以下、諸実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下の諸実施形態では、化合物半導体装置の構成について、その製造方法と共に説明する。
なお、以下の図面において、図示の便宜上、相対的に正確な大きさ及び厚みに示していない構成部材がある。
(第1の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
図1及び図2は、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図1(a)に示すように、成長用基板として例えば半絶縁性のSiC基板1上に、i(インテンショナリ・アンドープ)−GaN層2a及びp−GaN部2b1となるp−GaN層を順次形成する。
成長用基板としては、SiC基板の代わりに、Si基板、サファイア基板、GaAs基板、GaN基板等を用いても良い。また、基板の導電性としては、半絶縁性、導電性を問わない。
SiC基板1上に、例えば有機金属気相成長(MOVPE:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)法により、i−GaN層2a及びp−GaN部2b1となるp−GaN層を順次成長する。MOVPE法の代わりに、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法等を用いても良い。
i−GaN層2aは、i−GaNを例えば3μm程度の厚みに成長することで形成される。p−GaN部2b1となるp−GaN層は、p−GaNを例えば50nm程度の厚みに成長することで形成される。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるトリメチルガリウム(TMGa)ガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。TMGaガスの流量は適宜設定し、NH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
GaNをp型として成長する際、即ちp−GaN部2b1となるp−GaN層の形成には、p型不純物であるMg、C、Zn等、例えばMgをGaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばMgを含む例えばCp2Mgガスを所定の流量で原料ガスに添加し、GaNにMgをドーピングする。Mgのドーピング濃度は、1×1016/cm3程度〜1×1021/cm3程度、例えば1×1019/cm3程度とする。
p−GaN層を形成した後、400℃〜1200℃程度、例えば800℃程度でp−GaN層を熱処理し、p型不純物であるMgを活性化する。
続いて、図1(b)に示すように、バックバリア層2bを形成する。
先ず、p−GaN層上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、p−GaN層のゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分(p−GaN部2b1となる部分)を覆い、他の部分を開口するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、p−GaNのp型不純物を不活性する不純物、例えばアルゴン(Ar)を加速エネルギー15keV、ドーズ量1×1014/cm2の条件でイオン注入する。不活性不純物として、Ar以外にホウ素(B),酸素(O),リン(P),鉄(Fe)等を用いても良い。このイオン注入により、p−GaN層のゲート電極の形成予定位置以外の部分が不活性し、p-−GaNとなってp-−GaN部2b2,2b3が形成される。p-−GaN部2b2,2b3は、イオン化アクセプタ濃度がp−GaN部2b1よりも低濃度である。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
以上により、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分に形成されたp−GaN部2b1と、p−GaN部2b1の両側に形成されたp-−GaN部2b2,2b3とを有するバックバリア層2bが形成される。バックバリア層2bでは、p−GaN部2b1は、p-−GaN部2b2,2b3よりもイオン化アクセプタ量が多い、ここではイオン化アクセプタ濃度が高い部分となる。
続いて、図1(c)に示すように、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eを順次形成する。
MOVPE法により、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eとなる各化合物半導体を順次成長する。電子走行層2cは、i−GaNを100nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは、i−AlGaNを5nm程度の厚みに成長することで形成される。電子供給層2eは、n−AlGaNを30nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは形成しない場合もある。電子供給層は、i−AlGaNを形成するようにしても良い。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるトリメチルガリウム(TMGa)ガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、TMAlガス、TMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
AlGaNをn型として成長する際、即ち電子供給層2e(n−AlGaN)の形成には、n型不純物をAlGaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばSiを含む例えばシラン(SiH4)ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、AlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
以上により、i−GaN層2a、バックバリア層2b、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eが順次積層されてなる化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成する。
詳細には、化合物半導体積層構造2の素子分離領域に例えばアルゴン(Ar)を注入する。これにより、化合物半導体積層構造2及びSiC基板1の表層部分に素子分離構造が形成される。素子分離構造により、化合物半導体積層構造2上で活性領域が画定される。
なお、素子分離は、上記の注入法の代わりに、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法を用いて行っても良い。
続いて、図2(a)に示すように、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層2eとオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層2eとオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図2(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に、開口5aを有する保護膜5を形成する。
詳細には、先ず、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。
次に、保護膜5の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、保護膜5のゲート電極の形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、保護膜5を例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてドライエッチングする。これにより、保護膜5のゲート電極の形成予定位置に開口5aが形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
続いて、図2(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを開口5a内を含む保護膜5上に塗布し、開口5aを含むゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、開口5a内をゲートメタルで埋め込み化合物半導体積層構造2の表面とショットキー接触する、ゲート電極6が形成される。ゲート電極6は、開口5a内を埋め込み保護膜5上に乗り上げるNiと、Ni上に堆積したAuとから、いわゆるオーバーハング形状に形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、ショットキー型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTでは、化合物半導体積層構造2の2DEGの生成部位の下方にバックバリア層2bが形成されている。バックバリア層2bのイオン化アクセプタ濃度の比較的高いp−GaN部2b1により、確実なノーマリオフが実現する。更に、バックバリア層2bの形成位置が2DEGの生成部位の下方であることから、ゲート電極6と2DEGとの距離が短く保持され、gmが向上する。また、化合物半導体積層構造2の表面には、ドライエッチングしないためにエッチングダメージはなく、エッチングダメージに起因したトラップ起因の現象(電流コラプス等)も抑制される。
