【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜形成装置の洗
浄方法に関し、詳しくは、被処理体、例えば、半導体ウ
エハに薄膜を形成することにより装置内部に付着した付
着物を除去する薄膜形成装置の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造工程では、CVD(Ch
emical Vapor Deposition)等の処理により、被処理
体、例えば、半導体ウエハにシリコン酸化膜、シリコン
窒化膜等の薄膜を形成する薄膜形成処理が行われてい
る。このような薄膜形成処理では、例えば、図15に示
すような熱処理装置51を用い、以下のようにして半導
体ウエハに薄膜が形成される。
【0003】まず、内管52a及び外管52bからなる
二重管構造の反応管52をヒータ53により所定の温度
に加熱する。また、複数枚の半導体ウエハ54を収容し
たウエハボート55を反応管52(内管52a)内にロ
ードする。次に、排気ポート56から反応管52内のガ
スを排気し、反応管52内を所定の圧力に減圧する。反
応管52内が所定の圧力に減圧されると、ガス導入管5
7から内管52a内に処理ガスを供給する。内管52a
内に処理ガスが供給されると、処理ガスが熱反応を起こ
し、熱反応により生成された反応生成物が半導体ウエハ
54の表面に堆積して、半導体ウエハ54の表面に薄膜
が形成される。
【0004】また、薄膜形成処理によって発生する排ガ
スは、排気ポート56に接続された排気管58から熱処
理装置51の外部に排気される。なお、排気管58に
は、図示しないトラップ、スクラバー等が介設されてお
り、トラップ等により排ガスに含まれる反応生成物等を
取り除いて無害化した後、熱処理装置51外に排気する
ように構成されている。
【0005】ところで、薄膜形成処理によって生成され
る反応生成物は、半導体ウエハ54の表面だけでなく、
例えば、内管52aの内壁や各種の治具等の熱処理装置
51の内部にも堆積(付着)してしまう。この反応生成
物が熱処理装置51内に付着した状態で薄膜形成処理を
引き続き行うと、やがて、反応生成物が剥離してパーテ
ィクルを発生しやすくなる。そして、このパーティクル
が半導体ウエハ54に付着すると、製造される半導体装
置の歩留りを低下させてしまう。
【0006】このため、薄膜形成処理を複数回行った
後、反応管52をヒータ53により所定の温度に加熱
し、加熱された反応管52内にクリーニングガス、例え
ば、フッ素系ガスを供給して、熱処理装置51内に付着
した反応生成物を除去(エッチング)する熱処理装置5
1の洗浄が行われている。
【0007】このようなフッ素系ガスとして、例えば、
CF4、C2F6、NF3、SF6のようなパーフルオ
ロ化合物(Perfluorocompounds)が用いられている。し
かし、パーフルオロ化合物は、CF4の寿命が5万年以
上のように、一般に寿命が長く、パーフルオロ化合物を
大気中に放出することは、地球温暖化の原因となってし
まう。このように、クリーニングガスにパーフルオロ化
合物を用いることは地球環境に悪影響を与えてしまうお
それがあるので、熱処理装置51の洗浄には、パーフル
オロ化合物でないクリーニングガス、例えば、フッ素ガ
ス(F2)を用いることが検討されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱処理装置
51内に付着した反応生成物を除去するには、クリーニ
ングガスのエッチングレートが所望のエッチングレート
になるように、反応管52内の温度を所定の温度に加熱
する必要がある。クリーニングガスにフッ素ガスを用い
る場合、反応生成物に対して所望のエッチングレートを
得るためには、反応管52内の温度を、例えば、400
℃のような高温に加熱しなければならない。
【0009】しかしながら、反応管52内の温度を40
0℃のような高温に加熱すると、反応生成物に対するエ
ッチングレートが高くなるよりも、反応管52等を構成
する石英や、治具等を構成する炭化珪素(SiC)に対
するエッチングレートの方がさらに高くなり、選択比が
低下してしまう。この結果、熱処理装置51内に付着し
た反応生成物を除去すると、反応管52や治具等を構成
する石英及びSiCが劣化してしまうという問題があっ
た。
【0010】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもの
であり、反応室や治具等の劣化を抑えつつ、装置内部に
付着した付着物を除去することができる薄膜形成装置の
洗浄方法を提供することを目的とする。また、本発明
は、装置内部に付着した付着物に対するエッチングレー
トを高くすることができる薄膜形成装置の洗浄方法を提
供することを目的とする。さらに、本発明は、装置内部
に付着した付着物を除去する際の反応室内の温度を低く
することができる薄膜形成装置の洗浄方法を提供するこ
とを目的とする。
【0011】上記目的を達成するため、この発明の第1
の観点にかかる薄膜形成装置の洗浄方法は、薄膜形成装
置の反応室内に処理ガスを供給して被処理体に薄膜を形
成した後、装置内部に付着した付着物を除去する薄膜形
成装置の洗浄方法であって、前記反応室内を所定の温度
に加熱する加熱工程と、前記加熱工程により所定の温度
に加熱された反応室内に、フッ素ガスと該フッ素ガスの
活性化を促進可能な添加ガスとを含むクリーニングガス
を供給して、該クリーニングガスを所定の温度に加熱す
ることにより、クリーニングガスに含まれるフッ素ガス
を活性化させ、該活性化されたフッ素ガスにより、前記
