【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板上への電極形成な
どに用いられるレジストの加熱を行うレジスト加熱装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】図4は、従来のレジスト加熱装置1の正
面図である。側板3a,3bに、先端にころ5a,5b
を取付けたシャフト4a,4bがベアリング6a,6b
を介して回転自在に複数個設置されている。側板3a,
3b間で、ころ5a,5bは、基板7を搬送することが
できる間隔をあけて設置されている。ころ5a,5b上
に載置されている基板7は、電熱線が内臓されたホット
プレート2a,2bに図4の上下方向から挟まれている
。
【0003】基板7は、たとえば液晶表示素子のITO
(インジウム錫酸化物)の電極形成工程の途中の状態で
あり、透明な基板上にITO膜が形成されて、その上に
レジストが塗布されている。
【0004】基板7は、シャフト4a,4bの回転に伴
うころ5a,5bの回転によってホットプレート2a,
2b間を搬送される。この際、基板7は、ホットプレー
ト2a,2bによって加熱されて基板7のレジストが硬
化する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】レジスト加熱装置1を
用いる場合、ホットプレート2a,2bと基板7とが接
触していないため、ホットプレート2a,2bは、先ず
ホットプレート2a,2bと基板7との間の空気を加熱
する。空気が加熱された後に、加熱された空気が基板7
を加熱するため基板7の温度上昇に時間がかかるという
問題がある。また、このためレジストの加熱時間が長く
なり、基板7の搬送経路が長くなり、レジスト加熱装置
1が大形化するという問題がある。
【0006】また、前述と同様な理由から、ホットプレ
ート2a,2bと基板7との間隔を5mmより広くする
と基板7の加熱が不十分となるため、ころ5a,5bを
1本のシャフトに取り付けることができない。したがっ
て、ころ5a,5bはそれぞれ別個のシャフト4a,4
bに取付けなければならない。ころ5a,5b上に基板
7が乗載すると、基板7の重みでシャフト4a,4bの
ころ5a,5bを取付けた端部が、下方に傾く。
【0007】このため、シャフト4a,4bの回転を良
好に行うことができず、回転速度の低下や、シャフト4
a,4bの同期を取ることが困難であるという問題があ
る。またシャフト4a,4bとベアリング6a,6bと
に無理な力が掛かり、シャフト4a,4bおよびベアリ
ング6a,6bが破損するなど、レジスト加熱装置1の
信頼性が低い。
【0008】他の従来例として、基板7とホットプレー
トとを接触させる加熱装置がある。この場合、ホットプ
レートが直接基板7を加熱するため、基板7の温度上昇
は速やかに行われる。しかしながら、基板7を搬送する
搬送機構がいわゆるウォーキングタイプとなるため、加
熱装置の構造が複雑になり、また大形化する。また、装
置が複雑なため装置の信頼性が低いという問題がある。さらに、ホットプレート上への基板7の載置やホットプ
レート上からの移送といった基板7の搬送工程に時間が
かかり、装置のサイクル時間が長いという問題がある。
【0009】本発明の目的は、加熱時間が短縮され、加
熱時間の短縮による基板の搬送経路の短縮および構成の
簡略化によって小形化を実現し、かつ信頼性が向上する
レジスト加熱装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に塗布
されたレジストの加熱を行うレジスト加熱装置において
、基板およびレジストに赤外線を照射してレジストの加
熱を行うことを特徴とするレジスト加熱装置である。
【0011】
【作用】本発明に従うレジスト加熱装置では、基板およ
びレジストに赤外線を照射する。基板およびレジスト上
で赤外線が熱エネルギーに変換されて基板およびレジス
トの加熱が行われ、レジストが硬化する。たとえば、基
板上に塗布されたレジストを用いて基板上に形成されて
いる導電性材料から電極を形成する際、塗布されたレジ
ストに対してレジスト加熱装置で加熱を行い、レジスト
を硬化させる。レジストは、赤外線の熱エネルギーによ
って直接加熱されるので、熱効率が向上し、加熱時間を
短縮することができる。
【0012】
【実施例】図1は、本発明の一実施例であるレジスト加
熱装置11の正面図であり、図2は図1に示される切断
面線II−IIから見た断面図である。一対の側板13
a,13bにわたって複数のシャフト14がベアリング
16a,16bを介して回転自在に設置されている。シ
ャフト14には、一対のころ15a,15bが搬送する
基板17の幅に対応する位置に取付けられている。ころ
15a,15b上には基板17が載置され、基板17の
