本発明の1つの実施態様は、フェノール性水酸基を持つヒドロキシアルデヒドモノマーと、ホルムアルデヒド又は以下の式(I);
で表される化合物から選択される架橋剤とを反応して得られるアルデヒド含有樹脂である。
  フェノール性水酸基を持つヒドロキシアルデヒドモノマーは、両置換基(フェノール性水酸基及びアルデヒド基)を持つモノマーであれば特に制限はないが、例えば、オルソヒドロキシベンズアルデヒド、パラヒドロキシベンズアルデヒド、メタヒドロキシベンズアルデヒド等のモノヒドロキシベンズアルデヒド類、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド等のジヒドロキシベンズアルデヒド類、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒ等のトリヒドロキシベンズアルデヒド類、1−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド等のナフトアルデヒド類等が挙げられる。
  本発明においては、オルソヒドロキシベンズアルデヒド、パラヒドロキシベンズアルデヒド、メタヒドロキシベンズアルデヒド等のモノヒドロキシベンズアルデヒド類が好ましく、オルソヒドロキシベンズアルデヒドが特に好ましい。
  モノマーとしてオルソヒドロキシベンズアルデヒドを用いると、架橋剤との反応性が良く、ジアミンとの樹脂ワニスにした際の保存安定性に優れる。また、反応で残留したモノマーを容易に回収しリサイクルすることが可能である。
  本発明のアルデヒド含有樹脂は、ヒドロキシアルデヒドモノマーと、ホルムアルデヒド又は式(I)で表される化合物から選択される架橋剤とを反応して得ることができる。
  ホルムアルデヒドは、固形のものを用いてもよく、水溶液にして用いてもよいが、固形のホルムアルデヒドは、水分量が少ないことからヒドロキシアルデヒドモノマーとの反応性が高いことから、固形のホルムアルデヒドを用いるのが好ましい。
  また、水溶液のホルムアルデヒドを用いて、脱水しながら反応を行なってもよいが、ホルムアルデヒドが留出し、モル比が変化してしまう恐れがある。
  次に、式(I)で表される化合物について説明する。
  式中、Yは、炭素原子数1〜4のアルコキシル基またはハロゲン原子を表す。
  アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
  ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、好ましくは、塩素、臭素である。
  式(I)において、R1及びR2は、存在していても存在しなくてもよく、存在する場合は、各々独立に、炭素数が1〜4のアルキル基を表す。R1及びR2は、同一でも異なっていてもよい。
  アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
  R1及びR2は、存在する場合は、夫々、各ベンゼン環上に1〜4個の範囲で存在することができる。
  また、R1が、ベンゼン環上に2個以上存在する場合は、各R1は同一でも異なっていてもよい。R2が、ベンゼン環上に2個以上存在する場合も同様に、各R2は同一でも異なっていてもよい。
  式(I)において、s及びtは、各々独立して、1〜3の整数を表す。好ましくは、s及びtは1である。
  式(I)で示される化合物、即ち、ビス(アルコキシメチル)ビフェニルあるいはビス(ハロゲン化メチル)ビフェニルは、4、4’−体、2,2’−体、2、4’−体の異性体であってもよいが、比較的安価であり、ヒドロキシアルデヒドモノマーとの反応性が良い4,4’−体であることが好ましい。
  本発明において、架橋剤とヒドロキシアルデヒドモノマーのモル比(架橋剤/モノマー)は、通常0.01〜0.99であり、好ましくは0.05〜0.60である。モル比が上記の範囲より低いと、歩留まり低下につながり、一方、モル比が上記の範囲より高いと、ヒドロキシアルデヒドモノマーと架橋剤との反応に時間がかかり、生産性において好ましくない。
  本発明において、ヒドロキシアルデヒドモノマーと架橋剤とを反応させる際に、触媒を添加することができる。触媒の種類としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、3フッ化ホウ素等)、有機酸(シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等)、アルカリ金属(塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛)を使用することができ、反応が進行すればこれらの種類に特に制限はない。
  また、ビス(ハロゲン化メチル)ビフェニルを架橋剤として用いる場合は、触媒を添加しなくても反応は可能である。
  触媒の添加量は、ヒドロキシアルデヒドモノマーに対して、通常は0.01〜10質量%であり、好ましくは0.10〜5.00質量%である。触媒の添加量が上記範囲より少ないと反応速度が遅く、上記範囲より多いと反応が急激に進み反応をコントロールすることが難しくなる。