付着物を除去して薄膜形成装置の内部を洗浄する洗浄工
程と、を備え、前記添加ガスに、アンモニアガス、また
は水素ガスを用いる、ことを特徴とする。
【0012】この構成によれば、所定の温度に加熱され
た反応室内にクリーニングガスが供給される。反応室内
に供給されたクリーニングガスは所定の温度に加熱され
て、クリーニングガスに含まれるフッ素ガスが活性化さ
れる。さらに、クリーニングガスには、フッ素ガスの活
性化を促進可能な添加ガスが含まれているので、フッ素
ガスの活性化が促進される。このように、フッ素ガスの
活性化が促進されるので、装置内部に付着した付着物に
対するエッチングレートが高くなる。また、付着物に対
するエッチングレートが高くなるので、所望のエッチン
グレートを得るための反応室内の温度を低くすることが
でき、装置内部に付着した付着物を除去する際の反応室
内の温度を低くすることができる。
【0013】上記目的を達成するため、この発明の第2
の観点にかかる薄膜形成装置の洗浄方法は、薄膜形成装
置の反応室内に処理ガスを供給して被処理体に薄膜を形
成した後、装置内部に付着した付着物を除去する薄膜形
成装置の洗浄方法であって、前記反応室内を所定の温度
に加熱する加熱工程と、前記加熱工程により所定の温度
に加熱された反応室内に、フッ素ガスと、該フッ素ガス
による前記薄膜形成装置の内部の材料との選択比を低下
させることなく前記付着物に対するエッチングレートを
高くすることが可能な添加ガスと、を含むクリーニング
ガスを供給することにより、前記付着物を除去して薄膜
形成装置の内部を洗浄する洗浄工程と、を備え、前記添
加ガスに、アンモニアガス、または水素ガスを用いる、
ことを特徴とする。
【0014】この構成によれば、反応室内に供給された
クリーニングガスは添加ガスにより、薄膜形成装置の内
部の材料との選択比が低下することなく、付着物に対す
るエッチングレートが高くなる。このため、薄膜形成装
置の内部、例えば、反応室や治具等の劣化を抑えつつ、
装置内部に付着した付着物が除去される。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】上記目的を達成するため、この発明の第3
の観点にかかる薄膜形成装置の洗浄方法は、薄膜形成装
置の反応室内に処理ガスを供給して被処理体に薄膜を形
成した後、装置内部に付着した付着物を除去する薄膜形
成装置の洗浄方法であって、前記薄膜形成装置の内部の
材料は、石英及び炭化珪素の少なくとも一方を含み、前
記付着物は、窒化珪素、ポリシリコン、酸化チタン、酸
化タンタル、シリカ、シリコンゲルマニウム、BaSr
TiO3、または、SrTiO3であり、前記反応室内
を所定の温度に加熱する加熱工程と、前記加熱工程によ
り所定の温度に加熱された反応室内に、フッ素ガスとフ
ッ化水素ガスとを含むクリーニングガスを供給すること
により、前記付着物を除去して薄膜形成装置の内部を洗
浄する洗浄工程と、を備え、前記フッ素ガスと前記フッ
化水素ガスとを、その流量比が1:3〜3:1の範囲内
となるように前記クリーニングガスに含ませる、ことを
特徴とする。
【0019】この構成によれば、クリーニングガスには
フッ素ガスとフッ化水素ガスとが、その流量比が1:3
〜3:1の範囲内となるようにクリーニングガスに含ま
れ、薄膜形成装置の内部の材料との選択比が低下するこ
となく、付着物に対するエッチングレートが高くなる。
このため、反応室や治具等の劣化を抑えつつ、装置内部
に付着した付着物が除去される。
【0020】
【0021】特に、前記フッ素ガスと前記フッ化水素ガ
スとを、その流量比が1:1となるように前記クリーニ
ングガスに含ませることが好ましい。この場合、薄膜形
成装置の内部の材料として一般的に用いられている石英
についての選択比が高くなる。さらに、前記反応室内
に、前記フッ素ガス及び前記フッ化水素ガスを2リット
ル/min以上供給することが好ましい。この場合、装
置内部に付着した付着物に対するエッチングレート及び
石英との選択比が高くなる。
【0022】上記目的を達成するため、この発明の第4
の観点にかかる薄膜形成装置の洗浄方法は、薄膜形成装
置の反応室内に処理ガスを供給して被処理体に薄膜を形
成した後、装置内部に付着した付着物を除去する薄膜形
成装置の洗浄方法であって、前記反応室内を所定の温度
に加熱する加熱工程と、前記加熱工程により所定の温度
に加熱された反応室内に、フッ素ガスとアンモニアガス
とを含むクリーニングガスを供給することにより、前記
付着物を除去して薄膜形成装置の内部を洗浄する洗浄工
程と、を備える、ことを特徴とする。
【0023】この構成によれば、クリーニングガスには
フッ素ガスとアンモニアガスとが含まれ、薄膜形成装置
の内部の材料との選択比が低下することなく、付着物に
対するエッチングレートが高くなる。このため、反応室
や治具等の劣化を抑えつつ、装置内部に付着した付着物
が除去される。
【0024】前記フッ素ガスと前記アンモニアガスと
を、その流量比が2:1〜10:1の範囲内となるよう
に前記クリーニングガスに含ませることが好ましい。こ
の場合、装置内部に付着した付着物に対するエッチング
レート及び薄膜形成装置の内部の材料との選択比が高く
なる。
【0025】上記目的を達成するため、この発明の第5
の観点にかかる薄膜形成装置の洗浄方法は、薄膜形成装
置の反応室内に処理ガスを供給して被処理体に薄膜を形
成した後、装置内部に付着した付着物を除去する薄膜形
成装置の洗浄方法であって、前記反応室内を所定の温度
に加熱する加熱工程と、前記加熱工程により所定の温度
に加熱された反応室内に、フッ素ガスと水素ガスとを含
