【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的には患者の監視
用のシステムに関し、詳しくは、歩行可能型の心電(E
CG)モニタ(又は電気的心臓運動モニタ)に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ECGデータの監視は、患者の心臓の健
康状態を監視するのに有用な手段となってきている。E
CG監視の中で著名なタイプのものは、ホルター監視と
いわれるもので、ECGデータを24時間にわたって連
続的に獲得するものである。このホルター監視によって
獲得するデータは、心室頻拍の危険のある患者を識別す
るのに有用である。今日まで、ホルター監視によって獲
得したデータ中において、レイトポテンシャル(late p
otentials)を適切に識別するのは、難しいことであっ
た。レイトポテンシャルとは、心臓をそのサイクル内で
遅れて活動化させる原因となる低いレベルの電気信号の
ことである。このようなレイトポテンシャルは、早期の
収縮そして最終的には深刻な細動の原因となり得るもの
である。このようなレイトポテンシャルは、在来のホル
ター監視システムで検出するにはレベルが低過ぎ(即
ち、約5マイクロボルト)また周波数が高過ぎる(即
ち、およそ250ヘルツ)ため、検出するのが困難であ
った。
【0003】在来の歩行可能型のECGホルター監視シ
ステムは、一般的に、ソリッドステート・システムとテ
ープ式(tape based)システムの2種類に分類されてい
る。これらのタイプの双方のシステムは、病院外で患者
の通常の日常生活の間、その患者に装着するものである
ので、歩行可能型のシステムと呼んでいる。テープ式シ
ステムには、磁気テープレコーダが設けられており、こ
れで、患者の特定の部位に取り付けた電極から得られる
ECG信号を記録する。24時間の期間が経過すると、
テープをそのモニタユニットから取り外し、そしてそこ
に記憶されているECG信号を分析するようにする。
【0004】このようなテープ式システムには、3つの
主要な欠点がある。第1は、それらシステムが、ある制
限された周波数応答しか有していないことである。その
制限は、主に、テープの動作速度に限界があることに起
因するものであり、そしてその限界により、ある与えら
れた時間枠内でテープに記憶できるECG信号の周波数
帯域が制限される。テープは、遅く動かして、全24時
間監視のためECG信号を記録するのにテープが十分と
なるよう確保しなくてはならい。このテープユニット
は、代表的には、1秒当り1ミリメートルのレンジの速
度で動かすようになっている。更に、テープ上の記録領
域のサイズが小さいことによって、その最も高い周波数
の応答が制限されてしまい、そしてこれもまた、テープ
上に記憶されるECG信号の周波数帯域を制限すること
になる。一般的に、このようなシステムは、せいぜい最
大周波数40ヘルツまでしか動作することができない。
このようなテープ式システムが被る第2の問題は、テー
プ動き誤差の問題である。このような誤差は、データを
歪めてしまう速度変動、並びに記録ヘッドのトラッキン
グ誤差を含むものである。テープ式システムが被る更に
別の問題は、重要な事象の発生をテープ上に正確にエン
コードすることが困難なことである。例えば、記録セッ
ション(期間)中に患者がその心拍異常に苦しむとする
場合、テープ式システムでは、いつその事象が起きたか
を正確にエンコードするのは難しいことである。代表的
には、このようなテープ式システムの分解能は、1/1
0秒程度である。この低い分解能のために、ペースメー
カからのパルスのような高周波数事象を正確に記録する
際、種々の具体的な問題が起きる可能性がある。
【0005】通常、ソリッドステート・ユニットでは、
RAMのようなメモリをモニタユニット内に組み込んで
利用している。ソリッドステート・システムでは、記録
セッション中に発生した全てのデータを保持するように
するには、データ圧縮に頼らなければならない。典型的
には、これらは2〜4メガバイトのメモリ容量を備えて
いる。このようなソリッドステート・ユニットには、2
つの主要な欠点がある。第1に、そのようなメモリは通
常は揮発性であるので、メモリに保持したデータは、停
電時には失われてしまうことである。また、そのソリッ
ドステート・ユニットの第2の難点は、圧縮に起因した
データの喪失に関係するものである。24時間の監視期
間にわたって得られる大量のデータを記憶するには、通
常高いレベルの圧縮を必要とするので、圧縮は必然的に
高い度合いのデータ喪失を伴うことになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、レイトポテンシャルを正確に記録するのに十分なダ
イナミックレンジと周波数応答とをもった、歩行可能型
のECGモニタを提供することである。本発明の別の目
的は、ECGデータの記憶に不揮発性メモリを用いた、
歩行可能型ECGモニタを提供することである。本発明
の更に別の目的は、圧縮していないECGデータを記憶
するようにした、歩行可能型ECGモニタを提供するこ
とである。本発明の更に他の目的は、テープレコーダの
動き誤差や位置決め誤差の影響を受けない、歩行可能型
ECGモニタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、患者から
の生理的データを記録するための歩行可能型の生理モニ
タによって実現する。このモニタには、ECGデータの
ような生理的データを得るための、1組の電極または別
の手段を設ける。このモニタには更に、ディスク駆動装
置を設け、これにより、プロセッサのような手段がこの
ディスク装置に転送するその生理データを記憶するよう
にする。また、このモニタには、その得られた生理デー
タを保持するためのバッファを設けることが好ましい。
このバッファを用いることによって、ディスク駆動装置
をアクティブにしていなければならない時間を最小限に
し、従ってモニタの電源資源の節約を行うようにする。
【0008】上記の生理データは、通常、アナログ形態
で得られるものである。従って、上記モニタユニットに
組み込める別の特徴となるものは、そのアナログデータ
をサンプリングしてデジタルサンプルを生成するサンプ
ラである。このサンプルは、1秒当り200個のサンプ
ル以上のレートや1秒当りおよそ800個以上のレート
をも含む、多くの異なるレートで取り込むようにするこ
とができる。データについての高分解能の“図”を得る
には、より高いサンプリングレートのほうが有用である
(即ち、1秒当り800サンプル以上)。ECGデータ
を獲得している最中は、その高分解能は、レイトポテン
シャルを突き止めるのに役に立つ。また、レイトポテン
シャルを突き止めるのに役に立つのは、上記モニタが広
いダイナミックレンジを有することである。上記モニタ
は、約60〜70デシベルのダイナミックレンジを有す
るものが好ましい。
【0009】上記モニタを用いてECG情報を獲得し記
録する時には、そのモニタにECG情報内のペースメー
