【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回折格子に関し、特
に、熱線反射膜のように広い波長範囲の回折をする回折
格子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の回折格子としては、フォトポリマ
ー、重クロム酸ゼラチン、銀塩等の膜に光の干渉縞を記
録して形成したブラグ回折格子がよく知られている。し
かし、これらは何れも回折波長の範囲が狭く、広い波長
範囲の回折が可能なものは得られていない。
【0003】このようなブラグ回折格子を熱線反射膜等
の用途に用いるには、回折波長が数百nm以上の範囲に
わたる必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであり、その目的は、屈折率差
のある2種類以上のフィルムを厚さを変化させて積層す
ることにより、広い波長範囲の回折が可能なブラグ回折
格子を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】一般に、回折格子の格子
間ピッチdと回折波長λは、入射角をθとすると、 2dsinθ=nλ (n=1,2,3,・・・) で与えられる。したがって、屈折率の高い層と低い層を
交互に積層し回折格子を構成し、その際、格子間ピッチ
dを層間で異なるように変化させることにより、種々の
波長の光を回折するようにすることができ、1つの回折
格子の回折波長範囲を広げることができる。
【0006】具体的な例について説明すると、図1に断
面図を示すように、例えば、厚さ0.40μmの高屈折
率フィルム1、0.41μmの高屈折率フィルム3、・
・・、1.00μmの高屈折率フィルム5と、同じ厚さ
の低屈折率フィルム2、4、・・・、6とを交互に積層
して回折格子を作成する。特定の厚さの層について、積
層する層数は、図の場合、4層であるが、これに限定さ
れず何層であってもよい。
【0007】この回折格子により、図2に示すように、
第1の厚さの層では垂直入射時に800nmの波長の光
を回折し、順次増加する厚さの層で、820nm、・・
・、2000nmの光を回折し、全体として800〜2
000nmの幅広い光を回折するようになる。
【0008】しかし、このような層厚が順次変化するフ
ィルムの入手と積層は容易でないので、現実には、これ
らのフィルムの数倍〜数十倍の厚さのフィルムを積層
し、その後、延伸法、プレス法等の機械的方法により所
定の厚みに減じる方法がとられる。また、コーティング
により所定の膜厚の各層を構成し、これを順次繰り返す
ことにより所定の積層体を形成してもよい。さらに、上
記機械的方法とコーティング法を組み合わせてもよい。
また、高屈折率の材料と低屈折率の材料は、それぞれ1
種に限る必要はなく、より多くの高屈折率、低屈折率の
材料を組み合わせてもよい。なお、層の厚さの変化は、
積層体の一方の面から他方の面に順に増加するような変
化であっても、また、異なる厚さの層がランダムに分布
するような変化であってもよく、特に限定されない。
【0009】このような高屈折率及び低屈折率の層の材
料としては、例えば次に示すようなものがあげられ、こ
れらの何れかを組み合わせて積層する。なお、以下には
d線での屈折率も併せて示す。
【0010】 ポリビニリデンフルオライド 1.42 ポリジメチルシリレン(ポリジメチルシロキサン) 1.43 ポリトリフルオロエチルメタクリレート 1.437 ポリオキシプロピレン 1.4495 ポリビニルイソブチルエーテル 1.4507 ポリビニルエチルエーテル 1.4540 ポリオキシエチレン 1.4563 ポリビニルブチルエーテル 1.4563 ポリビニルペンチルエーテル 1.4581 ポリビニルヘキシルエーテル 1.4591  ポリ(4−メチル−1−ペンテン) 1.459 -1.465 セルロースアセテートブチレート 1.46 -1.49 ポリ(4−フルオロ−2−トリフルオロメチルスチレン) 1.46 ポリビニルオクチルエーテル 1.4613
