【考案の詳細な説明】(産業上の利用分野)  本考案は硬貨の選別、計数、包装等を行なう硬
貨の処理に用いられるもので、その処理機におけ
る硬貨送り用のフイードベルトの駆動に関するも
のである。
(従来の技術)  上記した硬貨の処理機においては回転盤上の硬
貨が遠心力で硬貨通路内に導かれここでフイード
ベルトと接して送出されるものであり、この硬貨
通路内に達するまでに小分別環部分において硬貨
厚みに設定されるとともに、前記フイードベルト
は伝動部分のカバーとともに開閉されるようにな
つていて、硬貨通路上などにおける硬貨の詰り等
を除去し得るようになつている。
  しかしてこのカバー内においてモータよりフイ
ードベルトの駆動プーリーへの伝動は伝動ベルト
方式とギヤー方式とが用いられていた。即ち伝動
ベルト方式ではベルトを3角形状に張架し、その
一辺に前記駆動プーリーと同軸上のドラムが圧接
して伝動ベルトの駆動即ち前記駆動プーリーへの
伝動を行なつていた。又ギヤー方式では前記駆動
プーリーと同軸上のギヤーが伝動系中に介入され
て伝動を行なうものであつた。
(考案が解決しようとする課題)  上記従来技術では構造が複雑となるばかりか、
ドラムやギヤーに対しそれ相当の加圧機構を設け
て動力のスリツプや不均一を防がなければならな
い欠点があり、伝動ベルトも張力がかかつたり緩
んだりと一定ではないため耐久性に欠けるもので
あつた。
  そこで、本考案はフイードベルトのカバーを開
閉する際に、そのフイードベルトへ駆動力を伝え
る伝動ベルトへかかる負荷を低減させることがで
きる硬貨処理機のフイードベルト駆動装置を提供
することを目的とする。
(課題を解決するための手段)  上記目的を達成するために、本考案は、フイー
ドベルトと従動プーリーとを支持するカバーの枢
軸の延長線上に原動プーリーの軸線が設定される
とともに、本体上に支持されるとともに、上記従
動プーリーと原動プーリーとの間で且つ上記カバ
ー側に設けられる垂直方向の軸に回転自在に支持
される一対のアイドルプーリーと、上記従動プー
リー、アイドルプーリー、原動プーリーに張架さ
れる伝動ベルトとにより構成されることを特徴と
する。
(作用)  上記構成により、本考案は従動プーリーからア
イドルプーリーを介して、原動プーリーに至るま
での伝動ベルト架け渡し距離を、フイードベルト
及び従動プーリー等を支持するカバーの開閉にか
かわらず一定に保つことができ、伝動ベルトに負
荷をかけることなくカバーの開閉が行なえる。
(実施例)  次に、図面に示した本考案の実施例について詳
細に説明する。
  1は回転盤で供給される硬貨に遠心力を与えて
大分別環2の内周に沿つて回動する。
  大分別環2の切欠部より案内レール3,4によ
り構成される案内通路5が設けられ該通路5には
図示されていないが周知の如く硬貨の選別孔や計
数装置又はストツパー等が設けられる。
  前記大分別環2の切欠部に位置して形成される
小分別環6は、伝動部分7を覆うカバー8と合体
であり、カバー8は枢軸9を中心に回動して開閉
される。
  カバー8内には、フイードベルト10が張架さ
れる駆動プーリー11,12、硬貨押え板13、
従動軸14、従動プーリー15を有し更にカバー
8の開閉レバー16、ロツク爪17を有し、金種
ダイヤル(図示せず)と連動して上下調節される
ロツクピン19と係脱するようになつている。更
に本考案では、前記カバー8内に2連形のアイド
ルプーリー20,20が、カバー8に対し垂直な
方向に設けた軸21に遊嵌されるとともに、前記
カバー8の開閉用枢軸9と同心上に位置して原動
軸22が位置するようにモータ23が本体18上
に設けられ、該原動軸22に設けた原動プーリー
24と、前記アイドルプーリー20,20を介し
て従動プーリー15に伝動ベルト25が張架され
るものである。
  しかして、上記実施例の作用を説明すると、回
転盤1上に供給された硬貨は遠心力により小分別
環6の下を通り、選別硬貨より厚い硬貨は排除さ
れ所定の硬貨のみフイードベルト10で硬貨通路
5内を通過する。しかして小分別環6や硬貨通路
5内等で硬貨が停留したりした場合、開閉レバー
16を回転してロツク爪17をロツクピン19よ
り外して開閉レバー16を持ち上げると、枢軸9
を中心としてカバー8は容易に開かれ詰つた硬貨
は取り出すことができる。この際アイドルプーリ
ー20,20と従動プーリー15は枢軸9即ち原
動軸22を中心として回動するので、アイドルプ
ーリー20,20は、原動プーリー24の中心を
軸とする同心円上を回動するので伝動ベルト25
には何等の変化もなく作動するものである。
(考案の効果)  以上の如く本体側に位置するモータと直結する
原動プーリーと、フイードベルトの駆動用のカバ
ー側に取付けた原動プーリーや、従動プーリーと
が、カバーの開閉においてその相対位置の何等の
変化がなく従つて伝動ベルトに伸縮などの悪作用
がなく該ベルトへの加圧も必要なく開閉が軽快で
しかもベルトの耐久性を向上する。
【図面の簡単な説明】  図は本考案装置の実施例を示したもので第1図
は平面図、第2図は第1図の−線の断面図、
第3図は同じく−線における断面図である。  6……小分別環、7……伝動部分、8……カバ
ー、9……枢軸、10……フイードベルト、1
1,12……駆動プーリー、14……従動軸、1
5……従動プーリー、18……本体、20……ア
イドルプーリー、21……軸、22……駆動軸、
23……モータ、24……原動プーリー、25…
…伝動ベルト。