バックバリア層2bは、p−GaN部2b1の両側にp-−GaN部2b2,2b3を有している。従来のp−GaNキャップ構造、即ちチャネル直下にp−GaNを埋め込み、水平方向の濃度変調を施す構造においては、構造的に必ず再成長のプロセスが必須であり、再成長界面が存在する。この界面は、一旦結晶成長装置の外の雰囲気に曝されることもあり、様々な欠陥の原因となる。デバイスの高電圧動作時には、この欠陥がリークパスとなり、電源オフ時のリーク電流が増加することが懸念される。本実施形態では、電極間(即ちゲート電極6の直下以外の、ソース電極3−ゲート電極6間、ゲート電極6−ドレイン電極4間)の下方に位置整合するp-−GaN部2b2,2b3の存在により、再成長界面のリークパスが低減され、良好なピンチオフ特性を得ることができる。
本実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTにおける代表的な伝達特性(ドレイン電流−ゲート電圧特性)について、従来のp−GaNキャップ構造を採用した比較例のAlGaN/GaN・HEMTとの比較に基づいて調べた。その結果を図3に示す。
比較例では、ピンチオフ時のリーク電流が大きく、最大ドレイン電流(Idmax)が小さいという問題がある。これに対して本実施形態では、ゲート電極と2DEGとの距離低減及び再成長界面のリークパス低減により、良好なピンチオフ特性が得られていることが判る。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
(第2の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図4及び図5は、第2の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図4(a)〜図5(a)に示すように、第1の実施形態の図1(a)〜図2(a)の諸工程を経る。このとき、図5(a)に示すように、ソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図5(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に保護膜5を形成する。
詳細には、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。本実施形態では、保護膜5はゲート絶縁膜としても機能する。
続いて、図5(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを保護膜5上に塗布し、ゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、保護膜5上にゲート電極6が形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図6及び図7は、第3の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図6(a)〜図6(c)に示すように、第1の実施形態の図1(a)〜図1(c)の諸工程を経る。このとき、図6(c)に示すように、化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成した後、図7(a)に示すように、電子供給層4eに電極用リセス4e1を形成した後、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、電子供給層4eにおけるゲート電極の形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2eの表層の一部を、例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてドライエッチングする。これにより、電子供給層2eのゲート電極の形成予定位置に電極用リセス4e1が形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
次に、電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層2eとオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層2eとオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図7(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に保護膜5を形成する。
詳細には、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。本実施形態では、保護膜5はゲート絶縁膜としても機能する。
続いて、図7(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを保護膜5上に塗布し、ゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、電極用リセス4e1内を保護膜5を介してゲートメタルで埋め込むゲート電極6が形成される。ゲート電極6は、保護膜5を介して電極用リセス4e1内を埋め込み保護膜5上に乗り上げるNiと、Ni上に堆積したAuとから、いわゆるオーバーハング形状に形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
(第4の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図8及び図9は、第4の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図8(a)〜図8(b)に示すように、第1の実施形態の図1(a)〜図1(b)の諸工程を経る。このとき、図8(b)に示すように、バックバリア層2bが形成される。
続いて、図8(c)に示すように、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2e、キャップ層2fを順次形成する。
MOVPE法により、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、電子供給層2e、及びキャップ層2fとなる各化合物半導体を順次成長する。電子走行層2cは、i−GaNを100nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは、i−AlGaNを5nm程度の厚みに成長することで形成される。電子供給層2eは、n−AlGaNを30nm程度の厚みに成長することで形成される。キャップ層2fは、n−GaNを10nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは形成しない場合もある。電子供給層は、i−AlGaNを形成するようにしても良い。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、TMAlガス、TMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
AlGaN、GaNをn型として成長する際、即ち電子供給層2e(n−AlGaN)及びキャップ層2f(n−GaN)の形成には、n型不純物をAlGaN、GaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばSiを含む例えばシラン(SiH4)ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、AlGaN、GaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
以上により、i−GaN層2a、バックバリア層2b、電子走行層2c、中間層2d、電子供給層2e、及びキャップ層2fが順次積層されてなる化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成した後、図9(a)に示すように、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、電子供給層4eにおけるソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2eの表面が露出するまで、例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてキャップ層2fをドライエッチングする。これにより、キャップ層2fソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置に電極用リセス2f1,2f2が形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
