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JP7571037B2 - 眼表面疼痛を治療する方法 - Google Patents

眼表面疼痛を治療する方法
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関連出願の参照
本願は、米国仮特許出願第62/806,682号明細書に対する優先権を主張し、その全体が本明細書に援用される。
本開示は、4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(化合物I)を用いて眼表面疾患又は障害を治療する方法に関する。
眼表面、特に角膜は、感覚神経により密に神経支配されている。角膜神経の活性は、浸透圧ストレスや組織損傷、さらには眼表面の神経傷害などのいくつかの因子に起因する炎症により修飾可能である。眼表面症状は、眼表面のストレス及び感作を引き起こす持続刺激により慢性眼表面疼痛をもたらすアンバランス眼表面ホメオスタシスの指標となるアラームシステムである。
眼表面疼痛、特に慢性眼表面疼痛に罹患している患者は、生活の質が有意に低下する。これまでのユーティリティー研究では、重度慢性眼表面疼痛の負荷は、中度~重度アンギナ、透析又は障害性股関節骨折にたとえられてきた。重度慢性眼表面疼痛は、鬱病及び自殺念慮にも関連付けられてきた。多くの患者では、眼表面疼痛は、根底にある病理(例えば、最近の外傷若しくは手術、感染又は炎症)の治療にもかかわらず未解決のままである。さらに、眼性疼痛の短期管理に使用される治療剤(例えば、非ステロイド系抗炎症薬剤、ステロイド剤)は、長期療法に使用できない。そのため、患者の生活の質の向上又は現在の治療剤の補足のための他の選択肢が存在しないとき、眼表面疼痛、特に慢性眼表面疼痛の治療のための安全で有効な治療剤に対する長い間の切実で満たされない必要性が存在する。
一実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の、構造:
Figure 0007571037000001

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に点眼することを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、エピソード性又は急性疼痛である。いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、少なくとも約3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛(COSP)である
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、対象の角膜に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で対象に投与される。特定実施形態では、式Iの化合物は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約5mg/ml~約35mg/ml、約5mg/ml~約25mg/ml又は約5mg/ml~約15mg/ml、約5mg/ml~約30mg/ml、約10mg/ml~約25mg/ml、約15mg/ml~約30mg/ml又は約5mg/ml~約25mg/mlの濃度で対象に投与される。特定実施形態では、式Iの化合物は、約5mg/ml、約10mg/ml、約15mg/ml、約20mg/ml、25mg/ml、約30mg/ml又は約35mg/mlの濃度で投与される。
本明細書に記載の眼表面疼痛の治療方法のいくつかの実施形態では、COSPは、ドライアイ疾患に伴うものである。いくつかの実施形態では、投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす。特定実施形態では、投与は、ドライアイ疾患に伴う眼性疼痛の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす。
本明細書に記載の眼表面疼痛の治療方法のいくつかの実施形態では、対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しく水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者の1つ以上に罹患している。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象は、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術又はレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛に罹患している。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の眼表面疼痛の治療方法は、追加の治療剤を対象に投与することを含む。
本明細書に記載の眼表面疼痛の治療方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、視覚的アナログスケール(VAS)で測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、疼痛スコアの低減をもたらす。さらなる実施形態では、対象への化合物Iの投与は、VASで測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、対象の疼痛スコアの低減をもたらす。
本明細書に記載の眼表面疼痛の治療方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、プラセボと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約25%の、対象の疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、対象への化合物Iの投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与の疼痛スコアの低減は、対象への化合物Iの投与後の約半時間以内に生じる。
本明細書に記載の眼表面疼痛の治療方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、マクモニーズ(McMonnies)スケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、対象における充血の低減をもたらす。
本明細書に記載の眼表面疼痛の治療方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、プラセボと比較して、最高矯正視力、細隙灯生体顕微鏡検査、散瞳検査、まばたき速度、涙液産生、眼内圧の1つ以上の変化をもたらさない。
本明細書に記載の眼表面疼痛の治療方法のいくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間又は少なくとも約3ヶ月間にわたって投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、3ヶ月間超にわたって投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、1日1~4回投与される。特定実施形態では、式Iの化合物は、1日1~2回投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の治療又は低減に使用するための、式I
Figure 0007571037000002

の化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶に関する。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、急性又はエピソード性眼表面疼痛である。いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛である。
本明細書に記載の使用のいくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される。
本明細書に記載の使用のいくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vの濃度で投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、式I
Figure 0007571037000003

の化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶である活性成分を含有する、眼表面疼痛を治療又は低減するための医薬に関する。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、急性又はエピソード性眼表面疼痛である。いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛である。いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、少なくとも3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛である。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vの濃度で投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の治療又は低減のための医薬の製造における、式I
Figure 0007571037000004

の化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶の使用に関する。
いくつかの実施形態では、化合物Iの使用は、急性又はエピソード性眼表面疼痛に対するものである。いくつかの実施形態では、化合物Iの使用は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛に対するものである。
本明細書に記載の使用のいくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される。
本明細書に記載の使用のいくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vの濃度で投与される。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼表面疼痛の低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
Figure 0007571037000005

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に点眼することを含み、式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される、方法に関する。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、急性又はエピソード性眼表面疼痛である。いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛である。
本明細書に記載の眼性疼痛の低減方法のいくつかの実施形態では、COSPは、ドライアイ疾患に伴うものである。
本明細書に記載の眼表面疼痛の低減方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす。
本明細書に記載の眼表面疼痛の低減方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、ドライアイ疾患に伴う眼性疼痛の減少をもたらす。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛の低減を必要とする対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しく水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者の1つ以上に罹患している。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の眼表面疼痛の低減方法は、追加の治療剤を対象に投与することを含む。
本明細書に記載の眼表面疼痛の低減方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、視覚的アナログスケール(VAS)で測定されたとき、化合物の投与前の疼痛スコアと、比較して少なくとも約3の、対象の疼痛スコアの低減をもたらす。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、視覚的アナログスケール(VAS)で測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、疼痛スコアの低減をもたらす。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、VASで測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、対象の疼痛スコアの低減をもたらす。
本明細書に記載の眼表面疼痛の低減方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、プラセボと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約25%の、対象の疼痛の低減をもたらす。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、対象への化合物Iの投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる。
本明細書に記載の眼表面疼痛の低減方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、マクモニーズスケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、対象における充血の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、本開示は、眼充血の低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
Figure 0007571037000006

を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に点眼することを含み、式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される、方法に関する。
本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、マクモニーズスケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、眼充血の低減をもたらす。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象への化合物Iの投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす。
眼充血の低減方法のいくつかの実施形態では、対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しく水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者の1つ以上に罹患している。
眼充血を低減するための本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態は、追加の治療剤を対象に投与することをさらに含む。
本発明の特定の好ましい実施形態は、特定の好ましい実施形態の下記のより詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
視覚的アナログスケール(VAS)経時的疼痛アセスメントのモデル推定平均(+/-SE)を示す(一次PD解析セット)。経口レスキュー投薬使用発生率のヒストグラムを示す(経口レスキュー投薬を使用しなかった患者数)(二次PD解析セット)。期間の各々に対して、右のバーは、化合物Iが投与された対象を表し、一方、左のバーは、媒体が投与された対象を表す。経口レスキュー投薬(ORM)を使用しなかった患者のパーセントは、y軸に提示される。n/Nは、各治療での患者の数/合計数を表す。図3:質問4、5及び6に対する経時的眼性疼痛アセスメント調査(OPAS)の算術平均(+/-SD)を提供する(二次PD解析セット)。図3Aは、質問4:最大疼痛時の24時間眼性疼痛(疼痛レベル)の結果を提供し、図3Bは、質問5:最小疼痛時の24時間眼性疼痛(疼痛レベル)の結果を提供し、且つ図3Cは、平均の24時間眼性疼痛(疼痛レベル)の質問6の結果を提供する。図3A、3B及び3Cの各々に対して、「×」を有する破線は媒体を表し、且つ丸(o)を有する実線は化合物Iを表す。(上記の通り。)(上記の通り。)図4:質問22、23、24及び25に対する経時的眼性疼痛アセスメント調査(OPAS)の算術平均(+/-SD)を提供する(二次PD解析セット)。図4Aは、質問22:発赤を伴う眼性疼痛の頻度(%)の結果を提供する。図4Bは、質問23:灼熱感を伴う眼性疼痛の頻度(%)の結果を提供する。図4Cは、質問24:知覚を伴う眼性疼痛の頻度(%)の結果を提供する。図4Dは、質問25:流涙を伴う眼性疼痛の頻度(%)の結果を提供する。図4A、4B、4C及び4Dの各々に対して、「x」を有する破線は媒体を表し、且つ丸(o)を有する実線は化合物Iを表す。(上記の通り。)(上記の通り。)(上記の通り。)図5:図5Aは、1日目の2.5%化合物Iの局所眼投与後の化合物Iの算術平均(SD)血漿中濃度を提供する(PK解析セット)。図5Bは、4日目の2.5%化合物Iの局所眼投与後の化合物Iの算術平均(SD)血漿中濃度を提供する(PK解析セット)。(上記の通り。)図6:図6Aは、化合物Iに対する経時的眼充血のバーチャートを提供し、図6Bは、媒体に対する経時的眼充血のバーチャートを提供する。四分円は、S:上側、N:鼻側、I:下側及びT:耳側である。(上記の通り。)経時的上皮欠損サイズの算術平均(+/-SD)を提供する(安全性解析セット)パラメーター(単位):上皮創傷サイズ(mm)、サブカテゴリー:面積(mm2)。「×」を有する破線は媒体を表し、且つ丸(o)を有する実線は化合物Iを表す。
