため、上記加熱処理時にお
いてセラミック基板1とプリント基板2との間に熱膨張
差が発生する。
【0007】具体的には、セラミック基板1に対してプ
リント基板2の熱膨張率は高いため、セラミック基板1
の熱膨張に対してプリント基板2の熱膨張が大きくな
り、よって両基板1,2間に配設されている半田バンプ
4には水平方向(図中におけるX1或いはX2方向)に
ストレスが印加される。
【0008】そして、このストレスが半田バンプ4と各
バンプパッド5,6とを接合する接合力より大きくなっ
た場合には、半田バンプ4とバンプパッド5,6との間
で剥離が生じてしまう。よって、図7に示す従来の実装
構造では、実装時において十分な信頼性を得ることがで
きないという問題点があった。
【0009】そこで、セラミック基板1とプリント基板
2との熱膨張差に起因した半田バンプ4の剥離を防止す
るため、図8に示されるように、セラミック基板1とプ
リント基板2との間に形成されるバンプ形成エリアに樹
脂(アンダーフィルレジン)7を介装することが提案さ
れている。
【0010】このように、バンプ形成エリアにアンダー
フィルレジン7を介装することにより、アンダーフィル
レジン7はセラミック基板1及びプリント基板2に広い
面積で接合し、よって各基板1,2に熱膨張が発生する
ことを抑制する。よってセラミック基板1とプリント基
板2との間に配設された半田バンプ4に印加されるスト
レスを軽減でき、半田バンプ4とバンプパッド5,6と
の間に剥離が発生することを抑制することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、図8
に示すバンプ形成エリアにアンダーフィルレジン7を介
装する実装構造では、半田バンプ4に水平方向に印加さ
れるストレスを軽減することができる。
【0012】しかるに、アンダーフィルレジン7はバン
プ形成エリアに装填された後に樹脂収縮が発生する。即
ち、アンダーフィルレジン7は加熱され流動状態でバン
プ形成エリアに装填され、その後に冷却されることによ
り固化するが、この冷却時においてアンダーフィルレジ
ン7に樹脂収縮が発生する。この樹脂収縮は、樹脂成形
時において必ず発生するものである。
【0013】上記のようにアンダーフィルレジン7に樹
脂収縮が発生すると、セラミック基板1に対して機械的
強度の低いプリント基板2はアンダーフィルレジン7の
樹脂収縮に伴い変形し、よって図8に一点鎖線で示すよ
うにプリント基板2には反りが発生してしまう。
【0014】このプリント基板2に発生する反りは、半
田バンプ4に対して垂直方向(図中、矢印Z1,Z2で
示す方向)に印加させるストレスとして作用する。よっ
て、アンダーフィルレジン7を介装した構成では、半田
バンプ4に対し水平方向に印加されるストレスは軽減で
きるものの、垂直方向に印加されるストレスが増大し、
結果として半田バンプ4とバンプパッド5,6との間に
剥離が発生し、実装における信頼性が低下してしまうと
いう問題点があった。
【0015】更に、バンプ形成エリアにアンダーフィル
レジン7を介装する実装構造では、アンダーフィルレジ
ン7が接着剤と同等の機能を奏するため、セラミック基
板1とプリント基板2とはアンダーフィルレジン7によ
り強固に固定された状態となる。よって、メンテナンス
時等においてセラミック基板1をプリント基板2から取
り外そうとしてても、セラミック基板1をプリント基板
2から取り外す作業は困難となり、よってメンテナンス
性が悪いという問題点もある。
【0016】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、高い信頼性を得られる突起電極を用いた表面実装
構造及び中間基板を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、下記の手
段を講じることにより解決することができる。請求項1
記載の発明では、第1の回路基板を、この第1の回路基
板と熱膨張差を有した第2の回路基板上に第1及び第2
の突起電極を用いて表面実装する突起電極を用いた表面
実装構造において、前記第1の回路基板と前記第2の回