 ポリ(ビニル2−エチルヘキシルエーテル) 1.4626 ポリビニルデシルエーテル 1.4628 ポリ(2−メトキシエチルアクリレート) 1.463 ポリブチルアクリレート 1.4631 ポリブチルアクリレート 1.466 ポリ(t−ブチルメタクリレート) 1.4638 ポリビニルドデシルエーテル 1.4640 ポリ(3−エトキシプロピルアクリレート) 1.465 ポリオキシカルボニルテトラメチレン 1.465 ポリビニルプロピオネート 1.4665 ポリビニルアセテート 1.4665 ポリビニルメチルエーテル 1.467 ポリエチルアクリレート 1.4685 エチレン−ビニルアセテート共重合体 1.47 -1.50 (80%−20%ビニルアセテート) セルロースプロピオネート 1.47 -1.49 セルロースアセテートプロピオネート 1.47 ベンジルセルロース 1.47 -1.58 フェノール−フォルムアルデヒド樹脂 1.47 -1.70 セルローストリアセテート 1.47 -1.48 ポリビニルメチルエーテル(アイソタクティック) 1.4700 ポリ(3−メトキシプロピルアクリレート) 1.471 ポリ(2−エトキシエチルアクリレート) 1.471 ポリメチルアクリレート 1.472 -1.480 ポリイソプロピルメタクリレート 1.4728 ポリ(1−デセン) 1.4730 ポリプロピレン(アタクティック,密度0.8575g/cm3) 1.4735 ポリ(ビニルsec−ブチルエーテル)(アイソタクティック) 1.4740 ポリドデシルメタクリレート 1.4740
 ポリオキシエチレンオキシスクシノイル 1.4744 (ポリエチレンスクシネート) ポリテトラデシルメタクリレート 1.4746 エチレン−プロピレン共重合体(EPR−ゴム) 1.4748-1.48 ポリヘキサデシルメタクリレート 1.4750 ポリビニルフォルメート 1.4757 ポリ(2−フルオロエチルメタクリレート) 1.4768 ポリイソブチルメタクリレート 1.477 エチルセルロース 1.479 ポリビニルアセタール 1.48 -1.50 セルロースアセテート 1.48 -1.50 セルローストリプロピオネート 1.48 -1.49 ポリオキシメチレン 1.48 ポリビニルブチラール 1.48 -1.49 ポリ(n−ヘキシルメタクリレート) 1.4813  ポリ(n−ブチルメタクリレート) 1.483 ポリエチリデンジメタクリレート 1.4831 ポリ(2−エトキシエチルメタクリレート) 1.4833 ポリオキシエチレンオキシマレオイル 1.4840 (ポリエチレンマレート) ポリ(n−プロピルメタクリレート) 1.484 ポリ(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート) 1.485 ポリエチルメタクリレート 1.485 ポリ(2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート) 1.4868 ポリトリエチルカルビニルメタクリレート 1.4889 ポリ(1,1−ジエチルプロピルメタクリレート) 1.4889 ポリメチルメタクリレート 1.4893 1.490 ポリ(2−デシル−1,3−ブタジエン) 1.4899
 ポリビニルアルコール 1.49 -1.53 ポリエチルグリコレートメタクリレート 1.4903 ポリ(3−メチルシクロヘキシルメタクリレート) 1.4947 ポリ(シクロヘキシルα−エトキシアクリレート) 1.4969 メチルセルロース(低粘度) 1.497 ポリ(4−メチルシクロヘキシルメタクリレート) 1.4975 ポリデカメチレングリコールジメタクリレート 1.4990 ポリウレタン 1.5 -1.6 ポリ(1,2−ブタジエン) 1.5000 ポリビニルフォルマール 1.50 ポリ(2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン) 1.5 セルロースニトレート 1.50 -1.514 ポリ(sec−ブチルα−クロロアクリレート) 1.500 ポリ(2−ヘプチル−1,3−ブタジエン) 1.5000 ポリ(エチルα−クロロアクリレート) 1.502 ポリ(2−イソプロピル−1,3ブタジエン) 1.5028 ポリ(2−メチルシクロヘキシルメタクリレート) 1.5028 ポリプロピレン(密度0.9075g/cm3) 1.5030 ポリイソブテン 1.505 -1.51 ポリボルニルメタクリレート 1.5059 ポリ(2−t−ブチル−1,3−ブタジエン) 1.5060 ポリエチレングリコールジメタクリレート 1.5063 ポリシクロヘキシルメタクリレート 1.5066 ポリ(シクロヘキサンジオール−1,4−ジメタクリレート) 1.5067 ブチルゴム(未加硫) 1.508 ポリテトラハイドロフルフリルメタクリレート) 1.5096 グッタペルカ(β) 1.509 