【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速のMOS型半導体
集積回路装置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路の高速化、低消費
電力化は、著しく進んでおり、とくにその用途の広がり
からMOS型半導体集積回路、特に、BiCMOS半導
体集積回路の重要性が益々高まりつつある。それに伴っ
て、CMOSデバイスは、微細化、低電源電圧化がすす
み、バイポ−ラトランジスタはセルフアライン技術など
を用いた微細化や寄生抵抗、寄生容量の低減と同時に、
トランジスタも従来のホモ接合を用いたBJT(Bipolar
Junction Transistor) からヘテロ接合を用いたHBT
(Hetero Bipolar Transisitor)へと移っていく方向にあ
る。従来CMOS(Complementary MOS)集積回路におけ
るMOS型電界効果トランジスタ(以下MOSトランジ
スタという)のゲート電極やバイポーラトランジスタの
外部ベース電極は、多結晶シリコンが用いられていた。
しかしながらSiGeをベース電極に利用したHBTを
バイポーラトランジスタとして用いる場合、ヘテロエピ
タキシャル成長層の歪み緩和を防止するために低温プロ
セスを採用することが必要であり、高温プロセスを必要
とする多結晶シリコンをMOSトランジスタのゲート電
極やバイポーラトランジスタの外部ベース電極に利用す
ることはプロセスの自由度に制限をうけ、またプロセス
を複雑化させるという欠点を持っている。
【0003】例えば、多結晶シリコンをゲート電極に利
用した場合の製造プロセス例を図20乃至22に示す。
半導体基板には、P型シリコン(100)半導体基板1
を用いる。半導体基板1の上には、P型エピタキシャル
成長層5が形成されている。この半導体基板1のNMO
Sトランジスタ、PMOSトランジスタやバイポ−ラト
ランジスタを形成する各領域には、深いトレンチ型素子
分離絶縁膜2および浅いトレンチ型素子分離絶縁膜3か
らなる素子分離領域を形成する。素子分離用絶縁膜2、
3は、例えば、シリコン酸化膜からなり、深いトレンチ
型素子分離絶縁膜2の中には、多結晶シリコンを埋込む
こともある。NMOS形成領域及びバイポ−ラ形成領域
のP型エピタキシャル成長層5は、いずれも、Nウエル
になっており、その下には、N+埋込み領域4を形成
し、バイポ−ラ形成領域の埋込み領域4には、半導体基
板1の表面に露出するコレクタ用N+拡散領域6に接続
させる。PMOS形成領域には、P+ソ−ス/ドレイン
領域7を形成し、これらの領域7間の領域上に多結晶シ
リコンのゲ−ト電極8を形成する。ゲ−ト電極8にはシ
リコン酸化膜のような側壁絶縁膜9が形成されており、
半導体基板1との間には、熱酸化などによるゲ−ト絶縁
膜12が形成されている。
【0004】NMOS形成領域にもN+ソ−ス/ドレイ
ン領域10を形成し、この領域10間の領域上にゲ−ト
酸化膜12を介して側壁絶縁膜9を備えた多結晶シリコ
ンのゲ−ト電極8を形成する。ゲ−ト電極8には不純物
がド−プされており、この不純物を活性化するために、
900〜1000℃程度で加熱処理をする。P+ソ−ス
/ドレイン領域7には、これらに接続してP−不純物拡
散領域11が形成されており、またN+ソ−ス/ドレイ
ン領域10には、これらに接続してN−不純物拡散領域
13が形成されていて、いずれもLDD構造を備えてい
る(図20)。つぎにMOS領域の表面をシリコン酸化
膜などの絶縁膜14で被覆してから、バイポーラ素子形
成領域にバイポ−ラトランジスタを形成する。このバイ
ポ−ラ素子形成領域上の所定の領域に、エピタキシャル
成長させた膜厚が50〜200nm程度のSiGe単結
晶のP型の内部ベ−ス領域18を形成する。この内部ベ
−ス領域18のSiGeエピタキシャル成長層は、Ge
の組成比が任意であり、実際は、Si1-xGexで表わ
される。このSiGe層が成長する基板であるP型シリ
