以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
なお図面において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(実施の形態1)
本発明の一態様の表示装置の構成について、図1乃至図23を用いて説明する。
<画素について>
まず表示装置が有する画素について説明する。
本実施の形態で説明する画素は、一例として、表示される画像に悪影響を与える、トランジスタの閾値電圧のばらつきを補正する機能を有する。
閾値電圧のばらつきを補正する機構の一例は、簡単には次のとおりである。まず、前の期間に書き込んだ、表示させたい階調に対応するデータ電圧を初期化する。言い換えると、トランジスタがオン状態(導通状態)となるように設定する。その後、閾値電圧または、閾値電圧に応じた大きさを有する電圧をキャパシタに保持させる。その後、キャパシタに保持させた閾値電圧に、表示させたい階調に対応するデータ電圧に応じた電圧を加える。その後、閾値電圧にデータ電圧を加えた電圧に応じて発光素子に電流を流す。このようにすることで、発光素子に流れる電流へのトランジスタの閾値電圧の影響を低減することができる。
上述の諸動作は、言い換えれば、例えば、初期化期間、閾値電圧補正期間、データ電圧書き込み期間、および発光期間に分けることができる。いずれの期間でも画素を選択して、ゲート線、データ線、電流供給線の各配線の電圧を切り替えて、画素に所定の電圧を与える場合が多い。
本実施の形態の一態様では、一例としては、データ電圧書き込み期間において、電流供給線を電気的に浮遊状態(フローティング)とする構成とする。または、電流供給線と、電流供給線に電圧などを供給する機能を有する回路との間を、非導通状態とする。そして、そのような状態において、データ電圧を与える構成とする。本実施形態の構成では、発光素子に電流を流すために設けられる電流供給線を、所定の期間にフローティングとするために、一例として、電流供給線と画素が有するトランジスタの間にスイッチを設ける。そしてデータ電圧書き込み期間において、スイッチをオフ状態(非導通状態)とし、当該期間での電気的な浮遊状態を実現する構成とする。このようにすることで、トランジスタの状態に関わらず、発光素子のアノードの電位が上昇することを抑制することができる。そのため、意図しない発光素子の発光を抑制することができる。
次に画素の回路構成の一例について説明する。
図1(A)には、本発明の一態様である表示装置の画素100を示す。画素100(図中、PIXと図示)は、スイッチ101、トランジスタ102、キャパシタ103、および発光素子104を有する。また図1(A)には、電流供給線PLと画素100の間にスイッチ106を有する。つまり、一例としては、スイッチ106は、画素100の外側に設けられている。なお、表示装置においては、画素は、複数個設けられている。画素100は、複数個の画素のうちで、1個を取り出して示したものに相当する。
図1(A)では、トランジスタ102のゲートをノードNGとして示している。また図1(A)では、トランジスタ102と発光素子104との間のノードをノードNSとして示している。また図1(A)では、トランジスタ102とスイッチ106との間のノードをノードNDとして示している。なお、トランジスタ102は、駆動用トランジスタという場合がある。
スイッチ101の一方の端子は、一例としては、データ線DLに接続される。スイッチ101の他方の端子は、一例としては、ノードNGに接続される。なおスイッチ101は、第1のスイッチという場合がある。または、スイッチ101は、選択用スイッチという場合もある。
データ線DLは、一例としては、初期化期間および閾値電圧補正期間において、初期化電圧を与える(または伝える)機能を有する配線である。またデータ線DLは、一例としては、データ電圧書き込み期間において、画素100にデータ電圧(又は映像信号電圧、ビデオ信号などともいう)を与える(または伝える)機能を有する配線である。または、データ線DLは、一例としては、画素100にプリチャージ電圧を与える(または伝える)機能を有する配線である。ただし、データ線DLの機能は、これらに限定されない。したがって、データ線DLは、単に配線、または第1の配線という場合がある。
データ線DLに与えるデータ電圧は、発光素子104を所望の階調値で発光させるための電圧である。データ電圧は、VDATAで表す場合がある。
データ線DLに与える初期化電圧は、キャパシタ103の両端の電圧を初期化するための機能を有する電圧である。または、その初期化電圧は、トランジスタ102がオン状態となるようにするための電圧である。初期化電圧は、VG−INIで表す場合がある。
トランジスタ102のゲートは、ノードNGに接続される。トランジスタ102のソースまたはドレインの一方は、ノードNSに接続される。トランジスタ102のソースまたはドレインの他方は、ノードNDに接続される。なお、トランジスタのソースとドレインとは、電位に応じて入れ替わる。したがって、例えば発光期間においては、電流供給線PLの電位は、陰極線CLの電位よりも高いため、その場合には、トランジスタ102のソースが、ノードNSに接続されている、ということが出来る。なお以下の説明においてトランジスタ102は、nチャネル型であると説明する。また以下の説明においては、一例として、トランジスタ102の閾値電圧をVTHとして表す。
スイッチ106の他方の端子は、一例としては、電流供給線PLに接続される。なおスイッチ106は、第1のスイッチ、または、第2のスイッチという場合がある。
電流供給線PLは、例えば、初期化期間において、キャパシタ103の両端の電圧を初期化するための初期化電圧を与える機能を有する配線である。または、電流供給線PLは、初期化期間において、ノードNSの電圧を初期化するための初期化電圧を与える機能を有する配線である。また、電流供給線PLは、閾値電圧補正期間において、トランジスタ102のゲート−ソース間の電圧(VGSという場合がある)に従って電流を流すための電圧を与える(または伝える)機能を有する配線である。また、電流供給線PLは、例えば、発光期間において、トランジスタ102のVGSに従って発光素子104に電流を流すための電圧を与える機能を有する配線である。ただし、電流供給線PLの機能は、これらに限定されない。したがって、電流供給線PLは、単に配線、または、第1の配線などという場合がある。
電流供給線PLに与える初期化電圧は、キャパシタ103の両端の電圧を初期化するための電圧である。または、その初期化電圧は、トランジスタ102がオン状態となるようにするための電圧である。初期化電圧は、VP−INIで表す場合がある。なお、VP−INIとVG−INIとは、一例としては、異なる電圧である。ただし、状況に応じて、同じ電圧となる場合もある。
電流供給線PLに与える、トランジスタ102のVGSに従って電流を流すための電圧は、一例としては、発光素子104を発光させるため、およびキャパシタ103の両端の電極に保持される電圧をトランジスタ102の閾値電圧にするため、の電圧である。トランジスタ102のVGSに従って電流を流すための電圧は、VP−EMIで表す場合がある。
なお、発光素子104を発光させる場合と、トランジスタ102の閾値電圧を取得する場合とにおいて、電流供給線PLの電圧の大きさは、異なっていてもよい。ただし、発光素子104を発光させる場合と、トランジスタ102の閾値電圧を取得する場合とにおいて、電流供給線PLの電圧の大きさを同じとする場合、電圧を供給する回路の構成を簡単にすることが出来るため、より望ましい。
陰極線CLに与える電圧は、VCSで表す場合がある。ただし、陰極線CLの機能は、これらに限定されない。したがって、陰極線CLは、単に配線、または、第1の配線などという場合がある。
キャパシタ103の一方の電極は、ノードNGに接続される。キャパシタ103の他方の電極は、ノードNSに接続される。
発光素子104の一方の電極は、ノードNSに接続される。発光素子104の他方の電極は、陰極線CLに接続される。陰極線CLには、VCSが与えられる。なお、キャパシタ103は、トランジスタ102のゲート容量(寄生容量)を利用することにより、省略することも可能である。その場合の画素100Iの回路図の例を、図2に示す。
<画素の動作>
次いで、図1(A)の画素100の動作の一例について説明する。
図1(B)には、画素100の動作を説明するタイミングチャートの一例を示す。また、図3乃至図5では、図1(B)に付した各期間における、各配線の電圧、スイッチの動作、ノードの電圧を表す回路図を示す。
図1(B)のタイミングチャートは、発光期間P11、初期化期間P12、初期化完了期間P13、閾値電圧補正期間P14、および、データ電圧書き込み期間P15に分けて示している。初期化期間P12および初期化完了期間P13は、上述した初期化期間に対応する。
なお、発光期間P11、初期化期間P12、初期化完了期間P13、閾値電圧補正期間P14、および、データ電圧書き込み期間P15が設けられている場合の例を示すが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様は、これらの期間以外の期間が設けられていてもよい。または、例えば、本発明の一態様は、これらの期間のうちの少なくとも一つの期間が設けられていなくてもよい。例えば、トランジスタ102がオン状態になっている場合には、必ずしも、初期化期間P12を設けなくてもよい。
図1(B)のタイミングチャートは、上記期間におけるノードND、陰極線CL、ノードNG、ノードNSの電圧の変化の一例を表している。また図1(B)中では、各配線およびノードが取り得るVP−EMI、VDATA、VCS、VG−INI、VP−INIの大小関係の一例を縦軸を電圧として図示している。また図1(B)中では、トランジスタ102の閾値電圧であるVTH、キャパシタ103の両端の電極に保持される電圧VCP、発光素子104の両端の電極に印加される電圧VELを図示している。また図1(B)中では、一例として、スイッチ101及びスイッチ106のオンまたはオフの状態を表している。なお図1(B)の説明では、トランジスタ102はノーマリオン、すなわち閾値電圧VTHが負であるとして説明をする。なお、この場合には、トランジスタ102がノーマリオンであっても、ノーマリオフであっても、正常に動作させることが出来る。
なお図1(B)では、同じタイミングの場合であっても、あるいは同じ電位の場合であっても、配線およびノードの電圧の変化の視認性を確保するため、位置を少しずらして付している。そのため、各電圧の大小関係、タイミングの前後は必ずしも図示した通りではない場合がある。
まず初期化期間P12では、前の発光期間P11にトランジスタ102のゲートに保持された電圧を初期化する動作を行う。または、トランジスタ102がオン状態となるようにする動作を行う。または、ノードNSの電圧を初期化する動作を行う。したがって、既にトランジスタ102がオン状態である場合には、必ずしも、初期化期間P12を設けなくてもよい。まず例えば、ノードNGの電圧はVG−INIであり、スイッチ101がオン状態である。ノードNGの電圧が低下するのに合わせて、容量結合により、ノードNSの電圧も低下する。また初期化期間P12以降、陰極線CLの電圧はVCSで変化しない。ただし、状況に応じて、陰極線CLの電圧を変化させてもよい。初期化期間P12の動作によって、ノードNGの電圧はVG−INIとなる。初期化期間P12による各配線、各ノードの電圧は、図3(A)に図示するようになる。なお、初期化期間P12において、スイッチ106は、オフ状態であってもよい。
なお、初期化期間P12における動作について述べたが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様は、初期化期間P12において、様々な動作を行ってもよい。したがって、初期化期間P12は、単に期間、または、第1の期間などという場合がある。
次いで初期化完了期間P13では、ノードNSに保持された電圧を初期化する動作を行う。まず例えば、電流供給線PLの電圧はVP−INIであり、スイッチ106はオン状態である。ノードNDの電圧が低下するのに合わせてトランジスタ102に電流が流れ、ノードNSの電圧がさらに低下する。初期化完了期間P13の動作によって、ノードNSの電圧はVP−INIとなる。初期化完了期間P13による各配線、各ノードの電圧は、図3(B)に図示するようになる。
なお電圧VP−INIは、一例としては、VCSより小さくしておく。このようにすることで、発光素子104には電流が流れないようにすることができる。また電圧VG−INIは、VP−INIより大きくしておく。このようにすることで、トランジスタ102に電流が流れ、初期化をすることができる。ただし、トランジスタ102の閾値電圧の大きさによっては、ノードNSの電圧は、ノードNGの電圧よりも、高くなっていても、トランジスタ102に電流が流れる場合がある。そのため、そのような場合には、ノードNSの電圧は、ノードNGの電圧よりも、高くなっていてもよい。なお、初期化完了期間P13において、スイッチ101は、オフ状態であってもよい。
なお、初期化完了期間P13における動作について述べたが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様は、初期化完了期間P13において、様々な動作を行ってもよい。したがって、初期化完了期間P13は、単に期間、または、第1の期間などという場合がある。
次いで閾値電圧補正期間P14では、キャパシタ103の両端の電極にVTHまたは、VTHに応じた電圧を保持させるため、トランジスタ102に電流を流し、ノードNSの電圧を上昇させる動作を行う。なお、トランジスタ102の特性のばらつきが小さい場合、または、動画を表示している場合などのようにトランジスタ102の特性のばらつきの影響が出にくい場合には、必ずしも、トランジスタ102の閾値電圧を取得しなくてもよい。したがって、状況に応じて、閾値電圧補正期間P13を設けなくてもよい。まず、電流供給線PLの電圧はVP−EMIであり、スイッチ101及びスイッチ106はオン状態である。ノードNDの電圧が上昇することでトランジスタ102に電流が流れ、ノードNSの電圧が上昇し、キャパシタ103に蓄積されている電荷が放電される。またスイッチ101はオン状態のため、ノードNGの電圧は変化しない。ノードNSの電圧の上昇は、トランジスタ102のVGSがVTHとなることでトランジスタ102を流れる電流が小さくなって電流が止まるため、止まる。つまりノードNSの電圧は、電圧(VG−INI−VTH)となる。そして、キャパシタ103には、電圧(VTH)が蓄積される。つまり、トランジスタ102のVTHを取得できたこととなる。このとき、トランジスタ102がノーマリオンの場合には、ノードNSの電圧は、ノードNGの電圧よりも、高くなっていることとなる。ノードNSの電圧は、電圧(VG−INI−VTH)となっているが、VTHは負の値なので、実際のノードNSの電圧は、ノードNGの電圧よりも、高くなっていることとなる。言い換えると、このような動作を行うことにより、トランジスタ102がノーマリオンであっても、適切に、閾値電圧を取得することができる。閾値電圧補正期間P14による各配線、各ノードの電圧は、図4(A)に図示するようになる。なお、この期間において、電流供給線PLの電圧は、VP−EMIでなくてもよい。例えば、電流供給線PLの電圧は、電圧が上昇した後のノードNSの電圧よりも、高い電圧となっていればよい。
なお、ここでは、トランジスタ102のVGSがVTHとなるとしたが、必ずしも、VGSがVTHとなるまで、キャパシタ103に蓄積されている電荷を放電しなくてもよい。例えば、トランジスタ102のVGSがVTHに概ね近い大きさになったときに、閾値電圧を取得動作を終了してもよい。その場合には、トランジスタ102のVTHに応じた大きさの電圧を取得できたこととなる。
なお、閾値電圧補正期間P14における動作について述べたが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様は、閾値電圧補正期間P14において、様々な動作を行ってもよい。したがって、閾値電圧補正期間P14は、単に期間、または、第1の期間などという場合がある。
次いでデータ電圧書き込み期間P15は、データ線DLにVDATAを与える。そして、スイッチ101はオン状態である。ノードNGの電圧は、VG−INIからVDATAに変化する。また、スイッチ101をオフ状態である。したがって、ノードNDは、電気的に浮遊状態(フローティング)となる。ノードNSの電圧は、ノードNGの電圧の変化に従って、キャパシタ103の容量結合に応じて変化する。
ここでキャパシタ103の電圧をVCPとする。またキャパシタ103のキャパシタンスをC103とする。また発光素子104のキャパシタンスをCELとする。図6には、各素子の電圧、キャパシタンスを図示している。キャパシタの両端の電極に保持される電圧VCPは、容量結合によってVTH+ΔVとなる。ΔVは、ノードNGの電圧の変化分(VDATA−VG−INI)と、キャパシタ103と発光素子104のキャパシタンスの比(CEL/(C103+CEL))との積で表すことができる。
すなわちデータ電圧入力期間P15においてノードNSの電圧は(VDATA−VCP)に上昇するものの、発光素子104のキャパシタンスCELを大きくすることで、この上昇を抑えることができる。また、ノードNSの電圧が上昇しても、データ電圧書き込み期間P15ではノードNDを電気的に浮遊状態としている。そのため、電流供給線PLからトランジスタ102を介して発光素子104に向けて電流が流れないため、発光素子104の意図しない発光を抑制することができる。データ電圧入力期間P15による各配線、各ノードの電圧は、図4(B)に図示するようになる。
なお、データ電圧書き込み期間P15における動作について述べたが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様は、データ電圧書き込み期間P15において、様々な動作を行ってもよい。したがって、データ電圧書き込み期間P15は、単に期間、または、第1の期間などという場合がある。
本実施の形態の構成では、データ電圧書き込み期間P15において、スイッチ106がオフ状態であり、ノードNDは電気的に浮遊状態である。そのため、データ電圧書き込み期間におけるノードNSの電圧の変化を抑制することができる。そして、発光素子104の発光を抑制することができる。仮に、データ電圧書き込み期間P15の長さが長かったとしても、ノードNDは電気的に浮遊状態であるため、ノードNSの電圧の変化を抑制することができる。
仮に、データ電圧書き込み期間P15において、スイッチ106がオン状態である場合には、電流供給線PLからトランジスタ102を介してノードNSに向けて電流が流れる。その結果、ノードNSの電位が上昇していく。そして仮に、データ電圧書き込み期間P15の長さが長かった場合には、ノードNSの電位がさらに上昇し、最終的には、キャパシタ103の電圧は、VTHとなる。そして、トランジスタ102がオフ状態となる。その結果、供給されたVDATAが消失してしまうことになってしまう。以上のことから、データ電圧書き込み期間P15において、スイッチ106がオフ状態であることが望ましい。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。
次いで発光期間P11は、電流供給線PLの電圧はVP−EMIであり、スイッチ106はオン状態であり、スイッチ101はオフ状態である。ノードNDに電圧が供給され、ノードNGがフローティング状態であることでトランジスタ102に電流が流れ、ノードNSの電圧が上昇する。また、ノードNGがフローティング状態であるため、ノードNSの電圧の上昇につれてノードNGの電圧も上昇する。トランジスタのVGSはデータ電圧書き込み期間で設定されたVCPを保持する。VCPはVTHにVDATAを含む項が加わった電圧である。そのため、発光素子104には、VTHの大きさに依存せず、VDATAに応じた電流を流すことができる。つまり、VTHのばらつきの影響を低減できたこととなる。なおノードNSは、VCSからVELだけ高い電圧(VEL+VCS)となる。また、ノードNGは、(VCS+VEL)からVCPだけ高い電圧(VCP+VCS+VEL)となる。発光期間P11による各配線、各ノードの電圧は、図5に図示するようになる。
なお、発光期間P11における動作について述べたが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、本発明の一態様は、発光期間P11において、様々な動作を行ってもよい。したがって、発光期間P11は、単に期間、または、第1の期間などという場合がある。
以上説明した本発明の一態様における構成では、トランジスタ102のソース又はドレインのうち、電流供給線PLがある側にスイッチを設ける。そして、データ電圧書き込み期間において、該スイッチをオフにすることで画素100と電流供給線PLとを電気的に切り離し、画素100に電流を供給する配線を電気的に浮遊状態とする。このようにすることで、発光素子のアノード側にあるノードNSの電圧の上昇を抑制し、データ電圧書き込み期間での意図しない発光を抑制することができる。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。
<画素の変形例>
次いで図1(A)で図示した画素の回路構成の変形例について説明する。
図1(A)の画素100が有するスイッチ101及びスイッチ106は、例えばトランジスタを適用することができる。この場合の回路図を図7に示す。図7に示す画素100Aは、図1(A)のスイッチ101に代わって、トランジスタ101Aを有する。なおトランジスタ101Aのオンまたはオフは、ゲート線GLに与える電位によって制御することができる。したがって、トランジスタ101Aは、選択用トランジスタと呼ぶ場合がある。
また図7では、スイッチ106に代わってトランジスタ106Aを図示している。なおトランジスタ106Aのオンまたはオフは、電源制御線PENに与える電位によって制御することができる。
トランジスタ101A及びトランジスタ106Aは、一例としては、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(OSトランジスタ)であることが好ましい。OSトランジスタは、オフ電流を低くすることができる。そのため、スイッチとして機能するトランジスタ101Aをオフにすることで、ノードNGの電位の変動を小さくできる。また、スイッチとして機能するトランジスタ106Aをオフにすることで、ノードNDの電位の変動を小さくできる。あるいはトランジスタ101A及びトランジスタ106Aは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(Siトランジスタ)であってもよい。なお、トランジスタ102も同様に、チャネル形成領域に酸化物半導体を有するトランジスタ(OSトランジスタ)であることが好ましい。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、トランジスタ102は、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(Siトランジスタ)であってもよい。Siトランジスタにおけるチャネル形成領域は、多結晶シリコンであってもよいし、アモルファスシリコンであってもよいし、単結晶シリコンであってもよい。
