【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的に、半導体技術
に関する。さらに詳しくは、MOSおよびバイポーラ・
トランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】低濃
度にドーピングされたドレーン(LDD:Lightly doped
 drain)金属酸化物半導体(MOS)電界効果トランジ
スタ(FET)またはLDD MOSFETは、ドレー
ン領域とソース領域とを有し、それぞれ、チャンネル領
域に隣接した浅い低濃度にドーピングされた領域と、浅
い低濃度にドーピングされた領域に隣接するそれよりも
深く高濃度にドーピングされた領域と、を有するトラン
ジスタである。LDD MOSFETは、いくつかの理
由のために集積回路産業により開発された。LDD M
OSFETを開発した主な理由は、既知の、理解されて
いるホット・キャリア注入現象を減少させるために用い
るためであった。ホット・キャリア注入は、装置の性能
と装置の寿命とを低下させるが、LDDを形成すること
によりホット・キャリア注入効果を小さくすることがで
きる。
【0003】LDD MOSFETの経時的な性能を改
善するために、トランジスタの材料層の厚みとLDD
MOSFETのセル表面積が小さくされた。このような
進歩と縮小のために、ホウ素の浸入により起こされる閾
値電圧の不安定,ドーピングの過剰拡散(outdiffusio
n),短絡チャンネル効果,漏洩電流,容量の増加およ
び絶縁の低下などの既知の現象があるので、集積回路の
設計者は新規のLDDトランジスタの信頼性をより高く
する新規の方法を求めていた。
【0004】集積回路の設計者は、上述の問題のいくつ
かを克服するために、架設式(elevated)ソースおよび
ドレーンMOSFETを開発した。架設式ソースおよび
ドレーンMOSFETは、基板表面から物理的に持ち上
げられているソースおよびドレーン領域を用いて、短絡
チャンネル効果とドーピングの過剰拡散とを減らした。
架設式ソースおよびドレーンMOSFETは、サリサイ
ド(salicide)またはケイ化物層が、既知のスパイキング
現象を介して基板にソースまたはドレーンを電気的に短
絡しやすいという欠点を持っている。スパイキング現象
は、普通は、材料の境界に沿ったエピタキシャル成長の
ファセッティング(faceting)に関係がある。ファセッ
ティングは、エピタキシャルから誘電体への境界に沿う
エピタキシャル領域の成長を不均一なものとしたり、抑
制する現象である。ファセッティングまたはスパイキン
グにより起こる電気的短絡により、電気的に短絡された
装置は動作不能になる。架設式ソースおよびドレーンM
OSFETもまた、一定の接合深さを持たないソースお
よびドレーン領域を作り出すという欠点を持っている。
このように接合深さが変動すると、装置の性能,容量,
絶縁およびその他の重要な装置の特性とパラメータとが
影響を受けやすい。
【0005】LDDおよび架設式ソースおよびドレーン
MOSFETは、依然として改良の必要があったが、バ
イポーラおよび相補型金属酸化物半導体(CMOS)ト
ランジスタは、通常BiCMOSと呼ばれる新しい技術
に統合された。BiCMOS技術により、MOSFET
技術における研究にさらに新しい問題点と考慮点とが加
わった。BiCMOS技術は、たいていの処理過程に関
して、新たな処理段階を必要とすることが多く、そのた
めに、処理の複雑性も増大する。従来のBiCMOS技
術では、バイポーラの形態においてもCMOSの形態に
おいても、装置の寸法の縮小および装置の性能をさらに
妨げるような装置になりやすい。現在のところ、LDD
および架設式ソースおよびドレーンMOSFETの欠点
をなくする方法または装置は存在しない。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明により、上述され
た必要性が満たされ、その他の利点が得られる。ある形
態においては、本発明はトランジスタと、そのトランジ
スタを作成する方法とから構成される。基板材料には、
その上に分離された導電性の制御領域が設けられ、さら
に分離された導電性制御領域の上に誘電性領域が設けら
れる。分離された導電性制御領域の周囲に隣接して、第
1スペーサが形成される。基板材料の一部が露出され、