カのパルスを検出する手段を設けることが好ましい。こ
のペースメーカ・パルスを検出するのに適切な回路は、
ペースメーカ・パルスが見つかりそうもない情報帯域を
除外する帯域通過フィルタを備えたものである。この回
路には、ECG信号のレベルを検出するレベル検出器
も、付加的に設けている。また、この回路には、ペース
メーカ・パルスをこの回路が検出したということを、デ
ィスク記録媒体上において示すための適切な手段を設け
ることもできる。
【0010】本モニタには、自蔵型電源によって、独立
的に給電するのが好ましい。この電源は、少なくとも1
つの電池で構成することができる。上述のように、モニ
タを自蔵電源で給電すれば、その消費電力を節減するこ
とが望ましい。電力使用の節約を行うための1つの手段
は、データを保持するための上記バッファが実質的に満
杯になった時のみデータをディスク駆動装置に転送する
ことである。また、データは、喪失するものがないよう
に、圧縮しない状態でディスク記録手段に記憶するのが
好ましい。
【0011】上記のモニタに組み込んでもよい付加的な
構成要素には、このモニタをデータ処理システムと接続
するためのインターフェースがある。このインターフェ
ースを介し、そのデータ処理システムで、ディスク記録
媒体上に記憶されたデータを読み取るようにすることが
できる。また、このモニタには、状態メッセージやエラ
ーメッセージなどの情報を、このモニタのユーザに表示
するための表示装置を設けてもよい。これに最適の表示
装置の1つは、液晶表示装置(LCD)である。更に、
このモニタにある種の手段を設けて、患者が、重要な事
象の発生をディスク記録媒体上にマークできるようにし
てもよい。
【0012】
【実施例】本発明の好適実施例では、歩行可能型ECG
システムは、患者からのECGデータを記録するため、
図1に示すようなモニタ記録用ユニット10を備えてい
る。このモニタユニット10は、適度な衝撃、温度及び
圧縮に耐え得るプラスチックまたはその他の耐久性物質
でできた耐久性ハウジング12内に収容してある。モニ
タユニット10は、適切な大きさ並びに形状のもので、
患者が容易に携えることができるようにしてある。図1
のこの例示的な実施例は、多面体形状であって、高さ3
3mm(1.3インチ)、幅92mm(3.6インチ)、
及び奥行き130mm(5.1インチ)の寸法のもので
ある。このユニット10全体の重量は、わずか430グ
ラム(15オンス)である。ただし、この図1の形状、
重量及び寸法は、純粋に例示的なものであるということ
を理解されたい。当業者には、それ以外の適当な形状並
びに寸法が見つかるはずである。モニタユニット10
は、ホルスター(図示せず)のような適当な取り付け具
で、患者のベルトにうまく装着できるような、適切な大
きさ及び形状のものであることが好ましい。
【0013】モニタユニット10の前面に配置してある
のは、状態メッセージや1日の時刻を表示するための表
示装置14である。また、モニタユニット10の前面に
は、イベントボタン16も配置している。このボタン
は、胸の痛みの発生などの事態が起きた時刻を、患者が
記録できるようにし、これにより、その時刻に記録され
たECGデータに対し精密検査のためにフラグを付すこ
とができるようにする。最後に、モニタユニット10の
その前面には、このモニタユニット10にECG信号を
収集する電極を接続するための7ピン・コネクタ18を
設けている。
【0014】図2Aに示すように、モニタユニット10
には、2本の通常の9ボルトのラジオ用電池22及び2
4で給電するようになっており、これらの電池は、スラ
イド式電池ドア20の下からハウジング12内にはめ込
む。これらの電池はモニタユニット10を付勢するため
の電源としての役割を果たすものである。本発明では、
9ボルトの電池を用いることに限定している訳ではな
く、AA電池を用いた構成のような他の電池構成も同様
に用いることができる。電池22及び24は、電気コネ
クタ26を介してユニット10の内部構成要素に接続す
る。
【0015】モニタユニット10の背面には、データ処
理システムのような外部システムにこのモニタユニット
10を接続するためのピンコネクタ28を組み込んでい
る。その接続により、モニタユニット10が記録したデ
ータを外部システムで検索するのを可能とし、また外部
システムとモニタユニット10との間の通信を容易にす
る。コネクタ28を介して検索するデータは、そのよう
な外部システムでECGデータを分析するための既知の
アルゴリズムを用いて、処理するようにすることができ
る。あるいはまた、処理用ハードウェアを、このモニタ
ユニット内に直接組み込むようにしてもよい。
【0016】本モニタユニット10は、1組の電極と共
に使うよう設計してある。殆どの応用では、2組または
3組の電極を用いる。例示の目的で、以下の説明では、
3組の電極使用に的を絞ることにする。詳しくは、図3
に示すように、3組の電極34aと34b,36aと3
6b,38aと38bを用いて、心臓活動の3次元の図
(view)を与えるようにする。これら3対の電極は、そ
れぞれ患者のX軸、Y軸及びZ軸からのECG信号を与
えるものである。尚、電極38bは、患者の背中に配置
したものであるため、破線で示してあることに注意され
たい(即ち、この電極は、電極38aに対してZ方向に
ずらしてある)。この電極配置パターンは、医療機器開
発協会(the Association for the Advancement of Med
ical Instrumentation(AAMI))の標準に合致した
ものである。また、基準電極、即ち接地電極40も用い
ている。
【0017】上記の電極は、在来のプレゲル化(pre-ge
lled)ECG塩化銀電極でよい。これらの電極は、対で
動作し(即ち、34aは34bと共に対として動作し、
他の電極も同様に動作する)、従って3組の電極34a
と34b,36aと36b,38aと38bは、3チャ
ンネルのアナログECG入力を構成することになる。各
電極には、ピンコネクタ18に導くリードワイア33を
設けている。図1に示したように、コネクタ18は7本
のピン、即ち各電極に対して1本のピンを有している。
【0018】上述の電極から得られたECG信号は、モ
ニタユニット10の内部に配置したハードウェアによっ
て処理し記憶する。そのハードウェアは、プレリーテッ
ク・コーポレーション(PrairieTek Corporation)が販
売しているプレリー(Prairie)242のような2.5イ
ンチのディスク駆動装置40を備えている(図4参
照)。このハードウェアは、種々の構成要素を含む印刷
回路ボードを更に備えているが、それらの構成要素につ
いては後に詳述する。ディスク駆動装置40とその印刷
回路ボードとは、駆動回路58を介して外部ピンコネク
タ28に接続する。
【0019】図4は、モニタユニット10の主要構成要
素をブロック形式で図示したものである。このモニタユ
ニット10は、既に述べたように、電極コネクタ18を
備えている。この電極コネクタ18はアナログ回路46
