以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈第1実施形態〉
第1実施形態では、静電チャックを有する基板固定装置と共に使用され、静電チャックの吸着面に吸着保持された基板を取り外す基板取り外し装置について説明する。まずは、基板取り外し装置が適用される基板固定装置の概要について説明し、その後、基板取り外し装置について説明する。
[基板固定装置の概要]
図1は、基板固定装置を簡略化して例示する図であり、図1(a)及び図1(c)は断面図、図1(b)は平面図である。図1(a)及び図1(b)に示すように、基板固定装置1は、主要な構成要素として、ベースプレート10と、接着層20と、静電チャック30とを有している。
静電チャック30は、接着層20を介して、ベースプレート10の一方の面に搭載されている。30aは、吸着対象物が吸着保持される吸着面である。図1(c)に示すように、基板固定装置1は、静電チャック30の吸着面30aに、吸着対象物である基板100(例えば、半導体ウェハ等)を静電気により吸着保持する装置である。
[基板取り外し装置]
図2は、第1実施形態に係る基板取り外し装置を例示する図であり、図2(a)は断面図、図2(b)は平面図である。図2(b)において、図2(a)に示す駆動機構220、駆動部230、及び制御部240の図示は省略されている。
図2に示すように、基板取り外し装置200は、基板固定装置1の静電チャック30に吸着保持された基板100を静電チャック30から取り外す装置であり、移動部210と、駆動機構220と、駆動部230と、制御部240とを有している。基板取り外し装置200は、静電チャック30を有する基板固定装置1と共に使用することができる。
移動部210は、基板100を水平方向(静電チャック30の吸着面30aと平行な方向)に押して移動させる部分である。移動部210は、例えば金属から構成され、少なくとも水平方向に往復移動できるように、駆動機構220に支持されている。移動部210を構成する金属としては、例えば、ステンレスやアルミニウム合金等が挙げられる。基板100を静電チャック30の吸着面30aに沿って移動させることができれば、移動部210自体が吸着面30aと平行に配置される必要はない。移動部210は、ロボットアームの一部であってもよい。
駆動機構220は、例えば、モータ等を含む駆動力発生部と、駆動力発生部で発生した駆動力を移動部210に伝達するギア等を含む駆動力伝達部とを有する。駆動部230は、例えば、駆動機構220の駆動力発生部に電力を供給する駆動回路等を含み、制御部240の指令により動作する。制御部240は、例えば、駆動部230に対して指令を出し、移動部210の位置を制御する。移動部210は、少なくとも水平方向に往復移動できるように構成されていれば、さらに垂直方向や回転方向等に移動可能に構成されてもよい。
制御部240は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、メインメモリ等を含む構成とすることができる。この場合、制御部240の各種機能は、ROM等に記録されたプログラムがメインメモリに読み出されてCPUにより実行されることによって実現される。基板100の周辺に基板100の位置を検出するセンサを配置し、制御部240は、センサからの情報に基づいて移動部210を制御してもよい。また、制御部240は、外部と情報の送受信を行うインターフェース等の他の構成要素を適宜有してもよい。
移動部210は、通常は基板固定装置1から離れた位置に待機しており、基板固定装置1に吸着保持された基板100のプラズマによる加工等が終了した後に、図2のように基板100を側面側から押せる位置に配置される。移動部210の下面は、例えば吸着面30aと同一平面上に配置されるが、吸着面30aよりも上側に配置されてもよい。
図3は、第1実施形態に係る基板取り外し装置の動作を説明する図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は平面図である。図3において、図2(a)に示す駆動機構220、駆動部230、及び制御部240の図示は省略されている。図3では、基板取り外し装置200の移動部210が矢印方向に移動しながら基板100を押し、基板100が静電チャック30の吸着面30a上を水平方向に移動している様子を示している。