路基板との間に、各基板の熱膨張を緩和する熱膨張吸収
機構を有する中間基板を介装し、かつ、前記第1の回路
基板と前記中間基板とを電気的に接続する第1の突起電
極が配設される突起電極形成空間内に、前記第1の回路
基板と前記中間基板の熱膨張差により前記第1の突起電
極に印加されるストレスを抑制するアンダーフィルレジ
ンを介装したことを特徴とするものである。
【0018】また、請求項2記載の発明では、前記請求
項1記載の突起電極を用いた表面実装構造において、前
記第2の回路基板の熱膨張率と前記中間基板の熱膨張率
を略等しく設定したことを特徴とするものである。
【0019】また、請求項3記載の発明では、前記請求
項1または2記載の突起電極を用いた表面実装構造にお
いて、前記熱膨張吸収機構を前記中間基板内に形成した
空間部により構成したことを特徴とするものである。
【0020】また、請求項4記載の発明では、前記請求
項3記載の表面実装構造において、前記空間部の形成位
置を前記突起電極の形成位置と対向する位置に設定する
と共に、前記空間部の大きさを前記突起電極が接続され
る電極パッドの大きさよりも大きく形成したことを特徴
とするものである。
【0021】また、請求項5記載の発明では、前記請求
項1乃至4のいずれかに記載された突起電極を用いた表
面実装構造に用いる中間基板であって、熱膨張を吸収す
るため設けられた第1の孔部と、スルーホールとなる第
2の孔部とが形成された第1の基板層と、前記第1の基
板層を挟んで積層配設されており、夫々熱膨張を吸収す
るため設けられた第3の孔部と、スルーホールとなる第
4の孔部とが形成された一対の第2の基板層と、前記第
2の基板層を挟んで積層配設されており、夫々前記突起
電極が接続される電極パッドと、スルーホールとなる第
5の孔部とが形成された一対の表面基板層とを設けたこ
とを特徴とするものである。
【0022】また、請求項6記載の発明では、前記請求
項5記載の中間基板において、前記第1の基板層,前記
第2の基板層,及び前記表面基板層とを積層した状態
で、第2の孔部,第4の孔部,及び第5の孔部が連通し
てスルーホールを形成するよう構成し、該スルーホール
を介して各表面基板層に形成された電極パッドが電気的
に接続される構成としたことを特徴とするものである。
【0023】また、請求項7記載の発明では、前記請求
項5または6記載の中間基板において、前記第1の基板
層,前記第2の基板層,及び前記表面基板層とを積層し
た状態で、前記第1の基板層に形成された第1の孔部
と、前記第2の基板層に形成された第3の孔部とが、連
通状態を維持しつつ積層方向に対して異なる位置となる
よう構成したことを特徴とするものである。
【0024】更に、請求項8記載の発明では、前記請求
項7記載の中間基板において、前記第1及び第3の孔部
が、基板端面部まで連通状態を維持した構成としたこと
を特徴とするものである。
【0025】上記した各手段は、次のように作用する。
請求項1記載の発明によれば、第1の回路基板と第2の
回路基板との間に熱膨張率に相違があり、よって加熱時
等に第1の回路基板と第2の回路基板との間に熱膨張差
が発生しても、この熱膨張は中間基板に形成された熱膨
張吸収機構により吸収されるため、水平方向及び垂直方
向の双方向において第1及び第2の突起電極にストレス
が発生することを抑制できる。
【0026】また、第1の回路基板と中間基板の熱膨張
差により第1の突起電極に発生するストレスを抑制する
アンダーフィルレジンを突起電極形成空間内に介装する
ことにより、第1の突起電極に印加される特に水平方向
のストレスは軽減され、第1の突起電極に剥離が発生す
ることを防止することができる。
【0027】また、請求項2記載の発明によれば、第2
の回路基板の熱膨張率と中間基板の熱膨張率を略等しく
設定したことにより、第2の回路基板と中間基板との間
に配設される第2の突起電極にストレスが印加されるこ
とを防止でき、第2の突起電極に剥離が発生することを
防止することができる。
【0028】また、請求項3記載の発明によれば、熱膨
張吸収機構を中間基板内に形成した空間部により構成し