コンエピタキシャル成長層5との格子の整合性を考慮す
るなら、xの値は、0.1〜0.2程度が適当である。
【0005】このP型内部ベ−ス領域18の上に、この
上のエミッタ形成領域の上にシリコン酸化膜など絶縁膜
16を形成してから、外部ベ−ス引出し電極17用の多
結晶シリコン膜を形成する。この多結晶シリコン膜17
のエミッタ形成領域には、開口部を設けておく。その後
多結晶シリコン膜17などを含むバイポ−ラ素子形成領
域上を絶縁膜15で被覆する(図21)。そして、絶縁
膜16をエッチングしてエミッタ領域の開口部を設け、
この部分及び絶縁膜15上にN型不純物をドープした多
結晶シリコン21を形成する。ついで、RTAによりこ
のN型不純物を拡散してP型内部ベ−ス領域18にエミ
ッタ領域を形成すると同時に、多結晶シリコン21をエ
ミッタ電極とする。その後、このエミッタ電極21表面
を覆うようにシリコン酸化膜などの絶縁膜20を形成
し、バイポ−ラトランジスタのエミッタ、ベース、コレ
クタの各領域に必要なコンタクト開口部を設け、コレク
タ用N+拡散領域6には、Alなどの配線用コレクタ電
極C、外部ベ−ス引出し電極17には、配線用ベ−ス電
極B及びエミッタ電極21には、配線用エミッタ電極E
をそれぞれ取付ける。また、MOS領域のソ−ス/ドレ
イン領域7、10にはAlなどの金属配線電極19を取
付ける(図22)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上の様に、従来のM
OS半導体集積回路装置は、ゲ−ト電極に多結晶シリコ
ンもしくは多結晶シリコンと他の導電膜との複合膜を用
いることが多かったが、図3に示すように多結晶シリコ
ンの比抵抗は比較的大きいためMOSトランジスタの高
速化には不利であった。更にバイポーラトランジスタの
外部ベース電極などに用いることも素子の高速化の障害
となるので、この利用には困難を伴っていた。また、従
来のMOS構造を含む、例えば、BiCMOS半導体集
積回路の製造プロセスにおいては、多結晶シリコン中の
不純物を活性化するために900℃から1000℃程度
の高温プロセスを必要とする。したがって、少なくとも
MOSトランジスタをバイポーラトランジスタ製造前に
形成しておくことが必要である。工程を簡略化する観点
から見た場合、このようにMOSトランジスタとバイポ
ーラトランジスタを別々に形成することは、製造プロセ
スを長くして効率が悪くなる。本発明は、以上のような
事情により成されたものであり、素子の動作速度が高速
であり、かつ、製造プロセスが効率的なMOS半導体集
積回路装置の製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、MOSトラン
ジスタのゲ−ト電極に多結晶SiGeを用いることを特
徴としている。
【0008】また、BiCMOS集積回路においてバイ
ポーラトランジスタのベースに用いるSiGeエピタキ
シャル成長層を半導体基板上の半導体層が露出した領域
に形成すると同時にゲート絶縁膜上には多結晶SiGe
をMOSトランジスタのゲート電極として形成すること
を特徴としている。
【0009】すなわち、本発明の半導体集積回路装置の
製造方法は、半導体基板のMOS型電界効果トランジス
タ形成領域上にゲ−ト絶縁膜を形成する工程と、半導体
基板全面にSiGe層を成長させ、このSiGe層の前
記ゲ−ト絶縁膜上の部分を多結晶SiGeにし、前記半
導体基板のバイポ−ラトランジスタ形成領域上の前記半
導体基板が露出している部分の前記SiGe層を単結晶
SiGeにする工程と、前記SiGe層及び前記ゲ−ト
絶縁膜を選択的にエッチングして前記MOS型電界効果
トランジスタ形成領域上にゲ−ト絶縁膜とその上の多結
晶SiGeゲ−ト電極を形成し前記バイポ−ラトランジ
スタ形成領域上の前記半導体基板が露出している部分に
単結晶SiGeベ−ス領域を形成する工程と、前記MO
S型電界効果トランジスタ形成領域にソ−ス/ドレイン