「TRPV1受容体」は、分子クローニング及び薬理によって特徴付けられてきた一過性受容体電位バニロイド1を指す。例えば、Caterina MJ,et al.,Nature 1997;389:816-824を参照されたい。TRPV1受容体活性は、全体が参照により本明細書によって援用される国際公開第2005/120510号パンフレットにおいて記載されるとおりに測定される。
語「有効量」の本明細書に記載される化合物は、哺乳動物内でその所期の機能を果たすのに必要又は十分な治療用化合物の量を指す。治療用化合物の有効量は、哺乳動物において既に存在する原因物質の量、年齢、性別及び哺乳動物の体重並びに哺乳動物における眼表面障害及び/又はその症状を治療するための本開示の治療用化合物の能力などの要因に従って変動し得る。
語句「眼科的に適合する」は、合理的なベネフィット/リスク比に対応して、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の眼組織との接触における使用に好適である製剤、ポリマー並びに他の物質及び/又は剤形を指す。
本明細書で使用する場合、ある疾患又は障害に関係する用語「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、いくつかの実施形態において、疾患又は障害を改善すること(すなわち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発達を遅らせるか又は阻止するか又は低減すること)を指す。別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、患者により識別可能でない可能性のあるものを含む少なくとも1つの身体的パラメーターを軽減又は改善することを指す。さらに別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、身体的パラメーターの安定化)のいずれか又は両方で疾患又は障害を調節することを指す。さらに別の実施形態では、「治療する」、「治療すること」又は「治療」は、疾患若しくは障害又はその症状の発症又は発達又は進行を予防するか又は遅らせることを指す。
本明細書で使用する場合、用語「対象」又は「患者」は、ヒト並びに霊長類、ウサギ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ、ヒツジ及び雌ウシを含むがこれらに限定されない非ヒト哺乳動物を指す。特定の実施形態では、対象又は患者はヒトである。いくつかの実施形態では、用語「患者」又は「対象」は、本明細書に記載される病態(すなわち、疾患又は障害)にかかっており且つ治療から恩恵を被るであろうヒトを指す。本明細書で使用する場合、対象は、そのような対象(患者)が、そのような治療から生物学的に、医学的に又は生活の質において恩恵を被る場合、治療「を必要とする」。特定の実施形態では、対象は、少なくとも約18歳の成体のヒトである。特定の実施形態では、対象は、約18~約75歳の成体のヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、約18歳以下のヒトの子供である。
本明細書で使用する場合、「眼表面」は、解剖学的に角膜(上皮、ボーマン層、角膜実質、デスメ膜、内皮を有する)、結膜、結膜嚢及び角膜縁、すなわち、縁を含む眼の外表面を指す。
本明細書で用いられる場合、眼投与は、角膜、結膜、盲管、角強膜接合部すなわち角膜縁などの眼表面の全ての部分を含めて眼の全ての部分への投与を含む。
本明細書で使用する場合、「疼痛」は、限定はされないが、刺すような、鈍い、鋭い又はうずきとして説明される常時又は断続的な実際の痛みの感覚を指す。疼痛は、限定はされないが、灼熱感、刺痛、ざらつき、異物感、乾き、砂っぽい、疲労した、痒い、ちくちくする、光に対する過敏性などの同様の関連する記述語も指す。
本明細書で使用する場合、「眼表面疼痛」は、眼の表面、例えば、角膜の疼痛を指す。眼性疼痛は、一般に、角膜手術、炎症又は角膜表面に対する他の損傷などの外部の物理的又は化学的損傷刺激によって引き起こされる侵害受容性の疼痛であり得る。眼性疼痛は、侵害性刺激の存在にもかかわらず中枢神経系及び脳に送られている疼痛のメッセージをもたらす、身体のニューロンに対する直接的な損傷に起因して生じ得る神経因性疼痛から引き起こされる場合もある。本明細書で使用する場合、「眼表面疼痛」は、侵害受容性疼痛及び神経因性疼痛の両方を含む。
本明細書で使用する場合、用語「視覚的アナログスケール」(VAS)は、対象が通常、疼痛のレベルとともに整列させるスケールに対して位置をマークする疼痛強度の尺度である。疼痛は、「疼痛なし」(0のスコア)及び「最悪の疼痛」又は「想像できる最悪の疼痛」(100のスコア)の範囲においてマークされる。例えば、Hawker,et al.,Arthritis Care & Research 63(11),pp.S240-S252(November 2011)を参照されたい。疼痛の程度を評価するのを助けるために使用され得るいくつかの他のよく設計された疼痛スケールがある。対象が疼痛を等級付けするために数を使用する数値評価スケール(NRS)が使用されることが多い。数値スケールは、1~10又は1~100であり得る。Wong-Baker FACES疼痛スケールは、疼痛の等級付けのために絵及び数字を組み合わせる。それは、3歳を超える子供及び成人において使用され得る。6つの顔は、良好から非常に不調の範囲の異なる表情を表す。各々が、0(ほほえんでいる)~10(泣いている)の間の数値的な等級付けに割り当てられる。言葉による疼痛強度スケールは、疼痛強度を等級付けするためのスケールにおいて言葉による表現を使用する:疼痛なし/軽度の疼痛/中等度の疼痛/重度の疼痛 非常に重度の疼痛/これ以上ない疼痛。
眼の感覚スケールは、眼部の疼痛の重症度を測定するために開発された特殊な疼痛スケールである。Caudle L.E.et al.,Optom Vis Sci.2007 Aug;84(8):752-62を参照されたい。このスケールでは、疼痛、不快又は光過敏性は通常、「極度」、「重度」、「中等度」、「軽度」又は「なし」の5つのカテゴリーラベルによって測定される。
眼性疼痛評価調査(OPAS)は、角膜及び眼表面疼痛並びに生活の質(QoL)の変化の評価のために特別に設計された定量的であり多次元の質問票である。OPASは、疼痛強度、眼痛及び非眼痛の頻度、QoL変化、重大化する要因、関連要因及び徴候の緩和を定量的に評価して、治療応答のモニタリングを可能にする。Qazi et al.,Ophthalmology July 123(7):1458-1468(2016)を参照されたい。
本明細書で使用する場合、用語「視覚的仕事の質問票」は、眼性疼痛を悪化させ得る固定的又は長時間の凝視を必要とするある種の作業を実行するのにどの程度の困難を有するかを主観的に等級付けするために対象に尋ねる質問票を指す。この質問票は、視覚的仕事の作業中に経験する困難と関連したコーピング機構についても尋ねる。
本明細書で使用する場合、眼充血は、眼表面の発赤を指す。眼充血は、炎症及び/又は眼刺激に関する臨床マーカーであり得る。眼充血は、標準的な写真に基づいて0~5の値で、マクモニーズスケールを用いて測定され得る。
本明細書で使用する場合、「プラセボ」は、投与される薬物を含まない薬物組成物の全ての構成要素を含む点眼用製剤を指す。
本明細書で使用する場合、用語「約」は、指定の値の値+10%の範囲を指す。
本明細書で用いられる場合、医薬組成物とは、医薬使用に好適な組成物のことである。医薬使用に好適な組成物は、無菌、均一及び/又は等張であり得る。医薬組成物は、特定の実施形態では、水性形態で、例えばプレ充填シリンジ又は他の単回若しくは複数回用量容器で調製され得る。本発明の特定の実施形態では、医薬組成物は、眼科的に適合可能であり、且つヒト対象への眼投与、例えば局所送達法又は他の公知の送達法による眼投与に好適である。
本明細書で使用する場合、「式Iの化合物」、「化合物I(Compound I)」、「式I」及び「化合物I(compound I)」は、互換的に使用され、下記に示される構造の名称4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリルを有する化合物を意味し、且つ当業者に知られ且つ両方の全体が参照により本明細書によって援用されるChenらの国際公開第2005/120510号パンフレット及び米国特許第8,349,852号明細書(「Quinazolinone derivatives useful as vanilloid antagonists」)において記載される手順を用いて合成され得る。
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追加的又は代替的に、化合物Iの各種結晶形及び多形体形が使用され得る。
いくつかの実施形態では、化合物Iは、米国特許第8,349,852号明細書(参照により本明細書に組み込まれる)に記載の多型体形Bである。いくつかの実施形態では、多形体Bは、9.3、10.6及び14.4±0.22θから選択される2θ値に3つ以上のピークを有するX線回折パターンにより特徴付けられる。いくつかの実施形態では、多形体Bは、9.3、10.6、14.4、15.5、17.9、19.9、23.4±0.22θから選択される2θ値に3つ以上のピークを有するX線回折パターンにより特徴付けられる。
本明細書で与えられる任意の化学式は、化合物の非標識形態及び同位体標識形態を表すことも意図される。同位体標識化合物は、1つ以上の原子が、選択された原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられることを除いて本明細書に与えられる式によって示される構造を有する。本開示の化合物に組み込まれ得る同位体としては、例えば、H、11C、13C、14C及び15Nなどの水素、炭素、窒素及び酸素の同位体が挙げられる。したがって、本発明の方法は、例えば、H及び14Cなどの放射性同位体又はH及び13Cなどの非放射性同位体が存在するものを含む前述の同位体のいずれかの1つ以上を組み込む化合物を含むことができるか又は含み得ることを理解すべきである。このような同位体標識化合物は、代謝試験(14Cによる)、反応速度試験(例えば、H又はHによる)、薬物若しくは基質の組織分布アッセイを含むポジトロン放出断層撮影(PET)若しくは単光子放射型コンピューター断層撮影(SPECT)などの検出若しくはイメージング技術又は患者の放射性治療において有用である。同位体標識化合物は通常、例えば、以前に利用された非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して、当業者に知られる従来の手法によって調製され得る。
本発明は、本明細書で提供される本発明に従って有用な化合物の全ての薬学的に許容される塩を含む実施形態を包含する。本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される塩」は、開示された化合物の誘導体を指し、親化合物は、存在している酸又は塩基部分をその塩形態に変換することによって修飾される。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩又は有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、形成された親化合物の、例えば、非毒性無機酸又は有機酸に由来する通常の非毒性塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性又は酸性部分を含有する親化合物から合成され得る。通常、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸又は塩基形態と、水若しくは有機溶媒又はその2つの混合物(通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい)中の化学量論的な量の適切な塩基又は酸とを反応させることによって調製され得る。好適な塩のリストは、各々が全体として参照により本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2(1977)において見出される。例えば、好ましい薬学的に許容される塩としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩又は有機酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、塩は、塩酸塩であり得る。好適な塩の他の例は、内容が全体として本明細書により援用される米国特許第8,349,852号明細書において見出すことができる。
本明細書において使用される場合の語句「薬学的に許容される」は、適切な医学的判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に対応して、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応又は他の問題若しくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織との接触における使用に好適であるそれらの化合物、物質、組成物及び/又は剤形を指す。
化合物(I)又はその薬学的に許容可能な塩は、送達のために各種製剤に組み込まれ得る。例えば、局所製剤は、使用可能であるとともに、眼科的に適合可能な溶液剤及び懸濁液剤を形成するように眼科的に許容可能な保存剤、界面活性剤、粘度増強剤、緩衝剤、塩化ナトリウム及び水を含み得る。
式Iの化合物は、通常、約0.1%~約5.0%w/vの量でこれらの製剤に含有されるであろう。いくつかの実施形態では、局所投与のための化合物Iの濃度は、約0.5%~約1.5%w/v、約0.5%~約2.5%w/v、約0.5%~約3.5%w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v、約0.5%~約2.5%w/vの範囲内である。いくつかの実施形態では、局所使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、少なくとも約0.5%w/v、少なくとも約1.0%w/v、少なくとも約1.5%w/v、少なくとも約2.0%w/v又は少なくとも約2.5%w/vである。いくつかの実施形態では、局所使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約5.0%w/v以下、約4.5%w/v以下、約4.0%w/v以下、約3.5%w/v以下又は約3.0%w/v以下である。特定実施形態では、局所使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vである。等価濃度は、様々な単位で表現可能であると通常理解されている。例えば、0.1%w/vの濃度は、1mg/ml溶液としても表現可能である。mg/mlの単位において表す場合、いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約5mg/ml~約35mg/ml、約5mg/ml~約25mg/ml又は約5mg/ml~約15mg/ml、約5mg/ml~約30mg/ml、約10mg/ml~約25mg/ml、約15mg/ml~約30mg/ml又は約5mg/ml~約25mg/mlの濃度で対象に投与される。いくつかの実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、少なくとも約5mg/ml、少なくとも約10mg/ml、少なくとも約15mg/ml、少なくとも約20mg/ml又は少なくとも約25mg/mlである。いくつかの実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約50mg/ml以下、約45mg/ml以下、約40mg/ml以下、約35mg/ml以下又は約30mg/ml以下である。特定の実施形態では、式Iの化合物は、約5mg/ml、約10mg/ml、約15mg/ml、約20mg/ml、約25mg/ml、約30mg/ml又は約35mg/mlの濃度で投与される。
いくつかの実施形態では、製剤は、熟練臨床医のルーチン自由裁量に依存して眼の表面に1日1~6回送達される。いくつかの実施形態では、製剤は、1日1回、2回、3回又は4回投与される。
特に明記されていない限り、式Iの化合物に対して本明細書で参照される重量又は投与量は、その塩やプロドラッグではなく化合物それ自体の重量又は投与量であり、意図される治療効果を達成するために様々であり得る。例えば、本明細書に開示される方法、組成物又は組み合わせに好適な化合物の対応する塩の重量又は投与量は、塩及び化合物それ自体の分子量の比に基づいて計算され得る。
化合物(I)及び/又はその薬学的に許容可能な塩は、眼への送達のために眼科的に適合可能な製剤に組み込まれ得る。化合物は、水性無菌眼科用懸濁液剤又は溶液剤を形成するために、眼科的に許容可能な保存剤、界面活性剤、粘度増強剤、浸透増強剤、緩衝剤、塩化ナトリウム及び水と組み合わされ得る。
