しかしながら、従来の技術によれば、動画情報や表示情報等のコンテンツを構成する情報に対して何らかの処理を施すために挿入されたり付加されたりする「付加情報」は送信装置側で予め設定されそのまま配信されていた。つまり、特許文献1に記載された映像データ多重化装置にあっては、動画に対して予め付加データを挿入しこれをそのまま配信することによって、既に作成済みのMPEG−TSに対しても簡単に付加データのプライベートデータを組込みことができ、また、特許文献2に記載されたコンテンツ配信システムにあっては、表示情報に予め設定しそのまま配信されるタイミングデータに基づいて、受信側で表示情報の再生、表示が行われる。そして、それぞれプレイベートデータ、タイミングデータが「付加情報」とされていた。
  よって、これらの付加情報はリアルタイムに付加されるものではないので、例えば、アーティストの生中継(ライブ中継)において、アンコールが発生した時などには対応できない。つまり、アーティストが演奏する楽曲の音声情報とその楽曲に関連する画像情報(この場合、画像情報が「付加情報」)を配信することを想定すると、音声情報については、アーティストが演奏する演奏状況をマイクロフォンで捕えてこれを配信することは可能であるが、曲に関連する画像情報は予め設定しておくことができない。アンコールでは演奏する曲はその場で決められるからである。つまり、従来の技術にあっては、リアルタイムに付加情報を設定することはできなかった。
  本発明は、音声情報(主情報)とこれに付加する付加情報(副情報)とを配信する際に、この付加情報をリアルタイムに設定可能とした送信装置、受信装置およびプログラムを提供することを目的とする。
  従来のストリーミング配信では、音声情報とその他の付加情報(例えばタイミング情報、静止画情報、文字情報等の付加情報)を別ファイルとして扱ってきた。今、静止画情報を音声情報に付加して送信する場合を想定する。例えば、オーケストラの曲でバイオリンのソロが始まった時点で、バイオリン奏者の肖像画像等の静止画情報を送信する場合、従来にあっては、予め用意した静止画情報を音声情報と組み合わせたデータを曲毎に一つのファイルとして纏めて送信していた。これは、映画に日本語字幕をつける作業の様なもので、映画が完成してないと字幕をつけることができないように、楽曲の演奏が終了するまで情報を追加することができなかった。これに対して、本発明にあっては、字幕表示とは異なり、リアルタイムで情報を付加することを目的としており、映画の字幕と対比するなら同時通訳のようなものである。
本発明は、音声情報とこれに付加する付加情報とを含む配信単位であるセグメントをストリーミング配信可能な送信装置であって、
  前記音声情報をデジタル化した情報に対して、供給された前記付加情報を組み込んでセグメントを生成するマージ処理手段と、
  前記マージ処理手段によって生成されたセグメントをエンコードするエンコード手段と、
  前記エンコード手段でエンコードされたセグメントを送信する送信手段と、  操作手段の操作によって与えられる付加情報を受け取り、これを前記マージ処理手段に供給する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
  この構成によれば、マージ処理手段は、音声情報をデジタル化した情報に対して、供給された前記付加情報を組み込んで配信単位であるセグメントを生成し、次いで、エンコード手段は、この生成されたセグメントをエンコードし、更に、送信手段は、エンコードされたセグメントを送信する。そして、制御手段は、送信装置に備えられたキーボード等の操作手段の操作によって与えられる付加情報を受け取り、これをマージ処理手段に供給する。
  よって、操作手段の操作(例えば登録ボタンの登録操作)によって付加情報が与えられるとこれがマージ処理手段に供給されるので、付加情報を与えることを欲したタイミングで付加情報を音声情報に付加することが可能となる。つまり、音声情報とこれに付加する付加情報を配信する際に、この付加情報をリアルタイムに設定することが可能となる。その結果、例えば、楽曲を演奏するアーティストのライブ中継において、楽曲の音声情報とその楽曲に関連する付加情報を配信することを想定すると、アンコールが発生した時などにも付加情報を変更付加することが可能となる。