次に、電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、電極用リセス2f1,2f2を露出する開口を有するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層2eとオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層2eとオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、電極用リセス2f1,2f2を埋め込むように、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図9(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に保護膜5を形成する。
詳細には、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。本実施形態では、保護膜5はゲート絶縁膜としても機能する。
続いて、図9(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを保護膜5上に塗布し、ゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、保護膜5上にゲート電極6が形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
(第5の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図10及び図11は、第5の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図10(a)に示すように、第1の実施形態の図1(a)の工程を実行し、SiC基板1上に、i−GaN層2a及びp−GaN部2b1となるp−GaN層が順次形成される。
続いて、図10(b)に示すように、バックバリア層2bを形成する。
先ず、p−GaN層上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、p−GaN層のゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分(p−GaN部2b1となる部分)を覆い、他の部分を開口するレジストマスクが形成される。本実施形態では、レジストマスクで覆われるp−GaN層の部分は、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分を含み、ドレイン電極の形成予定位置に位置整合する部分に偏倚するように延在している。
このレジストマスクを用いて、p−GaNのp型不純物を不活性する不純物、例えばアルゴン(Ar)を加速エネルギー15keV、ドーズ量1×1014/cm2の条件でイオン注入する。不活性不純物として、Ar以外にホウ素(B),酸素(O),リン(P),鉄(Fe)等を用いても良い。このイオン注入により、p−GaN層のゲート電極の形成予定位置以外の部分が不活性し、p-−GaNとなってp-−GaN部2b4,2b5が形成される。p-−GaN部2b5,2b5は、イオン化アクセプタ濃度がp−GaN部2b1よりも低濃度である。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
以上により、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分に形成されたp−GaN部2b1と、p−GaN部2b1の両側に形成されたp-−GaN部2b4,2b5とを有するバックバリア層2bが形成される。バックバリア層2bでは、p−GaN部2b1は、p-−GaN部2b4,2b5よりもイオン化アクセプタ量が多い、ここではイオン化アクセプタ濃度が高い部分となる。p−GaN部2b1は、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分を含み、ドレイン電極の形成予定位置に位置整合する部分に偏倚するように延在している。
続いて、図10(c)に示すように、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eを順次形成する。
MOVPE法により、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eとなる各化合物半導体を順次成長する。電子走行層2cは、i−GaNを100nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは、i−AlGaNを5nm程度の厚みに成長することで形成される。電子供給層2eは、n−AlGaNを30nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは形成しない場合もある。電子供給層は、i−AlGaNを形成するようにしても良い。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるトリメチルガリウム(TMGa)ガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、TMAlガス、TMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
AlGaNをn型として成長する際、即ち電子供給層2e(n−AlGaN)の形成には、n型不純物をAlGaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばSiを含む例えばシラン(SiH4)ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、AlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
以上により、i−GaN層2a、バックバリア層2b、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eが順次積層されてなる化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成した後、図11(a)に示すように、電子供給層4eに電極用リセス4e1を形成した後、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、電子供給層4eにおけるゲート電極の形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2eの表層の一部を、例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてドライエッチングする。これにより、電子供給層2eのゲート電極の形成予定位置に電極用リセス4e1が形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
次に、電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層2eとオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層2eとオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図11(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に保護膜5を形成する。
詳細には、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。本実施形態では、保護膜5はゲート絶縁膜としても機能する。
続いて、図11(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを保護膜5上に塗布し、ゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、電極用リセス4e1内を保護膜5を介してゲートメタルで埋め込むゲート電極6が形成される。ゲート電極6は、保護膜5を介して電極用リセス4e1内を埋め込み保護膜5上に乗り上げるNiと、Ni上に堆積したAuとから、いわゆるオーバーハング形状に形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
(第6の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のInAlN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図12及び図13は、第6の実施形態によるInAlN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図12(a)〜図12(b)に示すように、第1の実施形態の図1(a)〜図1(b)の諸工程を経る。このとき、図12(b)に示すように、バックバリア層2bが形成される。
続いて、図12(c)に示すように、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層11を順次形成する。
