組織に1以上の経路を形成する装置、方法及びキットを本願明細書で説明する。概して、組織に経路を形成する装置は、既定の進路に沿って組織刺し通し部材を前進させるために使用され得る。組織刺し通し部材は、既定の進路に沿ってその前進前、前進中又は前進後のある時点で組織に進入し得る。組織刺し通し部材は、組織を通って前進する際、組織に経路を形成し得る。経路は、例えば、標的部位に1以上のツール又は他の装置を前進させるために使用され得る。
いくつかの変形例では、組織に1以上の経路を形成する装置は、ハウジングと、ハウジングに結合された組織刺し通し部材と、を備えており、組織刺し通し部材は、ハウジング内の1以上の特徴部(例えば溝)によって既定された進路に沿ってハウジングに対して移動可能である。既定の進路に沿った組織刺し通し部材の前進は、(例えば、手術者による装置の操作をほとんど必要とせずに)組織への相対的に制御した経路の形成を可能にし得る。例えば、既定の進路の存在によって、組織刺し通し部材が、組織を刺し通す前に組織に対してうまく位置決めされることを可能にする。
本願明細書で説明する装置、方法及びキットは再生可能な経路を形成する。例えば、本願明細書で説明する装置のいくつかの変形例は、2つの異なる血管壁を通る又は同じ血管壁の異なる2つの位置を通る、ほぼ同様の経路を形成するために使用されてよい。そのため、処置に先だって比較的に簡単に結果を予測することが可能である。さらに、この予測可能性の結果、所定の処置におけるエラーの可能性は低い。いくつかの変形例では、組織刺し通し部材の進路は、例えば、経路が形成される組織の厚さ、機械的特性、及び/又は、生物学的特性に基づき選択され得る。
本願明細書で説明する装置のある変形例は使用が比較的に簡単である。例えば、装置は、手術者による大きなトルクの付与や他の操作を必要とせずに組織に経路を形成するために使用され得る。いくつかの変形例では、本願明細書で説明する装置は、相対的にほとんど訓練していない手術者、及び/又は、手近な特定の処置の経験があまりない手術者によってうまく使用され得る。例えば、動脈切開を形成する経験があまりない手術者は、動脈切開をうまく形成するために装置を使用することが可能であり得る。本願明細書で説明する装置は誤用されにくい。例えば、いくつかの変形例では、装置は、単純にボタンを押すことによって、又は、スライドアクチュエータを作動させることによって、作動され得る。こうした作動の単純さは、装置の作動中の混乱の可能性を制限し、異なる能力レベルを有する出術者による装置の作動を可能にし得る。一例として、場合によっては、装置は、高度に熟練した手術者及び相対的に経験のない手術者の両方による作動が可能であり得る。代替として、相対的に使用が簡単な装置は、例えば、手術者のエラーの可能性を低減させるので、他の装置よりもより安全であり得る。
いくつかの変形例では、手術者は、処置を受けている人の体から所定の距離で、本願明細書で説明する装置を操作することができる一方で、組織刺し通し部材の前進及び/又は位置決めを局所的に制御する。例えば、手術者は、装置自体の本体を大きく操作することなく、装置に結合された引っ張り部材を操作することによって、及び/又は、1以上のボタンやスイッチなどを押す又は作動させることによって、装置を作動させることができる。このことは、今度は、長い組織刺し通し部材を前進させるために、手術者が、標的部位に到達するために、曲がりくねった又は屈曲した進路内に長い組織刺し通し部材を降ろさせないようにし得る。そうした前進は、組織刺し通し部材と組織刺し通し部材ポートとの間の大きな摩擦力を生じさせ、それによって、大きな摩擦力に抗うとともに組織刺し通し部材を前進させる又は引き戻すためのかなりの力を手術者が発揮させることを必要とする。手術者がかなりの力を発揮させると、(例えば、その後に予測不能に開放される初期の静止摩擦力のために)装置及び/又は周囲の組織が損傷を受ける、及び/又は、組織刺し通し部材が過度に前進し得る。本願明細書で説明する装置は、その長さに沿って組織刺し通し部材を押す及び/又は引くことをほとんど必要とせずにそれらの課題を回避し得る。さらに、組織刺し通し部材は、嵩張った組織刺し通し部材シャフトが、同じ曲がりくねった進路を誘導することを必要とせずに曲がりくねった位置に動かされ得る。
