【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は基板上のCVD薄膜形成
を行うためのCVDリアクタ装置に係り、特に、基板の
所望する部分以外での薄膜形成を行わせず、デポ異物の
発生が少なく、チャンバクリーニングを必要としないた
め、スループットが高く装置稼働率の高い熱CVDに好
適なCVDリアクタ装置に関する。さらに、基板表面上
での反応のみをリアルタイムにモニタでき、またチャン
バクリーニングによるモニタ装置へのダメージがなく長
期間の経時劣化なしに安定してモニタが可能な、自動運
転に適用し易く生産性に優れた熱CVDに好適なCVD
リアクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】LSIの高集積化に伴い、LSI製造工
程はより高度な技術が要求されるようになっている。例
えば、素子−配線間あるいは各配線間を接続する配線設
計の困難性が増大するという問題に対しては、その解決
手段として多層配線技術が不可欠な技術となっている。
この場合、下層配線と、層間絶縁膜を介してその上方に
配設した上層配線とを接続するために、必要に応じて、
絶縁膜に微細な導通孔(以下、スル−ホ−ルと呼ぶ)を設
け、このスル−ホ−ルを導体で穴埋めする方法が取られ
ている。
【0003】このスル−ホ−ルを穴埋めする方法として
は、幾つかの方法が、知られているが、その中でもスル
−ホ−ル径が微細な場合にも穴埋め性の良好な方法の一
つとして、例えばタングステンのごとき金属の選択CV
D(Chemical Vapor Deposition: 化学的気相成長法)が
最も実用性ある方法として知られている。このタングス
テン(以下、Wと記す)のCVDには、全面成膜により基
板全面に被覆性の好い膜を成膜しそのまま配線として用
いる場合と、選択成膜によりスル−ホ−ルの部分のみ穴
埋めしその上にAl(アルミニウム)等の比抵抗の低い金
属材料を成膜する場合とがあるが、後者を例にとり以下
に述べる。
【0004】Wの選択CVDは、250℃以上に加熱した
試料基板上に六フッ化タングステン(WF6)及び水素(H
2)あるいは(SiH4)の混合ガスを導入、接触させて、下
記のいずれかの反応により、下地金属(ここではアルミ
ニウムの場合を示す)上にW膜を成長させる方法であ
る。
【0005】
【化1】 WF6+2Al→W+2AlF3 WF6+3H2→W+6HF 2WF6+3SiH4→2W+3SiF4+3H2 ………
(化1) ここでは試料基板として、例えばシリコンウエハを用
い、このウエハ表面に下地金属としてAlパタ−ンが形
成され、その上にSiO2等の絶縁膜が形成され、しかも
この絶縁膜には下地金属を露出させているスル−ホ−ル
パタ−ンが形成されている場合を例にとった。
【0006】この場合、SiO2等の絶縁膜上では、(化
1)の反応は起こらず、Wがスルーホール内に露出した
Al上にのみ選択的に成長し、スルーホールの穴埋めが
達成されることになる。なお、この種のWの選択CVD
に関連するものとしては、例えばジャーナル オブ エ
レクトロケミカル ソサイアティ、第131巻 (1984年) 1
427頁から1433頁 (J. Electrochem. Soc., 131, 1427
(1984))やECS日本支部第一回シンポジウム(1988)
「超LSI用CVD技術」予稿集、第48頁から第65頁に
記載されている。
【0007】なお、この種の従来技術としては特開昭64
-17424号公報、特開平4-226027号公報、特開平4-233221
号公報、特開平4-268724号公報、特開平4-294526号公報
等がある。
【0008】一方、近年LSIの高度化が進むに従っ
て、設備投資金額の肥大化、製造工程の増大化等により
生産コストの上昇が著しくなっている。生産コストの低
減には、自動化による人件費削減が有効と考えられてお
り、自動化を行うための必須技術であるモニタリング技
術の開発が進められている。なお、LSIの自動化技術
に関連するものとしては、例えば、インテグレイティッ
ド プロセシング フォーマイクロエレクトロニクス
サイエンス アンド テクノロジー、 IBMジャーナ
ル オブ リサーチ アンド デベロップメント、第36
巻 (1993年) 233頁(”Integrated Processing for Micr
oelectoronics Sience and Technology", IBM J. Res.
Develop. Vol. 36(2) p.233(1992))に記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記に示した選択CV
D法は、LSI配線の微細・多層化に対して有力な方法
であるが実用化する上での問題点も抱えている。それは
上記した選択的成膜における選択性は必ずしも完璧では
なく、膜が形成して欲しくないウエハの裏面にも金属が
成長することである。すなわち、ウエハを加熱するため
にリアクタ内に設けたサセプタは、ウエハと同じあるい
はそれ以上の温度に加熱されているため、CVD原料ガ
スがその表面に接するだけで容易に膜形成が生ずる。さ
らに、ウエハの裏面は絶縁膜に覆われておらず活性なシ
リコン面が露出しているため、原料ガスが接触すると成
膜反応が進行するのである。このような不要な膜形成
は、大抵、接着性が弱く剥がれ易いため、CVDリアク
タ内の異物発生、発塵の原因となり、処理プロセスの歩
留低下を招く。さらに、この不要な膜形成は、選択CV
Dだけの問題ではなく、全面CVDにおけるCVDリア
クタ内の異物発生、発塵による歩留り低下の原因にもな
っている。
【0010】このため、近年の枚葉方式のコールドウォ
ール型のCVD装置では、ウエハ裏面に形成した膜のエ
ッチングやチャンバクリーニングを一枚毎に行なうこと
が主流になりつつある。CVD前のリアクタ内の チャ
ンバクリーニングについては、1992年発行のConf. Pro
c. of Advanced Metallization for ULSI Applications
(1991, NJ & Tokyo;MRS)167〜172頁および249〜253頁
において記載されている。
【0011】しかしながら、CVD前のリアクタ内のチ
ャンバクリーニングは、チャンバ壁等、特にサセプター
等の加熱した部分へのプラズマダメージを与え、この場
合には上記のデポ異物ではなくリアクタ構成材料が分解
変質した異物を発生させるといった問題が新たに生ず
る。
【0012】一方、前述したように生産コスト削減を目
的とした自動無人運転化を行うためのプロセスモニタリ
ング技術の開発が進められており、本発明が対象とする
CVD工程では、主に質量分析計や発光分析計を用いた
反応ガスモニタや、赤外線放射温度計を用いたウエハ温
度モニタの適用が検討されている。しかし、従来のCV
Dリアクタではウエハ裏面やCVDリアクタ内での不要
な部分での膜形成が起こっているため正確なウエハ表面
上での反応をモニタすることは困難である。特に、選択
CVDではウエハ表面上での反応領域が極めて少なくウ
エハ裏面やCVDリアクタ内での不要な部分での成膜反
応量の方が圧倒的に多いため、ウエハ表面上での反応を
モニタすることは実質的に不可能である。また、通常赤
外線放射温度計をウエハ温度のモニタに用いる場合に
は、特開平4-130746に述べられているように、赤外線を
検知部に伝達するための石英性の導光体や透過窓が使わ
れるが、従来のCVDリアクタではチャンバクリーニン
グを行った際のプラズマダメージによる導光体や透過窓
の劣化に伴い赤外線の透過率が徐々に低下し、ウエハ温
度のモニタは実質的に不可能となる。
【0013】本発明は、上記ウエハ裏面やCVDリアク
タ内の不要な部分での膜形成が生じない、すなわち、チ
ャンバクリーニングを必要としない高スループット、高
稼働率のCVDリアクタ装置を提供することを目的とす
る。さらに、本発明のCVDリアクタと反応ガスモニタ
あるいはウエハ温度モニタを連結し、正確にウエハ表面
上での反応のみをリアルタイムにモニタし、長期間での
経時的なモニタ変動なしに安定してウエハ温度をモニタ
することにより、自動運転可能なCVDリアクタ装置を