本発明の医薬組成物は、化合物(I)のほかに追加の治療剤を含み得る。さらなる治療剤は、例えば、眼表面障害の治療に有用な他の化合物及び抗体を含み得る。かかる作用剤の非限定的リストには、ケトロラク、ネパフェナク、ブロムフェナク、コルチコステロイドなどの非ステロイド系抗炎症薬剤、シクロスポリン、リフィテグラスト、自己血清、他のTRPV1阻害剤などのドライアイ疾患用薬剤が含まれる。特定実施形態では、追加の治療剤は、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロテプレドノール、ジフルプレドナート、フルオロメトロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、メドリゾン、トリアムシノロン、ベタメタゾン、リメキソロン、それらの薬学的に許容可能な塩などの眼科用ステロイドである。医薬組成物に含まれ得るかかる追加の治療剤のさらなる非限定的例としては、Xiidra(登録商標)(リフィテグラスト)、Restasis(登録商標)(シクロスポリン)、ミノサイクリン、ドキシサイクリン又は他のテトラサイクリン抗生物質が挙げられる。他の例としては、二硫化セレン、サリチル酸、グリコール酸など、それらの薬学的に許容可能な塩などの角質溶解剤が挙げられる。
理論に束縛されることなく、一過性受容体電位バニロイド1(TRPV1)の遮断薬は、疼痛、例えば、慢性疼痛の治療に有用であり得ると仮定される。
したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、眼表面疼痛の治療を、それを必要とする対象において行う方法を提供し、前記方法は、有効量の化合物(I)又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、必要とする対象における眼表面疼痛を低減する方法を提供し、前記方法は、有効量の化合物(I)又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本発明は、眼表面疼痛の治療又は低減における式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶の使用を提供する。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、多形形態Bである。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛は、エピソード性すなわち急性である。
いくつかの実施形態では、対象は、偶発性又は急性の眼性疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも3ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも2ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも4ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも5ヶ月間続く慢性眼表面疼痛に罹患している。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することによって対象における慢性眼表面疼痛を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することによって対象における慢性眼表面疼痛を低減する方法を提供する。本発明は、慢性眼表面疼痛の治療における式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶の使用を提供する。
いくつかの実施形態では、投与は、対象の眼表面、例えば、眼の角膜、結膜又は結膜嚢のいずれかの部分に対するものである。
いくつかの実施形態では、本発明は、約0.5%w/v~約3.5%w/vの濃度で眼科的に適合する製剤における必要とする対象に対する式Iの化合物の投与を提供する。いくつかの実施形態では、投与のための濃度は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v、約0.5%w/v~約1.5%w/v、約0.5%w/v~約3.0%w/v、約1.0%w/v~約2.5%w/v、約1.5%w/v~約3.0%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/vの範囲である。特定の実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、約5mg/ml~約35mg/ml、約5mg/ml~約25mg/ml又は約5mg/ml~約15mg/ml、約5mg/ml~約30mg/ml、約10mg/ml~約25mg/ml、約15mg/ml~約30mg/ml又は約5mg/ml~約25mg/mlの濃度で対象に投与される。特定実施形態では、式Iの化合物は、約5mg/ml、約10mg/ml、約15mg/ml、約20mg/ml、25mg/ml、約30mg/ml又は約35mg/mlの濃度で投与される。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.15~約1.15mg又は約0.15mg、0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、約1.0mg、約1.05mg、約1.1mg又は約1.15mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.18mg、約0.37mg、約0.55mg、約0.74mg又は約0.92mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの1日の総用量は、約0.5~約3.5mg又は約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg又は約3.5mgである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、1日1~6回、例えば、1日1、2、3又は4回対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月又は少なくとも約3ヶ月の期間対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約12週間対象に投与される。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛又は慢性眼表面疼痛は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者の1つ以上を伴う。
特定実施形態では、眼表面疼痛又は慢性眼表面疼痛は、ドライアイ疾患又はシェーグレン症候群に伴う。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、対象は、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術後又はレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後の少なくとも3ヶ月間持続している眼性疼痛に罹患している。
いくつかの実施形態では、対象は、結膜炎、結膜下出血、結膜下瘢痕、結膜の膜、結膜潰瘍、点状表層上皮びらん、上皮欠損、眼瞼縁潰瘍、眼瞼縁角化、瞼球癒着、眼瞼癒着、睫毛乱生症、前部眼瞼炎、涙点自己閉塞、マイボーム腺疾患、角膜不透明化、ドライアイ、睫毛重生、角膜縁幹細胞不全症又は角膜血管新生に罹患している。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、プラセボと比較して、対象の眼性疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、対象の眼性疼痛の低減は、VASスコア上で測定されるとき、プラセボと比較して少なくとも約3である。いくつかの実施形態では、投与は、VASスコア上で測定されるとき、プラセボと比較して、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の対象の眼性疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、プラセボと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約25%の対象の疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、式Iの化合物の投与の7日後に測定されたとき、対象の疼痛の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、式Iの化合物の投与の14日後に測定されたとき、対象の疼痛の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、投与から約半時間後、投与から約1時間後、約2時間後又は約2~4時間後、VASスコアにより測定される際、プラセボと比較して、少なくとも約2の対象の疼痛の低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる。いくつかの実施形態では、VASによって測定される際の疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる。いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与後約30分以内に生じる。いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、化合物Iの対象への投与後約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間以内に生じる。他の実施形態では、疼痛スコアの低減は、対象への化合物Iの投与の約7日後に起こる。いくつかの実施形態では、疼痛スコアの低減は、対象への化合物Iの投与の約14日後に起こる。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、プラセボと比較して低減された眼充血(眼の発赤)をもたらす。特定実施形態では、式Iの化合物の投与は、プラセボと比較して低減されたグレード1、グレード2、グレード3又はグレード4の充血をもたらす。いくつかの実施形態では、投与は、マクモニーズスケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の眼充血スコアの低減をもたらす。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、OPASの少なくとも1つの質問に対して少なくとも約10%、少なくとも約20%又は少なくとも約30%のスコアの改善をもたらす。
いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、視覚的仕事の質問票の少なくとも1つの質問に対して少なくとも約10%、少なくとも約20%又は少なくとも約30%のスコアの改善をもたらす。
そのため、いくつかの実施形態では、本発明は、眼充血の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、眼充血の低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、化合物Iの投与は、マクモニーズスケールで少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4又は少なくとも5の眼充血の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明は、眼充血の治療における、式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物若しくは共結晶の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、約0.5%w/v~約3.5%w/vの濃度で眼科的に適合する製剤における必要とする対象に対する式Iの化合物の投与を提供する。いくつかの実施形態では、投与のための濃度は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v、約0.5%w/v~約1.5%w/v、約0.5%w/v~約3.0%w/v、約1.0%w/v~約2.5%w/v、約1.5%w/v~約3.0%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/vの範囲である。特定の実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vである。パーセント値は、mg/ml単位で表され得ることが理解される。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.15~約1.15mg又は約0.15mg、0.2mg、約0.25mg、0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、約1.0mg、約1.05mg、約1.1mg又は約1.15mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.18mg、約0.37mg、約0.55mg、約0.74mg又は約0.92mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの1日の総用量は、約0.5~約3.5mg又は約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg又は約3.5mgである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、1日1~6回、例えば、1日1、2、3又は4回対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月又は少なくとも約3ヶ月の期間対象に投与される。
いくつかの実施形態では、眼充血は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者の1つ以上を伴う。特定の実施形態では、眼充血は、ドライアイ疾患に伴うものである。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、眼充血は、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術又はレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続する。
いくつかの実施形態では、眼表面疼痛又は慢性眼表面疼痛は、ドライアイ疾患に伴うものである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす。ドライアイ疾患は一般に、眼表面及び涙腺の炎症並びに涙の質及び/又は量の低減によって特徴付けられる複雑であり多因子性の病態であると理解される。ドライアイ疾患患者の最大で30%が、慢性であり得る、すなわち少なくとも12週間又は3ヶ月間持続する眼表面疼痛に罹患していると考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上を含むドライアイ疾患の症状の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約30%の減少をもたらす。
いくつかの実施形態では、本発明は、必要とする対象におけるドライアイ疾患を治療する方法であって、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、本発明は、必要とする対象におけるドライアイ疾患を治療する方法であって、有効量の式Iの化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を対象に投与することを含む方法に関し、式Iの化合物は、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月又は少なくとも5ヶ月間にわたる投与について安全である。特定の実施形態では、本発明は、ドライアイ疾患の治療における式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶の使用を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上を含むドライアイ疾患の症状の少なくとも約10%の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、本発明は、約0.5%w/v~約3.5%w/vの濃度で眼科的に適合する製剤における必要とする対象に対する式Iの化合物の投与を提供する。いくつかの実施形態では、投与のための濃度は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v、約0.5%w/v~約1.5%w/v、約0.5%w/v~約3.0%w/v、約1.0%w/v~約2.5%w/v、約1.5%w/v~約3.0%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/vの範囲である。特定の実施形態では、局所的な使用のための製剤中の式Iの化合物の濃度は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.15~約1.15mg又は約0.15mg、0.2mg、約0.25mg、0.3mg、約0.35mg、約0.4mg、約0.45mg、約0.5mg、約0.55mg、約0.6mg、約0.65mg、約0.7mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.85mg、約0.9mg、約0.95mg、約1.0mg、約1.05mg、約1.1mg又は約1.15mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの投与当たりの用量は、約0.18mg、約0.37mg、約0.55mg、約0.74mg又は約0.92mgである。いくつかの実施形態では、眼当たりの1日の総用量は、約0.5~約3.5mg又は約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg又は約3.5mgである。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、1日1~6回、例えば、1日1、2、3又は4回対象に投与される。いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月又は少なくとも約3ヶ月の期間対象に投与される。