基板材料の露出された部分からエピタキシャル領域が形
成される。このエピタキシャル領域は、第1スペーサに
隣接して形成される。第1スペーサが除去されて、基板
材料のドーピング可能な部分が形成される。基板材料の
ドーピング可能な部分がドーピングされて、第1被ドー
ピング領域と第2被ドーピング領域とが形成される。分
離された導電性制御領域に隣接する第2スペーサが形成
される。第2スペーサは、部分的にエピタキシャル領域
の上にかかっている。エピタキシャル領域がドーピング
されて、第3被ドーピング領域と、第4被ドーピング領
域とが形成される。
【0007】本発明は以下の詳細な説明と、添付の図面
とにより、当業者に理解されるだろう。
【0008】
【実施例】図1は、MOSトランジスタ10の断面であ
る。MOSトランジスタ10は、基板12を有し、基板
12は、シリコン,エピタキシャル・シリコン,ゲルマ
ニウム,ガリウム・ヒ素などの任意の半導体材料から作
ることができる。基板の上に誘電体層14が形成され
る。誘電体層14は、通常は熱成長された乾燥した二酸
化シリコンであるが、酸化物−窒化物−酸化物(ON
O)や同様の誘電性材料であってもよい。誘電体層14
の上に分離された導電性制御領域またはゲート16が形
成される。ゲート16は、通常は多結晶シリコンまたは
同様の導電性材料で作られる。誘電性領域18が、ゲー
ト16の上に形成される。誘電性領域18は、窒化物,
二酸化シリコン(SiO2 ),テトラエチルオルトケイ
酸塩(TEOS:tetra-ethyl-ortho-silicate ),リン
酸ホウケイ酸ガラス(BPSG:boro-phosphate-silica
te-glass)その他の同様の誘電体でよい。ゲート16
は、再酸化されて、誘電性領域20を形成する。誘電性
領域20はゲート16を保護して、ゲート16の絶縁を
確保する。
【0009】図2は、第1スペーサを形成する段階を示
す。第1スペーサ22は、誘電体層14上で、誘電性領
域18,20に隣接して形成される。スペーサ22は、
通常は誘電性材料から作られる。スペーサ22に関して
は、多くの他の誘電物質を用いることができる。異なる
誘電物質は、それぞれが、異なるエッチング特性と誘電
性とを有する。そのために、誘電性領域18とスペーサ
22に、異なる誘電性材料の組合せを用いると、さまざ
まな利点と汎用性が生まれる。さまざまな形成方法に関
して誘電性材料を変えることの利点と汎用性とは、他の
図面を参照して後述する。
【0010】ゲート16,誘電性領域20またはスペー
サ22の下にない部分の誘電体層14は、図3に示され
るように、従来の選択的エッチング処理により除去され
る。誘電性領域14のエッチングにより、基板12の2
カ所が露出される。図3を参照すると、基板12の第1
部分は、ゲート16の左側にあり、基板12の第2部分
は、ゲート16の右側にある。エピタキシャル領域24
が基板12の露出部分から成長する。エピタキシャル領
域24はいずれも基板12の上にあり、スペーサ22に
隣接している。誘電性領域26が、エピタキシャル領域
24の上に形成される。誘電性領域26は侵食して、エ
ピタキシャル領域24とスペーサ22との間に形成され
る。エピタキシャル成長が、酸化物または窒化物などの
異なる材料の界面に隣接して起こると、傾斜のある形成
または抑制された成長領域が界面に沿って形成される。
ファセッティングと呼ばれる現象により形成されるこの
抑制された成長形成は、エピタキシャル領域24に関し
て、スペーサ22に隣接するエピタキシャル領域24の
部分が傾斜して不均一であるという事実により示され
る。
【0011】スペーサ22がエッチング除去されて、図
4に示されるように、エピタキシャル領域24に隣接す
る誘電体層14の2カ所の部分を露出させる。スペーサ
22のエッチングにより形成されたこの2カ所の露出部
分は、これで基板12のドーピング可能部分となった。
ドーピング段階、通常はイオン注入過程が実行されて、
エピタキシャル領域24に隣接し誘電体層14の下にあ
る第1被ドーピング領域および第2被ドーピング領域が
作られる。これらの被ドーピング領域は、低濃度にドー
ピングされたドレーン領域またはLDD領域28と呼ば
れる。LDD領域が図3の高温エピタキシャル段階の後
に形成されるために、図4のLDD領域は従来のLDD
構造に比べて、過剰拡散が少なく、ドーピング・プロフ