に結合し、そしてこの回路46は、そのコネクタ18を
介して受け取った入力ECG信号を増幅し処理するよう
にする。アナログ回路46は更に制御器48に接続し、
そしてこの制御器48は、モニタユニットの動作を制御
し、またその増幅したECG信号をデジタル形式に変換
する。この制御器48は、電源54に接続している。こ
の電源54は、上述のように、従来の9ボルト電池22
及び24(図2A参照)を構成するものでよい。制御器
48は更にディスク駆動装置40にも接続し、この駆動
装置40は、そのデジタル化したECGデータを記憶す
るのに使う。このディスク駆動装置40には、制御器4
8と同様、電源54によって給電する。更に加えて、制
御器48は、データバッファ56に接続し、このデータ
バッファ56で、上記デジタルECGデータをディスク
駆動装置40によってディスクに書き込む前に、一時的
に保持するようにする。
【0020】モニタユニット10の内部構成要素には、
表示装置14とイベントボタン16とに接続したオペレ
ータ・インターフェース50も含まれている。更に、モ
ニタユニット10はリアルタイムクロック52を備えて
いる。このリアルタイムクロック52は、システム状態
情報を保持するのに用いる不揮発性メモリを有してい
る。このメモリにはそれ自身の電池を設け、主モニタ電
源が停電したような場合、その中に保持されたデータを
保護するようにしている。
【0021】図5は図4のアナログ回路46を詳細に示
したものである。このアナログ回路46は、各対の電極
34aと34b,36aと36b,38aと38bから
の入力に対して動作する、同様な回路60を複数組別個
に含んでいる。従って、3組の電極を用いる時には、ア
ナログ回路46に3組の回路60を備えることになる。
このような各組の回路は、モトローラMC34184D
のような増幅器を用いた、差動増幅器回路62を備えて
いる。差動増幅器回路62は、対応の電極組から入力を
受け取り、そしてこれら2つの信号のレベル間の差に対
応する出力を発生する。
【0022】差動増幅器回路62の各々の利得及び周波
数応答は、図5でCTL1、CTL2及びCTL3とし
て示した対応の1組の制御信号で指令する。これらの制
御信号は、制御ユニット72から発するものである。こ
の制御ユニット72は、制御器48から利得情報及び周
波数情報を受け取る。そのような制御信号及び差動増幅
器回路の使用は、従来技術において公知であるので、こ
こでは詳細に説明することはしない。
【0023】各差動増幅器回路62からの出力は、従来
の共通モード/基準線復元回路64に進む。この回路に
適切な増幅器には、モトローラMC34184D増幅器
が含まれる。各共通モード/基準線復元回路64からの
出力は、出力回路66に進む。この出力回路66は、そ
の出力(これは対応のチャンネルのデータを構成)をを
制御器48に送る。図5に見られるように、個別の出力
回路66を、チャンネル1、チャンネル2及びチャンネ
ル3の出力に設けてある。また、各共通モード/基準線
復元回路64は、これの出力をペースメーカ・パルス検
出器回路70にも送出し、そしてこの検出器回路70
は、その信号を分析して、それがペースメーカ・パルス
を含んでいるか判定する。
【0024】ペースメーカ・パルスの有無及びそれが発
生した時刻を識別できる能力は、患者を検査する医療職
員にとって大きな助けとなる。特に、この能力により、
ある1つの刺激(即ちペースメーカ・パルス)とある1
つの心拍との間の時間遅れを判定することが可能とな
る。更に、そのような監視は、ペースメーカが誤動作し
ているかを判定するのにも役立ち得るものである。
【0025】図6は、ペースメーカ・パルス検出器回路
70をより詳細に示したものである。この回路は、ペー
スメーカ・パルスを検出した時、“ペーサ”と示した出
力で、制御器48を中断させるものである。詳しくは、
この回路70は、受け取った信号の各々の振幅がある所
与のスレショルドレベルを越えている(従って、その信
号がペースメーカ・パルスであるらしいことを示す)か
を判定する。ペースメーカ・パルス検出器70は、各入
力68に対してフィルタ74を備えている。このフィル
タ74は、約40〜100ヘルツの範囲の信号を通過さ
せる帯域通過フィルタである。これらのフィルタ74
は、マキシム(Maxim)ICL7631DCSEのよう
な増幅器及びその他の在来の構成要素を用いて、実現す
ることができる。このフィルタは、ペースメーカ・パル
スが検出されそうもない部分の周波数範囲を除外するも
のである。このフィルタを通過した出力は、次に比較器
回路78によって、ある振幅スレショルドと比較する。
このスレショルドは、プログラムによって選択可能であ
り、これによって特定の患者に適切なスレショルドを選
択できるようにしている。本回路は、マキシムDG21
2CSEのようなマルチプレクサ76を備えており、こ
れで、比較器回路78により比較するフィルタ出力を選
択する。このマルチプレクサを用いることにより、上記
のようなペースメーカ・パルスの有無について、1つ以
上のチャンネルを選択的に監視することができる。そし
て、比較器回路78による比較の結果は、“ペーサ”信
号として、制御器に送るようにする。この“ペーサ”信
号は、ペースパルスを検出した時に、制御器48に割り
込みをかけるものである。
【0026】図7は、制御器48の構成要素を図式的に
より詳細に例示したものである。制御器48には、2つ
の別個のメモリ、EPROM84とRAM86とを設け
ている。EPROM84は、約8キロバイトのメモリを
保持し、一方RAM86は256バイトのメモリを保持
している。EPROM84は、CPU90が実行する命
令を記憶するのに用いる。一方、RAM86は、入来す
るECGデータ、並びにペーサデータやイベントデータ
を含む他の特別なタイプのデータのためのバッファとし
て用いるものである。
【0027】制御器48は、更にモニタユニット10の
動作を制御するためのCPU90も備えている。これら
のCPU90、EPROM84及びRAM86は、全て
個々に内部バス92に結合し、そしてこのバスは、これ
に接続されている構成要素間の通信を容易にする。割り
込みを扱うために、制御器48は割り込み制御器82を
備えている。この制御器82は、外部水晶93をもつ発
振器94を備えており、そしてこの発振器はCPU90
に接続している。この内部発振器は、12メガヘルツで
動作させ、そして各システムクロックサイクルが12個
の発振器サイクル(即ち1マイクロ秒)から成るように
することができる。本制御器は更に、システムのタイミ
ングに用いる3つのカウンタ101も備えている。それ
の3番目のカウンタは、ウォッチドッグ・タイマであっ
て、この制御器が誤ったプロセッサ状態になった場合
に、このマイクロ制御器をリセットするのに用いるもの
である。
【0028】制御器48の内部バス92に更に接続して
あるのは、バス制御器96である。このバス制御器96
は、内部バスへのアクセスを調整するものである。内部
バス92に接続してある付加的構成要素は、アナログ/