  ヒドロキシアルデヒドモノマーと架橋剤とを反応させる温度は、通常10〜250℃であり、好ましくは60〜200℃である。反応温度が上記範囲より低いと、反応が進まないため好ましくない。また、反応温度が上記範囲より高いと、反応を制御することが難しくなり、目的とするアルデヒド含有樹脂を安定的に得ることが出来ない。
  ヒドロキシアルデヒドモノマーと架橋剤とを反応させる際には、常圧下で反応させてもよいし、加圧下で反応させてもよい。
  また、架橋剤にホルムアルデヒドを用いた場合、ヒドロキシアルデヒドモノマーとの反応性が悪いため、初期反応時に、未反応のホルムアルデヒドが系外に留出してしまう恐れがある。従って、ホルムアルデヒドの留出抑制、反応率の向上の点で加圧反応をおこなうことが好ましい。
  本発明において、ヒドロキシアルデヒドモノマーと架橋剤とを反応させた後に、未反応のヒドロキシアルデヒドモノマーを除去することが好ましい。アルデヒド含有樹脂に未反応ヒドロキシアルデヒドモノマーが相当量含まれていると、後述する樹脂ワニスから樹脂成型物等を調製するに際して、ジアミン類がアルデヒド含有樹脂よりもヒドロキシアルデヒドモノマーと優先的に反応するため、アルデヒド含有樹脂の硬化反応が妨げられ好ましくない。本発明においては、アルデヒド含有樹脂は、未反応のヒドロキシアルデヒドモノマーを好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下で含有する。
  本発明の1つの側面において、アルデヒド含有樹脂は以下の構造単位(A)及び(B)からなるポリマー鎖、及び/又は構造単位(B)からなる環状ポリマーを含むアルデヒド含有樹脂である。
  構造単位(A)及び(B)において、*1及び*2は、各々、結合手を示す。ここで、*1は、いずれかの*2と結合する。また、*1と*1同士、*2と*2同士は結合することができない。また、構造単位(B)の*2は、*1と結合しない場合は水素を示す。
構造単位(A)は、ポリマー鎖末端の一方を示し、1つのポリマー鎖に一単位存在する。
  Rは、−CH
2−であるか又は以下の式(II)で表される。
  ここで、R
1及びR
2は、式(I)において定義した通りである。
  構造単位(A)及び(B)からなるポリマー鎖、及び/又は構造単位(B)からなる環状ポリマーを含むアルデヒド含有樹脂は、フェノール性水酸基を持つヒドロキシアルデヒドモノマーと、ホルムアルデヒド又は式(I)で表される化合物から選択される架橋剤とを反応して得ることができる。
  構造単位(A)及び(B)において、アルデヒド基は、好ましくはオルソ位にある。
  ヒドロキシアルデヒドモノマーが、オルソヒドロキシベンズアルデヒド、パラヒドロキシベンズアルデヒドの場合は反応点が2つであり、構造単位(B)における*2の一方は結合手であり、他方は水素となる。また、ヒドロキシアルデヒドモノマーが、メタヒドロキシベンズアルデヒドの場合は、反応点が3つになり、構造単位(B)における*2の両方が結合手となり得るが、条件によっては、一方が結合手で他方は水素となる場合、又は両方が水素となる場合もある。
  また、構造単位(A)及び(B)からなるポリマー鎖、及び/又は構造単位(B)からなる環状ポリマーを含むアルデヒド含有樹脂は、未反応のヒドロキシアルデヒドモノマーを好ましくは1%以下、より好ましくは0.1%以下で含有する。
本発明の樹脂組成物1及び樹脂ワニス1  本発明のもう1つの実施態様は、フェノール性水酸基を持つヒドロキシアルデヒドモノマーと、ホルムアルデヒド又は以下の式(I);
で表される化合物から選択される架橋剤とを反応して得られるアルデヒド含有樹脂、及びジアミン類を含む樹脂組成物である(以下「本発明の樹脂組成物1−1」ともいう)。
  ここで、Y、R
1、R
2、s及びtは、前記の通りである。
   本発明のもう1つの実施態様は、以下の構造単位(A)及び(B):
からなるポリマー鎖、及び/又は構造単位(B)からなる環状ポリマーを含むアルデヒド含有樹脂、及びジアミン類を含む樹脂組成物である(以下「本発明の樹脂組成物1−2」ともいう)。
  構造単位(A)及び(B)において、
*1及び
*2は、各々、結合手を示す。ここで、
*1は、いずれかの
*2と結合する。また、
*1と
*1同士、
*2と
*2同士は結合することができない。また、構造単位(B)の
*2は、
*1と結合しない場合は水素を示す。
構造単位(A)は、ポリマー鎖末端の一方を示し、1つのポリマー鎖に一単位存在する。
  また、Rは、−CH
2−であるか又は以下の式(II)で表される。
ここで、R
1及びR
2は、前記の通りである。
  本発明の樹脂組成物1には、上記の本発明の樹脂組成物1−1及び本発明の樹脂組成物1−2が含まれる。
  ジアミン類としては、構造中にアミノ基を2個以上有していれば特に問題はなく、例えば、尿素、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジフェニルメタン、ノルボルナンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノトルエン、ジアミノナフタレン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等のモノマー類、ヘキサン、プロパン、エチレン、ジエチレン、トリエチレン等の脂肪鎖アミン、シリコン系ジアミン等が挙げられる。