MOVPE法により、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層11となる各化合物半導体を順次成長する。電子走行層2cは、i−GaNを100nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは、i−AlGaNを5nm程度の厚みに成長することで形成される。電子供給層11は、i−InAlNを20nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは形成しない場合もある。電子供給層は、i−InAlNを形成するようにしても良い。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるトリメチルガリウム(TMGa)ガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、TMAlガス、TMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。InAlNの成長には、原料ガスとしてIn源であるトリメチルインジウム(TMIn)ガス、TMAlガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。共通原料であるNH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
以上により、i−GaN層2a、バックバリア層2b、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層11が順次積層されてなる化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成した後、図13(a)に示すように、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層11とオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層11とオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図13(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に、開口5aを有する保護膜5を形成する。
詳細には、先ず、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。
次に、保護膜5の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、保護膜5のゲート電極の形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、保護膜5を例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてドライエッチングする。これにより、保護膜5のゲート電極の形成予定位置に開口5aが形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
続いて、図13(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを開口5a内を含む保護膜5上に塗布し、開口5aを含むゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、開口5a内をゲートメタルで埋め込み化合物半導体積層構造2の表面とショットキー接触する、ゲート電極6が形成される。ゲート電極6は、開口5a内を埋め込み保護膜5上に乗り上げるNiと、Ni上に堆積したAuとから、いわゆるオーバーハング形状に形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のInAlN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いInAlN/GaN・HEMTが得られる。
なお、本実施形態では、電子供給層11としてi−InAlN層を形成したが、i−InAlN層の代わりに、例えばInAlGaN層を形成しても良い。
(第7の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図14及び図15は、第7の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図14(a)に示すように、第1の実施形態の図1(a)の工程を実行し、SiC基板1上に、i−GaN層2a及びp−GaN部2b1となるp−GaN層(例えば、Mg濃度1×1019/cm3程度、膜厚50nm程度)が順次形成される。
続いて、図14(b)に示すように、バックバリア層2bを形成する。
先ず、p−GaN層上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、p−GaN層のゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分(p−GaN部2b1となる部分)を覆い、他の部分を開口するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、p−GaN層の他の部分を、塩素系ガスをエッチングガスとしてドライエッチングし、当該他の部分の膜厚を減少させる。ここでは、当該他の部分の膜厚を10nm程度とする。
以上により、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分に形成されたp−GaN部2b1と、p−GaN部2b1の両側でp−GaN部2b1よりも薄いp-−GaN部2b6,2b7とを有するバックバリア層2bが形成される。バックバリア層2bでは、p−GaN部2b1とp-−GaN部2b6,2b7とではイオン化アクセプタ濃度は同一であるが、p−GaN部2b1がp-−GaN部2b6,2b7よりも厚くイオン化アクセプタ量が多い部分となる。
続いて、図14(c)に示すように、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eを順次形成する。
MOVPE法により、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eとなる各化合物半導体を順次成長する。電子走行層2cは、i−GaNを100nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは、i−AlGaNを5nm程度の厚みに成長することで形成される。電子供給層2eは、n−AlGaNを30nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは形成しない場合もある。電子供給層は、i−AlGaNを形成するようにしても良い。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるトリメチルガリウム(TMGa)ガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、TMAlガス、TMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
AlGaNをn型として成長する際、即ち電子供給層2e(n−AlGaN)の形成には、n型不純物をAlGaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばSiを含む例えばシラン(SiH4)ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、AlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
以上により、i−GaN層2a、バックバリア層2b、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eが順次積層されてなる化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成した後、図15(a)に示すように、電子供給層4eに電極用リセス4e1を形成した後、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、電子供給層4eにおけるゲート電極の形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2eの表層の一部を、例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてドライエッチングする。これにより、電子供給層2eのゲート電極の形成予定位置に電極用リセス4e1が形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
次に、電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層2eとオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層2eとオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図15(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に保護膜5を形成する。
詳細には、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。本実施形態では、保護膜5はゲート絶縁膜としても機能する。
続いて、図15(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを保護膜5上に塗布し、ゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、電極用リセス4e1内を保護膜5を介してゲートメタルで埋め込むゲート電極6が形成される。ゲート電極6は、保護膜5を介して電極用リセス4e1内を埋め込み保護膜5上に乗り上げるNiと、Ni上に堆積したAuとから、いわゆるオーバーハング形状に形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
