【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータのディス
プレイ等に重ねて設けたタッチパネルから、所定の処理
を選出して処理装置に処理する内容を指定するためのタ
ッチパネル入力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明の技術的背景】従来より、CR
Tの画面に重ねた透明なタッチパネルを指で触れること
により、この画面に表れた複数のメニューや項目を選択
するようにした入力装置、すなわちポインティング・デ
バイスが公知である。例えばこの種の装置は銀行のキャ
ッシュディスペンサーなどで広く用いられている。
【0003】しかし必要なメニューや処理の項目数が増
えるにつれ操作キーの数が増えるため、画面が複雑にな
って操作ミスが発生し易くなるという問題があった。一
般のキーボードでは、操作上重要な役割を持ったキー
や、使用頻度の低いキーにはカバーをかけて不注意によ
り操作することがないように処置しているが、タッチパ
ネルにおいてはこのような方法を採用することはできな
い。そこで複数のキ−を同時に操作することによって所
定の処理を指定できるようにすることが考えられてい
る。
【0004】図6はこの場合のタッチパネルのキ−配置
図、図7はその動作流れ図である。タッチパネル1の所
定位置に操作キ−2(2A〜2F)が設定され、それぞ
れをX1 、X2 、X3 、Y1 、Y2 、Y3 とする。まず
1点入力か多点入力かが判定され(図7のステップ10
0)、1点入力なら各キ−2に対応して予め決めた処理
を選出する。多点入力ならその時に操作されたキ−2に
基づいて所定の処理を選出するものであるが、ここでは
2点入力の場合について説明する。
【0005】ここに2点の入力はX1 〜X3 のいずれか
1つと、Y1 〜Y3 のいずれか1つとの2つのキ−操作
により行われるものとする。まずX1 〜X3 のいずれで
あるかを判別し、例えばX3 のキ−2Cが操作中ならば
(図7、ステップ102)、次にY1 〜Y3 のいずれが
操作中かを判別する(ステップ104、106、10
8)。Y1 のキ−2Dが操作中なら処理1を、Y2 のキ
−2Eが操作中なら処理2を、Y3 のキ−2Fが操作中
なら処理3を選出する。X1 、X2 のキ−2A、2Bの
操作中の場合も同様である。
【0006】このように複数のキ−2の同時操作により
所定の処理を選出する場合に、予め決まった数のキ−2
A〜Fの操作の有無を図7のステップ102〜108の
ようにそれぞれ別々に判断したのでは、ステップ102
〜108のような判断のステップが非常に多くなる。こ
のため処理項目を選出するためのプログラムが複雑にな
る。
【0007】
【発明の目的】本発明はこのような事情に鑑みなされた
ものであり、キーの数を増やすことなく選択可能な処理
項目数を増やすことができ、また処理項目を選出するプ
ログラムを簡単にすることができるタッチパネル入力装
置を提供することを目的とする。
【0008】
【発明の構成】本発明によればこの目的は、タッチパネ
ルを用いて所定の処理を選出するタッチパネル入力装置
において、前記タッチパネルに入力した複数の入力点の
入力点数および座標を判別する入力点判別手段と、複数
の入力点が入力された時にこれらの入力点の重心位置を
指定点とする指定点判別手段と、前記各重心位置にそれ
ぞれ対応して別々に割り当てられた処理をメモリするメ
モリ手段と、前記指定点に対応する処理を前記メモリ手
段から選出する処理選出手段とを備えることを特徴とす
るタッチパネル入力装置により達成される。
【0009】ここにタッチパネルとして、例えば抵抗膜
方式のものが使用でき、この場合には入力時の入力時間
差から2点入力など多点入力を判別できる。この抵抗膜
方式以外のもので複数の入力点を別々に識別できる方式
のものを用いる場合には、これらの入力点の数と座標を
求める。
【0010】
【実施例】図1はタッチパネルの一例を示す図、図2は
その動作流れ図、図3は一実施例の機能ブロック図、図
4は重心位置検出説明図、図5は抵抗膜方式のタッチパ
ネルに用いる入力点判別手段の原理説明図である。
【0011】図1で符号10は抵抗膜方式のタッチパネ
ルである。このタッチパネル10は透明であって、CR