上下には赤外線照射装置12a,12bが設置されてい
る。基板17は、複数のシャフト14の回転に伴うころ
15a,15bの回転に伴って赤外線照射装置12a,
12b間を搬送される。
【0013】基板17は、たとえば液晶表示素子のIT
O(インジウム錫酸化物)の電極形成工程の途中の状態
であり、透明な基板上にITO膜が形成され、その上に
レジストが塗布されている。
【0014】赤外線照射装置12a,12bから照射さ
れる赤外線は、基板17に衝突することによって熱エネ
ルギーに変換される。このため、従来例で説明したホッ
トプレートによる加熱に比べて、基板17の温度は速や
かに上昇する。
【0015】従来技術の基板7とホットプレート2a,
2bとの間隔が5mmに設定されたレジスト加熱装置1
を用いて基板17を加熱すると、100℃に達するのに
90秒要したけれども、本実施例のレジスト加熱装置1
1を用いれば、基板17と赤外線照射装置12a,12
bとの間隔が50mmであるにもかかわらず、40秒で
基板17が100℃に達した。
【0016】ITO膜とレジストとの剥がれにくさを表
す密着強度は、後述する電極形成工程で形成される電極
のサイドエッチ量を測定することによって評価すること
ができる。
【0017】膜厚1100ÅのITO膜を、47%HB
r(臭化水素)溶液を基板17に対する圧力が0.5k
gf/cm2となるようなシャワーを用いて45℃、1
20秒の条件でエッチングする際、ITO膜上のレジス
トに対して、従来技術のレジスト加熱装置1で3分間加
熱したものと、本実施例のレジスト加熱装置11で2分
間加熱したものとが同じ密着強度を有することが確認さ
れた。
【0018】以上のように、赤外線照射装置12a,1
2bを用いれば、加熱時間を短縮することができる。ま
た、加熱時間の短縮によって基板17の搬送経路を短縮
することができるため、レジスト加熱装置11を小形化
することができる。
【0019】前述のように、基板17と赤外線照射装置
12a,12bとの間隔を50mmにも広くとることが
できるため、図1に示すようにシャフト14を側板13
a,13bにわたって設置することができる。このため
、ころ15a,15b上に基板17が乗載することによ
ってシャフトが傾くことがないため、回転速度の低下を
防ぐことができる。また、シャフト14を側板13a,
13bにわたって設置するため、ころ15a,15bが
同時に回転し、同期をとる必要がなく、また回転駆動手
段の数を半減することができる。
【0020】図3は、液晶表示素子に用いられる電極形
成の工程を説明する工程図である。工程a1では、透明
な基板上にITO膜を形成し、工程a2ではITO膜上
にレジストが塗布される。工程a3では、前述のレジス
ト加熱装置11によってレジストが硬化され、硬化され
たレジストは、工程a4で形成する電極に応じた露光が
行われて、工程a5で現像される。工程a6でITO膜
が電極上にエッチングされ、工程a7で電極上のレジス
トが剥離され、工程a8で洗浄されて電極が完成する。
【0021】以上のように本実施例によれば、基板17
の加熱に赤外線照射装置12a,12bを用いるため、
加熱時間を短縮することができる。また加熱時間の短縮
によって、基板17の搬送経路を短縮することができる
ため、レジスト加熱装置11を小形化することができる
。また、ころ15a,15bを1本のシャフト14上に
取付けるため、ころ15a,15bの同期をとる必要が
なく、また、シャフト14の回転駆動手段を従来例に比
べて半減させることができる。また、シャフト14を側
板13a,13bにわたって設置するため、ころ15a
,15b上に基板17を乗載してもシャフト14が傾く
ことはなく、回転速度が低下することを防止することが
できる。
【0022】したがって、加熱時間が短縮され、加熱時
間の短縮による基板の搬送経路の短縮、および搬送機構
の簡略化によって装置の小形化を実現することができ、
レジスト加熱装置の信頼性が向上する。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、基板およびレジストの
加熱を赤外線を照射することによって行う。このため、
短時間で加熱を完了することができ、また赤外線の照射
位置と基板およびレジストとの間隔を広く取ることがで
きる。したがって、加熱時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明の一実施例であるレジスト加熱装置11
の正面図である。
【図2】図1に示される切断面線II−IIから見た断
面図である。
【図3】液晶表示素子に用いられる電極形成の工程を説
明する工程図である。
【図4】従来のレジスト加熱装置1の正面図である。
【符号の説明】11 レジスト加熱装置12a,12b 赤外線照射装置17 基板