たことにより、中間基板はこの空間部形成位置において
は垂直方向に可撓変位可能な構成となる。よって、第1
或いは第2の回路基板に熱膨張差が存在してもこの熱膨
張差は中間基板により吸収することができ、第1及び第
2の突起電極に垂直方向のストレスが印加されることは
防止され、第1及び第2の突起電極に剥離が発生するこ
とを防止することができる。
【0029】また、請求項4記載の発明によれば、空間
部の形成位置を突起電極の形成位置と対向する位置とす
ることにより、突起電極にストレスが印加されることを
有効に防止することができる。即ち、空間部の形成位置
は最も中間基板の可撓量が多い部位であり、よってスト
レスが印加された場合に最もその影響が大きい突起電極
位置に空間部を形成することにより、突起電極にストレ
スが印加されることを有効に防止することができる。
【0030】また、空間部の大きさを突起電極が接続さ
れる電極パッドの大きさよりも大きく形成したことによ
り、ストレスが印加された場合に電極パッドが中間基板
から剥離することを有効に防止することができる。ま
た、請求項5記載の発明によれば、第1の孔部,第3の
孔部により中間基板を挟んで配設される各回路基板の熱
膨張を吸収することができ、よって突起電極に剥離が発
生することを防止することができる。また、第2の孔
部,第4の孔部,及び第5の孔部は協働してスルーホー
ルを形成するため、一対の表面基板層に夫々形成される
突起電極が接続される電極パッドをこのスルーホールを
介して電気的に接続することができる。即ち、中間基板
を挟んで配設される各回路基板の熱膨張を吸収しつつ、
電気的接続を行うことができる。
【0031】また、請求項6記載の発明によれば、第1
の基板層,第2の基板層,及び表面基板層とを積層した
状態で、第2の孔部,第4の孔部,及び第5の孔部が連
通してスルーホールを形成するよう構成し、このスルー
ホールを介して各表面基板層に形成された電極パッドが
電気的に接続される構成としたことにより、第1の基板
層,第2の基板層,及び表面基板層を夫々別個の構成と
しても、形成されるスルーホールにより各表面基板層に
形成された電極パッドを電気的に接続することが可能と
なる。よって、各表面基板層に形成される電極パッドを
簡単な構成で確実に接続することができる。
【0032】また、請求項7記載の発明によれば、第1
の基板層,第2の基板層,及び表面基板層とを積層した
状態で、第1の基板層に形成された第1の孔部と、第2
の基板層に形成された第3の孔部とが、連通状態を維持
しつつ積層方向に対して異なる位置となるよう構成した
ことにより、各孔部内に水分が存在しこれが実装時の加
熱により水分膨張したとしても、各孔部が連通された状
態であるため、水分膨張で発生した蒸気は各孔部を逃げ
道として外部に排出される。よって、水分膨張により中
間基板に損傷が発生することを確実に防止することがで
きる。
【0033】また、各層を積層した状態で各孔部が積層
方向に対して異なる位置となるよう構成されているた
め、垂直方向にストレスが印加されたとしても、中間基
板の可撓領域は確保されているため、中間基板を挟んで
配設される各回路基板の熱膨張を確実に吸収することが
できる。
【0034】更に、請求項8記載の発明によれば、前記
第1及び第3の孔部が基板端面部まで連通状態を維持し
た構成としたことにより、上記のように各孔部内に水分
が存在しこれが実装時の加熱により水分膨張したとして
も、各孔部は基板端面部まで連通状態を維持しているた
め、発生した蒸気の逃げ道は基板端面部まで確保されて
おり、よって発生した蒸気を確実に中間基板の外部に排
出することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面と共に説明する。図1乃至図3は、本発明の一実施
例である突起電極を用いた表面実装構造10を示してい
る。図1及び図2は表面実装構造10の断面図であり、
図3は表面実装構造10の平面図である。また、図1は
図3におけるA−A線に沿った断面図であり、また図2
は図3におけるB−B線に沿った断面図である。また、