本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、プラセボと比較して、最高矯正視力、細隙灯生体顕微鏡検査、散瞳検査、まばたき速度、涙液産生、眼内圧の1つ以上において変化をもたらさない(例えば、5%未満の差、4%未満の差又は3%未満の差)。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態では、式Iの化合物の投与は、必要とする患者において、プラセボと比較して、創傷治癒における遅延を引き起こさない。
患者集団
特定の実施形態では、本明細書に記載される方法によって治療されることになる対象は、眼表面障害に罹患している。眼表面障害の非限定的な例としては、慢性眼表面疼痛(COSP)、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しくは水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症又は神経栄養性角膜炎から回復している患者が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象は、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術又はレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛に罹患している。
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、急性眼表面疼痛などの眼表面疼痛を治療するか又は低減するためのものである。
特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、慢性眼表面疼痛(COSP)などの眼表面疼痛を治療するか又は低減するためのものである。特定の態様では、COSPは、通常の日常動作から気を散らす場合があるか又はそれに支障をきたす場合がある持続的な眼表面疼痛(例えば、持続的な重度の眼表面疼痛)として特徴付けられる。特定の実施形態では、COSPは不十分な生活の質をもたらす場合があり、且つ少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月又は少なくとも6ヶ月間持続し得る。いくつかの態様では、COSPは、少なくとも約2ヶ月又は少なくとも約3ヶ月間持続し得る。他の態様では、COSPは、少なくとも3ヶ月又は少なくとも4ヶ月間持続し得る。特定の態様では、COSPを有する対象は、それらの根底にある疾患(例えば、ドライアイ疾患又はシェーグレン症候群などの眼表面障害)について必要が示された他の療法に対して適合しているにもかかわらず症状が残っている。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、眼性神経因性疼痛(ONP)に罹患している。ONPは、神経、例えば、角膜神経を冒す障害又は疾患に起因し得る眼性疼痛の一連の障害である。ONPの症状は、眼痛、光に対する過敏性、痛覚過敏又は乾燥、刺痛又は異物の感覚などの異常感覚(知覚異常)、通常では痛みを起こさない刺激によって生じる痛み(アロディニア)の1つ異常を含み得る。ガバペンチン及び他の神経因性疼痛薬物は、感覚神経刺激又は神経刺激の知覚を鈍らせるために使用され得る。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、兎眼性角膜症に罹患している。EKは、主に外部環境への眼表面の長時間の暴露から生じる角膜に対する損傷である。EKは、潰瘍、微生物性角膜炎、瘢痕からの永久的な視力喪失をもたらす場合がある。EKのリスクがある患者としては、不完全な眼瞼の閉鎖(例えば、兎眼症、眼球突出、目蓋の位置異常)、不十分な瞬目反射、不十分なまばたき速度(例えば、神経疾患、例えば、パーキンソン病、神経筋疾患によって引き起こされる)及び/又は角膜の保護的な潤滑の減少のいずれかによる、角膜を保護する能力に支障をきたす病態に罹患している患者が挙げられる。EKの症状としては、異物感、灼熱感、流涙の増加及び間欠的な霧視(不安定な涙膜に起因する)、疼痛及び羞明が挙げられる。標準治療は、夜間の潤滑軟膏剤による頻繁な人工涙液、涙点プラグの使用が挙げられる。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、角結膜炎に罹患している。角結膜炎は、結膜及び角膜の両方を含む炎症プロセスである。角膜の表層の炎症(角膜炎)は一般に、例えば、成人において、ウイルス性及び細菌性結膜炎と関連して発生する。角結膜炎の以下の種類は、炎症の潜在的原因に基づいて区別される。
・乾性角結膜炎は、乾燥に起因する炎症による原因である;
・春季角結膜炎(VKC)は、季節によって生じ、アレルゲンによるものと考えられる;
・アトピー性角結膜炎は、アトピーの1つの症状である;
・流行性角結膜炎又はアデノウイルス性角結膜炎は、アデノウイルス感染によって引き起こされる;
・ウシ伝染性角結膜炎(IBK)は、細菌のモラクセラ・ボビス(Moraxella bovis)によって引き起こされるウシを冒す疾患である;
・ヒツジ及びヤギにおけるピンクアイは主に、クラミドフィラ・ペコルム(Chlamydophila pecorum)によって引き起こされる;
・上輪部角結膜炎は、器質的外傷により引き起こされると考えられる;
・角結膜炎電気性眼炎(アークアイ)は、光電性UV光によって引き起こされる炎症を意味する。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、ドライアイに罹患している。本明細書で使用する場合、用語「ドライアイ」は、不十分な涙液産生及び/又は異常な涙液組成を指す。ドライアイ症候群、乾性角結膜炎若しくは乾性角膜炎、又は涙液機能不全症候群、又は眼灼熱症候群としても知られるドライアイ症候群疾患(DEDS)は、涙膜層のいずれかの欠損に起因する。ドライアイは、涙膜の恒常性の消失によって特徴付けられ、且つ眼の症状を伴う眼表面に対する潜在的な損傷による不快感、視覚障害、涙膜不安定性の症状をもたらす涙及び眼表面の多因子性疾患であり、ここで、涙膜不安定性及び高浸透圧性、眼表面の炎症及び損傷並びに神経感覚異常は、病因となる役割を果たしている(Craig JP,et al.,The Ocular Surface 2017;15:276-83)。それは、涙膜のモル浸透圧濃度の上昇及び眼表面の炎症を伴う場合がある。ドライアイ障害は、軽度から中等度、重度までの形態に及ぶこともある。ドライアイ症候群疾患の症状としては、ざらつき、異物感、灼熱感、羞明及び視力の低下、流涙、刺痛、かゆみ、砂っぽさ又はざらつき感、眼脂、頻繁なまばたき、睫毛の膿又は固化(通常、起床時により悪化する)、発赤、霧視又は振動視(読書、コンピューター、テレビを見る、運転又はテレビゲームをするときにより悪化する)、光過敏性、眼痛及び/又は頭痛、眼瞼の重み、眼精疲労が挙げられる。ドライアイ疾患の原因としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:原因不明、先天性無涙液症、眼球乾燥症、涙腺切除及び感覚神経支配除去;関節リウマチ、ウェゲナー肉芽腫症及び全身性エリテマトーデスを含む膠原病性脈管疾患;シェーグレン症候群及びシェーグレン症候群に伴う自己免疫疾患;眼瞼炎又は酒さによって引き起こされる脂質涙液層の異常;ビタミンA欠乏によって引き起こされるムチン涙液層の異常;トラコーマ、ジフテリア性角結膜炎;皮膚粘膜障害;加齢;閉経;及び糖尿病。本明細書で定義されるとおりのドライアイの徴候及び/又は症状は、次のものを含むが、これらに限定されない他の状況によって誘発される場合もある:長時間の視覚的仕事;コンピューターによる仕事;乾燥環境にいること;温風若しくは冷風又は空気流;季節変化;眼への刺激;コンタクトレンズ、LASIK及び他の屈折矯正手術;疲労;及びイソトレチノイン、鎮静薬、利尿剤、三環系抗うつ薬、降圧薬、経口避妊薬、抗ヒスタミン薬、鼻腔うっ血除去薬、β遮断薬、フェノチアジン、アトロピン及びモルヒネなどの鎮痛オピエートなどの薬物。
ドライアイのための診断検査としては、例えば、綿棒又はより厳密にはCochet-Bonnet知覚計を用いる角膜感覚機能の評価(角膜感覚過敏及び/又は感覚の低下は、重度及び慢性ドライアイ疾患において存在する場合がある);例えば、保存剤を含まない生理食塩水溶液により湿らせたフルオレセイン浸透性細片又はフルオレセイン滴下の必要性がないより客観的なコンピューターによる方法を用いる涙液層破壊時間の測定;例えば、フルオレセインナトリウム、ローズベンガル、リサミングリーンによる眼表面の染色の実施;シルマー試験の実施(軽度のドライアイを有する患者については相対的に非感受性);涙液クリアランスの遅延の検査;涙液メニスカスの高さ;MMP-9のレベルの測定(MMP-9は、ドライアイ疾患を有する患者の涙液において上昇することが示されており、レベルは中等度から重度のドライアイを有する患者における試験結果と相関する);涙液のモル浸透圧濃度及び涙膜のインターフェロメトリーの測定;Sjo試験の実施(血清中のSS-A(抗Ro)及びSS-B(抗La)抗体、唾液腺タンパク質1(SP-1)、炭酸脱水酵素6(CA6)及び耳下腺分泌タンパク質(PSP)、SP-1、CA6及びPSPの検出)を含む。
人工涙液、潤滑軟膏剤、コルチコステロイド(例えば、1日4回のロテプレドノール0.5%点眼薬)は、最初の治療として使用される。処方薬としては、シクロスポリン、リフィテグラスト、ジクアホソル、レバメピド、コルチコステロイド(例えば、1日4回のロテプレドノール0.5%点眼薬)が挙げられる。
用語「涙膜機能障害」は、涙膜が角膜及び結膜上の異なる場所において破れているときの状態を指し、刺激の症状だけでなく、視覚の不安定且つ間欠的な変動を引き起こす。例えば、ドライアイ症候群疾患は、涙膜機能障害によって特徴付けられる。涙膜機能障害の症状としては、流涙、灼熱感、刺痛、かゆみ、砂っぽさ又はざらつき感、ちくちくする又は異物感、眼脂、頻繁なまばたき、睫毛の膿又は固化(通常、起床時により悪化する)、発赤、霧視又は振動視(読書、コンピューター、テレビを見る、運転又はテレビゲームをするときにより悪化する)、光過敏性、眼痛及び/又は頭痛、眼瞼の重み、眼精疲労が挙げられる。
流行性角結膜炎としても知られるアデノウイルス性角結膜炎は、一般的な高度に伝染性の眼のウイルス感染症である。アデノウイルス性角結膜炎の臨床経過は、角膜の関与を伴うか又は伴わない様々な強度の結膜炎症を有する急性期及び角膜の混濁を伴う慢性期に分けられる。
春季角結膜炎(VKC)は、重度のかゆみ、羞明、異物感、粘液性の眼脂(「粘着性」と記載される場合が多い)、眼瞼痙攣及び霧視からなる症状によって特徴付けられる眼の外表面のアトピー性病態である(Buckley,R.J.,Int Ophthalmol Clin,1988 28(4):p.303-8;Kumar,S.,Acta Ophthalmologica,2009.87(2):p.133-147)。これは通常両側性であるが、実際に非対称である場合がある。これは、季節的な様式で高温乾燥気候において若年の男性を特徴的に冒し;患者の23%が、四季を通じて続く形態を有し得る(Kumar,S.,Acta Ophthalmologica,2009.87(2):p.133-147;Bonini,S.,et al.,Ophthalmology,2000.107(6):p.1157-63)。
VKCの徴候は、結膜、角膜縁及び角膜の徴候に分けることができる:
・結膜の徴候としては、びまん性結膜充血及び直径が1mmを超えて離散している上瞼板巨大乳頭が挙げられる;
・角膜縁の徴候としては、角膜縁結膜の肥厚及び不透明化並びにゼラチン質の出現及び時々起こる集密的な角膜縁乳頭が挙げられる。周囲の角膜縁のホルネル-トランタス点は、変質した上皮細胞及び好酸球からなる局所的な角膜縁の白点である(Buckley,R.J.,Int Ophthalmol Clin,1988 28(4):p.303-8);
・角膜の徴候は、疾患プロセスの重症度に応じて変動し、巨大なびらん、角膜潰瘍及び瘢痕を含む(Buckley,R.J.,Int Ophthalmol Clin,1988 28(4):p.303-8)。
進行中のVKC患者(羞明、上瞼板結膜上の乳頭又は試験時に明瞭に認識できる角膜縁のホルネル-トランタス点を含む中等度から重度の眼の不快感として定義される)は、眼表面疾患の症状及び徴候の著しい増加を示した。不活性なVKC患者(症状がないか又は軽度の不快感及び試験時に角膜の異常がないものとして定義される)は、羞明、結膜のリサミングリーン染色及びシルマー試験値の増大並びにフルオレセインによる破壊時間(BUT)及び角膜感受性の減少を示した。この症候群は、涙膜安定性、上皮細胞の統合性及び角膜神経の機能における異常を判定すると、全ての時期(進行中及び静止状態)において眼表面を冒しているように見える(Villani E.et al.,Medicine(Baltimore).2015 Oct;94(42):e1648)。
次の要因がVKCに役割を果たすと考えられる:IgEがマスト細胞放出;活性化好酸球、単核細胞及び好中球並びにIL-4、IL-5及びbFGFなどの免疫調節物質によるCD4 T-ヘルパー-2駆動型IVの過感受性を介して反応を媒介する(Buckley,R.J.,Int Ophthalmol Clin,1988 28(4):p.303-8;Kumar,S.,Acta Ophthalmologica,2009.87(2):p.133-147;La Rosa,M.,et al.,Ital J Pediatr,2013.39:p.18)。
治療は冷湿布及び目蓋の洗浄からなり、生理食塩水の点眼薬は、局所抗ヒスタミン薬、非ステロイド系抗炎症薬又はコルチコステロイド、例えば、低吸収コルチコステロイド(フルオロメトロン、ロテプレドノール、リメキソロンなど)、局所マスト細胞安定剤(クロモリンナトリウム、ネドクロミルナトリウム及びロドキサミド)、局所シクロスポリン-A又はタクロリムスを伴って、症状を軽減するのを助け得る。例えば、Oray,M.and E.Toker,Cornea,2013.32(8):p.1149-54;Vichyanond,P.and P.Kosrirukvongs,Curr Allergy Asthma Rep,2013.13(3):p.308-14;Barot,RK et al.,J Clin Diagn Res.2016 Jun;10(6):NC05-9;Wan Q et al.,Ophthalmic Res.2018;59(3):126-134を参照されたい。
アトピー性角結膜炎(AKC)は通常、VKCによる10歳前の発症に対して、20~50歳高い発症年齢を有する。結膜での併発は、古典的にはVKCにおいて上瞼板及びAKCにおいて下瞼板で起こる。AKCは通常、事実上より慢性であり、より一般的には角膜の瘢痕及び結膜の瘢痕形成を引き起こす。
シェーグレン症候群(ドライアイを伴うシェーグレン症候群)は、多くの場合重度のドライアイを引き起こす唾液腺及び涙腺を含む外分泌腺の機能障害によって特徴付けられる慢性の炎症性障害である。主要な症状はドライアイ(乾性角膜炎又は乾性角結膜炎)及び口渇症(口内乾燥)である。重度のドライアイは、角膜疼痛、角膜瘢痕、潰瘍、感染、さらには穿孔を引き起こし得る。鑑別診断は、成人性の眼瞼炎、ドライアイ疾患及び若年性の原因不明の関節炎、ぶどう膜炎、加えて角膜症、例えば、点状表層角膜症、繊維状角膜症、神経障害性角膜症、兎眼性角膜症などの病態を含む。シェーグレン症候群の治療は、不十分な涙液分泌の保存、増強及び/又は補充により涙膜の統合性を維持することに向けられる。したがって、シェーグレン症候群の治療としては、人工涙液及び潤滑軟膏剤;自己血清点眼薬;経口オメガ-6必須脂肪酸;流体が通過し、気体透過性の強膜レンズ;局所コルチコステロイド;涙液排出を減少させるための涙点閉鎖;小規模な側方の瞼板縫合術;環境の加湿;親水性バンデージレンズ;ブロムヘキシン及び3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)(涙液産生/分泌の増強);ムスカリン受容体を刺激する薬剤(ピロカルピン及びセビメリン);免疫抑制剤、例えば、メトトレキセート、抗マラリア薬、シクロホスファミド、レフルノミド又は腫瘍壊死因子(TNF)、例えば、インフリキシマブ、TNF-アルファに対するモノクローナル抗体;シクロスポリンA;バンデージコンタクトレンズが挙げられる。
スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)は、皮膚の緊急事態又は全体表面積の10%未満を含む上皮及び粘膜の水疱性病変の存在によって特徴付けられる1つのタイプの重度の皮膚反応である。SJSの初期症状は、熱及びインフルエンザ様症状を含み、これは、体躯及び顔を含む斑状皮疹の発症に先行するか又は同時に発生し得る。疾患が進行するにつれて、斑状皮疹が集まり、巻き込まれた領域が水疱に発達し、最終的に上皮層が脱落する。SJS-TENの急性期の間、患者の80%が、眼の合併症を有することになる。