基板固定装置1の吸着面30aに吸着保持された基板100は、静電気を発生させるための印加電圧を切って吸着力を解除した後、図3に示すように移動部210に矢印方向に押され、静電チャック30の吸着面30a上を水平方向に移動する。図3に示す動作は、基板100の全体が静電チャック30の吸着面30aから取り外されるまで継続する。
静電チャック30の吸着面30aから取り外された基板100は、例えば、積載アームに積載されて、次の工程に移送される。その後、移動部210は基板固定装置1から離れた位置に移動して待機する。そして、別の基板が静電チャック30の吸着面30aに吸着保持され、プラズマによる加工等が行われる。その後、移動部210が図2の位置に配置され、別の基板は図3と同様にして吸着面30aから取り外されて、積載アームに積載され、次の工程に移送する。この動作が必要なだけ繰り返される。
このように、基板取り外し装置200は、静電チャック30の吸着面30aに静電気により吸着保持された基板100を、吸着面30aに平行な方向に移動させて取り外す装置である。
図4は、基板固定装置から基板を取り外す従来の方法について説明する断面図である。基板固定装置1Xでは、複数のリフトピン500が挿入される貫通孔が設けられている。基板固定装置1Xの吸着面30aに吸着保持された基板100は、静電気を発生させるための印加電圧を切って吸着力を解除した後、リフトピン500を矢印方向(垂直方向)に移動させて基板100を下面側から押し上げて上方に移動させることにより取り外す。
しかしながら、図4に示す方法において、印加電圧を切っても残留吸着力の解消には時間がかかり、待ち時間を要して工程時間が延びてしまう場合がある。あるいは、印加電圧を切った後の一定時間後にリフトピン500を上げた際に、残留吸着力のばらつきにより基板100の位置ずれが発生し、基板100の正常な移送が妨げられる場合がある。
これに対して、図3に示す方法では、静電チャック30の吸着面30aに静電気により吸着保持された基板100を、吸着面30aに平行な方向に移動させることで、上記の問題を改善している。これについて、以下に詳しく説明する。
図4に示す従来の方法では、吸着面30aに吸着保持された基板100を垂直方向へ取り外すためには、残留吸着力以上の力を基板100に均等にかける必要がある。これに対して、図3に示す第1実施形態に係る方法では、吸着面30aに平行な方向に、吸着面30aと基板100との間に発生する最大静止摩擦力以上の力をかけることで、基板100を取り外すことができる。
ここで、F':最大静止摩擦力、μ:最大静止摩擦係数、N:垂直抗力とすると、F'=μNの関係にある。垂直抗力Nは、基板100の質量と残留吸着力との和である。最大静止摩擦係数μは、互いに接触している材料の状態(材質や表面粗さなど)によって決まるが、一般には1以下(0.3~0.6程度)である。したがって、残留吸着力に抗って基板100を垂直方向に押し上げるよりも低い力で、基板100を水平方向に動かすことができる。
また、リフトピン500により吸着面30aに垂直方向へ基板100を押し上げる方法では、リフトピン500の押し上げに抗う残留吸着力による基板100の弾性変形と、弾性変形の回復に伴う基板100の平面座標のずれが生じやすい。これに対して、基板100を水平方向へ移動する方法では、基板100の変形は起こらないので、それに起因する基板100の平面座標のずれは生じない。
このように、基板100を水平方向へ移動する方法では、基板100を垂直方向へ移動する従来の方法に比べて、低い力で基板100を吸着面30aから取り外すことができる。また、基板100を取り外す際の基板100の位置ずれを抑制することができ、その結果、基板100の正常な移送が可能となる。また、印加電圧を切ってから残留吸着力の解消を待つ時間を短縮できるため、工程時間を短くできる。
[基板固定装置の具体例]
ここで、基板取り外し装置が適用可能な基板固定装置の具体例について説明する。ただし、以下の説明は、基板取り外し装置が適用可能な基板固定装置の一例を示すものであり、これに限定する趣旨ではない。