つまり、アンコール時には、次に演奏する楽曲が急遽決定するので、この急遽な決定に対しても、操作手段を操作することによって、この急遽決定した楽曲に対応する付加情報を設定可能とする。このための付加情報には色々あるが、例えば付加情報としてURL(Uniform Resource Locater)を送信すれば、受信側で受信セグメントからURLを抽出し、ブラウザがURLを利用してインターネットの閲覧情報を得て、これを楽曲と対応付けること等が挙げられる。
また、前記制御手段は更に、
前記操作手段の操作によって付加情報を受け取った時点に対応するタイミングで、付加情報が組み込まれたセグメントの送信を所定数個のセグメント毎に繰り返して行う繰り返し送信制御手段を備えた構成を採用するのが好ましい。この構成によれば、操作手段の操作によって付加情報を受け取った時点に対応するタイミング(即ち、新たな付加情報を付加することを示す登録ボタンをクリックする操作が行われたタイミング)で、所定数個のセグメント毎に繰り返して、付加情報が組み込まれたセグメントの送信が行われるので、組み込まれた付加情報が確実に配信可能となる。このため、受信装置側においても、付加情報の受信ミス等が少なくなる。
本発明の他の態様は、音声情報とこれに付加する付加情報とを含む配信単位であるセグメントがストリーミング配信されるのを受信可能な装置であり、前記付加情報は送信装置側の操作手段の操作により前記音声情報に付加されこれを受ける受信装置にして、
前記セグメントを受信する受信手段と、
前記受信手段が受信したセグメントをデコードするデコード手段と、
前記デコード手段でデコードされたセグメントから、前記音声情報と前記付加情報とを抽出しそれぞれを対応するバッファに格納させる信号解析手段と、を備えたことを特徴とする受信装置である。
  この構成によれば、受信手段がセグメントを受信し、また、デコード手段は、受信手段が受信したセグメントをデコードし、更に、信号解析手段は、デコード手段でデコードされたセグメントから、音声情報と付加情報とを抽出しそれぞれを対応するバッファに格納させる。そして、このセグメントを送ってくる送信装置は、音声情報と付加情報とを含むセグメントをストリーミング配信し、この付加情報は送信装置側の操作手段の操作により付加される。
  したがって、音声情報と付加情報を配信する際に、この付加情報をリアルタイムに設定することが可能となる。その結果、例えば楽曲を演奏するアーティストのライブ中継において、楽曲の音声情報とその楽曲に関連する付加情報を配信することを想定すると、受信装置側においても、アンコールが発生した時など付加情報が急遽変更された場合にも対応可能である。送信装置側で急遽設定された付加情報は、受信装置側の信号解析手段によって専用バッファに格納されるので、これを利用して音声情報に併せて画面表示等を行うことでアンコール等にも対応可能となる。
  また、前記音声情報と前記付加情報との同期が取れるように、それぞれのバッファからの情報出力のタイミングを制御する出力タイミング制御手段を更備えた構成とすることも可能であり、この構成によれば、音声情報と付加情報との同期が取れるため、例えば視聴を違和感なく行われるようになる。
また、本発明の更に他の態様は、主情報とこれに付加する副情報とを含む配信単位であるセグメントをストリーミング配信可能な送信装置に、
  前記主情報をデジタル化したデジタル情報に対して、供給された副情報を組み込んでセグメントを生成するマージ処理機能と、
  前記マージ処理機能によって生成されたセグメントを送信する送信機能と、
  操作手段の操作によって与えられる副情報を受け取り、これを前記マージ処理機能に供給する制御機能と、を実現するためのプログラムである。
このプログラム(ROM等の記録媒体に記録される)がCPU、DSP等のプロセッサによって実行されることによって、
主情報とこれに付加する副情報とを含む配信単位であるセグメントをストリーミング配信可能な送信装置に、
主情報をデジタル化したデジタル情報に対して、供給された副情報を組み込んでセグメントを生成するマージ処理機能と、
  前記マージ処理機能によって生成されたセグメントを送信する送信機能と、