図1(A)の画素100は、一例としては、発光素子104に並列にキャパシタを有することが好ましい。この場合の回路図を図8(A)に示す。図8(A)に示す画素100Bは、図1(A)の構成に加えて、キャパシタ105を有する。
上述した本発明の一態様では、キャパシタ103と発光素子104のキャパシタンスの比を利用する。キャパシタ103のキャパシタンスが、発光素子104のキャパシタンスに比べて大きいと、データ電圧入力期間P15の動作でノードNSの電位が上昇しすぎて発光素子が発光する虞がある。従って別途、キャパシタ105を設けることが好ましい。なお図8(A)の構成の場合、配線数を増やすことなくキャパシタを作製できるため好適である。
またキャパシタ105は、別途容量線を設けて作製してもよい。この場合の回路図を図8(B)に示す。図8(B)に示す画素100Cは、図8(A)の構成に加えて、容量線CSLに一方の電極が接続されたキャパシタ105を有する。
図8(B)の構成は、配線数が増えるものの、発光素子104の陰極をトランジスタ102の電極層に接続する等の複雑な工程を経ることなく作製することができるため、容易に作製することが可能である。
図9(A)には、図7の画素100Aを変形した画素100Dを図示している。画素100Dは、スイッチとして機能するトランジスタとしてバックゲートを有するトランジスタ101Bとしている。なおトランジスタ106Aも、トランジスタ101Bと同様の構成とすることが可能である。
図9(B)には、図7の画素100Aを変形した画素100Eを図示している。画素100Eは、スイッチとして機能するトランジスタとしてトランジスタを直列に接続したトランジスタ101Cとしている。なおトランジスタ106Aも、トランジスタ101Cと同様の構成とすることが可能である。
図10(A)には、図7の画素100Aを変形した画素100Fを図示している。画素100Fは、トランジスタ102としてバックゲートを有し、上下のゲートで同じ電位を与えるトランジスタ102Dとしている。
図10(B)には、図7の画素100Aを変形した画素100Gを図示している。画素100Gは、トランジスタ102としてバックゲートを有し、上下のゲートで異なる電位を与えるトランジスタ102Eとしている。バックゲート側には電圧VBGを与え、トランジスタ102Eの閾値電圧を制御することができる。
図10(C)には、図7の画素100Aを変形した画素100Hを図示している。画素100Hは、トランジスタ102としてバックゲートを有し、上下のゲートで異なる電位を与えるトランジスタ102Fとしている。バックゲート側にはノードNSの電圧を与えている。
なお、図1(A)の画素100でトランジスタ102は、nチャネル型の場合について述べたが、本発明の一態様は、これに限定されない。図11の画素100Jでは、図1(A)とは異なる構成を示している。図11では、トランジスタ102の代わりに、pチャネル型のトランジスタ102pを有している。
なお、トランジスタ102は、スイッチ106を介して、電流供給線PLと接続されているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、図12(A)の画素100Kでは、図1(A)とは異なる構成を示している。図12(A)では、トランジスタ102と、スイッチ106Aを介して電流供給線PL_A、スイッチ106Bを介して電流供給線PL_B、スイッチ106Cを介して電流供給線PL_Cとが、それぞれ別々に接続されている。電流供給線PL_A、PL_B、PL_Cに異なる電圧としてVP−EMI、VCS、VP−INIを与え、スイッチ106A、106B、106Cのオンオフを制御することにより、トランジスタ102に供給される電圧の大きさを制御することができる。このようにスイッチを設けることにより、電流供給線PL_A、PL_B,PL_Cの電位を変化させずに、同様の動作を実現することが可能となる。
なお図12(A)の画素100Kでは、電流供給線PL_A、PL_B、PL_Cに異なる電圧を与える構成としたが、一定の電圧を与える配線と、電圧を切り替えて与える配線とを分けて設ける構成としてもよい。この場合の画素の回路図を図12(B)に示す。図12(B)の画素100Lでは、トランジスタ102と、スイッチ106Dを介して電流供給線PL_D、スイッチ106Eを介して電流供給線PL_Eとが、それぞれ別々に接続されている。電流供給線PL_DにVP−EMI、電流供給線PL_EにVCSまたはVP−INIを与え、スイッチ106D、106Eのオンオフを制御することにより、トランジスタ102に供給される電圧の大きさを制御することができる。
なお、図13(A)の画素100Mでは、図1(A)とは異なる構成を示している。図13(A)では、ノードNSは、スイッチ107を介して、配線ILと接続されている。配線ILは、初期化電圧VP−INIを与える。このスイッチ107を少なくとも初期化期間P12においてオン状態とすることにより、電流供給線PLの電圧を下げなくても、ノードNSの電圧を低い電圧に制御することが出来る。なお、初期化期間P12以外の期間においては、スイッチ107がオフ状態となっていることが望ましい。ただし、本発明の一態様は、これに限定されない。
なお図13(A)の画素100Mでにおけるスイッチ101、107は、トランジスタに置き換えることができる。この場合の画素の回路図を図13(B)に示す。図13(B)の画素100Nでは、トランジスタ101A、トランジスタ107Aを有する。トランジスタ101Aは、ゲート線GL_Aによって制御することができる。トランジスタ107Aは、ゲート線GL_Bによって制御することができる。
図14(A)の画素100Oでは、図1(A)とは異なる構成を示している。図14(A)では、ノードNSと、発光素子104との間に、スイッチ108が設けられていてもよい。このスイッチ108を、例えば、発光期間P11以外の少なくとも一つの期間においてオフ状態とし、少なくとも発光期間P11においてオン状態としてもよい。例えば、スイッチ108は、データ電圧書き込み期間P15においてオン状態としてもよい。これにより、発光素子104が、意図せず発光してしまうことを抑制することができる。なお、データ電圧入力期間P15においても、このスイッチがオン状態となっていてもよい。
なお図14(A)の画素100Oでにおけるスイッチ101、108は、トランジスタに置き換えることができる。この場合の画素の回路図を図14(B)に示す。図14(B)の画素100Pでは、トランジスタ101A、トランジスタ108Aを有する。トランジスタ101Aは、ゲート線GL_Aによって制御することができる。トランジスタ108Aは、ゲート線GL_Cによって制御することができる。
図14(C)の画素100Qでは、図14(A)とは異なる構成を示している。図14(C)では、ノードNSと、発光素子104との間ではなく、トランジスタ102とスイッチ106との間に、スイッチ108が設けられている。このようにすることで、画素ごとにスイッチの制御を行うことができる。
図15(A)の画素100Rでは、図1(A)とは異なる構成を示している。図15(A)では、トランジスタ102と、電流供給線PLとの間に、スイッチ106Dと、回路109A及びスイッチ106Eを設けている。回路109Aは、電流供給線PLの電圧をノードNDに与える際に、波形をなまらせる機能を有する回路である。なお回路109Aは、画素100Rの中に設けられていてもよいし、画素100Rの外に設けられていてもよい。
回路109Aは、スイッチ106D、106Eのオン状態を変更することにより、機能する場合と、機能させない場合とを切り替えるようにすることが好ましい。例えば、回路109Aを機能させたい場合には、ノードNDでの波形をなまらせたい場合である。このような場合としては、例えば、発光期間P11がある。発光期間P11では、発光期間P11に移行する場合に、図15(B)に図示するように、スイッチ106D、106Eのオン状態を変更し、ノードNDの電圧の波形をなまらせることにより、輝度の変化を滑らかにすることができる。そのため表示装置の使用時において、目がまぶしく感じることを低減できたり、ちらつきを感じることを低減できたりする可能性が期待される。よって、目にやさしく、目が疲れにくくなる可能性が期待される。
回路109Aは、例えば図16(A)に示すように抵抗素子でとしてもよい。あるいは、図16(B)に示すようにダイオードで構成してもよい。あるいは、図16(C)に示すようにダイオード接続されたトランジスタで構成してもよい。
なお回路109Aは、図16(D)に示すように、機能させたい場合スイッチ106Dをオフ状態とし、機能させたくない場合スイッチ106Dをオン状態とする構成としてもよい。また回路109Aは、図16(E)に示すように、抵抗素子とキャパシタを組み合わせた回路としてもよい。
なお、図12乃至図15などの回路を、それぞれ組み合わせた回路を構成することも可能である。例えば、図12(A)と図13(A)とを組み合わせた場合の画素100Sを図17(A)に示す。同様に、図12(A)と図14(A)を組み合わせた場合の画素100Tを図17(B)に示す。同様に、図12(A)と図13(A)と図14(A)とを組み合わせた場合の画素100Uを図17(C)に示す。このように、適宜組み合わせた回路を構成することも可能である。
以上説明したように本発明の一態様は様々な変形例を適用することができる。
<表示装置のブロック図>
次いで図1(A)で図示した画素を適用しうる表示装置のブロック図の一例について説明する。
図18には、表示装置のブロック図の一例として、ゲート線側駆動回路110、データ線側駆動回路120、電流供給線制御回路130、および画素100を有する画素部140を図示している。
画素部140において、複数の画素100は、x−y方向にマトリクス状に設けられている。画素部140では、X方向に、ゲート線側駆動回路110に接続されたゲート線GL1乃至GLm(mは自然数)を設ける。ゲート線GL1乃至GLmは、それぞれ、各画素100と接続されている。例えば、図7におけるゲート線GLは、ゲート線側駆動回路110に接続される。また画素部140では、Y方向に、データ線側駆動回路120に接続されたデータ線DL1乃至DLn(nは自然数)を、設ける。データ線DL1乃至DLnは、それぞれ、各画素100と接続されている。例えば、図7におけるデータ線DLは、データ線側駆動回路120に接続される。
電流供給線PLは、図18に示すようにX方向に、電流供給線制御回路130に接続された電流供給線PL1乃至PLmを、各画素100に接続されるように設けることができる。例えば、図7などにおけるノードNDは、電流供給線制御回路130に接続される。
電流供給線制御回路130は、電流供給線PL1乃至PLmを1行づつ走査することができる。また電流供給線制御回路130は、電源制御線P1EN乃至PmENによって各行のスイッチのオンまたはオフを制御することができる。電源制御線P1EN乃至PmENは、電流供給線PL1乃至PLmに設けられるスイッチを1行毎にオフにし、電気的に浮遊状態とすることができる。電流供給線PL1乃至PLmに設けられるスイッチは、例えば、図1などにおけるスイッチ106に相当する。
なお図19には、ゲート線GL1乃至GLm、電流供給線PL1乃至PLm、および電源制御線P1EN乃至PmENによって制御されるスイッチの状態を、1行ずつ走査する動作のタイミングチャートを示す。
<画素の動作の変形例>
次いで、図1(A)で図示した画素100の動作の変形例について説明する。
図20(A)には、図1(A)と同じ画素100の回路図を示す。また、図20(B)には、図1(B)とは異なる、画素100の動作の変形例を説明するタイミングチャートを示す。また、図21乃至図23では、図20(B)に付した各期間における、各配線の電圧、スイッチの動作、ノードの電圧を表す回路図を示す。
なお図20(B)の説明では、図1(B)とは異なり、トランジスタ102はノーマリオフ、すなわち閾値電圧VTHが正であるとして説明をする。以下、図1(B)とは異なる点について詳述し、同様の点については、上記説明を援用し、省略して記載する場合がある。
図20(B)のタイミングチャートは、発光期間P21、初期化期間P22、初期化完了期間P23、閾値電圧補正期間P24、および、データ電圧書き込み期間P25に分けて示している。初期化期間P22および初期化完了期間P23は、上述した初期化期間に対応する。
図20(B)のタイミングチャートは、下記期間におけるノードND、陰極線CL、ノードNG、ノードNSの電圧の変化の一例を表している。また図20(B)中では、各配線およびノードが取り得るVP−EMI、VDATA、VCS、VP−INIの大小関係を縦軸を電圧として図示している。また図20(B)中では、トランジスタ102の閾値電圧であるVTH、キャパシタ103の両端の電極に保持される電圧VCP、発光素子104の両端の電極に印加される電圧VELを図示している。また図20(B)中では、スイッチ101及びスイッチ106のオンまたはオフの状態を表している。
まず初期化期間P22では、前の発光期間P21にトランジスタ102のゲートに保持された電圧を初期化する動作を行う。初期化期間P12と異なる点として、データ線DLをVCSとする。また、ノードNGはVCSとなる。初期化期間P22による各配線、各ノードの電圧は、図21(A)に図示するようになる。
次いで初期化完了期間P23では、ノードNSに保持された電圧を初期化する動作を行う。初期化完了期間P23と異なる点として、電流供給線PLの電圧はVP−INIである。ノードNGのVCSは、VP−INIよりも大きい。そのため、トランジスタ102がオン状態となり、ノードNSの電圧が低下し、ノードNSがVP−INIとなる。初期化完了期間P23による各配線、各ノードの電圧は、図21(B)に図示するようになる。
次いで閾値電圧補正期間P24では、キャパシタ103の両端の電極にVTHを保持させるため、トランジスタ102に電流を流し、ノードNSの電圧を上昇させる動作を行う。閾値電圧補正期間P24の動作の異なる点として、データ線DLをVCSとする。また、ノードNGはVCSとなる。電流供給線PLの電圧はVCSとする。電流供給線PLがVCSとなることで、ノードNSの電圧が上昇する。ノードNSの電圧の上昇は、トランジスタ102のVGSがVTHとなることでトランジスタ102を流れる電流が小さくなって、電流が止まる。つまりノードNSの電圧は、電圧(VCS−VTH)となる。なお図20(B)でノードNSの電圧の上昇は、ノードNGの電圧よりVTHだけ低い電圧で止まる。これは、トランジスタ102がノーマリーオフのためである。閾値電圧補正期間P24による各配線、各ノードの電圧は、図22(A)に図示するようになる。
次いでデータ電圧書き込み期間P25は、データ線DLはVDATAであり、スイッチ101はオン状態とする。また、スイッチ106はオフ状態である。このときノードNDは、電気的に浮遊状態(フローティング)となる。データ電圧書き込み期間P25の動作は、データ電圧書き込み期間P15と同じである。なお図20(B)でノードNSの電圧の上昇は、ノードNSの電圧が図1(B)のときより小さいため、VCSより小さい電圧の上昇にとどまる。これは、トランジスタ102がノーマリーオフのためである。この場合、ノードNSの電圧によって発光素子104は発光しない。データ電圧書き込み期間P25による各配線、各ノードの電圧は、図22(B)に図示するようになる。
次いで発光期間P21は、電流供給線PLの電圧がVP−EMIである。発光期間P21の動作は、発光期間P11と同じである。発光期間P21による各配線、各ノードの電圧は、図23に図示するようになる。
以上説明した本発明の一態様における構成では、トランジスタ102の閾値電圧の正負に関わらず、閾値電圧の取得にかける時間を長くすることができる。また、発光素子のアノード側にあるノードNSの電圧の上昇を抑制し、データ電圧書き込み期間での意図しない発光を抑制することができる。
なお、本実施の形態において、本発明の一態様について述べた。または、他の実施の形態において、本発明の一態様について述べる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。つまり、本実施の形態および他の実施の形態では、様々な発明の態様が記載されているため、本発明の一態様は、特定の態様に限定されない。例えば、本発明の一態様として、トランジスタの閾値電圧のばらつきを補正した場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、別の特性のばらつきの補正を行ってもよい。または例えば、場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様では、トランジスタの閾値電圧のばらつきを補正しなくてもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した画素のトランジスタに適用可能な、チャネル形成領域が酸化物半導体膜で形成されているトランジスタ(OSトランジスタ)、およびチャネル形成領域がシリコンで形成されているトランジスタ(Siトランジスタ)、を一例に挙げて説明する。
<トランジスタの構成例1>
まずチャネル形成領域が酸化物半導体膜で形成されているトランジスタ(OSトランジスタ)について説明する。
図24(A)、図24(B)および図24(C)に、デバイス構造の異なる3つのトランジスタ(TA1、TA2、TB1)の上面図(レイアウト図)と、それぞれの回路記号を示す。図25は、トランジスタ(TA1、TA2、TB1)の断面図である。トランジスタTA1のa1−a2線およびb1−b2線による断面図、トランジスタTA2のa3−a4線およびb3−b4線による断面図、ならびにトランジスタTB1のa5−a6線、b5−b6線による断面図を、図25(A)、図25(B)に示す。これらトランジスタのチャネル長方向の断面構造が、図25(A)に示され、同チャネル幅方向の断面構造が図25(B)に示されている。
図25(A)、図25(B)に示すように、トランジスタ(TA1、TA2、TB1)は、同一絶縁表面上に集積されており、これらのトランジスタは、同一の作製工程で作成することが可能である。なお、ここでは、デバイス構造の明瞭化のため、各トランジスタのゲート(G)、ソース(S)、およびドレイン(D)への電位や電源の供給するための配線との電気的な接続は省略している。
トランジスタTA1(図24(A))、トランジスタTA2(図24(B))は、ゲート(G)とバックゲート(BG)を有するトランジスタである。ゲート(G)およびバックゲート(BG)は、いずれか一方が第1のゲートに相当し、他方が第2のゲートに相当する。トランジスタTA1、トランジスタTA2はバックゲートをゲートに接続した構造としている。トランジスタTB1(図24(C))は、BGを有さないトランジスタである。図25に示すように、これらのトランジスタ(TA1、TA2、TB1)は、基板30に形成されている。以下、図24、図25を参照して、これらのトランジスタの構成を説明する。
[トランジスタTA1]
トランジスタTA1は、ゲート電極GE1、ソース電極SE1、ドレイン電極DE1、バックゲート電極BGE1、および酸化物半導体膜OS1を有する。
以下の説明において、トランジスタTA1をTA1と呼ぶ、バックゲートをBGと呼ぶ、酸化物半導体膜OS1をOS1や膜OS1と呼ぶなど、素子や素子の構成要素を省略して呼ぶ場合がある。また、信号、電位、回路などについても同様に省略する場合がある。
また、本実施の形態では、OSトランジスタのチャネル長は、ソース電極とドレイン電極間の距離とする。また、OSトランジスタのチャネル幅は、酸化物半導体膜とゲート電極が重なる領域でのソース電極またはドレイン電極の幅とする。トランジスタTA1のチャネル長は、La1であり、チャネル幅はWa1である。
膜OS1は、絶縁膜34を介して電極GE1と重なっている。膜OS1の上面および側面に接して一対の電極(SE1、DE1)が形成されている。図24(A)に示すように、膜OS1は、電極GE1および一対の電極(SE1、DE1)と重ならない部分を有している。膜OS1は、チャネル長方向の長さがチャネル長La1よりも長く、かつチャネル幅方向の長さがチャネル幅Wa1よりも長い。
膜OS1、電極GE1、電極SE1および電極DE1を覆って、絶縁膜35、絶縁膜36が形成されている。絶縁膜36上に電極BGE1が形成されている。電極BGE1は、膜OS1および電極GE1と重なるように設けられている。ここでは、一例として、電極GE1と同じ形状で、同じ位置に配置されるように電極BGE1を設けている。電極BGE1は、絶縁膜34絶縁膜35および絶縁膜36を貫通する開口CG1において、電極GE1に接している。この構造により、トランジスタTA1のゲートとバックゲートが電気的に接続される。
バックゲート電極BGE1をゲート電極GE1に接続することで、トランジスタTA1のオン電流を増加させることができる。バックゲート電極BGE1を設けることで、トランジスタTA1の強度を向上させることができる。基板30の曲げ等の変形に対して、電極BGE1が補強部材となってトランジスタTA1を壊れにくくすることができる。
チャネル形成領域を含む膜OS1は多層構造であり、ここでは、一例として3つの酸化物半導体膜(31、32、33)でなる3層構造としている。膜OS1を構成する酸化物半導体膜は、少なくとも1つ同じ金属元素を含む金属酸化物膜であることが好ましく、Inを含むことが特に好ましい。トランジスタの半導体膜を構成することが可能なInを含む金属酸化物としては、In−Ga酸化物膜、In−M−Zn酸化物膜(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)が代表的である。また、このような金属酸化物膜に他の元素や材料を添加した膜を用いることもできる。
『32』は、トランジスタTA1のチャネル形成領域を構成する膜である。また、『33』は、後述するトランジスタTA2およびトランジスタTB1のチャネル形成領域を構成する膜でもある。そのため、トランジスタTA2およびトランジスタTB1に要求される電気的特性(例えば、電界効果移動度、しきい値電圧など)に応じて、適切な組成の酸化物半導体膜を用いればよい。例えば、『32』にチャネルが形成されるように、酸化物半導体膜31−33の主成分である金属元素の組成を調節することが好ましい。
トランジスタTA1において、『32』にチャネルが形成されるようにすることで、チャネル形成領域が絶縁膜34、35に接しないようにすることができる。また、酸化物半導体膜31−33を少なくとも1つ同じ金属元素を含む金属酸化物膜とすることで、『32』と『31』の界面、および『32』と『33』の界面において、界面散乱が起こりにくくすることができる。これにより、トランジスタTA1の電界効果移動度をトランジスタTA2やトランジスタTB1よりも高くすることができる、また、オン状態でのドレイン電流(オン電流)を増加させることができる。