高熱(>102.2)、倦怠感、関節痛、体躯、首及び顔を含む斑状皮疹並びに新規薬物への暴露の最近の履歴又は現在の薬物療法の最近の投与量増加のコンステレーションが、SJSの診断のために使用される指標である。生じた領域の皮膚生検が、診断の確認のために実施され得る。グラニュライシンは、SJSの診断のためのマーカーとして使用され得る。水疱液内のグラニュライシンの濃度は、急性期のSJSの重症度と相関する(Chung WH,et al.Nat Med.2008;14(12):1343-50)。
SJSにおける眼の症状としては、結膜炎、結膜下出血、結膜下瘢痕、結膜の膜、結膜潰瘍、点状表層上皮びらん、上皮欠損、眼瞼縁潰瘍、眼瞼縁角化、瞼球癒着、眼瞼癒着、睫毛乱生症、前部眼瞼炎、涙点自己閉塞、マイボーム腺疾患、角膜不透明化、ドライアイ、睫毛重生、角膜縁幹細胞不全症、角膜血管新生が挙げられる。SJSにおける眼の治療は、生理食塩水点眼薬、保存剤を含まない人工涙液並びに十分な潤滑をもたらし且つ上皮損傷を低減する軟膏剤からなる。任意の角膜又は結膜上皮欠損を有する患者は、予防的な局所抗生物質、好ましくは第四世代フルオロキノロンにより治療される。軽度又は中等度の眼の合併症(3分の1未満の眼瞼縁合併症、最大直径が1cm未満の結膜欠損及び角膜上皮欠損なし)を有する患者は通常、1日4回の局所モキシフロキサシン0.5%、1日2回のシクロスポリン0.05%及び局所ステロイド(1日4~8回のプレドニゾロン酢酸塩1%又は1日2回のデキサメタゾン0.1%)により治療される。重度又は極めて重度の眼の合併症(3分の1を超える眼瞼縁合併症、1cmを超える結膜欠損及び角膜上皮欠損)を有する患者は、上記の治療に加えて羊膜(AM)移植を受ける。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、角膜上皮症に罹患している。角膜上皮症は、例えば、角膜上皮バリア機能の変化において顕在化する角膜上皮が関与する疾患である。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、角膜神経障害又は角膜神経痛に罹患している。角膜神経障害又は角膜神経痛は、角膜における神経線維、感覚線維の損傷によって引き起こされる角膜疼痛を伴う障害である。角膜神経障害の例の1つは、LASIK誘導性角膜神経障害である。角膜神経障害は一般に、ドライアイの検査によって同定及び診断され得る。原因及びリスク因子はまだ明らかではないが、ドライアイ様症状、角膜感受性の増大及び角膜神経形態の変化を有するが、乾燥の徴候のない患者は、角膜神経障害に罹患し得る。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、眼表面疾患又は障害に罹患している。用語「眼表面疾患」又は「眼表面障害」は、異常な目蓋の解剖学的形態又は機能、異常な又は変化した涙液産生又は組成及び関連する無症候性徴候を含む様々な異常に起因する疾病並びに関連症状を包含する。多くの疾患が、眼表面障害を引き起こし得る。眼表面障害を有する患者は、いくつかの疾患に共通な臨床徴候を呈する場合があり、且つ慢性点状角膜症、糸状角膜症、再発性角膜びらん、細菌性結膜炎、培養陰性結膜炎、瘢痕形成(瘢痕)結膜炎、遷延性上皮欠損、伝染性角膜炎、角膜融解及び眼表面不全を含み得る。最も一般的な眼表面障害は、涙膜異常及び/又は目蓋にある腺の機能障害(「眼瞼炎」)に由来する。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、神経栄養性角膜炎又は神経栄養性角膜症に罹患している。神経栄養性角膜炎又は神経栄養性角膜症(NK)は、角膜感受性の低下又は欠如によって特徴付けられる角膜変性疾患である。NKにおいて、三叉神経による角膜神経支配が損なわれる。角膜感覚神経支配がNKにおいて損なわれるため、患者は通例、眼表面の症状を訴えない。しかしながら、霧視は、不規則な上皮又は上皮欠損(PED)、瘢痕又は浮腫に起因して報告され得る。NKは通常、「Mackie分類」によって3種の異なるステージに段階分けされる。ステージIIのNKは、最も一般的には角膜の上半分における再発性又は遷延性上皮欠損によって定義される。ステージIIのNKにおいて使用され得る治療の1つは、局所神経成長因子を含む。患者は通常、神経の再形成のために、NGFによる治療の間疼痛を経験する。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、眼瞼炎に罹患している。眼瞼炎は、眼瞼周縁部の炎症性病態であり、眼瞼周縁部における持続性の変質又は表層角膜症による視力喪失、角膜血管新生及び潰瘍を引き起こす場合がある。解剖学上の位置に従って、眼瞼炎は、前部及び後部に分けられ得る。前部眼瞼炎は、眼瞼皮膚、睫毛の基部及び睫毛濾胞を冒し、且つブドウ球菌性及び脂漏性眼瞼炎の従来の分類を含む。後部眼瞼炎は、マイボーム腺及び腺開口部を冒し、主要な原因はマイボーム腺機能不全である。慢性眼瞼炎の症状は、発赤、灼熱感、刺激、流涙、眼瞼痂皮及び固着及び羞明及び霧視などの視覚的な問題を含み得る。長期間の症状管理は、毎日の眼瞼洗浄ルーチン及び感染及び炎症を低減する治療剤の使用を含み得る。治療としては、局所性又は全身性の抗生物質、例えば、バシトラシン又はエリスロマイシン;経口抗生物質、例えば、テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)又はマクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、アジスロマイシン);局所ステロイド、例えば、コルチコステロイド、例えば、エタボン酸ロテプレドノール、フルオロメトロン;トブラマイシン/デキサメタゾン又はトブラマイシン/ロテプレドノールなどの抗生物質とコルチコステロイドの局所的組合せ;局所シクロスポリン0.05%が挙げられる。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、マイボーム腺機能不全に罹患している。マイボーム腺は、眼の涙膜の蒸発を防ぐ油状物質であるマイバムの供給に関与する、瞼板内部の眼瞼の周辺部にある全分泌型の外分泌腺である。マイボーム腺炎、後部眼瞼炎又はマイボーム腺の炎症としても知られるマイボーム腺機能不全(MGD)は、一般に末端の管閉塞及び/又は腺分泌における質的/量的変化によって特徴付けられるマイボーム腺の慢性のびまん性の異常である(Nelson JD,et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci 2011;52:1930-7)。それは、涙膜の変質、眼刺激、臨床的に明らかな炎症及び眼表面疾患を引き起こし得る。MGDはドライアイを引き起こす場合が多く、且つ眼瞼炎の一因となり得る。いくつかの場合、局所ステロイド及び局所/経口抗生物質も炎症を低減するために処方される。インテンス・パルス・ライト(IPL)治療又は腺を発現させるために熱及び圧力をかける他の機械的治療(例えば、LipiFlow)は、炎症を低減し、且つ患者における腺機能を改善することも示されてきた。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、移植片対宿主病に罹患している。移植片対宿主病(GVHD)は、同種移植に独特である炎症性疾患である。これは、たとえドナーとレシピエントが同一のHLAであっても発生し得るレシピエントの組織に対する移植された白血球による攻撃である。急性移植片対宿主病は通常、移植後最初の3ヶ月に発生し、皮膚、腸管又は肝臓を巻き込む場合がある。プレドニゾンなどのコルチコステロイドが標準治療である。慢性移植片対宿主病も同種移植後に発生する場合があり、遅発型合併症の主要な原因である。炎症に加えて、慢性移植片対宿主病は、強皮症又は他の自己免疫疾患と同様に線維症又は瘢痕組織の発生を引き起こす場合があり、且つ機能的能力障害及び長期の免疫抑制療法の必要性をもたらす場合がある。
いくつかの実施形態では、治療されることになる対象は、眼性移植片対宿主病に罹患している。GVHDは、同種間の血液幹細胞移植を経た患者において発生する。これは、急性又は慢性GVHDを有する患者において発生する可能性があるが、慢性形態を有する患者においてより一般的である。慢性GVHDを有する患者のおよそ40~90%が、眼の症状を発症することになる。眼の症状は、中等度から重度の乾性角結膜炎、両側周辺部角膜炎、前部ぶどう膜炎、角膜潰瘍又は血管新生を含み得る。治療としては、保存剤を含まない人工涙液を含む局所潤滑剤、自己血清涙液及び他の局所及び全身免疫抑制治療;全身性ステロイド;局所シクロスポリン0.5%が挙げられる。
以下の実施例は、本発明の非限定的な実施形態を示すために含まれる。
実施例1. 安全性及び薬動学のアセスメントのための化合物Iのヒト初回投与試験
この実施例では、健常志願者で行われた化合物Iのヒト初回投与試験を記載する。合計54名の対象に試験投薬を施した。ヒト初回投与試験のパート1では、0.15%、1.5%、2.5%w/v(1滴)の単回漸増用量の化合物Iを点眼剤で投与した。
化合物Iのパート2では、(i)7日間にわたり0.15%、1.5%、2.5%の1滴を1日4回(6時間ごとに)、又は(ii)7日間にわたり2.5%の1滴を1日8回(3時間ごとに)(治療用量超)点眼剤として投与する複数回漸増用量(MAD)で試験した。
パート3は、化合物Iの知覚麻痺性を評価する知覚測定アセスメントであった。試験のパート3は、化合物I、媒体、テトラカイン(0.5%眼科用溶液、陽性対照として使用)及びジクロフェナクナトリウム(0.1%眼科用溶液、活性NSAIDコンパレーターとして使用)を用いる4つのアームを有していた。眼知覚麻痺剤は、その確立された知覚麻痺効果が理由で選択されたが、それは、創傷治癒に及ぼすその悪影響に起因して標準ケアではない。NSAIDは、PRK後の角膜痛に対する現在の標準ケアであり、最小限の知覚麻痺性であるが有意な疼痛管理性を有する。潜在的知覚麻痺効果のより良好な決定を可能にするために、媒体点眼剤を陰性対照として使用した。適格性基準を満たした12名の健常対象は、各々4つの異なる試験日(1、4、7及び10日目)の1日に単回点眼の4つの試験治療を受けるようにランダム化された。各対象は、下記の4つのシーケンスの1つに記載の試験治療を受けるようにランダム化された。
・シーケンス1:知覚麻痺剤、NSAID、化合物I2.5%、媒体
・シーケンス2:NSAID、媒体、知覚麻痺剤、化合物I2.5%
・シーケンス3:媒体、化合物I2.5%、NSAID、知覚麻痺剤
・シーケンス4:化合物I2.5%、知覚麻痺剤、媒体、NSAID
安全性アセスメント:安全性アセスメントでは、全身及び眼有害イベントを含めて全ての有害イベント(AE)、重篤有害イベント(SAE)を、それらの重症度及び試験薬剤との関係と共に収集することからなっていた。全身安全性アセスメントは、試験センターで実施された血液学、血液化学及び尿検査の定期的モニタリングと、身体検査、生命徴候(収縮期及び拡張期血圧、脈拍数並びに体温)、ECG、妊娠及び不妊アセスメント並びにMADパート時の49℃手浸漬試験の定期的アセスメントとを含んでいた。眼安全性アセスメントは、早期治療糖尿病性レチノパチー試験(ETDRS)視力、眼内圧、細隙灯生体顕微鏡検査、角膜染色及び拡張眼底検査を含んでいた。
対象は、下記の選択及び除外基準に基づいて選択された。
選択基準:
・いずれのアセスメントも実施前に書面によるインフォームドコンセントが得られた。
・スクリーニング時に既往歴、身体検査、生命徴候、ECG及び検査室試験により決定したときに健康状態の良い18~50歳(両端を含む)の健常な男性及び女性対象。
・スクリーニング時及びベースライン時、対象が少なくとも3分間着座した後且つ立位で再び3分間した後、生命徴候(収縮期及び拡張期血圧(BP)並びに脈拍数)を座位で評価した。座位生命徴候は、下記範囲の正常範囲内にあることが必要とされた。
・口腔体温35.0~37.5℃
・収縮期血圧90~150mmHg(SBP)
・拡張期血圧50~90mmHg(DBP)
・脈拍数40~100bpm
・対象は、試験に参加するために少なくとも50kgの体重を有するとともに18~29kg/m2の範囲内の体重指数(BMI)を有することが必要とされた。BMI=体重(kg)/[身長(m)]
・試験の要件を理解し遵守するのに十分な程度に研究者とコミュニケーションを図ることが可能であった対象。
・パート3では、眼知覚の対象ベースラインレベルは、コシェ・ボネ知覚計により測定されたときに50~60mm(両端を含む)の範囲内であるべきであった。
除外基準:
・試験治療の施行時に有効な避妊方法を使用していない限り、生理学的に妊娠可能な全ての女性として定義される出産可能性のある女性。
・研究者の意見として及び治験薬概要書の内容に基づいて、試験品の安全な投与又はこの試験への安全な参加を妨げるおそれのあるいずれかの医学的病態(全身又は眼)を呈した対象。
・パート3(知覚測定):試験時にコンタクトレンズを使用していたか又は過去3年間に使用していた対象は、コンタクトレンズ使用による角膜知覚の変動性を最小限に抑えるために除外された。
・スクリーニング前の過去6ヶ月以内のいずれかの眼手術又はレーザーの病歴。屈折異常、初発白内障、斜視弱視又は不同視弱視以外のいずれかの慢性眼疾患の病歴。スクリーニングから過去6ヶ月以内の急性眼疾患(例えば、感染、角膜擦過傷又はアレルギー)の病歴を有する対象は、疾患が活動性でなければ適格であった。
・局所点眼剤を使用する必要があったいずれかの現在活動性の眼病態。
・持続気道陽圧デバイス又は他の睡眠時無呼吸デバイスを使用している対象。
ヒト初回投与試験からの安全性結果
パート1、2及び3からの結果に基づいて、最大耐容用量(MTD)は、7日間にわたり1日8回で2.5%の最大実現可能濃度として同定された。用量制限有害イベントは、この用量レベルでは同定されなかった。化合物Iに対して因果関係が推定された有害イベントは全て、2.5%1日4回コホートの1名の患者で治療中止をもたらした中度重症度の眼刺激以外は軽度重症度であった。化合物I治療患者で最も頻度の高い眼有害イベントは、プラセボに類似したレベルで角膜染色、充血及び軽度前房炎症であった。SAD試験からの有害イベントの概要は、表1に示される。
Figure 0007571037000008
SAD試験からの有害イベントの概要は、表2に示される。
Figure 0007571037000009
手浸漬試験では、治療コホートの対象は全て、0~≦50秒の時間インターバルで49℃の水から手を引き出した。どの対象も22秒よりも長く続かず、化合物I及び媒体で治療された対象間に有意な浸漬時間の変化は観測されなかった。したがって、化合物Iは対象の温度知覚を変化させないことが結果から示唆される。
知覚測定試験(パート3)
ヒト初回投与試験では、知覚測定試験、すなわち、角膜触覚閾値が知覚されたときのフィラメント長(cm)の測定により、局所眼用2.5%化合物Iの潜在的知覚麻痺効果をさらに評価した。
テトラカイン0.5%は、おおよそ10分間の作用持続時間で知覚麻痺効果を有することが結果の解析から示された(陽性対照)。ジクロフェナクを用いた公知の臨床経験に基づいて予想される通り、ジクロフェナク0.1%及び媒体は両方とも、角膜に対する知覚麻痺効果を有していなかった。化合物I2.50%は、治療後のいずれの時点でも知覚麻痺効果を示さなかった。
角膜知覚の尺度のために、下記に対する最小二乗平均(試験対参照)を比較しつつ、統計的及び臨床的有意性を観測した。
・投与後2.5分、10分及び20分でのテトラカイン0.5%(N=12)対媒体(N=12)、
・投与後2.5分、10分及び20分でのテトラカイン0.5%(N=12)対ジクロフェナク0.1%(N=12)、
・投与後2.5分及び10分での化合物I2.5%(N=11)対テトラカイン0.5%(N=12)
化合物I2.5%と媒体との間の角膜知覚の差は、全て0.395以上のp値を有して投与後30分までの予定時間点で見られなかった。この試験は、テトラカイン0.5%(陽性対照として知覚麻痺効果を有する薬剤)及び媒体(プラセボ)と比較したとき、2.5%化合物Iの知覚麻痺効果の欠如を実証した。
ヒト初回投与試験からの薬動学的概要
化合物I0.15%、1.5%及び2.5%の単回及び複数回の両方の局所眼用懸濁液剤の投与後、対象全体にわたり中程度の変動性で体循環への化合物Iの迅速吸収及び低濃度の暴露が達成されることが、血漿中PKプロファイルから示された。0.15%から2.5%への用量増加は、全身暴露で用量比例的増加未満をもたらした。定常状態での化合物Iの蓄積は、0.15%、1.5%又は2.5%懸濁液剤1日4回投与後でわずか(約1.7倍)であり、2.5%1日8回7日間の後でもわずか(約1.3倍)であった。
実施例2. 術後疼痛の治療のための化合物Iの臨床試験
この実施例では、レーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術を受ける患者の術後眼性疼痛の治療における化合物I(4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル)の臨床試験を記載する。
Figure 0007571037000010
試験設計
試験は、PRK手術後の患者において標準ケア治療のほかに点眼剤として投与された化合物Iの概念実証二重盲検ランダム化媒体対照試験であった。PRK手術は、レーザーアブレーションで局所麻酔下において角膜上皮を除去して間質を露出させる外来患者手順として実施された。化合物I投与は、手術直後(時間0)から72時間の最終投与まで片眼に1日4回(6時間ごとに)投与された2.5%(25mg/ml、0.925mg/滴)単回点眼であった。
媒体投与は、手術直後(時間0)から72時間の最終投与まで片眼に1日4回(6時間ごとに)投与された単回滴下であった。
試験は、クロスオーバー設計を用いた2つの治療期間からなっていた。患者は、2つの個別機会(期間)にその都度片眼にPRK手術を受けた。患者は、手順1及び代替的後続手順2に従って化合物1又は媒体のどちらかを摂取するようにランダム化された。