操作手段の操作によって与えられる副情報を受け取り、これを前記マージ処理機能に供給する制御機能と、が実現される。
  この構成によれば、マージ処理機能は、主情報をデジタル化した情報に対して、供給された副情報を組み込んで配信単位であるセグメントを生成し、次いで、エンコード機能は、この生成されたセグメントをエンコードし、更に、送信機能はエンコードされたセグメントを送信する。そして、制御機能は、送信装置に備えられたキーボード等の操作手段の操作によって与えられる付加情報を受け取り、これをマージ処理機能に供給する。
  よって、操作手段の操作によって副情報が与えられるとこれがマージ機能に供給されるので、副情報を与えることを欲したタイミングで副情報を主情報に付加することが可能となる。つまり、主情報とこれに付加する副情報を配信する際に、この副情報をリアルタイムに設定することが可能となる。その結果、例えば、主情報を音声情報、副情報を音声情報に関連する画像情報とし、楽曲を演奏するアーティストのライブ中継において、楽曲の音声情報とその楽曲に関連する画像情報を配信することを想定すると、アンコールが発生した時などの画像情報が急遽変更される場合にも対応可能である。
  更に、また、本発明の他の態様は、主情報とこれに付加する副情報とを含む配信単位であるセグメントがストリーミング配信されるのを受信可能な装置であり、前記副情報は送信装置側の操作手段の操作により前記主情報に付加されこれを受ける受信装置に、
前記セグメントを受信する受信機能と、
前記受信機能が受信したセグメントをデコードするデコード機能と、
前記デコード機能でデコードされたセグメントから、前記主情報と前記副情報とを抽出しそれぞれを対応するバッファに格納させる信号解析機能と、を実現するためのプログラムである。
このプログラム(ROM等の記録媒体に記録される)がCPU、DSP等のプロセッサによって実行されることによって、
  主情報とこれに付加する副情報とを含む配信単位であるセグメントがストリーミング配信されるのを受信可能な装置であり、前記副情報は送信装置側の操作手段の操作により前記主情報付加される受信装置に、
前記セグメントを受信する受信機能と、
前記受信機能が受信したセグメントをデコードするデコード機能と、
前記デコード機能でデコードされたセグメントから、前記主情報と前記付加情報とを抽出しそれぞれを対応するバッファに格納させる信号解析機能と、が実現される。
  この構成によれば、受信機能がセグメントを受信し、また、デコード機能はこの受信したセグメントをデコードし、更に、信号解析機能は、デコードされたセグメントから、音声情報と付加情報とを抽出しそれぞれを対応するバッファに格納させる。そして、このセグメントを送ってくる送信装置は、音声情報と付加情報とを含むセグメントをストリーミング配信し、この付加情報は送信装置側の操作手段の操作により付加される。
したがって、例えば、主情報を音声情報、副情報を音声情報に関連する画像情報とすれば、音声情報とこれに関連する画像情報を配信する際に、この画像情報をリアルタイムに設定することが可能となる。この結果、アーティストの演奏をライブ中継時に急遽楽曲が変更された場合などの画像情報が急遽変更された場合、受信装置側においても信号解析機能等の動作によって、送信装置側から送信されバッファに格納された画像情報を用いて画像表示させる等で対応可能である。
  このようなプログラムをROM等の記録媒体に記録しておき、この記録したプログラムをCPUやDSP等のプロセッサ等が読み取って実行していくことによって、マージ処理機能、制御機能、信号解析機能等の各機能を実現することが可能である。
本発明によれば、音声情報(主情報)とこれに付加する付加情報(副情報)とを配信する際に、この付加情報をリアルタイムに設定可能とした送信装置、受信装置およびプログラムを実現できるという効果が得られる。
  以下、本発明を実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態の送信装置1の構成図、図2は本発明の実施形態の受信装置2の構成図である。なお、以下の実施形態では主として「主情報」として音声情報を、「副情報」(付加情報)としてURL情報を用いた例について説明する。付加情報としては他に曲名、作曲者名、アルバム名等のテキストデータ、演奏者や歌手のプロフィールに由来する自画像等の画像データ等を用いることも可能である。URL情報と同時に他のテキスト情報を付加する態様としても良い。