提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、リアクタ内で反応性ガスにより基板表面
にCVD反応膜を形成するCVDリアクタ装置におい
て、上記リアクタ内に設置された上記基板表面側と上記
基板裏面側とに上記リアクタ内の空間を分離し、上記基
板表面側の空間に上記基板表面の大部分が接するように
上記基板表面の周辺部のみを抑えるための基板抑え部材
を有し、この基板抑え部材と上記基板表面周辺部の間に
僅かな隙間を設けて上記隙間のみを通して上記基板表面
側の空間と基板裏面側の空間を連通し、上記基板表面側
の空間のみに少なくともCVD原料ガスを含むガスを充
満し、かつ上記基板裏面側の空間にはCVD原料ガスを
含まない不活性ガス等の成膜に関与しないガスのみを上
記基板表面側の空間内の圧力よりも高い圧力になるよう
充満し、上記基板裏面側の空間に充満した上記CVD原
料ガスを含まない不活性ガス等の成膜に関与しないガス
を、上記隙間から低い圧力側の上記基板表面側の空間に
流出させて上記基板表面側のCVD原料ガスが上記基板
裏面および上記基板表面周辺部に接することを抑え、上
記基板を所望の温度に加熱する手段を設け、上記基板表
面側のCVD原料ガスの接する上記リアクタ内壁の表面
温度を、上記基板表面を除いて、水冷等の冷却手段を用
いて成膜下限温度以下にした第1の構成を採用した。
【0015】また、上記目的を達成するために、本発明
は、反応性ガスにより基板表面にCVD反応膜を形成す
るCVDリアクタ装置において、上記基板表面側から反
応性ガスを基板表面上に供給するガス導入手段と、上記
基板表面の大部分が露出するように上記基板周辺部を抑
えるためのリング状あるいは額縁状の基板抑え部材と、
上記基板抑え部材を上下に移動させる基板抑え部材移動
手段と、上記基板抑え部材に固定され、上記基板裏面を
外側から引っかけて上記基板を引き上げるための複数個
の引き上げピンと、上記基板抑え部材の下方に位置し、
上記基板の外側で上記基板を囲むように上記基板抑え部
材と接触するリング状あるいは額縁状のストッパと、上
記基板抑え部材とストッパの接触部を気密シ−ルするシ
ール手段と、上記ストッパの内側に固定され、上記基板
が上記基板抑え部材により押し下げられたとき上記基板
を破損させることのない力で下方から押し上げて、自身
は下方に屈曲する複数個のバネ状の基板支持ピンと、及
び、上記反応性ガスが上記基板裏面側に流れ込むのを防
ぐため、上記基板裏面側の、上記ストッパの内壁面、上
記基板抑え部材の下面及び上記リアクタの底部で囲まれ
る空間に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を有
し、上記リアクタ外から移送されてきた上記基板を上記
リアクタ内に保持するとともに、上記反応性ガスによる
CVD成膜領域を上記基板の周辺部を除く上記基板表面
のみに限定させて成膜するようにした第2の構成を採用
した。
【0016】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第2の構成において、上記基板表面を除いて、上記リ
アクタ内壁、上記ガス導入手段表面、上記基板抑え部材
の上面等の、反応性ガスの接する表面の温度を、水冷等
の冷却手段により成膜反応下限温度以下にしてある第3
の構成を採用した。
【0017】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第1の構成において、上記基板を加熱する手段が、上
記CVDリアクタ外部にあるランプ等の加熱光源からの
放射光を透過窓を通して上記基板へ直接照射する第4の
構成を採用した。
【0018】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第1の構成において、上記基板を加熱する手段が、上
記CVDリアクタ外部にあるランプ等の加熱光源からの
放射光を透過窓を通して照射し加熱されるサセプタを有
し、このサセプタを上記基板裏面側に設置して上記基板
に接触させて、サセプタから熱伝導および熱輻射させる
ようにした第5の構成を採用した。
【0019】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第5の構成において、上記サセプタが、上記基板より
も大きなサイズを有し、かつ、上記引き上げピンにより
上記基板のみ引き上げられるようにするため、上記基板
引上げピンの上下において上記基板引上げピンに接触し
ないための切欠き部が設けてあるとともに、上記基板支
持ピン上に設置してある第6の構成を採用した。
【0020】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第1の構成において、上記基板を加熱する手段が、上
記基板に接触して上記基板裏面側に設置し抵抗加熱等に
より加熱されるヒータステージより成り、基板へ熱伝導
及び熱輻射させるようにした第7の構成を採用した。
【0021】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第7の構成において、上記ヒータステージが、上記基
板よりも大きなサイズを有し、かつ、上記基板引き上げ
ピンにより上記基板のみ引き上げられるようにするた
め、上記基板引上げピンの上下において上記基板引上げ
ピンに接触しないための切欠き部を設けてあるととも
に、上記基板支持ピン上に設置してある第8の構成を採
用した。
【0022】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第1または第2の構成において、上記CVDリアクタ
を他の処理リアクタと連結させた第9の構成を採用し
た。
【0023】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第1または第2の構成において、上記CVDリアクタ
を反応ガスモニタと連結し、上記基板表面での反応のみ
をモニタできる機能を付加した第10の構成を採用した。
【0024】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第1または第2の構成において、上記CVDリアクタ
を基板温度モニタと連結し、経時変化なしに上記基板の
温度をモニタできる機能を付加した第11の構成を採用し
た。
【0025】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第1または第2の構成において、上記CVDリアクタ
を反応ガスモニタおよび基板温度モニタと連結し、上記
基板表面での反応のみをモニタすると共に経時変化なし
に基板温度をモニタできる機能を付加した第12の構成を
採用した。
【0026】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第10または第12の構成において、上記CVDリアクタ
に連結された反応ガスモニタが、上記CVDリアクタ内
のガスの一部を導入するガス導入管と差動排気された質
量分析計で構成されている第13の構成を採用した。
【0027】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第11または第12の構成において、上記CVDリアクタ
に連結された基板温度モニタが、上記基板裏面から放射
される赤外光を一端面側で受光して他端面側に伝達する
導光体と、該赤外光を取り込んで、その赤外光の強度を
検出するとともに、その検出結果から上記基板の温度を
算出する算出手段で構成されている第14の構成を採用し
た。
【0028】上記目的を達成するために、本発明は、上
記第11または第12の構成において、上記CVDリアクタ
に連結された基板温度モニタが、上記CVDリアクタの
内部を大気と遮断すると共に上記基板裏面から放射され
る赤外光を上記CVDリアクタ外に取り出すための透過
窓と、該透過窓を透過した赤外光を集光するための集光
レンズと、該赤外光を取り込んで、その赤外光の強度を
検出するとともに、その検出結果から上記基板の温度を
算出する算出手段で構成されている第15の構成を採用し
た。
【0029】
【作用】上記第1の構成により、シリコンウエハ等のウ
