以下、添付図面を参照しながら、本開示の好ましい実施態様について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、便宜上、本開示の特徴を分かりやすくするために要部を強調して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じとは限らない。
  図1は、本開示の第1の実施態様によるコイル部品の構成を示す略平面図である。また図2は、図1のX-X線に沿ったコイル部品の略断面図である。
  図1及び図2に示すように、コイル部品1は、基板10と、基板10上に設けられた第1コイル11と、平面視で第1コイル11と重なるように基板10上に設けられた第2コイル12とを備えている。図示のコイル部品1は第1コイル11の上方に第2コイル12が設けられた構成であるが、第1コイル11の下方に第2コイル12が設けられてもよい。
  基板10はPET(ポリエチレンテレフタレート)などの薄い樹脂基板からなり、第1コイル11を支持する第1シート10Aと、第2コイル12を支持する第2シート10Bと、第1シート10Aと第2シート10Bとの間に設けられた接着層10Cとの積層体からなる。第2コイル12と共に第2シート10Bの上面を覆う第3シートがさらに設けられていてもよい。第1シート10Aは接着層10Cを介して第2シート10Bに貼り付けられており、第1コイル11及び第2コイル12は第2シート10B及び接着層10Cによって互いに絶縁分離されている。基板10の平面サイズは、例えば100mm×70mmとすることができる。
  第1コイル11は受電コイル(不図示)に電力を非接触供給する給電コイルとしての役割を果たす。第1コイル11は第1シート10A上に設けられた平面スパイラル導体パターンである。第1コイル11の配線パターンの線幅は250~400μm、隣接する配線パターン間のスペース幅は85~100μmであってもよい。第1コイル11の配線パターンの厚さt1は105~150μmであってもよい。なお、第1コイル11は、銅やアルミニウムなどから構成される導線を巻回させて構成しても構わない。
  第1コイル11は、長方形の基板10内においてできるだけ大きなループが形成されるように略矩形状に形成されている。そのため、第1コイル11の平面形状は略長方形であり、その長手方向は基板10の長手方向(X方向)と平行である。第1コイル11の最外周ターンは基板10のエッジにできるだけ近づけて配置されている。これにより第1コイル11の開口サイズを大きくすることができ、広い充電エリアを確保することができる。
  第2コイル12は第1コイル11と受電コイルとの磁気結合度を高める中継コイル(補助コイル)としての役割を果たす。第2コイル12は第2シート10B上に設けられた平面スパイラル導体パターンである。第1コイル11と同様、第2コイル12の配線パターンの線幅は250~400μm、配線間のスペース幅は85~100μmであってもよい。また第2コイル12の配線パターンの厚さは35~100μmであってもよい。なお、第2コイル12は、銅やアルミニウムなどから構成される導線を巻回させて構成しても構わない。
  第2コイル12は第1コイル11の中心部に配置されている。通常、コイルの内側の磁束密度分布は、コイルの内周エッジ近傍で最も大きく、内周エッジから遠ざかるほど小さくなる。上記のように第1コイル11の開口サイズを大きくすると、充電エリアを広くすることができるが、第1コイル11の中心部の磁場が弱くなる。しかし、第2コイル12を第1コイル11の中心部に配置した場合には、第2コイル12の作用によって第1コイル11の中心部の磁場を増強することができる。
  第2コイル12の配線パターンの厚さt2は第1コイル11よりも小さくてもよい。或いは、第2コイル12の配線パターンの厚さt2は第1コイル11の厚さの1/4以下であってもよい。第2コイル12は補助的なものであるため薄くしても特性的に許容でき、これによりコイル部品1の薄型化に貢献することができる。
  第2コイル12は基板10の略中央に配置されており、第2コイル12の中心は第1コイル11の中心とほぼ一致している。第2コイル12の平面形状も略長方形であるが、その長手方向は基板10の長手方向(X方向)と直交している。すなわち、第2コイル12の長手方向は基板10の短手方向(Y方向)と平行であり、第1コイル11の長手方向は第2コイル12の長手方向と直交している。なお第1コイル11の長手方向は、第2コイル12の長手方向に対して厳密に90°である必要はなく、少なくとも製造ばらつきにより生じる角度の誤差は直交の範囲内に含まれる。
  第2コイル12の外形サイズは第1コイル11の外形サイズよりも小さく、第2コイル12は第1コイル11の形成領域内に収まっている。そのため、X方向の任意の位置において、第2コイル12の外形のY方向の幅は、X方向の同じ比較位置における第1コイル11の外形のY方向の幅よりも狭い。さらに、Y方向の任意の位置において、第2コイル12の外形のX方向の幅は、Y方向の同じ比較位置における第1コイル11の外形のX方向の幅よりも十分に小さい。なお、ここで言うコイルの外形サイズとは、コイルの最外周ターンで画定されるサイズである。