(送信装置1の構成)
  図1に示すように、送信装置1は、音声情報入力部10と、A/D変換部20と、マージ処理部30と、エンコード部40と、送信部50とを有して構成されている。送信装置1は更に、制御部80と、操作装置70とを備えている。
音声情報入力部10は、楽音信号等のアナログの音情報を拾うデバイスであり、例えばマイクロフォンによって実現される。例えばミュージシャンのライブ中継の音情報を拾うように設定される。また、A/D変換部20は、音声情報入力部10によって拾われたアナログ音情報をアナログデジタル変換する。例えばデルタシグマ変調器等で実現でき、これを用いるとDSD(Direct Stream Digital)信号、つまり1ビットオーディオ信号が生成される。
  マージ処理手段は、A/D変換部20によって生成されたDSD信号に対して、制御部80から供給された付加情報を組み込んでセグメント(配信単位)を生成するマージ処理を行う。エンコード部40は、マージ処理された情報を所定の圧縮方式で圧縮処理し、更に必要に応じて暗号キーで暗号化するエンコードを行う。そして、送信部50は、このエンコードされた情報をネットワークに適合したプロトコールにてネットワーク上に送り出す。ネットワークとしては、例えばLTE等の無線通信網によるものや光通信網等の有線通信網によるものなどがある。この送信部50の送信動作は制御部80から制御信号を与えられることによって制御される。
  また、操作装置70は、付加情報設定部75と、タイミング設定用スイッチ77とを有している。付加情報設定部75は、音声情報に付加するURL情報を設定するためのものであり、例えばキーボード、表示装置等で実現可能である。また、タイミング設定用スイッチ77は、後に説明する図7における、付加情報のセグメントへの組み込み周期を設定するためのものであり、例えばキーボード等で実現可能である。なお、以下URLとは「Uniform Resource Locater」のことを指す。
  図6は付加情報設定部75の表示画面71の模式的説明図である。図6に示すように、表示画面71の上方には配信開始からの時間経過を示すカウンタが表示されている。また、表示画面71の左にはアーティストの肖像画等の画像データ72が表示されている。そして、表示画面71の右側には「曲名」、「作曲者名」、「アルバム名」、「URL」等のテキストデータ選択ボタン73があり、表示画面74の右下には登録ボタン74がある。そして、選択ボタン73でテキズトデータが選択され登録ボタン74が押された場合には、制御部80はこれを検出して受け取り、受け取ったテキストデータをマージ処理部30に供給する構成となっている。
制御部80は、操作装置70の付加情報設定部75の操作によって与えられる付加情報を受け取り、これをマージ処理部30に供給する。この供給を受けたマージ処理部30は、セグメントを構成するために、DSDデータにURL情報を付加する。なお、複数のテキスト情報が選択された場合には、それらを組み込んでセグメントを生成する。セグメントは送信単位であり、このセグメントを連続的に送信することでライブ中継等がストリーミング配信される。
  図5はデータフォーマットの模式的な説明図である。セグメント(segment)は、配信単位の情報であり、セグメント300a(segment0)、セグメント300b(segment1)、セグメント300c(segment2)、…というようにして配信される。一つのセグメントは、ヘッダー301、DSDデータ302、テキストデータ305、画像データを含んでいる。そして、DSDデータ310は、データ型と1ビットオーディオデータから成っている。テキストデータ305は、前述したように、例えば、曲名、作曲者名、アルバム名等で構成される。本実施形態では特にURL情報を付加情報として説明するが、URL情報の他に曲名、作曲者名、アルバム名等を同時に付加情報として扱っても良いことは言うまでもない。なお、複数のテキストデータが選択され登録ボタン74が押された場合には、制御部80はこれらの複数のテキストデータを自身に登録し、そしてマージ処理部30に渡す。これに応答して、マージ処理部30は図5に示すようなセグメントのテキストデータフィールドに、対応するテキストデータを組み込む処理を行う。