エハ表面の所望する部分のみに高選択でCVD膜を成長
させることができるため、スルーホールなどの微細接続
孔のCVD穴埋め処理において、成膜工程全般における
膜剥がれに起因する異物不良低減に多大の効果がある。
また、CVD前のチャンバークリーニングが不要となる
ことから、スループットの向上が図れ、チャンバーから
の発塵も低減でき長時間の連続運転が可能になることか
ら稼働率が向上する。
【0030】上記第2の構成により、選択性の低下を防
止するため、成膜の必要のないウエハの裏面、側面及び
ウエハ表面の端部に供給するガスの流路と成膜が必要な
ウエハ表面に供給するガスの流路を分け、かつウエハの
みがCVD反応の起こる温度以上にしてあり、かつウエ
ハの側面を通ってウエハ裏面に廻り込もうとする反応性
ガスがウエハ裏面側の不活性ガスによりパージされ、ウ
エハ側面や裏面に吸着できないので、ウエハの表面側に
流入されるWF6やSiH4等のCVD反応ガスは実質
上、ウエハ端部を固定するウエハ抑え部材より内側のウ
エハ表面部にしか吸着しない。
【0031】上記第3の構成により、ウエハ以外ではC
VD反応の生ずる温度にはならないので、CVD反応は
ウエハ表面側の所望する領域のみで起こり、ウエハ端
部、及びリアクタ内表面等で起こらない。このことは、
不必要なCVD反応が抑制されることを意味しており、
従来のウエハ全面の成膜における選択性を向上させるこ
とができる。
【0032】上記第4の構成により、ウエハへの直接光
照射による場合は、ウエハ内の温度分布を均一にするた
めのランプ等の光学系の調整が難しい代わりにプロセス
中のウエハ温度を応答性良く変えることができる。
【0033】上記第5あるいは6の構成においては、加
熱手段がCVDリアクタ外部にあるランプ等の加熱光源
からの放射光を透過窓を通して照射し加熱されたウエハ
裏面側に設置しウエハに接触したサセプタからの熱伝導
及び熱輻射であることから、サセプタを用いた場合は温
度を変化させるのは難しいが比較的簡単に温度分布を均
一にすることができる。
【0034】上記第7あるいは8の構成においては、加
熱手段がウエハに接触してウエハ裏面側に設置した抵抗
加熱等により加熱されたヒータステージからの熱伝導及
び熱輻射としていることから、ヒータステージを用いた
場合は温度を変化させるのは難しいが比較的簡単に温度
分布を均一にすることができる。
【0035】上記第9の構成により、さらに、前処理室
等複数の処理室に対するウエハの搬送もできるため、将
来必要とされる薄膜成膜工程の複合化、連続自動運転化
に寄与できる。
【0036】上記第10あるいは13の構成により、ウエハ
以外ではCVD反応の生ずる温度にはならず、CVD反
応がウエハ表面側の所望する領域のみで起こるため、モ
ニタの対象が実際にデバイス製作上必要となる反応進行
モニタの情報を得た上で、リアルタイムのプロセス条件
制御や製品ウエハの品質保証が可能となり、プロセス中
のバラツキを低減できるため、自動運転化を推進し生産
性向上に寄与できる。
【0037】上記第11あるいは14、あるいは15の構成に
より、ウエハ表面以外での不要な膜形成が起こらずチャ
ンバクリーニングを行う必要がなくなることから、プラ
ズマダメージによる温度モニタ部品の劣化に伴う経時変
化なしに上記基板の温度をモニタできるため、リアルタ
イムのプロセス条件制御や製品ウエハの品質保証が可能
となり、プロセス中のバラツキを低減できるため、自動
運転化を推進し生産性向上に寄与できる。
【0038】上記第12の構成により、反応進行モニタと
温度をモニタが同時にモニタできるため、より精緻なリ
アルタイムのプロセス条件制御や製品ウエハの品質保証
が可能となり、プロセス中のバラツキを低減できるた
め、自動運転化を推進し生産性向上に寄与できる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面に基づ
いて説明する。
【0040】〔実施例1〕図1は本発明の第1実施例に
おける第1のCVDリアクタ(直接光照射)の要部の断面
を示す説明図である。
【0041】図1に示すように、基板としてはシリコン
のウエハ2が用いられ、このウエハ2は、ウエハ2の表
面が上側に向けられ、リング状のウエハ抑え部材5によ
りウエハ2の上面周辺部が抑えられ、また、後述する、
3個のウエハ支持ピン6によりウエハ2の下面周辺部が
固定されてCVDリアクタ(反応室)9の内部に設置され
ている。
【0042】1は水冷機構を有するガスシャワ−で、ガ
スシャワ−1の吹き出し孔1aよりCVDガスがウエハ
2に吹き付けられ、該CVDガスは排気口から排気され
る。
【0043】ウエハ抑え部材5は、その上面にウエハ引
き上げロッド3が固設され、このウエハ引き上げロッド
3はシリンダ機構からなる上下機構4a(4bはガスシ
ャワー上下機構、両者とも図中では省略してある)によ
って上下させられることにより上下に動かすことができ
る。また、ウエハ抑え部材5にはウエハ引き上げピン7
が3個取り付けられており、ウエハ抑え部材5を引き上
げることによりウエハ2は引き上げピン7の上に乗って
ウエハ抑え部材5と共に上方に持ち上げられる。
【0044】ウエハ支持ピン6はバネ材からなり、ウエ
ハ抑え部材5が下方に降りてきたときのストッパを兼ね
るリアクタ底部リング部10に固定されている。リアク
タ底部リング部10のウエハ抑え部材5との接触面には
Oリングシール11が設置され、接触面の気密を保持す
るようになっている。
【0045】リアクタ9の外部下方には図示しない加熱
光源が設置され、この加熱光源によりリアクタ9下方の
光照射窓8を通してウエハ2は光照射加熱される。
【0046】ウエハ2の下面、ウエハ抑え部材5の下
面、及び光照射窓8とストッパを兼ねるリアクタ底部リ
ング10の内面により囲まれて空間Euが構成され、こ
の空間Euを不活性ガスで満たすための不活性ガス導入
パイプ12が設けられている。
【0047】次に、ウエハ2の支持部分について説明す
る。
【0048】図2及び図3は第1のCVDリアクタ装置
(光直接照射)におけるパージガス流路を示し、図2はウ
エハ引き上げピン7、ウエハ抑え部材5とウエハ2の位
置関係を示す断面斜視図、図3はウエハ支持ピン6a、
ウエハ抑え部材5とウエハ2の位置関係を示す断面斜視
図である。
【0049】高選択性を確保するためには、前述したよ
うにウエハ表面以外でのCVD反応を抑制する必要があ
る。そのために、ウエハ2裏面を不活性なArガスによ
りパージすることによって、CVDガスがウエハ2裏面
に侵入しその部分で膜成長が起こることの抑制を図って
いる。ここでは、ウエハ引き上げピン7をウエハ抑え部
材5に溶接して一体化させてある。
【0050】リアクタ底部リング部10には、ウエハ抑
え部材リング5と接触する位置にOリング11が配設さ
れ、ウエハ2裏面部側の空間Euとウエハ2表面部側の
空間Eoのシール性が向上されている。そして、図2及
び図3に示すように、パージArガスの流路をウエハ抑
えリング5に設けた隙間d(例えば0.25mm)の突起5aの
間に限定し、ウエハ2表面部側に供給されるCVDガス
がウエハ2裏面側に廻り込む確率を小さくしてある。な
お、この効果については評価結果で後述する。
【0051】図4は図3と異なる変形例を示すもので、
ウエハ引き上げピン、ウエハ抑え部材とウエハの位置関
係を示す断面斜視図で、この図において、6bはウエハ
支持ピンであり、その他の構成は前記実施例と同様であ
る。
【0052】上述したウエハ2への直接光照射による加
熱方法とは異なる場合、すなわちウエハサセプタを用い
た第2のCVDリアクタ装置の例を図5ないし図7に示
し、また、ヒータステージを用いた第3のCVDリアク
タ装置の例を図8ないし図10に示してあり、加熱手段
が異なる以外は全て図1と同様である。
【0053】図5は第2のCVDリアクタ装置を示す
図、図6及び図7は第2のCVDリアクタ装置(サセプ
タ光照射)におけるパージガス流路を示し、図6はウエ
ハ引き上げピン7、ウエハ抑え部材5とウエハ2の位置
関係を示す断面斜視図、図7はウエハ支持ピン6、ウエ
ハ抑え部材5とウエハ2の位置関係を示す断面斜視図で
ある。
【0054】これらの図において、13はサセプタで、