  第1コイル11及び第2コイル12がこのような位置関係を有することにより、第1コイル11の開口部11aは、第2コイル12の開口部12aと重なる開口重複領域11a1と、第1コイル11の長手方向(X方向)において第2コイル12の左右両側にそれぞれ位置し、第2コイル12と重ならない開口非重複領域11a2、11a3を有する。
  第2コイル12の最内周ターンから最外周ターンまでの径方向(パターン形成領域)の幅WFは第1コイル11の最内周ターンから最外周ターンまでの径方向(パターン形成領域)の幅WEより小さくてもよい。これにより、第1コイル11の中央付近に配置された受電コイルと当該第1コイル11との間の結合係数の向上を図りつつ、充電エリアにおけるデッドポイントを抑制することができる。
  本実施態様において、第2コイル12の開口部12aの長手方向(Y方向)の幅WBは、第1コイル11の開口部11aの短手方向(Y方向)の幅WAより小さくてもよい。第2コイル12の開口部12aが第1コイル11のパターン形成領域と重複しないことで、第2コイル12による磁気結合の改善効果が期待できる領域を無駄にすることなく、第1コイル11の中央部における受電コイルとの磁気結合を高めることができる。
  図3は、コイル部品1を含むワイヤレス電力伝送デバイス100の構成を示す略ブロック図である。
  図3に示すように、本実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイス100は、第1コイル11及び第2コイル12を有するコイル部品1と、コイル部品1の第1コイル11に接続された送電回路2と、第2コイル12に接続された整合回路3とを備えている。
  送電回路2はコイル部品1の第1コイル11に接続されており、第1コイル11に電力伝送用の駆動電力を供給する。送電回路2から供給される交流電力の周波数は、第1コイル11の共振周波数又は共振周波数近傍の周波数に設定されている。
  整合回路3はコイル部品1の第2コイル12に接続されており、第2コイル12と共に構成されるLC共振回路の共振周波数を調整するために設けられている。第2コイル12に接続された整合回路3は閉ループ回路を構成しており、送電回路2には接続されていない。第2コイル12は第1コイル11の磁束を受けて動作する補助コイルであり、第2コイル12には送電回路2からの電力は直接供給されない。
  図4(a)及び(b)は、整合回路3の構成例を示す回路図である。
  図4(a)に示す整合回路3は、第2コイル12に直列接続された第1キャパシタC1と、第1キャパシタC1に並列接続された第2キャパシタC2と、第1キャパシタC1のオンオフ状態を制御する第1スイッチSW1と、第2キャパシタC2のオンオフ状態を制御する第2スイッチSW2とを備えている。また、第2コイル12は、インダクタンスL及び寄生抵抗R1を含む。第1キャパシタC1は第1スイッチSW1を介して第2コイル12に直列接続されており、第2キャパシタC2は第2スイッチSW2を介して第2コイル12に直列接続されている。このように、第2コイル12は、整合回路3の第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2と共にLC共振回路を構成している。
  図4(b)に示す整合回路3は、第1キャパシタC1と第2キャパシタC2の並列回路に第3キャパシタC3が直接接続された構成を有している。そのため、第2コイル12は、整合回路3の第1キャパシタC1、第2キャパシタC2及び第3キャパシタC3と共にLC共振回路を構成している。その他の構成は図4(a)の整合回路3と同じである。
  図4(a)及び(b)の整合回路3において、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を切り替えると、LC共振回路のキャパシタンスが変化する。第1スイッチSW1をオンにしたときと、第2スイッチSW2をオンにしたときでLC共振回路の共振周波数を変化させることができる。このように、第2コイル12に対する第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の接続状態を変化させることでLC共振回路の共振周波数を変化させることができ、これにより第2コイル12に流れる電流位相を変化させることができる。
  本実施態様によるワイヤレス電力伝送デバイス100は、第1コイル11に対する受電コイルの位置ずれの程度に応じて第2コイル12を含むLC共振回路の共振状態を変化させることを特徴とする。以下、ワイヤレス電力伝送デバイス100の動作について詳細に説明する。