Tなどの表示画面に重ねられて指で触れるようになって
いる。この表示画面にメニュー画面や項目入力画面が表
示される図1の状態においては、選択可能なメニューあ
るいは項目に対応して複数(この実施例では4個)のキ
ー12(12A〜F)の画像が表れている。
【0012】ここにキー12A〜CはX1 、X2 、X3
に対応し、キー12D〜FはY1 、Y2 、Y3 に対応す
る。この実施例では1点指定と2点指定が可能であり、
2点指定はX1 、X2 、X3 のいずれか1つと、Y1 、
Y2 、Y3 のいずれか1つとで指定される。2つのキー
の中間位置Z31、Z22、Z13等にメニュー・項目処理を
対応させる。以下その構成を説明する。
【0013】抵抗膜式タッチパネル10は、所定間隔を
保って対向する2枚のフィルムの対向面に蒸着された透
明な抵抗膜をもつ。指先でこのフィルムを押すことによ
り両抵抗膜が接触した時に流れる電流から接触点の座標
すなわち入力点の座標が検出されるものである。
【0014】図4のように2つの入力点P、Qを時間差
をもって入力した場合については、まず始めの1点Pに
ついての座標(x1 、y1 )を求める。その後、次の点
Qの入力により変化した抵抗値すなわち電流値の変化量
に基づいて、点Qの座標(x1 ′、y1 ′)が求められ
る。このように求めたP、Q点の座標の重心位置Rが計
算により求められる。
【0015】このようにして図1におけるキ−X3 とY
1 の中間点すなわち重心Z31が求められる。同様にキ−
Y2 とY2 の重心Z22、キ−X1 とY3 の重心Z13が求
められる。なおこの図では3つの重心Z31、Z22、Z13
だけが示されているが、他の組合せによる重心、例えば
Z32、Z33…などを設定しておいてもよいのは勿論であ
る。そして3点以上の入力による場合には、これらの入
力を時間差をもって順に行えばこれら3点以上の座標を
順次求めてからこれらの重心位置が求めることができ
る。
【0016】
【入力点判別】次に入力点判別手段20(図3)を説明
する。抵抗膜式タッチパネル10を用いて、2点を入力
する場合に、最初の1点を入力した時点では、1点入力
なのか2点入力なのか判別できない。そこで1点入力の
場合は図5の(A)に示すように、キー(k1 )をオフ
にしたことを判別してこの時点t1 からこのキー
(k1)に対する処理を行うようにする。
【0017】また2点入力の場合には図5の(B)に示
すように、始めに入力したキー(k1 )がオンの間に次
のキー(k2 )がオンになったことを判別して、この時
点t2 から両キー(k1 とk2 )の中間位置すなわち重
心Zが求められる。
【0018】なおこの重心Zは、例えば重心Z31は、X
3 の入力点(x3 、y3 )とY1 の入力点(x1 、y
1 )との2つの座標の平均値((x3 +x1 )/2、
(y3 +y1 )/2)として求めることができる。しか
しこの場合にはX3 、Y1 に対応するキ−12C、12
Dの領域が広いので、Z31として求めた座標も一定の領
域として設定しておく必要が生じる。このためこのZの
領域同志が重ならないようにしなければならず、設定可
能なZの数が制限されることになる。そこでキ−12
C、12Dが入力されたら、その中の一点例えば中心点
の座標を入力点の座標とし、この中心点同志の重心Zを
求めるようにすれば、重心Zを1点で設定できる。従っ
てこの場合には重心Z同志が重なることがほとんど無く
なり、設定可能なZの数を増大させることが可能にな
る。
【0019】なお3点以上のn点の入力については、
(n−1)個の点までは図5の(A)と同様にキーのオ
フに基づいて検出し、n個目の点についてキーのオンに
基づいて検出するようにすればよい。
【0020】
【指定点判別】このようにして1点あるいは多点の入力
が行われると、指定点判別手段22(図3)はこの入力
によりタッチパネル10(図1)のどの位置を指定した
かを判別する。すなわち1点入力の場合は、キー12A
〜Fのいずれか1つのキーのみがオンとなるから、この
表示画面上のキー12A〜Fに対応する位置が指定点と
される。2点入力の場合にはこの入力した2点の中間点
すなわち重心の位置を求め、この位置を指定点とする。
【0021】
【メモリ手段】メモリ手段24は、タッチパネル10上