図5は、基板固定装置についてより具体的に説明する図であり、図5(a)は断面図、図5(b)は平面図である。図5に示すように、基板固定装置1は、主要な構成要素として、ベースプレート10と、接着層20と、静電チャック30とを有している。
ベースプレート10は、静電チャック30を搭載するための部材である。ベースプレート10の厚さは、例えば、20~40mm程度である。ベースプレート10は、例えば、アルミニウムや超硬合金等の金属材料や、その金属材料とセラミックスとの複合材料等から形成され、プラズマを制御するための電極等として利用できる。例えば、入手のし易さ、加工のし易さ、熱伝導性が良好である等の点から、アルミニウム又はその合金を使用し、その表面にアルマイト処理(絶縁層形成)を施したものが好適に使用できる。
例えば、ベースプレート10に所定の高周波電力を給電することで、発生したプラズマ状態にあるイオン等を静電チャック30上に吸着された基板に衝突させるためのエネルギーを制御し、エッチング処理を効果的に行うことができる。
ベースプレート10の内部には、水路11が設けられていてもよい。水路11は、一端に冷却水導入部11aを備え、他端に冷却水排出部11bを備えている。水路11は、基板固定装置1の外部に設けられた冷却水制御装置(図示せず)に接続されている。冷却水制御装置(図示せず)は、冷却水導入部11aから水路11に冷却水を導入し、冷却水排出部11bから冷却水を排出する。水路11に冷却水を循環させベースプレート10を冷却することで、静電チャック30上に吸着された基板を冷却することができる。
静電チャック30は、接着層20を介して、ベースプレート10の一方の面に搭載されている。接着層20は、例えば、シリコーン系接着剤である。接着層20の厚さは、例えば、0.01~1.0mm程度である。接着層20は、ベースプレート10と静電チャック30を接着すると共に、セラミックス製の静電チャック30とアルミニウム製のベースプレート10との熱膨張率の差から生じるストレスを低減させる効果を有する。なお、ベースプレート10に対して静電チャック30をネジにより固定してもよい。
静電チャック30は、主要な構成要素として、基体31と、静電電極32とを有している。静電チャック30の平面形状は、基板の形状に応じて決定されるが、例えば、円形である。静電チャック30の吸着対象物である基板の直径は、例えば、8、12、又は18インチである。静電チャック30は、ジョンセン・ラーベック型静電チャック又はクーロン型静電チャックである。
なお、平面視とは対象物を基体31の吸着面30aの法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を基体31の吸着面30aの法線方向から視た形状を指すものとする。
基体31は誘電体であり、基体31としては、例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)や窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを用いる。基体31の厚さは、例えば、0.5~10mm程度、基体31の比誘電率(1kHz)は、例えば、9~10程度である。
静電電極32は、薄膜電極であり、基体31に内蔵されている。静電電極32は、基板固定装置1の外部に設けられた電源に接続され、電源から所定の電圧が印加されると、基板との間に静電気による吸着力を発生させる。これにより、静電チャック30の基体31の吸着面30a上に基板を吸着保持できる。吸着保持力は、静電電極32に印加される電圧が高いほど強くなる。静電電極32は、単極形状でも、双極形状でも構わない。静電電極32の材料としては、例えば、タングステン、モリブデン等を用いる。
基体31の内部に、基板固定装置1の外部から電圧を印加することで発熱し、基体31の吸着面30aが所定の温度となるように加熱する発熱体を設けてもよい。
基体31の上面の周縁部には、例えば、平面視リング状の環状突起部31aが設けられている。環状突起部31aの平面視内側には、円柱形状等の多数の柱状突起部31bが平面視水玉模様状に点在するように設けられている。環状突起部31aと柱状突起部31bの上面の高さh1は同一であり、高さh1は、例えば、10~30μmとすることができる。柱状突起部31bの上面の直径φ1は、例えば、1.0~2.0mmとすることができる。環状突起部31aの上面と柱状突起部31bの上面は、吸着対象物が吸着保持される吸着面30aを構成する。