  図5(a)及び(b)は、受電コイル21が第1コイル11の中心付近にあるときのワイヤレス電力伝送デバイス100の動作説明図である。また、図6(a)及び(b)は、受電コイル21が第1コイル11の中心から外れた位置にあるときのワイヤレス電力伝送デバイス100の動作説明図である。
  図5(a)に示すように、受電コイル21が第1コイル11の中心付近にあるときには、第2コイル12に流れる電流I2の位相が第1コイル11に流れる電流I1と同相となるように、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御する。これにより、図5(b)に示すように第2コイル12に流れる電流I2の向きが第1コイル11に流れる電流I1の向きと同じになり、第2コイル12から発生する磁束の向きは第1コイル11から発生する磁束の向きと同じになるので、第1コイル11の中心付近の磁束密度は大きくなる。したがって、第1コイル11の中心付近に配置された受電コイル21に対して電力を効率よく供給することができる。
  一方、図6(a)に示すように、受電コイル21が第1コイル11の中心から外れた位置にあるときには、第2コイル12に流れる電流I2の位相が第1コイル11に流れる電流I1と逆相となるように、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を制御する。これにより、図6(b)に示すように第2コイル12に流れる電流I2の向きが第1コイル11に流れる電流のI1の向きと逆になり、第2コイル12から発生する磁束の向きは第1コイル11から発生する磁束の向きと逆になるので、第1コイル11の中心付近の磁束密度は小さくなる。
  これに対し、第2コイル12のX方向の両側においては、第1コイル11の一部と第2コイル12の一部の組み合わせによる電流ループI3が形成され、第1コイル11の長手方向の両端部の磁束密度が大きくなる。このように、第1コイル11と第2コイル12の電流位相差を大きくした場合には、たとえ第1コイル11の中心部に第2コイル12が設けられていたとしても、第1コイル11の長手方向の両端部に磁束を集中させることができる。したがって、第1コイル11の中心から外れた配置された受電コイル21に対して電力を効率よく供給することができる。
  第2コイル12に接続されるキャパシタの容量は、例えば、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2を実際に切り替えたときの受電コイル21側の受電レベルに基づいて決定することができる。すなわち、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のオンオフ状態の組み合わせを試した中で、受電コイル21の受電レベルが最大となったときのキャパシタの容量を採用することができる。ワイヤレス電力伝送システムのQi規格では送電側と受電側との間でデータを送受信する機能を有するので、この通信機能を利用して、受電装置側の受電レベルを送電側にフィードバックすることができる。
  以上説明したように、本実施態様によるコイル部品1は、送電コイルとして機能する第1コイル11と、中継コイルとして機能する第2コイル12を有し、第1コイル11の長手方向は第2コイル12の長手方向と直交しており、第1コイル11の開口部11aは、第2コイル12の開口部12aと重なる開口重複領域11a1と、開口重複領域11a1から見て第1コイル11の長手方向の両側に位置し第2コイル12と重ならない開口非重複領域11a2、11a3を有する。この構成によれば、第1コイル11の開口サイズを広げたときに生じる第1コイル11の中央部の磁界強度の低下を補うように第2コイル12を配置することができる。したがって、広い充電エリアを確保しつつ、第1コイル11と受電コイル21との間の磁気結合度を向上させることができる。
  また本実施態様によるコイル部品1は、第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2と、第2コイル12と第1キャパシタC1との接続状態を切り替える第1スイッチSW1と、第2コイル12と第2キャパシタC2との接続状態を切り替える第2スイッチSW2をさらに有し、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2は第1コイル11と第2コイル12との間の電流位相差がゼロ又はゼロに極めて近い第1状態と、第1コイル11と第2コイル12との間の電流位相差が180度となる第2状態との間で第2コイル12に接続される第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2の接続状態を切り替えるので、受電コイルの位置に合わせて適切な電力供給を行うことができる。
  図7は、本開示の第2の実施態様によるコイル部品の構成を示す略平面図である。