40名の患者は、2つのシーケンス:期間1に化合物I、続いて期間2に媒体又は期間1に媒体、続いて期間2に化合物Iに1:1の比でランダム化された。各患者は、その試験眼へのPRK手術後72時間にわたり1日4回1滴投与された(1日目、期間1及び2)。最初の試験眼は、患者及び研究者の合意の下でスクリーニング時に確定された非優位眼であった。患者は、第1の眼の手術後の期間1の2、3、4及び8日目にフォローアップ診察に戻り、創傷治癒が完全になるまで患者をフォローするための任意選択的な毎日の診察を受けた。なんらか合併症が認められた場合、第2の眼手術は実施されなかった。
患者は、期間2の1日目にその第2の試験眼(優位眼)へのPRK手術を受けた。PRK手術は、研究者の自由裁量で第1の眼の上皮欠損が回復された後に実施された。PRK手術後、患者は、72時間にわたり対向治療を1日4回受けた。患者は、術後の最初の3日間(期間2、2~4日目)にわたり毎日及び第2の手術後1週間(期間2、8日目)で戻り、創傷治癒が完全になるまで患者をフォローするための任意選択的な毎日の診察を受けた。試験終了(EOS)診察は、第2の眼の手術の30日後(又は患者が時期1に早期に治療を終了したときは治験薬の最終投与後)に行われた。
患者は全て、試験の期間1及び2に、PRK手順の後及び疼痛用試験滴剤を受ける前にバンデージコンタクトレンズ(Air Optix(登録商標)Night and Day(登録商標)Aqua又は等価物)の適用を含む標準ケア治療を受けた。試験滴剤の最初の用量の適用後に局所眼用抗生物質(モキシフロキサシン又は等価物1点眼剤1日4回)のコースを開始して4~7日間継続した。PRK後1週間にわたり酢酸プレドニゾロン眼用点眼剤1滴1日4回を投与し、続いて漸減させた。必要に応じて保存剤フリー単位用量人工涙液を使用した。各PRK手順後の試験滴剤の最初の用量は、現場スタッフにより投与された。後続用量は自己投与された。シーケンスの点眼剤投与間で5分間のギャップが許容された。まとめると、患者はPRK手順を受け、バンデージレンズが角膜に配置され、化合物I又は媒体が投与され、おおよそ5分間後に抗生物質が投与され、さらに5分後にプレドニゾロンが投与された。
レスキュー投薬は、必要に応じて合計10錠/日又は4時間ごとに1~2錠までの経口鎮痛剤(アセトアミノフェン300mg+コデイン30mg)からなっていた。
追加の試験治療
患者は全て、PRK手術後に以下のものを含む標準ケア補助治療を受けた。
・バンデージコンタクトレンズ(Air Optix(登録商標)Night and Day(登録商標)Aqua又は等価物)
・PRK手術の直後及び試験点眼剤の最初の用量の適用後に局所眼用抗生物質(モキシフロキサシン又は等価物点眼剤1滴1日4回)のコースを開始し、管理医師に従って4~7日間継続した。
・酢酸プレドニゾロン眼剤:PRK手術直後及び抗生物質点眼剤の点眼後に点眼剤1滴1日4回を開始し、PRK後1週間にわたり投与し、続いて局所手順に従って漸減させた。
・必要に応じて保存剤フリー単位用量人工涙液を使用した。人工涙液は、鎮痛作用のために冷却させなかった。
滴剤は、点眼剤投与間に少なくとも5分間のギャップをもたせて逐次的に投与された。
選択基準
この試験の選択適格集団は、下記基準の全てを満たさなければならなかった。
・両眼PRK手術に適格な18~75歳の男性及び女性患者。
・ベースライン時に屈折異常以外は正常な眼検査。
・計画された近視矯正は、ベースライン時に顕性屈折により-4.50以下の等価球面度数が確認され、-4.00ディオプター(球面)及び3.00ディオプター非点収差を超えないことが必要とされた。モノビジョン治療(例えば、片眼は遠距離及び僚眼は中間距離の矯正)は許容された。
・いずれのアセスメントも実施前に書面によるインフォームドコンセントが得られた。
除外基準
・単眼患者(弱視を含む)又はベースライン時に20/80(スネレン)若しくは55文字[早期治療糖尿病性レチノパチー試験(EDTRS)]よりもより悪い最高矯正視力(BCVA)スコア。
・創傷治癒に影響したいずれかの全身若しくは眼疾患(例えば、重篤関節リウマチ若しくは糖尿病又はケロイド形成病歴)又はベースラインの6ヶ月前の眼外傷、ブドウ膜炎、感染若しくは炎症の病歴。とりわけ糖尿病に対して:重症糖尿病、コントロール不能糖尿病、糖尿病性ケラトパチー、糖尿病性レチノパチー、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性腎症、糖尿病性足部潰瘍又は糖尿病の他の全身合併症の患者は除外された。糖尿病の眼又は全身合併症の証拠を有していない軽度コントロール良好糖尿病の患者は採用された。
・活動性の炎症性若しくは感染性眼病態、重篤若しくは進行性網膜疾患及びベースライン前の過去6ヶ月以内に局所若しくは全身ステロイド剤の使用又はクマジン若しくは類似薬剤の使用の患者。
・いずれかの角膜ジストロフィー(上皮、間質若しくは内皮)又はいずれかの角膜疾患(有意な瘢痕化(研究者の自由裁量で)、眼ヘルペス若しくは翼状片を含む)を有する患者。
・既往屈折又は角膜手術(例えば、LASIK、PRK、放射状角膜切開、翼状片除去、角膜移植)。
・テトラカイン又は類似の局所眼用知覚麻痺剤、NSAID及びアスピリン、経口鎮痛剤(アセトアミノフェン及びコデインを含む)、抗生物質、ステロイド剤並びにバンデージコンタクトレンズ耐容又は着用不能を含めてこの試験に使用した薬剤に対するアレルギー性若しくは過敏性反応又はいずれかの有意なAEの病歴。
・併用療法、又は長期治療病歴、又は全身若しくは眼NSAID、鎮痛剤、疼痛医薬(ガバペンチン若しくはプレガバリン及び類似物を含む)、オピエート若しくはカンナビスの乱用。
・試験眼手術前の2週間以内に潤滑点眼剤以外のいずれかの局所眼医薬を使用した患者は除外された。下記のいずれかを満たす患者は除外された。
oベースライン前の30日間に局所NSAIDの使用、又は
oベースライン前の30日以内に全身NSAIDの全身/長期使用、又は
oベースライン前の3日以内に全身NSAIDの随時使用、又は
o手術前の3ヶ月間以内に眼シクロスポリン(又は類似の医薬)の使用。
・体重<50kgの患者又は18~35kg/mの範囲内の体重指数(BMI)を有していない患者。BMI=体重(kg)/[身長(m)]
・妊娠女性又は授乳(泌乳)女性。治験薬剤の投与時に基本的避妊方法を使用していない限り、生理学的に妊娠可能な全ての女性として定義される出産可能性のある女性。
試験集団が全ての適格患者を代表するものであったため、追加の除外は研究者により適用されなかった。
試験集団
試験集団は、18~75歳(両端を含む)のPRK手術に適格な男性及び女性の患者で構成された。合計40名の患者が計画された。合計44名の患者がスクリーニングされ、そのうちの40名の患者が試験に登録されてランダム化された。
患者選択は、スクリーニング時及びベースライン時に全ての適格性基準の精査に基づいて確定された。適格性基準の関連記録(例えば、チェックリスト)は、試験現場で原文書と共に保存された。いずれかのエントリー基準から偏りのある患者は、試験への登録から除外された。
患者デモグラフィックスは表3に提供される。
Figure 0007571037000011
治療アーム
患者は、各期間が3日間続く下記の2つの治療シーケンスの1つに1:1の比で割り当てられた。
Figure 0007571037000012
化合物Iは、点眼剤として患者に投与された。滴剤は、PRK手術日に試験現場で試験員により投与された。毎日のフォローアップ術後診察時、患者が点眼剤投与の予想時間に現場にいるとき、試験員は点眼剤を投与することが必要とされた。滴剤の残りは、家庭で患者により又は診察のために患者が試験現場にいるときに(例えば、術後24、48及び72時間で)投与された。
視覚的アナログスケール
患者の主観的疼痛経験は、0~100の数値疼痛アセスメントのVASを用いて記録された(0は無疼痛を表し、且つ100は最悪の想像可能な疼痛を表す)。PRKの疼痛の従来の試験では、手術後4~6時間近傍にピークを有して手術後の最初の12時間以内に最も激しい疼痛を経験することが示されたことから(Sher et al.,Refract Corneal Surg.Nov-Dec;9(6):425-36(1993))、これらを一次エンドポイント解析の時間点に選択した。術直後の期間に患者が経験する最大疼痛、さらには疼痛全体の両方を減少させることが臨床的に重要であるため、術後6時間及び12時間までの2つの期間を一次エンドポイントとして評価した。評価可能なVASデータは全て、適切な時間点で患者が自身の疼痛レベルをマークした電子デバイス(ソフトウェアアプリケーションを備えたセルフォン)のePROを用いて収集された。
レスキュー経口鎮痛剤:臨床試験の一部として術後に患者への疼痛管理投薬を拒絶することは倫理的でない。PRK後の標準ケアに類似して、PRK後の術後疼痛に対してNSAIDをレスキュー経口鎮痛剤として使用することが、従来の臨床試験の精査から示唆された。経口レスキュー投薬の使用は、疼痛VAS評価の潜在的交絡因子であり得るため、疼痛医薬の影響を考慮して疼痛VASスコアを解析するとき、以下の3つのアプローチを使用した(4時間のレスキュー投薬の影響を仮定して)。(1)レスキュー投薬の使用後4時間以内のいずれの記録VASスコアも、欠測とみなされ、(2)記録VASスコアは全て、使用され、且つ(3)レスキュー投薬使用後4時間以内のいずれの記録VASスコアも、レスキュー投薬前に得られた記録によりインピュートされた。
一次効能結果
術後6時間及び0~12時間の平均VAS疼痛重症度スコアは、それぞれ、表4及び表5に提示されるとともに図1に示される。一次解析は、一次PD解析セットを用いて実施された。
術後6時間及び0~12時間にわたる平均VAS疼痛重症度スコアの治療差は、化合物Iと媒体との間で0.10未満のp値で統計的に有意であった。
術後6時間のVAS疼痛重症度スコアのモデルベース平均治療差(化合物I-媒体)は、-11.1(90%CI:(-17.54、-4.71、p=0.005))、術後0~12時間では-8.56(90%CI:(-14.29、-2.83、p=0.016))であった。そのため、試験の一次効能目的は満たされた。
術後6時間及び0~12時間にわたる平均VAS疼痛重症度スコアの治療差は、化合物Iと媒体との間で0.10未満のp値で統計的に有意であった。
Figure 0007571037000013
Figure 0007571037000014
二次効能結果
経口レスキュー投薬(ORM)を使用しなかった患者数は、術後0~6時間、0~12時間及び0~24時間で媒体治療眼と比較して化合物I治療眼でより多かった。術後の36時間後では、化合物I対媒体で同数の患者がORMを受けた(表6)。
Figure 0007571037000015
経口レスキュー投薬(ORM)使用発生率のヒストグラム(ORMを使用しなかった患者数)は、図2に表示される。
ORM量の概要及び解析(丸剤/患者の数)は、表7に提示される。
Figure 0007571037000016
表7及び図2に見られるように、試験期間の時間インターバルごとに、化合物I対媒体治療でORMの低下が見られた。
ORM量(mg/kg体重)の概要及び解析は、表8に提示される。
時間インターバルごとに、ORM量(mg/kg体重)は、化合物I対媒体治療で低下した(表8)。術後0~6時間、0~24時間、0~48時間及び0~72時間の期間では、ミリグラム/キログラム体重の差は統計的に有意であった(p≦0.10)。
Figure 0007571037000017
PRK手術後の最初の3日間のVAS疼痛重症度
PRK手術後、患者は、手術後1時間から始めて手術後の最初の18時間にチェックされた7つの時間点の6つでp値の閾値0.10で、化合物Iによる治療後に媒体と比較して統計的に有意に低下したVAS疼痛重症度スコアを報告した。VAS疼痛重症度スコアは、化合物Iでは、手術後36時間以下の全ての予定時間点で媒体よりも低かった。PRK手術後36時間から72時間のVAS収集期間の終りまでの全ての時間点で、化合物IのVASスコアと媒体のVASスコアとの間の差はわずかに異なるにすぎず、p値の閾値0.10でスコア間の統計的有意差は見られなかった。
試験点眼剤の点眼の前及び後のVAS疼痛重症度スコア
1/2時間前且つ点眼剤の点眼直前(すなわち6、18及び24時間)と比較して術後6.5、18.5及び24.5時間の時間点のVASスコアの平均変化は、化合物I治療眼では、それぞれ、-3.1、2.8及び1.3であった。媒体治療眼では、同一差は、それぞれ、-5.6、2.2及び-0.2であった。
眼性疼痛アセスメント調査(OPAS)
OPASは、2010年の国立眼科研究所(National Eye Institute)ワークショップから同定された必要性に応えて開発された、角膜及び眼表面疼痛並びに生活の質を定量及びモニターするための検証された機器である。Qazi et al.,Ophthalmology July 123(7):1458-1468(2016)を参照されたい。QaziらによるOPASの疼痛重症度全体の等級スケールは、調査に準拠して、0(無疼痛)~10(重篤疼痛)又は症状の頻度に関して0%(皆無)~100%(常時)に等級付けされた。患者は、2日目、4日目(試験薬剤による治療期間の終了時)及び8日目にOPAS調査/アンケートに記入するように要求された。OPAS結果の統計解析は実施されなかった。合計27のOPAS質問のうち、7つの質問の結果が以下に提示される。
2日目の最大疼痛の眼性疼痛レベル(質問4)、最小疼痛の眼性疼痛レベル(質問5)及び平均の眼性疼痛レベル(質問6)での過去24時間の眼性疼痛強度の質問では、3つの回答は全て、媒体と比較して化合物Iが数値的に有利であった(図3A、図3B、図3C)。
次の症状:発赤(質問22)、灼熱感(質問23)、光知覚(質問24)及び流涙(質問25)を伴う眼性疼痛はどれくらいの頻度かの質問では、回答は全て、媒体と比較して化合物Iが有利であった(図4A、4B、4C及び4D)。そのため、化合物Iが投与された患者は、プラセボが投与された患者と比較して、発赤、灼熱感、光知覚(羞明)及び流涙を伴うより低い眼性疼痛レベルを呈した。
要約診査眼結果
眼性疼痛アセスメント調査(OPAS)は、化合物I対媒体の治療期間でより良好な疼痛管理及び生活の質の患者を示した。
・2日目の最大疼痛の眼性疼痛レベル(質問4)、最小疼痛の眼性疼痛レベル(質問5)及び平均の眼性疼痛レベル(質問6)での過去24時間の眼性疼痛強度の質問では、3つの回答は全て、媒体と比較して化合物Iが有利であった(図3A~3C)。
・次の症状:発赤(質問22)、灼熱感(質問23)、光知覚(質問24)及び流涙(質問25)を伴う眼性疼痛はどれくらいの頻度かの質問では、回答は全て、媒体と比較して化合物Iが有利であった(図4A~4D)。
・1/2時間前且つ点眼剤の点眼直前(すなわち、6、18及び24時間)と比較して術後6.5、18.5及び24.5時間の時間点のVASスコアの平均変化は、化合物I治療眼では、それぞれ、-3.1、2.8及び1.3であった。媒体治療眼では、同一差は、それぞれ、-5.6、2.2及び-0.2であった。
薬動学
薬動学的アセスメント
薬動学的(PK)サンプルは、表9に示されるPK血液採取ウィンドウを用いて、以上の診察スケジュールに定義される時間点で採取された。
Figure 0007571037000018
血液サンプル(3mL)は全て、直接静脈穿刺又は前腕静脈に挿入された留置カテーテルのどちらかにより腕から採取された。各血液管を引き抜いた後、管内容物と抗凝固剤(3mL K2EDTA)との混合を確保するために、ただちに穏やかに8~10回反転させた。サンプルとゴムストッパーとの長時間接触を回避して、遠心分離までウェットアイスに囲まれた試験管ラックに管を直立に配置した。
30分以内に、約5℃で10分間にわたりおおよそ2000Gでサンプルを遠心分離した(又はサンプルを氷上に配置し、そして室温で遠心分離した)。遠心分離の直後、全上清(約1.5mL)を第1の1.8mL NUNC 2Dバーコード付きクライオバイアルに移した。血漿を完全に混合した後、血漿の半分を第1のクライオバイアルから第2のクライオバイアルに移してキャップを固定した。適切なPKクライオラベルを各クライオバイアルに装着し、透明テープでラベルを固定した。ただちにドライアイス上でクライオバイアルをフリーズし、次いで中央検査室に輸送するまで≦-20℃でフリーズ状態を維持した。バイアルをバッチ方式で2週間に1回輸送した。
検証されたLC-MS/MS法を用いて血漿中の化合物Iを定量した。定量下限(LLOQ)は0.05ng/mLであった。濃度はng/mL単位で表された。実現可能なとき、試験薬剤に暴露されたバンデージコンタクトレンズ(BCL)を収集し、治療後の残留薬剤暴露に関して分析した(LLOQ:0.55mL抽出流体中5.00ng/mL又は2.75ng/BCL)。LLOQ未満の濃度は「ゼロ」として報告され、且つ欠測データはそのように記された。
実際の記録サンプリング時間及びノンコンパートメント法を用いて、Phoenix(商標)WinNonlin(登録商標)(バージョン6.4)により、血漿中濃度-時間データから関連する次のPKパラメーター:Cmax、Tmax、AUClast(計算値)、Clast及びTlastを決定した。公称0、24及び72時間の検査により投与前濃度を決定した。AUClast計算に線形台形公式を使用した。バンデージコンタクトレンズ化合物I濃度データからは、PKパラメーターを計算しなかった。
化合物Iの血漿中薬動学
化合物Iの算術平均血漿中濃度-時間プロファイル及びPKパラメーターは、それぞれ、図5A及び図5B並びに表10に提示される。
