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JP3215311B2 - 光磁気記録媒体および光磁気記録方法 - Google Patents

光磁気記録媒体および光磁気記録方法

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JP3215311B2
JP3215311B2JP33050895AJP33050895AJP3215311B2JP 3215311 B2JP3215311 B2JP 3215311B2JP 33050895 AJP33050895 AJP 33050895AJP 33050895 AJP33050895 AJP 33050895AJP 3215311 B2JP3215311 B2JP 3215311B2
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magnetization
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magneto
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理伸 三枝
順司 広兼
明 高橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的に情報の記
録、再生、消去の少なくとも一つを行う光ディスク、光
カード等に用いられる光磁気記録媒体および光磁気記録
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方式とは、基板上に磁性体か
らなる垂直磁化膜を形成させたものを記録媒体とし、以
下の方法で記録再生するものである。
【0003】記録の際には、記録媒体をまず、強力な外
部磁界等によって初期化し、磁化の方向を一方向(上向
きまたは下向き)に揃えておく。その後、記録したいエ
リアにレーザビームを照射して、媒体部分の温度をキュ
リー点近傍以上、もしくは補償点近傍以上に加熱し、そ
の部分の保磁力(Hc)をゼロ、またはほとんどゼロと
したうえで、初期化の磁化の方向と逆向きの外部磁界
(バイアス磁界)を印加して磁化の向きを反転させる。
レーザビームの照射を止めると、記録媒体は常温に戻る
ので、反転した磁化は固定される。つまり、情報が熱磁
気的に記録される。
【0004】再生の際には、直線偏光したレーザビーム
を記録媒体に照射し、その反射光や透過光の偏光面が磁
化の向きに応じて回転する現象(磁気カー効果、磁気フ
ァラデー効果)を利用して光学的に情報の読み出しを行
う。
【0005】光磁気記録方式は、書き換え可能な大容量
記憶素子として注目されているが、その記録媒体を再使
用(書き換え)する方法として、交換結合2層膜を利用
し、初期化磁界(Hi)と記録磁界(Hw)とを利用
し、光強度を変調してオーバーライトする、いわゆる光
変調オーバーライト媒体が提案され、さらには交換結合
4層膜を利用し、初期化磁界(Hi)を無くした光変調
オーバーライト媒体が提案されている。
【0006】ここで、図16ないし図18を用いて、交
換結合4層膜を利用し、初期化磁界Hiを無くした光変
調オーバーライト媒体を用いた光変調オーバーライトの
手順について簡単に説明する。
【0007】光変調オーバーライト媒体は、図16に示
すように、第1磁性層13、第2磁性層14、第3磁性
層15、および第4磁性層16が形成されており、各磁
性層の保磁力の温度依存性は、図17に示すようにな
る。
【0008】次に、図18を用いて各磁性層の磁化状態
の遷移を説明する。なお、図18中の矢印は遷移金属の
磁化の向きを表している。
【0009】室温においては、第1磁性層13の磁化の
向きが上向き(”0”)(S71)か下向き(”1”)
(S77)であるかにより情報が記録されている。ま
た、第4磁性層16の磁化は常に一方向(図中上向き)
に揃えられており、第2磁性層14の磁化は第3磁性層
15を通して第4磁性層16の磁化と同じ方向に揃えら
れている。
【0010】記録は、記録磁界Hwを印加しながら、ハ
イパワーとローパワーとに強度変調されたレーザ光を照
射することにより行う。
【0011】ハイパワー、ローパワーは、ハイパワーの
レーザ光が照射されると媒体が第2磁性層14のキュリ
ー点Tc2付近となる温度まで昇温し(S74)、ロー
パワーのレーザ光が照射されると、第1磁性層13のキ
ュリー点Tc1付近となる温度まで昇温する(S73)
ように設定されている。
【0012】したがって、ハイパワーのレーザ光が照射
されると、第2磁性層14の磁化は、記録磁界Hwによ
り下向きに反転し(S75)、冷却の過程で界面に作用
する交換力により第1磁性層13に転写され(S7
6)、さらに第2磁性層14は第4磁性層16の磁化と
同じ方向に揃えられる(S77)。したがって、第1磁
性層13の磁化の向きが下向き(”1”)の状態にな
る。
【0013】一方、ローパワーのレーザ光が照射される
と、第2磁性層14の磁化は、その保磁力が記録磁界H
wより大きいため、記録磁界Hwにより反転することは
なく(S73)、第1磁性層13の磁化は、上記と同様
に、冷却の過程で界面に作用する交換力により第2磁性
層14の磁化の向きと一致する(S72)。したがっ
て、第1磁性層13の磁化の向きが上向き(”0”)の
状態になる(S71)。
【0014】なお、再生時のレーザパワーは、記録時の
ローパワーよりもかなり小さいレベルに設定されてい
る。
【0015】このようにして、上記従来の技術では、交
換結合4層膜を利用し、光変調オーバーライトが可能
で、初期化磁界Hiを無くし、かつ記録ビットが安定な
光磁気記録媒体を供給するようになっている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術では、第4磁性層16の磁化を、大きな磁界あ
るいは高レーザパワーを用いて、工場からの出荷前や記
録の前に一方向に揃える必要がある。そのために、光磁
気記録媒体やこの媒体に記録する装置の製造コストが増
大するという問題点を有している。
【0017】さらには、一方向に揃っていた第4磁性層
16の磁化の向きが何らかの原因で乱れた場合には、光
変調オーバーライトが不可能になるという問題点を有し
ている。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1記載の光磁気記録媒体は、室温からキュリ
ー点まで垂直磁化を示し、それぞれキュリー点としてT
c1、Tc2、Tc4を有する第1、第2、第4磁性層
がこの順に積層されており、Tc4以上Tc1以下で
第2磁性層の磁化の向きが交換力によって第1磁性層へ
転写されるとともに、室温以上Tc4以下の所定の温度
範囲Rで、第4磁性層の磁化が交換力によって第2磁性
層へ転写される一方、第2磁性層の磁化は第1磁性層へ
転写されない光磁気記録媒体において、第2および第4
磁性層がフェリ磁性体の希土類遷移金属合金からなり、
室温<Tc4<Tc1<Tc2であり、遷移金属および
希土類金属の各副格子磁化のうち、一方をα、もう一方
をβとすると、第2磁性層は、Tc1以上Tc2以下で
αがβより優勢であり、第4磁性層は、室温からTc4
までβがαより優勢であり、第2磁性層と第4磁性層と
の間に、室温からキュリー点Tc3まで垂直磁化を示
し、室温<Tc3<Tc4であり、上記温度範囲Rが室
温以上Tc3以下であり、上記温度範囲Rで、第4磁性
層の磁化が交換力によって転写されるとともに、交換力
によって磁化を第2磁性層へ転写する第3磁性層が積層