以下の説明ではセラミック基板を用いたBGA(Ball Gr
id Array)表面実装モジュールに本発明を適用した例に
ついて説明する。
【0036】本実施例に係る表面実装構造10は、第1
の回路基板となるセラミック回路基板11と第2の回路
基板となるプリント回路基板12との間に中間基板13
を介装したことを特徴とするものである。また、セラミ
ック回路基板11と中間基板13とは第1の突起電極と
なる第1の半田バンプ14により接続され、プリント回
路基板12と中間基板13とは第2の突起電極となる第
2の半田バンプ15により接続されている。以下、各構
成要素について具体的に説明する。
【0037】セラミック回路基板11は多層セラミック
基板であり、その上面には半導体チップ(図示せず)が
実装されている。また、セラミック回路基板11には第
1の半田バンプ14が接続されるバンプパッド16が形
成されている。実装された半導体チップとバンプパッド
16とは、セラミック回路基板11の内部に形成された
内部配線により電気的に接続されている。
【0038】また、プリント回路基板12は例えばガラ
ス・エポキシ製の基板であり、その上面には第2の半田
バンプ15が接続されるバンプパッド17が形成されて
いる。このプリント回路基板12は、いわゆるマザーボ
ードとして機能する。尚、上記のセラミック回路基板1
1及びプリント回路基板12は、従来の実装構造に用い
ていたものと同一構成である。
【0039】また、第1及び第2の半田バンプ14,1
5は、例えばハンダボールまたは転写法等により形成さ
れている。第1の半田バンプ14は、セラミック回路基
板11或いは後述する中間基板13のいずれかに形成さ
れ、また第2の半田バンプ15はプリント回路基板12
或いは中間基板13のいずれかに形成されている。
【0040】ところで、上記したようにセラミック回路
基板11はセラミック製の回路基板であり、その熱膨張
係数は例えば6.5 〜7.0 ×10-6/℃である。また、プ
リント回路基板12は例えばガラス・エポキシ製の回路
基板であり、その熱膨張係数は例えば4.0 〜8.0 ×10
-5/℃である。
【0041】このように、セラミック回路基板11の熱
膨張係数とプリント回路基板12の熱膨張係数とは大き
く相違し、よってバンプ接合時に各半田バンプ14,1
5を溶融させるために加熱処理を行った場合にセラミッ
ク回路基板11とプリント回路基板12との間に熱膨張
差が発生する。
【0042】具体的には、セラミック回路基板11に対
してプリント回路基板12の熱膨張率は高いため、セラ
ミック回路基板11の熱膨張に対してプリント回路基板
12の熱膨張は大きくなる。よってセラミック回路基板
11とプリント回路基板12とを直接半田バンプにより
接合した場合には、両基板11,12間に配設されてい
る半田バンプにストレスが印加され剥離等の不都合が発
生してしまうことは前述した通りである。
【0043】そこで本実施例では、セラミック回路基板
11とプリント回路基板12との間に、各回路基板1
1,12の熱膨張差に起因したストレスを緩和する中間
基板13を配設したことを特徴とする。以下、中間基板
13の具体的構成について説明する。
【0044】中間基板13は、大略すると第1の基板層
18と、この第1の基板層18を挟んで配設された一対
の第2の基板層19A,19Bと、更にこの第2の基板
層19A,19Bを挟んで配設された一対の表面基板層
20A,20Bとにより構成されている。即ち、中間基
板13は、垂直方向上部より表面基板層20A,第2の
基板層19A,第1の基板層18,第2の基板層19
B,表面基板層20Bの順で積層された構成とされてい
る。
【0045】また、中間基板13を構成する各基板層1
8,19A,19B,20A,20Bは、プリント回路
基板12と同様の材料により形成されている(例えば、
ガラス・エポキシ製)。従って、プリント回路基板12
と中間基板13の熱膨張率は略等しい値となっている。
以下、各基板層18,19A,19B,20A,20B
の構成について夫々説明する。
【0046】第1の基板層18は、図1乃至図3に加え