の各キ−12A〜Fと、各重心Zのそれぞれに対応して
割り当てた処理1、2、〜をメモリしている。すなわち
各キ−12A〜Fに対する6つの処理と、重心Zの設定
数と等しい数の処理とをメモリしている。
【0022】
【処理選出】処理選出手段26は指定点判別手段22に
よって判別した指定点に対応する処理をメモリ手段24
から読出してその結果を処理装置28に出力する。すな
わち1点指定により指定点X1 、X2 、X3、Y1 、Y2
 、Y3 のいずれかが操作されると、これに対応する処
理をメモリ手段24から読出し、また2点指定により重
心Zが指定されるとこの重心Zに対応する処理がメモリ
手段24から読出される。処理装置28はこの読出され
た処理の演算を行う。
【0023】
【動作】以上の動作を図2を用いて説明すると次のよう
になる。まず1点指定か多点指定かが入力点判別手段2
0により判別される(ステップ200)。1点指定なら
指定点判別手段22はこの点を指定点とする。2点指定
あるいは多点指定の場合には、入力された点の重心を求
め、この重心を指定点とする(ステップ202)。指定
点が決ると次に処理選出手段26はこの指定点に対応す
る処理をメモリ手段24から読出し、処理装置28にそ
の結果を送出する。例えば指定点が多点指定なら、まず
この指定点がZ31か否か判別し(ステップ204)、Z
31なら処理1を、同様にZ32なら処理2を(ステップ2
06)、Z33なら処理3を(ステップ208)、という
ようにして、順次対応する処理を選出する。
【0024】処理装置28はこのように処理選出手段2
6により選出された処理を行う。このようにタッチパネ
ル10上の指定点X1 、X2 、X3 、Y1 、Y2 、Y
3 、およびZ(Z31、Z32…など)に対応するそれぞれ
の処理をメモリ手段24にメモリしておくから、判断の
ステップ204、206、208等の数が減少する。こ
のため処理項目を選出するプログラムが簡単になる。
【0025】なお重心Zに対応する処理は通常は表示画
面には表れていないのは勿論であるが、適宜にこれを確
認するために表示画面に表示できるようにしておくこと
も可能である。また3点以上の入力による場合には、こ
れらの入力点の重心位置が指定点とされ、各指定点に対
する処理がメモリ手段24にメモリされている他は前記
の2点指定の場合と同様である。
【0026】
【他の実施例】以上の実施例では抵抗膜式のタッチパネ
ル10を用いているのが、本発明はこの方式以外のタッ
チパネル10Aを用いて各入力点を別々に検出するもの
にも適用できる。例えば光センサを内蔵するライトペン
により、表示画面の走査点の光がこのライトペンに入力
されたタイミングから入力点の座標を求めるライトペン
方式が使用できる。また前記実施例は1点入力と2点
(多点)入力とを併用しているが、本発明は1点入力を
省いたものであってもよい。
【0027】
【発明の効果】請求項1の発明は以上のように、タッチ
パネルによる複数の入力点の座標を検出し多点指定の場
合には入力点の重心を指定点とするように指定点を判別
し、この指定点のそれぞれに対応する処理を予めメモリ
したメモリ手段から読出して対応する処理を行うもので
あるから、少ない数のキーによって選択可能なメニュー
・項目の数を増やすことができる。また指定点ごとに処
理を対応させているから処理項目を選出するプログラム
が簡単になる。
【0028】ここに抵抗膜式タッチパネルを用いる場合
には、多点入力時の入力時間差から入力点数と各点の座
標とを検出することができる(請求項2)。また請求項
3の発明によれば、複数の入力点の数と座標とを別々に
識別し、これらの入力点の重心位置を指定点とするもの
であるから、前記請求項1と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】【図1】タッチパネルの一例を示す図
【図2】その動作流れ図
【図3】本発明の一実施例の機能ブロック図
【図4】重心位置検出説明図
【図5】入力判別手段の原理説明図
【図6】従来のタッチパネルのキ−配置を示す図
【図7】その動作流れ図
【符号の説明】 10 抵抗膜式タッチパネル 12 キー 20 入力点判別手段 22 指定点判別手段 24 メモリ手段 26 処理選出手段 28 処理装置