鋭意検討の結果、本発明者らは、長期耐久性効果、とりわけ長期耐久性メイクアップ効果を提供できる化粧用組成物を提供することが可能であることを発見した。
  本発明による化粧用組成物は、皮脂固化効果を提供できる。したがって、例えば、化粧効果は長期間維持される。
  本発明において、「皮脂固化」は、皮脂が固体又はゲルへと変化した状態を指し、「皮脂ゲル化」と言い換えられ得る。固化及び/又はゲル化する時間は、具体的に限定されなくてもよいが、1時間以内、好ましくは30分以内、より好ましくは20分以内に皮脂固化及び/又はゲル化を達成することが好ましい。
  一実施形態において、(i)アルカリ土類金属の酸化物と(ii)金属石鹸の質量比は、1:99から90:10、好ましくは3:97から70:30、より好ましくは10:90から60:40であってもよい。
(i)アルカリ土類金属の酸化物
  本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種のアルカリ土類金属の酸化物を含む。単一の種類の酸化物、又は異なる種類の酸化物の組合せを使用できる。
  アルカリ土類金属の酸化物は、具体的には限定されず、皮脂の主成分と考えられるオレイン酸と反応するものが好ましくあり得る。アルカリ土類金属の酸化物を構成するアルカリ土類金属は、マグネシウム、カルシウム、より好ましくは酸化マグネシウムからなる群から選択されてもよい。
  アルカリ土類金属の酸化物は、従来の方法で表面処理され得る。
  一実施形態において、アルカリ土類金属の酸化物は、表面処理されていない。
  一実施形態において、アルカリ土類金属の酸化物は、コーティング物質、例えばシリコーン化合物、脂肪酸、金属石鹸、フッ素系化合物、シランカップリング剤等であらかじめ被覆されていてもよい。シリコーン化合物が好ましい。アルカリ土類金属の酸化物に対するコーティング物質のパーセンテージは、0.1%から10.0%、好ましくは0.3%から8.0%、より好ましくは0.5%から7.0%であってもよい。
  アルカリ土類金属の酸化物は限定されず、好ましくは、0.1μmから50μm、より好ましくは0.5μmから30μm、より一層好ましくは1μmから10μmの平均粒径を有する。
  一実施形態において、(i)アルカリ土類金属の酸化物の量は、化粧用組成物の総質量に対して、0.01質量%から10.0質量%、好ましくは0.03質量%から5.0質量%、より好ましくは0.05質量%から3.0質量%であってもよい。
(ii)金属石鹸
  本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種の金属石鹸、好ましくはC10〜30脂肪酸の金属塩を含む。単一の種類の金属石鹸、又は異なる種類の金属石鹸の組合せを使用できる。金属石鹸のC10〜30脂肪酸は、直鎖状、分枝状、又は環状であってもよい。金属石鹸のC10〜30脂肪酸は、飽和又は不飽和であってもよい。
- 金属部分
  本発明による化粧用組成物は、金属石鹸、好ましくはC10〜30脂肪酸の金属塩を含む。金属塩の金属部分は、任意の化粧品として又は皮膚科学的に許容され、一般に生理学的に許容される金属であってもよい。金属の例には、マグネシウム、カルシウム、亜鉛等が含まれる。より好ましい種は、マグネシウムである。
- 脂肪酸部分
  本発明による化粧用組成物は、金属石鹸、好ましくはC10〜30脂肪酸の金属塩を含む。本発明において有用なC10〜30脂肪酸は、任意の化粧品として又は皮膚科学的に許容され、一般に生理学的に許容される脂肪酸である。C10〜30脂肪酸は、飽和又は部分的に不飽和であってもよく、直鎖又は分枝鎖からなっていてもよい。脂肪酸の例には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸(ligoceric acid)、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、サピエン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、及びドコサヘキサエン酸が含まれる。本発明の一実施形態において、脂肪酸は、C12〜20脂肪酸、好ましくはC12〜18脂肪酸であってもよい。本発明の特定の一実施形態において、脂肪酸は、ラウリン酸又はステアリン酸であってもよい。
  C12〜20脂肪酸は、ヒドロキシル基により任意選択で置換されていてもよい。C12〜20脂肪酸は、置換されているC12〜20脂肪酸、例えばヒドロキシルC12〜20脂肪酸を含む。ヒドロキシルC12〜20脂肪酸には、例えば、2-ヒドロキシラウリン酸、2-ヒドロキシミリスチン酸、2-ヒドロキシパルミチン酸、2-ヒドロキシステアリン酸、2-ヒドロキシアラキジン酸、3-ヒドロキシラウリン酸、3-ヒドロキシトリデシル酸、3-ヒドロキシミリスチン酸、3-ヒドロキシパルミチン酸、3-ヒドロキシマルガリン酸、3-ヒドロキシステアリン酸、6-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、15-ヒドロキシペンタデシル酸、16-ヒドロキシパルミチン酸、17-ヒドロキシマルガリン酸、20-ヒドロキシアラキジン酸が含まれる。