化合物Iの局所片眼投与後、体循環への吸収は迅速であり、初回(1日目、範囲0.167~2.00時間)及び13回目(4日目、範囲0.00~2.08時間)の投与後のメジアンTmaxは、それぞれ、0.459時間及び0.467時間であった。1日目に34/40名の患者及び4日目に33/40名(Cmax)又は31/40名(AUClast)の患者でCmaxを決定し、AUClastを計算した。1日目の投与前の濃度は全て、定量限界未満にあり、0.00ng/mLとしてインピュートされた。2日目の5回目の投与前(1回目の投与後24時間、2日目の時間点0時間)のトラフ(6時間投与インターバルの終了時及びその次の投与前)の平均濃度(CV%)は1.25ng/mL(54.9%)、4日目の13回目の投与前(1回目の投与後72時間、4日目の時間点0時間)ではわずかに高い1.99ng/mL(76.3%)であった。
濃度は一般に低く、4日間の繰返しQID投与にわたり0.195~7.56ng/mLの範囲内のCmax及び0.261~14.5ng・時間/mLのAUClastが観測された。1日目の初回投与後の算術平均Cmax(CV%)は、0.454ng/mL(49.9%)であり、4日目の13回目の投与後は、2.40ng/mL(63.5%)すなわち5.3倍であった。対応する平均AUClast(CV%)値は、0.638ng・時間/mL(46.0%)及び4.38ng・時間/mL(67.0%)(4日間にわたり6.9倍に増加)であった。
Figure 0007571037000019
バンデージコンタクトレンズ
用量投与の4日目に40名の患者からバンデージコンタクトレンズ(BCL)を収集して化合物Iを分析した。3名のIMPノンコンプライアント患者からの値はBCL要約統計から除外したため、利用可能な血漿中PKなしの患者からの1つの値を含めて37の評価可能な値が残った。0.55mL抽出流体中の化合物Iの平均濃度(CV%)は、8500ng/mL(73.1%)であり、284~22600ng/mLの広範囲にわたっていた。これらの濃度は、4680ng/レンズ(0.55mL×8500ng/mL)の推定平均及び156~12400ng/レンズの範囲に変換される。BCL中の量は、投与された化合物Iの0.925mg用量に比べて非常に少なく、平均は用量の0.51%及び範囲は0.017%~1.3%であった。このことは、BCLが局所眼用化合物Iを吸収及び保持することを示唆するが、局所眼用量と比較して無視し得る量である。
要約薬動学的結果
・体循環への化合物Iの吸収は、単回(初回用量)又は繰返し1日4回のどちらの局所眼投与後も、迅速であった(メジアン血漿中Tmaxはおおよそ0.5時間であった)。
・化合物Iの単回及び複数回の両方の局所眼投与後、全身暴露は低く、4日間の繰返しQID投与にわたり0.195ng/mL~7.56ng/mLの範囲内であり、中程度の変動性を示した。平均Cmaxは、1日目の初回投与後0.454ng/mL及び4日目の13回目の投与後2.40ng/mLであった。
・単回投与後のCmax及びAUClastに対するCV%値は、それぞれ、49.9%及び46.0%であった。繰返し投与後の対応する値は、63.5%及び67.0%であった。
・繰返し投与後の平均Cmax(2.40ng/mL)は、1日目の単回投与後(0.454ng/mL)の5.3倍であった。同様に、平均AUClastは、繰返し対単回投与(4.38対0.638ng・時間/mL)後6.9倍であった。これらのデータは、4日間の2.5%化合物Iの1日4回投与にわたり蓄積を示唆した。
・用量投与の4日目に40名の患者からバンデージコンタクトレンズ(BCL)を収集した。0.55mL抽出流体中の平均濃度(CV%)は、8500ng/mL(73.1%)であり、推定4680ng/レンズに変換される。BCL中の量は、投与された化合物Iの0.925mg用量に比べて非常に少なく、用量の0.51%であり、0.017%~1.3%の範囲であった。このことは、BCLが局所眼用化合物Iを吸収及び保持することを示唆するが、局所眼用量と比較して無視し得る量である。
安全性
安全性アセスメントは、全てのAE、SAEをそれらの重症度及び試験薬剤との関係と共に収集することからなっていた。表11は、PRK手術後の状況で共通する徴候及び症状のリストを含む。重症度又は持続時間のどちらかの列挙された範囲を超えた徴候及び症状のみがAEとして報告された。
Figure 0007571037000020
1週間とは、許容可能なウィンドウを含めて術後8日目の診察(治療期間1の6回目の診察又は期間2の11回目の診察)までの消散を意味する。表は、試験を開始する前、標準的PRK手術後によく見受けられる予想される臨床徴候を含む編集された経験に基づく全ての治験責任医師及び外科医からのフィードバックにより構築された。
1ヶ月とは、EOS診察までの又はEOS診察が実施されないか若しくは試験手術間が1週間を超える場合には手術後37日以内の消散を意味する。
有害イベント及び重篤有害イベントは、全身及び眼の両方のアセスメントのアセスメントを含んでいた。全身安全性アセスメントは、身長及び体重の定期的アセスメント、生命徴候、誤用/乱用を含む投薬過誤報告、妊娠報告並びに初期安全性モニタリングを含んでいた。誤用/乱用、妊娠報告及び初期安全性モニタリングは、試験で評価されなかった。眼安全性アセスメントは下記を含んでいた。
・最高矯正視力(BCVA)及び非矯正視力(UCVA):4メートル(13フィート)又は1メートル(4メートルチャートを読めない患者に対して)のETDRS視力チャートを用いて各診察時に測定された。BCVAスコアリングは、適正に読み取られた文字の数プラス30に基づいて行われた。視力が非常に劣り患者が1メートルでいずれの最大文字も読み取れない場合、指数弁及び手動弁及び光覚弁が試験された。
・眼内圧(IOP):IOP測定は、圧平眼圧測定又はトノペンを用いて行われた。
・拡張眼底検査:拡張眼底検査は、硝子体、網膜/黄斑/脈絡膜及び視神経の検眼鏡検査アセスメントを含んでいた。網膜裂傷/剥離、網膜出血、硝子体出血密度、硝子体ヘイズグレーディング及び異常所見の評価を行って、グレーディング基準に従ってスコア付けした。
・眼充血:マクモニーズ発赤スケールに従ってスリットランプで各眼中の眼球結膜の結膜発赤をグレードけした。充血は、各眼の4つの領域(上側、下側、耳側、鼻側)で各領域の重症度を0~5にグレードけして評価された。
・スリットランプ検査による上皮欠損のサイズ:光源ビームに対して斜めの観察角で狭いスリットビームを用いて、角膜を区分して角膜創傷の垂直及び水平境界を可視化した。校正スリットビームの幅及び高さを調整することにより、手術上皮創傷の最大水平寸法(創傷幅)及び垂直寸法(創傷高さ)を推定した。創傷が閉鎖されて創傷サイズが水平寸法0及び垂直寸法0として報告されるまで、評価を実施した。
・細隙灯生体顕微鏡法:グレーディング基準に従って細隙灯生体顕微鏡法により両眼の眼徴候(眼瞼/結膜、角膜、水晶体及び虹彩/前房)を評価した。
・まばたき速度:まばたきは、外部刺激誘発の不在下において眼瞼で発作的に両眼を閉じること(持続時間<1秒間)として定義された。各まばたきアセスメントは、2分(又は最小時間を1分間としてできる限り2分間近く)継続され、得られたまばたき速度を平均してまばたき/分単位でまばたき速度を計算した。
・涙液産生(知覚麻痺剤なしのシルマー試験):試験は、両眼で知覚麻痺剤なしで同時に行われた。涙分泌は、涙により湿潤されたストリップの長さがミリメートル単位で測定された。測定値は、最も近い整数に丸められた。
・角膜染色:この試験は、下側の結膜嚢に含浸フルオレセインナトリウムストリップの湿潤端を穏やかに触れることにより実施される。ストリップは、1滴の無菌生理食塩水で湿潤され、軽く叩いて過剰の生理食塩水が除去された。患者は、涙膜全体にわたり色素の分散を確保するために数回まばたきした後、5つのゾーン(中心プラス4つの四分円)の各々に対して、0~3(0=正常、染色なし、1=軽度、表層斑点マイクロ点状染色、2=中度、いくつかの合体領域を有するマクロ点状染色及び3=重度、数多くの合体マクロ点状領域及び/又はパッチ)のスケールでグレード付けされた。
安全性評価
試験では、死亡もSAEも薬剤の中止もAEに起因する試験の中止も見られなかった。合計18回のAEが10名の患者(40名の登録患者の25%)で報告され、そのうちの12回は化合物Iによる治療後、5回は媒体による治療後に起こり、1回は試験薬剤の投与前に1名の患者で起こった。AEは全て、重症度が軽度又は中度どちらかであった。
合計10名の患者(25%)は、治療時に現れた少なくとも1回のAEを経験し、5名の患者は単回のAEを経験し、5名の患者は2回以上のAEを経験した。5名の患者は、化合物Iによる治療時にのみAEを経験し、2名の患者は、媒体による治療時にのみAEを経験し、3名の患者は、化合物I及び媒体の両方による治療時にAEを経験した。初回の試験薬剤の投与前に1回のAE(頭痛)が見られた。
4名の患者(40名の登録患者の10%)で6回の眼AEが見られ、その全てが軽度重症度であった(各々化合物I及び媒体で治療された3つの眼)。いずれのAEも、どちらの試験薬剤(化合物I又は媒体)にも関連すると推測されなかった。6回の眼AEのうちの5回は、治験医によりPRK手順に関連すると考えられた(2回は化合物I治療眼及び3回は媒体治療眼に属した)。
7名の患者(17.5%)で12回の非眼AEが見られた(化合物Iで治療された6つの眼、媒体で治療された2つの眼及び薬剤期間でない間の1名の患者)。4名の患者(10%)の5回のAEは、中度重症度であった(化合物Iで治療された4つの眼及び媒体で治療された1つの眼)。残りのAEは軽度重症度であった。いずれのAEも、治験医により化合物Iに関すると推測されなかった。
表12は、有害イベントの全発生率を提供する。
Figure 0007571037000021
眼安全性アセスメント
最高矯正視力(BCVA)及び非矯正視力(UCVA):化合物Iの投与は、試験全体を通じて化合物I治療眼と媒体治療眼との間にいかなるトレンドも明らかな差ももたらさなかった。したがって、化合物Iは、BCVA及びUCVAに悪影響を及ぼすことなく疼痛を軽減することが、データから示唆される。
眼内圧(IOP):試験全体を通じて予定時間点にわたるトレンドも化合物I治療眼と媒体治療眼との間の明らかな差も観測されなかった。試験の終了時、ベースラインと比較して平均IOP値のわずかな増加(<5mmHg)が見られた。試験期間中の平均スコアの小さい変化は、臨床的に有意でなかった。
拡張眼底検査:異常所見は、化合物I及び媒体治療眼に対して予定時間点にわたり治験医により報告されなかった。
眼充血:化合物I及びプラセボ治療眼に対する経時的眼充血のバーチャートは、それぞれ、図6A及び6Bに提供される。図6A及び6Bは、それぞれ、3日目及び4日目のグレード4及びグレード3眼充血(マクモニーズスケールで測定されたとき)を表す。術後2日目(PRK手術後24時間)、化合物I治療眼では媒体治療眼と比較してより少ないグレード4充血(全ての四分円で)が見られた。上側四分円では、この差に対するp値は0.04であった。3日目(術後48時間)、化合物I治療眼では媒体治療眼と比較してより少ないグレード3充血が観測された。観測はいずれかも、AEとしてキャプチャーされなかった。
スリットランプ検査による上皮欠損のサイズ:化合物Iの投与後の創傷治癒の速度を評価するために、化合物I及び媒体治療集団の両方で上皮欠損のサイズが測定された。上皮創傷サイズの楕円面積は、スリットランプで測定される上皮欠損の幅及び高さから次のように:面積(mm2)=幅×高さ×πとして計算された。化合物Iと媒体との間の上皮創傷面積の差は、PRK手術後2日目(面積差に対するp値は全ての>0.35であった)を除いて、いずれの時間点でも顕著に異ならなかった。2日目(術後24時間)、化合物I対媒体で治療された患者間の平均上皮欠損面積の差は11.23mm2であった(p値=0.034)。この差は、手術時間直後、臨床的に有意でなかった。3日目(術後48時間)まで、化合物I治療眼と媒体治療眼との間に差は見られず、創傷の面積は非常に小さかった。4日目(術後48時間)、ほとんど全ての眼は治癒し、化合物I治療眼と媒体治療眼との間に差は見られなかった。化合物Iは、媒体と比較して創傷治癒の遅延を示さなかった。
図7及び表13は、化合物I治療眼対媒体治療眼の上皮サイズ欠損の比較を提供する。
Figure 0007571037000022
細隙灯生体顕微鏡検査:細隙灯生体顕微鏡検査は、眼構造(眼瞼/結膜、角膜、虹彩/前房、水晶体、房水フレア及び房水炎症性細胞グレード)の検査からなっていた。予定時間点全体にわたり化合物I及び媒体の両方で治療された患者において、房水フレア及び房水炎症性細胞グレード、虹彩/前房及び水晶体の眼構造に異常は観測されなかった。
まばたき速度:平均まばたき速度の変動が見られたが、化合物I及び媒体治療後のまばたき速度間の予定時間点にわたるトレンドも明らかな差も試験全体を通じて観測されなかった。試験の終了時、まばたき速度の臨床関連変化は、ベースラインと比較して観測されなかった。
角膜染色:患者のほとんどは、ベースライン、8日目及びEOS診察で測定された正常(グレード0)染色度を有していた。ベースライン又は8日目又はEOS診察のどれでも、化合物I対媒体で治療された眼間の角膜染色の臨床的差は、観測されなかった。
生命徴候、身体所見及び安全性に関連する他の観測:生命徴候パラメーター(収縮期及び拡張期血圧、脈拍数並びに体温)は、全ての患者が試験期間中正常範囲内にあった。生命徴候に関連するAEは観測されなかった。心電図及び特殊安全性トピックは行われず評価されなかった(プロトコルに従って)。
安全性結果の概要
・この試験で報告された死亡も深刻又は重篤AEも治療中止も試験中止も見られなかった。
・いずれのAEも、試験薬剤(化合物I又は媒体のどちらも)に関連すると評価されなかった。40名中8名の患者及び40名中5名の患者は、それぞれ、化合物I及び媒体治療後にAEを発生した。眼AEは全て、軽度であり、化合物Iと媒体との間で均衡しており、大多数は、PRK手順に関連する周知のAEであった。
・化合物Iと媒体との間で安全性の臨床的有意差は観測されなかった。
・化合物Iは、媒体と比較して創傷治癒の遅延を示さなかった。
・2日目(術後24時間)に重篤結膜充血を示した化合物I治療眼は、媒体治療眼と比較してより少なかった。
・化合物I投与後、媒体と比較して、BCVA、IOP、細隙灯生体顕微鏡検査、散瞳検査、まばたき速度、涙液産生、角膜染色又は生命徴候で観測された臨床関連変化は見られなかった。
優先項目によるAEの発生率は、表14に示される。
Figure 0007571037000023
本明細書で引用される全ての刊行物及び特許文献は、このような刊行物又は文献のそれぞれが具体的且つ個別に参照により本明細書に組み込まれるように指示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本発明及びその実施形態は、詳細に記載された。しかしながら、本発明の範囲は、本明細書に記載されるいずれかのプロセス、製造、物質の組成、化合物、手段、方法及び/又は工程の特定の実施形態に限定されることが意図されない。本発明の趣旨及び/又は本質的な特徴から逸脱することなく、様々な変更形態、置換及び変形形態が本開示の材料に施され得る。したがって、当業者は、本明細書に記載される実施形態と同じ機能を実質的に実施するか又は同じ結果を実質的に達成する、後の変更形態、置換及び/又は変形形態が、本発明のそのような関連する実施形態に従って利用され得ることを本発明から容易に理解するであろう。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書に開示されるプロセス、製造、物質の組成、化合物、手段、方法及び/又は工程に対する変更形態、置換及び変形形態をそれらの範囲内に包含することが意図される。特許請求の範囲は、その趣旨が述べられていない限り、記載された順又は要素に限定して解釈すべきではない。形態及び詳細の様々の変更が添付の特許請求の範囲から逸脱することなく施され得ることを理解すべきである。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載の発明を列挙する。
[発明1]
眼表面疼痛の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量の、構造:
を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を前記対象に点眼することを含む、前記方法。
[発明2]
前記眼表面疼痛は、慢性眼表面疼痛(COSP)である、発明1に記載の方法。
[発明3]
前記式Iの化合物は、前記対象の角膜に投与される、発明1に記載の方法。
[発明4]
約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で前記式Iの化合物を投与することを含む、発明1~3のいずれか一つに記載の方法。
[発明5]
約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vの濃度で前記式Iの化合物を投与することを含む、発明4に記載の方法。
[発明6]
前記COSPは、ドライアイ疾患に伴うものである、発明1~5のいずれか一つに記載の方法。
[発明7]
前記投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす、発明6に記載の方法。
[発明8]
前記投与は、ドライアイ疾患に伴う前記眼性疼痛の減少をもたらす、発明6に記載の方法。
[発明9]
前記投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす、発明7に記載の方法。
[発明10]
前記対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しく水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症、神経栄養性角膜炎から回復している患者又はレーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術若しくはレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後になくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛の1つ以上に罹患している、発明1~5のいずれか一つに記載の方法。