[トランジスタTA2]
トランジスタTA2は、ゲート電極GE2、ソース電極SE2、ドレイン電極DE2、バックゲート電極BGE2、および酸化物半導体膜OS2を有する。電極BGE2は、絶縁膜34乃至絶縁膜36を貫通する開口CG2において電極GE2に接している。トランジスタTA2は、トランジスタTA1の変形例であり、膜OS2が酸化物半導体膜33でなる単層構造である点でトランジスタTA1と異なり、その他については同様である。ここでは、トランジスタTA2のチャネル長La2、チャネル幅Wa2は、トランジスタTA1のチャネル長La1、チャネル幅Wa1と等しくなるようにしている。
[トランジスタTB1]
トランジスタTB1は、ゲート電極GE3、ソース電極SE3、ドレイン電極DE3および酸化物半導体膜OS3を有する。トランジスタTB1は、トランジスタTA2の変形例である。トランジスタTA2と同様に、膜OS3が酸化物半導体膜33でなる単層構造である。トランジスタTA2とは、バックゲート電極を有していない点で異なる。また、膜OS3および電極(GE3、SE3、DE3)のレイアウトが異なる。図24(C)に示すように、膜OS3は、電極GE3と重なっていない領域は、電極SE3または電極DE3の何れかと重なっている。そのため、トランジスタTB1のチャネル幅Wb1は、膜OS3の幅で決定されている。チャネル長Lb1は、トランジスタTA2と同様、電極SE3と電極DE3間の距離で決定され、ここでは、トランジスタTA2のチャネル長La2よりも長くしている。
[絶縁膜]
絶縁膜34、絶縁膜35および絶縁膜36は、基板30のトランジスタ(TA1、TA2、TB1)が形成される領域全体に形成される膜である。絶縁膜34、絶縁膜35、および絶縁膜36は、単層あるいは複数層の絶縁膜で形成される。絶縁膜34は、トランジスタ(TA1、TA2、TB1)のゲート絶縁膜を構成する膜である。また、絶縁膜35および絶縁膜36は、トランジスタ(TA1、TA2、TB1)のバックチャネル側のゲート絶縁膜を構成する膜である。また、最上面の絶縁膜36は、基板30に形成されるトランジスタの保護膜として機能するような材料で形成することが好ましい。絶縁膜36は適宜設ければよい。3層目の電極BGE1と2層目の電極(SE1、DE1)を絶縁するために、これらの間に少なくとも1層絶縁膜が存在していればよい。
絶縁膜34乃至絶縁膜36は、単層の絶縁膜で、または2層以上の多層の絶縁膜で形成することができる。これら絶縁膜34乃至絶縁膜36を構成する絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタル等でなる膜があげられる。また、これらの絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、ALD法またはPLD法を用いて形成することができる。
[酸化物半導体膜]
ここでは、OSトランジスタの半導体膜を構成する酸化物半導体膜について説明する。膜OS1にように半導体膜を多層構造とする場合、これらを構成する酸化物半導体膜は、少なくとも1つ同じ金属元素を含む金属酸化物膜であることが好ましく、Inを含むことが好ましい。
例えば、『31』がIn−Ga酸化物膜の場合、Inの原子数比をGaの原子数比よりも小さくする。In−M−Zn酸化物膜(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の場合、Inの原子数比をMの原子数比よりも小さくする。この場合、Znの原子数比が最も大きくなるようにすることができる。
例えば、『32』がIn−Ga酸化物膜の場合、Inの原子数比をGaの原子数比よりも大きくする。In−M−Zn酸化物膜の場合、Inの原子数比をMの原子数比よりも大きくする。In−M−Zn酸化物膜では、Inの原子数比がMおよびZnの原子数比よりも大きくすることが好ましい。
例えば、『33』がIn−Ga酸化物膜の場合、Inの原子数比をGaの原子数比と同じにする、または小さくする。In−M−Zn酸化物膜の場合、Inの原子数比をMの原子数比と同じにする。この場合、Znの原子数比が、InおよびMよりも大きくすることができる。ここでは、『33』は、後述するトランジスタTA2、トランジスタTB1のチャネル形成領域を構成する膜でもある。
酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33の原子数比は、スパッタリング法で成膜する場合は、ターゲットの構成材料の原子数比等を調節することで可能である。また、CVD法で成膜する場合は、原料ガスの流量比などを調節することで可能である。以下、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33として、スパッタリング法でIn−M−Zn酸化物膜を形成する場合を例に、成膜に使用されるターゲットについて述べる。これらの膜を成膜するために、In−M−Zn酸化物でなるターゲットが用いられる。
『31』のターゲットの金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x1:y1:z1とすると、x1/y1は、1/6以上1未満であることが好ましい。また、z1/y1は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。
ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8、In:M:Zn=1:4:4、In:M:Zn=1:4:5、In:M:Zn=1:4:6、In:M:Zn=1:4:7、In:M:Zn=1:4:8、In:M:Zn=1:5:5、In:M:Zn=1:5:6、In:M:Zn=1:5:7、In:M:Zn=1:5:8、In:M:Zn=1:6:8等がある。
『32』のターゲットの金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x2:y2:z2とすると、x2/y2は、1より大きく6以下であることが好ましい。また、z2/y2は1より大きく6以下であることが好ましい。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=2:1:1.5、In:M:Zn=2:1:2.3、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=3:1:3、In:M:Zn=3:1:4等がある。
『33』のターゲットの金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x3:y3:z3とすると、x3/y3は、1/6以上1以下であることが好ましい。また、z3/y3は、1/3以上6以下、さらには1以上6以下であることが好ましい。ターゲットの金属元素の原子数比の代表例としては、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:6、In:M:Zn=1:3:8、In:M:Zn=1:4:4、In:M:Zn=1:4:5、In:M:Zn=1:4:6、In:M:Zn=1:4:7、In:M:Zn=1:4:8、In:M:Zn=1:5:5、In:M:Zn=1:5:6、In:M:Zn=1:5:7、In:M:Zn=1:5:8、In:M:Zn=1:6:8等がある。
In−M−Zn酸化物膜の成膜用ターゲットにおいて、金属元素の原子数比をIn:M:Zn=x:y:zとした場合、1≦z/y≦6とすることで、In−M−Zn酸化物膜としてCAAC−OS膜が形成されやすくなるため好ましい。なお、CAAC−OS膜については後述する。
酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33としては、キャリア密度の低い酸化物半導体膜を用いる。例えば、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33として、キャリア密度が1×1017個/cm3以下、好ましくは1×1015個/cm3以下、さらに好ましくは1×1013個/cm3以下の酸化物半導体膜を用いる。特に、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33として、キャリア密度が、8×1011個/cm3未満、より好ましくは1×1011個/cm3未満、さらに好ましくは1×1010個/cm3未満であり、且つ、1×10−9個/cm3以上の酸化物半導体膜を用いることが好ましい。
酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33として、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を用いることで、さらに優れた電気的特性を有するトランジスタを作製することができる。ここでは、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い(酸素欠損の少ない)ことを高純度真性または実質的に高純度真性とよぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる場合がある。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気的特性(ノーマリオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、オフ電流が著しく小さく、チャネル幅が1×106μmでチャネル長Lが10μmの素子であっても、ソース電極とドレイン電極間の電圧(ドレイン電圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定限界以下、すなわち1×10−13A以下という特性を得ることができる。従って、当該酸化物半導体膜にチャネル領域が形成されるトランジスタは、電気的特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、またはアルカリ土類金属等がある。
酸化物半導体膜に含まれる水素は金属原子と結合する酸素と反応して水になると共に、酸素が脱離した格子(または酸素が脱離した部分)に酸素欠損が形成される。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合することで、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリオン特性となりやすい。
このため、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33は酸素欠損と共に、水素ができる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms/cm3未満、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下とする。
酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33に第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、膜中の酸素欠損が増加し、これらの膜がn型化してしまう。このため、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33において、二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。
酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。そのため窒素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリオン特性となりやすいので、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33の窒素含有量はできる限り低減されていることが好ましい、例えば、二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度を5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
以上、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33について述べたが、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気的特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成の酸化物半導体膜を用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性および電気的特性を得るために、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
トランジスタTA1は、GaまたはM(MはAl、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNd)の原子数比よりもInの原子数比が大きい酸化物半導体膜32でチャネルが形成されるため、電界効果移動度を高くすることができる。代表的には、その電界効果移動度は、10cm2/Vsより大きく60cm2/Vs未満、好ましくは15cm2/Vs以上50cm2/Vs未満である。そのため、アクティブマトリクス型表示装置の回路にトランジスタTA1を用いる場合は、高速動作が要求される駆動回路に好適である。
また、トランジスタTA1は、遮光された領域に、設けることが好ましい。また高い電界効果移動度を有するトランジスタTA1を駆動回路に設けることで、駆動周波数を高くすることができるため、より高精細な表示装置を実現することができる。
チャネル形成領域が酸化物半導体膜33で形成されるトランジスタTA2、TB1は、トランジスタTA1よりも電界効果移動度が低く、その大きさは、3cm2/Vs以上10cm2/Vs以下程度である。トランジスタTA2、TB1は、酸化物半導体膜32を有していないため、トランジスタTA1よりも光によって劣化しにくく、光照射によるオフ電流の増大量が少ない。そのため、チャネル形成領域が酸化物半導体膜33で形成されるトランジスタTA2、TB1は光が照射されるような画素部に好適である。
トランジスタTA1は、酸化物半導体膜32を有しないトランジスタTA2と比較して、光が照射されるとオフ状態における電流が増大しやすい。トランジスタTA1が画素部のように遮光が十分できない画素部よりも光の影響が少ない周辺駆動回路に適している理由の1つである。また、もちろん、トランジスタTA2、TB1のような構成のトランジスタも、駆動回路に設けることが可能である。
以上、トランジスタ(TA1、TA2、TB1)と酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33について述べたが、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気的特性に応じて、トランジスタの構成を変更すればよい。例えば、バックゲート電極の有無、酸化物半導体膜の積層構造、酸化物半導体膜、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極の形状や配置等を適宜変更することができる。
[酸化物半導体の構造]
次に、酸化物半導体の構造について説明する。
なお本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体膜は、非単結晶酸化物半導体膜と単結晶酸化物半導体膜とに分けられる。または、酸化物半導体は、例えば、結晶性酸化物半導体と非晶質酸化物半導体とに分けられる。
なお、非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体などがある。また、結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体などがある。
まずは、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、c軸配向した複数の結晶部を有する酸化物半導体膜の一つである。
透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OS膜の明視野像および回折パターンの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察することで複数の結晶部を確認することができる。一方、高分解能TEM像によっても明確な結晶部同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することができない。そのため、CAAC−OS膜は、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
試料面と略平行な方向から、CAAC−OS膜の断面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が層状に配列していることを確認できる。金属原子の各層は、CAAC−OS膜の膜を形成する面(被形成面ともいう。)または上面の凹凸を反映した形状であり、CAAC−OS膜の被形成面または上面と平行に配列する。
一方、試料面と略垂直な方向から、CAAC−OS膜の平面の高分解能TEM像を観察すると、結晶部において、金属原子が三角形状または六角形状に配列していることを確認できる。しかしながら、異なる結晶部間で、金属原子の配列に規則性は見られない。
CAAC−OS膜に対し、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)装置を用いて構造解析を行うと、例えばInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる場合がある。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OS膜の結晶がc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。
なお、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OS膜のout−of−plane法による解析では、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、CAAC−OS膜中の一部に、c軸配向性を有さない結晶が含まれることを示している。CAAC−OS膜は、2θが31°近傍にピークを示し、2θが36°近傍にピークを示さないことが好ましい。
CAAC−OS膜は、不純物濃度の低い酸化物半導体膜である。不純物は、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などの酸化物半導体膜の主成分以外の元素である。特に、シリコンなどの、酸化物半導体膜を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体膜から酸素を奪うことで酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体膜内部に含まれると、酸化物半導体膜の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。なお、酸化物半導体膜に含まれる不純物は、キャリアトラップやキャリア発生源となる場合がある。
また、CAAC−OS膜は、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜である。例えば、酸化物半導体膜中の酸素欠損は、キャリアトラップとなることや、水素を捕獲することによってキャリア発生源となることがある。
不純物濃度が低く、欠陥準位密度が低い(酸素欠損の少ない)ことを、高純度真性または実質的に高純度真性と呼ぶ。高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリア発生源が少ないため、キャリア密度を低くすることができる。したがって、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、キャリアトラップが少ない。そのため、当該酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性の変動が小さく、信頼性の高いトランジスタとなる。なお、酸化物半導体膜のキャリアトラップに捕獲された電荷は、放出するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、不純物濃度が高く、欠陥準位密度が高い酸化物半導体膜を用いたトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
また、CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。
次に、微結晶酸化物半導体膜について説明する。
微結晶酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において、結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。微結晶酸化物半導体膜に含まれる結晶部は、1nm以上100nm以下、または1nm以上10nm以下の大きさであることが多い。特に、1nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下の微結晶であるナノ結晶(nc:nanocrystal)を有する酸化物半導体膜を、nc−OS(nanocrystalline Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。また、nc−OS膜は、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。
nc−OS膜は、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OS膜は、分析方法によっては、非晶質酸化物半導体膜と区別が付かない場合がある。例えば、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きい径のX線を用いるXRD装置を用いて構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、nc−OS膜に対し、結晶部よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子回折(制限視野電子回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc−OS膜に対し、結晶部の大きさと近いか結晶部より小さいプローブ径の電子線を用いるナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測される。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。また、nc−OS膜に対しナノビーム電子回折を行うと、リング状の領域内に複数のスポットが観測される場合がある。
nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも規則性の高い酸化物半導体膜である。そのため、nc−OS膜は、非晶質酸化物半導体膜よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OS膜は、異なる結晶部間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OS膜は、CAAC−OS膜と比べて欠陥準位密度が高くなる。
次に、非晶質酸化物半導体膜について説明する。
非晶質酸化物半導体膜は、膜中における原子配列が不規則であり、結晶部を有さない酸化物半導体膜である。石英のような無定形状態を有する酸化物半導体膜が一例である。
非晶質酸化物半導体膜は、高分解能TEM像において結晶部を確認することができない。
非晶質酸化物半導体膜に対し、XRD装置を用いた構造解析を行うと、out−of−plane法による解析では、結晶面を示すピークが検出されない。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、電子回折を行うと、ハローパターンが観測される。また、非晶質酸化物半導体膜に対し、ナノビーム電子回折を行うと、スポットが観測されず、ハローパターンが観測される。
なお、酸化物半導体膜は、nc−OS膜と非晶質酸化物半導体膜との間の物性を示す構造を有する場合がある。そのような構造を有する酸化物半導体膜を、特に非晶質ライク酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like Oxide Semiconductor)膜と呼ぶ。
a−like OS膜は、高分解能TEM像において鬆(ボイドともいう。)が観察される場合がある。また、高分解能TEM像において、明確に結晶部を確認することのできる領域と、結晶部を確認することのできない領域と、を有する。a−like OS膜は、TEMによる観察程度の微量な電子照射によって、結晶化が起こり、結晶部の成長が見られる場合がある。一方、良質なnc−OS膜であれば、TEMによる観察程度の微量な電子照射による結晶化はほとんど見られない。
なお、a−like OS膜およびnc−OS膜の結晶部の大きさの計測は、高分解能TEM像を用いて行うことができる。例えば、InGaZnO4の結晶は層状構造を有し、In−O層の間に、Ga−Zn−O層を2層有する。InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有する。よって、これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。そのため、高分解能TEM像における格子縞に着目し、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所においては、それぞれの格子縞がInGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
また、酸化物半導体膜は、構造ごとに密度が異なる場合がある。例えば、ある酸化物半導体膜の組成がわかれば、該組成と同じ組成における単結晶の密度と比較することにより、その酸化物半導体膜の構造を推定することができる。例えば、単結晶の密度に対し、a−like OS膜の密度は78.6%以上92.3%未満となる。また、例えば、単結晶の密度に対し、nc−OS膜の密度およびCAAC−OS膜の密度は92.3%以上100%未満となる。なお、単結晶の密度に対し密度が78%未満となる酸化物半導体膜は、成膜すること自体が困難である。
上記について、具体例を用いて説明する。例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3となる。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、a−like OS膜の密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満となる。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体膜において、nc−OS膜の密度およびCAAC−OS膜の密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満となる。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合がある。その場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成の単結晶に相当する密度を算出することができる。所望の組成の単結晶の密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて算出すればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて算出することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、非晶質酸化物半導体膜、a−like OS膜、微結晶酸化物半導体膜、CAAC−OS膜のうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
以上説明したようにOSトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。
[基板30]
基板30としては、様々な基板を用いることができ、特定のものに限定されることはない。基板30の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板またはシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、またはソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、またはポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、または紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、またはSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、または形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、または回路の高集積化を図ることができる。
ゲート電極(GE1、GE2、GE3)を形成する前に、基板30上に下地絶縁膜を形成してもよい。下地絶縁膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。なお、下地絶縁膜として、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム等を用いることで、基板30から不純物(代表的にはアルカリ金属、水、水素等)が酸化物半導体膜(OS1−OS3)への拡散を抑制することができる。
[ゲート電極(GE1、GE2、GE3)]
ゲート電極(GE1、GE2、GE3)は、単層の導電膜、または2つ以上の導電膜が積層された多層構造の膜である。ゲート電極(GE1、GE2、GE3)として形成される導電膜は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数を組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを含むインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。
例えば、ゲート電極(GE1、GE2、GE3)として、シリコンを含むアルミニウム膜を形成することができる。ゲート電極(GE1、GE2、GE3)を2層構造とする場合は、例えば、アルミニウム膜上にチタン膜を形成する、窒化チタン膜上にチタン膜を形成する、窒化チタン膜上にタングステン膜を形成する、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を形成すればよい。また、ゲート電極(GE1、GE2、GE3)を3層構造とする場合は、例えば、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成すればよい。
スパッタリング法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法、熱CVD法等によりゲート電極(GE1、GE2、GE3)を形成する。
なお、タングステン膜はALDを利用する成膜装置により成膜することができる。この場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次繰り返し導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを用いてタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
ゲート電極GE1−GE3の形成は、上記形成方法の他に、電解メッキ法、印刷法、インクジェット法等で行うことが可能である。
[絶縁膜34(ゲート絶縁膜)]
ゲート電極GE1−GE3を覆って、絶縁膜34を形成する。絶縁膜34は、単層の絶縁膜あるいは2層以上の多層構造の絶縁膜である。絶縁膜34として形成される絶縁膜は、酸化物絶縁膜、窒化物絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、および窒化酸化絶縁膜等が挙げられる。なお、本明細書において、酸化窒化物とは、窒素より酸素の含有量が多い材料であり、窒化酸化物とは酸素より窒素の含有量が多い材料とする。
絶縁膜34として形成される絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物などでなる絶縁膜を形成することができる。また、このような絶縁膜として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料でなる膜を形成することができる。high−k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
絶縁膜34はゲート絶縁膜を構成する膜であるため、酸化物半導体膜(OS1、OS2、OS3)とゲート絶縁膜との界面特性を向上させるため、絶縁膜34においてこれらの層(OS1、OS2、OS3)と接する領域は酸化物絶縁膜あるいは酸化窒化絶縁膜で形成することが好ましい。例えば、絶縁膜34の最上層の膜は、酸化シリコン膜あるいは酸化窒化シリコン膜とすればよい。
絶縁膜34の厚さは、例えば5nm以上400nm以下とすればよい。その厚さは、好ましくは10nm以上300nm以下であり、より好ましくは50nm以上250nm以下である。
スパッタリング法で酸化物半導体膜(OS1、OS2、OS3)を形成する場合、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、希ガスおよび酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガスおよび酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。
また、ターゲットは、形成する酸化物半導体膜(OS1、OS2、OS3)の組成にあわせて、適宜選択すればよい。
なお、酸化物半導体膜(OS1、OS2、OS3)の形成にスパッタリング法を用いる場合、基板温度を150℃以上750℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、さらに好ましくは200℃以上350℃以下とすることで、酸化物半導体膜31−32として、CAAC−OS膜を形成することができる。
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
成膜時の不純物混入を抑制することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上が好ましく、100体積%がより好ましい。
酸化物半導体膜を加熱しながら成膜することで、あるいは酸化物半導体膜を形成した後、加熱処理を行うことで、酸化物半導体膜の水素濃度を2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、5×1018atoms/cm3未満、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下とすることができる。
なお、加熱処理は、350℃より高く650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下で行うことで、後述するCAAC化率が、70%以上100%未満、好ましくは80%以上100%未満、好ましくは90%以上100%未満、より好ましくは95%以上98%以下である酸化物半導体膜を得ることができる。また、水素、水等の含有量が低減された酸化物半導体膜を得ることが可能である。すなわち、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い酸化物半導体膜を形成することができる。
ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体膜を形成することができる。例えばInGaZnOX(X>0)膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次繰り返し導入してInO2層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを用いてGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを用いてZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。また、これらのガスを混ぜてInGaO2層やInZnO2層、GaInO層、ZnInO層、GaZnO層などの混合化合物層を形成してもよい。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングしたH2Oガスを用いてもよいが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。また、In(CH3)3ガスにかえて、In(C2H5)3ガスを用いてもよい。また、Ga(CH3)3ガスにかえて、Ga(C2H5)3ガスを用いてもよい。また、Zn(CH3)2ガスを用いてもよい。
酸化物半導体膜32、および酸化物半導体膜33は、トランジスタのチャネルが形成される膜であり、その膜厚を3nm以上200nm以下とすることができる。それらの厚さは、好ましくは3nm以上100nm以下であり、さらに好ましくは30nm以上50nm以下である。酸化物半導体膜31の膜厚は例えば、3nm以上100nm以下とすることができ、好ましくは3nm以上30nm以下であり、より好ましくは3nm以上15nm以下である。酸化物半導体膜31は、酸化物半導体膜32、酸化物半導体膜33よりも薄く形成することが好ましい。
ここでは、酸化物半導体膜31、32、33として、In−Ga−Zn膜をスパッタリング法で成膜する。これらの成膜に用いられるターゲットの金属元素の原子数比(In:Ga:Zn)は、例えば、酸化物半導体膜31は1:3:6であり、酸化物半導体膜32は3:1:2であり、酸化物半導体膜33は、1:1:1.2または1:1:1とすることができる。また、酸化物半導体膜31、32、33の厚さは、それぞれ、5nm、35nm、35nmとすることができる。
[ソース電極、ドレイン電極]
電極(SE1、DE1、SE2、DE2、SE3、DE3)はゲート電極(GE1、GE2、GE3)と同様に形成することができる。
例えば、厚さ50nmの銅−マンガン合金膜、厚さ400nmの銅膜、および厚さ100nmの銅−マンガン合金膜の順に、これらの膜をスパッタリング法により積層することで、3層構造の電極(SE1、DE1、SE2、DE2、SE3、DE3)を形成することができる。
発光装置の駆動回路などに用いられるトランジスタのように、高速で動作させるトランジスタには、トランジスタ(TA1、TA2)、あるいはトランジスタ(TA3、TA4、TC1)のように、チャネル長を短くすることが好ましい。このようなトランジスタのチャネル長は、2.5μm未満とすることが好ましい。例えば、2.2μm以下とすればよい。本実施の形態のトランジスタでは、チャネル長はソース電極とドレイン電極間の距離で決定されるため、チャネル長の最小値は、電極(SE1、DE1、SE2、DE2、SE3、DE3)となる導電膜を加工する精度で制約される。本実施の形態のトランジスタでは、例えば、チャネル長は0.5μm以上、あるいは1.0μm以上とすることができる。
[絶縁膜35、36]
例えば、『35』としては、2層構造の絶縁膜を形成することができる。ここでは、『35』の1層目の膜を絶縁膜35aと呼び、2層目の膜を絶縁膜35bと呼ぶことにする。
絶縁膜35aとしては、例えば酸化シリコンなどでなる酸化物絶縁膜、あるいは窒素を含み、且つ欠陥量の少ない酸化物絶縁膜を形成することができる。窒素を含み、且つ欠陥量の少ない酸化物絶縁膜の代表例としては、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜等がある。
欠陥の少ない酸化物絶縁膜は、100K以下のESRで測定して得られたスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、およびg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルが観測される。なお、第1のシグナルおよび第2のシグナルのスプリット幅、並びに第2のシグナルおよび第3のシグナルのスプリット幅は、XバンドのESR測定において約5mTである。また、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、およびg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が1×1018spins/cm3未満であり、代表的には1×1017spins/cm3以上1×1018spins/cm3未満である。
なお、100K以下のESRスペクトルにおいてg値が2.037以上2.039以下の第1シグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、およびg値が1.964以上1.966以下の第3のシグナルは、窒素酸化物(NOx、xは0以上2以下、好ましくは1以上2以下)起因のシグナルに相当する。窒素酸化物の代表例としては、一酸化窒素、二酸化窒素等がある。即ち、g値が2.037以上2.039以下の第1のシグナル、g値が2.001以上2.003以下の第2のシグナル、およびg値が1.964以上1.966以下である第3のシグナルのスピンの密度の合計が少ないほど、酸化物絶縁膜に含まれる窒素酸化物の含有量が少ないといえる。
絶縁膜35aが、窒素酸化物の含有量が少ない膜であることで、絶縁膜35aと層(OS1、OS2、OS3)との界面におけるキャリアのトラップを低減することが可能である。この結果、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気的特性の変動を低減することができる。
また、トランジスタの信頼性向上のため、絶縁膜35aは、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定される窒素濃度が6×1020/cm3以下であることが好ましい。それは、トランジスタの作製工程中に絶縁膜35aにおいて、窒素酸化物が生成されにくくなるからである。
絶縁膜35aとして、窒素を含み、且つ欠陥量の少ない酸化物絶縁膜の一例として、CVD法により酸化窒化シリコン膜を形成することができる。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体および酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
また、堆積性気体の流量に対して酸化性気体の流量を20倍より大きく100倍未満、好ましくは40倍以上80倍以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、好ましくは50Pa以下とするCVD法を用いることで、絶縁膜35aとして、窒素を含み、且つ欠陥量の少ない酸化物絶縁膜を形成することができる。
絶縁膜35bとして、例えば、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成することができる。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により酸素の一部が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。
絶縁膜35bとしては、厚さが30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上400nm以下の、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。絶縁膜35bとして、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いて形成する場合、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜として酸化窒化シリコン膜をCVD法を用いて形成することができる。
絶縁膜35bとして、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する場合、次のような条件で成膜を行うことができる。プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上280℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する。