領域を形成する工程と、前記単結晶SiGeベ−ス領域
上に、これに接して多結晶SiGe層の外部ベ−ス引出
し電極を形成する工程と、前記単結晶SiGeベ−ス領
域の表面領域に不純物を拡散してエミッタ領域を形成す
る工程とを備えていることを特徴としている。
【0010】
【作用】多結晶SiGeは、多結晶シリコンと比べて、
比抵抗が低く、低温で成長させても不純物の活性化率が
高い。これをMOSトランジスタのゲート電極やバイポ
−ラトランジスタの引出し電極に用いることにより、寄
生抵抗が低減でき、トランジスタの高速化が可能にな
る。また、従来の多結晶シリコンプロセスのような高温
アニールを必要としないためMOSトランジスタとバイ
ポ−ラトランジスタを1つのプロセスで形成することが
できる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。まず、図1〜図12を参照して第1の実施例を説
明する。図1は、BiCMOS構造の半導体集積回路装
置の断面図、図2は、その部分断面図である。図3はS
iGeに含まれるGeの含有量とその比抵抗との関係を
示す特性図、図4は、多結晶SiGeの比抵抗のBイオ
ン注入量依存性を示す特性図、図5は、SiGeエピタ
キシャル成長層の臨界膜厚のGeの含有率依存性を示す
特性図、図6は多結晶SiGeの不純物活性化率とホ−
ル移動度のGe含有率依存性を示す特性図、図7〜図1
1は、図1の半導体集積回路装置の製造工程断面図、図
12は、不純物をド−プした多結晶SiGeの比抵抗の
熱処理温度依存性を示す特性図である。半導体基板に
は、P型シリコン(100)半導体基板1を用いる。半
導体基板1上には、P型シリコンエピタキシャル成長層
5が形成されている。半導体基板に形成されるPMOS
素子領域、NMOS素子領域及びバイポ−ラ素子領域な
どの領域間には深いトレンチ型素子分離絶縁膜2及び浅
いトレンチ型素子分離絶縁膜3からなる素子分離領域が
形成されている。素子分離用絶縁膜2、3は、例えば、
シリコン酸化膜からなり、深いトレンチ型素子分離絶縁
膜2の中には、多結晶シリコンを埋込むこともある。
【0012】PMOS素子領域及びバイポ−ラ素子領域
のP型エピタキシャル成長層5は、いずれも、Nウエル
になっており、その下には、N+埋込み領域4を形成
し、バイポ−ラ素子領域の埋込み領域4は、半導体基板
1の表面に露出するコレクタ用N+拡散領域6に接続し
ている。PMOS形成領域には、P+ソ−ス/ドレイン
領域7を形成し、これらの領域7間の領域上に多結晶S
iGeのゲ−ト電極23を形成する。ゲ−ト電極23に
は、シリコン酸化膜の側壁絶縁膜が形成されており、半
導体基板1との間には熱酸化法などによるゲ−ト絶縁膜
12が形成されている。NMOS形成領域にもN+ソ−
ス/ドレイン領域10を形成し、この領域10間の領域
上にゲ−ト酸化膜12を介して側壁絶縁膜を備えた多結
晶SiGeのゲ−ト電極23を形成する。ゲ−ト電極2
3には不純物がド−プされており、この不純物を活性化
するために、800℃程度で加熱処理をする。P+ソ−
ス/ドレイン領域7には、これらに接続してP−不純物
拡散領域11が形成され、N+ソ−ス/ドレイン領域1
0には、これらに接続してN−不純物拡散領域13が形
成されていて、いずれもLDD構造を備えている。
【0013】PMOS素子領域及びNMOS素子領域
は、半導体基板表面をシリコン酸化膜などの絶縁膜14
で被覆されている。一方、バイポーラ素子領域上の所定
の領域に、エピタキシャル成長させた膜厚が50〜20
0nm程度のSiGe単結晶膜18がP型内部ベ−ス領
域として形成されている。これは、MOS領域に形成さ
れたゲ−ト電極23と同じ厚さになっている。バイポ−
ラ素子領域の部分の詳細を図2の断面図に示す。この内
部ベ−ス領域18のSiGeエピタキシャル成長層は、
Geの組成比が任意であり、実際は、Si1-xGexで
表わされる。このSiGe層が成長する基板であるP型
シリコンエピタキシャル成長層5との格子の整合性を考