されていることを特徴としている。
【0019】また、請求項5記載の光磁気記録方法は、
請求項1ないし4のいずれかに記載の光磁気記録媒体を
用い、Tc1以下のときの第2磁性層の保磁力より小さ
い記録磁界Hwを印加しながら、Tc1に加熱する低レ
ベルの光ビームを照射するロープロセスおよび、Tc2
以上に加熱する高レベルの光ビームを照射するハイプロ
セスを行うことを特徴としている。
【0020】上記の構成および方法により、高低2種類
の強度を持つ光ビームを照射する以下のロープロセスお
よびハイプロセスに従って記録が行われる。ここで、各
層に垂直な上下方向のうち、昇温前の第2磁性層の磁化
の向きをA、その逆の向きをBとし、方向Bに記録磁界
Hwを印加するものとする。
【0021】ロープロセスは以下の通りである。各層を
Tc1にまで昇温して、第1および第4磁性層の磁化を
消失させる。このとき、第2磁性層の保磁力は記録磁界
Hwより大きいため、第2磁性層の磁化は反転しない。
また、このとき第2磁性層ではαがβより優勢であるた
め、αが方向Aと同じ向きを向いている。
【0022】各層をTc4以上Tc1以下にまで降温
し、第2磁性層の各副格子磁化の向きを交換力によって
第1磁性層へ転写する。よって、第1磁性層でαが方向
Aを向き、βが方向Bを向く。
【0023】各層を上記温度範囲Rにまで降温し、記録
磁界Hwによって第4磁性層の磁化を方向Bに向かせ
る。このとき、第4磁性層ではβがαより優勢であるた
め、βが方向Bを向く。
【0024】ハイプロセスは以下の通りである。各層を
Tc2以上に昇温し、全磁性層の磁化を消失させる。
【0025】各層をTc1以上Tc2以下にまで降温す
る。さきに第2磁性層の磁化も一旦消失していたため、
ロープロセスとは逆に、記録磁界Hwによって第2磁性
層の磁化は方向Bを向く。このとき、第2磁性層ではα
がβより優勢であるため、αが方向Bと同じ向きを向
く。
【0026】各層をTc4以上Tc1以下にまで降温
し、第2磁性層の各副格子磁化を交換力によって第1磁
性層へ転写する。よって、第1磁性層でαが方向Bを向
き、βが方向Aを向く。
【0027】各層を上記温度範囲Rまで降温し、記録磁
界Hwによって第4磁性層の磁化を方向Bに向かせる。
このとき、第4磁性層ではβがαより優勢であるため、
βが方向Bを向く。第4磁性層の各副格子磁化は交換力
によって第2磁性層へ転写される。このため、第2磁性
層では、第4磁性層と同じく、αが方向Aを向き、βが
方向Bを向く。このようにして第2磁性層の磁化の向き
が初期化される。なお、第2磁性層の各副格子磁化は交
換力によって第1磁性層へは転写されない。
【0028】このように、ロープロセスによって、第1
磁性層ではαが方向Aを向き、βが方向Bを向く。ハイ
プロセスによって、第1磁性層ではαが方向Bを向き、
βが方向Aを向く。すなわち、光変調オーバーライトが
できる。
【0029】ここで、上記の説明から分かるように、第
2磁性層の磁化の向きを初期化する時点までに、記録磁
界Hwによって、第4磁性層の磁化を所定の一方向に向
かせる、すなわち初期化することが可能になっている。
つまり、第4磁性層の磁化は、昇温とともに一旦消失し
ても、第2磁性層の磁化の向きの初期化までには初めの
向きの磁化が復活するようになっている。
【0030】したがって、従来の初期化磁界のような大
きな磁界ではなく記録に用いる小さな磁界である記録磁
界や、従来よりも弱い光ビームパワーを用いて、第4磁
性層の磁化の向きを調節することが可能となっている。
【0031】それによって、光変調オーバーライトを可
能としながら、工場からの出荷前や記録の前に、大きな
磁界(初期化磁界)あるいは高レーザパワーによって磁
性層の磁化を一方向に揃える必要をなくし、光磁気記録
媒体やこの媒体に記録する装置の製造コストの増大を抑
えることができる。
【0032】さらには、何らかの原因で第4磁性層の磁
化の向きが乱れた場合にも、光変調オーバーライトが可
能になる。
【0033】
【0034】
【0035】また、ロープロセスは以下の通りである
言うこともできる。各層をTc1にまで昇温し、第1、
第3、および第4磁性層の磁化を消失させる。このと
き、第2磁性層の保磁力は記録磁界Hwより大きいた
め、第2磁性層の磁化は反転しない。また、このとき第
2磁性層ではαがβより優勢であるため、αが方向Aと
同じ向きを向いている。
【0036】各層をTc4以上Tc1以下にまで降温
し、第2磁性層の各副格子磁化の向きを交換力によって
第1磁性層へ転写する。よって、第1磁性層でαが方向
Aを向き、βが方向Bを向く。
【0037】各層をTc3以上Tc4以下にまで降温
し、記録磁界Hwによって第4磁性層の磁化を方向Bに
向かせる。このとき、第4磁性層ではβがαより優勢で
あるため、βが方向Bを向く。
【0038】各層をTc3以下にまで降温し、第4磁性
層の各副格子磁化を交換力によって第3磁性層へ転写す
る。
【0039】また、ハイプロセスは以下の通りである
言うこともできる。各層をTc2以上に昇温し、全磁性
層の磁化を消失させる。
【0040】各層をTc1以上Tc2以下にまで降温す
る。さきに第2磁性層の磁化も一旦消失していたため、
ロープロセスとは逆に、記録磁界Hwによって第2磁性
層の磁化は方向Bを向く。このとき、第2磁性層ではα
がβより優勢であるため、αが方向Bと同じ向きを向
く。
【0041】各層をTc4以上Tc1以下にまで降温
し、第2磁性層の各副格子磁化を交換力によって第1磁
性層へ転写する。よって、第1磁性層でαが方向Bを向
き、βが方向Aを向く。
【0042】各層をTc3以上Tc4以下にまで降温
し、記録磁界Hwによって第4磁性層の磁化を方向Bに
向かせる。このとき、第4磁性層ではβがαより優勢で
あるため、βが方向Bを向く。
【0043】各層をTc3以下にまで降温し、第4磁性
層の各副格子磁化を交換力によって第3磁性層へ転写す
る。第3磁性層の各副格子磁化は交換力によって第2磁
性層へ転写される。このため、第2磁性層では、第4磁
性層と同じく、αが方向Aを向き、βが方向Bを向く。
このようにして第2磁性層の磁化の向きが初期化され
る。なお、第2磁性層の各副格子磁化は交換力によって
第1磁性層へは転写されない。
【0044】このように、上記と同様、ロープロセスに
よって、第1磁性層ではαが方向Aを向き、βが方向B
を向く。ハイプロセスによって、第1磁性層ではαが方
向Bを向き、βが方向Aを向く。すなわち、光変調オー
バーライトができる。
【0045】また、上記のような第3磁性層を第2磁性
層と第4磁性層との間に設けているので、降温時に、上
記温度範囲Rにおいて第1磁性層の保磁力がまだ十分大
きくなっていないときに、第4磁性層からの交換力によ
って第4磁性層の磁化が第2磁性層を介して第1磁性層
に転写されるのを防ぐことができる。それによって、第
1磁性層の材料の範囲を広くすることができる。
【0046】請求項2記載の光磁気記録媒体は、請求項
の構成に加えて、第2磁性層では、室温で希土類金属
の副格子磁化が遷移金属の副格子磁化より優勢であり、
Tc2以下で遷移金属の副格子磁化が希土類金属の副格
子磁化より優勢であり、第4磁性層では、室温からTc
4まで希土類金属の副格子磁化が遷移金属の副格子磁化
より優勢であることを特徴としている。
【0047】上記の構成により、室温にまで降温したと
きに、第4磁性層の希土類金属の副格子磁化が記録磁界
Hwによって方向Bを向くため、遷移金属の副格子磁化
は方向Aを向く。そのため、第4および第3磁性層は
第2磁性層の遷移金属の副格子磁化を交換力によって方
向Aに向かせようと働くことになる。