サセプタ13は、CVDリアクタ9外部にあるランプ等
の加熱光源からの放射光を光照射窓8を通して照射し加
熱される。このサセプタ13はウエハ2裏面側に設置さ
れ、かつウエハ2に接触させられており、サセプタ13
からウエハ2に熱伝導及び熱輻射させるようにしてあ
る。またサセプタ13は、ウエハ2よりも大きなサイズ
を有し、かつ、基板引き上げピン7によりウエハ2のみ
引き上げられるよう基板引き上げピン7の上下において
ウエハ引き上げピン7に接触させないための切欠き部1
3aが設けられてあるとともに、ウエハ支持ピン6上に
設置されている。なお、その他の構成は上記第1のCV
Dリアクタ装置と同様である。
【0055】図8は第3のCVDリアクタ装置を示す説
明図、図9及び図10は図8に示す第3のCVDリアク
タ装置(ヒータステージ)におけるパージガス流路を示
し、図9はウエハ引き上げピン7、ウエハ押さえ部材5
とウエハ2の位置関係を示す断面斜視図、図10はウエ
ハ支持ピン6、ウエハ抑え部材5とウエハ2の位置関係
を示す断面斜視図である。
【0056】これらの図において、14はヒータステー
ジで、ヒータステージ14は抵抗加熱等により加熱され
る。ヒータステージ14はウエハ2裏面側に設置され、
かつウエハ2に接触させられており、ヒータステージ1
4からウエハ2に熱伝導及び熱輻射させるようにしてあ
る。またヒータステージ14は、ウエハ2よりも大きな
サイズを有し、かつ、基板引き上げピン7によりウエハ
2のみ引き上げられるよう基板引き上げピン7の上下に
おいてウエハ引き上げピン7に接触させないための切欠
き部14aが設けられてあるとともに、ウエハ支持ピン
6上に設置されている。この第3のCVDリアクタ装置
の場合、前記第1、第2のCVDリアクタ装置と異なり
光照射窓は設けらておらず、リアクタ9下方は閉鎖され
ている。なお、その他の構成は上記第1のCVDリアク
タ装置と同様である。
【0057】次に、本発明におけるCVDリアクタ装置
を用い、W膜をウエハ2上のスル−ホ−ル内にのみ選択
的に成膜するための工程(図12(a))及びウエハ全面に
成膜するための工程(図12(b))について説明する。
【0058】図11は実施例の実験を行うために使用し
たCVDリアクタ装置を示す説明図、図12(a)はW膜
をウエハ2上のスルーホール内にのみ選択的に成膜する
ための工程図、図12(b)はウエハ2全面に成膜するた
めの工程図、図13ないし図15には、それに伴うウエ
ハ2の搬送におけるCVDリアクタ9内での上下機構の
位置関係を示す説明図である。
【0059】CVDリアクタ装置は、図11に示すよう
に、ウエハ搬送室17を中心に、ゲート弁24を介し
て、手前にロード/アンロード室16、右に前処理室1
5、左にCVD室(CVDリアクタ)9を有する構成であ
る。CVDリアクタ9は、反応ガスのモニタの可能な四
重極質量分析計(QMS)18を備えている。19はコン
ダクタンス調整バルブ、20はターボ分子ポンプ、21
はロータリーポンプ、22はRF電源、23はQMS電
源本体、24はゲートバルブ、25はウエハフォークで
ある。
【0060】図12(a)、(b)にて、成膜を行なう前に
まずCVDリアクタ9に隣接して設けられている前処理
室15において前処理を行なう。この前処理はウエハ2
表面を清浄にするために行う。すなわち、Alの自然酸
化膜を除去してAl配線とW膜の接触抵抗を低減するた
め、及び絶縁膜表面に存在する金属性汚れや活性点を除
去あるいは安定化することにより絶縁膜上でのW膜の成
膜を防ぐために行う。図12(a)の前処理では、ハロゲ
ンガスここではBCl3のプラズマでウエハを処理するこ
とにより達成される(S1〜S6)。一方、全面CVDにおい
ては、特に選択性を考慮する必要がないため、Arガス
のみのプラズマでウエハ2を処理することにより達成さ
れる(S21〜S26)。前処理後ウエハ2を大気に曝すことな
く、CVDリアクタ9に搬送する(S7、S27)。
【0061】次に、搬送されたウエハ2をCVDリアク
タ内で受取り固定する方法について、説明する。
【0062】まず、図13に示すように、ウエハ2は搬
送レベル(搬送面)Lで前処理室15からウエハフォ−ク
25に乗せられて反応室(CVDリアクタ)9内に水平搬
送される。次に、図14に示すように、ガスシャワー1
とウエハ持ち上げロッド3を上下機構4aと4bを用い
て上昇させることにより、ウエハ2はウエハ引き上げピ
ン7にウエハ2の端部の一部を支えられ搬送レベルLよ
り引き上げられる。これによりウエハフォ−ク25を反
応室9外部の所定の位置に戻すことが出来る。次に、図
15に示すように、ガスシャワ−1とウエハ持ち上げロ
ッド3を下降させるとウエハ2はウエハ支持ピン6の上
に設置される。さらにウエハ持ち上げロッド3を下降さ
せると、ウエハ持ち上げロッド3に取り付けられたウエ
ハ抑え部材5がウエハ2の表面端部をバネ機構により押
圧し、ウエハ2を図1で示したごとく反応室9内に固定
設置することができる。なお、ここで使用したウエハ2
は、Siウエハ上に形成したAl配線上にプラズマCVD
等により絶縁膜(SiO2)を成膜した後、フォト・エッチ
ング工程により直径0.5μm(深さ1.2μm)のスルーホー
ルを多数個開口させたテストウエハを用いた。
【0063】そして、ウエハ2を固定設置後、リアクタ
9内を十分真空排気した後(S8)、不活性ガスであるAr
ガスを図1の不活性ガス導入パイプ12及びガスシャワ
ー1よりそれぞれ流量50sccm、60sccm導入する(S9)。反
応室9内の圧力は排気量を調節することにより、2.7 P
aに保持する。なお、Arガスは前述したようにウエハ2
側面と裏面に反応性ガスが接触するのを防ぐため及び反
応性ガスを希釈してウエハ2表面での膜厚均一性を向上
するために用いる。
【0064】次に加熱光源を点灯しウエハ2を230℃ま
で加熱した後(S10)、反応性ガスとしてWF6ガスを5sc
cm、SiH4ガスを4sccmの流量でガスシャワー1よりウ
エハ2に吹きかける(S11)。これにより、W膜が、ウエ
ハ2のスル−ホ−ル上にのみ選択成膜し(S12)、スル−
ホ−ルを埋め込むことができるとともに、本実施例で用
いたウエハ2の側面及び裏面は、Siが露出した活性な
表面で通常W膜が成膜する表面であるのにもかかわら
ず、本実施例ではウエハ2の側面及び裏面には全くW膜
が成膜しなかった。また、走査型電子顕微鏡(SEM)に
よりウエハ表面の様子を観察したが、スルーホールには
十分良好にWが埋め込まれているのが確認されたばかり
か、絶縁膜上には全くWの粒子が観測されず、選択性が
極めて良好であることを確認した。
【0065】次に、本発明によるCVDリアクタ装置の
性能評価を行ったのでこれについて説明する。
【0066】本発明CVDリアクタ装置の特徴であるウ
エハ2表面のみへの成膜が、実際にどの程度のレベルで
行なわれているのかを調べるために以下の性能評価を行
った。
【0067】(1)本発明リアクタ内での反応量の評価 ウエハ2以外の部分でのCVD反応量を図11に示した
四重極質量分析計(以下QMSと略す)18を用いて評価
した。
【0068】用いたサンプルは、全面成膜ではSiベア
ウエハを用い、選択成膜では上記したスルーホール付ウ
エハを用い、成膜条件は全く同じに行なった。また、ウ
エハ上に全く成膜させないためのウエハとして、全面に
熱酸化によって形成したSiO2付きのSiウエハを用い
た。この熱酸化で形成したSiO2表面は表面欠陥がな
く、原理的にはウエハ表面上で成膜する部分が全くない
ため、仮にQMS18で反応が検出された場合にはウエ
ハ表面以外で反応した成分と考えられる。
【0069】選択成膜では、図12(a)に示したよう
に、前処理室15でBC13/Ar=5/100sccm(BC1
3、Arそれぞれの流量が、5sccm、100sccmであるこ
とを表わす),1.3Paの条件下において、150W,3min
のプラズマ処理を行った。ただし、BC13前処理後は、
加熱処理をさらに実施しないと成膜ラグタイムが増加す
る。そこでこのウエハをCVD室9に入れて350℃、3m
inの加熱処理をした後、CVDを実施した。選択性を確
保するためにCVDガスの導入はWF6を5sec先行させ
た後SiH4を流した。また全面成膜では、図12(b)に