慮するなら、xの値は0.1〜0.2程度が適当であ
る。この値が0.1より小さいと、図3に記載されてい
るように比抵抗が大きくなり、0.2より大きいとSi
Geとシリコンの結晶格子がミスマッチしてミスフィッ
ト転位が発生し易くなる。図3は、縦軸に比抵抗(mΩ
cm)をとり、横軸にSi1-xGexで表わされるSi
Geエピタキシャル成長層のGe含有率(x)をとる。
SiGeエピタキシャル成長層厚は、300nmで、そ
の不純物濃度(ボロン)は、約1×1020cm-3であ
る。このP型内部ベ−ス領域18上には、多結晶SiG
eからなる外部ベ−ス引出し電極24が形成されてい
る。
【0014】SiGe膜の内部ベ−ス領域18は、外部
回路とのコンタクトを取り易くするためにバイポ−ラ素
子領域の露出したP型シリコンエピタキシャル成長層5
上だけでなく、浅いトレンチ型素子分離領域3にも延在
している。そして、この延在部分181は、シリコン酸
化膜のような絶縁膜の上に成長しているので、単結晶化
はせず、多結晶になっている。この多結晶SiGe部分
181を含む内部ベ−ス領域18の上に、これより厚い
多結晶SiGe膜24を設けて、これを外部ベ−ス引出
し電極とする。内部ベ−ス領域18上の単結晶部分の上
に成長した多結晶SiGe膜24は、条件によって、単
結晶化することもできるが、この実施例では、多結晶に
しておく。多結晶SiGe膜24のエミッタ形成領域に
は、コンタクト孔を設けてあり、内部ベ−ス領域18が
部分的に露出している。更に、このコンタクト孔を含め
て多結晶SiGe膜24は、シリコン酸化膜のような絶
縁膜15で被覆されており。コンタクト孔内には、N型
不純物を含む多結晶シリコン21が埋込まれており、露
出した内部ベ−ス領域の部分と接触している。そして、
この内部ベ−ス領域の多結晶シリコン21と接する部分
は、N型エミッタ領域25になっている。多結晶シリコ
ン21はエミッタ電極とする。エミッタ電極21表面
は、シリコン酸化膜などの絶縁膜20で被覆されてい
る。
【0015】バイポ−ラトランジスタのエミッタ、ベー
ス、コレクタの各領域において、コレクタ用N+拡散領
域6には、Alなどの配線用コレクタ電極C、外部ベ−
ス引出し電極24には、配線用ベ−ス電極B及びエミッ
タ電極21には、配線用エミッタ電極Eをそれぞれ取付
けている。この様に、MOS構造のゲ−ト電極23に多
結晶SiGe膜を用いた結果、図4に示すようにシリコ
ンのゲ−ト電極に比べて、その比抵抗を大きく低下させ
ることができる。図4は縦軸にSiGeエピタキシャル
成長層の比抵抗(mΩcm)をとり、横軸にSi1-xG
exで表わされるSiGeエピタキシャル成長層のボロ
ンのイオン注入量(cm-2) をとる。図示の曲線は、S
iGeエピタキシャル成長層のGe含有率(x)が0
(即ち、シリコンの単体)、0.14、0.26、0.
52の4例について説明する。このデ−タは、約900
℃、30秒程度PTAを実施した結果である。図に示す
ようにボロンのイオン注入量の増加によって、比抵抗は
低下し、Geの含有率が増すにつれて比抵抗は低くなる
傾向にある。したがって、従来の多結晶シリコンのゲ−
ト電極より低抵抗を維持することができ、高速集積回路
に適用できる。
【0016】図5は、縦軸にSiGeエピタキシャル成
長層の臨界膜厚(nm)をとり、横軸にはSi1-xGe
xで表わされるSiGeエピタキシャル成長層のGe含
有率(x)をとる。シリコンエピタキシャル成長層(x
=0の場合)は、膜厚には、それ程影響されないが、G
eの含有率が増すに連れて、エピタキシャル成長層の厚
みが増すほど無転位化が難しくなる。図の臨界曲線の下
側が無転位領域であるので、Geエピタキシャル成長層
(x=1.0の場合)は、無転位の状態でエピタキシャ
ル成長されない。これは、やはり図に示すシリコンの下
地とエピタキシャル成長層の格子非整合率(ミスフィッ
ト)が4%程度にもなるのが原因している。図6は、多
結晶SiGeにド−プされるボロン(B)などの不純物