絶縁膜36としては、少なくとも、水素および酸素のブロッキング効果を有する膜を用いる。さらに、好ましくは、酸素、水素、水、アルカリ金属、アルカリ土類金属等のブロッキング効果を有する。代表的には、窒化シリコンなどの窒化物絶縁膜を形成すればよい。窒化シリコン膜の他、窒化酸化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜等も用いることができる。
また、絶縁膜36を構成する膜として酸素、水素、水等に対してブロッキング効果を有する酸化物絶縁膜を設けてもよい。このような酸化物絶縁膜としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
また、絶縁膜36の厚さは50nm以上300nm以下とすればよく、好ましくは100nm以上200nm以下である。酸素、水素、水等に対してブロッキング効果を有する絶縁膜36を形成することで、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33から外部への酸素の拡散を防ぎ、また外部から酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33への水素、水等の侵入を防ぐことができる。
絶縁膜36としてプラズマCVD法により窒化シリコン膜を形成する場合、シリコンを含む堆積性気体、窒素、およびアンモニアを原料ガスとして用いることが好ましい。これらの原料ガスを用いることで、プラズマ中でアンモニアが解離し、活性種が発生する。当該活性種が、シリコンを含む堆積性気体に含まれるシリコンおよび水素の結合、および窒素の三重結合を切断する。この結果、シリコンおよび窒素の結合が促進され、シリコンおよび水素の結合が少なく、欠陥が少なく、緻密な窒化シリコン膜を形成することができる。一方、原料ガスにおいて、窒素に対するアンモニアの量が多いと、シリコンを含む堆積性気体および窒素それぞれの分解が進まず、シリコンおよび水素結合が残存してしまい、欠陥が増大した、且つ粗な窒化シリコン膜が形成されてしまう。これらのため、原料ガスにおいて、アンモニアに対する窒素の流量比を5以上50以下、好ましくは10以上50以下とすることが好ましい。
絶縁膜35を形成した後、加熱処理を行ってもよい。該加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板歪み点未満、好ましくは200℃以上450℃以下、更に好ましくは300℃以上450℃以下とする。当該加熱処理により、絶縁膜35の2層目を構成する酸化物絶縁膜に含まれる酸素を、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33に移動させて、これらに含まれる酸素欠損を低減することができる。加熱処理は、例えば、窒素および酸素を含む混合ガス雰囲気で、加熱温度350℃、加熱時間1時間とすればよい。
また、絶縁膜36を形成した後、酸化物半導体膜31乃至酸化物半導体膜33から水素等を放出させることを目的として加熱処理を行ってもよい。この加熱処理は、例えば、窒素および酸素を含む混合ガス雰囲気で、加熱温度350℃、加熱時間1時間とすればよい。
[バックゲート電極]
バックゲート電極(BGE1、BGE2)はゲート電極(GE1、GE2、GE3)と同様に形成することができる。
以下、トランジスタのいくつかの他の構成例を示す。
(トランジスタTA3、TA4)
図26(A)、図26(B)に、それぞれ、トランジスタTA3、トランジスタTA4の上面図(レイアウト図)と、その回路記号を示す。図27(A)、図27(B)に、トランジスタTA3のa7−a8線およびb7−b8線による断面図、並びにトランジスタTA4のa9−a10線およびb9−b10線による断面図を示す。
トランジスタTA3は、ゲート電極GE4、酸化物半導体膜OS4、ソース電極SE4、ドレイン電極DE4、およびバックゲート電極BGE4を有する。トランジスタTA3は、トランジスタTA1の変形例であり、電極BGE4が、2つの開口CG4、CG5において、電極GE4と接している点がトランジスタTA1と異なり、他はトランジスタTA1と同様である。図27(B)に示すように、チャネル幅方向で、膜OS4が電極GE4と電極BGE4で囲まれており、トランジスタTA3の強度をより向上させることができる。
トランジスタTA4は、ゲート電極GE5、酸化物半導体膜OS5、ソース電極SE5、ドレイン電極DE5、およびバックゲート電極BGE5を有する。トランジスタTA4は、トランジスタTA2の変形例であり、電極BGE5を電極GE5と接続せず、電極BGE5を電極GE5に異なる信号や電位を入力可能としている。例えば、電極GE5にトランジスタTA4の導通状態を制御する信号を入力し、電極BGE5にトランジスタTA4のしきい値電圧を補正するような信号や電位を入力することが可能である。
(トランジスタTC1、TB2、TD1)
図28(A)、図28(B)、図28(C)に、それぞれ、トランジスタTC1、トランジスタTB2、およびトランジスタTD1の上面図(レイアウト図)と、その回路記号を示す。図29(A)、図29(B)に、トランジスタTC1のa11−a12線およびb11b12線による断面図、トランジスタTB2のa13−a14線およびb13−b14線による断面図、並びにトランジスタTD1のa15−a16線およびb15−b16線による断面図を示す。
トランジスタTC1は、ゲート電極GE6、酸化物半導体膜OS6、ソース電極SE6、ドレイン電極DE6、およびバックゲート電極BGE6を有する。電極BGE6は開口CG6において電極GE6に接している。トランジスタTC1は、トランジスタTA1の変形例であり、膜OS6が2層構造としている。膜OS6は、『32』と『33』とでなる。トランジスタTC1もトランジスタTA1と同様に、チャネル形成領域が『32』で構成されるトランジスタである。そのため、トランジスタTC1も、トランジスタTA1と同程度に高い電界効果移動のトランジスタであり、代表的には、電界効果移動度が10cm2/Vsより大きく60cm2/Vs未満、好ましくは15cm2/Vs以上50cm2/Vs未満のトランジスタである。よって、トランジスタTC1もトランジスタTA1と同様に、駆動回路のような高速動作させるトランジスタに好適である。
トランジスタTB2は、ゲート電極GE7、酸化物半導体膜OS7、ソース電極SE7、ドレイン電極DE7、およびバックゲート電極BGE7を有する。電極BGE7は開口CG7において電極GE7に接している。トランジスタTB2は、トランジスタTB1の変形例であり、電極BGE7を有する点でトランジスタTB2と異なる。トランジスタTB2は、電極GE7と接続された電極BGE7を有しているため、トランジスタTB1よりもオン電流が高く、また機械的な強度が向上されている。
トランジスタTD1は、ゲート電極GE8、酸化物半導体膜OS8、ソース電極SE8、およびドレイン電極DE8を有する。トランジスタTD1は、トランジスタTB1の変形例であり、膜OS8全体が電極GE8に重なっており、電極GE8の端部の外側にある部分を有していない。このように、トランジスタTD1は、膜OS8がトランジスタTB1よりも光に曝されにくい構造となっているため、画素部のトランジスタに好適である。
なお、トランジスタTA1、トランジスタTA2およびトランジスタTB1を構成する膜(絶縁膜、酸化物半導体膜、金属酸化物膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法を用いて形成することができる。あるいは、塗布法や印刷法で形成することができる。成膜方法としては、スパッタリング法、プラズマ化学気相堆積(PECVD)法が代表的であるが、熱CVD法でもよい。熱CVD法の例として、MOCVD(有機金属化学堆積)法やALD(原子層成膜)法を使ってもよい。
熱CVD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行う。このように、熱CVD法は、プラズマを発生させない成膜方法であるため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
また、ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスが順次にチャンバーに導入され、そのガス導入の順序を繰り返すことで成膜を行う。例えば、それぞれのスイッチングバルブ(高速バルブともよぶ)を切り替えて2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給し、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスと同時またはその後に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)などを導入し、第2の原料ガスを導入する。なお、同時に不活性ガスを導入する場合には、不活性ガスはキャリアガスとなり、また、第2の原料ガスの導入時にも同時に不活性ガスを導入してもよい。また、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着して第1の単原子層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスと反応して、第2の単原子層が第1の単原子層上に積層されて薄膜が形成される。
このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入順序を繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なトランジスタを作製する場合に適している。
<トランジスタの構成例2>
本発明の一態様にかかる表示装置に用いられるトランジスタは、非晶質、微結晶、多結晶または単結晶である、シリコンまたはゲルマニウムなどの半導体膜または半導体基板に、チャネル形成領域を有していても良い。シリコンの薄膜を用いてトランジスタを形成する場合、当該薄膜には、プラズマCVD法などの気相成長法若しくはスパッタリング法で作製された非晶質シリコン、非晶質シリコンをレーザーアニールなどの処理により結晶化させた多結晶シリコン、単結晶シリコンウェハに水素イオン等を注入して表層部を剥離した単結晶シリコンなどを用いることができる。
図30(A)、(B)に、本発明の一態様にかかる表示装置に用いることができる、薄膜のシリコン膜を用いたトランジスタの断面図を例示する。図30(A)、(B)では、nチャネル型のトランジスタ70と、pチャネル型のトランジスタ71とを示す。
トランジスタ70は、絶縁表面を有する基板72上に、ゲートとして機能する導電膜73と、導電膜73上の絶縁膜74と、絶縁膜74を間に介して導電膜73と重畳する半導体膜75と、半導体膜75上の絶縁膜76と、絶縁膜76を間に介して半導体膜75と重畳し、なおかつゲートとして機能する導電膜77aおよび導電膜77bと、導電膜77aおよび導電膜77b上の絶縁膜78と、絶縁膜78上の絶縁膜79と、絶縁膜78および絶縁膜79に設けられた開口において半導体膜75に電気的に接続され、なおかつソースまたはドレインとして機能する導電膜80および導電膜81とを有する。
導電膜77bは、チャネル長方向の長さが導電膜77aよりも短く、導電膜77aおよび導電膜77bは、絶縁膜76側から順に積層されている。また、半導体膜75は、導電膜77bと重畳する位置にチャネル形成領域82と、チャネル形成領域82を間に挟むように位置する一対のLDD(Light Doped Drain)領域83と、チャネル形成領域82、LDD領域83を間に挟むように位置する一対の不純物領域84とを有する。一対の不純物領域84はソース領域またはドレイン領域として機能する。また、LDD領域83、および不純物領域84は、n型の導電型を半導体膜75に付与する不純物元素、例えば、リン(P)、ヒ素(As)等が添加されている。
また、トランジスタ71は、絶縁表面を有する基板72上に、ゲートとして機能する導電膜85と、導電膜85上の絶縁膜74と、絶縁膜74を間に介して導電膜85と重畳する半導体膜86と、半導体膜86上の絶縁膜76と、絶縁膜76を間に介して半導体膜86と重畳し、なおかつゲートとして機能する導電膜87aおよび導電膜87bと、導電膜87aおよび導電膜87b上の絶縁膜78と、絶縁膜78上の絶縁膜79と、絶縁膜78および絶縁膜79に設けられた開口において半導体膜86に電気的に接続され、なおかつソースまたはドレインとして機能する導電膜88および導電膜89とを有する。
導電膜87bは、チャネル長方向の長さが導電膜87aよりも短く、導電膜87aおよび導電膜87bは、絶縁膜76側から順に積層されている。また、半導体膜75は、導電膜87bと重畳する位置にチャネル形成領域90と、チャネル形成領域90を間に挟むように位置する一対の不純物領域91とを有する。一対の不純物領域91はソース領域またはドレイン領域として機能する。また、不純物領域91は、p型の導電型を半導体膜86に付与する不純物元素、例えば、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)等が添加されている。
なお、半導体膜75または半導体膜86は、様々な技術により結晶化しても良い。様々な結晶化方法として、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法がある。或いは、触媒元素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法とを組み合わせて用いることもできる。また、基板72として石英のような耐熱性に優れている基板を用いる場合、電熱炉を使用した熱結晶化方法、赤外光を用いたランプアニール結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法、950℃程度の高温アニールを組み合わせた結晶化法を用いても良い。
なお図30(A)では、ゲートとして機能する導電膜77a、77bと、バックゲート電極として機能する導電膜73を有する構成を示しているが、他の構成でもよい。例えば、図30(B)に図示するように、バックゲート電極として機能する導電膜73を省略してもよい。また、図30(A)では、ゲートとして機能する導電膜87a、87bと、バックゲート電極として機能する導電膜73を有する構成を示しているが、他の構成でもよい。例えば、図30(B)に図示するように、バックゲート電極として機能する導電膜85を省略してもよい。なお図30(B)の構造は、OSトランジスタに適用可能である。
また、図51(A)には、図30(A)に示すnチャネル型のトランジスタ70に対応する、トランジスタ70Aの上面図を示す。図51(B)は、トランジスタ70Aのチャネル長方向を表すL1−L2線による断面図である。図51(C)は、トランジスタ70Aのチャネル幅方向を表すW1−W2線による断面図である。
図51(A)では、導電膜77、導電膜73、半導体膜75、導電膜80、導電膜81、開口93、開口94、開口95および開口96を示している。導電膜77は、ゲートとして機能する。導電膜73はバックゲートとして機能する。図51(A)での説明において、同じ符号を付した構成の詳細については、図30(A)での説明と同様であるため、ここでは省略する。開口93、94は、半導体膜75と、導電膜80、導電膜81とを接続するための開口である。開口95、96は、導電膜77と、導電膜73と電気的に接続するための開口である。
図51(B)では、基板72上に、導電膜73と、絶縁膜74と、絶縁膜74を間に介して導電膜73と重畳する半導体膜75と、半導体膜75上の絶縁膜76と、絶縁膜76を間に介して半導体膜75と重畳し、なおかつゲートとして機能する導電膜77aおよび導電膜77bと、導電膜77aおよび導電膜77b上の絶縁膜78と、絶縁膜78上の絶縁膜79と、絶縁膜78および絶縁膜79に設けられた開口93、94において半導体膜75に電気的に接続され、なおかつソースまたはドレインとして機能する導電膜80および導電膜81とが設けられている。半導体膜75は、チャネル形成領域82と、LDD領域83と、チャネル形成領域82と、不純物領域84とを有する。図51(B)での説明において、同じ符号を付した構成の詳細については、図30(A)での説明と同様であるため、ここでは省略する。
図51(C)では、基板72上に、導電膜73と、絶縁膜74と、チャネル形成領域82と、絶縁膜76と、開口95、96において導電膜73に電気的に接続された導電膜77aおよび導電膜77bと、導電膜77aおよび導電膜77b上の絶縁膜78と、絶縁膜78上の絶縁膜79とが設けられている。図51(C)での説明において、同じ符号を付した構成の詳細については、図30(A)での説明と同様であるため、ここでは省略する。
図51(A)乃至(C)に示す上面図及び断面図の構成では、ゲートである導電膜77、導電膜77と電気的に接続されたバックゲートである導電膜73によって、半導体膜75のチャネル形成領域82のチャネル幅方向を電気的に取り囲む構造としている。つまり当該構造は、チャネル形成領域の上面、下面及び側面から、チャネル形成領域を包み込む構造とすることができる。そのため、オン電流を高めることができ、チャネル幅方向のサイズ縮小を図ることができる。また、チャネル形成領域を導電膜で取り囲む構成とするため、チャネル形成領域の遮光を容易に行うことができ、チャネル形成領域に意図しない光が照射されることによる光励起を抑制することができる。
また図51(A)乃至(C)に示す上面図及び断面図の構成では、半導体層75におけるW1−W2方向での側端部における意図しない導電性の上昇による導通状態を抑制することができる。また半導体層75内に添加した不純物元素の分布ばらつきの影響を小さくすることができる。
また図51(A)乃至(C)に示す上面図及び断面図の構成では、ゲートとバックゲートとを電気的に接続する構成としたが、別々の電圧とする構成も有効である。当該構成は、特にnチャネル型のみで構成する回路とする際に有効である。つまり、バックゲートに電圧を印加することでトランジスタの閾値電圧を制御できるため、閾値電圧の異なるトランジスタでED−MOSでインバータ回路などのロジック回路を構成することができる。このようなロジック回路を、画素を駆動するための駆動回路に適用することで駆動回路が占める面積を縮小することができるため、表示装置の狭額縁化を実現することができる。また、バックゲートの電圧をトランジスタがオフになるような電圧にすることで、トランジスタをオフ状態にした際のオフ電流をより小さくすることができる。そのため、表示装置のリフレッシュレートを大きくしても、書き込んだ電圧を保持し続けさせることができる。そのため、書き込み回数を少なくすることによる表示装置の低消費電力化を見込むことができる。
なお図51(A)乃至(C)に示す上面図及び断面図は、一例であり他の構成とすることもできる。例えば、図52(A)乃至(C)に図51(A)乃至(C)とは異なる上面図及び断面図を示す。
図52(A)乃至(C)に示す構成が、図51(A)乃至(C)に示す構成と異なる点は、ゲートとなる導電層77を単層で形成している点にある。また開口95,96の位置を、よりチャネル形成領域82側に近づけた点にある。このようにすることで、チャネル形成領域の上面、下面及び側面から、チャネル形成領域に向けて電界をかけやすくすることができる。また、当該構成としても、図51(A)乃至(C)と同様の効果を奏することができる。
また別の構成として、図53(A)乃至(C)に図51(A)乃至(C)、及び図52(A)乃至(C)とは異なる上面図及び断面図を示す。
図53(A)乃至(C)に示す構成が、図51(A)乃至(C)、及び図52(A)乃至(C)に示す構成と異なる点は、バックゲートとなる導電層73を導電膜73aおよび導電膜73bで構成し、導電膜73bを導電膜73aで取り囲む構造としている点にある。当該構成としても、図51(A)乃至(C)と同様の効果を奏することができる。
加えて図53(A)乃至(C)の構成では、導電膜73bに可動性の元素(例えば、銅(Cu))を用いた場合においても、可動性の元素が半導体層75に進入し半導体層75が劣化することを防止できる。
なお配線の被形成面にある、バリア膜として機能する導電膜73aの材料としては、高融点材料であるタングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)のいずれか、あるいはその合金(例えば、W‐Mo、Mo‐Cr、Ta‐Mo)、あるいはその窒化物(例えば、窒化タングステン(WNx)、窒化チタン(TiNx)、窒化タンタル(TaNx)、TiSiNx)等を用いることができる。形成方法としてはスパッタ法、CVD法等を用いることができる。また導電膜73bの材料としては、銅(Cu)が好ましいが、低抵抗材料であれば特に限られない。例えば、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、及びそれらの合金等を用いることもできる。導電膜73bを形成する方法としてはスパッタ法が好ましいが、レジストマスク102にダメージを与えない条件を選択することで、CVD法を用いることもできる。
<トランジスタを画素に適用したレイアウト>
次いで図31乃至図35では、上記トランジスタを適用できる画素の上面図およびその断面図の一例について説明する。
[上面図1について]
図31(A)には、図8(B)で図示した画素100Cに対応する上面図の一例を示す。また図31(B)には、画素100Cに積層して設ける発光素子104について、図31(A)と分けて示したものである。
図31(A)に示す上面図では、トランジスタ101A、トランジスタ102、キャパシタ103、キャパシタ105を図示している。また、図31(A)に示す上面図では、ゲート線GL、データ線DL、電流供給線PL、容量線CSLを図示している。また、図31(A)に示す上面図では、開口CH1、開口CH2を図示している。
図31(B)に示す上面図では、発光素子のアノード側電極として機能する電極PE、隔壁層RLを図示している。また発光層、発光素子のカソード側の電極として機能する電極は、省略しているが、隔壁層RLの開口に設けられる。なお電極PE、発光層、発光素子のカソード側の電極として機能する電極が重なる領域を発光素子104として図示している。
図31(A)、(B)に示す上面図に付した一点鎖線A−A´、一点鎖線B−B´、および一点鎖線C−C´の断面模式図について、図32(A)乃至(C)に示す。
図32(A)乃至(C)では、基板301、絶縁膜303、ゲート電極305、絶縁膜307、半導体膜309、電極311、絶縁膜313、絶縁膜315、絶縁膜317、電極PE、隔壁層RL、発光層323、電極325、開口CH1、開口CH2を図示している。
絶縁膜303は、下地膜としての機能を有する。絶縁膜307は、ゲート絶縁膜としての機能を有する。電極311は、ソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。絶縁膜317は平坦化膜としての機能を有する。電極PEは、反射電極としての機能を有していてもよい。なおトランジスタを構成する構成の詳細は、上述したトランジスタの構成例1を参照すればよい。