【0048】その一方で、記録磁界Hwは第2磁性層の
磁化をB方向に向かせる方向に働いている。そのため、
記録磁界Hwは、第2磁性層の希土類金属の副格子磁化
を方向Bに向かせようと働くことになる。逆に言えば、
第2磁性層の遷移金属の副格子磁化を方向Aに向かせよ
うと働くことになる。
【0049】したがって、上記二つの作用が合わさるた
め、記録磁界や各磁性層の条件を緩和することができ
る。すなわち、記録磁界Hwの大きさや、第4および第
3磁性層の第2磁性層への交換力の大きさを小さくする
ことができる。それによって、光磁気記録媒体の材料の
範囲を広げることができ、また、媒体に記録する装置の
製造コストの増大をさらに抑えることができる。
【0050】請求項3記載の光磁気記録媒体は、請求項
1または2の構成に加えて、第1磁性層の、第2磁性層
が形成されている側と反対の側に、第1磁性層のキュリ
ー点Tc1よりも高いキュリー点Tc5を有する第5磁
性層が積層されていることを特徴としている。
【0051】上記の構成により、第5磁性層のキュリー
点が第1磁性層のキュリー点よりも高いので、再生時
に、カー回転角が大きくなる。それによって、信号品質
を向上することができる。
【0052】請求項4記載の光磁気記録媒体は、請求項
1ないし3のいずれかの構成に加えて、第1磁性層と第
2磁性層との間に、室温で面内磁化を示し、Tc1で
直磁化を示す第6磁性層が積層されていることを特徴と
している。
【0053】上記の構成により、第6磁性層がTc1で
垂直磁化を示すので、第2磁性層から第1磁性層へ磁化
が効率良く転写される。また、第6磁性層が室温で面内
磁化を示すので、室温において情報を記録した第1磁性
層の磁化が第2磁性層から交換力によって影響を受けな
い。したがって、記録感度を向上させることができる。
それによって、高品位に光変調オーバーライトを行うこ
とができる。
【0054】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕本発明の実施の一形態について図1な
いし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。本
実施の形態に係る光磁気ディスク(光磁気記録媒体)
は、図1に示すように、透光性を有する基板1の上に、
透明誘電体層2、第1磁性層3、第2磁性層4、第3磁
性層5、第4磁性層6、および保護層7が順次形成され
た構成となっている。さらに、図示しないが実際にはオ
ーバーコート膜が保護層7の外側に形成されている。ま
た、上記第1磁性層3、第2磁性層4、第3磁性層5お
よび第4磁性層6はそれぞれ、希土類金属の磁化と遷移
金属の磁化とが互いに反平行に結合したフェリ磁性体で
ある希土類金属−遷移金属合金からなっている。
【0055】図2に示すように、第1磁性層3は、第2
磁性層4と比較して低いキュリー点(Tc1とする)
と、室温で高い保磁力(Hc1とする)とを有し、室温
からTc1まで垂直磁化となる特性を示し、その組成
は、室温で遷移金属リッチとなるように設定されてい
る。
【0056】第2磁性層4は、第1磁性層3のキュリー
点Tc1よりも高いキュリー点(Tc2とする)を有
し、室温からTc2まで垂直磁化となる特性を示し、そ
の組成は、室温で希土類金属リッチで室温からTc2ま
での間に補償点を有し、それにより、補償点からTc2
までは遷移金属リッチとなるように設定されている。
【0057】第3磁性層5は、第1ないし第4磁性層の
うちで最も低いキュリー点(Tc3とする)を有し、室
温からTc3まで垂直磁化となる特性を示し、その組成
は、室温で遷移金属リッチとなるように設定されてい
る。
【0058】第4磁性層6は、Tc3よりも高くTc1
よりも低いキュリー点(Tc4とする)を有し、室温か
らTc4まで垂直磁化となる特性を示し、その組成は、
室温で希土類金属リッチで室温からTc4までの間に補
償点がないように設定されている。
【0059】本実施の形態における記録過程を図3を用
いて説明する。図3は、第1磁性層3、第2磁性層4、
第3磁性層5、および第4磁性層6の各磁化状態を示
し、横軸は温度を示す。各層は、希土類遷移金属合金で
あるため、トータル磁化と、遷移金属の副格子磁化(α
とする)、および希土類金属の副格子磁化(βとする)
があるが、矢印は各層の遷移金属の副格子磁化αの向き
を示す。
【0060】このような光磁気ディスクを用いて光変調
オーバーライトを行う場合、記録磁界Hwを光ビームの
照射部に印加しながら、情報に応じて光ビームの強度を
変調することにより、光ビームの照射部の温度がTc2
付近の温度まで昇温するハイプロセスと、光ビームの照
射部の温度がTc1付近の温度まで昇温するロープロセ
スとを繰り返し、重ね書きによる情報の書き換えを行
う。
【0061】室温では、第1磁性層3の副格子磁化の向
きに応じて、2つの安定な状態”0”(磁化が上向き)
と”1”(磁化が下向き)とが存在する。これらは、図
中、それぞれ状態S1およびS7である。
【0062】まず、ハイプロセスでは、ハイパワー(P
hとする)のレーザ光を照射し、Tc2付近の温度まで
昇温するので、第1磁性層3、第3磁性層5、および第
4磁性層6の磁化はゼロになる。一方、第2磁性層4の
磁化は、一旦ゼロになった後に記録磁界Hwによって下
向きに揃えられる。第2磁性層4はこの温度付近では遷
移金属リッチであるため、遷移金属の副格子磁化αは下
向きに揃えられる(S3、S4、S5)。
【0063】光磁気ディスクの回転により光ビームの照
射部が冷却され、第1磁性層3の磁化が現れると、第1
磁性層3の遷移金属の副格子磁化は、第1磁性層3と第
2磁性層4との界面において第2磁性層4から第1磁性
層3へ作用する交換力によって、第2磁性層4の遷移金
属の副格子磁化の向きである下向きに揃えられる。
【0064】さらに冷却され、第4磁性層6の磁化が現
れるときには、第4磁性層6の磁化は記録磁界Hwによ
り下向きに揃えられる。第4磁性層6は希土類金属リッ
チであるため、遷移金属の副格子磁化αは上向きに揃え
られる(S6)。
【0065】さらに、室温付近まで冷却すると、第3磁
性層5の磁化が現れる。そのため、第2磁性層4と第3
磁性層5との間、および、第3磁性層5と第4磁性層6
との間の界面にそれぞれ作用する交換力が生まれる。こ
の交換力によって、第2磁性層4の遷移金属の副格子磁
化αは、第4磁性層6の遷移金属の副格子磁化と同じく
上向きに揃えられる。しかし、第1磁性層3は、室温で
は保磁力が大きいので、第2磁性層4の磁化によって反
転しない。このようにして、第1磁性層3に状態”1”
(磁化が下向き)が記録される(S7)。
【0066】次に、ロープロセスでは、ローパワー(P
lとする)のレーザ光を照射し、Tc1付近の温度まで
昇温するが、このとき第2磁性層4の保磁力は記録磁界
Hwよりも大きいため、第2磁性層4の磁化の向きは記
録磁界Hwによって反転しない。そのため、第2磁性層
4の遷移金属の副格子磁化αは上向きのままである(S
3)。
【0067】光磁気ディスクの回転により光ビームの照
射部が冷却され、第1磁性層3の磁化が現れると、第1
磁性層3の遷移金属の副格子磁化は、界面に作用する交
換力によって、第2磁性層4の遷移金属の副格子磁化の
向きである上向きに揃えられれる。
【0068】さらに冷却され、第4磁性層6の磁化が現
れると、第4磁性層6の磁化は記録磁界Hwにより下向
きに揃えられる。第4磁性層6は希土類金属リッチであ
るため、遷移金属の副格子磁化αは上向きに揃えられる
(S2)。
【0069】さらに、室温付近まで冷却すると、第3磁