の影響について説明したものであり、縦軸に多結晶Si
Geにド−プされたボロンの活性化率(%)とホ−ル移
動度(cm2/Vs)をとり、横軸にSi1-xGexで
表わされる多結晶SiGeのGe含有率(x)をとる。
曲線A1 は、ボロンの活性化率の変化曲線であり、曲線
A2 は、ホ−ル移動度の変化曲線である。この様にド−
プされる不純物の活性化率はGe含有率の増大によって
大きくなり、ホ−ル移動度もそれに連れて増加するの
で、トランジスタの高速化が期待できる。
【0017】次に、図7乃至図12を参照して第1の実
施例の製造方法について説明する。P型シリコン(10
0)半導体基板1にリンなどN型不純物を、例えば、イ
オン注入などでド−プしてN+領域を選択的に形成す
る。さらに、半導体基板1の上にはP型シリコンエピタ
キシャル成長層5(以下、エピタキシャル成長層とい
う)を形成し、前記N+領域を埋込んでN+埋込み領域
4を形成する。エピタキシャル成長層5の埋込み領域4
が形成されている上にはNウエルを形成する。そして、
エピタキシャル成長層5には、RIE(Reactive Ion Et
ching)などの異方性エッチングによって浅いトレンチと
深いトレンチとを形成し、酸化シリコンなどの絶縁膜を
埋込んで、半導体基板1の中に達する深いトレンチ型素
子分離絶縁膜2及び浅いトレンチ型素子分離絶縁膜3を
形成する。PMOS素子領域およびバイポ−ラ素子領域
は、Nウエルに形成され、バイポ−ラ素子領域には、エ
ピタキシャル成長層5の表面から埋込み領域4に達する
コレクタ用N+不純物拡散領域6(以下、コレクタ拡散
領域という)を形成する(図7)。ついで、例えば、シ
リコンの熱酸化などによりゲート絶縁膜12をPMOS
素子領域、NMOS素子領域及びコレクタ拡散領域6の
表面に形成し、一方バイポーラ素子領域は表面を露出さ
せる。そして、これら各領域上に非選択にSiGe混晶
層22を成長させる。
【0018】この混晶層には約1×1019cm-3の濃度
でドープされたボロンが含まれている。このときバイポ
ーラ素子領域のエピタキシャル成長層5表面が露出して
いる部分には単結晶SiGeが成長し、絶縁膜12上に
は多結晶SiGeが成長している。このSiGe成長層
22を形成するには、例えば、減圧CVD(ChemicalVap
our Deposition)を用いる。0.1〜1Torr程度の
圧力下の加熱された炉内に半導体基板を配置し、所望の
割合のジクロロシラン(SiH2Cl2)とゲルマン
(GeH4)をこの炉内にキャリアガスとともに送り込
んで、化学式がSi1-xGexで表わされるSiGe成
長層を半導体基板に堆積する。膜厚は50〜200nm
が適当である。また、圧力が10-8Torr程度の高真
空で行うUHVCVD(Ultra High Vacuum CVD)で行う
こともできる(図8)。このSiGe成長層22には、
前述のようにボロンが高濃度に拡散されているが、これ
はボロンをイオン注入などでド−プし、熱処理により得
ている。別の方法では、SiGe成長時にB2H6を流
してこの成長層にボロンをド−プすることもできる。図
12は、多結晶SiGeの比抵抗の熱処理温度依存性を
表わしており、縦軸は、ボロンを拡散した多結晶SiG
eの比抵抗値を表わし、横軸にボロンを拡散するための
熱処理温度を表わしている。図に示すごとく多結晶シリ
コン(x=0)より低温で熱処理を行なっても比抵抗値
を低下させる事ができるので、この熱処理温度を800
℃程度以下に設定することが可能になる。
【0019】ついで、半導体基板全面に形成されたSi
Ge混晶層22をフォトリソグラフィ技術を用いて加工
し、NMOS素子領域及びPMOS素子領域のゲ−ト電
極23、バイポ−ラ素子領域の内部ベース領域18を形
成する。両MOS素子領域にはこのゲート電極23をマ
スクにしてLDD用P−拡散領域11及びN−拡散領域
11をそれぞれPMOSトランジスタ、NMOSトラン
ジスタのソース、ドレイン形成領域に形成する。内部ベ