むクリーニングガスを供給することにより、前記付着物
を除去して薄膜形成装置の内部を洗浄する洗浄工程と、
を備える、ことを特徴とする。
【0026】この構成によれば、クリーニングガスには
フッ素ガスと水素ガスとが含まれ、薄膜形成装置の内部
の材料との選択比が低下することなく、付着物に対する
エッチングレートが高くなる。このため、反応室や治具
等の劣化を抑えつつ、装置内部に付着した付着物が除去
される。
【0027】前記フッ素ガスと前記水素ガスとを、その
流量比が5:1〜5:3の範囲内となるように前記クリ
ーニングガスに含ませることが好ましい。この場合、装
置内部に付着した付着物に対するエッチングレート及び
薄膜形成装置の内部の材料との選択比が高くなる。ま
た、水素ガスの流量を厳密に制御しなくても、窒化珪素
に対するエッチングレートを高くすることができる。こ
のため、水素ガスの流量の制御が容易になる。
【0028】前記フッ素ガスと前記水素ガスとを、その
流量比が5:3となるように前記クリーニングガスに含
ませることが好ましい。この場合、一般的に反応室に用
いられている石英に対するエッチングレートを小さくす
ることができ、反応管の劣化を抑えつつ、装置内部に付
着した付着物が除去される。
【0029】前記薄膜形成装置の内部の材料は、例え
ば、石英及び炭化珪素の少なくとも一方が含まれる。
【0030】前記加熱工程では、前記反応室内を400
℃より低い温度に加熱することが好ましい。特に、前記
加熱工程では、前記反応室内を250℃〜380℃に加
熱することが好ましい。反応室内をかかる範囲内にする
と、反応室や治具等の劣化が抑えられるとともに、付着
物に対するエッチングレートが高くなる。
【0031】前記洗浄工程では、前記クリーニングガス
を希釈ガスで希釈し、該希釈されたクリーニングガスを
前記反応室内に供給することが好ましい。クリーニング
ガスを希釈することにより、洗浄工程の時間設定が容易
になる。前記希釈ガスとしては、例えば、不活性ガスが
用いられる。
【0032】前記被処理体に形成される薄膜としては、
例えば、シリコン窒化膜がある。この場合、前記洗浄工
程では、前記被処理体にシリコン窒化膜を形成すること
により薄膜形成装置の内部に付着した窒化珪素が、前記
クリーニングガスで除去される。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態にかか
る薄膜形成装置の洗浄方法について、図1に示すバッチ
式縦型熱処理装置1を洗浄する場合を例に説明する。ま
ず、本実施の形態に用いられる熱処理装置1について説
明する。
【0034】図1に示すように、熱処理装置1は、長手
方向が垂直方向に向けられた略円筒状の反応管2を備え
ている。反応管2は、内管3と、内管3を覆うとともに
内管3と一定の間隔を有するように形成された有天井の
外管4とから構成された二重管構造を有する。内管3及
び外管4は、耐熱材料、例えば、石英により形成されて
いる。
【0035】外管4の下方には、筒状に形成されたステ
ンレス鋼(SUS)からなるマニホールド5が配置され
ている。マニホールド5は、外管4の下端と気密に接続
されている。また、内管3は、マニホールド5の内壁か
ら突出するとともに、マニホールド5と一体に形成され
た支持リング6に支持されている。
【0036】マニホールド5の下方には蓋体7が配置さ
れ、ボートエレベータ8により蓋体7は上下動可能に構
成されている。そして、ボートエレベータ8により蓋体
7が上昇すると、マニホールド5の下方側が閉鎖され
る。
【0037】蓋体7には、例えば、石英からなるウエハ
ボート9が載置されている。ウエハボート9は、被処理
体、例えば、半導体ウエハ10が垂直方向に所定の間隔
をおいて複数枚収容可能に構成されている。
【0038】反応管2の周囲には、反応管2を取り囲む
ように断熱体11が設けられ、その内壁面には、例え
ば、抵抗発熱体からなる昇温用ヒータ12が設けられて
いる。
【0039】マニホールド5の側面には、複数の処理ガ
ス導入管13が挿通されている。なお、図1では処理ガ
ス導入管13を一つだけ描いている。処理ガス導入管1
3は内管3内を臨むように配設されている。例えば、図
1に示すように、支持リング6より下方(内管3の下
方)のマニホールド5の側面に処理ガス導入管13が挿
通され、処理ガス導入管13から処理ガスが内管3内
(半導体ウエハ10)に導入される。
【0040】また、マニホールド5の側面には、クリー
ニングガスを導入するクリーニングガス導入管14が挿
通されている。クリーニングガス導入管14は内管3内
を臨むように配設され、クリーニングガス導入管14か
らクリーニングガスが内管3内に導入される。
【0041】マニホールド5の側面には排気口15が設
けられている。排気口15は支持リング6より上方に設
けられており、反応管2内の内管3と外管4との間に形
成された空間に連通する。そして、内管3で発生した排
ガス等が内管3と外管4との間の空間を通って排気口1
5に排気される。また、マニホールド5側面の排気口1
5の下方には、パージガスとしての窒素ガスを供給する
パージガス供給管16が挿通されている。
【0042】排気口15には排気管17が気密に接続さ
れている。排気管17には、その上流側から、バルブ1
8と、真空ポンプ19とが介設されている。バルブ18
は、排気管17の開度を調整して、反応管2内の圧力を
所定の圧力に制御する。真空ポンプ19は、排気管17
を介して反応管2内のガスを排気するとともに、反応管
2内の圧力を調整する。
【0043】なお、排気管17には、図示しないトラッ