  したがって、本発明による化粧用組成物中に含有される好ましい金属石鹸は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛等であってもよい。
  本発明において使用される(ii)金属石鹸は、基質、例えば顔料又はフィラーのコーティング物質の一部ではなく、基質、例えば顔料又はフィラーと錯体を形成しない。
  金属石鹸は限定されないが、好ましくはそれは、0.1μmから50μm、好ましくは0.5μmから30μm、より好ましくは1μmから10μmの平均粒径を有していてもよい。
  一実施形態において、(ii)金属石鹸の量は、化粧用組成物の総質量に対して、0.1質量%から10.0質量%、好ましくは0.3質量%から5.0質量%、より好ましくは0.5質量%から3.0質量%であってもよい。
生理学的に許容される媒体
  既に示した化合物の他に、本発明による化粧用組成物は、生理学的に許容される媒体を含む。
  「生理学的に許容できる媒体」という用語は、本発明による組成物を皮膚に適用するのに特に好適である媒体を意味することが意図される。
  生理学的に許容される媒体は、一般に、化粧用組成物が適用される支持体の性質、及び化粧用組成物がパッケージされる形態にも適合される。
  本発明による化粧用組成物は、分散液又はエマルジョンであってもよい。分散液は、水性相又は油相として作製してもよい。エマルジョンは、油性又は水性連続相を有していてもよい。かかるエマルジョンは、例えば逆相(W/O)エマルジョン又は順相(O/W)エマルジョン、或いは多相エマルジョン(W/O/W又はO/W/O)であってよい。
(c)水性相
  本発明の化粧用組成物は、有利には、水性相を含んでもよい。水性相は、水を含む。本発明における使用に好適な水は、フローラルウォーター、例えば、コーンフラワーウォーター、及び/又はミネラルウォーター、例えば、Vittel水、Lucas水若しくはLa Roche Posay水、及び/又は湧き水であってもよい。
  水性相はまた、(室温:25℃で)水混和性有機溶媒、例えばエタノール又はイソプロパノール等、2個から6個の炭素原子を含むモノアルコール;とりわけ、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール又はジエチレングリコール等、2個から20個の炭素原子、好ましくは2個から10個の炭素原子、優先的には2個から6個の炭素原子を含むポリオール;モノ、ジ又はトリプロピレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル、モノ、ジ又はトリエチレングリコール(C1〜C4)アルキルエーテル等、(とりわけ3個から16個の炭素原子を含む)グリコールエーテル、並びにそれらの混合物を含んでいてもよい。
  水性相はまた、安定剤、例えば、塩化ナトリウム、二塩化マグネシウム又は硫酸マグネシウムを含んでいてもよい。
  水性相はまた、水性相と相溶性である任意の水溶性又は水分散性化合物、例えば、ゲル化剤、フィルム形成ポリマー、増粘剤又は界面活性剤、及びそれらの混合物を含むことができる。
  特に本発明による化粧用組成物は、化粧用組成物の総質量に対して、1質量%から80質量%、とりわけ5質量%から50質量%、より具体的には10質量%から45質量%の範囲の含有量で水性相を含むことができる。
脂肪相
  本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種の液状及び/又は固体脂肪相を含んでいてもよい。
  一実施形態によれば、本発明による化粧用組成物は、エマルジョンの形態である。
  特に、本発明による化粧用組成物は、少なくとも1種の液状脂肪相、とりわけ下記の少なくとも1種の油を含んでいてもよい。
  「油」という用語は、室温(20〜25℃)及び大気圧で液状形態である任意の脂肪質を意味する。
  本発明の化粧用組成物は、液状脂肪相を、化粧用組成物の総質量に対して、1質量%から90質量%、特に5質量%から80質量%、特に10質量%から70質量%、より具体的には20質量%から50質量%の範囲の含有量で含んでいてもよい。
  本発明による化粧用組成物の調製に好適な油相は、炭化水素系油、シリコーン油、フルオロ油又は非フルオロ油、又はそれらの混合物を含んでいてもよい。
  油は揮発性であっても不揮発性であってもよい。油は、動物、植物、無機又は合成由来のものであってもよい。「不揮発性油」という用語は、皮膚又はケラチン繊維上に、室温及び大気圧で残存する油を意味する。より具体的には、不揮発性油は、厳密に0.01mg/cm2/min未満の蒸発速度を有する。