  また、制御部80は更に、登録ボタン74が押された時点(登録された時点)に対応するタイミング(即ち、制御部80が操作装置70の付加情報設定75の操作によって付加情報を受け取った時点に対応するタイミング)で、付加情報が組み込まれたセグメントの送信を所定数個のセグメント毎に繰り返す機能を有する。図7はこの動作を説明するためのフローチャートである。以下の動作は制御部80が行い、その結果、送信部50の動作制御が行われる。先ず、先に説明した操作装置70のタイミング設定用スイッチで組み込み周期を設定する。今、例えば4セグメント毎と設定する。
最初に、ステップS700において、制御部80は周期カウンタを初期化する(例えばクリアして値を0とする)。次に、付加情報の登録操作が有るか否かを判定する。操作が有る場合(Y)にはステップS720に進む一方、操作が無い場合(N)にはステップS710に進む。ステップS710においては、周期カウンタの値が組む込み周期4に等しいか否かを判定する、等しい場合(Y)にはステップS730に進む一方、これ以外の場合(N)にはステップS715に進む。ステップS715においては、周期カウンタの値を更新し(1だけインクリメント)、また、ステップS730において、新たに付加情報登録操作が有るか否かを判定する。操作が無い場合(N)にはステップS700に進み周期カウンタを初期化する。一方、操作が有る場合(Y)にはステップS725に進み、付加情報をセグメントに組み込んで送信部50から送信させる。
  図8は、図7のフローチャートによる動作を模式的に説明した模式的説明図である。時間t0では最初の付加情報設定操作(登録操作)が行われて、付加情報のセグメントへの組み込みが行わる。このセグメントは黒で表現される。また、白で表現しているのは付加情報の付加操作を行わない通常のセグメントである。以降t0〜t9までは4セグメント毎に繰り返して、付加情報が組み込まれた「黒」表現されるセグメントで送信される。次に、時刻t10にて、新たな付加情報の付加操作である登録操作が行われる。これに対しても付加情報のセグメントへの組み込みが行われセグメント毎に繰り返される(このセグメントを横線で示す)。そして、時刻t10〜t18までは黒のセグメントと横線のセグメントとが送信される。仮に両セグメントの送信タイミングが重なる場合には新たな方(この場合、横線の方)を送信する。
  そして、時刻t19になると、また新たな付加情報の付加操作が行われてこの付加情報を組み込んだセグメントを縦線で表現する。この縦線のセグメントも4セグメント毎に繰り返して送信されることが、時刻t19以降の図を見れば分かる。このようにして付加情報が順次更新されたとしてもより新たな付加情報を優先してセグメント組み込みを行い、この組み込まれたセグメントを所定個数セグメント周期毎に繰り返して送信させる。ここでは4セグメントを周期としたがこれには限られない。また、時刻t0、t10、t19と、登録操作を行ったがこれは、URL情報が例えば「http://www.aaa…」,「http://www.bbb…」,「http://www.ccc…」と変化して行くことである。
このように、操作装置70の付加情報設定部75の操作によって付加情報を受け取った時点に対応するタイミングで、所定数個セグメント毎に繰り返して、付加情報が組み込まれたセグメントの送信が行われるので、組み込まれた付加情報が確実に配信可能となる。
  以上のように、送信装置1はCPU、ROM、RAM、HDD、キーボード、液晶表示装置、A/D変換器、マイクロフォン等のハードウエアと、これらを駆動するOSやAP(アプリケーション)等で実現できるので、この送信装置1は、A/D変換ボードやマイクロフォンを搭載した1台のPC(パーソナルコンピュータ)で実現可能である。
(送信装置1の動作)