ポリエチレンアイオノマー 1.51 ポリオキシエチレン(高分子量) 1.51 -1.54 ポリエチレン(密度0.914 g/cm3) 1.51 (密度0.94-0.945g/cm3) 1.52 -1.53 (密度0.965 g/cm3) 1.545 ポリ(1−メチルシクロヘキシルメタクリレート) 1.5111 ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート) 1.5119 ポリビニルクロロアセテート 1.512 ポリブテン(アイソタクティック) 1.5125 ポリビニルメタクリレート 1.5129 ポリ(N−ブチル−メタクリルアミド) 1.5135 グッタペルカ(α) 1.514 テルペン樹脂 1.515 ポリ(1,3−ブタジエン) 1.5154 セラック 1.51 -1.53 ポリ(メチルα−クロロアクリレート) 1.517 ポリ(2−クロロエチルメタクリレート) 1.517 ポリ(2−ジエチルアミノエチルメタクリレート) 1.5174 ポリ(2−クロロシクロヘキシルメタクリレート) 1.5179 ポリ(1,3−ブタジエン)(35%cis;56%trans 1.5180 ;7%1,2−contet) 天然ゴム 1.519 -1.52 ポリアリルメタクリレート 1.5196 ポリビニルクロライド+40%ジオクチルフタテート 1.52 ポリアクリロニトリル 1.52 1.5187 ポリメタクリロニトリル 1.52 ポリ(1,3−ブタジエン)(sic型リッチ) 1.52 ブタジエン−アクリロニトリル共重合体 1.52 ポリメチルイソプロペニルケトン 1.5200 ポリイソプレン 1.521 ポリエステル樹脂 リジッド(約50%スチレン) 1.523 -1.54 ポリ(N−(2−メトキシエチル)メタクリルアミド) 1.5246 ポリ(2,3−ジメチルブタジエン)(メチルゴム) 1.525 ビニルクロライド−ビニルアセテート共重合体(95/5-90/10) 1.525 -1.535 ポリアクリックアシド 1.527 ポリ(1,3−ジクロロプロピルメタクリレート) 1.5270 ポリ(2−クロロ−1−(クロロメチル)エチルメタクリレート) 1.5270 ポリアクロレイン 1.529 ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン) 1.53 塩酸化ゴム 1.53 -1.55 ナイロン6;ナイロン6,6;ナイロン6,10(成型体) 1.53 (ナイロン−6−ファイバ:1.515 横断方向 1.565 ファイバ方向) ブタジエン−スチレン共重合体(約30%スチレン) 1.53 ブロック共重合体 ポリ(シクロヘキシルα−クロロアクリレート) 1.532 ポリ(2−クロロエチルα−クロロアクリレート) 1.533 ブタジエン−スチレン共重合体(約75/25) 1.535 ポリ(2−アミノエチルメタクリレート) 1.537 ポリフルフリルメタクリレート 1.5381 プロテイン 1.539 -1.541 ポリブチルメルカプチルメタクリレート 1.5390 ポリ(1−フェニル−n−アミルメタクリレート) 1.5396 ポリ(N−メチル−メタクリルアミド) 1.5398 セルロース 1.54 ポリビニルクロライド 1.54 -1.55 ウレアフォルムアルデヒド樹脂 1.54 -1.56  ポリ(sec−ブチルα−ブロモアクリレート) 1.542 ポリ(シクロヘキシルα−ブロモアクリレート) 1.542 ポリ(2−ブロモエチルメタクリレート) 1.5426 ポリジヒドロアビエチックアシド 1.544 ポリアビエチックアシド 1.546 ポリエチルメルカプチルメタクリレート 1.547 ポリ(N−アリルメタクリルアミド) 1.5476 ポリ(1−フェニルエチルメタクリレート) 1.5487 ポリビニルフラン 1.55 ポリ(2−ビニルテトラヒドロフラン) 1.55 ポリ(ビニルクロライド)+40%トリクレジルフォスフェート 1.55 エポキシ樹脂 1.55 -1.60 ポリ(p−メトキシベンジルメタクリレート) 1.552 ポリイソプロピルメタクリレート 1.552 ポリ(p−イソプロピルスチレン) 1.554 ポリクロロプレン 1.554 -1.558 ポリ(オキシエチレン−α−ベンゾエート−ω−メタクリレート) 1.555 ポリ(p,p’−キシリレニルジメタクリレート) 1.5559 ポリ(1−フェニルアリルメタクリレート) 1.5573 ポリ(p−シクロヘキシルフェニルメタクリレート) 