[発明11]
前記対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む、発明1~10のいずれか一つに記載の方法。
[発明12]
前記投与は、視覚的アナログスケール(VAS)で測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、疼痛スコアの低減をもたらす、発明1~11のいずれか一つに記載の方法。
[発明13]
前記投与は、VASで測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、前記対象の疼痛スコアの低減をもたらす、発明1~12のいずれか一つに記載の方法。
[発明14]
前記投与は、プラセボと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約25%の、前記対象の疼痛の低減をもたらす、発明1~11のいずれか一つに記載の方法。
[発明15]
前記疼痛スコアの前記低減は、前記対象への化合物Iの投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる、発明12又は13に記載の方法。
[発明16]
VASスコアの前記低減は、前記対象への化合物Iの投与後の約半時間以内に生じる、発明12~15のいずれか一つに記載の方法。
[発明17]
前記投与は、マクモニーズスケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、前記対象における充血の低減をもたらす、発明1~16のいずれか一つに記載の方法。
[発明18]
前記投与は、プラセボと比較して、最高矯正視力、細隙灯生体顕微鏡検査、散瞳検査、まばたき速度、涙液産生、眼内圧の1つ以上の変化をもたらさない、発明1~17のいずれか一つに記載の方法。
[発明19]
前記式Iの化合物は、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間又は少なくとも約3ヶ月間にわたって投与される、発明1~18のいずれか一つに記載の方法。
[発明20]
前記式Iの化合物は、3ヶ月間超にわたって投与される、発明1~19のいずれか一つに記載の方法。
[発明21]
前記式Iの化合物は、1日1~4回投与される、発明1~20のいずれか一つに記載の方法。
[発明22]
眼表面疼痛の治療又は低減に使用するための、式I
の化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶。
[発明23]
前記眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛である、発明22に記載の使用。
[発明24]
前記式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される、発明22又は23に記載の使用。
[発明25]
前記式Iの化合物は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vの濃度で投与される、発明22~24のいずれか一つに記載の使用。
[発明26]
式I
の化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶である活性成分を含有する、眼表面疼痛を治療又は低減するための医薬。
[発明27]
前記眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛である、発明26に記載の医薬。
[発明28]
前記式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される、発明26又は27に記載の医薬。
[発明29]
前記式Iの化合物は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vの濃度で投与される、発明26~28のいずれか一つに記載の医薬。
[発明30]
眼表面疼痛の治療又は低減のための医薬の製造における、式I
の化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶の使用。
[発明31]
前記眼表面疼痛は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間又は少なくとも3ヶ月間にわたって持続する慢性眼表面疼痛である、発明30に記載の使用。
[発明32]
前記式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される、発明30又は31に記載の使用。
[発明33]
前記式Iの化合物は、約0.5%w/v、約1.0%w/v、約1.5%w/v、約2.0%w/v、約2.5%w/v、w/v、約3.0%w/v又は約3.5%w/vの濃度で投与される、発明30~32のいずれか一つに記載の使用。
[発明34]
眼表面疼痛の低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を前記対象に点眼することを含み、前記式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される、前記方法。
[発明35]
前記眼表面疼痛は、慢性眼表面疼痛(COSP)である、発明34に記載の方法。
[発明36]
前記COSPは、ドライアイ疾患に伴うものである、発明34又は35に記載の方法。
[発明37]
前記投与は、ドライアイ疾患の症状の減少をもたらす、発明34に記載の方法。
[発明38]
前記投与は、ドライアイ疾患に伴う前記眼性疼痛の減少をもたらす、発明36に記載の方法。
[発明39]
前記投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼充血、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす、発明38に記載の方法。
[発明40]
前記対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しく水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症、神経栄養性角膜炎から回復している患者又はレーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術若しくはレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛の1つ以上に罹患している、発明34~39のいずれか一つに記載の方法。
[発明41]
前記対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む、発明34~40のいずれか一つに記載の方法。
[発明42]
前記投与は、視覚的アナログスケール(VAS)で測定されたとき、前記化合物の投与前の疼痛スコアと比較して、少なくとも約3の、前記対象の疼痛スコアの低減をもたらす、発明34~41のいずれか一つに記載の方法。
[発明43]
前記投与は、視覚的アナログスケール(VAS)で測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、疼痛スコアの低減をもたらす、発明34~41のいずれか一つに記載の方法。
[発明44]
前記投与は、VASで測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、前記対象の疼痛スコアの低減をもたらす、発明34~42のいずれか一つに記載の方法。
[発明45]
前記投与は、プラセボと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約25%の、前記対象の疼痛の低減をもたらす、発明34~44のいずれか一つに記載の方法。
[発明46]
前記疼痛スコアの前記低減は、前記対象への化合物Iの投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる、発明42~45のいずれか一つに記載の方法。
[発明47]
前記投与は、マクモニーズスケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、前記対象における充血の低減をもたらす、発明34~46のいずれか一つに記載の方法。
[発明48]
眼充血の低減を、それを必要とする対象において行う方法であって、構造:
を有する4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル(式I)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を前記対象に点眼することを含み、前記式Iの化合物は、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与される、前記方法。
[発明49]
眼充血の前記低減は、マクモニーズスケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5である、発明48に記載の方法。
[発明50]
前記投与は、眼の乾燥、眼の不快感、眼の灼熱感若しくは刺痛、ざらつき若しくは異物感又は羞明の1つ以上において少なくとも約10%の低減した発生率をもたらす、発明48又は49に記載の方法。
[発明51]
前記対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しく水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症、神経栄養性角膜炎から回復している患者又はレーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術若しくはレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後に少なくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛の1つ以上に罹患している、発明48~50のいずれか一つに記載の方法。
[発明52]
前記対象に追加の治療剤を投与することをさらに含む、発明48~51のいずれか一つに記載の方法。

Claims (16)

  1. 眼表面疼痛の治療を、それを必要とする対象において行う方法において使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、下記式Iの構造:
    を有する化合物(4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を含むものであり、前記医薬組成物は、前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶が、前記対象に点眼で投与されるように使用されるものである、前記医薬組成物
  2. 前記医薬組成物は、前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶が、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与されるように使用されるものである、請求項1に記載の医薬組成物
  3. 前記対象は、ドライアイ疾患、シェーグレン症候群、結膜炎(角結膜炎、春季角結膜炎、アレルギー性結膜炎を含む)、角膜上皮基底膜ジストロフィー、アカントアメーバ、線維筋痛症、マイボーム腺機能不全、甲状腺眼症、酒さ、下垂症、円錐角膜、眼性疼痛症候群、スティーヴンス・ジョンソン症候群、角膜上皮症、角膜神経障害(LASIK誘導性角膜神経障害を含む)、角膜ジストロフィー(再発性角膜ジストロフィーを含む)、上皮基底膜ジストロフィー、角膜びらん若しくは角膜擦過傷(再発性角膜びらん若しくは角膜擦過傷を含む)、眼表面疾患、眼瞼炎、移植片対宿主病、マイボーム腺炎、緑内障、結膜弛緩症、角膜症(疱疹性角膜症、糸状角膜症、帯状若しく水疱性角膜症、兎眼性角膜症を含む)、角膜炎(単純ヘルペスウイルス角膜炎を含む)、虹彩炎、上強膜炎、角膜手術、多発性硬化症、睫毛乱生症、翼状片、神経痛、眼球乾燥症、神経栄養性角膜炎から回復している患者又はレーザー屈折矯正角膜切除(PRK)手術若しくはレーザー角膜切削形成(LASIK)手術後になくとも3ヶ月間にわたって持続している眼性疼痛の1つ以上に罹患している、請求項1又は2に記載の医薬組成物
  4. 前記投与は、視覚的アナログスケール(VAS)で測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、疼痛スコアの低減をもたらす、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物
  5. 前記投与は、VASで測定されたとき、プラセボと比較して、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9又は少なくとも約10の、前記対象の疼痛スコアの低減をもたらす、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物
  6. 前記投与は、プラセボと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%又は少なくとも約25%の、前記対象の疼痛の低減をもたらす、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物
  7. 前記疼痛スコアの前記低減は、前記対象への前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶の投与前及び後の疼痛スコアの差から生じる、請求項4又は5に記載の医薬組成物
  8. VASスコアの前記低減は、前記対象への前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶の投与後の約半時間以内に生じる、請求項4~7のいずれか一項に記載の医薬組成物
  9. 前記投与は、マクモニーズスケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5の、前記対象における充血の低減をもたらす、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物
  10. 前記医薬組成物は、前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶が、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間又は少なくとも約3ヶ月間にわたって投与されるように使用されるものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬組成物
  11. 前記医薬組成物は、前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶が、3ヶ月間超にわたって投与されるように使用されるものである、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物
  12. 前記医薬組成物は、前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶が、1日1~4回投与されるように使用されるものである、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬組成物
  13. 眼表面疼痛の低減を、それを必要とする対象において行う方法において使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、下記式Iの構造:
    を有する化合物(4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を含むものであり、前記医薬組成物は、前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶が、前記対象に点眼かつ、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与されるように使用されるものである、前記医薬組成物
  14. 眼充血の低減を、それを必要とする対象において行う方法において使用するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、下記式Iの構造:
    を有する化合物(4-(7-ヒドロキシ-2-イソプロピル-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-ベンゾニトリル)又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶を含むものであり、前記医薬組成物は、前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶が、前記対象に点眼かつ、約0.5%w/v~約3.5%w/v、約0.5%w/v~約2.5%w/v又は約0.5%w/v~約1.5w/v、約0.5%~約3.0%w/v、約1.0%~約2.5%w/v、約1.5%~約3.0%w/v又は約0.5%~約2.5%w/vの濃度で投与されるように使用されるものである、前記医薬組成物
  15. 眼充血の前記低減は、マクモニーズスケールで少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4又は少なくとも約5である、請求項14に記載の医薬組成物
  16. 前記医薬組成物は、前記式Iの構造を有する化合物又はその塩、溶媒和物、多形体若しくは共結晶が、約0.5%w/v~約3.5%w/vの濃度で投与されるように使用されるものである、請求項1~15に記載の医薬組成物
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