デジタル変換器(ADC)88である。ADC88はア
ナログチャンネル1、2及び3から10ビットのデジタ
ルサンプルを生成するためのものである。ADC88
は、これが生成するデジタルサンプルを一時的に保持す
るためのバッファを備えている。その10ビットは、本
システムが高分解能モードで動作している時には、全て
用いる。また、システムが低分解能モードで動作する時
は、その上位8ビットを用いる。これら2つの動作モー
ドについては、後に詳述する。更に、内部バスには、入
出力(I/O)ポート98と直列ポート100も接続し
ている。これらの構成要素を組み込んだ適切な制御器
は、シグネティクス・カンパニ(Signetics Company)が
販売するシグネティクス87C552である。しかしな
がら、それ以外の制御器を用いることもできる。
【0029】図8は、制御器48のピン配置を例示した
ものである。この制御器は、入力として、アナログ回路
からチャンネル1、2及び3を通ったアナログECG信
号を、3組のピン102、104及び106を介して受
け取る。既に述べたように、これら3つのチャンネルの
信号は、制御器48の内部ADC88(図7参照)によ
ってデジタルサンプルに変換する。制御器48はまた、
ピン108を介して、電池即ち電源の状態に関する状態
情報も受け取る。電池の電圧が余りに低い場合、この状
態情報を用いて、LCD上にメッセージをプロンプト
し、電池が消耗したことをユーザに警告する。また、制
御器48は、アナログ回路46がペースメーカ・パルス
を検出した時、ピン110を介して“ペーサ”割り込み
も受け取る。
【0030】また、制御器48は、出力信号を送るのに
用いる多くのピンを有している。詳しくは、制御器48
は、直列ポート112を備えている。同様に、制御器4
8は、データバッファ56(図4参照)にアドレスを送
るための多くのアドレス線も有している。更に、制御器
はそのデータバッファにデータまたはアドレスを送るの
に使用できる多くのデータピン118も備えている。以
下に詳細に説明するように、この好適実施例では、2つ
のRAM130及び132(図9参照)をデータバッフ
ァ56に用いている。この結果、データバッファ56と
通信する時には、制御器48は、どちらのRAMを選択
するかを示さなければならない。この選択を行うため
に、制御器は、RAM選択線に接続した複数のピン11
6を有している。いかなる時でも、その選択したRAM
だけがアクティブになるようにしている。また更に、制
御器48に備えてあるのは、制御器からそれらRAMに
リードパルスまたはライトパルスを送るリード/ライト
線124、及びそのデータバッファの擬似スタティック
RAMをリフレッシュするためのRAMリフレッシュ線
126である。
【0031】更に、制御器48は、信号をディスク駆動
装置40(図4参照)に送るための複数の線も備えてい
る。詳細には、制御器48は、データをディスク駆動装
置40に送るのに用いる多くの出力ピン120を有して
いる。ECGデータのデジタルサンプルを上記バッファ
内またディスク上に記憶させるため送出するのは、これ
らの線を介してである。更に、リードパルス及びライト
パルスをディスク駆動装置に送る線との接続のために、
ピン122を設けている。
【0032】図9は、データバッファ56をより詳細に
示したものである。具体的には、データバッファ56
は、2つの擬似スタティックRAM130及び132を
備えている。これに適当なRAMは日立製作所のHM6
58512擬似スタティックRAMである。これ以外の
RAMも同様に用いることができる。これらのRAMは
各々、524288バイトのメモリを保持している。こ
こでの場合、これらRAMの各々は、3つのバッファ、
即ち、データバッファ、イベントバッファ及びペーサバ
ッファに分割している。これら3つのバッファの各々に
対して別個のリードポインタ及びライトポインタを維持
してある。また、このデータバッファ56は、デマルチ
プレクサ134及びデコーダ136も備えている。
【0033】デマルチプレクサ134の機能は、データ
バッファ56のデータ出力及びアドレス出力を見ること
によって、最も良く理解できるはずである。図9に示す
ように、RAM130または132のいずれかをアクセ
スするアドレスの下位ビットは、アドレスビットの伝送
のみに従事するピン138から来るものである。しかし
ながら、RAM130または132のいずれかをアクセ
スするアドレスの上位ビットは、制御器から、アドレス
とデータの両方を送るピンにて出力される。結果とし
て、転送が行われる時、データまたはアドレスのどちら
がこれらのピンを介して伝送されているのかを区別する
必要がある。デマルチプレクサ134は、アドレスをR
AMに伝送している時、そのアドレスの上位ビットとし
て、そのアドレスをRAMにラッチする。しかし、アド
レスではなくデータを転送している時は、デマルチプレ
クサはそのアドレスをRAMにラッチしない。その代わ
りに、データを、各RAM130及び132のデータ線
に通すようにする。これにより、アクティブなRAMが
データを受け取ることになる。デマルチプレクサ134
に対するその選択は、制御器が発する、RAM用のリー
ド/ライト信号である。この信号がリードを示す時、デ
マルチプレクサ134はアドレスを各RAMにラッチす
るが、この信号がライトを示す時は、データをデータ線
に送出する。
【0034】更に、データバッファ56は、制御器から
データバッファ56に送出された制御信号をデコードす
るためのデコーダ136も備えている。詳細には、デコ
ーダ136は制御器からのRAMリフレッシュ信号及び
データバッファのRAM用リード/ライト信号を受け取
る。そして、デコーダは適切な信号を各RAMに発生す
る。
【0035】本モニタユニット10がどのように動作す
るかについて理解を得るには、モニタユニット全体の信
号及びデータの流れについて検討するのが有効である。
先ず最初に、アナログECG信号を、電極34aと34
b,36aと36b,38aと38bを介して獲得す
る。これらアナログECG信号は、リードワイア33を
介してモニタユニット10(図3参照)に達する。この
データは7ピンのコネクタ18を介して図4に示すよう
なアナログ回路46に進む。アナログ回路46では、各
電極対からの信号を、図5に示すような回路60によっ
て並列に処理する。次に、差動増幅器62が、その入力
された信号を増幅し、そしてこれを、制御器によってプ
ログラムした利得及び周波数応答に従って、共通モード
/基準線復元回路64に通す。このECG信号は、次
に、出力回路66に送出する。この出力回路66は、信
号を制御器48に進ませる。ペースメーカ・パルス検出
器回路70はこれらの信号を検査して、それらの振幅が
所与のスレショルドを越えているか、即ちペースメーカ
・パルスを構成するものであるかを判断する。具体的に
は、図6に示すように、選択したチャンネル出力が、帯
域通過フィルタ74を介してマルチプレクサ76に進
み、このマルチプレクサ76が比較器回路78による比
較のためにその出力を選択する。この選択した出力は、
