スマートフォンは、インターネット等を通じて、その機種が搭載しているオペレーティングシステムに対応したアプリケーションソフトを追加することができる。しかしながら、スマートフォンは、アプリケーションソフトのショートカットを、同時に数種類しか表示させることができない。そのため、多数のアプリケーションソフトが追加されている場合、ユーザは、目的のアプリケーションソフトを探すのに時間がかかってしまう場合がある。
  また、スマートフォンは、非接触式IC(Integrated  Circuit)カード技術を内蔵している場合がある。このようなスマートフォンは、クレジットカード機能、電子クーポン、及びプリペイド式電子マネー等、財布の代わりとして使えるようになる各種の機能を提供する。例えば、このようなスマートフォンは、店舗の店頭等に用意されている専用の読み取り装置にかざすだけで、支払い等の手続きを完了させる。個々のサービスは、それぞれ専門の事業者が提供するアプリケーションソフトをインストールすることにより利用可能になる。しかしながら、このようなアプリケーションソフトは、対応するサービスを受ける際に起動しているとは限らない。したがって、このような場合、スマートフォンでは、ユーザが、非接触式ICカード技術を利用した機能が使えないといったことが実際に起こっている。
  また、スマートフォンのユーザが置かれている環境に合わせ、該ユーザが使用する可能性が高いアプリケーションソフトは、該ユーザが簡単にアクセスできるようにスマートフォンを改良すれば、その利便性を大きく向上させ得るものと考えられる。
  また、スマートフォンでは地図のアプリケーションソフトが多く使われており、スマートフォンのユーザは、様々なジャンルの店舗が何処にあるかが、該ユーザが地図を参照することにより直ぐに分かるようになっている。このため、スマートフォンは、そうした店舗やその周辺地域で即座に利用できるサービス等に関連したアプリケーションソフトを、ユーザが自動的に使用できるように構成すれば、ユーザの利便性が一層向上するものと考えられる。また、スマートフォンに対しては、商用目的としても、O−to−O機能(オンラインからオフライン(店舗等)へ客を誘導する機能)の実現が期待されている。
  なお、この分野の公知例技術として、例えば特許文献1には、ユーザの位置に応じて適切なアプリケーションプログラムを自動的に取得して起動することが可能な携帯端末装置が開示されている。具体的には、端末は位置情報取得装置によって位置情報を取得した場合、通信手段を用いてデータベースサーバにアクセスし、データベースサーバを介して位置情報をキーとするデータベースの検索を行う。端末は、このデータベースの検索の結果を基に、アプリケーション識別子とアプリケーション取得先とをデータベースから取得する。アプリケーション識別子及びアプリケーション取得先が同じとなるアプリケーションプログラムがアプリケーション格納領域に存在する場合、端末は、アプリケーション格納領域内のアプリケーションプログラムを起動する。
  以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
  図1は、一実施形態に係るスマートフォン110のブロック構成の一例を示す。スマートフォン110は、携帯コンピュータの機能を併せ持った携帯電話である。なおまた、スマートフォン110は、この発明における「携帯情報端末」の一例であってよい。
  スマートフォン110は、施設特定部111、アプリケーションソフト特定部112、及びアプリケーションソフト制御部113を備える。以下の説明においては、各構成要素の機能、及び動作を詳述する。
  施設特定部111は、現在位置近傍の施設を特定する。
  アプリケーションソフト特定部112は、施設特定部111が特定した上記施設に対応するアプリケーションソフトを特定し、アプリケーションソフト制御部113に送出する。
  アプリケーションソフト制御部113は、アプリケーションソフト特定部112が特定したアプリケーションソフトを起動し、その制御を行う。また、アプリケーションソフト制御部113は、アプリケーションソフト特定部112が特定した上記アプリケーションソフトのショートカットを、上記アプリケーションソフトを起動した後、表示装置(図示は省略)の表示画面に表示させる。この時、アプリケーションソフト制御部113は、アプリケーションソフト特定部112が特定した当該アプリケーションソフトのショートカットを、デジタル地図上における、施設特定部111が特定した上記施設の位置に重ねて表示させることができる。
  なお、スマートフォン110のユーザは、上記アプリケーションソフトがインストールされていない場合、当該アプリケーションソフトを、他のサーバ(図示は省略)からスマートフォン110にダウンロードすることができる。この場合、アプリケーションソフト制御部113は、上記ダウンロードの制御を行う。また、スマートフォン110のユーザは、このダウンロードしたアプリケーションソフトをスマートフォン110にインストールすることができる。