性層5の磁化が現れ、第2磁性層4と第3磁性層5との
間、および、第3磁性層5と第4磁性層6との間の界面
に作用する交換力が生まれる。この交換力によって、第
2磁性層4の遷移金属の副格子磁化αは、第4磁性層6
の遷移金属の副格子磁化の向きと同じく上向きに揃えら
れる。しかし、第1磁性層3は室温では保磁力が大きい
ので、第2磁性層4の磁化によって反転しない。このよ
うにして、第1磁性層3に状態”0”(磁化が上向き)
が記録される(S1)。
【0070】以上のように、ハイプロセスの場合、第1
磁性層3は状態”1”(磁化が下向き)に移行し、ロー
プロセスの場合、第1磁性層3は状態”0”(磁化が上
向き)に移行するので、光変調オーバーライトを行うこ
とができる。
【0071】情報を再生する場合、再生パワー(Prと
する)のレーザ光を照射し、その反射光における偏光面
の回転を検出することにより再生するが、ロープロセス
よりもかなり低い温度となるので、Prのレーザ光によ
り情報が消去されることはない。
【0072】なお、本実施の形態においては、第2磁性
層4は、室温で希土類金属リッチで室温からTc2まで
の間に補償点を有するように設定されており、Tc1か
らTc2までのある温度範囲において遷移金属リッチと
なる性質を持っている。また、第4磁性層6は、室温で
希土類金属リッチで室温からTc2までの間に補償点が
ないように設定されている。しかしながら、ハイプロセ
スで記録磁界Hwのほうを向く第2磁性層4の副格子磁
化の種類と、Tc3からTc4までの間で記録磁界Hw
のほうを向く第4磁性層6の副格子磁化の種類とが異な
っておればよく、この組み合わせには限定されない。す
なわち例えば、第2磁性層4が、室温からキュリー点T
c2まで垂直磁化で希土類金属リッチの特性を示し、第
4磁性層6が、室温からキュリー点Tc4まで垂直磁化
で遷移金属リッチの特性を示すような組み合わせでもよ
い。
【0073】その場合には、今までとは逆の組み合わせ
になるため、その記録過程の説明としては、図3で示し
た遷移金属の副格子磁化を表す白抜きの矢印を、すべて
希土類金属の副格子磁化を表すものと置き変えて考えれ
ばよい。第1磁性層3は遷移金属リッチなので、この場
合、図中のS1は磁化が下向きになった状態を示すこと
となり、逆に、S7は磁化が上向きになった状態を示す
こととなる。したがって、同様に光変調オーバーライト
が実現できる。
【0074】また、第3磁性層5は、自層の交換力を第
4磁性層6の交換力に加えることにより、第4磁性層6
から第2磁性層4への磁化の転写を円滑に行う働きを持
つ。また、第2磁性層4から第1磁性層3へ磁化が転写
される間は、第3磁性層5の磁化が消失しており、この
ため、その間は第4磁性層6から第2磁性層4への磁化
の転写を防止する働きを持っている。それによって、第
1、第2、および第4磁性層の保磁力や交換力等の磁気
的特性の条件を緩和することができるので、各磁性層の
材料を幅広く選択することができる。
【0075】以下に、本実施の形態に係る光磁気ディス
クのサンプルを示す。サンプル#1、#2では、透光性
の基板1は、外径86mm、内径15mm、厚さ1.2
mmの円盤状のガラスからなっている。基板1の片側の
表面には、光ビーム案内用の凹凸状のガイドトラックが
反応性イオンエッチング法により直接形成されている。
トラックピッチは、1.6μm、グルーブ(凹部)の幅
は0.8μm、ランド(凸部)の幅は0.8μmであ
り、反応性イオンエッチング法によりガラスに直接形成
された。
【0076】基板1のガイドトラック側の面上に、反応
性スパッタリングにより、膜厚80nmのAlNからな
る透明誘電体層2と、Dy、Fe、Coターゲットの同
時スパッタリングにより膜厚40nmのDyFeCoか
らなる第1磁性層3と、Gd、Fe、Coターゲットの
同時スパッタリングにより膜厚60nmのGdFeCo
からなる第2磁性層4と、Dy、Feターゲットの同時
スパッタリングにより膜厚20nmのDyFeからなる
第3磁性層5と、Dy、Fe、Coターゲットの同時ス
パッタリングにより膜厚40nmのDyFeCoからな
る第4磁性層6と、膜厚20nmのAlNからなる保護
層7とを積層した。
【0077】第1磁性層3ないし第4磁性層6の各成膜
時のスパッタリング条件は、到達真空度2.0×10-4
Pa以下、Arガス圧6.5×10-1Pa、放電電力3
00Wであり、透明誘電体層2および保護層7の各成膜
時のスパッタリング条件は、到達真空度2.0×10-4
Pa以下、N2ガス圧3.0×10-1Pa、放電電力8
00Wである。
【0078】さらに、保護層7の上にアクリレート系紫
外線硬化樹脂をコーティングし、紫外線照射により硬化
させてオーバーコート膜を形成した。
【0079】#1の第1磁性層3は、組成がDy
0.20(Fe0.85Co0.150.80であり、遷移金属リッ
チ、キュリー点Tc1=180℃、室温での保磁力Hc
1=1200kA/mとなる特性を示す。第2磁性層4
は、組成が(Gd0.60Dy0.400.28(Fe0.70Co
0.300.72であって、希土類金属リッチ、キュリー点T
c2=270℃、補償点TCOMP3=200℃、室温での
保磁力Hc2=160kA/mとなる特性を示す。第3
磁性層5は、組成Dy0.18Fe0.82、遷移金属リッチ、
キュリー点Tc3=70℃、室温での保磁力Hc3=2
00kA/mとなる特性を示す。第4磁性層6は、組成
がDy0.22(Fe0.90Co0.100.78であり、希土類金
属リッチ、キュリー点Tc4=150℃、室温での保磁
力Hc4=240kA/mとなる特性を示す。
【0080】#2の第1磁性層3は、組成がTb
0.20(Fe0.92Co0.080.80であり、遷移金属リッ
チ、キュリー点Tc1=180℃、室温での保磁力Hc
1=1200kA/mとなる特性を示す。第2磁性層4
は、組成がTb0.25(Fe0.80Co0.200.75であっ
て、希土類金属リッチ、キュリー点Tc2=270℃、
補償点なし、室温での保磁力Hc2=160kA/mと
なる特性を示す。第3磁性層5は、組成Dy0.18Fe
0.82、遷移金属リッチ、キュリー点Tc3=70℃、室
温での保磁力Hc3=200kA/mとなる特性を示
す。第4磁性層6は、組成がDy0.18(Fe0.90Co
0.100.82であり、遷移金属リッチ、キュリー点Tc4
=150℃、室温での保磁力Hc4=240kA/mと
なる特性を示す。
【0081】サンプル#1、#2の光磁気ディスクに対
して、Hw=40kA/m、Ph=10mW、Pl=6
mW、Pr=1mW、記録ビット長=0.64μmにて
記録を行ったところ、消し残りのない光変調オーバーラ
イトができ、信号対雑音比(C/N)は45dBと良好
であった。
【0082】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の形態
について図4ないし図6に基づいて説明すれば、以下の
通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態の
図面に示した部材と同一の機能を有する部材には、同一
の符号を付記してその説明を省略する。
【0083】本実施の形態の光磁気ディスク(光磁気記
録媒体)は、図4に示すように、透明誘電体層2と第1
磁性層3との間に第5磁性層8を設けた点で前記実施の
形態1と異なっている。
【0084】第5磁性層8は、図5に示すように、第1
磁性層3のキュリー点Tc1よりも高いキュリー点Tc
5を有し、室温からTc5まで垂直磁気異方性を示す。
【0085】本実施の形態における記録過程を図6を用