  図3は送信装置1の基本動作の説明図である。今、ミュージシャンの演奏ライブ中継を行うことを想定する。まず、ステップS300に示すように、演奏の音声情報を音声情報入力部10によって拾ったものを、A/D変換器20によってアナログデジタル変換する。このアナログデジタル変換は1ビットのデルタシグマ変調を採用すると1ビットのデジタルオーディオ信号、即ち、DSD信号となる。次いで、ステップS310に示すように、マージ処理部30は、このDSD信号にURL情報を組み込んで配信単位であるセグメントを生成するマージ処理を行い、配信単位であるセグメントを生成する。制御部80からURL情報が供給される場合にはマージ処理を行う一方、URL情報が供給されない場合にはマージ処理を行わない。
  次に、ステップS320に示すように、エンコード部40は生成されたセグメントを所定の圧縮方式によって圧縮し、次いで暗号キーで暗号化するエンコードを行う。そして、ステップS330において、送信部50は、エンコード部40によってエンコードされたセグメントをネットワーク上に送出する。このような動作を繰り返すことで、ミュージシャンの演奏を生中継するストリーミングデータ配信を行うことが可能である。そして、URL情報は、操作装置70の付加情報設定部75によって設定したもので、この設定が行われると制御部80は、この設定されたURL情報をマージ処理部30に供給する。これに対して、マージ処理部30は、供給された付加情報であるURL情報をDSDデータに組み込んでセグメントを生成する。
また、制御部80は、操作装置70の登録ボタン74をクリック操作することによって付加情報を受け取った時点に対応するタイミング(即ち、新たな付加情報を付加することを示す登録ボタン74をクリックする操作が行われたタイミング)で、所定セグメント間隔で繰り返して、付加情報が組み込まれたセグメントの送信が行われる。したがって、組み込まれた付加情報が確実に配信可能となり、受信装置側においても付加情報の受信ミス等が少なくなる。
  以上説明してきたように、送信装置1は、音声情報をA/D変換部20でデジタル化した情報に対して、供給されたURL情報(付加情報)を組み込んで配信単位であるセグメントを生成し、次いで、エンコード部40は、この生成されたセグメントをエンコードし、更に、送信部50はエンコードされたセグメントを送信する。そして、制御部80は、付加情報設定部75の操作によって与えられるURL情報(付加情報)を受け取り、これをマージ処理部30に供給する。
  よって、付加情報設定部75によってURL情報が与えられるとこれがマージ処理部30に供給されるので、URL情報を与えることを欲したタイミングでURL情報を音声情報に付加することが可能となる。つまり、音声情報とこれに付加するURL情報を配信する際に、URL情報をリアルタイムに設定することが可能となる。その結果、アンコール時には、次に演奏する楽曲が急遽決定するので、この急遽な決定に対しても、付加情報設定部75を操作することによって、急遽決定した楽曲に対応するURL情報等を設定することも可能となる。もちろんURL情報以外のテキストデータを同時に付加するようにしても良い。
(受信装置2の構成)
  図2は受信装置2の構成図である。この受信装置2はユーザーがそれぞれの好みの場所に設置している。もちろんノート型PC等の携帯型PCで受信装置2を実現する場合には場所を固定的にする必要はない。受信装置2は、送受信部100と、デコード部110と、信号解析部120と、DSDデータ用バッファ130と、URL用バッファ140と、D/A変換器160と、アンプ170と、スピーカ(SP)180とを有している。更に、受信装置2は、DSDデータ用バッファ130とURL用バッファ140からの情報出力タイミングを制御する出力タイミング制御部150と、URL用バッファ140から出力されるURLに基づいてブラウジング動作(閲覧動作)を行うブラウジング部200と、閲覧結果等を表示する表示装置190とを備えている。なお、表示装置190に、リモコン等で所要の情報を入力する入力部を備えた構成としても良い。