  この蒸発速度を測定するために、試験される15gの油又は油性混合物を、25℃の温度に温度調節され、50%の相対湿度に湿度測定で調節された約0.3m3の大きなチャンバー内にある天秤上に配置された直径7cmの結晶皿内に置く。液体は、撹拌せずに自由に蒸発させ、一方で、前記油又は前記混合物を含む結晶皿の上に垂直に配置した送風機(Papst-Motoren社、参照名8550N、2700rpmで回転)で換気を行い、送風機の羽根は、結晶皿の底部から20cm離して結晶皿の方に向ける。結晶皿に残存する油の質量を、一定の間隔をおいて測定する。蒸発速度は、単位面積(cm2)及び単位時間(分)当たりで蒸発した油のmgで表される。
  「揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で皮膚又は唇に接触して、1時間未満で蒸発できる任意の非水性媒体を意味する。揮発性油は、室温で液状である化粧用揮発性油である。より具体的には、揮発性油は、0.01から200mg/cm2/min(上下限を含む)の間の蒸発速度を有する。
  本発明の目的では、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子、とりわけ少なくとも1つのSi-O基を含む油を意味する。
  「フルオロ油」という用語は、少なくとも1つのフッ素原子を含む油を意味する。
  「炭化水素系油」という用語は、主に水素原子及び炭素原子を含有する油を意味する。
  油は、例えばヒドロキシル基又は酸基の形態で、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及び/又はリン原子を任意選択で含んでいてもよい。
揮発性油
  揮発性油は、8個から16個の炭素原子を含有する炭化水素系油、とりわけC8〜C16分枝状アルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン及びイソヘキサデカン(例えば、商品名Isopar(登録商標)又はPermethyl(登録商標)で販売されている油)から選択してもよい。
  使用できる揮発性油には、揮発性シリコーン、例えば揮発性直鎖状又は環状シリコーン油、とりわけ8センチストーク(cSt)(8×10-6m2/s)以下の粘度を有し、とりわけ2個から10個のケイ素原子、特に2個から7個のケイ素原子を含有するものが含まれ、これらのシリコーンは、任意選択で1個から10個の炭素原子を含有するアルキル基又はアルコキシ基を含む。本発明に用いることができる揮発性シリコーン油として、とりわけ、5cSt及び6cStの粘度を有するジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物が挙げられる。
  一実施形態によれば、本発明の組成物は、化粧用組成物の総質量に対して、1質量%から80質量%、又は更には5質量%から70質量%、又は更には10質量%から60質量%、とりわけ15質量%から50質量%の揮発性油を含んでいてもよい。
不揮発性油
  不揮発性油は、とりわけ不揮発性炭化水素系の、フルオロ油及び/又はシリコーン油から選択してもよい。
  とりわけ挙げられる不揮発性炭化水素系油には、
  -  ペルヒドロスクアレン等の動物由来の炭化水素系油、
  -  植物由来の炭化水素系油、例えば、フィトステアリルエステル、例えば、フィトステアリルオレエート、フィトステアリルイソステアレート、及びラウロイル/オクチルドデシル/フィトステアリルグルタメート(味の素株式会社、Eldew PS203)、グリセロールの脂肪酸エステル、特に、脂肪酸がC4〜C36、とりわけC18〜C36の鎖長を有することができるものから形成されたトリグリセリドであり、これらの油は場合によって直鎖状又は分枝状、飽和又は不飽和であり、とりわけ、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、シア油、アルファルファ油、ケシ油、冬カボチャ油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライ麦油、ククイ油、トケイソウ油、シアバター、アロエベラ油、甘扁桃油、桃核油、落花生油、アルガン油、アボカド油、バオバブ油、ルリヂサ油、ブロッコリー油、キンセンカ油、椿油、キャノーラ油、ニンジン油、ベニバナ油、亜麻油、ナタネ油、綿実油、ココナッツ油、髄種子油、小麦胚芽油、ホホバ油、ユリ油、マカダミア油、トウモロコシ油、メドフォーム油、セイヨウオトギリソウ油、モノイ油、ヘイゼルナッツ油、杏仁油、クルミ油、オリーブ油、月見草油、パーム油、ブラックカラント種油、キーウィ種子油、グレープシード油、ピスタチオ油、冬カボチャ油、カボチャ油、ジャコウバラ油、ゴマ油、ダイズ油、ヒマワリ油、ヒマシ油及びスイカ種子油、及びそれらの混合物、或いはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されているもの又はDynamit Nobel社によりMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)及び818(登録商標)の名称で販売されているものであってもよい、