ィルはより制御しやすくなっている。さらに、過剰拡散
が少なくなったために、分離が改善され、より正確で一
貫したトランジスタ・チャンネル長が得られる。過剰拡
散の減少と共に、誘電性領域20により、LDD領域1
8が、実質的に形成され、その後で実質的にゲート16
の下に拡散することを防ぐ。LDD領域28が、実質的
にゲート16の下にならないようにする能力のために、
ミラー容量(Millercapacitance)として広く知られて
いるゲート対ソースおよびゲート対ドレーンの容量が小
さくなる。
【0012】図5に示されるように、LDD領域28の
上に、第2スペーサ30が形成される。第2スペーサ3
0は、誘電性領域20とエピタキシャル領域24との間
に形成される。スペーサ30は、スペーサ22のエッチ
ングにより形成された開放領域を埋める。そのために、
スペーサ30を用いると、金属などの導電層上に形成す
る際に起こる、形状による問題の発生が減る。スペーサ
30は、スペーサ22に沿って起こるファセッティング
のために不均一で傾斜している(図3参照)エピタキシ
ャル領域24のファセッティング部分の上にできる。エ
ピタキシャル領域24は、通常はイオン注入を介してド
ーピングされる。エピタキシャル領域のイオン注入は、
スペーサ30がエピタキシャル領域24のファセッティ
ング部分を覆っているためにきわめて均一になる。スペ
ーサ30はまた、MOSトランジスタ10を、スパイキ
ングとして知られる現象から保護する。スパイキング
は、ソースおよびドレーン領域の上にあり、それに接触
しているサリサイド領域が、ソースおよびドレーン領域
を「突き破り」、ソースおよびドレーン領域が基板に電
気的に短絡するときに起こる。この電気的短絡により、
どのような装置も役に立たなくなる。
【0013】上方の導電層の形成や熱サイクルなどのそ
の後の処理により、エピタキシャル領域のドーピングは
基板内まで入り込み、ソースおよびドレーン領域32が
形成される。ソースおよびドレーン領域32は、エピタ
キシャル領域24の下にあり、エピタキシャル領域24
に隣接するLDD領域28にそれぞれが電気的に接触し
ている。ソースおよびドレーン領域32が基板内まで入
り込むので、漏洩電流や誘電体とエピタキシャル材料と
の界面領域に関わるその他の問題は見られなくなる。こ
れは、すべてのエピタキシャル界面領域が、すべてのソ
ースと基板との接合部およびドレーンと基板との接合部
から分離されているという事実によるものである。エピ
タキシャル領域をドーピングしたイオン注入が均一であ
ったために、ソースおよびドレーン領域32は、きわめ
て均一である。ソースおよびドレーン領域32はまた、
基板内では縦に深くない。ソースおよびドレーン領域3
2の基板内での縦の深さが小さいために、MOSトラン
ジスタ10と他の隣接の装置との間の分離が改善され
る。また、ソースおよびドレーン領域32の縦の深さが
小さいために、既知の望ましくない短絡チャンネル効果
が小さくなり、装置が論理「オフ」状態で機能するとき
にトランジスタ装置内を漏洩する電流であるオフ電流漏
洩が減る。
【0014】CMOSに用いる場合は、N型とP型のウ
ェルとソースおよびドレーンの拡散係数が異なる。これ
は、P型ドーピング剤(ホウ素)が、N型ドーピング剤
(ヒ素)よりも速く拡散するためである。このような拡
散の違いにより、P型CMOSトランジスタとN型CM
OSトランジスタに関して、深さが等しくない接合部が
できる。深さが異なるために、トランジスタ群はまた、
異なる特性で動作することになる。これは望ましいこと
ではないが、MOSトランジスタ10では防ぐことがで
きる。
【0015】このように接合部の深さに差ができること
を、通常はヒ素または同様の原子をドーピング剤とし
て、まずN型装置に注入して、ヒ素を熱サイクルにさら
すことにより防ぐ。この熱サイクルにより、ヒ素または
同様のドーピング剤は、エピタキシャル領域24内にさ
らに深く入り込む。この熱サイクルの後で、ホウ素また
は等価の物質を注入して、第2熱サイクルを介して入れ
る。ヒ素はすでに部分的に入り込んでいるので、基板の
ソースまたはドレーンの接合部が形成される前に拡散す
る距離は、ヒ素がホウ素よりも小さい。そのために、ホ
ウ素に比べて遅いヒ素の拡散が補正され、P型装置とN
型装置の接合部の深さはほぼ等しくなる。さらに、2種