比較器回路78によって比較し、そしてこの比較結果を
バッファ80に渡す。ペースメーカ・パルスを検出した
場合には、割り込みを制御器48(図4)に送出する。
【0036】上述の3つのチャンネルからのECG信号
は、アナログ回路46(図4参照)から制御器48に進
む。制御器48では、図7に示すように、それらの信号
がADC88に進む。ADC88は、それら信号を10
ビットのデジタルサンプルに変換する。ADC88のサ
ンプリングレートは、後に詳述するように、制御器48
のCPU90で制御する。CPU90はそのデジタル化
したデータを、RAMデータ/アドレス線118(図8
参照)を介してデータバッファ56に送出し、このデー
タをデータバッファ56のRAM130、132の内の
1つに書き込む。
【0037】RAM130、132の内の1つがほぼ満
杯になった時、制御器48(図7参照)のCPU90
は、各RAM130、132の全内容を読み出し、そし
てその内容をディスク駆動装置40(図4参照)に送出
し、そしてここで、そのデータをディスクに書き込む。
ディスク駆動装置40は、1つのRAMがほぼ満杯にな
った時のみ、アクティブになる。この方法は、必要な時
にのみディスク駆動装置を動作させることによって、電
力を節約することができる。具体的には、それら2つの
バッファRAMを用いることによって、短いインターバ
ルの間にのみディスク駆動装置をアクティブにすればよ
いことになる。大まかには、ディスクは、80分間の監
視毎に20秒だけアクティブとなる。更に、ディスクは
約42メガバイトのデータを記憶することができるの
で、24時間の監視期間中にわたって受け取る全てのデ
ータを、データ圧縮を必要とせずに記憶するだけの十分
なメモリ容量がある。この結果として、従来技術のソリ
ッドステート・システムで起きたようなデータ損失の問
題がなくなる。CPU90(図6参照)は、24時間だ
け動作するようにプログラムする。この24時間が経過
すると、システムはアイドリング状態となり、患者から
のECG信号をそれ以上受け付けなくなる。
【0038】一旦、ホルター記録セッションが終了する
と、ディスク駆動装置40(図4参照)のディスク上の
データを、図10に示すようなコンピュータシステムに
ダウンロードする(分析処理用ハードウェアがモニタユ
ニット10に含まれているのなら、このようなダウンロ
ード処理は不要である。)。具体的には、ケーブル13
6を外部コネクタ28とデータ処理システム134に接
続する。これは、モニタユニット10とデータ処理シス
テム134との間のデータ伝送を可能にするものであ
る。これに専用のデータバスが、ディスク駆動装置40
を外部コネクタ28に接続する。このデータバスは、駆
動回路58内にあってディスク駆動装置40をコネクタ
28に接続するもので、これにより、データ処理システ
ム134が、ディスク駆動装置40上のデータに対し直
接アクセスを得ることができるようにする。結果とし
て、制御器はそのデータ転送には係わらないことにな
る。従って、データ処理システム134は、ディスク駆
動装置40を、データ処理システムに接続した通常の周
辺装置であるかのように、扱うことができる。
【0039】しかしながら、パーソナルコンピュータの
ような典型的なデータ処理システム134を、データの
ダウンロードに用いる必要がない、ということに注意さ
れたい。むしろ、外部コネクタ28とのインターフェー
スのための特別なモジュールを設けて、モニタユニット
10からデータを抽出するようにしてもよい。
【0040】モニタユニット10がデータを記録してい
る時、それを高分解能モードまたは低分解能モードのい
ずれかで、動作させることができる。高分解能モードで
は、ユニット10は1秒間に1000サンプルの速度で
サンプルを取り込み、これによって広い周波数帯域にわ
たるECG信号を記録する。上述のように、このモード
では、各サンプルの10ビット全てを記憶する。低分解
能モードでは、1秒間に200サンプルのみを取り込む
ようにしている。このモードでは、各サンプルの8ビッ
トのみを記憶する。この低分解能モードのサンプリング
レートは、それでも従来のシステムより高く、従って、
より良くレイトポテンシャルを検出することができる。
また、モニタユニット10は、各40〜60デシベルと
いうその大きなダイナミックレンジのために、よりよく
レイトポテンシャルを検出することができる。
【0041】制御器48のCPU90(図7参照)は、
最初はクロック52の不揮発性メモリが指定するモード
で動作するように、プログラムしてある。このメモリ
は、モニタが電力を失ったり、その他の理由で動作が停
止したような場合に、モニタの状態を復元するのに用い
る状態情報を保持している。そのモードには高分解能モ
ードも含まれる。CPU90を高分解能モードに切り変
えるには、2つの方法がある。第1の方法は、イベント
ボタン16(図1参照)を押した時にCPU90がモニ
タユニット10を所定時間の間高分解能モードにシフト
するように、CPU90のソフトウェアをプログラムす
ることである。第2の方法は、所定のインターバルで自
動的に高分解能モードに入るように、CPU90をプロ
グラムすることである。高分解能モードは、通常10分
位の短い期間アクティブにする。システムが高分解能モ
ードでアクティブとなるその時間は、プログラム可能で
ある。更に、この高分解能モードが完了した時に、モニ
タユニット10が低分解能モードに戻るように、システ
ムをプログラムすることもできる。通常、高分解能モー
ドが完了すると、システムは初期状態に戻り、ここでク
ロックの不揮発性メモリを見て現行動作モードを判定す
る。
【0042】図11は、モニタをパワーアップした時
に、CPUが行う基本的ステップの流れ図を示すもので
ある。詳細には、パワーアップ時に、CPU90は初期
化ルーチンを実行して、モニタユニットの動作準備を行
う(ステップ140)。この初期化ルーチンの一部は、
不揮発性クロックメモリ内に保持された状態情報(現行
の動作モードに関する情報も含む)を検査するものであ
る。初期化ルーチンが完了すると、CPUはシステムの
現行動作モードを判別する(ステップ142)。システ
ムが高分解能モードで動作している場合、制御器48は
高分解能モードルーチンをランさせる(ステップ14
3)。同様に、システムがホルターモードにある時、制
御器48はホルターモード・ルーチンをランさせる(ス
テップ144)。最後に、システムは、モニタユニット
の外部装置への接続を容易にする外部接続ルーチンをラ
ンさせることもできる。外部接続ルーチンを実行してい
る時は、CPUはその接続されている外部システムと通
信する(ステップ146)。加えて、CPUはエラーの
チェックも行う(ステップ148)。外部システムとの
通信の間エラーが発生しなければ、CPUはその初期状
態に戻り、再び現行動作モードを判別する(ステップ1
42)。しかしながら、そのエラーが発生すると、CP
Uはアイドリング状態となり、エラーメッセージの表示
をプロンプトする(ステップ150)。また、ホルター