図4に示すように、熱膨張を吸収するため設けられた第
1の孔部22と、スルーホール21(後に詳述する)と
なる第2の孔部23とが多数個整列して形成された構成
とされている。また、一対の第2の基板層19A,19
Bは夫々同一構成とされており、図1乃至図3に加え図
5に示すように、夫々熱膨張を吸収するため設けられた
第3の孔部24と、スルーホール21となる第4の孔部
25とが多数個整列して形成された構成とされている。
【0047】また、一対の表面基板層20A,20Bは
夫々同一構成とされており、図1乃至図3に加え図6に
示すように、スルーホール21となる第5の孔部26
と、第1或いは第2の半田バンプ14,15が接続され
る電極パッド27とが多数個整列して形成された構成と
されている。
【0048】この電極パッド27は例えば銅(Cu)等
の導電性膜により形成されており、第1或いは第2の半
田バンプ14,15が接続されるバンプパッド部28
と、このバンプパッド部28から第5の孔部26に向け
延出した延出部29とを一体的に形成した構成されてい
る。また、バンプパッド部28の上部には、半田バンプ
14,15との接合性を向上させるため、半田及び銅に
対し共に接合性の良好な金属材料によりメッキ膜30が
形成されている。
【0049】上記構成とされた第1の基板層18,第2
の基板層19A,19B,及び表面基板層20A,20
Bは、前記した順番で積層されて接合(例えば、接着に
より)されることにより中間基板13を形成する。各基
板層18,19A,19B,20A,20Bが積層され
た状態(以下、この積層された状態を積層状態という)
において、第1及び第2基板層18,19A,19Bに
形成されている孔部22,24は中間基板13内におい
て空間部を形成する。
【0050】また、積層状態において、第2の孔部2
3,第4の孔部25,及び第5の孔部26は連通するよ
う構成されている。この連通された各孔部23,25,
26内には導電性部材(例えば、銀。尚、導通を図らな
い場合には選択的に絶縁部材でも可)が充填されること
によりスルーホール21が形成される(図2参照)。
【0051】また、スルーホール21の上部は表面基板
層20Aに形成された電極パッド27の延出部29に電
気的に接続するよう構成されており、またスルーホール
21の下部は表面基板層20Bに形成された電極パッド
27の延出部29に電気的に接続するよう構成されてい
る。
【0052】従って、中間基板13の最上層に位置する
表面基板層20Aに形成された電極パッド27と、中間
基板13の最下層に位置する表面基板層20Bに形成さ
れた電極パッド27とは、スルーホール21を介して電
気的に接続された構成となる。よって、離間配設された
一対の表面基板層20A,20Bに形成された電極パッ
ド27を簡単な構成で確実に接続することができる。
【0053】また、第1の孔部22と第3の孔部24の
形成位置に注目すると、上記積層状態において、第1の
基板層18に形成された第1の孔部22と、第2の基板
層19A,19Bに形成された第3の孔部24とは、連
通状態を維持しつつ積層方向(垂直方向。即ち、図中矢
印Zで示す方向)に対して異なる位置となるよう構成さ
れている。
【0054】即ち、図1及び図3に示されるように、第
1の孔部22と第3の孔部24とは一部で重なり合い連
通するものの、完全には重なり合ってはおらず、その形
成位置がずれた構成となっている。更に、この第1及び
第3の孔部22,24は、中間基板13の端部まで形成
されている。
【0055】ここで、仮に中間基板13に形成された第
1の孔部22と第3の孔部24とが連通されておらず、
各孔部22,23が夫々密閉された構成を想定してみ
る。本実施例では、中間基板13として比較的高い吸水
性を有するガラス・エポキシ製基板を用いている。よっ
て、加熱時に中間基板13に吸水されていた水分が蒸発
し水分膨張(約1000倍に膨張する)すると、各孔部2
2,23が密閉された構成の中間基板13では水分の膨
張力により中間基板13が破損するおそれがある。
【0056】しかるに本実施例では、積層状態において