注入(dual species implant)として知られているリンと
ヒ素の同時注入を用いて、同様の結果を得ることもでき
る。このように拡散のバランスをとる方法により、エピ
タキシャル領域24をより厚くすることができ、エピタ
キシャルが厚くなると、回路の形状が改善される。
【0016】また、誘電性領域18とスペーサ22とが
異なる材料であるか、同様の材料であるかによって、図
5の断面図に関連して他の処理のオプションが存在す
る。たとえば、誘電性領域18がTEOSでできてお
り、スペーサ22が窒化物でできているときは、誘電性
領域18はスペーサ22の除去中にあまりエッチングさ
れない。そのため、誘電性領域18は、縦に厚くなっ
て、ゲート16がエピタキシャル領域24をドーピング
するために用いられるイオン注入によりドーピングされ
ることを防ぐ。そのため、ゲート16は、エピタキシャ
ル領域24がイオン注入される前か後に、別にドーピン
グしなければならない。スペーサ22と誘電性領域18
とが、いずれも例えば窒化物でできているときは、誘電
性領域18は、スペーサ22のエッチング段階中に部分
的にあるいは完全に除去されるので、イオン注入からゲ
ートを保護することはない。ゲートに対する保護がこの
ように失われるために、同一の1回のドーピング段階に
よってゲート16とエピタキシャル領域24のドーピン
グを行うことができる。エピタキシャル・ドーピングか
らゲート16を保護することと、そのためにゲート16
のドーピングをエピタキシャル領域24から別に行うこ
とと、ゲート16およびエピタキシャル領域24を同時
にドーピングすることは、異なる利点を持っている。
【0017】別個にドーピングすることにより、個々の
用途によりよく適合できるドーピング法が得られる。ま
た、別個にドーピングすることにより、LDD領域28
などの拡散臨界領域が形成されないうちに、エピタキシ
ャル領域24とゲート16とにイオン注入することがで
きる。LDD領域28が形成されないうちにエピタキシ
ャル領域とゲート16とをドーピングすることにより、
高温サイクルが既知の注入損傷を回復させて、LDD領
域28などの拡散臨界領域が形成されないうちに、ドー
ピング剤原子にソースおよびドレーン領域32を形成さ
せることができる。選択的エピタキシャル成長の後で同
時にドーピングすることにより、処理段階を削減し、エ
ピタキシャル成長段階または予備洗浄段階などの高温サ
イクル中に、ゲート電極から隣接領域にホウ素が侵入す
ることを減らし、さらにドーピングの均一性を改善する
ことができる。
【0018】図6は、代替のスペーサ22の形成方法の
断面図である。図6を図2と入れ替えることができる。
図6においては、エッチング段階を実行して、ゲート1
6または誘電性領域20により覆われていないすべての
領域から、誘電体層14を除去する。その後でスペーサ
22が基板の上に、基板に接触して形成される。図6の
エッチング段階によっても、エピタキシャル成長に用い
ることのできる基板部分が露出される。この代替方法の
利点は、現在ゲート誘電体として機能している誘電体層
14が、エピタキシャル領域24とそのエピタキシャル
処理手順にさらされないことである。そのために、水素
汚染などの従来のエピタキシャルの問題が、MOS臨界
ゲート誘電性領域において削減あるいは回避される。ゲ
ートが受ける保護は、大半は、誘電性領域18,ゲート
16,スペーサ22および基板12にどのような材料が
用いられるかにより決定される点にも留意されたい。
【0019】図7は、上述されたゲート16とエピタキ
シャル領域24とを同時にドーピングする段階をさらに
詳細に図示している。誘電性領域18とスペーサ22と
は両方とも同一の材料からできていることを前提とする
と、スペーサ22のエッチング中に誘電性領域18は除
去されるか、あるいは少なくとも部分的にエッチングさ
れる。このエッチングの様子を、縦の高さが少なくなっ
た誘電性領域18により図7に示す。そのため、ゲート
16はエピタキシャル領域24の注入から保護されず、
ゲート16とエピタキシャル領域24とは同一のイオン
注入処理段階によりドーピングされる。
【0020】集積回路産業においては、バイポーラ技術
とCMOS技術の互換性は非常に重要である。バイポー
ラ処理とCMOS処理とが根本的に異なっていると、B
iCMOS技術は存在不可能あるいは実行不可能であ
る。図8は、図1ないし図5のMOSトランジスタ10