プ、スクラバー等が介設されており、反応管2から排気
された排ガスを、無害化した後、熱処理装置1外に排気
するように構成されている。
【0044】また、ボートエレベータ8、昇温用ヒータ
12、処理ガス導入管13、クリーニングガス導入管1
4、パージガス供給管16、バルブ18、真空ポンプ1
9には、制御部20が接続されている。制御部20は、
マイクロプロセッサ、プロセスコントローラ等から構成
され、熱処理装置1の各部の温度、圧力等を測定し、測
定データに基づいて、上記各部に制御信号等を出力し、
熱処理装置1の各部を図2に示すレシピ(タイムシーケ
ンス)に従って制御する。
【0045】次に、以上のように構成された熱処理装置
1の洗浄方法について説明する。本実施の形態では、半
導体ウエハ10上にシリコン窒化膜を形成する成膜処理
により、窒化珪素が付着した熱処理装置1の内部を洗浄
する洗浄処理を例に、図2に示すレシピを参照して説明
する。なお、本実施の形態では、熱処理装置1の内部に
窒化珪素が付着する成膜処理についても説明する。ま
た、以下の説明において、熱処理装置1を構成する各部
の動作は、制御部20によりコントロールされている。
【0046】まず、成膜処理について説明する。ボート
エレベータ8により蓋体7が下げられた状態で、半導体
ウエハ10が収容されたウエハボート9を蓋体7上に載
置する。次に、パージガス供給管16から反応管2内に
所定量の窒素ガスを供給し、ボートエレベータ8により
蓋体7を上昇させ、ウエハボート9を反応管2内にロー
ドする。これにより、半導体ウエハ10を反応管2の内
管3内に収容するとともに、反応管2を密閉する(ロー
ド工程)。
【0047】反応管2を密閉した後、パージガス供給管
16から反応管2内に所定量の窒素ガスを供給するとと
もに、バルブ18の開度を制御しつつ、真空ポンプ19
を駆動させて反応管2内のガスを排出し、反応管2内の
減圧を開始する。反応管2内のガスの排出は、反応管2
内の圧力を所定の圧力、例えば、65.5Pa(0.5
Torr)になるまで行う。また、昇温用ヒータ12に
より、反応管2内を所定の温度、例えば、600℃に加
熱する。そして、この減圧及び加熱操作を、反応管2が
所定の圧力及び温度で安定するまで行う(安定化工
程)。
【0048】反応管2内が所定の圧力及び温度で安定す
ると、パージガス供給管16からの窒素ガスの供給を停
止する。そして、処理ガス導入管13から処理ガスとし
てのヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)を所定量、
例えば、0.1リットル/min、アンモニア(N
H3)を所定量、例えば、1リットル/minを内管3
内に導入する。
【0049】内管3内に導入されたヘキサクロロジシラ
ン及びアンモニアは、反応管2内の熱により熱分解反応
が起こり、半導体ウエハ10の表面に窒化珪素(Si3
N4)が堆積される。これにより、半導体ウエハ10の
表面にシリコン窒化膜(Si3N4膜)が形成される
(成膜工程)。
【0050】半導体ウエハ10の表面に所定厚のシリコ
ン窒化膜が形成されると、処理ガス導入管13からのヘ
キサクロロジシラン及びアンモニアの供給を停止する。
そして、バルブ18の開度を制御しつつ、真空ポンプ1
9を駆動させて、反応管2内のガスを排出するととも
に、パージガス供給管16から所定量の窒素ガスを供給
して、反応管2内のガスを排気管17に排出する(パー
ジ工程)。なお、反応管2内のガスを確実に排出するた
めに、反応管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複
数回繰り返すことが好ましい。
【0051】最後に、パージガス供給管16から所定量
の窒素ガスを供給して、反応管2内を常圧に戻した後、
ボートエレベータ8により蓋体7を下降させ、ウエハボ
ート9(半導体ウエハ10)を反応管2からアンロード
する(アンロード工程)。
【0052】以上のような成膜処理を複数回行うと、成
膜処理によって生成される窒化珪素が、半導体ウエハ1
0の表面だけでなく、内管3の内壁のような反応管2内
や各種の治具等にも堆積(付着)する。このため、成膜
処理を所定回数行った後、熱処理装置1の内部に付着し
た窒化珪素を除去する洗浄処理が行われる。洗浄処理
は、熱処理装置1(反応管2)内に、フッ素ガス
(F2)と、フッ素ガスの活性化を促進可能な添加ガス
と、希釈ガスとしての窒素ガス(N2)とを含むクリー
ニングガスを供給することにより行われる。以下、熱処
理装置1の洗浄処理について説明する。
【0053】まず、パージガス供給管16から反応管2
内に所定量の窒素ガスを供給した後、半導体ウエハ10
が収容されていないウエハボート9を蓋体7上に載置
し、ボートエレベータ8により蓋体7を上昇させ、反応
管2を密封する。次に、パージガス供給管16からの窒
素ガスの供給を停止するとともに反応管2内のガスを排
出し、反応管2を所定の圧力、例えば、53200Pa
(400Torr)に維持する。また、昇温用ヒータ1
2により、反応管2内を、所定の温度、例えば、300
℃に加熱する(加熱工程)。
【0054】次に、クリーニングガス導入管14から、
所定量のクリーニングガスを内管3内に導入する。導入
されたクリーニングガスは内管3内で加熱され、クリー
ニングガス中のフッ素ガスが活性化、すなわち、反応性
を有するフリーな原子を多数有した状態になる。さら
に、クリーニングガスには添加ガスが含まれているの
で、フッ素ガスの活性化が促進される。そして、活性化
されたフッ素ガスを含むクリーニングガスが、内管3内
から、内管3と外管4との間に形成された空間を介して