  送受信部100は、ネットワーク上に情報を送出したり、ネットワーク上の情報を取り込んだりする。デコーダ部110は、送受信部100が受信したセグメントに対し、暗号を暗号キーを用いて復号しその後、圧縮方式に対応する伸長方式で情報伸長を行う。次いで、信号解析部120は、送信装置1が送信してきた付加情報付きDSDデータから、DSDデータとURL情報(付加情報)とを抽出し、対応するバッファに格納させる。この結果、DSDデータ用バッファ130にはDSDデータが格納されると共に、URL用バッファ140にはURL情報が格納される。
  また、D/A変換部160は、DSDデータ用バッファ130から出力されるDSDデータをデジタルアナログ変換する。アンプ170はこのデジタルアナログ変換されたDSD信号を増幅し、スピーカ(SP)180はこの増幅された信号を放音する。また、DSDデータ用バッファ130から出力されるDSDデータはDSDインターフェイス(I/F)を持つデジタルオーディオ機器へ送ることも可能である。これによりDSDI/Fも持つデジタルオーディオ機器によってDSDオーディオ信号を聴取することが可能になる。
  更に、URL用バッファ140から出力されるURL情報が設定され、これに基づいてブラウジング(閲覧)動作を行うブラウジング部200を備えていて、URLが設定されるとこれに基づいてネットワーク上に閲覧要求信号を送出し、これに応答してネットワーク上から返送されてくる閲覧結果を表示装置190に表示させる構成である。ブラウジングは例えばIE(登録商標)、Safari(登録商標)等のソフトウエアを用いて実現可能である。
(受信装置2の動作)
  図4は受信装置2の基本動作の説明図である。まず、ステップS400に示すように、送受信部100が、送信装置1から配信されて来たセグメントを受信するとデコード部110に送信する。そして、デコード部110は、受け取った情報に施されている暗号を復号し、圧縮方式に対応した伸長方式で伸長する。次いで、ステップS410に示すように、信号解析部120は、伸長した情報からDSDデータとURLとを抽出してそれぞれ、DSDデータ用バッファ130、URL用バッファ140に格納する。
  次に、ステップS420に示すように、DSDデータ用バッファ130から出力されたDSDデータはD/A変換器でデジタルアナログ変換される。そして、このデジタルアナログ変換されたDSDデータはアンプ170で増幅され、増幅されたアナログ信号はスピーカ(SP)180から放音される。一方、ステップS430に示すように、URL用バッファ140から出力されたURLはブラウジング部200に設定されてブラウジング動作が開始する。ブラウジング部200は、自身に設定されたURLに基づいて閲覧動作を行うべく、閲覧要求信号をネットワーク上に送出する。そして、ステップS440に示すように検索結果としての閲覧結果は表示装置190に表示される。この結果、スピーカ(SP)180からはオーディオ信号を聞くことができると共に、表示装置180により、このオーディオ信号に関連する画像を見ることが可能となる。
  以上説明しきたように、受信装置2によれば、送受信部100がセグメントを受信し、デコーダ部110は送受信部100が受信したセグメントをデコードし、信号解析部120は、デコード部110でデコードされたセグメントから、音声情報とURL(付加情報)とを抽出しそれぞれを対応するバッファに格納させる。そして、このセグメントを送ってくる送信装置1は、音声情報とURL情報とを含むセグメントをストリーミング配信し、このURL情報(付加情報)は、送信装置1側の操作装置70の付加情報設定部75の操作により付加される。
  したがって、音声情報とURL(付加情報)を配信する際に、このURL情報をリアルタイムに変更設定することが可能となり、例えば、楽曲を演奏するアーティストのライブ中継において、楽曲の音声情報とその楽曲に関連する付加情報を配信することを想定すると、アンコールが発生した時などにこの付加情報が急遽変更されても対応可能となる。なお、URL情報以外のテキストデータが同時に付加された場合にも、受信装置2は同様に受信側の動作を行う。
(出力タイミング制御部150の動作)