静電チャック30及びベースプレート10の内部には、静電チャック30に吸着保持される基板を冷却するガスを供給するガス流路12が設けられている。ガス流路12は、ベースプレート10、接着層20、及び基体31の内部に形成された孔である。ガス流路12の個数は、必要に応じて適宜決定できるが、例えば、10個~100個程度である。ガス流路12には、例えば、基板固定装置1の外部から不活性ガスが導入される。不活性ガスとしては、例えば、ヘリウムガスやアルゴンガス等を用いることができる。
静電チャック30の吸着面30aから基板100を水平方向に移動させて取り外す際に、静電チャック30の残留吸着力の影響を小さくすることが好ましい。静電チャック30の残留吸着力の影響を小さくするには、吸着面30aの静止摩擦係数を低減することが有効である。吸着面30aの静止摩擦係数を低減するためには、吸着面30aの表面粗度を下げることが有利になる。すなわち、吸着面30aとなる環状突起部31aの上面と柱状突起部31bの上面の表面粗度を、できるだけ小さくすることが好ましい。吸着面30aとなる環状突起部31aの上面と柱状突起部31bの上面の表面粗度は、例えば、Raで0以上0.2μm以下とすることができる。
静電チャック30の基体31の材料は多くの場合セラミックスであるが、吸着面30aの表面粗度を下げるためには、より緻密で気孔率が1%以下であることが好ましい。吸着面30aの表面粗度は、基体31の材料種の影響も大きく、六方晶窒化ホウ素などのセラミックスでは静止摩擦係数を0.1より大きく下回る値にできると期待できる。しかし、静電チャックの材料としての他の要求(例えば、耐プラズマ性や機械強度、硬度、価格など)との兼ね合いから、一般的には基体31の材料として酸化アルミニウム系セラミックスなど、一部のセラミック材料が選ばれる。
また、静電チャック30の吸着面30aから基板100を水平方向に移動させて取り外す場合、基板100と吸着面30aがそのまま摺動部分となるため、摺動によるパーティクル(摩耗によるフラグメント)の発生が懸念される。パーティクルは半導体回路の微細化及び高密度化に伴い、その発生を厳しく制限する必要がある。パーティクルの発生を抑えるためには、摺動抵抗を極力下げる必要があるが、ここでも吸着面30aの平滑性を向上して吸着面30aの静止摩擦係数を低減することが有効である。
基板100と吸着面30aとの摺動に伴いパーティクルを発生しやすい部分は、吸着面30aの周縁部であるため、吸着面30aの周縁部に位置する環状突起部31aではエッジ角度を鈍角にすることが好ましく、滑らかな曲面にすることがより好ましい。例えば、図6に示すように、吸着面30aを構成する環状突起部31aの上面(基板100と接する側の面)の角部は、断面視R状であることが好ましい。
具体的には、静電チャック30の環状突起部31aは、その上面と側面との交差によって規定されるエッジ部に約0.01mm以上のアール(R)が付与されていることが好ましい。Rが0.01mmを下回ると、エッジ部にシャープさが増加する結果、パーティクルの発生する度合いが増加し、デチャック特性も低下する。このような特性の変化は、Rが付与された部分の大きさにも依存する。本発明者の知見によると、環状突起部31aにおいて、Rをもった部分は、環状突起部31aの高さh1の約1/4以上を占めていることが好ましい。この部分が1/4を下回ると、Rの働きが十分とならず、したがって、パーティクルの発生する度合いが増加し、デチャック特性も低下する。
環状突起部31aの上面において、そのほぼ中央の部分(図中、tで示される部分)は、マスキング手段で保護することによって維持された鏡面加工面を有しており、これもまたパーティクルの発生防止とデチャック特性の向上に寄与することができる。鏡面加工面は、それを表面粗さRaで表した場合、約0.2μmもしくはそれ以下であることが好ましい。また、静電チャック30の環状突起部31aを除く表面31cは、ブラスト加工面であり、通常、その表面粗さRaは0.2~1.0μm程度である。但し、Rの付与のために追加のブラスト加工を行った場合には、その表面粗さRaをさらに低下させ、例えば0.3μmもしくはそれ以下とすることができる。