排気管17に供給されることにより、内管3の内壁及び
外壁、外管4の内壁、排気管17の内壁、ボート9、保
温筒等の各種の治具の熱処理装置1の内部に付着した窒
化珪素に接触し、窒化珪素がエッチングされる。これに
より、熱処理装置1の内部に付着した窒化珪素が除去さ
れる(洗浄工程)。
【0055】熱処理装置1の内部に付着した窒化珪素が
除去されると、クリーニングガス導入管14からのクリ
ーニングガスの供給を停止する。そして、バルブ18の
開度を制御しつつ、真空ポンプ19を駆動させて、反応
管2内のガスを排出するとともに、パージガス供給管1
6から所定量の窒素ガスを供給して、反応管2内のガス
を排気管17に排出する(パージ工程)。なお、反応管
2内のクリーニングガスを確実に排出するために、反応
管2内のガスの排出及び窒素ガスの供給を複数回繰り返
すことが好ましい。
【0056】最後に、バルブ18を閉じて、パージガス
供給管16から所定量の窒素ガスを供給し、反応管2内
の圧力を常圧に戻す(常圧復帰工程)。そして、ボート
エレベータ8により蓋体7を下降させ、半導体ウエハ1
0が収容されたウエハボート9を蓋体7上に載置するこ
とにより、熱処理装置1の内部に窒化珪素が付着してい
ない状態で、半導体ウエハ10上にシリコン窒化膜を形
成する成膜処理を行うことが可能になる。
【0057】次に、本実施の形態の効果を確認するた
め、クリーニングガスのエッチングレート及び選択比を
求めた。クリーニングガスは、フッ素ガスと、各種の添
加ガスと、希釈ガス、例えば、窒素ガスと、を含む。添
加ガスは、フッ素ガスの活性化を促進可能なガスであ
り、塩素ガス(Cl2)、フッ化水素ガス(HF)、ア
ンモニアガス(NH3)、水素ガス(H2)等がある。
本実施の形態では、実施例1に添加ガスとして塩素ガス
を用いた場合、実施例2〜実施例5に添加ガスとしてフ
ッ化水素ガスを用いた場合、実施例6〜実施例8に添加
ガスとしてアンモニアガスを用いた場合、実施例9〜実
施例11に添加ガスとして水素ガスを用いた場合につい
て説明する。
【0058】また、本例は、石英からなる試験片、Si
Cからなる試験片、石英片上に3μmのシリコン窒化膜
を形成した試験片の3種類の試験片をウエハボート9内
に収容し、ウエハボート9を反応管2内に収容した後、
クリーニングガスを反応管2内に供給して、各試験片に
洗浄処理を施し、各試験片に対するエッチングレート及
び選択比を求めた。エッチングレートは、クリーニング
前後で試料片の重量を測定し、クリーニングによる重量
変化から算出した。この測定では、反応管2内の温度を
300℃、反応管2内の圧力を53200Pa(400
Torr)に設定した。
【0059】(実施例1)実施例1では、クリーニング
ガス導入管14から、フッ素ガスを2リットル/mi
n、塩素ガスを0.35リットル/min、窒素ガスを
8リットル/min、合計10.35リットル/min
のクリーニングガスを反応管2内に導入した。図3〜図
5に、添加ガスに塩素ガスを用いた場合(実施例1)の
クリーニングガスのエッチングレート及び選択比の測定
結果を示す。また、比較のため、塩素ガスを含まない、
フッ素ガスと窒素ガスからなるクリーニングガスを用い
た場合(比較例1)と、フッ素ガスと窒素ガスからなる
クリーニングガスを用い、反応管2を400℃に設定し
た場合(比較例2)とについても、同様の方法によりエ
ッチングレート及び選択比を求めた。この結果を図3〜
図5に示す。
【0060】図3及び図4に示すように、実施例1及び
比較例1から、クリーニングガスに塩素ガスを含ませる
ことにより、反応管2の温度を上げることなく、窒化珪
素に対するエッチングレートを高くできることが確認で
きた。これは、クリーニングガスに塩素ガスを含ませる
ことにより、クリーニングガスの活性化を促進すること
ができたためと考えられる。
【0061】さらに、図3及び図5に示すように、実施
例1及び比較例1から、クリーニングガスに塩素ガスを
含ませると、選択比が低下しなくなる。これは、石英及
びSiCに対するエッチングレートの増加の割合が、窒
化珪素に対するエッチングレートの増加の割合より大き
くないためである。このようにクリーニングガスに塩素
ガスを含ませることにより、選択比が低下しないので、
反応管2や治具等が劣化されにくくなり、反応管2や治
具等が劣化することなく反応管2の内部に付着した窒化
珪素を除去することができる。特に、窒化珪素/SiC
の選択比は比較例1の約4倍、比較例2の約8倍であ
り、SiCからなる治具等が劣化されにくくなる。
【0062】また、反応管2を400℃に設定した比較
例2では、実施例1及び比較例1に比べ、窒化珪素に対
するエッチングレートは高いが、これ以上に石英及びS
iCに対するエッチングレートが高くなってしまい、こ
の結果、図3及び図5に示すように、選択比が大きく低
下してしまう。このような状況で熱処理装置1の内部に
付着した窒化珪素を除去すると、反応管2や治具等を構
成する石英及びSiCが劣化するおそれが生じてしま
う。
【0063】このように、選択比を低下させることなく
(選択比を高いレベルに維持したままで)、窒化珪素に
対するエッチングレートを向上させるには、反応管2の
温度を400℃に設定するよりも300℃のような低い
温度に設定し、クリーニングガスに塩素ガスを含ませる
方がよいことが確認できた。
【0064】ここで、洗浄工程での反応管2内の温度
は、400℃より低い温度に設定することが好ましい。
反応管2内の温度を400℃以上に設定すると、反応管
2や治具等を構成する石英及びSiCが劣化するおそれ