示したプロセスで成膜した。さらに、熱酸化によって形
成したSiO2上への空デポでは、前処理を行なわずに上
記選択成膜と同じCVD条件で行なった。
【0070】まず、熱酸化膜によるSiO2ウエハを用い
て、QMS18における分析管内の反応による反応ガス
成分あるいは電気的なノイズ成分を明らかにするため
に、ウエハ加熱を行なわず、すなわち成膜反応は全くな
くCVD原料ガスが分析管内に入った状態でのSiF3+
イオンの量をQMS18により測定した。次に、ランプ
を点灯しウエハを230℃に加熱して、SiF3+の量を測
定し、リアクタ9内での反応量を測定した。次に、比較
のためにSiウエハ及び、選択性評価用ウエハを用い、
全面及び選択CVD時のSiF3+量についても測定し
た。
【0071】このようにして得たリアクタ9内のCVD
反応量を評価した結果を図16に示してある.ところ
で、CVD反応は次式のいずれかで表される。
【0072】
【化2】 WF6+2SiH4 ⇒ W+2SiHF3+3H2 …… (化2)
【0073】
【化3】 2WF6+3SiH4 ⇒ 2W+3SiF4+6H2 …… (化3) したがって、反応生成物SiF4あるいはSiHF3がイオ
ン化したSiF3+をモニタすることにより反応の有無を
判断することができる。図16よりわかるように全面C
VDでのSiF3+の相対ピーク強度が104、選択CVD
時が5×102であるのに対し、SiO2ウエハでのピーク強
度は1.1であり、これはウエハ加熱無しの場合のピーク
強度1とほぼ等しくノイズレベルと考えられる。
【0074】これにより、ウエハを除くリアクタの内
壁、ウエハ支持部等の、リアクタ内部での反応は、全面
CVDの場合のウエハでの反応量の1/104以下、選択C
VDの場合のウエハ反応量の1/102以下に抑制されてい
ると言える。
【0075】さらに上記の評価実験における成膜時のS
iF3+ピーク強度の時間変化を図17および図18に示
してある。図17は全面成膜時のSiF3+ピーク強度の
時間変化を示す説明図、図18は選択成膜時のSiF3+
ピーク強度の時間変化を示す説明図である。選択成膜時
では、前処理を行なった後に加熱処理を行なっても成膜
開始までの遅れ時間が発生していることが分かる。
【0076】(2)ウエハ裏面へのArガス供給量とウエ
ハ裏面への膜堆積の評価 図19はウエハ2の裏面側に流すArガス供給量を変化
させた時のウエハ2裏面での膜堆積の状態を示す説明図
である。ここでは、CVDの条件が変化しないよう、ウ
エハシャワー1から流す希釈Arガス流量(Ar(上)と略
記する)とウエハ2裏面に流すArガス供給量(Ar(下)と
略記する)を合わせたトータルArガス流量が一定となる
流量条件で、ウエハ裏面へのArガス供給量を変化させ
た。
【0077】この結果を示す図19によると、CVDガ
スを導入した直後はQMS分析管内での反応分に相当す
るピーク強度の変化は観測されるが、時間の経過に伴っ
たウエハ2裏面側での成膜に対応するピーク強度の増加
分はほとんど検出されない。すなわち、Ar(上)/Ar
(下)=60/50(sccm)の流量条件下ではウエハ2裏面側で
の膜堆積は観測されない。
【0078】図20、図21は、流量条件を夫々、Ar
(上)/Ar(下)=80/30(sccm)、Ar(上)/Ar(下)=100
/10(sccm)とウエハ裏面側のArガスパージ量を減らし
ていった時のピーク強度の変化を示す説明図である。こ
の図20及び図21に示すように、ウェハ裏面側のAr
ガスパージ量の低減に伴い、徐々に裏面側の堆積反応量
が増加している。この評価で用いたSiO2付ウエハは熱
酸化によって形成したため、ウエハ裏面も完全にSiO2
で覆われており、CVD後に装置から取り出したウエハ
を目視した限りでは成膜した痕跡がなく、したがってウ
エハ裏面側の空間Eu において唯一高温となるウエハ支
持ピン6に成膜したものと予測される。
【0079】上記の評価から、ある程度の流量で不活性
ガスによるパージを行なえば、本発明のCVDリアクタ
装置では完全にウエハ裏面側への膜堆積が抑制されるこ
とが明らかとなった。ただし、Ar流路断面積とAr流量
から計算すると、ガス流量が50(sccm)の時、ウエハ表
面にはウエハ抑え部材5とSiウエハの隙間から約330m
/secの勢いでArガスが流れることとなり、膜厚分布へ
の影響について次に検討した結果を述べる。
【0080】 (3)ウエハ表面に成膜したW膜厚分布の評価 上記の評価において、Ar(下)流量をある程度増加すれ
ば完全にウェハ裏面への膜堆積を抑えられることを示し
たがその反面、Ar(下)流量を増加することによる膜厚
分布の低下が予測される。そこで、上記Ar(下)流量の
影響を調べるため、全面CVDを行った。ここで、ウエ
ハ2はSi基板を用い、プラズマ前処理は、全面成膜で
あるので図12(b)に示したAr100sccmのみでスパッタ
エッチを実施し、成膜時間は20minとした。
【0081】膜厚分布の測定は、触針式段差計により行
なった。Wの段差は、成膜後のW膜上にエレクトロワッ
クスでマスクし、W膜をH2O2でエッチングした後、ワ
ックスをトリクロロメタン(クロロホルム)により除去す
ることで、形成した。ワックスによるマスクの間隔は、
ウェハ周辺部は1mmとし、それ以外は20mmとした。
【0082】図22は全面成膜ウエハの膜厚分布のパー
ジArガス流量依存性を示す説明図である。横軸はオリ
フラに平行な軸におけるウエハ2中央からの距離を示
し、縦軸は膜厚分布の平均値に対するバラツキを示し
た。図22から明らかなように、膜厚分布は、裏面Ar
ガスの流量が増えるほど悪くなる傾向にあり、裏面Ar
ガス流量10sccmで±2%、50sccmでは±8%(5インチ
ウエハ2において直径120mm以内の領域での膜厚分布の
標準偏差)となり、予想通り膜厚分布が低下した。しか
し、本実施例におけるウエハ2表面とウエハ押さえ部材
5間のAr流出隙間がd=0.25mmあり、この隙間dのギャ
ップを小さくしてArパージ流量を減らすことにより、
膜厚分布の向上が図れるものと予測される。さらに、加
熱ランプの光照射強度分布によるウエハ2の温度分布の
影響も含んでおり、これらの改善によりさらに上記膜厚
分布を向上出来るものと考えられる。しかし、本実施例
はWの選択CVDについて述べたが、プロセス条件(例
えば、ガス流量条件、リアクタ内圧力)が変わると最適
なギャップも変わって来るため、本実施例で示したd=
0.25mmという値が特別な意味を持つ値ではない。
【0083】図23はウエハエッジ部の膜厚分布を示す
説明図である。ウエハ抑え部材5の端はウエハ2の端か
らおよそ1.3mmにあると考えられる。膜厚の分布はウエ
ハ端からおよそ2mmでほぼ完全に立ち上がっており、こ
のデータを見るかぎりウエハエッジ部でパージArによ
りCVDガス濃度が薄くなりエッジ部の膜厚が薄くなる
という問題は生じてない。パージArのエッジ部のW膜
厚への影響は問題にならない程度であることが確認され
た。
【0084】 (4)連続成膜における選択性破れの処理枚数依存性評価 本発明によるCVDリアクタ装置では、ウエハ2表面以
外での不要な膜堆積が生じないことを既に示した。すな
わち、本CVDリアクタがチャンバクリーニングなしに
連続処理が可能であることを意味している。そこで、チ
ャンバのクリーニングなしに連続成膜を行った際のリア
クタ性能の劣化を加速的に評価した。成膜条件の詳細及
びウエハ2の流れについては図25の表に示した。ここ
では、このリアクタ性能の劣化が、ウエハ2の連続処理
における熱酸化膜(以後SiO2と略す)上での選択性破れ
によるW粒子発生個数の増加であると定義した。ここで
は、1枚あたり通常の10倍の時間でSiベアウエハを用
いて全面成膜したウエハ2を100枚連続で処理するとい
った加速的な処理を、SiO2上への選択成膜の間に入れ
評価し、全体で1011枚の成膜を行った。異物個数の測定
評価では、あらかじめ異物数の測定済みの熱酸化膜付き
ウエハ2を用いた。SiO2上デポでの成膜条件は、選択
成膜において成膜量が0.4μmとなるような条件に設定
した。全面成膜にはSiベアウエハを用い、W膜の接着
性を高めるためにSi還元反応を1分間行った後SiH4還
元による全面成膜を20分行った。