  本発明においては、好ましくは、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシロキサンが用いられる。これらのジアミン類を用いた樹脂組成物1を硬化して得られる硬化物は、ガラス転移温度が高く、低誘電率及び低誘電正接を実現することができる。
  また、本発明において2種類以上のジアミン類を混合して使用してもよい。
  本発明の樹脂組成物1−1及び1−2は、アルデヒド含有樹脂及びジアミン類を混合して得ることができる。ここで、アルデヒド含有樹脂及びジアミン類を混合して得られる樹脂組成物には、アルデヒド含有樹脂及びジアミン類を混合し、両者が反応して得られる樹脂組成物も含まれる。
  また、本発明の樹脂組成物1−1及び1−2は、アルデヒド含有樹脂及びジアミン類を溶媒の存在下で混合して得ることができる。このようにして得られる樹脂組成物は、本明細書において樹脂ワニス1とも呼ばれる。本発明の樹脂ワニス1には、後述する本発明の樹脂ワニス1−1及び本発明の樹脂ワニス1−2が含まれる。また、本発明における樹脂ワニス1には、アルデヒド含有樹脂及びジアミン類を溶媒の存在下で混合し、アルデヒド含有樹脂とジアミン類が反応して得られる樹脂ワニスも含まれる。
  本発明の1つの実施態様は、フェノール性水酸基を持つヒドロキシアルデヒドモノマーと、ホルムアルデヒド又は以下の式(I):
で表される化合物から選択される架橋剤とを反応して得られるアルデヒド含有樹脂及びジアミン類を溶媒の存在下で混合して得られる樹脂ワニスである(以下「本発明の樹脂ワニス1−1」ともいう)。
  ここで、Y、R
1、R
2、s及びtは、前記の通りである。
  本発明のもう1つの実施態様は、以下の構造単位(A)及び(B):
からなるポリマー鎖、及び/又は構造単位(B)からなる環状ポリマーを含むアルデヒド含有樹脂、及びジアミン類を溶媒の存在下で混合して得られる樹脂ワニスである(以下「本発明の樹脂ワニス1−2」ともいう)。ここで、
*1及び
*2は、前記の通りである。
  Rは、−CH
2−であるか又は以下の式(II)で表される。
ここで、R
1及びR
2は、前記の通りである。
  本発明の樹脂ワニス1に用いることができる溶媒は、ヒドロキシアルデヒドモノマーとジアミンを溶解することができれば、特に制限されず種々の溶媒(アルコール系、ケトン系、炭化水素系、エステル系、エーテル系、グリコール系、ハロゲン系等)を使用することができるが、保存安定性の面から、ケトン系溶媒が好ましい。理論に拘束されることを意図するものではないが、ケトン系溶媒中では、ジアミンとケトンがエナミン結合を形成し、樹脂ワニス1の経時変化を抑制することができると考えられる。
  ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、イソホロン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。本発明においては、ケトン系溶媒の中でも、シクロヘキサノン又はシクロヘキサノン誘導体(例えば、メチルシクロヘキサノン、ジメチルシクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、プロピルシクロヘキサノン、ブチルシクロヘキサノン、メトキシシクロヘキサノン、クロロシクロヘキサノン等)が特に好ましい。
  樹脂ワニス1中のアルデヒド含有樹脂の含有量は、通常10〜35質量%である。また、樹脂ワニス1中のジアミン類の含有量は、通常5〜30質量%である。
  樹脂ワニス1には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤や充填剤を添加することができ、例えば、無機フィラー、ワックス、難燃剤、カップリング剤等を添加することができる。
  本発明のもう1つの実施態様は、本発明の樹脂ワニス1を繊維質基材に含浸し、加熱加圧成型して得られる積層板である。
  繊維質基材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ステンレス繊維などの無機繊維、綿、麻のような天然繊維、ポリエステル、ポリアミドのような合成有機繊維等があげられ、単独使用及び併用してもよい。繊維質基材の形状に関しても何ら限定するものではなく、短繊維、ヤーン、マット、シートのようなものでもよい。
  樹脂ワニス1を繊維質基材に含浸し積層板を作製するには、加熱加圧下で行う。
  また、加熱条件としては、通常40〜200℃であり、加圧条件としては、通常2〜20kN/m2である。
  本発明のもう1つの実施態様は、樹脂ワニス1を用いて得られる樹脂成型物である。
  樹脂成型物は、例えば、PETフィルム等の上に樹脂ワニスを薄く延ばし室温〜150℃程度で1〜5時間ベークし、その後160〜200℃程度で1〜5時間アフターベークすることにより調製することができる。
  本発明のもう1つの実施態様は、樹脂ワニス1を用いて得られるビルドアップ基板である。
  ビルドアップ基板は、前記した積層板と同様の方法により調製することができる。