ある変形例では、本願明細書で説明する方法及び/又はキットは、セルフシール組織経路を形成するために使用されてよい。セルフシール組織経路は、そのシールを促進する介入装置又は介入方法を必要としない−定義によれば、セルフシール組織経路は自動的にシールする。例えば、セルフシール組織経路は、シールを促進するための栓、エネルギー、シーラント、クリップ、縫合糸などを必要としない。代わりに、セルフシール組織経路は、相互に接触する経路に沿った組織部分に対向するときにシールして、シールを形成し得る。このことは、例えば、組織壁に対する経路の角度が相対的に小さいときに生じ、そのことが、比較的に大きな長さ及び/又は大きな表面積を有する経路を生じさせる。血圧は、組織部分を相互に接触させ、自然の凝固の要因などが組織部分にシールを形成させる。当然のことながら、以下に説明するように、手動の圧力又は圧迫力が、経路のセルフシールの性質に影響を与えることなく、そのシールを促進するためにセルフシール経路に作用されてもよいことが理解されよう。
いくつかの変形例では、装置は、少なくとも1つの溝と、ハウジングに結合された少なくとも1つの組織刺し通し部材(すなわち、1つの組織刺し通し部材、又は、例えば2つ、3つ、4つ若しくは5つの組織刺し通し部材といった複数の組織刺し通し部材)と、を備えたハウジングを備えてもよい。組織刺し通し部材は、組織刺し通し先端を有する遠位端を備えてよく、溝の構造によって既定される進路に沿ってハウジングに対して移動可能であってよい。
ある変形例では、装置は、組織刺し通し部材に結合されて溝内にスライド可能に配置された少なくとも1つの突出部材(例えば少なくとも1つのピン)をさらに備えてよい。いくつかの変形例では、装置は、(例えば、ハウジングに組織刺し通し部材を結合する)組織刺し通し部材方向付け装置をさらに備えてよい。装置が少なくとも1つの突出部材をさらに備えるいくつかのそうした変形例では、突出部材及び組織刺し通し部材は両方とも組織刺し通し部材方向付け装置に結合されてよい。ある変形例では、組織刺し通し部材方向付け装置は、溝内にスライド可能に配置された少なくとも1つの部分を備えてよい。例えば、組織刺し通し部材方向付け装置は、本体と、本体から突出して溝内にスライド可能に配置された少なくとも1つの突出部材(例えば少なくとも1つのピン)と、を備えてよい。いくつかの変形例では、組織刺し通し部材方向付け装置の本体は、組織刺し通し部材が通る孔(例えば管)を画定してよい。
ある変形例では、装置は、例えばケーブルといった少なくとも1つの引っ張り部材を備えてよい。装置が突出部材を備えたいくつかの変形例では、引っ張り部材は突出部材に結合(例えば融合)されてよい。代替として又は追加として、突出部材は、当該突出部材を通る孔を画定してもよい。引っ張り部材は孔を通り、場合によっては、引っ張り部材は孔内で突出部材に結合されてよい。ある変形例では、装置は、ハウジングに結合された又はハウジングに一体化された回転部材を備えてよく、引っ張り部材は回転部材に結合されてよい。回転部材は例えばプーリを備えてよく、引っ張り部材はプーリ周りに巻き付けられてよい。いくつかの変形例では、装置は、ハウジングに結合された又はハウジングに一体化された突出部材(例えばポスト)を備えてよく、引っ張り部材は突出部材に結合される(例えば突出部材周りに巻き付けられる)。ある変形例では、引っ張り部材の近位移動は、組織刺し通し部材の遠位移動を生じさせ得る。
いくつかの変形例では、組織刺し通し部材は旋回点でハウジングに結合されてよい。ある変形例では、組織刺し通し部材の少なくとも一部が、旋回点でハウジングに結合された管状部材内に配置されてよい。装置は、ハウジング及び組織刺し通し部材の両方に結合されるとともに旋回点回りで組織刺し通し部材を旋回させる少なくとも1つの引っ張り部材を備えてよい。組織刺し通し部材は針を備えてよい。組織刺し通し部材は、少なくとも1つの形状記憶材料及び/又は少なくとも1つの超弾性材料を備えてよい。