に関して示されたのと同じ処理過程から、どのようにバ
イポーラ・トランジスタ11を作ることができるかを示
している。バイポーラ・トランジスタ11を形成する過
程はMOSトランジスタ10の形成過程と非常に似てい
るので、いくつかの処理段階を簡単に説明する。また、
バイポーラ・トランジスタ11とMOSトランジスタ1
0ではいくつかの領域および層は類似のものである。こ
のように類似性があるために、バイポーラ・トランジス
タ11とMOSトランジスタ10とは、同じようにラベ
ルを付けられた層と領域とをいくつか持っている。
【0021】図8は、バイポーラ・トランジスタ11を
示す。バイポーラ・トランジスタ全体は、バイポーラ・
トランジスタ11のコレクタ電極として動作する被ドー
ピング・ウェル領域44の上に形成される。バイポーラ
・トランジスタ11は基板12の上に形成される。MO
Sトランジスタ10と異なり、バイポーラ・トランジス
タ11には、MOSトランジスタ10のゲート16とほ
ぼ等しいエミッタ領域42があるが、相違点はエミッタ
領域42が基板12に接触していることである。エミッ
タ領域42の基板12に対する接触は、誘電体層14か
ら、エミッタ領域42を形成するために用いられるバイ
ポーラ・トランジスタ11の領域をエッチング除去する
ことにより達成される。このバイポーラ・エッチング段
階は、MOSトランジスタ10に関しては、基板12の
上にある誘電体層14をエッチングしない。言い換えれ
ば、MOSトランジスタ10は、バイポーラ誘電体層1
4のエッチング段階からマスキングされている。その後
で、バイポーラ・トランジスタ11のエミッタ領域42
が基板の上に、基板に直接接触するように形成される。
被ドーピング領域34が、エミッタ領域42の下にある
基板内に形成される。たいていの場合、被ドーピング領
域34と被ドーピング・ウェル領域44とは、従来のC
MOS相補型被ドーピング・ウェルでは処理過程の初期
に形成される。被ドーピング領域34は、バイポーラ・
トランジスタ11に関してはベース電極の一部を形成す
る。MOSトランジスタ10に関してはゲート16の上
に、またバイポーラ・トランジスタ11のエミッタ領域
42の上に、誘電性領域18が配置される。バイポーラ
誘電性領域18は、図1ないし図5と、図7でMOSト
ランジスタ10に関して説明されたすべての長所を持っ
ている。
【0022】バイポーラ・トランジスタ11のエピタキ
シャル領域24は、スペーサを用いて形成される(図8
には示されていないが、MOSトランジスタ10に関し
て図3に示されている)。エピタキシャル領域24は、
誘電性エピタキシャル被覆層により覆われる。誘電体層
14は前述されているが、誘電性エピタキシャル被覆層
にも誘電体層14とラベルを付ける。この2つの誘電体
層に同一のラベルを付けるのは、MOSトランジスタ1
0の場合と異なり、2つの誘電体層がより多く相互に作
用して、バイポーラ・トランジスタ11に関しては機能
的な面から区別することがより困難なためである。言い
換えれば、MOSトランジスタ10の誘電体層14はゲ
ート誘電体として用いられたが、バイポーラ・トランジ
スタ11にはゲート誘電体は存在しない。そのため、バ
イポーラ・トランジスタ11の2つの誘電体層間では理
論的な区別を付けることはできず、両方とも誘電体層1
4と呼ばれる。バイポーラ・トランジスタ11に関して
ここで説明および図示したように、誘電体層14を形成
するためには、いくつかのMOSトランジスタ10のC
MOSとの互換性をもつ段階が必要とされる点に留意さ
れたい。
【0023】MOSトランジスタ10に関しては、スペ
ーサ22(図3に図示)が除去されて、LDD領域28
が形成される。図8のバイポーラ・トランジスタ11に
関しては同様の構造が形成されるが、この類似の構造は
異なる機能を行う。MOSトランジスタ10に用いられ
たLDD形成注入は、バイポーラ・トランジスタ11に
関しては、物理的に等価のベース接続領域38を形成す
る。その後、エピタキシャル領域24が、ベース領域ド
ーピング型でイオン注入される。その後の処理過程によ
り、ドーピング剤原子はエピタキシャル領域24から基
板12内に入れられ、被ドーピング領域40を形成す
る。被ドーピング領域40,34と、ベース接続領域3
8とは共に、バイポーラ・トランジスタ11の完全な、