  -  無機又は合成由来の直鎖状又は分枝状炭化水素、例えば、流動パラフィン及びその誘導体、ワセリン、ポリデセン、ポリブテン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam、並びにスクアラン、
  -  10個から40個の炭素原子を含有する合成エーテル、
  -  合成エステル、例えば式R1COOR2の油であり、式中、R1は1個から40個の炭素原子を含有する1つの直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R2は1個から40個の炭素原子を含有する、とりわけ分枝状である炭化水素系鎖を表し、但しR1鎖及びR2鎖における炭素原子数の和は10以上であるという条件である。エステルは、とりわけアルコールの脂肪酸エステル、例えばオクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールエステル、例えばミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルチミン酸エチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、及びステアリン酸オクチル等、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、アジピン酸ジイソプロピル、ヘプタノエート、及びとりわけヘプタン酸イソステアリル、オクタン酸、デカン酸又はリシノール酸アルコール又はポリアルコール、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、オクタン酸セチル、オクタン酸トリデシル、2-エチルヘキシル4-ジヘプタノエート、及びパルミチン酸2-エチルヘキシル、安息香酸アルキル、ジヘプタン酸ポリエチレングリコール、プロピレングリコール2-ジエチルヘキサノエート、及びそれらの混合物、C12〜C15アルコールベンゾエート、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル、例えばネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、及びネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸エステル、例えばイソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、及びイソノナン酸オクチル、ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリル及びリンゴ酸ジイソステアリルから選択することができる、
  -  ポリオールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばテトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、
  -  ジオールダイマー及び二酸ダイマーのエステル、例えば、日本精化株式会社により販売され、米国特許出願公開第2004-175338号に記載されているLusplan DD-DA5(登録商標)及びLusplan DD-DA7(登録商標)、
  -  ジオールダイマー及び二酸ダイマーのコポリマー、及びそれらのエステル、例えば、ジリノレイルジオールダイマー/ジリノール酸ダイマーコポリマー及びそれらのエステル、例えばPlandool-G、
  -  ポリオール及び二酸ダイマーのコポリマー、及びそれらのエステル、例えば、Hailuscent ISDA又はジリノール酸/ブタンジオールコポリマー、
  -  室温で液状であり、12個から26個の炭素原子を含有する分枝状及び/又は不飽和炭素系鎖を有する脂肪族アルコール、例えば、2-オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール及び2-ウンデシルペンタデカノール、
  -  C12〜C22高級脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸又はリノレン酸、及びそれらの混合物、
  -  2つのアルキル鎖が場合によって同一である又は異なっている炭酸ジアルキル、例えば、Cognis社によりCetiol CC(登録商標)の名称で販売されている炭酸ジカプリリル、
  -  特に約400から約10000g/mol、特に約650から約10000g/mol、より具体的には約750から約7500g/molの範囲、更により具体的には約1000〜約5000g/molの範囲のモル質量を有する高モル質量の油。本発明において使用できる高モル質量の油としては、とりわけ、