【0085】図24は選択性の破れの成膜枚数依存性を
示す説明図である。横軸にチャンバのクリーニングをせ
ずに成膜を行った延べの成膜枚数及び積算成膜量を示
し、縦軸は全面成膜100枚毎に成膜処理を行った酸化膜
表面上の0.3μm以上の異物数を表す。図24中、初期
値は成膜処理前の酸化膜上の異物数であり、ウエハ2に
よってバラツキはあるが、およそ2〜18個のレベルであ
った。これに対し、成膜後の異物数は20〜60個の値を示
し、ほぼ一定のレベルであった。この値はバックグラウ
ンドレベルとほぼ同じである。ここで云う、バックグラ
ウンドレベルとは、成膜による異物の付着ではなく、ウ
エハハンドリングやウエハ2をガスに曝すことにより生
じた異物数の平均値である。ウエハを真空ピンセットで
ウエハケースから別のウエハケースに移すウエハハンド
リングは1回、ガスに曝す処理については、実際の成膜
ガスで3回、Arガスで1回行った結果、バックグラウン
ドレベルは34個/ウエハであった。
【0086】上記に対し、実際に成膜した場合の異物数
の平均値は48個/ウエハであった。従って、上記のバッ
クグラウンドレベルを差し引いた、すなわち純粋に成膜
によって付着したと考えられる発生異物数は14個/ウエ
ハとなり、5インチウエハ上におけるLSIチップ数の
1/5程度であり、許容限度内と考えられる。さらに、
この値はウエハの処理枚数に依存せず概ね一定であるこ
とから、CVDリアクターのクリーニングなしでも異物
が増加しないことを示している。
【0087】今回の加速的に行った連続成膜がクリーニ
ングを必要とせずに1000枚まで可能であったことを通常
の選択成膜プロセスでの処理枚数に置き換えると以下の
ようになる。ここでは、仮にウエハ面積の1/100の領
域への選択成膜を考える。加速試験での1枚の全面成膜
では、20分で1.2μmの膜が堆積し、これは0.4μmの膜
厚を2minで成膜する選択成膜に換算すれば、成膜量で3
00枚に、成膜時間で10枚に相当する。したがって、1000
枚の連続成膜は、成膜量で300000枚、成膜時間では1000
0枚の選択成膜がチャンバクリーニング無しに連続処理
できると見積もれる。上記の見積もりでは、ウエハ面積
の1/100の領域への選択成膜を仮定したが、実際の一
般に行われる微細スルーホールへのタングステン埋込み
を目的とした選択成膜では、微細スルーホールの開口面
積がウエハ面積の1/1000以下になることが推定され、
上記の見積もり以上の枚数において連続成膜できるもの
と考えられる。以上から、本発明によるCVDリアクタ
装置が1枚毎のクリーニングを必要とせず、それに起因
するスループットの低下に対し十分な効果のあることが
確認できた。さらに、時間的制約上連続処理1000枚まで
しか評価出来なかったが、実験終了後のチャンバ内部を
目視観察した限りでは、なお継続的な連続処理が可能で
あると考えられる。
【0088】以上、本発明の実施例を述べてきたが、本
発明は上述したWの選択成膜の場合に限らず、Al、M
o、Cu等のメタルの選択CVD工程に適用できる事はも
ちろん、ウエハの側面や裏面に成膜を望まないブランケ
ットCVD(全面CVD)工程に対して、メタル膜、絶縁
膜、半導体膜の熱CVD、さらに成膜反応の律速過程が
表面の熱反応である限りプラズマCVDであっても適用
できることはもちろんである。
【0089】〔実施例2〕次に、本発明によるCVDリ
アクタ装置を用いた場合には、その特徴であるウエハ2
表面のみでしか反応しないことを活かして、成膜反応モ
ニタを接続することにより、従来には得られなかった効
果を調べた実施例を以下に述べる。すなわち、本発明に
よるCVDリアクタ装置では、実際にデバイス製作上必
要となる情報が得られるため、リアルタイムにモニタし
て、このモニタデータをプロセス条件制御に利用した
り、または製品ウエハの品質保証に用いることにより、
プロセス中のバラツキ低減や、自動運転化の推進により
生産性向上に寄与できることを以下に示す。また、チャ
ンバクリーニングの必要がないことから、プラズマダメ
ージによる部品劣化に伴う経時変化がないため、温度モ
ニタを本発明のリアクタ装置へ適用した場合、プロセス
条件制御や製品ウエハの品質保証が可能となることも以
下に述べる。
【0090】図26は、本発明におけるCVDリアクタ
装置の反応ガスモニタと制御系を連結した第2、第3の
実施例のCVD装置図である。
【0091】本図は先に本発明のCVDリアクタがウエ
ハ表面以外の不要な部分に成膜が起こらないことを説明
するために示した図11とほぼ同じ構成であるが、本図
では図11に加え、反応ガスモニタである四重極質量分
析計(QMS)18からのモニタデータを制御用コンピュ
ータ35に伝達し、反応状態に応じてバルブ開閉制御ユ
ニットを用い、ガス(WF6)導入開閉バルブ34の駆動
制御を行っている。さらに図26では、所定のウエハ温
度に安定制御するために、ファイバーケーブル27を経
由した赤外放射温度計26からのウエハ温度モニタデー
タを用いて、ランプ制御電源32によって加熱ランプ3
1の強度をコントロールしている。
【0092】また、図27は、本発明におけるCVDリ
アクタ装置と制御系を連結した第4の実施例のCVD装
置図であるが、ウエハ温度モニタの方式がファイバーケ
ーブル27を用いず、ウエハ加熱を図8に示すヒータス
テージ14を用いて行った以外は図26と同じ構成であ
る。
【0093】先ず、成膜した後の個々のウエハ間におけ
る膜厚のバラツキが抑えられることを、W膜をウエハ全
面に成膜する工程を例にとって説明する。
【0094】先のSiH4ガスの還元反応とは異なり、こ
こで対象とするH2ガスの還元によるCVD反応は次式
のように表される。
【0095】
【化4】WF6+H2 ⇒ W+6HF …… (化4) そこで、反応生成ガスであるHFをモニタすることによ
り、W膜の成長状況を把握することができる。図28
(a)は、従来の反応ガスモニタを用いない場合のCVD
工程図であり、(b)は本発明において反応ガスモニタを
用いた場合のCVD工程図である。従来方法の工程を説
明した図28(a)は、先の図12(b)において示した工
程と還元ガスがSiH4からH2に変わった事以外は殆ど
同じである。しかし、本発明の工程である図28(b)で
は、W成膜中に反応ガスモニタによりHFガスをHF+
としてモニタし、制御用コンピューター35でHF+イ
オン強度を積算し、その積算量が最初に設定した値とな
ったところで、バルブ開閉ユニットおよび制御用コンピ
ューター35によりガス導入開閉バルブ34を閉じてW
F6の導入を停止することで、常に所望した成膜量が得
られるように制御している部分が、従来と異なってい
る。この成膜中の反応ガスをモニタした結果を図29に
示す。
【0096】図29は、本発明の実施例におけるCVD
中のHF+ピーク強度の時間変化を示した図であり、W
F6ガスを導入してもすぐには成膜反応は開始せず、あ
る程度の遅れ時間の後に反応が開始していることが分か
る。この遅れ時間を成膜遅れ時間と呼ぶ。さらに、予め
設定した値とイオン強度積分量が等しくなったところで
WF6ガスの導入を停止したが、速やかに反応が停止し
ていることも分かる。
【0097】ここで、QMS18からのデータを受け取
っている制御用コンピューター35では、実際にWF6
ガスが導入される前からHF+ピーク強度のノイズレベ
ルを算出するための測定を開始しており、WF6ガスが
導入された後のHF+ピーク強度から上記ノイズを引い
た上で積分演算を行っている。本実施例における成膜反
応量に相当するイオン強度積分量を図29の網掛け部分
に示した。
【0098】本発明の膜厚バラツキを抑える効果を実証
するために、従来の単にCVD原料ガスの導入時間を成
膜時間として成膜した場合の膜厚バラツキと、本発明の
反応ガスモニタによる制御を行って成膜した場合の膜厚
バラツキを比較した。
【0099】図30は、成膜遅れ時間が変化するように
意図的に表面酸化膜エッチング前処理時間を変化させた
場合のウエハ上で、成膜時間を変化させた場合の成膜時
間と膜厚の関係を示す図であり、図31は、上記と同じ
ものをイオン強度積分量と膜厚の関係に置き換えた場合
の図である。ここで、従来の成膜時間(原料ガスの導入