第1の孔部22と第3の孔部24とが連通する構成とさ
れており、かつ第1及び第3の孔部22,24は中間基
板13の端面部まで形成されている。従って、孔部2
2,24内に水分が存在しこれが実装時の加熱等により
水分膨張したとしても、第1の孔部22と第3の孔部2
4とが連通されているため、水分膨張で発生した蒸気は
第1及び第3の孔部22,24を逃げ道として中間基板
13の外部に排出される(排出される蒸気の流れの一例
を図1に破線の矢印で示す)。よって、水分膨張により
中間基板13に損傷が発生することを確実に防止するこ
とができる。
【0057】続いて、図1及び図2を主に用いて、上記
構成とされた中間基板13を用いてセラミック回路基板
11をプリント回路基板12に表面実装する場合におけ
る、各構成要素の作用について説明する。尚、以下の説
明では、第1の半田バンプ14はセラミック回路基板1
1のバンプパッド16に予め形成されており、また第2
の半田バンプ15は中間基板13に形成されたバンプパ
ッド部28に予め形成されているものとする。
【0058】セラミック回路基板11をプリント回路基
板12に表面実装するには、セラミック回路基板11と
プリント回路基板12との間に中間基板13を介装し、
更にセラミック回路基板11と中間基板13とを電気的
に接続する第1の半田バンプ14が配設される突起電極
形成空間内にアンダーフィルレジン31を介装する。そ
して、加熱処理を行うことにより第1の半田バンプ14
を中間基板13の表面基板層20Aに形成されたバンプ
パッド部28に接合すると共に、第2の半田バンプ15
をプリント回路基板12に形成されたバンプパッド17
に接合する。
【0059】上記したように、中間基板13はセラミッ
ク回路基板11と熱膨張率が異なる材質により形成され
ているため、上記加熱時にセラミック回路基板11と中
間基板13との間に熱膨張差が発生する。しかるに、本
実施例に係る実装構造10では、第1の半田バンプ14
が配設される突起電極形成空間内にアンダーフィルレジ
ン31が介装されている。このため、アンダーフィルレ
ジン31はセラミック回路基板11及び中間基板13と
広い面積で接合し、よってセラミック回路基板11と中
間基板13との間に配設された第1の半田バンプ14に
水平方向に印加されるストレスを軽減でき、第1の半田
バンプ14とバンプパッド16との間、及び第1の半田
バンプ14とバンプパッド部28との間で剥離が発生す
ることを抑制することができる。
【0060】一方、上記のように第1の半田バンプ14
が配設される突起電極形成空間内にアンダーフィルレジ
ン31を介装することにより、第1の半田バンプ14に
水平方向に印加されるストレスは軽減できるが、この構
成では新たにアンダーフィルレジン31が樹脂収縮する
ことにより第1の半田バンプ14に垂直方向(図中、矢
印Zで示す方向)に印加されるストレスが問題となる。
【0061】しかるに、中間基板13は第1及び第2の
基板層18,19A,19Bに熱膨張を吸収する第1及
び第3の孔部22,24が形成されており、この第1及
び第3の孔部22,24の形成位置は中間基板内におい
て空間部を形成する。従って、中間基板13はこの空間
部形成位置(即ち、第1及び第3の孔部22,24の形
成位置)においては垂直方向に可撓変位可能な構成とな
る。
【0062】よって、アンダーフィルレジン31の樹脂
収縮に起因して第1の半田バンプ14に垂直方向にスト
レスが印加されたとしても、このストレスは中間基板1
3が垂直方向に可撓変形することにより吸収することが
できる。これにより、第1の半田バンプ14に垂直方向
のストレスが印加されることはなくなり、第1の半田バ
ンプ14とバンプパッド16との間、及び第1の半田バ
ンプ14とバンプパッド部28との間で剥離が発生する
ことを防止することができる。
【0063】また、上記したように第2の基板層19
A,19Bに形成されている第3の孔部24は第1の基
板層18に形成された第1の孔部22より大きな径寸法
とされているが、本実施例ではこの大径とされた第3の
孔部24の形成位置が第1及び第2の半田バンプ14,
15の形成位置と対向するよう構成されている。更に、