本発明の樹脂組成物2  本発明のもう1つ別の実施態様は、フェノール性水酸基を持つヒドロキシアルデヒドモノマーと、ホルムアルデヒド又は以下の式(I);
で表される化合物から選択される架橋剤とを反応して得られるアルデヒド含有樹脂、ジアミン類及びモノアミン類を含む樹脂組成物である(以下「本発明の樹脂組成物2−1」ともいう)。
  ここで、Y、R
1、R
2、s及びtは、前記の通りである。
   本発明のもう1つの実施態様は、以下の構造単位(A)及び(B):
からなるポリマー鎖、及び/又は構造単位(B)からなる環状ポリマーを含むアルデヒド含有樹脂、ジアミン類及びモノアミン類を含む樹脂組成物である(以下「本発明の樹脂組成物2−2」ともいう)。
  構造単位(A)及び(B)において、
*1及び
*2は、各々、結合手を示す。ここで、
*1は、いずれかの
*2と結合する。また、
*1と
*1同士、
*2と
*2同士は結合することができない。また、構造単位(B)の
*2は、
*1と結合しない場合は水素を示す。
構造単位(A)は、ポリマー鎖末端の一方を示し、1つのポリマー鎖に一単位存在する。
  また、Rは、−CH
2−であるか又は以下の式(II)で表される。
ここで、R
1及びR
2は、前記の通りである。
  本発明の樹脂組成物2には、上記の本発明の樹脂組成物2−1及び本発明の樹脂組成物2−2が含まれる。
  ジアミン類としては、構造中にアミノ基を2個以上有していれば特に問題はなく、例えば、尿素、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジフェニルメタン、ノルボルナンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノトルエン、ジアミノナフタレン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等のモノマー類、ヘキサン、プロパン、エチレン、ジエチレン、トリエチレン等の脂肪鎖アミン、シリコン系ジアミン等が挙げられる。
  本発明においては、好ましくは、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシロキサンが用いられる。これらのジアミン類を用いた樹脂組成物2を硬化して得られる硬化物は、ガラス転移温度が高く、低誘電率及び低誘電正接を実現することができる。
  また、本発明において2種類以上のジアミン類を混合して使用してもよい。
  モノアミン類としては、構造中にアミノ基を1個含有していれば特に問題はないが、アリルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、アニシジン、アミノベンゾニトリル等のベンゼン環を含有するアミン、メチルアミン、エチルアミン等のアルキルアミン、エーテル結合を有するエーテルアミン等が挙げられる。本発明においては、好ましくは、アリルアミンが用いられる。
  また、本発明において2種類以上のモノアミン類を混合して使用してもよい。
  本発明の樹脂組成物2においては、ジアミン類とモノアミン類を併用することにより、溶剤溶解性の幅を広げ、樹脂組成物及び樹脂ワニスの粘度を下げることが可能である。また、理論に拘束されることを意図するものではないが、モノアミン類としてアリルアミンを使用すると、アリル基同士が重合することにより、樹脂成型物に高耐熱化を付与することが可能となる。
  本発明の樹脂組成物2−1及び2−2は、アルデヒド含有樹脂と、ジアミン類及びモノアミン類を混合して得ることができる。ここで、アルデヒド含有樹脂と、ジアミン類及びモノアミン類を混合して得られる樹脂組成物には、アルデヒド含有樹脂、ジアミン類及びモノアミン類を混合し、これらが反応して得られる樹脂組成物も含まれる。
  また、本発明の樹脂組成物2−1及び2−2は、アルデヒド含有樹脂、ジアミン類及びモノアミン類を溶媒の存在下で混合して得ることができる。このようにして得られる樹脂組成物は、本明細書において樹脂ワニス2とも呼ばれる。本発明の樹脂ワニス2には、後述する本発明の樹脂ワニス2−1及び本発明の樹脂ワニス2−2が含まれる。また、本発明における樹脂ワニス2には、アルデヒド含有樹脂、ジアミン類及びモノアミン類を溶媒の存在下で混合し、アルデヒド含有樹脂、ジアミン類、モノアミン類が反応して得られる樹脂ワニスも含まれる。
  本発明の1つの実施態様は、フェノール性水酸基を持つヒドロキシアルデヒドモノマーと、ホルムアルデヒド又は以下の式(I):
で表される化合物から選択される架橋剤とを反応して得られるアルデヒド含有樹脂、ジアミン類及びモノアミン類を溶媒の存在下で混合して得られる樹脂ワニスである(以下「本発明の樹脂ワニス2−1」ともいう)。
  ここで、Y、R
1、R
2、s及びtは、前記の通りである。
  本発明のもう1つの実施態様は、以下の構造単位(A)及び(B):
からなるポリマー鎖、及び/又は構造単位(B)からなる環状ポリマーを含むアルデヒド含有樹脂、ジアミン類及びモノアミン類を溶媒の存在下で混合して得られる樹脂ワニスである(以下「本発明の樹脂ワニス2−2」ともいう)。ここで、
*1及び
*2は、前記の通りである。
  Rは、−CH
2−であるか又は以下の式(II)で表される。
ここで、R
1及びR
2は、前記の通りである。