いくつかの変形例では、装置は管状部材を備えてよい。管状部材は、ハウジングに対して関節接合可能であってよく、及び/又は、少なくとも1つの可撓性部材(例えば少なくとも1つのヒンジ)によってハウジングに結合されてよい。ある変形例では、組織刺し通し部材の一部が管状部材内に配置されてよい。いくつかの変形例では、管状部材は組織刺し通し部材に結合されてよい。そうした変形例では、管状部材は、組織刺し通し部材にポート(例えばハウジング上のポート)を結合してもよく、その結果、ポート及び組織刺し通し部材が相互に流体連通する。ある変形例では、ハウジングは、その中に少なくとも2つの溝を備えてよく、及び、管状部材は、溝内でスライド移動可能に配置された少なくとも2つのピンの間に位置決めされてよい。
ハウジングは少なくとも1つの窪み部分を備えてよい。いくつかの変形例では、装置は、窪み部分内に配置された真空ポートを備えてよい。代替として又は追加として、ハウジングは、窪み部分から突出する少なくとも1つのフック又はとげを備えてよく、及び/又は、窪み部分内に粗い面又は被覆を有してよい。
装置は少なくとも1つのセンサを備えてよい。例えば、装置は、1以上の温度センサ、圧力センサ、及び/又は、血流センサ(例えばドップラー)を備えてよい。
いくつかの変形例では、組織内に経路を形成する方法は、組織に隣接して経路形成装置を位置決めする工程であって、経路形成装置が、ハウジングと、ハウジングに結合された組織刺し通し部材と、を備える、工程と、ハウジング内の少なくとも1つの溝によって画定される既定の進路(例えば曲線の進路)に沿って組織刺し通し部材を前進させる工程と、を備えてよい。経路形成装置は、組織刺し通し部材及びハウジングに結合された引っ張り部材を備えてよく、方法は、既定の進路に沿って組織刺し通し部材を前進させるために引っ張り部材を操作する工程を備えてよい。いくつかの変形例では、引っ張り部材は、引っ張り部材を近位に引き戻すことによって操作されてよい。ある変形例では、組織刺し通し部材は、ハウジングに結合された管状部材内に少なくとも部分的に配置されてよく、方法は、既定の進路に沿って組織刺し通し部材を前進させるために管状部材を操作する工程を備えてよい。いくつかの変形例では、方法は、組織内に組織刺し通し部材を前進させる工程を備えてよい。
ある変形例では、血管壁(例えば動脈壁)に経路を形成する方法は、血管壁に隣接して経路形成装置を位置決めする工程と、血管壁に経路を形成するために経路形成装置の既定の進路に沿って組織刺し通し部材を前進させる工程であって、経路の一部(例えば小部分又は大部分)が血管壁の長手方向軸線にほぼ平行に血管壁を横切る、工程と、を備えてよい。
ある変形例では、血管壁(例えば動脈壁)に経路を形成する方法は、血管壁に隣接して経路形成装置を位置決めする工程と、血管壁に経路を形成するために経路形成装置の既定の進路に沿って少なくとも1つの組織刺し通し部材を前進させる工程と、を備えてよく、経路は、血管壁の長手方向軸線に対して、約30°以下の角度(例えば、約19°以下、約15°以下、約10°以下、約5°以下、約1°〜約30°、約1°〜約19°、約1°〜約15°、約1°〜約10°、約1°〜約5°、約5°〜約15°、約5°〜約10°の角度)を形成する。
経路形成装置は、組織刺し通し部材が血管壁に経路を形成するもののほぼ同一の位置に残るハウジングを備えてよい。いくつかの変形例では、経路形成装置は、ハウジングと、組織刺し通し部材及びハウジングの両方に結合された引っ張り部材と、を備えてよい。いくつかのそうした変形例では、方法は、既定の進路に沿って組織刺し通し部材を前進させるために引っ張り部材を操作する工程を備えてよい。引っ張り部材は、引っ張り部材を近位に引き戻すことによって操作されてよい。
組織刺し通し部材は、第1位置で組織に進入し、第2位置で組織から出てよく、第1位置及び第2位置の間の長さは、組織又は組織壁(例えば血管壁)の厚さよりも大きくてよい。ある変形例では、経路の長さは、組織又は組織壁(例えば血管壁)の厚さよりも大きくてよい。いくつかの変形例では、方法は、経路内に及び/又は経路を通って1以上のツール及び/又は閉鎖装置を前進させる工程を備えてよい。例えば、ある変形例では、被覆(例えば、導入器の被覆)が経路内及び/又は経路を通って前進してよい。被覆は、例えば、処置中のパフォーマンスのために経路を拡張するために使用されてもよい。処置が完了した後、被覆を引き戻して経路がシール(例えばセルフシール)してよい。いくつかの変形例では、方法は、経路に圧力を作用させる工程を備えてよい。