1.5575 ポリ(2−フェニルエチルメタクリレート) 1.5592 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレン−1−プロピル 1.5602 −ブチリデン−1,4−フェニレン) ポリ(1−(o−クロロフェニル)エチルメタクリレート) 1.5624 スチレン−無水マレイン酸共重合体 1.564 ポリ(1−フェニルシクロヘキシルメタクリレート) 1.5645 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレン−1,3 1.5671 −ジメチル−ブチリデン−1,4−フェニレン) ポリ(メチルα−ブロモアクリレート) 1.5672 ポリベンジルメタクリレート 1.5680 ポリ(2−(フェニルスルフォニル)エチルメタクリレート) 1.5682
 ポリ(m−クレジルメタクリレート) 1.5683 スチレン−アクリロニトリル共重合体(約75/25) 1.57 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレンイソブチリデン 1.5702 −1,4−フェニレン) ポリ(o−メトキシフェニルメタクリレート) 1.5705 ポリフェニルメタクリレート 1.5706 ポリ(o−クレジルメタクリレート) 1.5707 ポリジアリルフタレート 1.572 ポリ(2,3−ジブロモプロピルメタクリレート) 1.5739 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレン−1−メチル 1.5745 −ブチリデン−1,4−フェニレン) ポリ(オキシ−2,6−ジメチルフェニレン) 1.575 ポリオキシエチレンオキシテレフタロイル(アモルファス) 1.5750 (ポリエチレンテレフタレート) (結晶性ファイバ:1.51横断方向 1.64ファイバ方向) ポリビニルベンゾエート 1.5775 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレンブチリデン 1.5792  −1,4−フェニレン) ポリ(1,2−ジフェニルエチルメタクリレート) 1.5816 ポリ(o−クロロベンジルメタクリレート) 1.5823 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレン−sec− 1.5827 ブチリデン−1,4−フェニレン) ポリオキシペンタエリスリトロキシフタロイル) 1.584 ポリ(m−ニトロベンジルメタクリレート) 1.5845 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレンイソプロピリデン 1.5850 −1,4−フェニレン) ポリ(N−(2−フェニルエチル)メタクリルアミド) 1.5857 ポリ(4−メトキシ−2−メチルスチレン) 1.5868
 ポリ(o−メチルスチレン) 1.5874 ポリスチレン 1.59 -1.592 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレンシクロヘキシリデン 1.5900 −1,4−フェニレン) ポリ(o−メトキシスチレン) 1.5932 ポリジフェニルメチルメタクリレート 1.5933 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレンエチリデン 1.5937 −1,4−フェニレン) ポリ(p−ブロモフェニルメタクリレート) 1.5964 ポリ(N−ベンジルメタクリルアミド) 1.5965 ポリ(p−メトキシスチレン) 1.5967 硬化ゴム(32%S) 1.6 ポリビニリデンクロライド 1.60 -1.63 ポリスルフィド(“Thiokol”) 1.6 -1.7 ポリ(o−クロロジフェニルメチルメタクリレート) 1.6040 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−(2,6−ジクロロ) 1.6056 フェニレン−イソプロピリデン−1,4− (2,6−ジクロロ)フェニレン) ポリ(オキシカルボニロキシビス(1,4−(3,5− 1.6056 ジクロロフェニレン))) ポリペンタクロロフェニルメタクリレート 1.608 ポリ(o−クロロスチレン) 1.6098 ポリ(フェニルα−ブロモアクリレート) 1.612 ポリ(p−ジビニルベンゼン) 1.6150 