が生じてしまうためである。さらに、洗浄工程での反応
管2内の温度は、250℃〜380℃に設定することが
より好ましい。反応管2内の温度が250℃より低い
と、クリーニングガスが活性化されにくく、クリーニン
グガスの窒化珪素に対するエッチングレートが低くなっ
て、所望のエッチングレートが得られないおそれが生じ
るためである。また、反応管2内の温度が380℃より
高いと、石英、SiCに対するエッチングレートが高く
なり、選択比が低下してしまうおそれが生じるためであ
る。
【0065】また、クリーニングガスに塩素ガスを含ま
せることにより、窒化珪素に対するエッチングレートを
高くすることができるので、洗浄工程での反応管2内の
温度をさらに下げることも可能になる。このように、反
応管2内の温度を下げると、さらに、反応管2や治具等
が劣化されにくくすることができる。
【0066】クリーニングガスには、希釈ガスとしての
窒素ガスを含ませることが好ましい。クリーニングガス
を窒素ガスで希釈することにより、洗浄処理の時間設定
が容易になるためである。これは、クリーニングガスに
窒素ガスを含まないと反応性が高くなるので、洗浄処理
の時間設定を厳格に設定しなければならず、洗浄処理の
時間の設定が難しくなるためである。さらに、経済的面
からもクリーニングガスを窒素ガスで希釈することが好
ましい。
【0067】(実施例2〜実施例5)実施例2〜実施例
5では、添加ガスとしてフッ化水素ガスを用いた場合に
ついて、実施例1と同様に、エッチングレート及び選択
比を求めた。本例では、300℃、53200Pa(4
00Torr)の内管3内に、フッ素ガスを1.5リッ
トル/min、フッ化水素ガスを0.5リットル/mi
n、窒素ガスを8リットル/min、合計10リットル
/minのクリーニングガスを導入した(実施例2)。
また、クリーニングガス中のフッ素ガス及びフッ化水素
ガスの供給量を変化させた場合(実施例3〜実施例5)
についても同様に行った。さらに、比較のため、フッ化
水素ガスと窒素ガスからなるクリーニングガスを用い、
反応管2を300℃に設定した場合(比較例3)、フッ
素ガスを1リットル/min、フッ化水素ガスを1リッ
トル/min、窒素ガスを8リットル/min、合計1
0リットル/minのクリーニングガスを用い、反応管
2を400℃に設定した場合(比較例4)についても、
同様にエッチングレート及び選択比を求めた。この結果
を図6〜図8に示す。
【0068】図3及び図4に示す、クリーニングガスに
フッ化水素ガスを含まない比較例1と比較すると、図6
及び図7に示すように、クリーニングガスにフッ化水素
ガスを含ませることにより、窒化珪素に対するエッチン
グレートが高くなることが確認できた。また、図6及び
図8に示すように、選択比が大きくなることが確認でき
た。このように、フッ化水素ガスを含むクリーニングガ
スを用いることにより、クリーニングガスに塩素ガスを
含ませた場合と同様に、反応管2や治具等が劣化するこ
となく、反応管2の内部に付着した窒化珪素を除去する
ことができる。
【0069】ここで、実施例2〜実施例4に示すよう
に、フッ素ガスとフッ化水素ガスとの流量比が1:3〜
3:1の範囲内となるようなクリーニングガスを内管3
内に供給することが好ましい。かかる範囲内のクリーニ
ングガスを供給することにより、窒化珪素に対するエッ
チングレートを高くできるためである。
【0070】特に、実施例3に示すように、フッ素ガス
とフッ化水素ガスとの流量比を1:1にすると、窒化珪
素に対するエッチングレートをさらに高くすることがで
きるとともに、石英に対するエッチングレートをさらに
低くすることができる。このため、窒化珪素/石英の選
択比をさらに大きくすることができ、反応管2や治具等
が劣化することなく、反応管2の内部に付着した窒化珪
素を除去することができる。
【0071】さらに、実施例5に示すように、フッ素ガ
ス及びフッ化水素ガスの導入量を2リットル/minと
増やすことにより、窒化珪素に対するエッチングレート
をさらに高くすることができるとともに、石英に対する
エッチングレートをさらに低くすることができる。この
ため、フッ素ガスとフッ化水素ガスとの流量比を1:1
に維持しつつ、フッ素ガス及びフッ化水素ガスの流量を
増やすことがさらに好ましい。
【0072】また、実施例3及び比較例4に示すよう
に、反応管2の温度を300℃から400℃に上げる
と、窒化珪素に対するエッチングレートは高くなるが、
これ以上に石英及びSiCに対するエッチングレートが
高くなってしまい、この結果、選択比が大きく低下して
しまう。このため、クリーニングガスに塩素ガスを含ま
せた場合と同様に、選択比を低下させることなく(選択
比を高いレベルに維持したままで)、窒化珪素に対する
エッチングレートを向上させるには、反応管2の温度を
400℃に設定するよりも300℃のような低い温度に
設定し、クリーニングガスにフッ化水素ガスを含ませる
方がよいことが確認できた。このため、クリーニングガ
スに塩素ガスを含ませた場合と同様に、洗浄工程での反
応管2内の温度は、400℃より低い温度に設定するこ
とが好ましい。さらに、洗浄工程での反応管2内の温度
は、250℃〜380℃に設定することがより好まし
い。
【0073】(実施例6〜実施例8)実施例6〜実施例
8では、添加ガスとしてアンモニアガスを用いた場合に
ついて、実施例1と同様に、エッチングレート及び選択
比を求めた。本例では、300℃、53200Pa(4
00Torr)の内管3内に、フッ素ガスを1.78リ
ットル/min、アンモニアガスを0.17リットル/
min、窒素ガスを8.05リットル/min、合計1