(第8の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図16及び図17は、第8の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図16(a)に示すように、SiC基板1上に、i−GaN層2a及びp−AlGaN部12aとなるp−AlGaN層を順次形成する。
詳細には、SiC基板1上に、MOVPE法により、i−GaN層2a及びp−AlGaN部12aとなるp−AlGaN層を順次成長する。
i−GaN層2aは、i−GaNを例えば3μm程度の厚みに成長することで形成される。p−AlGaN部12aとなるp−AlGaN層は、p−AlGaNを例えば50nm程度の厚みに成長することで形成される。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス、Al源であるTMAlガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。TMGaガス、TMAlガスの流量は適宜設定し、NH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
AlGaNをp型として成長する際、即ちp−AlGaN部12aとなるp−AlGaN層の形成には、p型不純物であるMg、C、Zn等、例えばMgをAlGaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばMgを含む例えばCp2Mgガスを所定の流量で原料ガスに添加し、AlGaNにMgをドーピングする。Mgのドーピング濃度は、1×1016/cm3程度〜1×1021/cm3程度、例えば1×1019/cm3程度とする。
p−AlGaN層を形成した後、400℃〜1200℃程度、例えば800℃程度でp−AlGaN層を熱処理し、p型不純物であるMgを活性化する。
続いて、図16(b)に示すように、バックバリア層12を形成する。
先ず、p−AlGaN層上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、p−AlGaN層のゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分(p−AlGaN部12aとなる部分)を覆い、他の部分を開口するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、p−AlGaNのp型不純物を不活性する不純物、例えばアルゴン(Ar)を加速エネルギー15keV、ドーズ量1×1014/cm2の条件でイオン注入する。不活性不純物として、Ar以外にホウ素(B),酸素(O),リン(P),鉄(Fe)等を用いても良い。このイオン注入により、p−AlGaN層のゲート電極の形成予定位置以外の部分が不活性し、p-−AlGaNとなってp-−AlGaN部12b,12cが形成される。p-−AlGaN部12b,12cは、イオン化アクセプタ濃度がp−AlGaN部12aよりも低濃度である。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
以上により、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分に形成されたp−AlGaN部12aと、p−AlGaN部12aの両側に形成されたp-−AlGaN部12b,12cとを有するバックバリア層12が形成される。バックバリア層12では、p−AlGaN部12aは、p-−AlGaN部12b,12cよりもイオン化アクセプタ量が多い、ここではイオン化アクセプタ濃度が高い部分となる。
続いて、図16(c)に示すように、バックバリア層12上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eを順次形成する。
MOVPE法により、バックバリア層12上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eとなる各化合物半導体を順次成長する。電子走行層2cは、i−GaNを100nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは、i−AlGaNを5nm程度の厚みに成長することで形成される。電子供給層2eは、n−AlGaNを30nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは形成しない場合もある。電子供給層は、i−AlGaNを形成するようにしても良い。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス及びアンモニア(NH3)ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、TMAlガス、TMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
AlGaNをn型として成長する際、即ち電子供給層2e(n−AlGaN)の形成には、n型不純物をAlGaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばSiを含む例えばシラン(SiH4)ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、AlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
以上により、i−GaN層2a、バックバリア層12、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eが順次積層されてなる化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成した後、図17(a)に示すように、電子供給層4eに電極用リセス4e1を形成した後、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、電子供給層4eにおけるゲート電極の形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2eの表層の一部を、例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてドライエッチングする。これにより、電子供給層2eのゲート電極の形成予定位置に電極用リセス4e1が形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
次に、電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層2eとオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層2eとオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図17(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に保護膜5を形成する。
詳細には、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。本実施形態では、保護膜5はゲート絶縁膜としても機能する。
続いて、図17(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを保護膜5上に塗布し、ゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、電極用リセス4e1内を保護膜5を介してゲートメタルで埋め込むゲート電極6が形成される。ゲート電極6は、保護膜5を介して電極用リセス4e1内を埋め込み保護膜5上に乗り上げるNiと、Ni上に堆積したAuとから、いわゆるオーバーハング形状に形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
(第9の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図18及び図19は、第9の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図18(a)に示すように、SiC基板1上に、i−GaN層2a及びp−InAlN部13aとなるp−InAlN層を順次形成する。
詳細には、SiC基板1上に、MOVPE法により、i−GaN層2a及びp−InAlN部13aとなるp−InAlN層を順次成長する。
i−GaN層2aは、i−GaNを例えば3μm程度の厚みに成長することで形成される。p−InAlN部13aとなるp−InAlN層は、p−InAlNを例えば50nm程度の厚みに成長することで形成される。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。InAlNの成長には、原料ガスとしてIn源であるTMInガス、Al源であるTMAlガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。TMInガス、TMAlガスの流量は適宜設定し、NH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