  本発明の樹脂ワニス2に用いることができる溶媒は、アルデヒド含有樹脂とジアミン類、モノアミン類を溶解することができれば、特に制限はないが、トルエン、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、イソホロン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ここで、成型物を作製する際に溶剤抜けが良く、また、溶媒自体の粘度が低いため、樹脂ワニスの低粘度化が可能であることから、トルエンが好ましく使用される。
  溶媒は、2種類以上を混合して使用してもよい。
  樹脂ワニス2中のアルデヒド含有樹脂の含有量は、通常10〜35質量%である。
  本発明の樹脂ワニス2におけるジアミンによるアルデヒド含有樹脂のアルデヒド変性率は、好ましくは5〜60%であり、より好ましくは10〜40%である。ジアミンによるアルデヒド変性率が上記の範囲にあると、樹脂ワニスの溶剤溶解性が良く、ワニス状態での粘度を低くすることが可能である。
  また、本発明の樹脂ワニス2におけるモノアミンによるアルデヒド含有樹脂のアルデヒド変性率は、好ましくは3〜60%であり、より好ましくは5〜30%である。モノアミンによるアルデヒド変性率が上記の範囲にあると、ワニス状態での保存安定性が良く、硬化性に優れる。
  樹脂ワニス2中のジアミン、モノアミンの含有量は、アルデヒド含有樹脂の含有量と、ジアミンによるアルデヒド変性率、モノアミンによるアルデヒド変性率から適宜決定することができる。
  本発明の樹脂ワニス2には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤や充填剤を添加することができ、例えば、無機フィラー、ワックス、難燃剤、カップリング剤等を添加することができる。
  本発明のもう1つの実施態様は、本発明の樹脂ワニス2を繊維質基材に含浸し、加熱加圧成型して得られる積層板である。
  繊維質基材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ステンレス繊維などの無機繊維、綿、麻のような天然繊維、ポリエステル、ポリアミドのような合成有機繊維等があげられ、単独使用及び併用してもよい。繊維質基材の形状に関しても何ら限定するものではなく、短繊維、ヤーン、マット、シートのようなものでもよい。
  樹脂ワニス2を繊維質基材に含浸し積層板を作製するには、加熱加圧下で行う。また、加熱条件としては、通常40〜200℃であり、加圧条件としては、通常2〜20kN/m2である。
  本発明のもう1つの実施態様は、樹脂ワニス2を用いて得られる樹脂成型物である。
  樹脂成型物は、例えば、PETフィルム等の上に樹脂ワニスを薄く延ばし室温〜150℃程度で1〜5時間ベークし、その後160〜200℃程度で1〜5時間アフターベークすることにより調製することができる。
  本発明のもう1つの実施態様は、樹脂ワニス2を用いて得られるビルドアップ基板である。
  ビルドアップ基板は、前記した積層板と同様の方法により調製することができる。
  以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法及び測定機器]
  後述する合成例で得られた樹脂について、分子量Mw、分散度Mw/Mn、軟化点、溶融粘度を以下の方法で測定した。
(1)分子量Mw、分散度Mw/Mn
GPC測定装置:東ソー社製HLC8120GPC
カラム:TSKgel  G3000H+G2000H+G2000H
(2)軟化点
JIS  K  6910に従って軟化点を測定した。
(3)溶融粘度
  150℃に設定した粘度計(ブルックフィールド社製CAP2000  VISCOMETER)により150℃における溶融粘度を測定した。
(4)保存安定性
  後述する実施例で得られた樹脂ワニスについて、恒温機を用いて25℃、2160時間保存した。保存期間経過後、目視にて樹脂ワニスに析出物が認められなかったものを○、析出物が認められたものを×とした。
  後述する実施例で得られた成型物について、ガラス転移温度、熱分解温度、誘電率、誘電正接を以下の方法で測定した。
(5)ガラス転移温度
  樹脂成型物を幅1.0mm×長さ5.5mm×厚さ0.2mmに加工し、粘弾性スペクトロメーター(セイコーインスツルメンツ社製DMS  110)を用いて10℃/分の昇温速度で30℃〜300℃の範囲で測定した。
(6)熱分解温度
  樹脂成型物を示差熱熱重量同時測定装置(セイコーインスツルメンツ社製TG/DTA6300)により、エアー雰囲気下で熱重量減量を測定し、熱分解開始温度を求めた。
(7)誘電率、誘電正接
  樹脂成型物を幅50.0mm×長さ50.0mm×厚さ0.2mmに加工し、空洞共振摂動法(測定機器:マテリアルアナライザ  4291B(Agilent  Technologies社製))により求めた。
[合成例1]
オルソヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドの反応