環状突起部31aに対するRの付与は、様々な手法によって達成することができる。例えば、エンボス加工により静電チャック30の表面に環状突起部31aを形成後、研磨加工又はブラスト加工等による後加工で環状突起部31aのエッジ部をスムース化することができる。あるいは、エンボス加工により静電チャック30の表面に環状突起部31aを形成する際、環状突起部31aのエッジ部をスムース化してもよい。
以上では環状突起部31aについて説明したが、吸着面30aを構成する柱状突起部31bの上面(基板100と接する側の面)の角部は、断面視R状であることが好ましい。これにより、吸着面30aの表面粗度を低減できる。
〈第1実施形態の変形例〉
第1実施形態の変形例では、第1実施形態とは構成が異なる基板取り外し装置の例を示す。なお、第1実施形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
図7は、第1実施形態の変形例1に係る基板取り外し装置を例示する平面図である。図7において、図2(a)に示す駆動機構220、駆動部230、及び制御部240の図示は省略されている。図7では、基板取り外し装置200Aの移動部210Aが矢印方向に移動しながら基板100を押し、基板100が静電チャック30の吸着面30a上を水平方向に移動している様子を示している。
図7に示す基板取り外し装置200Aのように、移動部210Aは、長手方向を移動方向に向けて互いに離隔して配置された2本以上の細長状部211を有する構造であってもよい。図7に示す移動部210Aの構造とすることで、基板100を矢印方向に移動させる際に、基板100が回転ずれを起こすことを抑制できる。なお、図7は、2本の細長状部211を有する例を示しているが、3本以上の細長状部211を有する場合も同様の効果を奏する。
図8は、第1実施形態の変形例2に係る基板取り外し装置を例示する平面図である。図8において、図2(a)に示す駆動機構220、駆動部230、及び制御部240の図示は省略されている。図8では、基板取り外し装置200Bの移動部210Bが矢印方向に移動しながら基板100を押し、基板100が静電チャック30の吸着面30a上を水平方向に移動している様子を示している。
図8に示す基板取り外し装置200Bのように、移動部210Bは、細長状部212と、細長状部212の一方側に設けられた湾曲部213とを有する構造であってもよい。湾曲部213は、基板100と同じ曲率半径に形成され、平面視で基板100の円周の半分以下の部分と接触可能である。図8に示す移動部210Bの構造とすることで、基板100を矢印方向に移動させる際に、基板100が回転ずれを起こすことを抑制できる。
図9は、第1実施形態の変形例3に係る基板取り外し装置を例示する図であり、図9(a)は断面図、図9(b)は平面図である。図9(b)において、図9(a)に示す駆動機構220及び260、駆動部230及び270、並びに制御部240の図示は省略されている。図9では、基板取り外し装置200Cの移動部210が矢印方向に移動しながら基板100を押し、基板100が静電チャック30の吸着面30a上を積載アーム250に向かって水平方向に移動している様子を示している。
図9に示すように、基板取り外し装置200Cは、積載アーム250、駆動機構260、及び駆動部270を有する点が、基板取り外し装置200(図1等参照)と相違する。
積載アーム250は、静電チャック30を挟んで移動部210と対向する位置に配置可能である。積載アーム250は、静電チャック30から取り外した基板100を積載して次の工程に移送する部分である。積載アーム250は、例えば金属から構成され、所定方向に移動できるように、駆動機構260に支持されている。積載アーム250を構成する金属としては、例えば、ステンレスやアルミニウム合金等が挙げられる。
駆動機構260は、例えば、モータ等を含む駆動力発生部と、駆動力発生部で発生した駆動力を積載アーム250に伝達するギア等を含む駆動力伝達部とを有する。駆動部270は、例えば、駆動機構260の駆動力発生部に電力を供給する駆動回路等を含み、制御部240の指令により動作する。制御部240は、例えば、駆動部270に対して指令を出し、積載アーム250の位置を制御する。