InAlNをp型として成長する際、即ちp−InAlN部13aとなるp−InAlN層の形成には、p型不純物であるMg、C、Zn等、例えばMgをInAlNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばMgを含む例えばCp2Mgガスを所定の流量で原料ガスに添加し、InAlNにMgをドーピングする。Mgのドーピング濃度は、1×1016/cm3程度〜1×1021/cm3程度、例えば1×1019/cm3程度とする。
p−InAlN層を形成した後、400℃〜1200℃程度、例えば800℃程度でp−InAlN層を熱処理し、p型不純物であるMgを活性化する。
続いて、図18(b)に示すように、バックバリア層13を形成する。
先ず、p−InAlN層上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、p−InAlN層のゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分(p−InAlN部13aとなる部分)を覆い、他の部分を開口するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、p−InAlNのp型不純物を不活性する不純物、例えばアルゴン(Ar)を加速エネルギー15keV、ドーズ量1×1014/cm2の条件でイオン注入する。不活性不純物として、Ar以外にホウ素(B),酸素(O),リン(P),鉄(Fe)等を用いても良い。このイオン注入により、p−AlGaN層のゲート電極の形成予定位置以外の部分が不活性し、p-−InAlNとなってp-−InAlN部13b,13cが形成される。p-−InAlN部13b,13cは、イオン化アクセプタ濃度がp−InAlN部13aよりも低濃度である。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
以上により、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分に形成されたp−InAlN部13aと、p−InAlN部13aの両側に形成されたp-−InAlN部13b,13cとを有するバックバリア層13が形成される。バックバリア層13では、p−InAlN部13aは、p-−InAlN部13b,13cよりもイオン化アクセプタ量が多い、ここではイオン化アクセプタ濃度が高い部分となる。
続いて、図18(c)に示すように、バックバリア層13上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eを順次形成する。
MOVPE法により、バックバリア層13上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eとなる各化合物半導体を順次成長する。電子走行層2cは、i−GaNを100nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは、i−AlGaNを5nm程度の厚みに成長することで形成される。電子供給層2eは、n−AlGaNを30nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは形成しない場合もある。電子供給層は、i−AlGaNを形成するようにしても良い。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、TMAlガス、TMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
AlGaNをn型として成長する際、即ち電子供給層2e(n−AlGaN)の形成には、n型不純物をAlGaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばSiを含む例えばシラン(SiH4)ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、AlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
以上により、i−GaN層2a、バックバリア層13、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eが順次積層されてなる化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成した後、図19(a)に示すように、電子供給層4eに電極用リセス4e1を形成した後、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、電子供給層4eにおけるゲート電極の形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2eの表層の一部を、例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてドライエッチングする。これにより、電子供給層2eのゲート電極の形成予定位置に電極用リセス4e1が形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
次に、電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層2eとオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層2eとオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図19(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に保護膜5を形成する。
詳細には、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。本実施形態では、保護膜5はゲート絶縁膜としても機能する。
続いて、図19(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを保護膜5上に塗布し、ゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、電極用リセス4e1内を保護膜5を介してゲートメタルで埋め込むゲート電極6が形成される。ゲート電極6は、保護膜5を介して電極用リセス4e1内を埋め込み保護膜5上に乗り上げるNiと、Ni上に堆積したAuとから、いわゆるオーバーハング形状に形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
なお、本実施形態では、バックバリア層としてp−InAlN層(p−InAlN及びp-−InAlN)を形成したが、p−InAlN層の代わりにp−AlN層(p−AlN及びp-−AlN)を形成しても良い。
(第10の実施形態)
本実施形態では、化合物半導体装置としてMIS型のAlGaN/GaN・HEMTを開示する。
なお、第1の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTと同様の構成部材等については、同符号を付して詳しい説明を省略する。
図20及び図21は、第10の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTの製造方法における主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図20(a)に示すように、SiC基板1上に、i−GaN層2aを形成する。
詳細には、SiC基板1上に、MOVPE法により、i−GaNを例えば3μm程度の厚みに成長し、i−GaN層2aを形成する。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス、Al源であるTMAlガス、及びNH3ガスの混合ガスを用いる。TMGaガス、TMAlガスの流量は適宜設定し、NH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
続いて、図20(b)に示すように、バックバリア層2bを形成する。
先ず、i−GaN層2a上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、i−GaN層2aのゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分(p−GaN部となる部分)を開口し、i−GaN層2aの他の部分を覆うレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、p型不純物であるMg、C、Zn等、例えばMgをi−GaN層2aの表層部分にイオン注入する。400℃〜1200℃程度、例えば800℃程度で熱処理し、p型不純物であるMgを活性化する。以上により、i−GaN層2aの表層には、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分にp−GaN部2b1が形成される。p−GaN部2b1は、イオン化アクセプタ濃度が1×1016/cm3程度〜1×1021/cm3程度、例えば1×1019/cm3程度となる。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