−ス領域18の浅いトレンチ型素子分離絶縁膜3に形成
された部分は、多結晶領域181(図2参照)になって
いる(図9)。ついで、例えば、シリコン酸化膜やシリ
コン窒化膜などの絶縁膜を半導体基板の全面に堆積後、
エッチバックを行って両MOS素子領域上のゲート電極
23の側壁に酸化膜を形成する。そしてこの側壁を形成
したゲ−ト電極23をマスクとして半導体基板1上のエ
ピタキシャル成長層5に不純物を、例えば、イオン注入
によりド−プし、熱拡散を行って、PMOS素子領域の
P型ソース/ドレイン領域7及びNMOS素子領域のN
型ソ−ス/ドレイン領域10形成する。その後両MOS
素子領域上にシリコン酸化膜などの絶縁膜14及びバイ
ポーラ内部ベース領域上のシリコン酸化膜などの絶縁膜
16を同じ工程で形成する(図10)。
【0020】ついで、バイポ−ラ素子領域の内部ベ−ス
領域18上及びこの上の絶縁膜16上に、この領域より
膜厚の多結晶SiGe膜24を前述の減圧CVD法によ
り形成し、これを外部ベ−ス引出し電極とする。この多
結晶SiGe膜24にコンタクト孔を設けて絶縁膜16
を露出させ、その後SiGe膜表面をシリコン酸化膜や
シリコン窒化膜などの絶縁膜15で被覆する(図1
1)。ついで露出している絶縁膜16をエッチング除去
して内部ベ−ス領域18のエミッタ形成領域を開口し、
このコンタクト孔にN型不純物を高濃度にドープした多
結晶シリコン21をエミッタ電極としてエミッタ形成領
域上に形成する。その後RTAにより多結晶シリコン2
1のN型不純物を内部ベ−ス領域18に拡散し、ここに
エミッタ領域25を形成する。その後、エミッタ電極表
面を覆うようにシリコン酸化膜や窒化膜などの絶縁膜2
0を形成する。そしてソ−ス/ドレイン領域7、10、
外部ベ−ス引出し電極24、コレクタ拡散領域6及びエ
ミッタ電極21を被覆している絶縁膜にコンタクト孔を
形成して、NPNバイポ−ラトランジスタにエミッタ配
線電極E、ベース配線電極B、コレクタ配線電極C及び
MOSトランジスタのソース/ドレイン領域7、10に
配線電極19を形成する(図1参照)。
【0021】以上NPNバイポ−ラトランジスタの内部
ベースとMOSトランジスタのゲート電極を同時にSi
Ge混晶で形成する例を示したが、もちろんPNPバイ
ポ−ラトランジスタの内部ベースとMOSトランジスタ
のゲート電極を同時にSiGe混晶で形成しても良い。
この場合、ゲート電極に用いる多結晶SiGeにはN型
不純物がドープされている。次に、図13乃至図18を
参照して参考例を説明する。図13は多結晶SiGe膜
のシ−ト抵抗のSiGe膜厚依存性を示す特性図であ
り、縦軸が多結晶SiGe膜のシ−ト抵抗で、横軸が多
結晶SiGe膜厚を示す。図に示すように、シ−ト抵抗
は、膜厚が一定の場合、ボロンなどの不純物の濃度が高
くなると小さくなる。直線D1 は、ボロン濃度が1×1
019cm-3の多結晶SiGe膜、直線D2 は、ボロン濃
度が1×1020cm-3の多結晶SiGe膜及び直線D3
は、ボロン濃度が1×1021cm-3の多結晶SiGe膜
の特性をそれぞれ示している。また、膜厚が薄くなると
このシ−ト抵抗は大きくなる。前実施例ではMOSトラ
ンジスタのゲ−ト電極とバイポ−ラトランジスタの内部
ゲ−ト電極を同じ材料で形成し、その製造工程を簡略化
している。しかし、ゲ−ト電極は、その膜厚が薄いと図
示の様にゲ−ト抵抗が高くなるので、薄くするとMOS
トランジスタの性能が低下する。
【0022】一方、バイポ−ラトランジスタは、ベ−ス
幅(すなわち、この実施例の内部ベ−ス領域18の膜
厚)の2乗に比例して高速動作が実施される。つまり膜
厚が薄いほど高速化がはかれるので有利になっている。
この様に、厚さに関して相反する影響を受けるので、前
実施例のように同じSiGe膜を用いることは、どちら
かがその犠牲になって好ましくない。そこで、この実施
例では、同じSiGeを材料にするゲ−ト電極及び内部
ベ−ス領域であっても異なる成長膜を用いてこの問題を