  図7に示すように、このコイル部品1の特徴は、第2コイル12がより丸みを帯びた外形を有する点にある。すなわち、第2コイル12は長円形状を有し、そのコーナー部の曲率半径は、第1コイル11のコーナー部の曲率半径よりも大きい。その他の構成は第1の実施態様と同様である。
  長方形の基板10上の限られた領域内で第1コイル11の開口サイズをできるだけ広げるためには、第1コイル11のコーナー部を角張らせる必要があるが、受電コイル21に円形コイル(図5(a)、図6(a)参照)を使用する場合、第2コイル12が丸みを帯びた形状としたほうが受電コイル21との相性がよく、第2コイル12と受電コイル21との間の磁場分布を整合させることができる。すなわち、第2コイル12のコーナー部の曲率半径を第1コイル11のコーナー部よりも大きくし、より丸みを帯びた形状にする場合には、第2コイル12を介して第1コイル11と受電コイル21との間の結合係数を向上させることができる。
  第1コイル11と円形の受電コイル21との結合度を高めるためには、第2コイル12の形状はできるだけ円形に近いほうがよく、第2コイル12の長手方向の両端部のコーナー部は半円形状であってもよい。第2コイル12の形状をできるだけ円形に近づけることにより、第2コイル12と受電コイル21との磁気結合が強くなるため、受電効率を高めることができる。
  図8は、本開示の第3の実施態様によるコイル部品の構成を示す略平面図である。
  図8に示すように、このコイル部品1の特徴は、第1コイル11の長手方向(X方向)の中央部のパターン形成領域が外側に張り出している点にある。すなわち、第1コイル11の長手方向の中央部には当該第1コイル11の長手方向の両端部よりも短手方向(Y方向)の幅を拡大させた拡大部11dが設けられている。そのため、開口重複領域11a1における第1コイル11の短手方向(Y方向)の外径幅WG'は、開口非重複領域11a2、11a3における第1コイル11の短手方向(Y方向)の外径幅WGよりも大きい。また開口重複領域11a1における第1コイル11の開口部11aの短手方向(Y方向)の幅WA'は、開口非重複領域11a2、11a3における第1コイル11の開口部11aの短手方向(Y方向)の幅WAよりも大きい。その他の構成は第2の実施態様と同様である。
  本実施態様において、第2コイル12の開口部12aの長手方向(Y方向)の幅WBは、開口非重複領域11a2、11a3における第1コイル11の開口部11aの短手方向(Y方向)の幅WAよりも大きく、開口重複領域11a1における第1コイル11の開口部11aの短手方向(Y方向)の幅WA'よりも小さくてもよい。すなわち、開口重複領域11a1のY方向の幅は、開口非重複領域11a2、11a3のY方向の幅よりも大きくてもよい。これにより、第2コイル12の開口サイズを広げて受電効率を向上させることができる。なお、第2コイル12についてはその輪郭だけが示されている。
  第1コイル11の拡大部11dの長手方向(X方向)の幅WDは、第2コイル12の短手方向(X方向)の幅WCよりも小さくてもよい。第1コイル11がこのような形状を有することにより、第1コイル11の中央部において第1コイル11と受電コイルとの間の結合係数を高めつつ、充電エリアをさらに広げることができる。
  第1コイル11の拡大部11dのY方向の拡大幅WHは、0.1mm以上5mm以下であってもよい。拡大部11dの拡大幅WHが0.1mmよりも小さい場合には充電エリアの拡大効果がほとんど得られないからであり、5mmよりも大きい場合には充電エリアが広くなりすぎることで第1コイル11の中心部での受電効率が低下するおそれがある。
  第1コイル11の中央部に第2コイル12を設けた場合、第1コイル11の中央部の磁場が増強されるため、第1コイル11の長手方向(X方向)の中央部において短手方向(Y方向)の幅を多少広げても第1コイル11と受電コイルとの間の結合係数は低下しない。したがって、本実施態様によれば、第2の実施態様の効果に加えて、充電エリアのさらなる拡大を図ることができる。
  以上、本開示の好ましい実施態様について説明したが、本開示は、上記の実施態様に限定されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
  例えば、上記の実施態様においては、第2コイル12の電流位相を制御する整合回路3が第1キャパシタC1及び第2キャパシタC2を備え、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2で切り替えることで第1コイル11に対する第2コイル12の電流位相差を変更しているが、整合回路3の構成は特に限定されず、種々の回路構成を採用することができる。また上記実施態様ではスイッチを切り替えて第1コイル11と第2コイル12との電流位相差を第1状態のときにはゼロとし、第2状態のときには180度としているが、必ずしも電流位相差を180度変化させる必要はない。すなわち、第1状態は、第1コイル11に流れる電流位相と第2コイル12に流れる電流位相との位相差が第2状態よりも小さければよい。