0リットル/minのクリーニングガスを導入した(実
施例6)。また、クリーニングガス中のフッ素ガス及び
アンモニアガスの供給量を変化させた場合(実施例7、
実施例8)についても同様に行った。この結果を図9〜
図11に示す。
【0074】図3及び図4に示す、クリーニングガスに
アンモニアガスを含まない比較例1と比較すると、図9
及び図10に示すように、クリーニングガスにアンモニ
アガスを含ませることにより、窒化珪素に対するエッチ
ングレートが高くなることが確認できた。また、図9及
び図11に示すように、選択比が大きくなることが確認
できた。このように、アンモニアガスを含むクリーニン
グガスを用いることにより、クリーニングガスに塩素ガ
スを含ませた場合と同様に、反応管2や治具等が劣化す
ることなく、反応管2の内部に付着した窒化珪素を除去
することができる。
【0075】ここで、実施例6〜実施例8に示すよう
に、フッ素ガスとアンモニアガスとの流量比が2:1〜
10:1の範囲内となるようなクリーニングガスを内管
3内に供給することが好ましい。かかる範囲内のクリー
ニングガスを供給することにより、窒化珪素に対するエ
ッチングレートを高くできるためである。さらに、フッ
素ガスとアンモニアガスとの流量比が3:1〜7:1の
範囲内となるようなクリーニングガスを内管3内に供給
することがより好ましい。特に、実施例7に示すよう
に、フッ素ガスとアンモニアガスとの流量比を4.5:
1付近にすると、窒化珪素に対するエッチングレートを
さらに高くすることができるとともに、石英に対するエ
ッチングレートをさらに低くすることができる。このた
め、窒化珪素/石英の選択比をさらに大きくすることが
でき、反応管2等が劣化することなく、反応管2の内部
に付着した窒化珪素を除去することができる。
【0076】(実施例9〜実施例11)実施例9〜実施
例11では、添加ガスとして水素ガスを用いた場合につ
いて、実施例1と同様に、エッチングレート及び選択比
を求めた。本例では、300℃、53200Pa(40
0Torr)の内管3内に、フッ素ガスを1.75リッ
トル/min、水素ガスを0.37リットル/min、
窒素ガスを8リットル/min、合計10.12リット
ル/minのクリーニングガスを導入した(実施例
9)。また、クリーニングガス中のフッ素ガス及び水素
ガスの供給量を変化させた場合(実施例10、実施例1
1)についても同様に行った。この結果を図12〜図1
4に示す。
【0077】図3及び図4に示す、クリーニングガスに
水素ガスを含まない比較例1と比較すると、図12及び
図13に示すように、クリーニングガスに水素ガスを含
ませることにより、窒化珪素に対するエッチングレート
が高くなることが確認できた。また、図12及び図14
に示すように、選択比が大きくなることが確認できた。
このように、水素ガスを含むクリーニングガスを用いる
ことにより、クリーニングガスに塩素ガスを含ませた場
合と同様に、反応管2や治具等が劣化することなく、反
応管2の内部に付着した窒化珪素を除去することができ
る。
【0078】ここで、実施例9〜実施例11に示すよう
に、フッ素ガスと水素ガスとの流量比が5:1〜5:3
の範囲内となるようなクリーニングガスを内管3内に供
給することが好ましい。かかる範囲内のクリーニングガ
スを供給することにより、窒化珪素に対するエッチング
レートを高くできるためである。また、フッ素ガスと水
素ガスとの流量比が5:1〜5:3の範囲で変化して
も、窒化珪素に対するエッチングレートが大きく変化し
ないことが確認できた。このため、水素ガスの流量を厳
密に制御しなくても、窒化珪素に対するエッチングレー
トを高くすることができる。このように、添加ガスに水
素ガスを用いることにより、添加ガスの流量の制御が容
易になる。
【0079】また、実施例11に示すように、フッ素ガ
スと水素ガスとの流量比を5:3のように水素ガスの流
量比を大きくしても、石英に対するエッチングレートが
大きくならない。このため、窒化珪素/石英の選択比を
さらに大きくすることができ、反応管2等が劣化するこ
となく、反応管2の内部に付着した窒化珪素を除去する
ことができる。
【0080】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、クリーニングガスに添加ガスを含ませているので、
反応管2の温度を上げることなく、窒化珪素に対するエ
ッチングレートを高くできる。また、クリーニングガス
に添加ガスを含ませることにより、選択比が低下しなく
なるので、反応管2や治具等が劣化されにくくなる。こ
のため、反応管2や治具等が劣化することなく熱処理装
置1の内部に付着した窒化珪素を除去することができ
る。
【0081】本実施の形態によれば、クリーニングガス
に添加ガスを含ませることにより、窒化珪素に対するエ
ッチングレートを高くすることができるので、洗浄工程
での反応管2内の温度を下げることができる。このた
め、さらに、反応管2や治具等が劣化されにくくするこ
とができる。
【0082】本実施の形態によれば、クリーニングガス
を窒素ガスで希釈しているので、洗浄処理の時間設定が
容易になる。
【0083】なお、本発明は、上記の実施の形態に限ら
れず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に
適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0084】上記実施の形態では、クリーニングガスに
塩素ガス等を含ませた場合を例に本発明を説明したが、