解決している。まず、ここで用いる基板及び素子分離構
造は、前実施例と全く同じものであるので、図7まで
は、共通の図で説明される。内部ベース用SiGe成長
層18をバイポーラ素子領域に形成する。このSiGe
成長層18は半導体基板上では、単結晶になっている
が、浅いトレンチ型素子分離絶縁膜3の上にある部分
は、多結晶になっている。このときの膜厚および不純物
濃度は、第1の実施例と同様である(図14)。その
後、ゲート絶縁膜12を半導体基板のNMOS領域とP
MOS領域上に形成し、内部ベース保護用絶縁膜16を
内部ベ−ス領域18上及びコレクタ拡散領域6上に形成
する。
【0023】つぎに、この内部ベース用SiGe成長層
18と接触するように、その上にP型不純物を1×10
20cm-3以上含む多結晶SiGe層26を半導体基板全
面に成長層18より膜厚に成長させる(図15)。この
多結晶SiGe層26は、フォトリソグラフィ技術を用
いてパタ−ニングされ、NMOSトランジスタ及びPM
OSトランジスタのゲート電極27とバイポーラトラン
ジスタの外部ベース引出し電極24が形成される。その
後、前記実施例と同様な方法で両MOSトランジスタの
ソ−ス/ドレイン領域7、10にN−領域11、13を
取付けてLDD構造を形成する。また、ゲ−ト電極の側
壁には、例えば、シリコン酸化膜や窒化膜などの絶縁膜
9を形成する。外部ベ−ス引出し電極24には、エミッ
タに対するコンタクト孔を形成して絶縁膜16を露出さ
せる(図16)。その後、MOS領域にシリコン酸化膜
などの絶縁膜14及びコンタクト孔を含む外部ベ−ス引
出し電極24表面にシリコン酸化膜などの絶縁膜15を
形成する(図17)。ついで露出している絶縁膜16を
エッチング除去して内部ベ−ス領域18のエミッタ形成
領域を開口し、このコンタクト孔にN型不純物を高濃度
にドープした多結晶シリコン21をエミッタ電極として
エミッタ形成領域上に形成する。その後RTAにより多
結晶シリコン21のN型不純物を内部ベ−ス領域18に
拡散しここにエミッタ領域25を形成する(図2参
照)。
【0024】以上NPNバイポ−ラトランジスタの内部
ベースとMOSトランジスタのゲート電極を同時にSi
Ge混晶で形成する例を示したが、もちろんPNPバイ
ポ−ラトランジスタの内部ベースとMOSトランジスタ
のゲート電極を同時にSiGe混晶で形成しても良い。
この場合、ゲート電極に用いる多結晶SiGeにはN型
不純物がドープされている。次に、図13乃至図18を
参照して参考例を説明する。図13は多結晶SiGe膜
のシ−ト抵抗のSiGe膜厚依存性を示す特性図であ
り、縦軸が多結晶SiGe膜のシ−ト抵抗で、横軸が多
結晶SiGe膜厚を示す。図に示すように、シ−ト抵抗
は、膜厚が一定の場合、ボロンなどの不純物の濃度が高
くなると小さくなる。直線D1 は、ボロン濃度が1×1
019cm-3の多結晶SiGe膜、直線D2 は、ボロン濃
度が1×1020cm-3の多結晶SiGe膜及び直線D3
は、ボロン濃度が1×1021cm-3の多結晶SiGe膜
の特性をそれぞれ示している。また、膜厚が薄くなると
このシ−ト抵抗は大きくなる。前実施例ではMOSトラ
ンジスタのゲ−ト電極とバイポ−ラトランジスタの内部
ゲ−ト電極を同じ材料で形成し、その製造工程を簡略化
している。しかし、ゲ−ト電極は、その膜厚が薄いと図
示の様にゲ−ト抵抗が高くなるので、薄くするとMOS
トランジスタの性能が低下する。
【0025】Pウエルには、ソ−ス/ドレイン領域10
とLDD構造のN−拡散領域13が形成されたNMOS
トランジスタを形成し、Nウエルには、ソ−ス/ドレイ
ン領域7とLDD構造のN−拡散領域11が形成された
PMOSトランジスタを形成する。この半導体集積回路
装置に用いられる抵抗は、例えば、LOCOS法による
素子絶縁膜28の上に形成される。そして、材料には、
ゲ−ト電極23と同じ多結晶SiGeを用いる。そし
て、抵抗とゲ−ト電極とは同じ成長層をパタ−ニングし
て形成される。勿論この半導体集積回路装置にバイポ−