本願明細書で説明する方法のある変形例は、組織又は組織壁(例えば血管壁)から組織刺し通し部材を引き戻す工程を備えてよい。経路は、組織刺し通し部材が引き戻された後にセルフシールしてよい。上述したように、セルフシール組織経路は、組織経路がシールすることを促進するために介在装置又は介在方法を必要としない−定義では、組織経路は自動的にシールする。例えば、セルフシール組織経路は、組織経路がシールすることを促進するための栓、エネルギー、シーラント、クリップ、縫合糸などを必要としない。
ここで形成された経路は比較的に迅速にセルフシールしてよい。例えば、経路は、15分以内(例えば、12分以内、10分以内、9分以内、6分以内、5分以内、3分以内、1分以内など)でシールしてよい。当然のことながら、所望される場合には、1以上の補助的な閉鎖装置が、説明した装置及び方法と併せて使用されてよい。
方法は、温度、圧力及び血流の少なくともいずれか1つを検出する工程を備えてよい。いくつかの変形例では、方法は、組織に真空を作用させる、及び/又は、組織をクランプする工程をさらに備えてよい。ある変形例では、方法は、組織に真空を作用させる、及び/又は、組織をクランプする工程後に組織内に組織刺し通し部材を前進させる工程を備えてよい。本願明細書で説明する方法のいくつかの変形例は、組織をクランプする、又は、組織を切り離す工程と、組織の少なくとも一部に経路を形成するために、組織を通る組織刺し通し部材の比較的に容易な前進のために組織を位置決めする工程と、を備えてよい。クランプ方法及び他の組織位置決め方法又は組織分離方法に加えて、組織に真空又は吸引力を作用させる方法は、例えば、米国特許出願第12/507,038号(米国特許出願公開第2010/0016786号)明細書及び米国特許出願第12/507,043号(米国特許出願公開第2010/0016810号)明細書で説明されており、その両出願の全体が参照によって本願明細書に既に組み入れられている。
いくつかの変形例では、患者の組織(例えば血管壁)に経路を形成する方法は、組織に単一の経路を形成する工程を備えてよい。単一の経路は、例えば、セルフシールしてよい。上述したように、セルフシール組織経路は、組織経路がシールすることを促進するための介在装置及び介在方法を必要としない−定義によれば、セルフシール組織経路は自動的にシールする。例えば、セルフシール組織経路は、組織経路がシールすることを促進するために栓、エネルギー、シーラント、クリップ、縫合糸などを必要としない。単一の経路は、例えば、組織を通って組織刺し通し部材を前進させることによって形成されてよい。このことは、例えば、組織にごくわずかしか圧力を作用させない。さらに、組織は、比較的に迅速に再生し、それによって、比較的に処置時間を短くする。ある変形例では、単一の経路が、例えば血管壁によって画定される内腔などの組織によって画定された領域にアクセスするために使用されてよい。いくつかの変形例では、患者の組織(例えば血管壁)に経路(例えばセルフシール経路)を形成する方法は、組織の少なくとも一部を通って少なくとも1つの組織刺し通し部材を前進させることによって組織に経路を形成する工程を備えてよく、経路の形成は、組織の少なくとも一部を通る1つの又は複数の組織刺し通し部材の前進のみを必要とする。
組織刺し通し部材は、例えば、例えば中空の針又は中実の針などの針であってよい。針は、任意の好適な形状を有する任意の好適な先端を有してもよい。例えば、先端は、円錐形でよく、オフセットした円錐形でよく、とがっていなくてよく、鋭利であり、又は、とがっており、斜めであり、斜めではなくてよい。
本願明細書で説明する装置、方法及び/又はキットを使用して形成された経路は、任意の好適な又は所望の組織に形成されてよい。例えば、組織は、体組織(例えば、心臓血管系、消化器系、呼吸器系、排泄器系、生殖器系、神経系など)のいずれかの臓器であってよい。ある変形例では、組織は、例えば心臓又は動脈などの心臓血管系の臓器であってよい。他の変形例では、組織は、胃又は腸などの消化器系の臓器であってよい。いくつかの変形例では、組織は、血管壁(例えば動脈壁)の組織であってよい。装置及び方法は、その使用が適切な任意の組織に使用されてよい。