次に、p−GaN部2b1上を含むi−GaN層2a上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、p−GaN部2b1を覆い、i−GaN層2aの他の部分を開口するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、p型不純物であるMg、C、Zn等、例えばMgをi−GaN層2aの表層部分にイオン注入する。400℃〜1200℃程度、例えば800℃程度で熱処理し、p型不純物であるMgを活性化する。以上により、i−GaN層2aの表層には、p−GaN部2b1の両側にp-−GaN部2b8,2b9が形成される。p-−GaN部2b8,2b9は、厚みがp−GaN部2b1と同一であり、イオン化アクセプタ濃度がp−GaN部2b1よりも低濃度である。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
以上により、ゲート電極の形成予定位置の下方に位置整合する部分に形成されたp−GaN部2b1と、p−GaN部2b1の両側に形成されたp-−GaN部2b8,2b9とを有するバックバリア層2bが形成される。バックバリア層2bでは、p−GaN部2b1は、p-−GaN部2b8,2b9よりもイオン化アクセプタ量が多い、ここではイオン化アクセプタ濃度が高い部分となる。
続いて、図20(c)に示すように、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eを順次形成する。
MOVPE法により、バックバリア層2b上に、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eとなる各化合物半導体を順次成長する。電子走行層2cは、i−GaNを100nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは、i−AlGaNを5nm程度の厚みに成長することで形成される。電子供給層2eは、n−AlGaNを30nm程度の厚みに成長することで形成される。中間層2dは形成しない場合もある。電子供給層は、i−AlGaNを形成するようにしても良い。
GaNの成長には、原料ガスとしてGa源であるTMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。AlGaNの成長には、原料ガスとしてTMAlガス、TMGaガス及びNH3ガスの混合ガスを用いる。成長する化合物半導体層に応じて、TMAlガス、TMGaガスの供給の有無及び流量を適宜設定する。共通原料であるNH3ガスの流量は、100sccm〜10slm程度とする。また、成長圧力は50Torr〜300Torr程度、成長温度は1000℃〜1200℃程度とする。
AlGaNをn型として成長する際、即ち電子供給層2e(n−AlGaN)の形成には、n型不純物をAlGaNの原料ガスに添加する。ここでは、例えばSiを含む例えばシラン(SiH4)ガスを所定の流量で原料ガスに添加し、AlGaNにSiをドーピングする。Siのドーピング濃度は、1×1018/cm3程度〜1×1020/cm3程度、例えば5×1018/cm3程度とする。
以上により、i−GaN層2a、バックバリア層2b、電子走行層2c、中間層2d、及び電子供給層2eが順次積層されてなる化合物半導体積層構造2が形成される。
続いて、素子分離構造を形成した後、図21(a)に示すように、電子供給層4eに電極用リセス4e1を形成した後、ソース電極3及びドレイン電極4を形成する。
詳細には、先ず、化合物半導体積層構造2の全面にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工する。これにより、電子供給層4eにおけるゲート電極の形成予定位置を露出する開口を有するレジストマスクが形成される。
このレジストマスクを用いて、電子供給層2eの表層の一部を、例えばフッ素系ガスをエッチングガスとして用いてドライエッチングする。これにより、電子供給層2eのゲート電極の形成予定位置に電極用リセス4e1が形成される。レジストマスクは、アッシング処理又は所定の薬液を用いたウェット処理により除去される。
次に、電極材料として例えばTa/Al(下層がTa、上層がAl)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを化合物半導体積層構造2上に塗布し、ソース電極及びドレイン電極の各形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ta/Alを堆積する。Taの厚みは20nm程度、Alの厚みは200nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したTa/Alを除去する。その後、SiC基板1を、例えば窒素雰囲気中において400℃〜1000℃、例えば550℃程度で熱処理し、残存したTa/Alを電子供給層2eとオーミックコンタクトさせる。なお、Ta/Alが熱処理を行わずとも電子供給層2eとオーミックコンタクトする場合には、当該熱処理を行わなくても良い。以上により、Ta/Alからなるソース電極3及びドレイン電極4が形成される。
続いて、図21(b)に示すように、化合物半導体積層構造2の表面に保護膜5を形成する。
詳細には、ソース電極3上及びドレイン電極4上を含む化合物半導体積層構造2の全面にSiNを、プラズマCVD法又はスパッタ法等により例えば2nm程度〜200nm、例えば20nm程度の厚みに堆積する。以上により、保護膜5が形成される。本実施形態では、保護膜5はゲート絶縁膜としても機能する。
続いて、図21(c)に示すように、ゲート電極6を形成する。
電極材料として例えばNi/Au(下層がNi、上層がAu)を用いる。電極形成には、蒸着法及びリフトオフ法に適した例えば庇構造2層レジストを用いる。このレジストを保護膜5上に塗布し、ゲート電極の形成予定位置を開口するレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、例えば蒸着法により、Ni/Auを堆積する。Niの厚みは30nm程度、Auの厚みは400nm程度とする。リフトオフ法により、庇構造のレジストマスク及びその上に堆積したNi/Auを除去する。これにより、電極用リセス4e1内を保護膜5を介してゲートメタルで埋め込むゲート電極6が形成される。ゲート電極6は、保護膜5を介して電極用リセス4e1内を埋め込み保護膜5上に乗り上げるNiと、Ni上に堆積したAuとから、いわゆるオーバーハング形状に形成される。
しかる後、ソース電極3及びドレイン電極4、ゲート電極6の電気的接続等の諸工程を経て、MIS型のAlGaN/GaN・HEMTが形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、電流コラプス等のトラップ起因の特性劣化を防止し、ピンチオフ特性及びgmを向上させるも、確実なノーマリオフを実現する信頼性の高いAlGaN/GaN・HEMTが得られる。
以上、第1〜第10の実施形態を説明したが、これらの実施形態では、その特徴を適宜組み合わせることができる。数例を以下に示す。
例えば、第6の実施形態によるInAlN/GaN・HEMTにおいて、第3の実施形態の特徴であるゲートリセス構造(電子供給層11に形成された電極リセスに(保護膜5を介して)ゲート電極6が形成される構造)を採用することができる。
また例えば、第6の実施形態によるInAlN/GaN・HEMTにおいて、第1の実施形態の特徴であるショットキー接触の構造(保護膜5の開口5aを通じてゲート電極6が化合物半導体積層構造2とショットキー接触する)構造)を採用することができる。
また例えば、第9又は第10の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTにおいて、第5の実施形態の特徴であるバックバリア層のイオン化アクセプタ量の多い部分の偏倚延在構造を採用することができる。
また例えば、第9又は第10の実施形態によるAlGaN/GaN・HEMTにおいて、第7の実施形態の特徴であるバックバリア層の膜厚を部分的に変えた構造を採用することができる。
第1〜第10の実施形態によるHEMTは、いわゆるディスクリートパッケージに適用される。
このディスクリートパッケージでは、第1〜第10の実施形態によるHEMTのチップが搭載される。以下、第1〜第10の実施形態によるHEMTのチップ(以下、HEMTチップと言う)のディスクリートパッケージについて例示する。
HEMTチップの概略構成を図22に示す。
HEMTチップ100では、その表面に、上述したAlGaN/GaN・HEMTのトランジスタ領域101と、ドレイン電極が接続されたドレインパッド102と、ゲート電極が接続されたゲートパッド103と、ソース電極が接続されたソースパッド104とが設けられている。
図23は、ディスクリートパッケージを示す概略平面図である。
ディスクリートパッケージを作製するには、先ず、HEMTチップ100を、ハンダ等のダイアタッチ剤111を用いてリードフレーム112に固定する。リードフレーム112にはドレインリード112aが一体形成されており、ゲートリード112b及びソースリード112cがリードフレーム112と別体として離間して配置される。
続いて、Alワイヤ113を用いたボンディングにより、ドレインパッド102とドレインリード112a、ゲートパッド103とゲートリード112b、ソースパッド104とソースリード112cをそれぞれ電気的に接続する。
その後、モールド樹脂114を用いて、トランスファーモールド法によりHEMTチップ100を樹脂封止し、リードフレーム112を切り離す。以上により、ディスクリートパッケージが形成される。
(第11の実施形態)