  この後、アプリケーションソフト制御部113は、アプリケーションソフト特定部112が特定した当該アプリケーションソフトによって提供される情報を上記表示装置の表示画面に表示するものとする。
  スマートフォン110は、自装置に搭載されているGPS(Global  Positioning  System)や方位センサから取得される位置情報を参照する。次に、スマートフォン110は、この位置情報に基づいて、自装置の付近や自己の進行方向に存在する店舗や公共サービス機関等を検出し、関連するアプリケーションソフトを簡単に起動できるUI(描画ソフトウェア)を用意する。また、スマートフォン110は、このUIを自動的に起動する。この機能によれば、例えば、ファーストフード店が進行方向に有れば、スマートフォン110は、アプリケーションソフトのアイコンを地図上に表示したり、起動し易いホーム画面に一時的にアイコン表示させたりすることができる。さらに、スマートフォン110は、自動的にファーストフード店対応のアプリケーションソフトを起動させることができる。
  図2は、スマートフォン110が使用される環境を示す説明図である。スマートフォン110は、自己の付近や自己の進行方向に存在する所定の目標(ここでは、郵便局、病院、駅、ファーストフード、コンビニエンスストア、レストラン)に関する情報を取得する。進行方向を把握するには電子コンパスを必要とすることが多いと考えられるが、本発明においては、進行方向(向き)の取得は必須要件ではない。
  なお、現状のGPSから入手できる情報には、付近の店舗や施設の情報までは含まれていないため、データベース(当該装置内に設置されたものでも良いし、外部サーバに設置されているものでも良い)を別途に用意し、該データベースの情報を参照するものとする。一般的に普及している地図アプリケーションソフトにおいて、既に上記のデータベースが構築されているので、図2では、当該データベース情報を引用する形の事例を記載しているが、本発明では、上記所定の目標に関する情報の入手経路は特定しない。
  図3は、スマートフォン110の処理動作を示す説明図である。まず、施設特定部111は、GPSを使用して自己の現在位置情報を入手する(S1)。次に、アプリケーションソフト特定部112は、上記入手した自己の現在位置情報から当該現在位置周辺の店舗や施設等の情報を入手する(S2)。
  この店舗や施設等の情報の取得に際しては、一般的に普及している地図アプリケーションソフト(データベースとして自己内部や外部サーバに保持されている)を参照することができる。なお、この店舗や施設等の情報の取得に際しては、上記の地図アプリケーションソフトを介さずに、自己内部のデータや、インターネットアクセスにより入手できるデータを、直接的に参照することも可能である。
  次に、アプリケーションソフト特定部112は、予め登録された(若しくはその場で登録した)店舗と関連する上記のアプリケーションソフトを、自動起動したり、その動作状況や処理結果をUI表示させたりする(S3)。また、アプリケーションソフト特定部112は、予め登録された(若しくはその場で登録した)施設と関連する上記のアプリケーションソフトを、自動起動したり、その動作状況や処理結果をUI表示させたりする(S3)。なお、上記の自動起動したアプリケーションソフト自体に関連する店舗情報は、該アプリケーションソフトに予め含めておくことも可能である。そして、このようなアプリケーションソフトがインストールされる時に該店舗情報を自動的に登録するように構成することも可能である。また、上記現在位置の周辺情報として入手できる店舗情報や施設情報に、上記の関連プリケーションソフトを付属情報として持たせておくように構成することも可能である。
  最後に、アプリケーションソフト制御部113は、上記アプリケーションソフトの実行を制御する。また、図4及び図5に例示するように、上記所定の目標の付近において、当該目標に対応したアプリケーションソフト対応の関連情報を上記表示装置に表示する(S4)。図4は、上記表示装置が、図3に示す目標地点B1〜B3対応の関連情報を表示している一例を示すものである。また、図5は、上記表示装置が、上記関連情報に対応するアプリケーションソフトを一括表示している事例を示すものである。
  この実施形態に係るスマートフォン110によれば、ユーザが、予め登録された所定の目標地点に近づいた時に、起動する可能性が高いアプリケーションソフトの選定に際して、施設特定部111が、自装置の位置情報を参照する。これにより、ユーザの利便性が向上する効果が得られる。即ち、上記所定の目標地点の付近(ファーストフードなどの店舗)では、当該店舗専用のアプリケーションを提供していることが多いからである。また、このようなアプリケーションソフトの提供元においては、宣伝やクーポンの提供を行っているため、ユーザとしても、情報取得やクーポン利用のために当該アプリケーションソフトを起動する場面が多くなるからである。