    -  親油性ポリマー
    -  総炭素数が35から70の範囲の直鎖状脂肪酸エステル、
    -  ヒドロキシル化エステル、
    -  芳香族エステル、
    -  C24〜C28分枝状脂肪酸又は脂肪族アルコールエステル、
    -  シリコーン油、
    -  植物由来の油、及び
    -  それらの混合物
から選択される油が挙げられる、
  -  任意選択で部分的に炭化水素系及び/又はシリコーンフルオロ油、例えば、文献EP-A-847 752に記載のフルオロシリコーン油、フルオロポリエーテル及びフルオロシリコーン、
  -  シリコーン油、例えば、不揮発性直鎖状又は環状ポリジメチルシロキサン(PDMS);ペンダントであって又はシリコーン鎖の末端にあって、2個から24個の炭素原子を含有する、アルキル、アルコキシ又はフェニル基を含む、ポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えば、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン及び2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、並びに
  -  それらの混合物
が含まれる。
  特定の一実施形態によれば、本発明による化粧用組成物の脂肪相は、揮発性化合物のみを含有してよい。
染料
  本発明による化粧用組成物はまた、少なくとも1種の染料を含んでいてもよい。
  本発明による化粧用組成物中の染料の量は、一般に、化粧用組成物の総質量の0から25質量%、好ましくは2から15質量%、より好ましくは5から15質量%の範囲であると考えられる。
  本発明による化粧用組成物は、化粧用組成物中で従来使用されている無機又は有機顔料、脂溶性又は水溶性染料、特殊な光学効果を有する物質、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の染料を組み込んでもよい。
  「顔料」という用語は、水溶液に不溶性であり、結果として得られる膜を着色すること及び/又は不透明にすることが意図された、白色又は有色の無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきである。
  本発明で使用され得る無機顔料として、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、及び酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー及びクロム水和物を挙げられる。本発明の特定の一態様によれば、無機顔料は、酸化鉄及び酸化チタン、及びそれらの混合物から選択されると考えられる。
  それはまた、例えばセリサイト/ブラウン酸化鉄/二酸化チタン/シリカタイプであってもよい構造を有する顔料でもあってもよい。かかる顔料は例えば、Chemicals and Catalysts社によりCoverleaf NS又はJSの参照名で販売されており、30の領域にコントラスト比を有する。
  着色剤はまた、例えば酸化鉄を含有するシリカミクロスフェア等のタイプであってもよい構造を有する顔料を含んでいてもよい。この構造を有する顔料の例は、三好化成株式会社によりPC Ball PC-LL-100 Pの参照名で販売されている製品であり、この顔料は、黄色酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアから構成されている。
  本発明において使用できる有機顔料のうちには、カーボンブラック、D&C型顔料、コチニールカルミンベース又はバリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウムベースのレーキ、或いは文献EP 0 542 669、EP 0 787 730、EP 0 787 731及びWO 96/08537記載のジケトピロロピロール(DPP)が挙げられる。
  本発明による化粧用組成物は、水溶性又は脂溶性染料を含んでいてもよい。脂溶性染料は、例えば、スーダン赤色、DC赤色17号、DC緑色6号、β-カロテン、ダイズ油、スーダン茶色、DC黄色11号、DC紫色2号、DC橙色5号、及びキノリンイエローである。水溶性染料は例えば、ビートルートジュース及びカラメルである。
追加のフィラー
  本発明による化粧用組成物はまた、有機性又は無機性の、少なくとも1種の追加のフィラーを含み、とりわけ追加の艶消し効果又は被覆特性、及び/又は滲出に関する改善した安定性及び適用後の耐移り特性を付与することを可能にしてもよい。