  次に、音声情報および付加情報のそれぞれを同期させるために、両バッファ130、140からの情報出力タイミングを制御する動作について説明する。図9に示すように、この制御動作は出力タイミング制御部150によって行われる。出力タイミング制御部150は、信号解析部120がセグメントを解析した解析結果信号を受ける。この結果、出力タイミング制御部150は、DSDデータとこれに対応する付加情報としてのURLとを把握する。つまり、セグメントから抽出されたDSDデータと、付加情報との対応関係を把握する。図9に示すように、DSDデータはDSDデータ用バッファ130に次々に格納され、付加情報はURL用バッファ140に次々に格納されるが、どのURLがどのDSDデータと対応するかの対応関係が把握される。具体的には両方を対応付けるポインタを使用する(対応キュー参照)。
  今、DSDデータ「Dd0」と付加情報「Da0」とが対応し、DSDデータ「Dd4」と付加情報「Da4」とが対応している場合を想定する。そして、付加情報「Da0」がURL用バッファ140に格納された時点から、ブラウジング部200、送受信部100を通って閲覧情報が返答され表示装置190に表示されるまでの時間をTu、DSDデータ「Dd0」がDSDデータ用バッファ130に格納された時点からこのDSDデータ用バッファ130を出るまでの時間をTdとすると、DSDデータがDSDデータ用バッファ130中に滞在する時間の方が圧倒的に長くなる。つまり、「Td=Tu+ΔT(ΔTは調整時間)」なる関係が成立する。
  そこで、出力タイミング制御部150は、この関係や両者の対応関係を考慮しつつ、「Dd0」の出力時刻と「Da0」の出力時刻とを同期させる制御を行う。つまり、時刻t1で「Dd0」を出力させ、時刻「t1+ΔT」で「Da0」を出力させる。そうすると、DSDデータ「Dd0」がA/D変換部160でアナログ化されスピーカ(SP)180から放音されることと、URL「Da0」の閲覧結果が表示装置190で表示されることとが同時に行われて、視聴が違和感なく行われる。同様にして、「Dd4」と「Da4」との同期が図られる。このようにして、出力タイミング制御部150が、音声情報と付加情報との同期が取れるように、DSDデータ用バッファ130、URL用バッファ140のそれぞれから情報出力を行うので、視聴が違和感なく行われる。
なお、ΔTは装置動作開始直後に予め内蔵しているURLをネットワーク上に送出し返答されるまでの時間を計測したり、予め受信装置2に内蔵されたダミーセグメントを所定個数毎に繰り返してDSDデータ用バッファ130に格納して、これがDSDデータ用バッファ130から出るまでの時間を計測したりしてΔTを求めてこれを用いるようにしても良いし、あるいは信号解析部120等がセグメントを受け取らない場合等に、Td、Tu、ΔTをテーブル化して内蔵しておいてこれを使用しても良い。
以上の説明によれば、受信装置2においても、付加情報としてURL情報を採用した構成例について示してきたが、付加情報としては先に説明したものの他、アーティストの肖像静止画像、プロフィール等の各種情報等が挙げられこれらを採用することも可能である。そして、URL情報と同時に他のテキスト情報を付加する態様としても良い。
音声出力と、URL情報と、他のテキストデータとの同期を取るためには、例えばテキストデータ専用のバッファを設けておき、出力タイミング制御部150が時刻t0に音声情報をデジタルアナログ変換する前ΔTu秒後にバッファリングされていたURL情報を出力すると共に、ΔTother秒前にバッファリングされている上述の他のテキストデータを出力する構成、あるいは、この他のテキストデータを早めに表示して、閲覧結果が返ってくるまで閲覧結果をウエイト状態の表示とする構成等が提案されるがこれらに限られるものではない。また、ΔTotherはテキストデータの種別毎に決定すれば良い。表示装置190には閲覧結果の表示画面の右下等の小さなウインドウに他のテキストデータを表示させたり、閲覧結果にスーパインポーズしたりする態様がある。
  そして、以上述べてきたような送信装置1、受信装置2の動作は、CPUがROMに記録された装置動作のためのプログラムを実行することによって実現することが可能である。また、以上の実施形態において様々な変形例が挙げられるが、本発明の範囲はここに記載したもののみではないことは言うまでもない。例えばDSDデータ以外のハイレゾリュージョンオーディオデータを採用すること等が挙げられる。