いて説明する。図6は、第5磁性層8、第1磁性層3、
第2磁性層4、第3磁性層5、および第4磁性層6の各
磁化状態を示し、横軸は温度を示す。各層は、希土類遷
移金属合金であるため、トータル磁化と、希土類金属・
遷移金属それぞれの副格子磁化があるが、矢印は各層の
遷移金属の副格子磁化αの向きを示す。
【0086】第1磁性層3、第2磁性層4、第3磁性層
5、および第4磁性層6の各磁化状態は、図3に示す実
施の形態1に係る光磁気ディスクの記録過程と同様であ
るため、説明は省略する。また、この記録過程は、図3
に示す実施の形態1に係る光磁気ディスクの場合とほぼ
同様であるため、重複する点の説明は省略する。
【0087】第5磁性層8の磁化状態は、第1磁性層3
のキュリー点Tc1以下の温度では第1磁性層3の磁化
状態に従う。
【0088】本実施の形態においては、図3の状態S3
に相当する状態S13において、各磁性層の温度が第1
磁性層3のキュリー点Tc1以上なので、第1磁性層3
の磁化が消失している。しかしながら、第5磁性層8は
前述の通り第1磁性層3のキュリー点Tc1よりも高い
キュリー点Tc5を有しているので、この温度でも磁化
を持っている。さらに、Tc2より昇温した状態S14
においてもなお磁化を持っている。
【0089】また、ハイプロセスの降温時における状態
S16や、ロープロセスの降温時における状態S12
で、第2磁性層4から第1磁性層3に各副格子磁化が転
写されたときに、第1磁性層3から第5磁性層8にも同
じく各副格子磁化が転写される。
【0090】再生過程における各磁性層の温度はTc1
以下なので、再生時には、第1磁性層3に記録された情
報と同じ情報が第5磁性層8を介して再生される。
【0091】以下、光磁気ディスクのサンプルを示す。
光磁気ディスクのサンプル#3は、前記サンプル#1の
透明誘電体層2と第1磁性層3との間に第5磁性層8を
30nm有しており、サンプル#1の製法と同じ製法で
作製された。
【0092】サンプル#3の第5磁性層8は、組成がG
0.27(Fe0.70Co0.300.73であり、希土類金属リ
ッチ、キュリー点Tc5>300℃、補償点〜200℃
となる特性を示す。
【0093】サンプル#3の光磁気ディスクに対して
も、実施の形態1と同様の条件で記録を行った結果、消
し残りのない光変調オーバーライトができ、信号対雑音
比(C/N)は46.5dBと良好であった。サンプル
#1のC/Nが45dBであることを考慮すると、サン
プル#1よりも信号品質が向上した。これは、Tc5>
Tc1に設定したので、カー回転角が大きくなったため
と考えられる。
【0094】〔実施の形態3〕本発明の他の実施の形態
について図7ないし図9に基づいて説明すれば、以下の
通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態の
図面に示した部材と同一の機能を有する部材には、同一
の符号を付記してその説明を省略する。
【0095】本実施の形態の光磁気ディスク(光磁気記
録媒体)は、図7に示すように、透明誘電体層2と第1
磁性層3との間に第5磁性層8を設けた点で前記実施の
形態と異なっている。
【0096】第5磁性層8は、図8に示すように、第1
磁性層3のキュリー点Tc1より高いキュリー点Tc5
を有し、室温での保磁力Hc5がほぼゼロであり、室温
で面内磁気異方性を示し、所定温度(Tfとする)以上
で垂直磁気異方性を示す。
【0097】本実施の形態における記録過程を図9を用
いて説明する。図9は、第5磁性層8、第1磁性層3、
第2磁性層4、第3磁性層5、および第4磁性層6の各
磁化状態を示し、横軸は温度を示す。各層は、希土類遷
移金属合金であるため、トータル磁化と、希土類金属・
遷移金属それぞれの副格子磁化があるが、矢印は各層の
遷移金属の副格子磁化αの向きを示す。
【0098】第1磁性層3、第2磁性層4、第3磁性層
5、および第4磁性層6の各磁化状態は、図3に示す実
施の形態1に係る光磁気ディスクの記録過程と同様であ
るため、説明は省略する。また、この記録過程は、図6
に示す実施の形態2に係る光磁気ディスクの場合とほぼ
同様であるため、重複する点の説明は省略する。
【0099】第5磁性層8の磁化状態は、室温で面内磁
気異方性を示し、上記温度Tf以上で垂直磁気異方性を
示す。すなわち、図6の状態S11およびS17に相当
する各状態S21、S27において、室温であるために
第5磁性層8は面内磁化を示している。それ以外の、図
に示す各状態においては垂直磁化を示している。このた
め、第5磁性層8の磁化状態は、Tf以上で第1磁性層
3のキュリー点Tc1以下の温度では、第1磁性層3の
磁化状態に従う。
【0100】再生過程における各磁性層の温度は上記T
f以上Tc1以下なので、再生時には、第1磁性層3に
記録された情報と同じ情報が第5磁性層8を介して再生
される。
【0101】以下、光磁気ディスクのサンプルを示す。
光磁気ディスクのサンプル#4は、前記サンプル#1の
透明誘電体層2と第1磁性層3との間に第5磁性層8を
30nm有しており、サンプル#1の製法と同じ製法で
作製された。
【0102】サンプル#4の第5磁性層8は、組成がG
0.29(Fe0.80Co0.200.71であり、希土類金属リ
ッチ、キュリー点Tc5=300℃、補償点なし、約1
20℃で垂直磁気異方性を示す。
【0103】サンプル#4の光磁気ディスクに対して
も、実施の形態1と同様の条件で記録を行った結果、消
し残りのない光変調オーバーライトができ、信号対雑音
比(C/N)は46dBと良好であった。サンプル#1
のC/Nが45dBであることを考慮すると、サンプル
#1よりも信号品質が向上した。これは、実施の形態2
同様、第5磁性層8のキュリー温度Tc5をTc5>T
c1に設定したので、カー回転角が大きくなったためと
考えられる。
【0104】また、記録ビット長が短くなると、サンプ
ル#1ではC/Nが急激に低下したが、サンプル#4で
はC/Nがあまり低下しなかった。これは、第5磁性層
8が室温で面内磁気異方性を示し、再生レーザパワーの
レーザ光を照射すると垂直磁気異方性を示すようになる
ので、短い記録ビットであっても、隣接記録ビットから
の影響を受けずに再生できるためと考えられる。
【0105】〔実施の形態4〕本発明の他の実施の形態
について図10ないし図12に基づいて説明すれば、以
下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形
態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材には、
同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0106】本実施の形態の光磁気ディスク(光磁気記
録媒体)は、図10に示すように、第1磁性層3と第2
磁性層4との間に第6磁性層9を設けた点で前記実施の
形態と異なっている。
【0107】第6磁性層9は、図11に示すように、室
温での保磁力Hc6がほぼゼロであり、室温で非常に弱
い垂直磁気異方性もしくは面内磁気異方性を示し、所定
温度(Tsとする)以上で垂直磁気異方性を示す。
【0108】本実施の形態における記録過程を図12を
用いて説明する。図12は、第1磁性層3、第6磁性層
9、第2磁性層4、第3磁性層5、および第4磁性層6
の各磁化状態を示し、横軸は温度を示す。各層は、希土
類遷移金属合金であるため、トータル磁化と、希土類金
属・遷移金属それぞれの副格子磁化があるが、矢印は各
層の遷移金属の副格子磁化αの向きを示す。
【0109】第1磁性層3、第2磁性層4、第3磁性層