  「フィラー」という用語は、化粧用組成物の媒体中で不溶性で分散している形態の、任意の形状の無色又は白色固体粒子を意味すると理解されるべきである。無機性又は有機性のこれらの粒子は、化粧用組成物に形(body)又は剛性を与え、且つ/又は化粧に柔らかさ及び均一性を与えることができる。
  本発明による化粧用組成物において使用されるフィラーは、ラメラ状、球形又は球状の形態であってもよく、繊維の形態又はこれらの定義された形態の間の任意の他の中間形態であってもよい。
  本発明によるフィラーは、表面を被覆されていてもされていなくてもよく、特にシリコーン、アミノ酸、フルオロ誘導体又は化粧用組成物中でのフィラーの分散性及び相溶性を促進する任意の他の物質で表面処理されていてもよい。
  挙げられる無機フィラーの例には、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、ガラス又はセラミックマイクロカプセルが含まれる。
  挙げられる有機フィラーの例には、ポリエチレン粉末又はポリメチルメタクリレート粉末、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))粉末、ラウロイルリシン、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマー粉末(東色ピグメント株式会社製Plastic Powder)、シリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば、GE東芝シリコーン株式会社製Tospearl)、天然又は合成微粉化ワックス、8個から22個の炭素原子、好ましくは12個から18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸に由来する金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウム、及びポリウレタン粉末、特にトリメチロールヘキシルラクトンを含むコポリマーを含む架橋ポリウレタン粉末が含まれる。それは特に、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンポリマーであってもよい。かかる粒子は、とりわけ、例えば、東色ピグメント株式会社製Plastic Powder D-400(登録商標)又はPlastic Powder D-800(登録商標)の名称で市販されているもの、及びそれらの混合物である。
  本発明の化粧用組成物中のフィラーの量は、一般に、化粧用組成物の総質量の0から25質量%、好ましくは2から15質量%、より好ましくは5から15質量%の範囲であると考えられる。
添加剤
  特定の一実施形態において、本発明による化粧用組成物は、水、親水性溶媒、親油性溶媒、油、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を更に含む。
  本発明による化粧用組成物はまた、例えば、ゴム、アニオン性、カチオン性、両性又は非イオン性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、樹脂、増粘剤、構造化剤、例えばワックス、分散剤、酸化防止剤、エッセンシャルオイル、保存剤、香料、中和剤、殺菌剤、紫外線遮断剤、ビタミン、保湿剤、皮膚軟化剤又はコラーゲン保護剤等の化粧活性剤、及びそれらの混合物から選択される、検討中の分野において通常使用される任意の添加剤を含んでいてもよい。
  本発明による化粧用組成物中に存在する添加剤の性質及び量を、所望の化粧特性及びその安定性特性が添加材により影響を受けないよう調整することは、当業者にとって常法の範囲内である。
  本発明による化粧用組成物は、皮膚メイクアップ製品、特にファンデーション、熱間硬化ファンデーション製品、ボディメイクアップ製品、コンシーラー、アイシャドー、リップスティック、又は身体デオドラントの形態であってもよい。化粧用組成物は、ゲルの形態、クリームの形態、スティック若しくは棒の形態、又は軟質のペーストの形態であってもよい。特定の一実施形態において、化粧用組成物は、液状ファンデーションであってもよい。
  本発明によるケア組成物は、特に日焼け防止用組成物であってもよい。好ましくは、本発明による化粧用組成物は、流体プライマー又は流体ファンデーションの形態である。
  一実施形態において、化粧用組成物は、エマルジョンの形態又はクリアローションの形態であってもよい。
  特定の一実施形態において、本発明は、(i) 少なくとも1種のアルカリ土類金属の酸化物及び(ii)少なくとも1種の金属石鹸、好ましくはC10〜30脂肪酸の金属塩を含む化粧用組成物の、長期耐久性効果のための作用剤としての使用に関する。
[化粧方法]
  本発明はまた、本発明による化粧用組成物を皮膚、特に顔面に適用する工程を含む化粧方法に関する。特定の一実施形態において、化粧用組成物は、単独で、又はスキンケア製品若しくはメイクアップ製品の下にベース若しくはプライマーとして適用される。化粧方法は、好ましくは、皮膚、好ましくは顔面の皮膚をメイクアップ及び/又はケアする工程を含む。