から停止までの時間を成膜時間とした)だけで膜厚を制
御しようとした場合には、図30に示されたように、成
膜前のウエハ表面状態の違い(ここでは、エッチング前
処理時間の違い)により大きく膜厚が変動するのに対
し、本発明のイオン強度積分量による膜厚制御を行った
場合には、図31に示されたように、約2%程度の精度
で膜厚バラツキが抑えられることが実証できた。
【0100】次に、リアクタに温度モニタを導入した場
合、従来のリアクタに適用した場合と比較して、本発明
のリアクタではチャンバクリーニングの必要がないこと
から、プラズマダメージによる部品劣化に伴う経時変化
がないことを以下に述べる。〔実施例1〕において図
1、図5、図8に示したリアクタ構造に対して、ウエハ
温度モニタを連結するための改造を行った後の本発明の
CVDリアクタ装置の第1から第4の実施例のリアクタ
断面図を図32から図35に示した。
【0101】本発明のウエハ温度モニタでは、ウエハ裏
面からの赤外放射光を石英製ロッド28で集光してリア
クタ外に導出する方法、及び直接赤外線透過窓30を通
してレンズで集光する方法を用いた。
【0102】図32及び図33に示した光照射によるウ
エハ加熱では、石英製ロッド28は直径1.5mmの石英棒
を1回曲げたものを用い、受光端部がCVDの原料ガス
や反応生成ガス(図示せず)に接触することを防ぐため
のパージArガスの導入口12に接続された管状の遮光
カバー29により保護されている。また、この管状のカ
バーは温度測定のノイズとなる照射光が石英ロッド28
の側面より入射することを防ぐ働きがある。石英製ロッ
ド28は直径1mmのファイバーケーブル(図示せず)に
直接接続され、これにより、ウエハからの放射光は放射
温度計26に伝送される。ここで得られたウエハ温度の
データは、放射温度計26(図26に示す)に接続され
たランプ制御電源32に入力され、加熱ランプ31から
の照射強度が所定のウエハ温度になるようにフィードバ
ック制御するのに用いられる。
【0103】また、図34に示したヒータステージ14
によるウエハ加熱では、加熱ランプ31によるウエハ温
度モニタの配置上の制約がないことから直状の石英製ロ
ッド28を用い、特に照射光によるノイズを抑える必要
性がないことから遮光カバーも設けていない。さらに、
ヒータステージ14によるウエハ加熱による図35に示
した方法では、石英製ロッド28を用いずに、ウエハ裏
面からの赤外放射光を直接赤外線透過窓30を通してレ
ンズで集光する方法を用いた。
【0104】次に図29に示した成膜条件において、H
2ガスの還元によるWの全面成膜を行い、その時に表示
される赤外線温度計26の読みを処理枚数を追って変化
していく様子を図36に示した。ここでは、同時に同じ
赤外線温度計26を従来方式の市販装置に適用し、全く
同じ成膜条件でWの全面成膜を行った時の赤外線温度計
26の読みを比較して示した。ただし、従来方式の市販
装置では、本発明のリアクタとは異なり、ウエハ表面以
外にも成膜が起こるため、ウエハを1枚処理する度にチ
ャンバークリーニングを行った。
【0105】図36から明らかなように、従来方式の市
販装置では1枚目(初期性能)の成膜後のチャンバクリ
ーニングからウエハ表示温度が低下し、4、5枚目まで
著しく、その後は緩やかな低下が観測されたのに対し、
本発明のリアクタ装置では、全くウエハ表示温度の低下
は見られなかった。従来方式での低下は、ウエハ2裏面
から放射される赤外光の集光面となる石英製ロッド28
の端面が、チャンバクリーニング中のプラズマダメージ
によって徐々に粗くなり、集光効率が低下したためと考
えられる。実際にこの評価を行った後に石英製ロッド2
8の端面を目視したところ、本発明のリアクタ装置に導
入した石英製ロッド28では全く劣化がなかったのに対
し、従来方式の石英製ロッド28では端面部が白く曇っ
ているのが観測された。
【0106】さらに、上記で評価した赤外線温度計の初
期性能と、本発明のリアクタと従来のリアクタで20枚
の成膜処理を行った後の性能を比較した。この結果を図
37に示す。従来方式のリアクタ装置に導入した石英製
ロッド28では、端面部が白く曇ったために集光効率が
低下したため実際のウエハ温度よりも低く表示するよう
になっただけではなく、端面部の表面の粗れにより、ウ
エハ裏面からの放射光以外からの散乱光を拾い易くなっ
たために測定下限温度が上昇している。これに対し、本
発明のリアクタ装置に接続した赤外放射温度計では、ウ
エハの処理後も初期性能と全く変わらない性能が得られ
ている。
【0107】上記のように、本発明のリアクタ装置では
チャンバクリーニングを必要としないため、リアクタ内
に導入したモニタに用いる部品がプラズマダメージによ
る劣化を伴わないため、経時変化なしに安定してプロセ
ス状態(ここではウエハ温度)をモニタすることが可能
となる。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によれば、シリコンウエハ表面の所望する部分のみに
高選択でCVD膜を成長させることができるため、スル
−ホ−ルなどの微細接続孔のCVD穴埋めが必要なLS
Iや計算機等の多層プリント板等の多層配線の信頼性向
上に寄与することができる。また、CVD反応室内部を
含め、不要な部分での膜形成を防止できるため、CVD
成膜工程全般における膜剥がれに起因する異物不良低減
にも多大の効果が有る。またCVD前のチャンバークリ
ーニングが不要となることから、スループットの向上が
図れ、チャンバーからの発塵も低減でき長時間の連続運
転が可能になることから稼働率が向上する。
【0109】請求項2記載の発明によれば、選択性の低
下を防止するため、成膜の必要のないウエハの裏面、側
面及びウエハ表面の端部に供給するガスの流路と成膜が
必要なウエハ表面に供給するガスの流路を分け、かつウ
エハのみがCVD反応の起こる温度以上にしてあり、か
つウエハの側面を通ってウエハ裏面に廻り込もうとする
反応性ガスがウエハ裏面側の不活性ガスによりパージさ
れ、ウエハ側面や裏面に吸着できないので、ウエハの表
面側に流入されるWF6やSiH4等のCVD反応ガスは
実質上、ウエハ端部を固定するウエハ抑え部材より内側
のウエハ表面部にしか吸着しない。
【0110】請求項3記載の発明によれば、ウエハ以外
ではCVD反応の生ずる温度にはならないので、CVD
反応はウエハ表面側の所望する領域のみで起こり、ウエ
ハ端部、及びリアクタ内表面等で起こらない。このこと
は、不必要なCVD反応が抑制されることを意味してお
り、従来のウエハ全面の成膜におけるウエハ表面以外の
リアクタ内壁やサセプタ表面で前記した反応によって生
じる活性物質の量を低減でき、結果として選択性を向上
させることができる。
【0111】請求項4記載の発明によれば、ウエハへの
直接光照射による場合は、プロセス中にウエハ温度を応
答性良く変えることができる。
【0112】請求項5、6及び7記載の発明によれば、
加熱手段がCVDリアクタ外部にあるランプ等の加熱光
源からの放射光を透過窓を通して照射し加熱されたウエ
ハ裏面側に設置しウエハに接触したサセプタからの熱伝
導及び熱輻射であることから、比較的簡単に温度分布を
均一にさせやすいという特徴がある。
【0113】請求項8、9及び10記載の発明によれ
ば、加熱手段がウエハに接触してウエハ裏面側に設置し
た抵抗加熱等により加熱されたヒータステージからの熱
伝導及び熱輻射としていることから、比較的簡単に温度
分布を均一にさせやすいという特徴がある。
【0114】請求項11記載の発明によれば、さらに、
前処理室等複数の処理室に対するウエハの搬送もできる
ため、将来必要とされる薄膜成膜工程の複合化、連続自
動化に寄与するところ大である。
【0115】請求項12及び14記載の発明によれば、
実際にデバイス製作上必要となる情報のみを得、リアル
タイムにプロセス条件制御や製品ウエハの品質保証が可
能となり、プロセス中のバラツキを低減できるため、自
動運転化を推進し生産性向上に寄与できるという特徴が
ある。
【0116】請求項12及び15記載の発明によれば、
ウエハ以外ではCVD反応の生ずる温度にはならず、C
VD反応がウエハ表面側の所望する領域のみで起こるた
め、モニタの対象が実際にデバイス製作上必要となる反