  また、第1コイル11及び第2コイル12を基板10上に設けられた平面スパイラル導体パターンで構成する場合、導体パターンと基板10との間に導電性樹脂などの他の部材を介して設けられていてもよい。
  本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
  本開示によるコイル部品は、平面形状が長手方向を有する第1コイルと、平面形状が長手方向を有し、前記第1コイルから絶縁分離された第2コイルを有し、前記第1コイルの長手方向は前記第2コイルの長手方向と直交しており、前記第1コイルの開口部は、前記第2コイルの開口部と重なる開口重複領域と、前記第1コイルの長手方向において前記第2コイルの両側に位置し前記第2コイルと重ならない開口非重複領域を有する。本開示によれば、第1コイルの中央の結合が弱い部分を補うように第2コイルを配置することができる。
  本開示によるコイル部品は、複数のキャパシタと、前記第2コイルと前記複数のキャパシタとの接続を切り替えるスイッチをさらに有し、前記スイッチは、第1状態と、前記第1状態よりも前記第2コイルに接続されるキャパシタ容量が多い第2状態を切り替え、前記第1状態は、前記第1コイルに流れる電流位相と前記第2コイルに流れる電流位相との位相差が前記第2状態よりも小さくてもよい。第1コイルと第2コイルの電流位相差が小さい第1状態を採用した場合には、第1コイルと当該第1コイルの中央部に置かれた受電コイルとの間の結合係数を高めることができる。また、第1コイルと第2コイルの電流位相差が大きい第2状態を採用した場合には、第2コイルの両側に電流ループが形成され、第1コイルの長手方向の両端部において受電コイルとの間の磁気結合が強まるので、第1コイルと当該第1コイルの中央部からずれた位置に置かれた受電コイルとの間の結合係数を高めることができる。さらに、第2コイルは電流量が多いため、スイッチの切り替えによるキャパシタの寄生抵抗の変化の影響を小さくすることができる。
  本開示において、前記開口重複領域における前記第1コイルの短手方向の幅(WA')は、前記開口非重複領域における前記第1コイルの短手方向の幅(WA)よりも大きくてもよい。これにより、第1コイルと当該第1コイルの中央部に置かれた受電コイルとの間の磁気結合の向上を図りつつ、充電エリアを拡大することができる。
  本開示において、前記第2コイルの最内周ターンから最外周ターンまでの径方向の幅(WF)は、前記第1コイルの最内周ターンから最外周ターンまでの径方向の幅(WE)よりも小さくてもよい。第2コイルのパターン形成領域の幅を小さくすることで充電エリア内のデッドポイントを抑制することができる。
  本開示において、前記第2コイルの開口部の長手方向の幅(WB)は、前記第1コイルの開口部の短手方向の幅(WA)よりも小さくてもよい。第2コイルの開口部が第1コイルのパターン形成領域と重ならないことにより、第2コイルによる磁気結合の改善効果が期待される領域を無駄にすることなく、第1コイルの中央部の磁気結合を高めることができる。
  本開示において、前記第1コイルの長手方向の中央部には当該第1コイルの短手方向の幅を拡大させた拡大部が設けられており、前記第2コイルの短手方向の外形幅(WC)は、前記第1コイルの長手方向に沿った前記拡大部の幅(WD)よりも大きくてもよい。これにより、第1コイルの中央部における磁気結合をさらに高めることができる。
  本開示において、前記第2コイルの厚さ(t2)は、前記第1コイルの厚さ(t2)よりも小さくてもよい。これにより、電力伝送特性を低下させることなく、コイル部品の薄型化を図ることができる。
  本開示において、前記第2コイルの厚さ(t2)は、前記第1コイルの厚さ(t1)の1/4以下であってもよい。これにより、コイル部品をより薄型化できる。
  本開示において、前記第2コイルのコーナー部の曲率半径は、前記第1コイルのコーナー部の曲率半径よりも大きくてもよい。これにより、第2コイルを介して第1コイルと当該第1コイルの中央部に置かれた受電コイルとの間の磁気結合をさらに高めることができる。
  また、本開示によるワイヤレス電力伝送デバイスは、コイル部品と、前記コイル部品に接続された送電回路とを備え、前記コイル部品は、平面形状が長手方向を有する第1コイルと、平面形状が長手方向を有し、前記第1コイルから絶縁分離された第2コイルを有し、前記第1コイルの長手方向は前記第2コイルの長手方向と直交しており、前記第1コイルの開口部は、前記第2コイルの開口部と重なる開口重複領域と、前記開口重複領域から見て前記第1コイルの長手方向の両方の外側に位置し、前記第2コイルの開口部と重ならない開口非重複領域を有し、前記送電回路は、前記第1コイルに交流電力を供給することを特徴とする。本開示によれば、第1コイルの中央の結合が弱い部分を補うように第2コイルを配置することができる。