5、および第4磁性層6の各磁化状態は、図3に示す実
施の形態1に係る光磁気ディスクの記録過程と同様であ
るため、説明は省略する。また、この記録過程は、図3
に示す実施の形態1に係る光磁気ディスクの場合とほぼ
同様であるため、重複する点の説明は省略する。
【0110】第6磁性層9の磁化状態は、室温で非常に
弱い垂直磁気異方性もしくは面内磁気異方性を示し、上
記温度Ts以上で強い垂直磁気異方性を示すので、室温
において、第2磁性層4から第1磁性層3への磁気転写
が起こりにくく、Ts以上で第2磁性層4から第1磁性
層3への磁気転写が起こる。このため、以下に示すよう
に、各磁化状態がより安定になり、実施の形態1の光磁
気ディスクと比べて光変調オーバーライトがより円滑に
行われる。
【0111】本実施の形態においては、ハイプロセスの
降温時における状態S36やロープロセスの降温時にお
ける状態S32で、第2磁性層4から第1磁性層3に磁
化(各副格子磁化)が転写されるときに、この第6磁性
層9が仲介の役割を果たし、第2磁性層4からまず第6
磁性層9に副格子磁化の向きが転写され、そして第6磁
性層9から第1磁性層3に副格子磁化の向きが転写され
る。
【0112】また、上記ハイプロセスの続きであるS3
7および次回の記録における昇温時のS38では、第1
磁性層3の遷移金属の副格子磁化が下向きであって第2
磁性層4の遷移金属の副格子磁化が上向きであるため、
第6磁性層9の遷移金属の副格子磁化は、より安定な方
向として面内磁化を示す。
【0113】一方、上記ロープロセスの続き、または”
0”が記録された状態S31からの昇温時であるS31
およびS32では、第1磁性層3の遷移金属の副格子磁
化も第2磁性層4の遷移金属の副格子磁化も上向きであ
るため、第6磁性層9の遷移金属の副格子磁化は、より
安定な方向として、それらと同方向の垂直磁化を示す。
【0114】また、図3の状態S4に相当する状態S3
4において、各磁性層の温度が第2磁性層4のキュリー
点Tc2以上なので第1ないし第4磁性層の磁化が消失
しているが、第6磁性層9はTc2よりも高いキュリー
点Tc5を有しており、この温度でも磁化を持ってい
る。
【0115】以下、光磁気ディスクのサンプルを示す。
光磁気ディスクのサンプル#5は、前記サンプル#1の
第1磁性層3と第2磁性層4との間に第6磁性層9を4
0nm有しており、サンプル#1の製法と同じ製法で作
製された。
【0116】サンプル#5の第6磁性層9は、組成がG
0.27(Fe0.70Co0.300.73であり、希土類金属リ
ッチ、キュリー点Tc5>300℃、補償点〜200℃
を有する。
【0117】サンプル#5の光磁気ディスクに対して、
Hw=32kA/m、Ph=9mW、Pl=4mW、P
r=1mW、記録ビット長=0.64μmにて記録を行
ったところ、消し残りのない光変調オーバーライトがで
き、信号対雑音比(C/N)は45dBと良好であっ
た。サンプル#1の記録条件が、Hw=40kA/m、
Ph=10mW、Pl=6mWであることを考慮する
と、サンプル#1よりも記録感度が向上した。これは、
第1磁性層3と第2磁性層4との間に第6磁性層9を挿
入したことにより、光変調オーバーライトが円滑に行わ
れたためと考えられる。
【0118】〔実施の形態5〕本発明の他の実施の形態
について図13ないし図15に基づいて説明すれば、以
下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形
態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材には、
同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0119】本実施の形態の光磁気ディスク(光磁気記
録媒体)は、図13に示すように、透明誘電体層2と第
1磁性層3との間に第5磁性層8を設け、第1磁性層3
と第2磁性層4との間に第6磁性層9を設けた点で前記
実施の形態と異なっている。
【0120】第5磁性層8は、図14に示すように、第
1磁性層3のキュリー点Tc1よりも高いキュリー点T
c5を有し、室温からTc5まで垂直磁気異方性を示
す。
【0121】第6磁性層9は、室温での保磁力Hc6が
ほぼゼロであり、室温で非常に弱い垂直磁気異方性もし
くは面内磁気異方性を示し、所定温度Ts以上で垂直磁
気異方性を示す。
【0122】図15は、第5磁性層8、第1磁性層3、
第6磁性層9、第2磁性層4、第3磁性層5、および第
4磁性層6の各磁化状態を示し、横軸は温度を示す。各
層は、希土類遷移金属合金であるため、トータル磁化
と、希土類金属・遷移金属それぞれの副格子磁化とがあ
るが、矢印は各層の遷移金属の副格子磁化αの向きを示
す。
【0123】第1磁性層3、第2磁性層4、第3磁性層
5、および第4磁性層6の各磁化状態は、図3に示す実
施の形態1に係る光磁気ディスクの記録過程と同様であ
るため、説明は省略する。また、第5磁性層8の磁化状
態は実施の形態2の場合と同じであり、第6磁性層9の
磁化状態は実施の形態4の場合と同じである。このため
説明は省略する。
【0124】以下、光磁気ディスクのサンプルを示す。
光磁気ディスクのサンプル#6は、前記サンプル#1の
透明誘電体層2と第1磁性層3との間に第5磁性層8を
30nm有しており、第1磁性層3と第2磁性層4との
間に第6磁性層9を40nm有しており、サンプル#1
の製法と同じ製法で作製された。
【0125】サンプル#6の第5磁性層8は実施の形態
2と同じであり、第6磁性層9は実施の形態4と同じで
ある。
【0126】サンプル#6の光磁気ディスクに対して、
Hw=32kA/m、Ph=9mW、Pl=4mW、P
r=1mW、記録ビット長=0.64μmにて記録を行
ったところ、消し残りのない光変調オーバーライトがで
き、信号対雑音比(C/N)は46.5dBと良好であ
った。サンプル#1の記録条件が、Hw=40kA/
m、Ph=10mW、Pl=6mWであることを考慮す
ると、サンプル#1よりも記録感度が向上した。これ
は、第1磁性層3と第2磁性層4との間に第6磁性層9
を挿入したことにより、光変調オーバーライトが円滑に
行われたためと考えられる。さらに、サンプル#1のC
/Nが45dBであることを考慮すると、サンプル#1
よりも信号品質が向上した。これは、Tc5>Tc1に
設定したので、カー回転角が大きくなったためと考えら
れる。
【0127】以上の第1ないし第5の実施の形態におい
て、サンプル#1〜#6の基板1としてガラスを用いた
が、これ以外にも、化学強化されたガラス、これらのガ
ラス基板上に紫外線硬化型樹脂層を形成した、いわゆる
2P層付ガラス基板、ポリカーボネイト(PC)、ポリ
メチルメタクリレート(PMMA)、アモルファスポリ
オレフィン(APO)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩
化ビフェニール(PVC)、エポキシ等の基板1を使用
することが可能である。
【0128】上記透明誘電体層2のAlNの膜厚は80
nmに限定されるものではない。透明誘電体層2の膜厚
は、光磁気ディスクを再生する際、第1磁性層3あるい
は第5磁性層8からの極カー回転角を光の干渉効果を利
用して増大させる、いわゆるカー効果エンハンスメント
を考慮して決定される。再生時のC/Nをできるだけ大
きくさせるためには、極カー回転角を大きくさせること
が必要であり、このため、透明誘電体層2の膜厚は、極
カー回転角が大きくなるように設定される。
【0129】また、透明誘電体層2は上記のカー効果エ
ンハンスメントだけでなく、保護層7とともに、第1磁