  また、この実施形態に係るスマートフォン110によれば、上記の起動する可能性が高いアプリケーションソフトが自動的に起動されるので、この点においてもユーザの利便性が向上する効果が得られる。即ち、この自動起動により、複数存在するアプリケーションソフトの内から、現在の場面で必要なアプリケーションソフト探したり、起動したりするための処理時間が短縮できる効果が得られるからである。
  また、この実施形態に係るスマートフォン110によれば、自己の周辺に存在する店舗や公共施設などから、関連するアプリケーションを起動しやすいUIを提供することでも利便性が向上する効果が得られる。即ち、ユーザは、複数存在するアプリケーションソフトの内から、目的のものを探す必要がなくなり、自己の付近にある店舗は、関連アプリケーションソフトや、該ソフトに対応する情報の表示を参照することで視認することができる。
  さらに、この実施形態に係るスマートフォン110によれば、位置情報だけではなく、自己の内部に保有する他の情報と組み合わせることで、上記の関連アプリケーションソフトへの入力情報を容易に増やすことができる効果が得られる。この効果によれば、例えば、電車乗り換えアプリケーションソフトに、他の情報である時刻情報も入力しておくことで、ユーザが駅に近づいただけで直近の列車の運行情報が確認できるといったことも可能となる。
  スマートフォン110の他の実施形態は、前記の実施形態に係るスマートフォン110に対して、既に表示されている地図上に、関連するアプリケーションが起動できるようにするための追加情報を表示する機能を備える。この場合、スマートフォン110に既に表示されている地図上にアイコンを表示して、このアイコンがタップされ時に、直接アプリケーションソフトを起動するものとする。但し、アプリケーションソフトがインストールされていない場合はノーオペレーションにするのではなく、ネットワーク上のサービスサーバからのダウンロード可能なアプリケーションソフトのインストールを促すメッセージを表示することができる。
  また、上記起動したアプリケーションソフトの表示画面には広告(情報)を表示する。このように構成すれば、ユーザは、歩行しているだけで表示画面に表示された周辺店舗の広告を閲覧することができるようになる。この場合、図6に示すように、アプリケーションソフト対応のアイコンに、「クーポン有り」、「割引中」といった案内情報を上書きで追加表示し、これにより、ユーザに対してアプリケーションソフトの起動を促進させる効果を生み出すことができる。
  また、ユーザが電子マネーに対応している店舗に入ったときに、既成のアプリケーションソフトである非接触式ICカード技術を利用した機能が起動するだけではなく、ICカードロックを自動的に解除するように構成することもできる。但し、ユーザのセキュリティ情報を保護する観点から、ロック解除することができるコンビニなどを予め特定して登録できるように構成することが望ましい。
  また、目標地点で対応するアプリケーションソフトを自動起動することまでは実行しないで、スマートフォン110が備えるROMに記憶されているアプリケーションソフトをRAMに展開するように構成することも可能である。この場合、表示されたアプリケーションソフト対応のアイコンを、ユーザがタッチすることで当該アプリケーションソフトを即起動するように構成することも可能であり、このように構成すれば、応答速度面での性能向上が期待できる。
  ちなみに、Android端末の標準機能であるLow−Memory−Killer(RAMメモリが減ってきた際に不要と判断されたプロセスを停止する機能)の判断条件に、GPSと付近の店舗情報を加えることができる。これにより、ユーザの付近に存在する店舗の関連アプリケーションソフトを自動的に停止されないように制御することができる。
  さらに、AR技術(拡張現実)と連携することで、カメラを通して見える店舗上に、関連アプリケーションソフトのアイコンを表示してタッチすることで当該アプリケーションソフトを起動することができる。この場合、さらに、当該アプリケーションソフトから得られる情報を画面表示するように構成することで、ユーザの入店意欲を沸かせる効果を増大する効果が期待できる。
  なお、本発明のアプリケーションソフト制御方法は、まず、現在位置の近傍の施設を特定し、上記施設特定段階において特定された施設に関するアプリケーションソフトを特定する。次に、上記アプリケーションソフト特定段階において特定されたアプリケーションソフトを制御することで実現されるものである。
  また、本発明のコンピュータプログラムは、まず、コンピュータに、現在位置の近傍の施設を特定させ、上記特定した施設に関するアプリケーションソフトを特定させるように制御するものである。さらに、本発明のコンピュータプログラムは、上記特定したアプリケーションソフトを制御させるものである。また、本発明の記録媒体は、上記コンピュータプログラムを記録した記録媒体である。