電気的に接続されたベース電極を形成する。その後の処
理過程により、ドーピング剤原子がエミッタ領域42か
ら出されて、基板12内にドーピングされたエミッタ延
長領域36が形成される。同時に、エミッタ領域42と
被ドーピング・エミッタ延長領域36が、バイポーラ・
トランジスタ11のエミッタ電極を形成する。
【0024】それゆえ、処理の流れの変形または追加を
3種または4種行った上で、バイポーラ装置を同一のC
MOS処理の流れから作成することができ、高度の処理
互換性と反復性を持ったBiCMOS回路の製造が可能
になる。
【0025】ここでは、以下の利点を持つ発明されたM
OSトランジスタが提示される:(1)分離が改善され
る;(2)短絡チャンネルおよびホット・キャリアの行
動が改善される;(3)接合の過剰拡散が減少する;
(4)チャンネル長の定義の制御性が良くなる;(5)
ミクロン以下の形状の縮小の可能性が改善される;
(6)BiCMOS処理との互換性が得られる;(7)
接合深さがより浅くなる;(8)上部の導電層に関し
て、形状に関する問題点が少ない;(9)サリサイドま
たはケイ化物のスパイキングに関わる不良が少ない;
(10)他の先進BiCMOS処理法に比べて処理段階
が少ない;(11)基板の漏洩電流が少なくなる;(1
2)ゲート領域がエピタキシャル成長後にエピタキシャ
ル領域と同時にドーピングされると、ホウ素がゲート誘
電体やその他の周辺領域に侵入する可能性が小さくな
る;(13)エピタキシャル処理(例えば水素汚染)か
らの装置保護が改善される;(14)ミラー容量が小さ
くなる;(15)接合が浅くなるためにオフ電流が改善
される。
【0026】ここでは、以下の利点を持つ発明されたバ
イポーラ・トランジスタが提示される:(1)分離が改
善される;(2)接合の過剰拡散が減少する;(3)ミ
クロン以下の形状の縮小の可能性が改善される;(4)
BiCMOS処理との互換性が得られる;(5)接合深
さがより浅くなる;(6)上部の導電層に関して、形状
に関する問題点が少ない;(7)サリサイドまたはケイ
化物のスパイキングに関わる不良が少ない;(8)他の
先進BiCMOS処理法に比べて処理段階が少ない;
(9)基板の漏洩電流が少なくなる;(10)エピタキ
シャル処理(例えば水素汚染)からの装置保護が改善さ
れる。これらの利点は、ここで説明された発明されたM
OS装置と類似の方法で達成される。
【0027】本発明は、特定の実施例に関して図示およ
び説明されているが、当業者には別の修正や改良が可能
であろう。ここで説明された多結晶シリコン,二酸化シ
リコンなどのさまざまな材料は、いろいろに変えること
ができる。たとえば、多結晶シリコンをエピタキシャル
・シリコンと置き換えても、同じ基本的機能を果たすこ
とができる。BiCMOS装置を製造する際にバイポー
ラ・トランジスタとCMOSトランジスタとを同時に作
るためには、処理の流れに対していくつかの小さな追加
や変更が必要になることもある。閾値電圧注入,さまざ
まなドーピング法および熱処理など、他の技術をこれら
の装置に加えることもできる。そのため、本発明はここ
で示された特定の形式に制限されるものではなく、ま
た、添付の請求項には、本発明の精神と範囲から逸脱し
ないすべての改良を含むものであることを理解された
い。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明によりトランジスタを製造する処理過程
の断面図である。
【図2】本発明によりトランジスタを製造する処理過程
の断面図である。
【図3】本発明によりトランジスタを製造する処理過程
の断面図である。
【図4】本発明によりトランジスタを製造する処理過程
の断面図である。
【図5】本発明によりトランジスタを製造する処理過程
の断面図である。
【図6】本発明による図1ないし図5の過程の代替の処
理段階の断面図である。
【図7】本発明による図5のトランジスタの代替の実施
例の断面図である。
【図8】本発明により図1ないし図5の処理過程から作
成することのできるバイポーラ・トランジスタの実施例
の断面図である。
【符号の説明】 10 トランジスタ 12 基板 14 誘電体層 16 ゲート(分離された導電性制御領域) 18,20,26 誘電性領域 22,30 スペーサ 24 エピタキシャル領域 28 LDD(低濃度にドーピングされたドレーン)領
域 32 ソースおよびドレーン領域