本実施形態では、第1〜第10の実施形態から選ばれたHEMTを備えたPFC(Power Factor Correction)回路を開示する。
図24は、PFC回路を示す結線図である。
PFC回路20は、スイッチ素子(トランジスタ)21と、ダイオード22と、チョークコイル23と、コンデンサ24,25と、ダイオードブリッジ26と、交流電源(AC)27とを備えて構成される。スイッチ素子21に、第1〜第10の実施形態から選ばれたHEMTが適用される。
PFC回路20では、スイッチ素子21のドレイン電極と、ダイオード22のアノード端子及びチョークコイル23の一端子とが接続される。スイッチ素子21のソース電極と、コンデンサ24の一端子及びコンデンサ25の一端子とが接続される。コンデンサ24の他端子とチョークコイル23の他端子とが接続される。コンデンサ25の他端子とダイオード22のカソード端子とが接続される。コンデンサ24の両端子間には、ダイオードブリッジ26を介してAC27が接続される。コンデンサ25の両端子間には、直流電源(DC)が接続される。なお、スイッチ素子21には不図示のPFCコントローラが接続される。
本実施形態では、第1〜第10の実施形態から選ばれたHEMTをPFC回路20に適用する。これにより、信頼性の高いPFC回路30が実現する。
(第12の実施形態)
本実施形態では、第1〜第10の実施形態から選ばれたHEMTを備えた電源装置を開示する。
図25は、第12の実施形態による電源装置の概略構成を示す結線図である。
本実施形態による電源装置は、高圧の一次側回路31及び低圧の二次側回路32と、一次側回路31と二次側回路32との間に配設されるトランス33とを備えて構成される。
一次側回路31は、第11の実施形態によるPFC回路20と、PFC回路20のコンデンサ25の両端子間に接続されたインバータ回路、例えばフルブリッジインバータ回路30とを有している。フルブリッジインバータ回路30は、複数(ここでは4つ)のスイッチ素子34a,34b,34c,34dを備えて構成される。
二次側回路32は、複数(ここでは3つ)のスイッチ素子35a,35b,35cを備えて構成される。
本実施形態では、一次側回路31を構成するPFC回路が第2の実施形態によるPFC回路20であると共に、フルブリッジインバータ回路30のスイッチ素子34a,34b,34c,34dが、第1〜第10の実施形態から選ばれたHEMTとされている。一方、二次側回路32のスイッチ素子35a,35b,35cは、シリコンを用いた通常のMIS・FETとされている。
本実施形態では、第11の実施形態によるPFC回路20と、第1〜第10の実施形態から選ばれたHEMTとを、高圧回路である一次側回路31に適用する。これにより、信頼性の高い大電力の電源装置が実現する。
(第13の実施形態)
本実施形態では、第1〜第10の実施形態から選ばれたHEMTを備えた高周波増幅器を開示する。
図26は、第13の実施形態による高周波増幅器の概略構成を示す結線図である。
本実施形態による高周波増幅器は、ディジタル・プレディストーション回路41と、ミキサー42a,42bと、パワーアンプ43とを備えて構成される。
ディジタル・プレディストーション回路41は、入力信号の非線形歪みを補償するものである。ミキサー42aは、非線形歪みが補償された入力信号と交流信号をミキシングするものである。パワーアンプ43は、交流信号とミキシングされた入力信号を増幅するものであり、第1の実施形態及び変形例のうちから選ばれた1種によるAlGaN/GaN・HEMTを有している。なお図26では、例えばスイッチの切り替えにより、出力側の信号をミキサー42bで交流信号とミキシングしてディジタル・プレディストーション回路41に送出できる構成とされている。
本実施形態では、第1〜第10の実施形態から選ばれたHEMTを高周波増幅器に適用する。これにより、信頼性の高い高耐圧の高周波増幅器が実現する。
以下、化合物半導体装置及びその製造方法、並びに電源装置及び高周波増幅器の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)二次元電子ガスが生成される化合物半導体積層構造と、
前記化合物半導体積層構造の上方に形成された電極と
を含み、
前記化合物半導体積層構造は、前記二次元電子ガスの生成部位の下方にp型半導体層を有しており、
前記p型半導体層は、前記電極の下方に位置整合する部分がその他の部分よりもイオン化アクセプタ量が多いことを特徴とする化合物半導体装置。
(付記2)前記p型半導体層は、p−GaN、p−AlGaN、p−InAlN、及びp−AlNから選ばれた1種を材料とすることを特徴とする付記1に記載の化合物半導体装置。
(付記3)前記p型半導体層は、前記その他の部分が不活性不純物を含有することを特徴とする付記1又は2に記載の化合物半導体装置。
(付記4)前記p型半導体層は、前記その他の部分が前記イオン化アクセプタ量の多い部分よりも薄いことを特徴とする付記1又は2に記載の化合物半導体装置。
(付記5)前記p型半導体層は、前記その他の部分が前記イオン化アクセプタ量の多い部分よりもイオン化アクセプタ濃度が低いことを特徴とする付記1又は2に記載の化合物半導体装置。
(付記6)前記p型半導体層は、前記イオン化アクセプタ量の多い部分が前記電極の片方側に偏倚するように延在することを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記7)前記電極は、前記化合物半導体積層構造に接触して形成されることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記8)前記電極は、前記化合物半導体積層構造上で絶縁膜を介して形成されることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の化合物半導体装置。
(付記9)前記電極は、前記化合物半導体積層構造に形成されたリセスを前記絶縁膜を介して埋め込むように形成されることを特徴とする付記8に記載の化合物半導体装置。
(付記10)二次元電子ガスが生成される化合物半導体積層構造を形成する工程と、
前記化合物半導体積層構造の上方に電極を形成する工程と
を含み、
前記化合物半導体積層構造を形成する際に、前記二次元電子ガスの生成部位の下方に相当する部分にp型半導体層を形成し、
前記p型半導体層は、前記電極の下方に位置整合する部分がその他の部分よりもイオン化アクセプタ量が多いことを特徴とする化合物半導体装置の製造方法。
(付記11)前記p型半導体層は、p−GaN、p−AlGaN、p−InAlN、及びp−AlNから選ばれた1種を材料とすることを特徴とする付記10に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記12)前記p型半導体層は、前記その他の部分が不活性不純物を含有することを特徴とする付記10又は11に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記13)前記p型半導体層は、前記その他の部分が前記イオン化アクセプタ量の多い部分よりも薄いことを特徴とする付記10又は11に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記14)前記p型半導体層は、前記その他の部分が前記イオン化アクセプタ量の多い部分よりもイオン化アクセプタ濃度が低いことを特徴とする付記10又は11に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記15)前記p型半導体層は、前記イオン化アクセプタ量の多い部分が前記電極の片方側に偏倚するように延在することを特徴とする付記10〜14のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記16)前記電極は、前記化合物半導体積層構造に接触して形成されることを特徴とする付記10〜14のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記17)前記電極は、前記化合物半導体積層構造上で絶縁膜を介して形成されることを特徴とする付記10〜14のいずれか1項に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記18)前記電極は、前記化合物半導体積層構造に形成されたリセスを前記絶縁膜を介して埋め込むように形成されることを特徴とする付記17に記載の化合物半導体装置の製造方法。
(付記19)変圧器と、前記変圧器を挟んで高圧回路及び低圧回路とを備えた電源回路であって、
前記高圧回路はトランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
二次元電子ガスが生成される化合物半導体積層構造と、
前記化合物半導体積層構造の上方に形成された電極と
を含み、
前記化合物半導体積層構造は、前記二次元電子ガスの生成部位の下方にp型半導体層を有しており、
前記p型半導体層は、前記電極の下方に位置整合する部分がその他の部分よりもイオン化アクセプタ量が多いことを特徴とする電源回路。
(付記20)入力した高周波電圧を増幅して出力する高周波増幅器であって、
トランジスタを有しており、
前記トランジスタは、
二次元電子ガスが生成される化合物半導体積層構造と、
前記化合物半導体積層構造の上方に形成された電極と
を含み、
前記化合物半導体積層構造は、前記二次元電子ガスの生成部位の下方にp型半導体層を有しており、
前記p型半導体層は、前記電極の下方に位置整合する部分がその他の部分よりもイオン化アクセプタ量が多いことを特徴とする高周波増幅器。