第3の孔部24の径寸法は、第1及び第2の半田バンプ
14,15が接続されるバンプパッド部28の径寸法よ
り大きく設定されている。
【0064】上記構成とすることにより、第1の半田バ
ンプ14に印加される垂直方向のストレスをより有効に
防止することができる。即ち、径寸法の大きな第3の孔
部24の形成位置、換言すれば大きな空間部の形成位置
は最も中間基板13の可撓量が多い部位であり、よって
ストレスが印加された場合に最もその吸収率が良好な部
位である。
【0065】従って、このストレス吸収効率の良い第3
の孔部24の形成位置をストレスの影響が最も大きい各
半田バンプ14,15の形成位置と対向する位置とする
ことにより、各半田バンプ14,15にストレスが印加
されることを有効に防止することができる。
【0066】また、第3の孔部24(空間部)の大きさ
をバンプパッド部28の大きさよりも大きく形成したこ
とにより、ストレスが印加された場合においてバンプパ
ッド部28が表面基板層20A,20Bから剥離するこ
とを防止することができる。即ち、バンプパッド部28
の剥離が発生し易い位置はバンプパッド部28の外周位
置である。よって、第3の孔部24(空間部)の大きさ
がバンプパッド部28と等しいか、或いはそれより小さ
いとストレスは強度の弱いバンプパッド部28の外周部
に印加されてしまう。
【0067】しかるに、第3の孔部24の大きさをバン
プパッド部28の大きさよりも大きく形成することによ
り、ストレスがバンプパッド部28の外周部に印加され
ることを防止でき、バンプパッド部28の剥離を防止す
ることができる。一方、プリント回路基板12と中間基
板13との接続に注目すると、プリント回路基板12及
び中間基板13は共に同一材質により形成されており、
各基板12,13の熱膨張率は略等しくなっている。
【0068】よって、加熱処理を行っても各基板12,
13に発生する熱膨張差は小さく、第2の半田バンプ1
5にストレスが発生することはない。従って、プリント
回路基板12と中間基板13との接合に際しては、セラ
ミック回路基板11と中間基板13との接合構造と異な
りアンダーフィルレジンを配設する必要はない。
【0069】このようにプリント回路基板12と中間基
板13との接合においてアンダーフィルレジンが不要と
なることにより、一旦プリント回路基板12をセラミッ
ク回路基板11に接合した後においても、このプリント
回路基板12と中間基板13との接合においてセラミッ
ク回路基板11をプリント回路基板12から取り外す
(リプレイス)することが可能となり、これによりメン
テナンス性を向上させることができる。
【0070】尚、上記した実施例においては、第1の回
路基板としてセラミック回路基板11を用いると共に第
2の回路基板としてプリント回路基板12を用いた例に
ついて説明したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、熱膨張率の異なる複数(3枚以上の可能)の回路
基板を表面実装する際に広く適用できるものである。
【0071】また、本実施例においては、中間基板13
として第1の基板層18、第2の基板層19A,19
B、及び表面基板層20A,20Bを5層積層した構造
を示したが、中間基板13の構造はこの構造に限定され
るものではなく、層数は適宜設定すればよく、かつ各孔
部22〜26の形成位置及び大きさも各回路基板の熱膨
張差及び突起電極数により適宜選定すればよい。
【0072】
【発明の効果】上述した如く、本発明によれば次に述べ
る各種効果を実現することができる。請求項1記載の発
明によれば、第1の回路基板と第2の回路基板との間に
熱膨張率に相違があり、よって加熱時等に第1の回路基
板と第2の回路基板との間に熱膨張差が発生しても、こ
の熱膨張は中間基板に形成された熱膨張吸収機構により
吸収されるため、水平方向及び垂直方向の双方向におい
て第1及び第2の突起電極にストレスが発生することを
抑制できる。これにより、突起電極に剥離が発生するこ
とを防止でき、実装構造の信頼性を向上することができ
る。