ポリ(N−ビニルフタルイミド) 1.6200 ポリ(2,6−ジクロロスチレン) 1.6248 ポリ(β−ナフチルメタクリレート) 1.6298 ポリ(α−ナフチルカルビニルメタクリレート) 1.63 ポリサルホン 1.633 ポリ(2−ビニルチオフェン) 1.6376 ポリ(α−ナフチルメタクリレート) 1.6410 ポリ(オキシカルボニロキシ−1,4−フェニレンジフェニル 1.6539 −メチレン−1,4−フェニレン) ポリビニルフェニルスルフィド 1.6568 ブチルフェノールフォルムアルデヒド樹脂 1.66 ウレア−チオウレア−フォルムアルデヒド樹脂 1.660 ポリビニルナフタレン 1.6818 ポリビニルカルバゾール 1.683 ナフタレン−フォルムアルデヒド樹脂 1.696 フェノール−フォルムアルデヒド樹脂 1.70 ポリペンタブロモフェニルメタクリレート 1.71 。
【0011】以上の説明から明らかなように、本発明の
回折格子は、屈折率の異なる2種以上の材料からなる層
を屈折率が相対的に高・低と繰り返すように交互に積層
させて構成したことを特徴とするものである。
【0012】この場合、層の厚さが少なくとも一部の異
なる層間で異なるようにすることが、広い波長範囲の回
折を行わせるために必要である。
【0013】実際にこのような回折格子を作成するに
は、屈折率の異なる2種以上の材料からなるフィルム状
シートを交互に積層して構成するか、各層をコーティン
グにより積層して構成するのが望ましく、また、各層の
厚さの制御には、積層体を延伸法、プレス法等の機械的
手段により変形して行うのが望ましい。なお、この変形
は、厚みを薄くする方向だけではなく、厚くする方向の
変形も考えられる。
【0014】また、このような回折格子は例えば熱線反
射膜として用いることができる。
【0015】
【作用】本発明においては、屈折率の異なる2種以上の
材料からなる層を屈折率が相対的に高・低と繰り返すよ
うに交互に積層させて構成しているので、層間の厚さを
異ならせることにより、回折波長が広い回折格子を得る
ことができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の1実施例について説明する。
ポリビニリデンクロライドフィルム(25μm厚、屈折
率1.62)とポリビニリデンフルオライドフィルム
(25μm厚、屈折率1.42)を、加熱雰囲気中で延
伸処理をし、それぞれについて、10μm、11.25
μm、12μm、・・・、23.75μm、25μmの
膜厚を持つ13種類の膜厚に変化させたフィルムを得
た。
【0017】まず、それぞれの10μm厚のフィルムを
4枚ずつ計8枚を交互に屈折率が高・低・高・低・・・
となるように積層し、加熱しつつドライラミネーション
を行った。
【0018】順次、11.25μm、12μm、・・
・、23.75μm、25μm厚のフィルムを用いて、
同様にラミネーションを行った。
【0019】できあがった13枚のラミネーションフィ
ルムをさらに延伸処理し、25倍に引き伸ばしてそれぞ
れの厚みを25分の1にした。これら延伸処理した13
枚のフィルムは、それぞれ、図4に示すような回折特性
を有しており、これら13枚を積層してドライラミネー
ションすることにより、図3に示したように、ほぼ80
0nmから2000nmの波長範囲で平滑な回折特性を
持つ回折格子を作成することができた。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の回折格子によると、屈折率の異なる2種以上の材料か
らなる層を屈折率が相対的に高・低と繰り返すように交
互に積層させて構成しているので、層間の厚さを異なら
せることにより、回折波長が広い回折格子を得ることが
できる。
【0021】具体的には、回折波長範囲を例えば800
〜2000nmにすることができ、この場合は、可視光
を通過し熱線を反射する良好な熱線反射膜になる。この
熱線反射膜を自動車や建物の窓に用いるのことにより、
車内及び室内の温度上昇を低減することができる。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明の回折格子の1つの具体例の断面図であ
る。
【図2】図1の回折格子の回折特性を示す図である。
【図3】実施例の回折格子の回折特性を示す図である。
【図4】実施例の各ラミネーションフィルムの回折特性
を示す図である。
【符号の説明】 1、3、5…高屈折率フィルム 2、4、6…低屈折率フィルム