開口CH1は、絶縁膜303に設けられる。開口CH1は、ゲート電極305が設けられる層と、電極311が設けられる層とを接続するための開口である。開口CH2は、絶縁膜313、絶縁膜315、および絶縁膜317に設けられる。開口CH2は、電極PEが設けられる層と、電極311が設けられる層とを接続するための開口である。
なお半導体膜の大きさは、発光素子が発光する色毎に異ならせる構成としてもよい。例えば、図33(A)では、赤色を発光する画素100C_R、緑色を発光する画素100C_G、青色を発光する画素100C_Bを図示している。赤色を発光する画素100C_Rはトランジスタ102Rを有する。緑色を発光する画素100C_Gはトランジスタ102Gを有する。青色を発光する画素100C_Bはトランジスタ102Rを有する。その他の構成は、画素ごとに同じでもよいし、異ならせてもよい。
トランジスタ102R、トランジスタ102G、およびトランジスタ102Bでは、電極間の距離L1、L2、L3を異ならせる構成とする。このようにすることで、発光素子に流れる電流を各色で調整することができる。その結果、表示品位に優れた表示装置とすることができる。
なおキャパシタ103とキャパシタ105のキャパシタンスは、発光素子が発光する色毎に、大きさの比を異ならせる構成としてもよい。例えば、図33(B)では、図33(A)と同様に、赤色を発光する画素100C_R、緑色を発光する画素100C_G、青色を発光する画素100C_Bを図示している。
赤色を発光する画素100C_Rは、ゲート電極305が設けられる層と、電極311が設けられる層とが重なって設けられるキャパシタC103Rを有する。また赤色を発光する画素100C_Rは、ゲート電極305が設けられる層と、電極311が設けられる層とが重なって設けられるキャパシタC105Rを有する。同様に、緑色を発光する画素100C_Gは、キャパシタC103GおよびキャパシタC105Gを有する。同様に、青色を発光する画素100C_Bは、キャパシタC103BおよびキャパシタC105Bを有する。
図33(B)に示すように、キャパシタC103RとキャパシタC105Rの面積の比は、キャパシタC103GとキャパシタC105Gの面積の比、およびキャパシタC103BとキャパシタC105Bの面積の比と異ならせることが好ましい。このようにすることで、データ電圧書き込み期間でキャパシタンスの比によって変化する発光素子のアノード側の電位の上昇を各色で調整することができる。その結果、表示品位に優れた表示装置とすることができる。
[上面図3について]
図34(A)には、図8(A)で図示した画素100Bに対応する上面図の一例を示す。また図34(B)には、画素100Bに積層して設ける発光素子104について、図34(A)と分けて示したものである。
図34(A)に示す上面図では、トランジスタ101A、トランジスタ102、キャパシタ103、キャパシタ105を図示している。また、図34(A)に示す上面図では、ゲート線GL、データ線DL、電流供給線PLを図示している。また、図34(A)に示す上面図では、開口CH1、開口CH2、開口CH3、開口CH4を図示している。
図34(B)に示す上面図では、発光素子のアノード側電極として機能する電極PE、隔壁層RLを図示している。また発光層、発光素子のカソード側の電極として機能する電極は、省略しているが、電極PEと重なる隔壁層RLの開口に設けられる。なお電極PE、発光層、発光素子のカソード側の電極として機能する電極が重なる領域を発光素子104として図示している。また図34(B)に示す上面図では、隔壁層RLに設けられる開口を開口CH5として図示している。
図34(A)、(B)に示す上面図に付した一点鎖線A−A´、一点鎖線B−B´、および一点鎖線C−C´の断面模式図について、図35(A)乃至(C)に示す。
図35(A)乃至(C)では、基板301、絶縁膜303、ゲート電極305、絶縁膜307、半導体膜309、電極311、絶縁膜313、絶縁膜315、絶縁膜317、電極PE、電極319、隔壁層RL、発光層323、電極325、開口CH1、開口CH2、開口CH3、開口CH4、開口CH5を図示している。
絶縁膜303は、下地膜としての機能を有する。絶縁膜307は、ゲート絶縁膜としての機能を有する。電極311は、ソース電極およびドレイン電極としての機能を有する。絶縁膜317は平坦化膜としての機能を有する。電極PEは、反射電極としての機能を有していてもよい。なおトランジスタを構成する構成の詳細は、上述したトランジスタの構成例1を参照すればよい。
開口CH1は、絶縁膜303に設けられる。開口CH1は、ゲート電極305が設けられる層と、電極311が設けられる層とを接続するための開口である。開口CH2は、絶縁膜313、絶縁膜315、および絶縁膜317に設けられる。開口CH2は、電極PEが設けられる層と、電極311が設けられる層とを接続するための開口である。開口CH3は、絶縁膜303に設けられる。開口CH1は、ゲート電極305が設けられる層と、電極311が設けられる層とを接続するための開口である。開口CH4は、絶縁膜313、絶縁膜315、および絶縁膜317に設けられる。開口CH4は、電極PEが設けられる層と、電極311が設けられる層とを接続するための開口である。開口CH5は、隔壁層RLに設けられる。開口CH5は、電極PEが設けられる層と、電極325が設けられる層とを接続するための開口である。
なお図34、図35に示す上面図および断面模式図の構成において、半導体膜の大きさは、図33(A)と同様に、発光素子が発光する色毎に異ならせる構成としてもよい。また、図34、図35に示す上面図および断面模式図の構成において、キャパシタ103および105の面積の比は、図33(B)と同様に、発光素子が発光する色毎に異ならせる構成としてもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態では、表示装置の作製方法の一例について図36乃至図38を用いて説明する。特に本実施の形態では、可撓性を有する表示装置の作製方法について説明する。
<表示装置の作製方法1>
まず、基板462上に絶縁膜420を形成し、絶縁膜420上に第1の素子層410を形成する(図36(A)参照)。第1の素子層410には、半導体素子が設けられている。或いは、第1の素子層410には、半導体素子に加え、表示素子、または画素電極などの表示素子の一部が設けられていても良い。
基板462としては、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板462として用いてもよい。
基板462にガラス基板を用いる場合、基板462と絶縁膜420との間に、酸化シリコン膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜、窒化酸化シリコン膜等の絶縁膜を形成すると、ガラス基板からの汚染を防止でき、好ましい。
絶縁膜420には、例えば、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の有機樹脂膜を用いることができる。中でもポリイミド樹脂を用いると耐熱性が高いため好ましい。絶縁膜420として、例えば、ポリイミド樹脂を用いる場合、該ポリイミド樹脂の膜厚は、3nm以上20μm以下、好ましくは500nm以上2μm以下である。絶縁膜420として、ポリイミド樹脂を用いる場合、スピンコート法、ディップコート法、ドクターブレード法等により形成することができる。例えば、絶縁膜420としてポリイミド樹脂を用いる場合、ドクターブレード法により、当該ポリイミド樹脂を用いた膜の一部を除去することで、所望の厚さを有する絶縁膜420を得ることができる。
なお、第1の素子層410は、その作製工程における温度が室温以上300℃以下であると好ましい。例えば、第1の素子層410に含まれる、無機材料を用いた絶縁膜または導電膜は、成膜温度が150℃以上300℃以下、さらには200℃以上270℃以下で形成されることが好ましい。また、第1の素子層410に含まれる、有機樹脂材料を用いた絶縁膜等は、成膜温度が室温以上100℃以下で形成されると好ましい。
また、第1の素子層410に含まれるトランジスタの酸化物半導体膜には、前述したCAAC−OSを用いることが好ましい。当該トランジスタの酸化物半導体膜にCAAC−OSを用いると、例えば、表示装置400を折り曲げる際に、チャネル形成領域にクラック等が入りづらく、曲げに対する耐性を高めることが可能となる。
また、第1の素子層410に含まれる導電膜として、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いると、表示装置400を折り曲げる際に、当該導電膜にクラック等が入りづらくなるため、好ましい。
次に、第1の素子層410と、仮支持基板466とを、剥離用接着剤464を用いて接着し、基板462から絶縁膜420と第1の素子層410を剥離する。これにより、絶縁膜420と第1の素子層410は、仮支持基板466側に設けられる(図36(B)参照)。
仮支持基板466としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよいし、フィルムのような可撓性基板を用いてもよい。
剥離用接着剤464としては、水や溶媒に可溶なものや、紫外線などの照射により可塑化させることが可能であるもののように、必要時に仮支持基板466と素子層410とを化学的もしくは物理的に分離することが可能な接着剤を用いる。
なお、仮支持基板466への転置工程は、様々な方法を適宜用いることができる。例えば、基板462の絶縁膜420が形成されていない側、すなわち図36(B)に示す下方側より絶縁膜420にレーザ光468を照射することで、絶縁膜420を脆弱化させることで基板462と絶縁膜420を剥離することができる。また、上記レーザ光468の照射エネルギー密度を調整することで、基板462と絶縁膜420の密着性が高い領域と、基板462と絶縁膜420の密着性が低い領域を作り分けてから剥離してもよい。
なお、本実施の形態においては、基板462と絶縁膜420の界面で剥離する方法について例示したが、これに限定されない。例えば、絶縁膜420と第1の素子層410との界面で剥離してもよい。
また、基板462と絶縁膜420との界面に液体を浸透させて基板462から絶縁膜420を剥離してもよい。または、絶縁膜420と第1の素子層410との界面に液体を浸透させて絶縁膜420から第1の素子層410を剥離してもよい。上記液体としては、例えば、水、極性溶媒等を用いることができる。絶縁膜420を剥離する界面、具体的には基板462と絶縁膜420との界面または絶縁膜420と第1の素子層410との界面に液体を浸透させることによって、第1の素子層410に与えられる剥離に伴い発生する静電気等の影響を抑制することができる。
次に、接着層418を用いて、絶縁膜420に第1の基板401を接着させる(図36(C)参照)。
次に、剥離用接着剤464を溶解または可塑化させて、第1の素子層410から剥離用接着剤464および仮支持基板466を取り外す(図36(D)参照)。
なお、第1の素子層410の表面が露出するように剥離用接着剤464を水や溶媒などで除去すると好ましい。
以上により、第1の基板401上に第1の素子層410を作製することができる。
次に、図36(A)乃至図36(D)に示す工程と同様の形成方法により、第2の基板405と、第2の基板405上の接着層412と、接着層412上の絶縁膜440と、第2の素子層411と、を形成する(図37(A)参照)。
第2の素子層411が有する絶縁膜440としては、絶縁膜420と同様の材料、ここでは有機樹脂を用いて形成することができる。
次に、第1の素子層410と第2の素子層411の間に、封止層432を充填し、第1の素子層410と第2の素子層411と、を貼り合わせる(図37(B)参照)。
封止層432により、例えば、固体封止させることができる。ただし、封止層432としては、可撓性を有する構成が好ましい。封止層432としては、例えば、ガラスフリットなどのガラス材料や、二液混合型の樹脂などの常温で硬化する硬化樹脂、光硬化性の樹脂、熱硬化性の樹脂などの樹脂材料を用いることができる。
以上により、表示装置400を作製することができる。
<表示装置の作製方法2>
次いで、本発明の一態様にかかる表示装置400の別の作製方法について、図38を用いて説明する。なお、図38では、絶縁膜420および絶縁膜440として無機絶縁膜を用いる構成について説明する。
まず、基板462上に剥離層463を形成する。次に、剥離層463上に絶縁膜420を形成し、絶縁膜420上に第1の素子層410を形成する(図38(A)参照)。
剥離層463としては、例えば、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、シリコンから選択された元素、該元素を含む合金材料、または該元素を含む化合物材料を含み、単層または積層された構造を用いることができる。また、シリコンを含む層の場合、該シリコンを含む層の結晶構造としては、非晶質、微結晶、多結晶、単結晶のいずれでもよい。
剥離層463は、スパッタリング法、PECVD法、塗布法、印刷法等により形成できる。なお、塗布法は、スピンコーティング法、液滴吐出法、ディスペンス法を含む。
剥離層463が単層構造の場合、タングステン、モリブデン、またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成することが好ましい。また、タングステンの酸化物もしくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物もしくは酸化窒化物を含む層、またはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物もしくは酸化窒化物を含む層を形成してもよい。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
また、剥離層463として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化物で形成される絶縁層を形成することで、タングステン層と絶縁層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。また、タングステンを含む層の表面を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、亜酸化窒素(N2O)プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。またプラズマ処理や加熱処理は、酸素、窒素、亜酸化窒素単独、あるいは該ガスとその他のガスとの混合気体雰囲気下で行ってもよい。上記プラズマ処理や加熱処理により、剥離層463の表面状態を変えることにより、剥離層463と後に形成される絶縁膜420との密着性を制御することが可能である。
絶縁膜420には、例えば、酸化シリコン膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの透湿性の低い無機絶縁膜を用いることができる。上記無機絶縁膜は、例えば、スパッタリング法、PECVD法等を用いて形成することができる。
次に、第1の素子層410と、仮支持基板466とを、剥離用接着剤464を用いて接着し、剥離層463から絶縁膜420と第1の素子層410を剥離する。これにより、絶縁膜420と第1の素子層410は、仮支持基板466側に設けられる(図38(B)参照)。
なお、仮支持基板466への転置工程は、様々な方法を適宜用いることができる。例えば、剥離層463と絶縁膜420との界面に金属酸化膜を含む層を形成した場合は、該金属酸化膜を結晶化により脆弱化して、剥離層463から絶縁膜420を剥離することができる。また、剥離層463をタングステン膜で形成した場合は、アンモニア水と過酸化水素水の混合溶液によりタングステン膜をエッチングしながら剥離を行ってもよい。
また、剥離層463と絶縁膜420との界面に液体を浸透させて剥離層463から絶縁膜420を剥離してもよい。上記液体としては、例えば、水、極性溶媒等を用いることができる。絶縁膜420を剥離する界面、具体的には剥離層463と絶縁膜420との界面に液体を浸透させることによって、第1の素子層410に与えられる剥離に伴い発生する静電気等の影響を抑制することができる。
次に、絶縁膜420に接着層418を用いて第1の基板401を接着する(図38(C)参照)。
次に、剥離用接着剤464を溶解または可塑化させて、第1の素子層410から剥離用接着剤464と仮支持基板466を取り除く(図38(D)参照)。
なお、第1の素子層410の表面が露出するように剥離用接着剤464を水や溶媒などで除去すると好ましい。
以上により、第1の基板401上に第1の素子層410を作製することができる。
次に、図38(A)乃至図38(D)に示す工程と同様の形成方法により、第2の基板405と、第2の基板405上の接着層412と、接着層412上の絶縁膜440と、第2の素子層411と、を形成する。その後、第1の素子層410と第2の素子層411の間に、封止層432を充填し、第1の素子層410と第2の素子層411と、を貼り合わせる。
最後に、接続電極360に異方性導電膜380とFPC408を貼り付ける。必要があればICチップなどを実装させてもよい。
以上により、表示装置400を作製することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、本発明の一態様の表示装置、および該表示装置に入力装置を取り付けた電子機器について、図39乃至図44を用いて説明を行う。
<タッチパネルに関する説明>
なお、本実施の形態において、電子機器の一例として、表示装置と、入力装置とを合わせたタッチパネル2000について説明する。また、入力装置の一例として、タッチセンサを用いる場合について説明する。
図39(A)(B)は、タッチパネル2000の斜視図である。なお、図39(A)(B)において、明瞭化のため、タッチパネル2000の代表的な構成要素を示す。
タッチパネル2000は、表示装置2501とタッチセンサ2595とを有する(図39(B)参照)。また、タッチパネル2000は、基板2510、基板2570、および基板2590を有する。なお、基板2510、基板2570、および基板2590はいずれも可撓性を有する。ただし、基板2510、基板2570、および基板2590のいずれか一つまたは全てが可撓性を有さない構成としてもよい。
表示装置2501は、基板2510上に複数の画素および該画素に信号を供給することができる複数の配線2511を有する。複数の配線2511は、基板2510の外周部にまで引き回され、その一部が端子2519を構成している。端子2519はFPC2509(1)と電気的に接続する。
基板2590は、タッチセンサ2595と、タッチセンサ2595と電気的に接続する複数の配線2598とを有する。複数の配線2598は、基板2590の外周部に引き回され、その一部は端子を構成する。そして、該端子はFPC2509(2)と電気的に接続される。なお、図39(B)では明瞭化のため、基板2590の裏面側(基板2510と対向する面側)に設けられるタッチセンサ2595の電極や配線等を実線で示している。
タッチセンサ2595として、例えば静電容量方式のタッチセンサを適用できる。静電容量方式としては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等がある。
投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
なお、図39(B)に示すタッチセンサ2595は、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用した構成である。
なお、タッチセンサ2595には、指等の検知対象の近接または接触を検知することができる、様々なセンサを適用することができる。
投影型静電容量方式のタッチセンサ2595は、電極2591と電極2592とを有する。電極2591は、複数の配線2598のいずれかと電気的に接続し、電極2592は複数の配線2598の他のいずれかと電気的に接続する。
電極2592は、図39(A)(B)に示すように、一方向に繰り返し配置された複数の四辺形が角部で接続される形状を有する。
電極2591は四辺形であり、電極2592が延在する方向と交差する方向に繰り返し配置されている。
配線2594は、電極2592を挟む二つの電極2591と電気的に接続する。このとき、電極2592と配線2594の交差部の面積ができるだけ小さくなる形状が好ましい。これにより、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、透過率のバラツキを低減できる。その結果、タッチセンサ2595を透過する光の輝度のバラツキを低減することができる。
なお、電極2591および電極2592の形状はこれに限定されず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極2591をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極2592を、電極2591と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極2592の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
なお、電極2591、電極2592、配線2598などの導電膜、つまり、タッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料として、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛等を有する透明導電膜(例えば、ITOなど)が挙げられる。また、タッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料として、例えば、抵抗値が低い方が好ましい。一例として、銀、銅、アルミニウム、カーボンナノチューブ、グラフェン、ハロゲン化金属(ハロゲン化銀など)などを用いてもよい。さらに、非常に細くした(例えば、直径が数ナノメール)複数の導電体を用いて構成されるような金属ナノワイヤを用いてもよい。または、導電体を網目状にした金属メッシュを用いてもよい。一例としては、Agナノワイヤ、Cuナノワイヤ、Alナノワイヤ、Agメッシュ、Cuメッシュ、Alメッシュなどを用いてもよい。例えば、タッチパネルを構成する配線や電極にAgナノワイヤを用いる場合、可視光において透過率を89%以上、シート抵抗値を40Ω/cm2以上100Ω/cm2以下とすることができる。また、上述したタッチパネルを構成する配線や電極に用いることのできる材料の一例である、金属ナノワイヤ、金属メッシュ、カーボンナノチューブ、グラフェンなどは、可視光において透過率が高いため、表示素子に用いる電極(例えば、画素電極または共通電極など)として用いてもよい。
<表示装置に関する説明>
次に、図40(A)、(B)を用いて、表示装置2501の詳細について説明する。図40(A)、(B)は、図39(B)に示す一点鎖線X1−X2間の断面図に相当する。