モードまたは高分解能モードが完了した時も、CPUは
アイドリング状態となり、最終状態メッセージを表示す
る。
【0043】図12〜15は、本ユニットがホルターモ
ードで動作する時に行うステップの流れ図である。図1
2及び13に示すように、CPUは最初に不揮発性メモ
リ内の状態フラグを含むシステム変数をセットし、これ
らの変数がホルターモードの動作に適するようにする
(ステップ152)。次に、図15に示す割り込みルー
チンを起動するが、データ獲得は開始しない(ステップ
154)。次に、短い試験シーケンスを起動し、そして
その状態を表示装置14上に表示する(ステップ15
6)。続いて、システムは全ての試験に合格したかを見
るためにチェックし(ステップ158)、ある試験に合
格しなかった場合、そのエラーを表示装置14上に表示
し、そしてプロセッサはアイドル状態となる(ステップ
160)。
【0044】全ての試験がうまく完了した場合、システ
ムはデータ獲得モードをイネーブルする(ステップ16
2)。これについては、後に説明する。このモードで
は、システムは、クロック52(図4参照)から1日の
内の時刻を決め、そしてこの時刻を表示装置14に表示
する(図12のステップ164)。CPU90は、次
に、パワーダウン・モードに入り(ステップ166)、
そして割り込みを待つ(ステップ168を参照)。割り
込みを受けると、CPU90は目覚めて、処理モードに
入る(ステップ170)。この処理モードでは、システ
ムは、モニタユニット10がデータ獲得を完了したかを
判定する(ステップ172)(即ち、時間が満了したか
を判定する)。システムが終わりに達したなら、CPU
90は表示装置上の状態を更新し、それ以上のデータは
獲得しない(ステップ174)。次に、システムは、外
部装置と接続されるまで、アイドリング状態となる(ス
テップ178)。本システムは、外部装置との接続を絶
えず試験している(ステップ180)。モニタユニット
が外部装置と接続されると、外部インターフェース・ル
ーチンをランさせる(ステップ188)。この外部イン
ターフェース・ルーチンが完了すると、モニタユニット
は、図11のパワーアップ初期化ステップに戻る(ステ
ップ192)。
【0045】システムが処理モードにありかつモニタに
関して完了していない場合(ステップ172参照)、R
AM FULLフラグがセットされているかをチェック
することにより、データバッファのRAMが満杯である
かを判定する(ステップ176)。そのRAM FUL
Lフラグがセットされていなければ、システムは、イベ
ント/外部接続フラグがセットされているかを判定する
(ステップ182)。イベント/外部接続フラグがセッ
トされていなければ、システムは、表示装置を更新する
べきかを判断する(ステップ184)。表示装置を更新
する時間でないなら(即ち、クロックの時刻が表示され
ている時刻と一致するなら)、システムはパワーダウン
モードに戻る(ステップ166)。逆に、表示装置の更
新が必要であれば、システムはクロック52(図4)か
ら更新した時刻を読み取り、表示装置にその更新した時
刻を表示する(ステップ164、図12)。
【0046】ステップ182においてイベント/外部接
続フラグがセットされていれば、CPU90は、このフ
ラグをセットし得る2つの可能性のあるイベントのどち
らが発生したのか判定を行う。もしイベントボタンによ
ってフラグのセットがトリガされたのなら、内部RAM
86(図7参照)のイベントバッファ部分に保持してい
るイベントデータを更新する(ステップ190、図1
3)。具体的には、イベントボタンを押すと、システム
は、その内部RAM内のカウンタ101及びクロック5
2からの時刻を記録する。この時刻は、後述するよう
に、最終的にデータバッファのRAM130及び132
のイベントバッファに送出されるものである。次に、上
述の表示装置を更新する時間であるかを判断するステッ
プ(即ちステップ184)を実行する。もし、外部接続
がそのフラグのセットをトリガしたのなら、外部インタ
ーフェース・ルーチンをランさせる(ステップ18
8)。
【0047】上述の説明は、ステップ176においてR
AM FULLフラグがRAMが満杯ではないというこ
とを指示している場合に焦点を当てたものである。RA
MFULLフラグがセットされている場合には、図14
のステップを実行する。詳細には、ディスク駆動装置を
パワーアップする(ステップ206)。上述のように、
ディスク駆動装置のパワーアップを短いインターバルの
間のみ行えば、電力を節約するのに役に立つ。ディスク
駆動装置を完全にパワーアップした時、ホルターECG
データをデータバッファ内のRAMからそのディスク駆
動装置に転送する(ステップ204)。各ECGデータ
の転送を行う際、システムは、その転送が最初の転送か
どうかの判定を行う(ステップ202)。最初の転送の
場合、上記クロックの不揮発性メモリの状態情報を更新
して、転送の開始時刻を反映させる。そのデータ転送が
最初の転送でないならば、CPUは、RAMのイベント
バッファ部分にイベントデータが有るかを判定する(ス
テップ200)。イベントデータが有るならば、このイ
ベントデータをRAMのイベントデータバッファ部分か
らディスクに書き込む(ステップ210)。次に、シス
テムは、RAMのペーサバッファ部分にペーサデータが
有るかどうか判定する(ステップ198)。もしペーサ
データが有るなら、そのペーサデータをRAMのその適
当部分からディスクに書き込む(ステップ212)。詳
しくは、ペーサ割り込みが送られた時、システムは、そ
のペーサ割り込みの時刻を記憶する。以前に引用したペ
ーサデータとは、この時刻情報のことである。続いて、
システムは、何かエラーが発生したかどうかについて判
定を行う(ステップ196)。エラーが発生していれ
ば、エラーカウンタを更新する(ステップ214)。そ
して、システムは、所定のエラー限度を越えたかについ
て判定する(ステップ216)。この限度を越えていな
ければ、システムはホルターデータの転送に戻る。逆
に、そのエラー限度を越えた場合、システムは動作を中
止し、エラーコードを表示する(ステップ218)。エ
ラーが何も起きなかった場合には、システムは、RAM
内に含まれるリードポインタ及びライトポインタを更新
し、RAM FULLフラグをクリアし、そしてディス
クのリードポインタ及びライトポインタを更新する(ス
テップ194)。次に、システムは、図13に示すよう
に、ステップ182に戻る。
【0048】図12のステップ154で呼び出す割り込
みルーチンは、図15に、流れ図として示す。この割り
込みルーチンは、制御器のCPUの前景でランする。こ
のCPUの残りのタイムスロットは、CPUの背景でラ
ンするとも言える図12〜14のルーチンで埋める。こ
の割り込みルーチンは、主として、新たなECGデータ
を獲得する役割を果たすものである。
【0049】この割り込みルーチンに従って、制御器内
の諸カウンタ101を最初に更新する(ステップ22
0)。システムがデータを獲得していないあるモードに