クリーニングガスに含まれる添加ガスは、フッ素ガスの
活性化を促進可能なガスであればよい。この場合にも窒
化珪素に対するエッチングレートを高くすることができ
る。また、添加ガスは、フッ素ガスによる熱処理装置1
の内部の材料(石英及びSiC)との選択比を低下させ
ることなく、窒化珪素に対するエッチングレートを高く
することが可能なガスであればよい。選択比が低下しな
いことにより、反応管2や治具等が劣化しにくくなるた
めである。このような添加ガスとしては、塩素ガス、フ
ッ化水素ガス、アンモニアガス、水素ガスの他に、臭素
(Br2)のようなハロゲン系ガスであってもよい。
【0085】本実施の形態では、熱処理装置1の内部に
付着した窒化珪素を除去する場合を例に本発明を説明し
たが、熱処理装置1の内部に付着する付着物は窒化珪素
に限定されるものではなく、例えば、ポリシリコン、酸
化チタン、酸化タンタル、シリカ、シリコンゲルマニウ
ム(SiGe)、BSTO(BaSrTiO3)、ST
O(SrTiO3)であってもよい。また、このような
付着物は、反応生成物に限定されるものではなく、反応
副生成物、例えば、塩化アンモニウムであってもよい。
【0086】本実施の形態では、クリーニングガスに希
釈ガスとしての窒素ガスを含む場合を例に本発明を説明
したが、クリーニングガスに希釈ガスを含まなくてもよ
い。ただし、希釈ガスを含ませることにより洗浄処理時
間の設定が容易になることから、クリーニングガスに希
釈ガスを含ませることが好ましい。希釈ガスとしては、
不活性ガスであることが好ましく、窒素ガスの他に、例
えば、ヘリウムガス(He)、ネオンガス(Ne)、ア
ルゴンガス(Ar)が適用できる。
【0087】本実施の形態では、内管3内の圧力を53
200Pa(400Torr)に設定して熱処理装置1
の内部の洗浄を行った場合を例に本発明を説明したが、
内管3内の圧力は、これに限定されるものではない。ま
た、クリーニングの頻度は、数回の成膜処理毎に行って
もよいが、例えば、1回の成膜処理毎に行ってもよい。
1回の成膜処理毎にクリーニングを行うと、石英やSi
C等から構成される装置内部の材料の寿命をさらに延命
することができる。
【0088】本実施の形態では、バッチ式熱処理装置に
ついて、反応管2が内管3と外管4とから構成された二
重管構造のバッチ式縦型熱処理装置の場合を例に本発明
を説明したが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えば、内管3を有しない単管構造のバッチ式熱処
理装置に適用することも可能である。また、被処理体は
半導体ウエハ10に限定されるものではなく、例えば、
LCD用のガラス基板等にも適用することができる。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
反応室や治具等の劣化を抑えつつ、装置内部に付着した
付着物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施の形態の薄膜形成装置の洗浄方法
に用いられる熱処理装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態の熱処理装置の洗浄方法を
説明するためのレシピを示した図である。
【図3】添加ガスに塩素ガスを用いた場合の熱処理装置
の洗浄方法の洗浄条件及び結果を示した表である。
【図4】添加ガスに塩素ガスを用いた場合のクリーニン
グガスのエッチングレートを示したグラフである。
【図5】添加ガスに塩素ガスを用いた場合のクリーニン
グガスの選択比を示したグラフである。
【図6】添加ガスにフッ化水素ガスを用いた場合の熱処
理装置の洗浄方法の洗浄条件及び結果を示した表であ
る。
【図7】添加ガスにフッ化水素ガスを用いた場合のクリ
ーニングガスのエッチングレートを示したグラフであ
る。
【図8】添加ガスにフッ化水素ガスを用いた場合のクリ
ーニングガスの選択比を示したグラフである。
【図9】添加ガスにアンモニアガスを用いた場合の熱処
理装置の洗浄方法の洗浄条件及び結果を示した表であ
る。
【図10】添加ガスにアンモニアガスを用いた場合のク
リーニングガスのエッチングレートを示したグラフであ
る。
【図11】添加ガスにアンモニアガスを用いた場合のク
リーニングガスの選択比を示したグラフである。
【図12】添加ガスに水素ガスを用いた場合の熱処理装
置の洗浄方法の洗浄条件及び結果を示した表である。
【図13】添加ガスに水素ガスを用いた場合のクリーニ
ングガスのエッチングレートを示したグラフである。
【図14】添加ガスに水素ガスを用いた場合のクリーニ
ングガスの選択比を示したグラフである。
【図15】反応生成物が付着することを説明するための
熱処理装置の概略図である。
【符号の説明】1 熱処理装置2 反応管3 内管4 外管10 半導体ウエハ12 昇温用ヒータ14 クリーニングガス導入管15 排気口16 パージガス供給管17 排気管18 バルブ19 真空ポンプ20 制御部
フロントページの続き (72)発明者 スポール フィリップ 東京都港区赤坂五丁目3番6号 TBS 放送センター 東京エレクトロン株式会 社内(72)発明者 多胡 研治 東京都港区赤坂五丁目3番6号 TBS 放送センター 東京エレクトロン株式会 社内 (56)参考文献 特開 平3−293726(JP,A) 特開2002−33289(JP,A) 特開2000−265276(JP,A) 特開 平4−96222(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/205,21/306,21/31 C23C 16/44