移動部210及び積載アーム250は、通常は基板固定装置1から離れた位置に待機しており、基板固定装置1に吸着保持された基板100のプラズマによる加工等が終了した後に図9の位置に配置される。なお、積載アーム250の積載面は、基板100の中心が移動する軸上であり、かつ吸着面30aと同一平面上に配置される。
このように、積載アームは、基板取り外し装置とは別に設けられてもよいし、図9に示すように基板取り外し装置の一部であってもよい。
図10は、第1実施形態の変形例4に係る基板取り外し装置を例示する図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は一方のガイドレールを基板側から視た側面図である。図10において、図9(a)に示す駆動機構220及び260、駆動部230及び270、並びに制御部240の図示は省略されている。図10では、基板取り外し装置200Dの移動部210が矢印方向に移動しながら基板100を押し、基板100が静電チャック30の吸着面30a上を積載アーム250に向かって水平方向に移動している様子を示している。
図10に示すように、基板取り外し装置200Dは、一対のガイドレール214を有する点が、基板取り外し装置200C(図9参照)と相違する。
一対のガイドレール214は、長手方向を基板100の移動方向に向けて離隔して配置され、基板100の移動を両側からガイドする。各々のガイドレール214は、例えば金属から構成されている。各々のガイドレール214を構成する金属としては、例えば、ステンレスやアルミニウム合金等が挙げられる。
各々のガイドレール214は、平面視で積載アーム250と重なる位置まで延伸するように配置することが好ましい。一対のガイドレール214を設けることで、基板100を矢印方向に移動させる際に、基板100が回転ずれを起こすことを抑制できる。なお、図9において、移動部210に代えて、移動部210Aや移動部210Bを用いてもよい。
一対のガイドレール214は、通常は基板固定装置1から離れた位置に待機しており、基板固定装置1に吸着保持された基板100のプラズマによる加工等が終了した後に、例えば積載アーム250と共に移動して図10の位置に配置される。
一対のガイドレール214の少なくとも一方の基板100側の側面に、図10(b)に示すように、長手方向に沿って配列された複数の真空吸引孔214xを有することが好ましい。真空吸引孔214xを真空吸引装置に接続することで、基板100の移動により発生するパーティクルを基板100の近傍から外部に除去できる。真空吸引の際に、パーティクルの流れ方向を制御する目的で、静電チャック30の吸着面30aにガス流路12(図5参照)からガスを供給することも有効である。
なお、図8に示す湾曲部213の基板100側の側面に、図10(b)と同様に複数の真空吸引孔を設けてもよい。この場合も、基板100の移動により発生するパーティクルを基板100の近傍から外部に除去できる。
図11は、第1実施形態の変形例5に係る基板取り外し装置を例示する断面図である。図11に示す基板取り外し装置200Eは、基板固定装置1の外部に配置されたガス供給部280を制御部240が制御可能に構成されている。
図11に示すように、基板取り外し装置200Eは、ガス供給部280及びガス供給路290を有する点が、基板取り外し装置200(図1参照)と相違する。ガス供給路290は、ガス流路12と連通している。
基板取り外し装置200Eでは、制御部240は、ガス供給部280を制御し、任意のタイミングで静電チャック30の吸着面30aにガスが供給されるように制御可能である。具体的には、制御部240は、移動部210が基板100を押している間、ガス供給路290及びガス流路12を介して吸着面30aにガスが供給されるように、ガス供給部280を制御可能である。
このように、移動部210が基板100を押している間、静電チャック30のガス流路12を介して吸着面30aにガスを供給するガス供給部280を有することが好ましい。移動部210が基板100を押している間にガスが供給されることで、基板100に残留吸着力に反発する方向の力が働くため、残留吸着力の影響を低減できる。その結果、移動部210は、より小さな力で基板100を水平方向に動かすことができる。
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。