あるなら(ステップ222を参照)、システムはこの割
り込みルーチンから出る(ステップ224)。しかしな
がら、システムがデータを獲得しているあるモードにあ
るなら(ステップ222を参照)、システムは、ADC
のデータバッファから第1のチャンネルと第2のチャン
ネルのデータを読み取る(ステップ224)。システム
は、次に、第3のチャンネルがイネーブルされた状態か
を判定する(ステップ226)。本モニタユニット10
は、2組または3組の電極と共に用いることができるか
らである。第3チャンネルがイネーブル状態になければ
(ステップ226)、システムはその第3チャンネルを
スキップする。逆に、3番目のチャンネルがイネーブル
状態にあれば、システムは3番目のチャンネル内のデー
タを読み取る(ステップ288)。
【0050】システムが読み取ったこのデータは、制御
器の内部RAMに記憶し、そしてデータバッファの外部
RAMを、制御器から送るリフレッシュRAM信号によ
って、リフレッシュする(ステップ230)。次に、シ
ステムは、内部RAMが満杯かについて判断する(ステ
ップ232)。内部RAMが満杯ならば、この内部RA
Mに保持されているデータをデータバッファの外部RA
Mに転送する(ステップ234)。続いて、システム
は、データバッファの外部RAMがほぼ満杯かについて
判断する(ステップ236)。この外部RAMがほぼ満
杯なら、RAMFULLフラグをセットする(ステップ
238)。
【0051】内部RAMが満杯でない時(ステップ23
2参照)、RAM FULLフラグがセットされている
場合(ステップ238参照)、あるいは外部RAMがほ
ぼ満杯でない場合(ステップ236参照)、システム
は、ペースメーカ・パルス検出器回路がペースメーカ・パ
ルスを検出したかについて判定する。ペースメーカ・パ
ルスを検出していない場合、システムはこの割り込みル
ーチンから出る。一方、ペースメーカ・パルス検出器回
路がペースメーカ・パルスを検出した場合、内部RAM
に保持されているペースメーカ・データを更新して、そ
の検出したパルスの時刻を含ませる(ステップ24
2)。そして、制御器はこの割り込みルーチンから出る
(ステップ244)。
【0052】図16〜19は、高分解能モードで動作す
る時にシステムが行うステップを示したものである。図
16及び図17に示すように、制御器は、最初にシステ
ム変数を、高分解能モードでの動作のためにセットする
(ステップ246)。次に、適切な割り込みルーチンを
起動するが、データ獲得はまだ開始しない(ステップ2
48)。システムは、次に、モニタの機能を試験し、そ
してこの試験結果を表示装置上に示す(ステップ25
0)。システムは、全ての試験に合格したかについて判
定し(ステップ252)、もしエラーが発生していたな
ら、アイドリング状態となる。この試験中にエラーが発
生した時、表示装置はそのエラーを識別するエラーメッ
セージを表示する(ステップ254)。もしその全ての
試験に合格した場合には、システムは、レディコード
(ready code)をLCD上に表示する(ステップ25
6)。次に、システムは、イベントボタンが押されたか
について判定する(ステップ262)。もしイベントボ
タンが押されていなかった場合には、システムは、ソフ
トウェアでプログラム可能なトリガ時刻に達したかにつ
いて判定する(ステップ266)。そのトリガ時刻に
は、所定のクロック値を得た時に達するものである。シ
ステムはこれら2つの動作のチェックを、いずれか1つ
が発生するまで続ける。イベントボタンが押されたか、
あるいはトリガ時刻に達したならば、システムはデータ
獲得モードに入る(ステップ260)。システムは、次
に、1日の時刻を読み取って表示装置に表示する(ステ
ップ264)。
【0053】次に、制御器はパワーダウンモードに入り
(ステップ268)、このモードでは、パワーダウンモ
ードから本制御器を呼び起こさせる割り込みの発生につ
いて連続的にチェックを行う(ステップ270)。割り
込みが発生すると、システムは、ホルターモードでの動
作と類似した処理モードに入る(ステップ272)。こ
の処理モードに入ると、システムは、モニタ手順を完了
したかについて判定する(ステップ274)。もしシス
テムがモニタ手順を完了している場合には(即ち、それ
以上のデータを獲得しない)、表示装置上のシステム状
態を更新し、データの獲得を停止する(ステップ27
8)。次に、システムはレディコードを表示する(ステ
ップ256)。
【0054】もしシステムがモニタ手順を完了していな
い場合には、RAM FULLフラグがセットされてい
るかについて判定する(ステップ276)。RAM F
ULLフラグがセットされていなければ、システムはイ
ベント/外部接続フラグがセットされているかにつうて
判定する(ステップ280)。イベント/外部接続フラ
グがセットされている場合には、システムは、イベント
または外部接続のどちらがそのフラグのセットをトリガ
したかについて判定する(ステップ284)。イベント
ボタンによってそのフラグがトリガされた場合には、内
部RAMのイベント部分中のその情報を更新する(ステ
ップ286)。また、外部接続によってそのフラグをト
リガした場合には、外部インターフェース・ルーチンを
ランさせる(ステップ288)。この外部インターフェ
ース・ルーチンが完了すると、システムは、パワーアッ
プ初期化シーケンスに抜け出す(ステップ290)。
【0055】イベント/外部接続フラグがセットされて
いない場合(ステップ280参照)か、あるいはイベン
トバッファ内のイベント情報を更新した時(ステップ2
86)、システムは表示を更新する時かどうかについて
判定する(ステップ282)。もし表示を更新する時で
はない場合、システムはパワーダウン・モードに戻る
(ステップ268)。また、表示を更新する時であれ
ば、システムは1日のその更新した時刻を読み取って表
示する(ステップ264)。
【0056】もしRAM FULLフラグがセットされ
ている場合には(ステップ276)、図18に示すステ
ップを実行する。ディスク駆動装置をパワーアップし
(ステップ292)、次にECGデータをデータバッフ
ァからディスク駆動装置に転送する(ステップ29
4)。システムは、この転送が最初のデータ転送かどう
かについて判定する(ステップ296)。もし最初の転
送の場合、クロックの不揮発メモリを更新して、最初の
転送の時刻を反映させる。また、システムは、RAM内
にイベントデータが保持されているかについても判定す
る(ステップ300)。もしイベントデータが有るな
ら、そのイベントデータをRAMバッファからディスク
に書き込む(ステップ302)。
【0057】上記の転送中、システムは、何かエラーが
発生したかについて判定する(ステップ304)。エラ
ーが発生していれば、システムはエラーカウンタを更新
する(ステップ306)。そして、エラー限度を越えた
場合には(ステップ308)、モニタ動作を中止し、エ
ラーコードを表示する(ステップ312)。そのデータ
転送の終了時に、RAMのリードポインタ及びライトポ