  温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの耐圧製反応容器にオルソヒドロキシベンズアルデヒド850g(6.967mol)、92%パラホルムアルデヒド90.9g(2.788mol)、パラトルエンスルホン酸4.3gを添加し、加圧下で140℃まで昇温し、4時間加圧反応を行った。加圧反応終了後、100℃まで冷却し加圧を解除した後、常圧で140℃まで脱水しながら昇温した。その後、140℃で3時間2次反応を行い、30質量%NaOH水溶液でパラトルエンスルホン酸を中和した。中和塩を水洗で除去した後、未反応オルソヒドロキシベンズアルデヒドモノマーを除去し、アルデヒド含有
ノボラック樹脂を得た。
  得られた樹脂の軟化点は58.1℃、150℃における溶融粘度は0.2Pであった。
ゲル浸透クロマトグラフ分析(以下GPCと略記することもある。)による分子量Mw393、分散度Mw/Mnは1.25であった。
[合成例2]
オルソヒドロキシベンズアルデヒドとビスクロロメチルビフェニルの反応
  温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器にオルソヒドロキシベンズアルデヒド850g(6.967mol)、ビスクロロメチルビフェニル174.9g(0.696mol)を仕込み190℃まで昇温し、40時間反応を行った。反応で副生する塩化水素ガスは、20質量%NaOH水溶液でトラップした。反応終了後、反応容器内に残留している塩化水素ガスをN2ガスで追い出し、未反応オルソヒドロキシベンズアルデヒドモノマーを除去し、アルデヒド含有ビフェニル樹脂を得た。
  得られた樹脂の軟化点は76℃、150℃における溶融粘度は0.6Pであった。ゲル浸透クロマトグラフ分析による分子量Mw659、分散度Mw/Mnは1.35であった。
[合成例3]
オルソヒドロキシベンズアルデヒドとビスメトキシメチルビフェニルの反応
  温度計、攪拌機、冷却管を備えた内容量1Lの反応容器にオルソヒドロキシベンズアルデヒド850g(6.967mol)、ビスメトキシメチルビフェニル168.6g(0.696mol)、パラトルエンスルホン酸8.5g(オルソヒドロキシベンズアルデヒドに対して1重量%)を仕込み160℃まで昇温し、4時間反応を行った。反応で副生するメタノールは、系外へ除去した。反応終了後、中和、水洗を行い、未反応オルソヒドロキシベンズアルデヒドモノマーを除去し、アルデヒド含有ビフェニル樹脂を得た。
  得られた樹脂の軟化点は75℃、150℃における溶融粘度は0.6Pであった。ゲル浸透クロマトグラフ分析による分子量Mw648、分散度Mw/Mnは1.33であった。
A.本発明の樹脂ワニス1
[実施例1]
合成例1のアルデヒド含有ノボラック樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  合成例1で合成したアルデヒド含有ノボラック樹脂100gを、シクロヘキサノンに固形分30%になるように溶解した。完全に溶解したのを確認し、ジアミノナフタレン51.0gを室温で発熱に注意しながら1時間かけて添加した。その後、60℃で2時間攪拌し樹脂ワニスを得た。
  この樹脂ワニスをPETフィルム上に薄く延ばし、150℃で1時間ベークした後、200℃で5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Aを得た。
  また、同様の方法でシクロヘキサノンの代わりにメタノールを使用した場合、50分でゲル化した。ケトン系以外の他の溶剤を用いた場合も同様の結果となった。
[実施例2]
合成例1のアルデヒド含有ノボラック樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  実施例1において、ジアミノナフタレン51.0gを、ジアミノジシクロヘキシルメタン67.9gに変更した以外は同様の方法で樹脂成型物Bを得た。
  また、同様の方法でシクロヘキサノンのかわりにメタノールを使用した場合、15分でゲル化した。ケトン系以外の他の溶剤を用いた場合も同様の結果となった。
[実施例3]
合成例1のアルデヒド含有ノボラック樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  実施例1において、ジアミノナフタレン51.0gを、ジアミノジフェニルメタン64.0gに変更した以外は同様の方法で樹脂成型物Cを得た。
  また、同様の方法でシクロヘキサノンのかわりにメタノールを使用した場合、30分でゲル化した。ケトン系以外の他の溶剤を用いた場合も同様の結果となった。
[実施例4]
合成例2のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  合成例2で合成したアルデヒド含有ビフェニル樹脂100gを、シクロヘキサノンに固形分30%になるように溶解した。完全に溶解したのを確認し、ジアミノナフタレン19.4gを室温で発熱に注意しながら1時間かけて添加した。その後、60℃で2時間攪拌し樹脂ワニスを得た。
  この樹脂ワニスをPETフィルム上に薄く延ばし、150℃で1時間ベークした後、200℃5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Dを得た。
  また、同様の方法でシクロヘキサノンの代わりにメタノールを使用した場合、60分でゲル化した。ケトン系以外の他の溶剤を用いた場合も同様の結果となった。