表示装置2501は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。該画素は表示素子と、該表示素子を駆動する画素回路とを有する。
なお、図40(A)に示す断面図では、白色の光を射出するEL素子を表示素子として適用する場合について図示しているが、EL素子はこれに限定されない。例えば、図40(B)に図示するように、隣接する画素毎に射出する光の色が異なるように、発光色が異なるEL素子を画素毎に塗り分ける構成とすることもできる。以下の説明では、白色の光を射出するEL素子を表示素子として適用する場合を一例として挙げて説明する。
基板2510および基板2570としては、例えば、水蒸気の透過率が10−5g/(m2・day)以下、好ましくは10−6g/(m2・day)以下である可撓性を有する材料を好適に用いることができる。または、基板2510の熱膨張率と、基板2570の熱膨張率とが、およそ等しい材料を用いると好適である。例えば、線膨張率が1×10−3/K以下、好ましくは5×10−5/K以下、より好ましくは1×10−5/K以下である材料を好適に用いることができる。
なお、基板2510は、EL素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2510aと、可撓性基板2510bと、絶縁層2510aおよび可撓性基板2510bを貼り合わせる接着層2510cと、を有する積層体である。また、基板2570は、EL素子への不純物の拡散を防ぐ絶縁層2570aと、可撓性基板2570bと、絶縁層2570aおよび可撓性基板2570bを貼り合わせる接着層2570cと、を有する積層体である。
接着層2510cおよび接着層2570cとしては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミド等)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、もしくはシロキサン結合を有する樹脂含む材料を用いることができる。
また、基板2510と基板2570との間に封止層2560を有する。封止層2560は、空気より大きい屈折率を有すると好ましい。また、図40(A)に示すように、封止層2560側に光を取り出す場合は、封止層2560は光学素子を兼ねることができる。
また、封止層2560の外周部にシール材を形成してもよい。当該シール材を用いることにより、基板2510、基板2570、封止層2560、およびシール材で囲まれた領域にEL素子2550を有する構成とすることができる。なお、封止層2560として、不活性気体(窒素やアルゴン等)を充填してもよい。また、当該不活性気体内に、乾燥材を設けて、水分等を吸着させる構成としてもよい。また、上述のシール材としては、例えば、エポキシ系樹脂やガラスフリットを用いるのが好ましい。また、シール材に用いる材料としては、水分や酸素を透過しない材料を用いると好適である。
また、図40(A)に示す表示装置2501は、画素2505を有する。また、画素2505は、発光モジュール2580と、EL素子2550と、EL素子2550に電力を供給することができるトランジスタ2502tと、を有する。なお、トランジスタ2502tは、画素回路の一部として機能する。
また、発光モジュール2580は、EL素子2550と、着色層2567とを有する。また、EL素子2550は、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極との間にEL層とを有する。
また、封止層2560が光を取り出す側に設けられている場合、封止層2560は、EL素子2550と着色層2567に接する。なお着色層2567は、発光色が異なるEL素子を画素毎に塗り分けた場合、図40(B)に図示するように省略することも可能である。
着色層2567は、EL素子2550と重なる位置にある。これにより、EL素子2550が発する光の一部は着色層2567を透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580の外部に射出される。
また、表示装置2501には、光を射出する方向に遮光層2568が設けられる。遮光層2568は、着色層2567を囲むように設けられている。
着色層2567としては、特定の波長帯域の光を透過する機能を有していればよく、例えば、赤色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、緑色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、青色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタ、黄色の波長帯域の光を透過するカラーフィルタなどを用いることができる。各カラーフィルタは、様々な材料を用いて、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィ技術を用いたエッチング方法などで形成することができる。
また、表示装置2501には、絶縁層2521が設けられる。絶縁層2521はトランジスタ2502t等を覆う。なお、絶縁層2521は、画素回路に起因する凹凸を平坦化するための機能を有する。また、絶縁層2521に不純物の拡散を抑制できる機能を付与してもよい。これにより、不純物の拡散によるトランジスタ2502t等の信頼性の低下を抑制できる。
また、EL素子2550は、絶縁層2521の上方に形成される。また、EL素子2550が有する下部電極には、該下部電極の端部に重なる隔壁2528が設けられる。なお、基板2510と、基板2570との間隔を制御するスペーサを、隔壁2528上に形成してもよい。
また、ゲート線駆動回路2504は、トランジスタ2503tと、容量素子2503cとを有する。なお、駆動回路を画素回路と同一の工程で同一基板上に形成することができる。
また、基板2510上には、信号を供給することができる配線2511が設けられる。また、配線2511上には、端子2519が設けられる。また、端子2519には、FPC2509(1)が電気的に接続される。また、FPC2509(1)は、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を供給する機能を有する。なお、FPC2509(1)にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。
なお、トランジスタ2502tおよびトランジスタ2503tのいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用すればよい。本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し結晶性が高い酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ状態における電流値(オフ電流値)を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を抑制する効果を奏する。なお、リフレッシュ動作の詳細については、後述する。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置2501に用いることで、画素回路のスイッチングトランジスタと、駆動回路に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素回路においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
<タッチセンサに関する説明>
次に、図41を用いて、タッチセンサ2595の詳細について説明する。図41は、図39(B)に示す一点鎖線X3−X4間の断面図に相当する。
タッチセンサ2595は、基板2590上に千鳥状に配置された電極2591および電極2592と、電極2591および電極2592を覆う絶縁層2593と、隣り合う電極2591を電気的に接続する配線2594とを有する。
電極2591および電極2592は、透光性を有する導電材料を用いて形成する。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。なお、グラフェンを含む膜を用いることもできる。グラフェンを含む膜は、例えば膜状に形成された酸化グラフェンを含む膜を還元して形成することができる。還元する方法としては、熱を加える方法等を挙げることができる。
例えば、透光性を有する導電性材料を基板2590上にスパッタリング法により成膜した後、フォトリソグラフィ法等の様々なパターニング技術により、不要な部分を除去して、電極2591および電極2592を形成することができる。
また、絶縁層2593に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
また、電極2591に達する開口が絶縁層2593に設けられ、配線2594が隣接する電極2591と電気的に接続する。透光性の導電性材料は、タッチパネルの開口率を高めることができるため、配線2594に好適に用いることができる。また、電極2591および電極2592より導電性の高い材料は、電気抵抗を低減できるため配線2594に好適に用いることができる。
電極2592は、一方向に延在し、複数の電極2592がストライプ状に設けられている。また、配線2594は電極2592と交差して設けられている。
一対の電極2591が1つの電極2592を挟んで設けられる。また、配線2594は一対の電極2591を電気的に接続している。
なお、複数の電極2591は、1つの電極2592と必ずしも直交する方向に配置される必要はなく、0度を超えて90度未満の角度をなすように配置されてもよい。
また、配線2598は、電極2591または電極2592と電気的に接続される。また、配線2598の一部は、端子として機能する。配線2598としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、またはパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
なお、絶縁層2593および配線2594を覆う絶縁層を設けて、タッチセンサ2595を保護してもよい。
また、接続層2599は、配線2598とFPC2509(2)を電気的に接続させる。
接続層2599としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
<タッチパネルに関する説明>
次に、図42(A)を用いて、タッチパネル2000の詳細について説明する。図42(A)は、34(A)に示す一点鎖線X5−X6間の断面図に相当する。
図42(A)に示すタッチパネル2000は、図40(A)で説明した表示装置2501と、図41で説明したタッチセンサ2595と、を貼り合わせた構成である。
また、図42(A)に示すタッチパネル2000は、図40(A)で説明した構成の他、接着層2597と、反射防止層2569と、を有する。
接着層2597は、配線2594と接して設けられる。なお、接着層2597は、タッチセンサ2595が表示装置2501に重なるように、基板2590を基板2570に貼り合わせている。また、接着層2597は、透光性を有すると好ましい。また、接着層2597としては、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂を用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、またはシロキサン系樹脂を用いることができる。
反射防止層2569は、画素に重なる位置に設けられる。反射防止層2569として、例えば円偏光板を用いることができる。
次に、図42(A)に示す構成と異なる構成のタッチパネルについて、図42(B)を用いて説明する。
図42(B)は、タッチパネル2001の断面図である。図42(B)に示すタッチパネル2001は、図42(A)に示すタッチパネル2000と、表示装置2501に対するタッチセンサ2595の位置が異なる。ここでは異なる構成について詳細に説明し、同様の構成を用いることができる部分は、タッチパネル2000の説明を援用する。
着色層2567は、EL素子2550の下方に位置する。また、図42(B)に示すEL素子2550は、トランジスタ2502tが設けられている側に光を射出する。これにより、EL素子2550が発する光の一部は、着色層2567を透過して、図中に示す矢印の方向の発光モジュール2580の外部に射出される。
また、タッチセンサ2595は、表示装置2501の基板2510側に設けられている。
接着層2597は、基板2510と基板2590の間にあり、表示装置2501とタッチセンサ2595を貼り合わせる。
図42(A)(B)に示すように、発光素子から射出される光は、基板2510および基板2570のいずれか一方または双方を通して射出されればよい。
<タッチパネルの駆動方法に関する説明>
次に、タッチパネルの駆動方法の一例について、図43を用いて説明を行う。
図43(A)は、相互容量方式のタッチセンサの構成を示すブロック図である。図43(A)では、パルス電圧出力回路2601、電流検出回路2602を示している。なお、図43(A)では、パルス電圧が与えられる電極2621をX1−X6として、電流の変化を検知する電極2622をY1−Y6として、それぞれ6本の配線で例示している。また、図43(A)は、電極2621と、電極2622とが重畳することで形成される容量2603を示している。なお、電極2621と電極2622とはその機能を互いに置き換えてもよい。
パルス電圧出力回路2601は、X1−X6の配線に順にパルスを印加するための回路である。X1−X6の配線にパルス電圧が印加されることで、容量2603を形成する電極2621と電極2622との間に電界が生じる。この電極間に生じる電界が遮蔽等により容量2603の相互容量に変化を生じさせることを利用して、被検知体の近接、または接触を検出することができる。
電流検出回路2602は、容量2603での相互容量の変化による、Y1〜Y6の配線での電流の変化を検出するための回路である。Y1−Y6の配線では、被検知体の近接、または接触がないと検出される電流値に変化はないが、検出する被検知体の近接、または接触により相互容量が減少する場合には電流値が減少する変化を検出する。なお電流の検出は、積分回路等を用いて行えばよい。
次に、図43(B)には、図43(A)で示す相互容量方式のタッチセンサにおける入出力波形のタイミングチャートを示す。図43(B)では、1フレーム期間で各行列での被検知体の検出を行うものとする。また図43(B)では、被検知体を検出しない場合(非タッチ)と被検知体を検出する場合(タッチ)との2つの場合について示している。なおY1−Y6の配線については、検出される電流値に対応する電圧値とした波形を示している。
X1−X6の配線には、順にパルス電圧が与えられ、該パルス電圧にしたがってY1−Y6の配線での波形が変化する。被検知体の近接または接触がない場合には、X1−X6の配線の電圧の変化に応じてY1−Y6の波形が一様に変化する。一方、被検知体が近接または接触する箇所では、電流値が減少するため、これに対応する電圧値の波形も変化する。
このように、相互容量の変化を検出することにより、被検知体の近接または接触を検知することができる。
<センサ回路に関する説明>
また、図43(A)ではタッチセンサとして配線の交差部に容量2603のみを設けるパッシブ型のタッチセンサの構成を示したが、トランジスタと容量とを有するアクティブ型のタッチセンサとしてもよい。アクティブ型のタッチセンサに含まれるセンサ回路の一例を図44に示す。
図44に示すセンサ回路は、容量2603と、トランジスタ2611と、トランジスタ2612と、トランジスタ2613とを有する。
トランジスタ2613はゲートに信号G2が与えられ、ソースまたはドレインの一方に電圧VRESが与えられ、他方が容量2603の一方の電極およびトランジスタ2611のゲートと電気的に接続する。トランジスタ2611は、ソースまたはドレインの一方がトランジスタ2612のソースまたはドレインの一方と電気的に接続し、他方に電圧VSSが与えられる。トランジスタ2612は、ゲートに信号G1が与えられ、ソースまたはドレインの他方が配線MLと電気的に接続する。容量2603の他方の電極には電圧VSSが与えられる。
次に、図44に示すセンサ回路の動作について説明する。まず、信号G2としてトランジスタ2613をオン状態とする電位が与えられることで、トランジスタ2611のゲートが接続されるノードnに電圧VRESに対応した電位が与えられる。次に、信号G2としてトランジスタ2613をオフ状態とする電位が与えられることで、ノードnの電位が保持される。
続いて、指等の被検知体の近接または接触により、容量2603の相互容量が変化することに伴い、ノードnの電位がVRESから変化する。
読み出し動作は、信号G1にトランジスタ2612をオン状態とする電位を与える。ノードnの電位に応じてトランジスタ2611に流れる電流、すなわち配線MLに流れる電流が変化する。この電流を検出することにより、被検知体の近接または接触を検出することができる。
トランジスタ2611、トランジスタ2612、およびトランジスタ2613に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。とくにトランジスタ2613に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することにより、ノードnの電位を長期間に亘って保持することが可能となり、ノードnにVRESを供給しなおす動作(リフレッシュ動作)の頻度を減らすことができる。
(実施の形態5)
本実施の形態においては、本発明の一態様の表示装置がとりうる表示方法について、図45乃至図48を用いて説明を行う。
なお、本発明の一態様の表示装置は、情報処理部、演算部、記憶部、表示部、および入力部等を有していてもよい。
また、本発明の一態様の表示装置において、同一画像(静止画像)を連続して表示する場合、同一画像の信号を書き込む回数(リフレッシュするともいう)を低減することで、消費電力の低減を図ることができる。なお、リフレッシュを行う頻度をリフレッシュレート(走査周波数、垂直同期周波数ともいう)という。以下では、リフレッシュレートを低減し、目の疲労が少ない表示装置について説明する。
目の疲労には、神経系の疲労と、筋肉系の疲労の2種類がある。神経系の疲労は、表示装置の発光、点滅画面を、長時間見続けることで、その明るさが眼の網膜や神経、脳を刺激して疲れさせるものである。筋肉系の疲労は、ピント調節のときに使用する毛様体の筋肉を酷使することにより疲れさせるものである。
図45(A)に、従来の表示装置の表示を表す模式図を示す。図45(A)に示すように、従来の表示装置では、1秒間に60回の画像の書き換えが行われている。このような画面を長時間見続けることにより、使用者の眼の網膜や神経、脳を刺激して眼の疲労が引き起こされるおそれがあった。
本発明の一態様の表示装置においては、表示装置の画素部に、酸化物半導体を用いたトランジスタ、例えば、CAAC−OSを用いたトランジスタを適用する。当該トランジスタのオフ電流は、極めて小さい。従って、表示装置のリフレッシュレートを下げても、表示装置の輝度の維持が可能となる。
つまり、図45(B)に示すように、例えば、5秒間に1回の画像の書き換えが可能となるため、極力長い時間同じ映像を見ることが可能となり、使用者に視認される画面のちらつきが低減される。これにより、使用者の眼の網膜や神経、脳の刺激が低減され、神経系の疲労が軽減される。
また、図46(A)に示すように、1画素のサイズが大きい場合(例えば精細度が150ppi未満の場合)、表示装置に表示された文字はぼやけてしまう。表示装置に表示されたぼやけた文字を長時間見続けると、毛様体の筋肉が、絶えずピントを合わせようと動いているにもかかわらず、ピントが合わせづらい状態が続くことになり、目に負担をかけてしまうおそれがある。
これに対し、図46(B)に示すように、本発明の一態様に係る表示装置では、1画素のサイズが小さく高精細な表示が可能となるため、緻密で滑らかな表示とすることができる。これにより、毛様体の筋肉が、ピントを合わせやすくなるため、使用者の筋肉系の疲労が軽減される。表示装置の解像度を150ppi以上、好ましくは200ppi以上、さらに好ましくは300ppi以上とすることにより、使用者の筋肉系の疲労を効果的に低減することができる。
なお、目の疲労を定量的に測定する方法が検討されている。例えば、神経系の疲労の評価指標としては、臨界融合周波数(CFF:Critical Flicker(Fusion) Frequency)などが知られている。また、筋肉系の疲労の評価指標としては、調節時間や調節近点距離などが知られている。
そのほか、目の疲労を評価する方法として、脳波測定、サーモグラフィ法、瞬きの回数の測定、涙液量の評価、瞳孔の収縮反応速度の評価や、自覚症状を調査するためのアンケート等がある。
例えば、上記の様々な方法により、本発明の一態様の表示装置の駆動方法を評価することができる。
<表示装置の表示方法>
ここで、本発明の一態様の表示装置の表示方法について、図47を用いて説明する。
[イメージ情報の表示例]
以下では、2つの異なるイメージ情報を含む画像を移動させて表示する例について示す。
図47(A)には、表示部450にウィンドウ451と、ウィンドウ451に表示された静止画像である第1の画像452aが表示されている例を示している。
このとき、第1のリフレッシュレートで表示を行っていることが好ましい。なお、第1のリフレッシュレートとしては、1.16×10−5Hz(1日に約1回の頻度)以上1Hz以下、または2.78×10−4Hz(1時間に約1回の頻度)以上0.5Hz以下、または1.67×10−2Hz(1分間に約1回の頻度)以上0.1Hz以下とすることができる。
このように、第1のリフレッシュレートを極めて小さい値に設定し、画面の書き換えの頻度を低減することで、実質的にちらつきを生じない表示を実現でき、より効果的に使用者の目の疲労を低減することができる。
なお、ウィンドウ451は、例えば画像表示アプリケーションソフトを実行することにより表示され、画像を表示する表示領域を含む。
また、ウィンドウ451の下部には、異なるイメージ情報に表示を切り替えるためのボタン453を有する。使用者がボタン453を選択する操作を行うことにより、画像を移動させる命令を表示装置の情報処理部に与えることができる。
なお、使用者の操作方法は入力手段に応じて設定すればよい。例えば入力手段として表示部450に重ねて設けられたタッチパネルを用いる場合には、指やスタイラス等によりボタン453をタッチする操作や、画像をスライドさせるようなジェスチャ入力を行うことにより操作することができる。ジェスチャ入力や音声入力を用いる場合には、必ずしもボタン453を表示しなくてもよい。
画像を移動させる命令を表示装置の情報処理部が受け取ると、ウィンドウ451内に表示された画像の移動が開始される(図47(B))。