【0073】また、第1の突起電極に印加される特に水
平方向のストレスが軽減されるため、第1の突起電極に
剥離が発生することを防止することができる。また、請
求項2記載の発明によれば、第2の回路基板と中間基板
との間に配設される第2の突起電極にストレスが印加さ
れることを防止でき、よって第2の突起電極に剥離が発
生することを防止することができる。
【0074】また、請求項3記載の発明によれば、熱膨
張吸収機構を中間基板内に形成した空間部により構成し
たことにより、中間基板はこの空間部形成位置において
は垂直方向に可撓変位可能な構成となり、よって第1或
いは第2の回路基板に熱膨張差が存在してもこの熱膨張
差は中間基板により吸収することができ、第1及び第2
の突起電極に垂直方向のストレスが印加されることは防
止され、第1及び第2の突起電極に剥離が発生すること
を防止することができる。
【0075】また、請求項4記載の発明によれば、空間
部の形成位置を突起電極の形成位置と対向する位置とす
ることにより、突起電極にストレスが印加されることを
有効に防止することができる。また、空間部の大きさを
突起電極が接続される電極パッドの大きさよりも大きく
形成したことにより、ストレスが印加された場合に最も
その影響が大きい位置において中間基板の可撓変位量を
十分に確保することができ、これによっても突起電極に
ストレスが印加されることを有効に防止することができ
る。
【0076】また、請求項5記載の発明によれば、第1
の孔部,第3の孔部により中間基板を挟んで配設される
各回路基板の熱膨張を吸収することができ、また第2の
孔部,第4の孔部,及び第5の孔部は協働してスルーホ
ールを形成するため、中間基板を挟んで配設される各回
路基板の熱膨張を吸収しつつ、電気的接続を行うことが
できる。
【0077】また、請求項6記載の発明によれば、第1
の基板層,第2の基板層,及び表面基板層を夫々別個の
構成としても、形成されるスルーホールにより各表面基
板層に形成された電極パッドを電気的に接続することが
可能となり、よって各表面基板層に形成される電極パッ
ドを簡単な構成で確実に接続することができる。
【0078】また、請求項7記載の発明によれば、孔部
内に水分が存在しこれが実装時の加熱により水分膨張し
たとしても、水分膨張で発生した蒸気は各孔部を逃げ道
として外部に排出されため、中間基板に損傷が発生する
ことを確実に防止することができる。
【0079】また、各層を積層した状態で各孔部が積層
方向に対して異なる位置となるよう構成されているた
め、垂直方向にストレスが印加されたとしても中間基板
の可撓領域は確保されているため、中間基板を挟んで配
設される各回路基板の熱膨張を確実に吸収することがで
きる。
【0080】更に、請求項8記載の発明によれば、各孔
部は基板端面部まで連通状態を維持し、よって発生した
蒸気の逃げ道は基板端面部まで確保されているため、発
生した蒸気を確実に中間基板の外部に排出することがで
きる。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明の第1実施例である実装構造の断面図
(図3におけるA−A線に沿う断面図)である。
【図2】本発明の第1実施例である実装構造の断面図
(図3におけるB−B線に沿う断面図)である。
【図3】本発明の第1実施例である実装構造の平面図で
ある。
【図4】表面基板層を示す平面図である。
【図5】第1の基板層を示す平面図である。
【図6】第2の基板層を示す平面図である。
【図7】従来の実装構造の一例を示す図である。
【図8】従来の実装構造の一例を示す図(アンダーフィ
ルレジン有り)である。
【符号の説明】 10 表面実装構造 11 セラミック回路基板 12 プリント回路基板 13 中間基板 14 第1の半田バンプ 15 第2の半田バンプ 16,17 バンプパッド 18 第1の基板層 19A,19B 第2の基板層 20A,20B 表面基板層 21 スルーホール 22 第1の孔部 23 第2の孔部 24 第3の孔部 25 第4の孔部 26 第5の孔部 27 電極パッド 28 バンプパッド部 29 延出部 30 メッキ膜