[実施例5]
合成例2のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  実施例4において、ジアミノナフタレン19.4gを、ジアミノジシクロヘキシルメタン25.8gに変更した以外は同様の方法で樹脂成型物Eを得た。
  また、同様の方法でシクロヘキサノンの代わりにメタノールを使用した場合、20分でゲル化した。ケトン系以外の他の溶剤を用いた場合も同様の結果となった。
[実施例6]
合成例2のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  実施例4において、ジアミノナフタレン19.4gを、ジアミノジフェニルメタン24.4gに変更した以外は同様の方法で樹脂成型物Fを得た。
  また、同様の方法でシクロヘキサノンの代わりにメタノールを使用した場合、45分でゲル化した。ケトン系以外の他の溶剤を用いた場合も同様の結果となった。
[実施例7]
合成例3のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  合成例3で合成したアルデヒド含有ビフェニル樹脂100gを、シクロヘキサノンに固形分30%(質量比)になるように溶解した。完全に溶解したのを確認し、ジアミノジシクロヘキシルメタン25.8gを室温で発熱に注意しながら1時間かけて添加した。その後、60℃で2時間攪拌し樹脂ワニスを得た。
  この樹脂ワニスをPETフィルム上に薄く延ばし、150℃で1時間ベークした後、200℃5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Gを得た。
  また、同様の方法でシクロヘキサノンの代わりにメタノールを使用した場合、60分でゲル化した。ケトン系以外の他の溶剤を用いた場合も同様の結果となった。
[実施例8]
合成例3のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  実施例7において、ジアミノナフタレン19.4gを、ジアミノジフェニルメタン24.4gに変更した以外は同様の方法で樹脂成型物Hを得た。
  また、同様の方法でシクロヘキサノンの代わりにメタノールを使用した場合、20分でゲル化した。ケトン系以外の他の溶剤を用いた場合も同様の結果となった。
[比較例1]
フェノール樹脂とエポキシ樹脂の硬化
  フェノールノボラック樹脂(群栄化学工業社製PSM−4324:軟化点100℃、水酸基当量106g/eq)106gとエポキシ樹脂(YDCN−704:軟化点、エポキシ当量210g/eq)210g、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール2.1gをメチルエチルケトンに固形分40%(質量比)になるように溶解し、樹脂ワニスを得た。
  この樹脂ワニスをPETフィルム上に薄く延ばし、120℃1時間ベーク後、180℃5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Iを得た。
  上記実施例で得られた樹脂成形物について、各特性値の評価結果を以下に示す。
  表1で示した通り、本発明の樹脂ワニス1から得られる樹脂成型物は、高いガラス転移温度を有し、高熱分解温度、低誘電率、低誘電正接という特性を有する。
  従って、本発明の樹脂成型物は、高機能性高分子材料として極めて有用であり、熱的、電気的に優れた材料として半導体封止材、電気絶縁材料、銅張り積層板用樹脂、レジスト、電子部品の封止用樹脂、液晶のカラーフィルター用樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤、ビルドアップ積層板材料、FRPなどの幅広い用途に使用することができる。
B.本発明の樹脂ワニス2
[実施例9]
合成例2のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  合成例2で合成した樹脂を100g、トルエンに固形分30%になるように溶解した。完全に溶解したのを確認し、アリルアミン7.8gとジアミノジシクロヘキシルメタン10.4gの混合溶液を95℃で発熱に注意しながら2時間かけて添加した。その後、95℃で2時間攪拌し、真空下で固形分60%に調整し、樹脂ワニスを得た。ジアミンによるアルデヒド変性率は20.9%、モノアミンによるアルデヒド変性率は28.0%であった。
  樹脂ワニスの粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定し、210mPa.sであった。また、シクロヘキサノン、MEK、アセトン等の溶剤に可溶であることが確認できた。
  その樹脂ワニスをPETのフィルム上に薄く延ばし、150℃1時間ベーク後、200℃5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Jを得た。
[実施例10]
合成例2のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  実施例9において、アリルアミンを7.8g、ジアミノジシクロヘキシルメタンをビスアミノメチルシクロヘキサン7.0gに変更した以外は同様の方法で樹脂ワニスを得た。ジアミンによるアルデヒド変性率は20.9%、モノアミンによるアルデヒド変性率は28.0%であった。