  本発明による化粧方法において使用される化粧用組成物は、好ましくはリーブインタイプのものである。「リーブイン」という用語は、適用直後に洗い落とす又は除去することを意図していない組成物を意味する。
  本発明による化粧方法は、皮脂固化又はゲル化効果を、てかりを引き起こすことなしに長期耐久性効果とともに提供できる。したがって、本発明による化粧方法は、例えば夏の間の、暑い及び/又は湿潤な条件下でも、経時的に皮膚上での長期耐久性効果を提供できる。
  本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例が、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
(試験実施例1及び試験比較例1から3)
[調製]
  実施例1及び比較例1から3による以下の組成物を、表1に示す成分をそれぞれ混合することにより調製した。成分量の数値はすべて、活性原料としての「質量%」に基づく。
皮脂ゲル化試験
[プロトコル]
  人工皮脂のゲル化速度を、以下の組合せを使用することにより測定した。下の混合物をそれぞれ、室温で10分間、電磁撹拌器により撹拌した。皮脂ゲル化(固化)により電磁撹拌器が停止したとき、又は組成物が電磁撹拌器によりフラスコ壁に移動し、電磁撹拌器に戻らなかったとき、この瞬間をゲル化時間と決定した。撹拌開始1時間後、化粧用組成物をコントラストカード上に30μm適用器で適用した。次に、表面のてかりを光沢計の60°の光沢度で測定した。
  表2は、使用された人工皮脂の組成を示す。
[結果]
  実施例1及び実施例1'に示すとおり、酸化マグネシウムがステアリン酸マグネシウム又は12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム及び人工皮脂と混合されるとき、組成物はゲルを形成した。ゲル化人工皮脂は、最低の光沢を示した。他方、酸化マグネシウムのみ(比較例1)又はステアリン酸マグネシウムのみ(比較例2)は、ゲルを形成しなかった。参考までに、人工皮脂のみではゲルに変化しなかった(比較例3)。
  結果として、二価金属(例えば、酸化マグネシウム)の酸化物及び金属石鹸(例えば、ステアリン酸マグネシウム又は12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウム)の組合せは、皮脂ゲル化を加速し、皮脂のてかりを減少させたのであり、これは高マット効果を意味する。
  結果として、酸化マグネシウムとステアリン酸マグネシウム又は12-ヒドロキシステアリン酸マグネシウムとの組合せが、人工皮脂のゲル化を示し、人工皮脂のてかりを減少させたことが確認された。
(試験実施例2)
  酸化マグネシウムとステアリン酸マグネシウムの質量比を、上に示した皮脂ゲル化試験により評価した。以下の質量比による酸化マグネシウム及び/又はステアリン酸マグネシウムの混合物(総計0.1g)を、10%の水及び2.0gの表2に示す人工皮脂と混合した。10分後にゲル化するのに失敗した組成物は、「NG(良好でない)」と判定された。
[配合例(液状ファンデーション)]
[調製]
  以下の表4において、すべての組成は質量%で表す。これらを上と同じプロトコルに従い調製した。油相を室温で十分混合し、水相もまた室温で混合した。次に、油相及び水相を室温で乳化した。
液状ファンデーションの耐皮脂性試験
[プロトコル]
  上で調製した液状ファンデーション(1.0g)のそれぞれを人工皮脂(0.2g)と混合し、混合物を人工皮革上に2.4mg/cm2で適用し、次に人工皮革[出光興産株式会社製SUPPLALE(登録商標)]を33℃で30分間乾燥させた。ファンデーション膜の反射率をゴニオフォトメーターにより測定した(A)。人工皮脂なしのファンデーションの反射率もまた測定した(B)。
[結果]
  試験結果を表5に示す。酸化マグネシウム及びステアリン酸マグネシウムの両方を含有する本発明による配合物(配合実施例1)は、人工皮脂の存在下で比較配合物(配合比較例1、2及び3)と比較して低い反射率を示した。これは、本発明による配合物が、比較配合物よりも良好な耐皮脂性を有することを意味する。
[配合例2(水ベースファンデーション)]
  表6の組成を室温で十分に混合した。得られたファンデーションは、長期耐久性効果を有していた。
(試験実施例3)
  酸化マグネシウム及び各ステアリン酸金属石鹸を、上に示した皮脂ゲル化試験により評価した。0.1gの酸化マグネシウム及び0.9gの下のステアリン酸金属石鹸を、10%の水及び2.0gの表2に示す人工皮脂と混合した。表7は、人工皮脂のゲル化時間を示す。
  この表は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びステアリン酸亜鉛が、水の存在下で人工皮脂をゲル化したことを示す。