なお、図47(A)の時点で第1のリフレッシュレートで表示を行っていた場合には、画像の移動の前に、リフレッシュレートを第2のリフレッシュレートに変更すると好ましい。第2のリフレッシュレートは、動画像の表示を行うために必要な値である。例えば、第2のリフレッシュレートは、30Hz以上960Hz以下、好ましくは60Hz以上960Hz以下、より好ましくは75Hz以上960Hz以下、より好ましくは120Hz以上960Hz以下、より好ましくは240Hz以上960Hz以下とすることができる。
第2のリフレッシュレートを、第1のリフレッシュレートよりも高い値に設定することにより、動画像をより滑らかに自然に表示することができる。また書き換えに伴うちらつき(フリッカともいう)が使用者に視認されることが抑制されるため、使用者の目の疲労を低減できる。
このとき、ウィンドウ451内に表示される画像は、第1の画像452aと、次に表示すべき第2の画像452bとが結合された画像である。ウィンドウ451内には、この結合された画像が一方向(ここでは左方向)に移動するように、一部の領域が表示される。
また、結合された画像の移動と共に、ウィンドウ451内に表示された画像の輝度が初期(図47(A)の時点)の輝度に比べて段階的に低下する。
図47(C)は、ウィンドウ451内に表示された画像が、所定座標に到達した時点を示している。したがって、この時点でウィンドウ451内に表示された画像の輝度が最も低い。
なお、図47(C)では、所定座標として、第1の画像452aと第2の画像452bのそれぞれが、半分ずつ表示されている座標としたが、これに限られず、使用者が自由に設定可能とすることが好ましい。
例えば、画像の初期座標から最終座標までの距離に対する、初期座標からの距離の比が0より大きく、1未満である座標を所定座標に設定すればよい。
また、画像が所定座標に達した時の輝度についても、使用者が自由に設定可能とすることが好ましい。例えば、画像が所定座標に達した時の輝度の、初期の輝度に対する比が0以上1未満、好ましくは0以上0.8以下、より好ましくは0以上0.5以下などに設定すればよい。
続いて、ウィンドウ451内には、結合された画像が移動しながら輝度が段階的に上昇するように表示される(図47(D)。
図47(E)は、結合された画像の座標が最終座標に達した時点を示している。ウィンドウ451内には、第2の画像452bのみが、初期の輝度と等しい輝度で表示されている。
なお、画像の移動が完了した後に、リフレッシュレートを第2のリフレッシュレートから、第1のリフレッシュレートに変更することが好ましい。
このような表示を行うことにより、画像の移動を使用者が目で追ったとしても、該画像の輝度が低減されているため、使用者の目の疲労を低減することができる。したがって、このような駆動方法を用いることにより、目にやさしい表示を実現できる。
[文書情報の表示例]
次に、表示ウィンドウの大きさよりも大きな文書情報をスクロールさせて表示する例について説明する。
図48(A)には、表示部450にウィンドウ455と、ウィンドウ455に表示された静止画像である文書情報456の一部が表示されている例を示している。
このとき、上記の第1のリフレッシュレートで表示を行っていることが好ましい。
ウィンドウ455は、例えば文書表示アプリケーションソフト、文書作成アプリケーションソフトなどを実行することにより表示され、文書情報を表示する表示領域を含む。
文書情報456は、その画像の大きさがウィンドウ455の表示領域よりも縦方向に大きい。したがってウィンドウ455には、その一部の領域のみが表示されている。また、図48(A)に示すように、ウィンドウ455は、文書情報456のどの領域が表示されているかを示すスクロールバー457を備えていてもよい。
入力部により画像を移動させる命令(ここでは、スクロール命令ともいう)が表示装置に与えられると、文書情報456の移動が開始される(図48(B))。また、表示される画像の輝度が段階的に低下する。
なお、図48(A)の時点で第1のリフレッシュレートで表示を行っていた場合には、文書情報456の移動の前に、リフレッシュレートを第2のリフレッシュレートに変更すると好ましい。
ここでは、ウィンドウ455内に表示される画像の輝度だけでなく、表示部450に表示される画像全体の輝度が低下する様子を示している。
図48(C)は、文書情報456の座標が所定座標に達した時点を示している。このとき、表示部450に表示される画像全体の輝度は最も低くなる。
続いて、ウィンドウ455内には、文書情報456が移動しながら表示される(図48(D))。このとき、表示部450に表示される画像全体の輝度は段階的に上昇する。
図48(E)は、文書情報456の座標が最終座標に達した時点を示している。ウィンドウ455内には、文書情報456の初期に表示された領域とは異なる領域が、初期の輝度と等しい輝度で表示される。
なお、文書情報456の移動が完了した後に、リフレッシュレートを第1のリフレッシュレートに変更することが好ましい。
このような表示を行うことにより、画像の移動を使用者が目で追ったとしても、該画像の輝度が低減されているため、使用者の目の疲労を低減することができる。したがって、このような駆動方法を用いることにより、目にやさしい表示を実現できる。
特に、文書情報などのコントラストの高い表示は、使用者の目の疲労がより顕著になるため、文書情報の表示にこのような駆動方法を適用することはより好ましい。
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した画素を有する表示装置の外観、および表示装置を具備する電子機器の一例について説明する。
<表示装置の外観>
図49(A)は、表示装置の外観の一例を示す、斜視図である。図49(A)に示す表示装置は、パネル1601と、コントローラ、電源回路、画像処理回路、画像メモリ、CPUなどが設けられた回路基板1602と、接続部1603とを有している。パネル1601は、画素が複数設けられた画素部1604と、複数の画素を行ごとに選択する駆動回路1605と、選択された行内の画素へのデータ電圧の入力を制御する駆動回路1606とを有する。
回路基板1602から、接続部1603を介して、各種信号と、電源の電位とが、パネル1601に入力される。接続部1603には、FPC(Flexible Printed Circuit)などを用いることができる。FPCにチップを実装したものをCOFテープと呼び、COFテープを用いると、より小さい面積でより高密度の実装を行うことができる。また、接続部1603にCOFテープを用いる場合、回路基板1602内の一部の回路、或いはパネル1601が有する駆動回路1605や駆動回路1606の一部などを別途用意したチップに形成しておき、COF(Chip On Film)法を用いて当該チップをCOFテープに接続しておいても良い。
また、COFテープ1607を用いた表示装置の外観の一例を示す斜視図を図49(B)に示す。
チップ1608は、バンプなどの端子を表面に有する半導体ベアチップ(IC、LSIなど)である。さらに、COFテープ1607に、CR部品も実装でき、回路基板1602の面積縮小も図れる。フレキシブル基板の配線パターンは、実装するチップの端子に対応して複数形成される。チップ1608は、ボンダー装置などにより、配線パターンを有するフレキシブル基板上に位置決めして配置し、熱圧着することによって実装される。
図49(B)には一つのチップ1608を実装した一つのCOFテープ1607の例を示したが特に限定されない。1つのCOFテープ1607の片面または両面に複数列のチップを実装することができるが、コスト削減のためには、実装するチップ数を少なくするため一列とすることが好ましく、さらに好ましくは1個とすることが望ましい。
<電子機器の構成例>
次いで、表示装置を備えた電子機器について説明する。
本発明の一態様に係る表示装置は、表示装置、ノート型パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る表示装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図50に示す。
図50(A)は表示装置であり、筐体5001、表示部5002、支持台5003等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5002に用いることができる。なお、表示装置には、パーソナルコンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示装置が含まれる。
図50(B)は携帯情報端末であり、筐体5101、表示部5102、操作キー5103等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5102に用いることができる。
図50(C)は表示装置であり、曲面を有する筐体5701、表示部5702等を有する。本発明の一態様に係る表示装置に可撓性を有する基板を用いることで、曲面を有する筐体5701に支持された表示部5702に、当該表示装置を用いることができ、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い表示装置を提供することができる。
図50(D)は携帯型ゲーム機であり、筐体5301、筐体5302、表示部5303、表示部5304、マイクロホン5305、スピーカー5306、操作キー5307、スタイラス5308等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5303または表示部5304に用いることができる。表示部5303または表示部5304に本発明の一態様に係る表示装置を用いることで、ユーザーの使用感に優れ、品質の低下が起こりにくい携帯型ゲーム機を提供することができる。なお、図50(D)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5303と表示部5304とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。
図50(E)は電子書籍であり、筐体5601、表示部5602等を有する。本発明の一態様に係る表示装置は、表示部5602に用いることができる。そして、可撓性を有する基板を用いることで、表示装置に可撓性を持たせることができるので、フレキシブルかつ軽くて使い勝手の良い電子書籍を提供することができる。
図50(F)は携帯電話であり、筐体5901に、表示部5902、マイク5907、スピーカー5904、カメラ5903、外部接続部5906、操作用のボタン5905が設けられている。表示部5902に、本発明の一態様に係る表示装置を用いることできる。また、本発明の一態様に係る表示装置を、可撓性を有する基板に形成した場合、図50(F)に示すような曲面を有する表示部5902に当該表示装置を適用することが可能である。
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、および実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
<実施の形態で述べた本発明の一態様に関する付記>
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、互い構成例を適宜組み合わせることが可能である。
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、および/または、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、または置き換えなどを行うことが出来る。
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、または明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、および/または、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
また、各実施の形態において本発明の一態様を説明したが、本発明の一態様はこれらに限定されない。例えば、本発明の一態様として実施の形態2では、トランジスタ102などのトランジスタのチャネル形成領域が、酸化物半導体あるいはシリコンを有する場合の例を示したが、本発明の一態様は、これに限定されない。場合によっては、または、状況に応じて、本発明の一態様における様々なトランジスタ、トランジスタのチャネル形成領域、または、トランジスタのソースドレイン領域などは、様々な半導体を有していてもよい。例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、または、有機半導体などの少なくとも一つを有していてもよい。
<図面を説明する記載に関する付記>
本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化する。そのため、配置を示す語句は、明細書で説明した記載に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立したブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわたって一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、説明の便宜上任意の大きさに示したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、または、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
また、図面において、上面図(平面図、レイアウト図ともいう)や斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
<言い換え可能な記載に関する付記>
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、ソースとドレインとの一方を、「ソースまたはドレインの一方」(または第1電極、または第1端子)と表記し、ソースとドレインとの他方を「ソースまたはドレインの他方」(または第2電極、または第2端子)と表記している。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造または動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電圧(接地電圧)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与える電位を変化させる場合がある。
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
なお本明細書等において、1つの画素に2つのトランジスタおよび一つの容量素子を備えた2T−1C構造の回路構成を示しているが、本実施の形態はこれに限定されない。1つの画素に3つ以上のトランジスタおよび3つ以上の容量素子を有する回路構成とすることもでき、別途の配線がさらに形成されて、多様な回路構成としてもよい。
<語句の定義に関する付記>
以下では、上記実施の形態中で言及しなかった語句の定義について説明する。
[スイッチについて]
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。または、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
一例としては、電気的スイッチまたは機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、またはこれらを組み合わせた論理回路などがある。
なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡されているとみなせる状態をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
機械的なスイッチの一例としては、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)のように、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
[チャネル長について]
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲートとが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとの間の距離をいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
[チャネル幅について]
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。
なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際にチャネルの形成される実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅当たりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
[画素について]
本明細書等において、画素とは、例えば、明るさを制御できる要素一つ分を示すものとする。よって、一例としては、一画素とは、一つの色要素を示すものとし、その色要素一つで明るさを表現する。従って、そのときは、R(赤)G(緑)B(青)の色要素からなるカラー表示装置の場合には、画像の最小単位は、Rの画素とGの画素とBの画素との三画素から構成されるものとする。
なお、色要素は、三色に限定されず、それ以上でもよく、例えば、RGBW(Wは白)や、RGBに、イエロー、シアン、マゼンタを追加したものなどがある。
[表示素子について]
本明細書等において、発光素子104などの表示素子とは、電気的作用または磁気的作用により、コントラスト、輝度、反射率、透過率などが変化する表示媒体を有するものである。表示素子の一例としては、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、LEDチップ(白色LEDチップ、赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、青色LEDチップなど)、トランジスタ(電流に応じて発光するトランジスタ)、電子放出素子、カーボンナノチューブを用いた表示素子、液晶素子、電子インク、エレクトロウェッティング素子、電気泳動素子、プラズマディスプレイ(PDP)、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子(例えば、グレーティングライトバルブ(GLV)、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、DMS(デジタル・マイクロ・シャッター)、MIRASOL(登録商標)、IMOD(インターフェアレンス・モジュレーション)素子、シャッター方式のMEMS表示素子、光干渉方式のMEMS表示素子、圧電セラミックディスプレイなど)、カーボンナノチューブ、、または、量子ドットなど、がある。EL素子を用いた表示装置の一例としては、ELディスプレイなどがある。電子放出素子を用いた表示装置の一例としては、フィールドエミッションディスプレイ(FED)又はSED方式平面型ディスプレイ(SED:Surface−conduction Electron−emitter Display)などがある。液晶素子を用いた表示装置の一例としては、液晶ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイ、半透過型液晶ディスプレイ、反射型液晶ディスプレイ、直視型液晶ディスプレイ、投射型液晶ディスプレイ)などがある。電子インク、電子粉流体(登録商標)、又は電気泳動素子を用いた表示装置の一例としては、電子ペーパーなどがある。量子ドットを各画素に用いた表示装置の一例としては、量子ドットディスプレイなどがある。なお、量子ドットは、表示素子としてではなく、バックライトの一部に設けてもよい。量子ドットを用いることにより、色純度の高い表示を行うことができる。なお、半透過型液晶ディスプレイや反射型液晶ディスプレイを実現する場合には、画素電極の一部、または、全部が、反射電極としての機能を有するようにすればよい。例えば、画素電極の一部、または、全部が、アルミニウム、銀、などを有するようにすればよい。さらに、その場合、反射電極の下に、SRAMなどの記憶回路を設けることも可能である。これにより、さらに、消費電力を低減することができる。なお、LEDチップを用いる場合、LEDチップの電極や窒化物半導体の下に、グラフェンやグラファイトを配置してもよい。グラフェンやグラファイトは、複数の層を重ねて、多層膜としてもよい。このように、グラフェンやグラファイトを設けることにより、その上に、窒化物半導体、例えば、結晶を有するn型GaN半導体層などを容易に成膜することができる。さらに、その上に、結晶を有するp型GaN半導体層などを設けて、LEDチップを構成することができる。なお、グラフェンやグラファイトと、結晶を有するn型GaN半導体層との間に、AlN層を設けてもよい。なお、LEDチップが有するGaN半導体層は、MOCVDで成膜してもよい。ただし、グラフェンを設けることにより、LEDチップが有するGaN半導体層は、スパッタ法で成膜することも可能である。また、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)を用いた表示素子においては、表示素子が封止されている空間(例えば、表示素子が配置されている素子基板と、素子基板に対向して配置されている対向基板との間)に、乾燥剤を配置してもよい。乾燥剤を配置することにより、MEMSなどが水分によって動きにくくなることや、劣化しやすくなることを防止することができる。
[接続について]
本明細書等において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1を介して(または介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2を介して(または介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トランジスタのソース(または第1の端子など)とトランジスタのドレイン(または第2の端子など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタのソース(または第1の端子など)からトランジスタのドレイン(または第2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)からトランジスタのソース(または第1の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。