  樹脂ワニスの粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定し、170mPa.sであった。また、シクロヘキサノン、MEK、アセトン等の溶剤に可溶であることが確認できた。
その樹脂ワニスをPETのフィルム上に薄く延ばし、150℃1時間ベーク後、200℃5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Kを得た。
[実施例11]
合成例3のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  合成例3で合成した樹脂を100g、トルエンに固形分30%になるように溶解した。完全に溶解したのを確認し、アリルアミン7.8gとジアミノジシクロヘキシルメタン10.4gの混合溶液を95℃で発熱に注意しながら2時間かけて添加した。その後、95℃で2時間攪拌し、真空下で固形分60%に調整し、樹脂ワニスを得た。ジアミンによるアルデヒド変性率は20.9%、モノアミンによるアルデヒド変性率は28.0%であった。
  樹脂ワニスの粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定し、215mPa.sであった。また、シクロヘキサノン、MEK、アセトン等の溶剤に可溶であることが確認できた。
  その樹脂ワニスをPETのフィルム上に薄く延ばし、150℃1時間ベーク後、200℃5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Lを得た。
[実施例12]
合成例3のアルデヒド含有ビフェニル樹脂を使用したワニス、成型物の調製
  実施例11において、アリルアミンを7.8g、ジアミノジシクロヘキシルメタンをビスアミノメチルシクロヘキサン7.0gに変更した以外は同様の方法で樹脂ワニスを得た。ジアミンによるアルデヒド変性率は20.9%、モノアミンによるアルデヒド変性率は28.0%であった。
樹脂ワニスの粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定し、165mPa.sであった。また、シクロヘキサノン、MEK、アセトン等の溶剤に可溶であることが確認できた。
  その樹脂ワニスをPETのフィルム上に薄く延ばし、150℃1時間ベーク後、200℃5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Mを得た。
[比較例2]
フェノール樹脂とエポキシ樹脂の硬化
  フェノールノボラック樹脂(群栄化学製PSM−4324:軟化点100℃、水酸基当量106g/eq)106gとエポキシ樹脂(YDCN−704:軟化点、エポキシ当量210g/eq)210g、硬化促進剤として2−メチルイミダゾール2.1gをメチルエチルケトンに固形分60%になるように溶解し、樹脂ワニスを得た。
  樹脂ワニスの粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定し、715mPa.sであった。また、シクロヘキサノン、MEK、アセトン等の溶剤に可溶であることが確認できた。
  その樹脂ワニスをPETのフィルム上に薄く延ばし、120℃1時間ベーク後、180℃5時間アフターベークを行い、厚さ0.2mmの樹脂成型物Nを得た。
[比較例3]
  合成例2で合成した樹脂を100g、トルエンに固形分30%になるように溶解した。完全に溶解したのを確認し、ジアミンによるアルデヒド変性率が70%、モノアミンによるアルデヒド変性率が28.0%になるようにアリルアミン7.8gとジアミノジシクロヘキシルメタン34.8gの混合溶液を95℃で発熱に注意しながら添加したが、滴下途中で樹脂が析出してしまいワニス化ができなかった。
[比較例4]
  合成例2で合成した樹脂を100g、トルエンに固形分30%になるように溶解した。完全に溶解したのを確認し、ジアミンによるアルデヒド変性率が20.9%、モノアミンによるアルデヒド変性率が70%になるようにアリルアミン19.5gとジアミノジシクロヘキシルメタン10.4gの混合溶液を95℃で発熱に注意しながら添加した。その後、95℃で2時間攪拌し、真空下で固形分60%に調整し、樹脂ワニスを得た。しかし、25℃で保存しておくと、2日後に樹脂が析出してしまい、保存安定性が悪いことが確認できた。
  上記実施例で得られた樹脂成形物について、各特性値の評価結果を以下の表2に示す。
  表2で示した通り、本発明の樹脂ワニス2から得られる樹脂成型物は、高いガラス転移温度を有し、高熱分解温度、低誘電率、低誘電正接であり、また、樹脂ワニス2は溶剤溶解性に優れ低粘度であることから、高機能性高分子材料として極めて有用であり、熱的、電気的に優れた材料として半導体封止材、電気絶縁材料、銅張り積層板用樹脂、レジスト、電子部品の封止用樹脂、液晶のカラーフィルター用樹脂、塗料、各種コーティング剤、接着剤、ビルドアップ積層板材料、FRPなどの幅広い用途に使用することができる。