性層3〜第4磁性層6あるいは第5磁性層8、第6磁性
層9の希土類金属−遷移金属合金磁性層の酸化を防止す
る役割がある。
【0130】さらに、AlNは、Alターゲットを用い
てN2ガスもしくはArとN2との混合ガスを導入して
反応性DC(直流電源)スパッタリングを行うことが可
能であり、RF(高周波)スパッタに比べて成膜速度が
大きい点でも有利である。
【0131】AlN以外の透明誘電体層2の材料として
は、SiN、AlSiN、AlTaN、SiAlON、
TiN、TiON、BN、ZnS、TiO2、BaTi
3、SrTiO3等が好適である。このうち、特に、
SiN、AlSiN、AlTaN、TiN、BN、Zn
Sは、その成分に酸素を含まず、耐湿性に優れた光磁気
ディスクを提供することができる。
【0132】第1磁性層3〜第4磁性層6あるいは第5
磁性層8、第6磁性層9の希土類金属−遷移金属合金磁
性の材料、組成は、上記の材料、組成に限定されるもの
ではない。第1磁性層3〜第4磁性層6あるいは第5磁
性層8、第6磁性層9の材料として、Gd、Tb、D
y、Ho、Ndから選ばれた少なくとも1種の希土類金
属とFe、Coから選ばれた少なくとも1種の遷移金属
からなる合金を使用しても、同様の効果が得られる。
【0133】上記材料に、Cr、V、Nb、Mn、B
e、Ni、Ti、Pt、Rh、Cuのうち少なくとも1
種類の元素を添加すると、第1磁性層3〜第4磁性層6
あるいは第5磁性層8、第6磁性層9の自体の耐環境性
が向上する。すなわち、水分、酸素侵入による酸化によ
る特性の劣化を少なくし、長期信頼性に優れた光磁気デ
ィスクを提供することができる。
【0134】第1磁性層3〜第4磁性層6あるいは第5
磁性層8、第6磁性層9の希土類金属−遷移金属合金磁
性の膜厚は、その材料、組成との兼ね合いで決まるもの
であり、上記膜厚に限定されるものではない。
【0135】保護層7のAlNの膜厚は、本実施の形態
では80nmとしたが、これに限定するものではない。
保護層7の膜厚の範囲としては、1〜200nmが好適
である。
【0136】保護層7は、透明誘電体層2とともにその
熱伝導率が、光磁気ディスクの記録感度特性に影響を及
ぼす。記録感度特性とは、記録、あるいは消去に必要な
レーザパワーがどの程度必要かを意味する。光磁気ディ
スクに入射された光はそのほとんどが、透明誘電体層2
を通過し、吸収膜である第1磁性層3〜第4磁性層6あ
るいは第5磁性層8、第6磁性層9に吸収されて、熱に
変わる。このとき、第1磁性層3〜第4磁性層6あるい
は第5磁性層8、第6磁性層9の熱が透明誘電体層2、
保護層7に熱伝導により移動する。したがって、透明誘
電体層2、保護層7の熱伝導率および熱容量(比熱)が
記録感度に影響を及ぼす。
【0137】このことは、光磁気ディスクの記録感度を
保護層7の膜厚である程度制御できるということを意味
し、例えば、記録感度を上げる(低いレーザパワーで記
録消去が行える)目的であれば保護層7の膜厚を薄くす
れば良い。通常は、レーザ寿命を延ばすため、記録感度
はある程度高いほうが有利であり、保護層7の膜厚は薄
いほうが良い。
【0138】AlNはこの意味でも好適で、耐湿性に優
れるので、保護層7として用いた場合、膜厚を薄くする
ことができ、記録感度の高い光磁気ディスクを提供する
ことができる。本実施の形態では、保護層7を透明誘電
体層2と同じくAlNとすることで、耐湿性に優れた光
磁気ディスクを提供でき、かつ保護層7と透明誘電体層
2とを同じ材料で形成することで、生産性も向上させる
ことができる。
【0139】また、保護層7の材料としては、AlN以
外に、前述の目的、効果を考慮すれば、上述の透明誘電
体層2の材料として用いられる、SiN、AlSiN、
AlTaN、SiAlON、TiN、TiON、BN、
ZnS、TiO2、BaTiO3、SrTiO3等が好
適である。このうち、特に、SiN、AlSiN、Al
TaN、TiN、BN、ZnSは、その成分に酸素を含
まず、耐湿性に優れた光磁気ディスクを提供することが
できる。
【0140】サンプル#1〜#6の光磁気ディスクは、
一般に片面ディスクと呼ばれる。透明誘電体層2、第1
磁性層3〜第4磁性層6あるいは第5磁性層8、第6磁
性層9、保護層7の薄膜部分を総じて記録媒体層と称す
ることにすると、片面タイプの光磁気ディスクは、基板
1、記録媒体層、オーバーコート層の構造となる。
【0141】これに対して、基板1の上に記録媒体層を
形成したものを2枚、記録媒体層が対向するように接着
層で接着した光磁気ディスクは、両面タイプと呼ばれて
いる。接着層の材料はポリウレタンアクリレート系接着
剤が特に良い。この接着剤は紫外線、熱および嫌気性の
3タイプの硬化機能が組み合わされたものであり、紫外
線が透過しない記録媒体の影になる部分の硬化が、熱お
よび嫌気性硬化機能により硬化されるという利点を持っ
ており、極めて高い耐湿性を有し長期安定性に極めて優
れた光磁気ディスクを提供することができる。
【0142】片面タイプは、両面タイプと比べて素子の
厚みが半分で済むため、例えば小型化が要求される記録
再生装置に有利である。両面タイプは、両面再生が可能
なため、例えば大容量を要求される記録再生装置に有利
である。
【0143】以上の実施の形態では、光磁気記録媒体と
して光磁気ディスクを例に説明したが、光磁気テープ、
光磁気カードにも本発明を応用できる。
【0144】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の光磁気記
録媒体は、室温からキュリー点まで垂直磁化を示し、そ
れぞれキュリー点としてTc1、Tc2、Tc4を有す
る第1、第2、第4磁性層がこの順に積層されており、
Tc4以上Tc1以下で、第2磁性層の磁化の向きが交
換力によって第1磁性層へ転写されるとともに、室温以
上Tc4以下の所定の温度範囲Rで、第4磁性層の磁化
が交換力によって第2磁性層へ転写される一方、第2磁
性層の磁化は第1磁性層へ転写されない光磁気記録媒体
において、第2および第4磁性層がフェリ磁性体の希土
類遷移金属合金からなり、室温<Tc4<Tc1<Tc
2であり、遷移金属および希土類金属の各副格子磁化の
うち、一方をα、もう一方をβとすると、第2磁性層
は、Tc1以上Tc2以下でαがβより優勢であり、第
4磁性層は、室温からTc4までβがαより優勢であ
り、第2磁性層と第4磁性層との間に、室温からキュリ
ー点Tc3まで垂直磁化を示し、室温<Tc3<Tc4
であり、上記温度範囲Rが室温以上Tc3以下であり、
上記温度範囲Rで、第4磁性層の磁化が交換力によって
転写されるとともに、交換力によって磁化を第2磁性層
へ転写する第3磁性層が積層されている構成である。
【0145】それゆえ、光変調オーバーライトを可能と
しながら、工場からの出荷前や記録の前に大きな磁界あ
るいは高レーザパワーによって磁性層の磁化を一方向に
揃える必要をなくし、光磁気記録媒体やこの媒体に記録
する装置の製造コストの増大を抑えることができるとい
う効果を奏する。
【0146】また、何らかの原因で第4磁性層の磁化の
向きが乱れた場合にも、光変調オーバーライトが可能に
なるという効果を奏する。
【0147】
【0148】また、第1磁性層の材料の範囲を広くする
ことができるという効果を奏する。
【0149】請求項2記載の光磁気記録媒体は、請求項
の構成に加えて、第2磁性層では、室温で希土類金属
の副格子磁化が遷移金属の副格子磁化より優勢であり、
Tc2以下で遷移金属の副格子磁化が希土類金属の副格
子磁化より優勢であり、第4磁性層では、室温からTc
4まで希土類金属の副格子磁化が遷移金属の副格子磁化