ラトランジスタを内蔵する場合には、内部ベ−ス領域を
ゲ−ト電極や抵抗と同じ成長層からなる単結晶SiGe
層を利用し、外部ベ−ス引出し電極には、多結晶SiG
e層を用いることができる。この半導体基板1表面は、
シリコン酸化膜などからなる絶縁膜31で被覆する。そ
してこの絶縁膜31にコンタクト孔を設けてソ−ス/ド
レイン領域7、10にAlなどからなる配線電極19、
抵抗30に接続するAlなどからなる配線電極32を形
成する。抵抗の抵抗値を必要に応じて高精度に低くする
ことができる。多結晶SiGeは、多結晶シリコンと比
べて比抵抗が1/2〜1/4と低い。
【0026】以上、実施例において説明したMOSトラ
ンジスタは、いずれもゲ−ト電極に多結晶SiGeを用
いているが、この多結晶SiGe膜にWやTiのような
高融点金属などのシリサイド膜を積層して抵抗値を調整
した複合膜をゲ−ト電極とする事もできる。抵抗値を更
に下げることができるので、高速動作を高めた半導体集
積回路装置を形成することができる。
【0027】
【発明の効果】以上のような構成により、多結晶SiG
eは、多結晶シリコンと比べて、低温で成長させても不
純物の活性化率が高く比抵抗も低い。そして、SiGe
成長層をMOSトランジスタのゲート電極やバイポ−ラ
トランジスタのベ−ス引出し電極に用いることにより、
寄生抵抗が低減でき、半導体集積回路装置の高速化が可
能になる。また、従来の多結晶シリコンプロセスのよう
な高温アニールを必要としないので、プロセスの自由度
が広がると同時に半導体集積回路装置の製造プロセスを
短縮化できる。
【図面の簡単な説明】【図1】本発明の第1の実施例の半導体集積回路装置の
断面図。
【図2】図1の半導体集積回路装置の拡大部分断面図。
【図3】本発明のSiGe成長層の比抵抗のGe含有率
依存性を示す特性図。
【図4】本発明のSiGe成長層の比抵抗の不純物量依
存性を示す特性図。
【図5】本発明のSiGe成長層の臨界膜厚のGe含有
率依存性およびミスフィット率を示す特性図。
【図6】本発明のSiGe成長層の不純物活性化率及び
ホ−ル易動度のGe含有率依存性を示す特性図。
【図7】第1の実施例の半導体集積回路装置の製造工程
断面図。
【図8】第1の実施例の半導体集積回路装置の製造工程
断面図。
【図9】第1の実施例の半導体集積回路装置の製造工程
断面図。
【図10】第1の実施例の半導体集積回路装置の製造工
程断面図。
【図11】第1の実施例の半導体集積回路装置の製造工
程断面図。
【図12】本発明のSiGe成長層の比抵抗の熱処理温
度依存性を示す特性図。
【図13】本発明の多結晶SiGe層のシ−ト抵抗の多
結晶SiGe膜厚依存性を示す特性図。
【図14】参考例の半導体集積回路装置の製造工程断面
図。
【図15】参考例の半導体集積回路装置の製造工程断面
図。
【図16】参考例の半導体集積回路装置の製造工程断面
図。
【図17】参考例の半導体集積回路装置の製造工程断面
図。
【図18】参考例の半導体集積回路装置の断面図。
【図19】参考例の半導体集積回路装置の断面図。
【図20】従来の半導体集積回路装置の製造工程断面
図。
【図21】従来の半導体集積回路装置の製造工程断面
図。
【図22】従来の半導体集積回路装置の断面図。
【符号の説明】 1 シリコン半導体基板 2 深いトレンチ型素子分離絶縁膜 3 浅いトレンチ型素子分離絶縁膜 4 N+埋込み領域 5 P型エピタキシャル成長層 6 コレクタ拡散領域 7 P+ソ−ス/ドレイン領域 8 ゲート電極 9 側壁絶縁膜 10 N+ソ−ス/ドレイン領域 11 P−拡散領域 12 ゲート絶縁膜 13 N−拡散領域 14、15、16、20、31 絶縁膜 17 外部ベース引出し電極 18 SiGe内部ベース領域 19、32 金属配線電極 21 エミッタ電極(多結晶シリコ
ン) 22、26 SiGe成長層 23、27 ゲ−ト電極(多結晶SiG
e) 24 外部ベ−ス引出し電極 25 エミッタ領域 28 LOCOS型素子分離絶縁膜 30 SiGe抵抗