応進行モニタの情報を得た上で、リアルタイムのプロセ
ス条件制御や製品ウエハの品質保証が可能となり、プロ
セス中のバラツキを低減できるため、自動運転化を推進
し生産性向上に寄与できるという特徴がある。
【0117】請求項13、16及び17記載の発明によ
れば、ウエハ表面以外での不要な膜形成が起こらずチャ
ンバクリーニングを行う必要がなくなることから、プラ
ズマダメージによる温度モニタ部品の劣化に伴う経時変
化なしに上記基板の温度をモニタできるため、リアルタ
イムのプロセス条件制御や製品ウエハの品質保証が可能
となり、プロセス中のバラツキを低減できるため、自動
運転化を推進し生産性向上に寄与できるという特徴があ
る。
【0118】請求項14記載の発明によれば、反応進行
モニタと温度をモニタが同時にモニタできるため、より
精緻なリアルタイムのプロセス条件制御や製品ウエハの
品質保証が可能となり、プロセス中のバラツキを低減で
きるため、自動運転化を推進し生産性向上に寄与できる
という特徴がある。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明におけるCVDリアクタ装置の第1の実
施例を示す断面図である。
【図2】第1のCVDリアクタ装置におけるパージガス
流路での、ウエハ引き上げピン、ウエハ抑え部材とウエ
ハの位置関係を示す断面斜視図である。
【図3】第1のCVDリアクタ装置におけるパージガス
流路での、ウエハ支持ピン、ウエハ抑え部材とウエハの
位置関係を示す断面斜視図である。
【図4】第1のCVDリアクタ装置におけるパージガス
流路での、図3と異なるウエハ支持ピン、ウエハ抑え部
材とウエハの位置関係を示す断面斜視図である。
【図5】本発明におけるCVDリアクタ装置の第2実施
例を示す断面図である。
【図6】第2のCVDリアクタ装置におけるパージガス
流路での、ウエハ引き上げピン、ウエハ抑え部材とウエ
ハの位置関係を示す断面斜視図である。
【図7】第2のCVDリアクタ装置におけるパージガス
流路での、ウエハ支持ピン、ウエハ抑え部材とウエハの
位置関係を示す断面斜視図である。
【図8】本発明におけるCVDリアクタ装置の第3実施
例を示す断面図である。
【図9】第3のCVDリアクタ装置におけるパージガス
流路での、ウエハ引き上げピン、ウエハ抑え部材とウエ
ハの位置関係を示す断面斜視図である。
【図10】第3のCVDリアクタ装置におけるパージガ
ス流路での、ウエハ支持ピン、ウエハ抑え部材とウエハ
の位置関係を示す断面斜視図である。
【図11】本発明におけるCVD装置およびQMSシス
テムを接続した概要図である。
【図12】(a)は本発明の実施例の選択CVDにおける
工程図である。(b)は本発明の実施例の全面CVDにお
ける工程図である。
【図13】本発明のCVDリアクタ装置における搬送方
法を示し、CVDリアクタにウエハフォークを挿入した
状態の説明図である。
【図14】本発明のCVDリアクタ装置における搬送方
法を示し、ウエハを引き上げた状態の説明図である。
【図15】本発明のCVDリアクタ装置における搬送方
法を示し、CVD中あるいはその前後においてウエハを
下げた状態の説明図である。
【図16】本発明のCVDリアクタ内部での反応量の比
較を示す説明図である。
【図17】本発明の実施例におけるCVD中のSiF3+
ピーク強度の時間変化を示し、選択CVDを行った時の
説明図である。
【図18】本発明の実施例におけるCVD中のSiF3+
ピーク強度の時間変化を示し、全面CVDを行った時の
説明図である。
【図19】本発明の実施例において、熱酸化膜付きウエ
ハ上でウエハ表面(上)側とウエハ裏面(下)側に流すパー
ジ用Arガスの流量を変化させた時のCVD中のSiF3+
ピーク強度の時間変化を示し、Ar(上)Ar(下)=60/50
(sccm)の時の説明図である。
【図20】本発明の実施例において、熱酸化膜付きウエ
ハ上でウエハ表面(上)側とウエハ裏面(下)側に流すパー
ジ用Arガスの流量を変化させた時のCVD中のSiF3+
ピーク強度の時間変化を示し、Ar(上)Ar(下)=80/30
(sccm)の時の説明図である。
【図21】本発明の実施例において、熱酸化膜付きウエ
ハ上でウエハ表面(上)側とウエハ裏面(下)側に流すパー
ジ用Arガスの流量を変化させた時のCVD中のSiF3+
ピーク強度の時間変化を示し、Ar(上)Ar(下)=100/10
(sccm)の時の説明図である。
【図22】本発明の実施例におけるW膜厚分布の裏面パ
ージガス流量依存性を示した図である。
【図23】本発明の実施例におけるウエハエッジ部での
W膜厚分布を示した図である。
【図24】本発明の実施例において、チャンバークリー
ニングなしに連続的に処理を行った場合の選択性破れの
処理枚数依存性を示す説明図である。
【図25】成膜条件の詳細及びウエハの流れを示す説明
図である。
【図26】本発明におけるCVDリアクタ装置のモニタ
と連結した第1の実施例のCVD装置図である。
【図27】本発明におけるCVDリアクタ装置のモニタ
と連結した第2の実施例のCVD装置図である。
【図28】(a)は、従来の反応ガスモニタを用いない場
合のCVD工程図である。(b)は本発明において反応ガ
スモニタを用いた場合のCVD工程図である。
【図29】本発明の実施例におけるCVD中のHF+ピ
ーク強度の時間変化を示した図である。
【図30】本発明の実施例において、前処理時間を変化
させた場合のウエハ上で、成膜量を変えた際に、従来の
反応ガスモニタを用いない場合における成膜時間と膜厚
の関係を示す図である。
【図31】本発明の実施例において、前処理時間を変化
させた場合のウエハ上で、成膜量を変えた際に、本発明
による反応ガスモニタを用いた場合におけるイオン強度
積分量と膜厚の関係を示す図である。
【図32】本発明におけるCVDリアクタ装置のモニタ
と連結した第1の実施例のCVDリアクタの断面図であ
る。
【図33】本発明におけるCVDリアクタ装置のモニタ
と連結した第2の実施例のCVDリアクタの断面図であ
る。
【図34】本発明におけるCVDリアクタ装置のモニタ
と連結した第3の実施例のCVDリアクタの断面図であ
る。
【図35】本発明におけるCVDリアクタ装置のモニタ
と連結した第4の実施例のCVDリアクタの断面図であ
る。は本発明の実施例の選択CVDにおける工程図であ
る。
【図36】本発明の実施例において、本発明のリアクタ
と従来のリアクタでウエハを処理したのに伴う赤外放射
温度計によるウエハ温度計測での経時変化を比較して示
した図である。
【図37】本発明の実施例において、本発明のリアクタ
と従来のリアクタでウエハを処理した後に、どのように
赤外放射温度計の性能特性が変化したかを比較して示し
た図である。
【符号の説明】 1…ガスシャワー、2…ウエハ、3…ウエハ引き上げロ
ッド、4a…ウエハ引上げロッド上下機構、4b…ガス
シャワー上下機構、5…ウエハ抑え部材、6、6a…ウ
エハ支持ピン、7…ウエハ引き上げピン、8…光照射
窓、9…CVDリアクタ、10…リアクタ底部リング
部、11…Oリングシール、12…不活性ガス導入パイ
プ、13…ウエハサセプタ、13a…切欠き部、14…
ヒータステージ、14a…切欠き部、15…前処理室、
16…ロード/アンロード室、17…ウエハ搬送室、1
8…QMS分析管、19…コンダクタンス調整バルブ、
20…ターボ分子ポンプ、21…ロータリーポンプ、2
2…RF電源、23…QMS電源本体、24…ゲートバ
ルブ、25…ウエハフォーク、26…赤外放射温度計、
27…ファイバーケーブル、28…石英製ロッド、29
…遮光用カバー、30…赤外線透過窓、31…加熱ラン
プ、32…ランプ制御電源、33…ヒータ制御電源、3
4…ガス導入開閉バルブ、35…制御用コンピュータ及
びバルブ開閉制御ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 憲宏 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 小林 秀 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 田村 直行 山口県下松市東豊井794番地株式会社日立 製作所笠戸工場内