より優勢である構成である。
【0150】それゆえ、請求項1の構成による効果に加
えて、光磁気記録媒体の材料の範囲を広げることがで
き、また、媒体に記録する装置の製造コストの増大をさ
らに抑えることができるという効果を奏する。
【0151】請求項3記載の光磁気記録媒体は、請求項
1または2の構成に加えて、第1磁性層の、第2磁性層
が形成されている側と反対の側に、第1磁性層のキュリ
ー点Tc1よりも高いキュリー点Tc5を有する第5磁
性層が積層されている構成である。
【0152】それゆえ、請求項1または2の構成による
効果に加えて、信号品質を向上することができるという
効果を奏する。
【0153】請求項4記載の光磁気記録媒体は、請求項
1ないし3のいずれかの構成に加えて、第1磁性層と第
2磁性層との間に、室温で面内磁化を示し、Tc1で
直磁化を示す第6磁性層が積層されている構成である。
【0154】それゆえ、請求項1ないし3の構成による
効果に加えて、高品位に光変調オーバーライトを行うこ
とができるという効果を奏する。
【0155】また、請求項5記載の光磁気記録方法は、
請求項1ないし4のいずれかに記載の光磁気記録媒体を
用い、Tc1以下のときの第2磁性層の保磁力より小さ
い記録磁界Hwを印加しながら、Tc1に加熱する低レ
ベルの光ビームを照射するロープロセスおよび、Tc2
以上に加熱する高レベルの光ビームを照射するハイプロ
セスを行う方法である。
【0156】それゆえ、光変調オーバーライトを可能と
しながら、工場からの出荷前や記録の前に大きな磁界あ
るいは高レーザパワーによって磁性層の磁化を一方向に
揃える必要をなくし、光磁気記録媒体やこの媒体に記録
する装置の製造コストの増大を抑えることができるとい
う効果を奏する。
【0157】また、何らかの原因で第4磁性層の磁化の
向きが乱れた場合にも、光変調オーバーライトが可能に
なるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光磁気ディスクの一構成例を示す
説明図である。
【図2】図1の光磁気ディスクにおける第1磁性層〜第
4磁性層の保磁力の温度依存性を示すグラフである。
【図3】図1の光磁気ディスクにおける記録プロセスを
説明するための、第1磁性層〜第4磁性層の各磁気状態
を表す説明図である。
【図4】本発明に係る光磁気ディスクの他の構成例を示
す説明図である。
【図5】図4の光磁気ディスクにおける第5磁性層の保
磁力の温度依存性を示すグラフである。
【図6】図4の光磁気ディスクにおける記録プロセスを
説明するための、第1磁性層〜第5磁性層の各磁気状態
を表す説明図である。
【図7】本発明に係る光磁気ディスクのさらに他の構成
例を示す説明図である。
【図8】図7の光磁気ディスクにおける第5磁性層の保
磁力の温度依存性を示すグラフである。
【図9】図7の光磁気ディスクにおける記録プロセスを
説明するための、第1磁性層〜第5磁性層の各磁気状態
を表す説明図である。
【図10】本発明に係る光磁気ディスクのさらに他の構
成例を示す説明図である。
【図11】図10の光磁気ディスクにおける第6磁性層
の保磁力の温度依存性を示すグラフである。
【図12】図10の光磁気ディスクにおける記録プロセ
スを説明するための、第1磁性層〜第4磁性層、第6磁
性層の各磁気状態を表す説明図である。
【図13】本発明に係る光磁気ディスクのさらに他の構
成例を示す説明図である。
【図14】図13の光磁気ディスクにおける第5磁性層
および第6磁性層の保磁力の温度依存性を示すグラフで
ある。
【図15】図13の光磁気ディスクにおける記録プロセ
スを説明するための、第1磁性層〜第6磁性層の各磁気
状態を表す説明図である。
【図16】従来の光磁気ディスクの構成例を示す説明図
である。
【図17】従来の光磁気ディスクにおける第1磁性層〜
第4磁性層の保磁力の温度依存性を示すグラフである。
【図18】従来の光磁気ディスクにおける記録プロセス
を説明するための、第1磁性層〜第4磁性層の各磁気状
態を表す説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 透明誘電体層 3 第1磁性層 4 第2磁性層 5 第3磁性層 6 第4磁性層 7 保護層 8 第5磁性層 9 第6磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 11/105

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】室温からキュリー点まで垂直磁化を示し、
    それぞれキュリー点としてTc1、Tc2、Tc4を有
    する第1、第2、第4磁性層がこの順に積層されてお
    り、Tc4以上Tc1以下で、第2磁性層の磁化の向き
    が交換力によって第1磁性層へ転写されるとともに、室
    温以上Tc4以下の所定の温度範囲Rで、第4磁性層の
    磁化が交換力によって第2磁性層へ転写される一方、第
    2磁性層の磁化は第1磁性層へ転写されない光磁気記録
    媒体において、 第2および第4磁性層がフェリ磁性体の希土類遷移金属
    合金からなり、 室温<Tc4<Tc1<Tc2であり、 遷移金属および希土類金属の各副格子磁化のうち、一方
    をα、もう一方をβとすると、第2磁性層は、Tc1以
    上Tc2以下でαがβより優勢であり、第4磁性層は、
    室温からTc4までβがαより優勢であり、 第2磁性層と第4磁性層との間に、 室温からキュリー点Tc3まで垂直磁化を示し、 室温<Tc3<Tc4であり、 上記温度範囲Rが室温以上Tc3以下であり、 上記温度範囲Rで、第4磁性層の磁化が交換力によって
    転写されるとともに、交換力によって磁化を第2磁性層
    へ転写する第3磁性層が積層されていることを特徴とす
    る光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】第2磁性層では、室温で希土類金属の副格
    子磁化が遷移金属の副格子磁化より優勢であり、Tc2
    以下で遷移金属の副格子磁化が希土類金属の副格子磁化
    より優勢であり、第4磁性層では、室温からTc4まで希土類金属の副格
    子磁化が遷移金属の副格子磁化より優勢であることを特
    徴とする請求項1記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】第1磁性層の、第2磁性層が形成されてい
    る側と反対の側に、第1磁性層のキュリー点Tc1より
    も高いキュリー点Tc5を有する第5磁性層が積層され
    ていることを特徴とする請求項1または2記載の光磁気
    記録媒体。
  4. 【請求項4】第1磁性層と第2磁性層との間に、室温で
    面内磁化を示し、Tc1で垂直磁化を示す第6磁性層が
    積層されていることを特徴とする請求項1ないし3のい
    ずれかに記載の光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】請求項1ないし4のいずれかに記載の光磁
    気記録媒体を用い、Tc1以下のときの第2磁性層の保
    磁力より小さい記録磁界Hwを印加しながら、Tc1に
    加熱する低レベルの光ビームを照射するロープロセスお
    よび、Tc2以上に加熱する高レベルの光ビームを照射
    するハイプロセスを行うことを特徴とする光磁気記録方
    法。
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