インタを更新し、RAM FULLフラグをクリアする
(ステップ310)。更に、ディスク用のリードポイン
タ及びライトポインタも更新する。そして、システム
は、イベント/外部接続フラグをチェックするために戻
る(ステップ280、図17)。
【0058】図19は、図16のステップ248で呼び
出す割り込みルーチンのステップを図示したものであ
る。ホルターモード用の割り込みルーチンと同様、この
ルーチンも前景でランし、一方、図16〜18のルーチ
ンは背景でランする。この割り込みルーチンでは最初
に、諸タイマレジスタを更新する(ステップ314)。
次に、システムは、データ獲得モードにあるかどうかに
ついて判別する(ステップ316)。もしシステムがデ
ータ獲得モードになければ、この割り込みルーチンから
抜け出す(ステップ330)。また、もしシステムがこ
のデータ獲得モードにあれば、増幅器46(図5参照)
のADCバッファから3つのチャンネルのデジタル化し
たECGデータを読み取る。この場合、高分解能モード
では3つのチャンネル全てを利用するので、システムは
第3のチャンネルがイネーブルされた状態であるかにつ
いての判定を行わない。次に、システムはそれらのデー
タを制御器の内部RAMに記憶し、そしてデータバッフ
ァの外部RAMをリフレッシュする(ステップ32
0)。
【0059】その内部RAMが満杯の場合、内部RAM
内のデータをデータバッファの外部RAMの1つに転送
する(ステップ324)。このような転送の後、システ
ムは外部RAMがほぼ満杯であるかについて判定する
(ステップ326)。もしその外部RAMがほほ満杯で
ある場合、RAM FULLフラグをセットする(ステ
ップ328)。ステップ322でのチェック時に内部R
AMが満杯でない場合、ステップ326でのチェック時
に外部RAMがほぼ満杯でない場合、またはステップ3
28においてRAM FULLフラグがセットされた場
合、システムは、この割り込みルーチンを抜け出す(ス
テップ330)。
【0060】図20は、外部インターフェース・ルーチ
ンのステップを示す流れ図である。最初に、システムは
外部インターフェース状態をセットアップする(ステッ
プ332)。続いてシステムは、その現行動作モードを
判別する(ステップ334)。もしシステムがアイドリ
ング・モードの場合、ループし続けてその動作モードの
判別を行う。また、本システムは、外部装置が上記ディ
スク駆動装置と直接通信するようなモードで動作するこ
ともできる。このようなモードで動作する時、システム
はディスク駆動装置を外部データバスに接続する(ステ
ップ336)。前に述べたように、外部データバスは、
外部データ処理システムによるアクセスに専用のもので
ある。システムは、その転送が完了するまで待つ(ステ
ップ340を参照)。転送中にエラーが発生したら(ス
テップ344を参照)、システムはそのエラーを処理す
る(ステップ348)。このような処理によって、シス
テムはそのエラーが回復可能なエラーであるかどうか判
定する(ステップ352)。エラーが回復不可能なもの
である場合、システムは、そのエラー状態を指示する適
切な情報を表示する(ステップ354)。しかしなが
ら、エラーが回復可能であれば、システムはこの外部モ
ードでの処理を継続する。
【0061】外部装置へのデータ転送中にエラーが発生
しなければ、システムは、外部装置が切り離される待機
する。切り離されると、システムは表示装置上に完了状
態を表示する(ステップ354)。また、システムは、
外部装置が制御器48(図4)と通信するモードでも動
作することができる。このモードで動作する時、制御器
48はコマンドを読み取り(ステップ338)、そして
応答を送る(ステップ342)。CPUは次にシステム
の状態をチェックする。もしエラーが発生していたら、
システムはそのエラーを処理する(ステップ348)。
もしCPUが、この外部装置との通信を完了した場合、
再びステップ334に戻り、そこで現行動作モードをチ
ェックする。最後に、システムが新たなコマンドを受け
入れる準備ができているなら、そのコマンドを読み取り
(ステップ338)、そして再び応答を送る(ステップ
342)。
【0062】以上、本発明についてその好適実施例を参
照して説明したが、添付の特許請求の範囲に定めた本発
明の精神及び範囲から逸脱せずに、形状及び詳細におけ
る変更が可能であることは、当業者には理解されるはず
である。例えば、本発明はECGデータに限定されるも
のではない。また、本モニタユニットは、血圧のような
その他のタイプの生理的データを記録するのに用いるこ
ともできる。
【図面の簡単な説明】【図1】歩行可能型ECGモニタユニットの斜視図。
【図2】Aは、図1の歩行可能型ECGモニタユニット
の上面図であり、Bは、そのモニタユニットの背面図。
【図3】電極の代表的な配置及びそれら電極の歩行可能
型ECGモニタユニットへの接続を例示した図。
【図4】図1の歩行可能型ECGモニタユニットの主要
な構成要素を図示したブロック図。
【図5】図4に示したアナログ回路の構成要素を例示し
た、より詳細なブロック図。
【図6】図5のペースパルス検出器回路の構成要素を例
示した、より詳細なブロック図。
【図7】図4の制御器の構成要素を例示した、より詳細
なブロック図。
【図8】図4の制御器の入出力を例示したブロック図。
【図9】図4のデータバッファの構成要素を図示した、
より詳細なブロック図。
【図10】歩行可能型ECGモニタユニットのデータ処
理システムへの接続を例示した図。
【図11】図7のCPU用ソフトウェアの基本動作の流
れ図。
【図12】図7のCPUが実行するホルターモード・ル
ーチンのステップを図示した流れ図。
【図13】ホルターモード・ルーチンの別の部分のステ
ップを図示した流れ図。
【図14】ホルターモード・ルーチンの別の部分のステ
ップを図示した流れ図。
【図15】ホルターモードにある時に、図7のCPUが
実行する割り込みルーチンの流れ図。
【図16】高分解能モードで動作している時に、図7の
CPUが実行するステップを図示した流れ図。
【図17】上記高分解能モードで図7のCPUが実行す
る別の部分のステップを図示した流れ図。
【図18】高分解能モードで図7のCPUが実行する別
の部分のステップを図示した流れ図。
【図19】高分解能モードで割り込みルーチンを走らせ
る時に、図7のCPUが実行するステップを図示した流
れ図。
【図20】外部接続ルーチンを走らせる時に、図7のC
PUが実行するステップを図示した流れ図。
【符号の説明】 10:モニタユニット 12:ハウジング 14:表示装置 16:イベントボタン 18:7ピン・コネクタ 20:スライド式電池ドア 22,24:電池 26:電気コネクタ 28:ピン・コネクタ 33:リードワイア 34aと34b,36aと36b,38aと38b:各
組の電極 134:データ処理システム
 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61B 5/04 R 8119−4C 5/0436  A61N 1/37 7831−4C