本願明細書では、組織に経路を形成する装置、方法及びキットを説明する。例えば、本願明細書で説明する装置、方法及びキットは、例えば血管壁などの組織壁を貫通する経路を形成するために使用され得る。概して、経路は、比較的に簡単に制御されて形成され得る。特定の経路の形成は再生可能であってもよい。その結果、本願明細書で説明する装置、方法及び/キットは、予測可能性が向上した処置を提供し得る。本願明細書で説明する装置、方法及びキットは、比較的に正確かつ簡単で効率的な経路の形成を可能にし得る。ある変形例では、本願明細書で説明する装置、方法及び/又はキットは、あまり経験がない又は全く経験がない手術者によって(例えば研修のために)使用されてよい。装置、方法及び/又はキットの使用は比較的に簡単で単純であるので、比較的に不慣れな手術者であっても、装置、方法及び/キットを使用して処置をうまく実行可能であり得る。
場合によっては、本願明細書で説明する装置、方法及び/又はキットを使用して形成した経路は、最小限のシールの力によって又は追加のシールの力なしで、セルフシールすることが可能であり得る。上述したように、セルフシール組織経路は、シールすることを促進する介入装置又は介入方法を必要としない−定義によれば、セルフシール組織経路は自動的にシールする。例えば、セルフシール組織経路は、当該セルフシール組織経路をシールすることを促進するための栓、エネルギー、シーラント、クリップ、縫合糸などを必要としない。しかしながら、本願明細書で説明する装置、方法及びキットは、1以上の追加の閉鎖機構又は閉鎖技術(例えば閉鎖装置、エネルギーの伝達、圧力の作用など)の使用によって補完され得ることが理解されよう。例えば、いくつかの変形例では、止血を達成するために圧迫力が作用されてよい。
ある変形例では、本願明細書で説明する装置及び/又は方法は、組織に単一の経路を形成するために使用されてよい(例えば単一の経路はセルフシールする)。
本願明細書で説明する装置、方法及びキットは、1以上の経路を形成することが所望される任意の組織に使用されてよい。例えば組織は体組織(例えば心臓血管系、呼吸器系、排泄器系、消化器系、生殖器系、神経系など)のいずれかの臓器であり得る。いくつかの変形例では、組織は例えば胃や腸などの消化器系の臓器であり得る。他の変形例では、装置、方法及びキットは、脈管構造(例えば動脈)又は心臓などの心臓血管系の組織に使用され得る。一例として、左心室、大動脈、大動脈弁、僧帽弁、大動脈弓などにアクセスするために心臓の筋肉壁及び/又は中隔を貫通する1以上の経路が形成されてよい。例えば、心臓の周囲面から心臓の筋肉壁を貫通して心臓の中隔に入る経路を形成するために組織刺し通し部材が使用され得る。ある変形例では、組織刺し通し部材は、心臓内への経心尖部(transapical)経路を形成するために使用され得る。いくつかの変形例では、組織が動脈であり、方法は、動脈穿刺を実行することに関連して使用され得る。ある変形例では、組織は、(例えば、自然開口部越経管腔的内視鏡手術すなわち「NOTES」を実行するために)自然開口部を通ってアクセスされ得る。組織は、例えば、生殖器系、排泄器系、消化器系などの組織であり得る。当然のことながら、同様の又は異なる組織を貫通するかどうかに関わらず、組織に複数の経路を形成する方法も考慮されることが理解されよう。
本願明細書で説明する装置、方法及びキットを組織経路形成に関して説明するものの、装置、方法、及び/又は、キットが1以上の他の目的のために代替として又は追加として使用されてよい。例えば、それらは、組織に1以上の診断薬及び/又は治療薬(例えば薬物)を運搬するために使用されてよい。
図1A〜図1Fは、組織に1以上の経路を形成する装置(100)の例示的な変形例及びその作動を図示している。図1Aに示すように、装置(100)は、その中に2つの溝(104)及び(106)を備えるハウジング(102)を備えている。以下にさらに詳細に説明するように、ハウジング(102)は、例えば、組織の刺し通しにあたって組織を位置決めすることを促進するために使用され得る窪み部分(119)を有している。装置(100)はまた、本体(110)と、本体から突出する2つの突出部材(図示するように、ピン(112)及び(114))と、を備えた組織刺し通し部材方向付け装置(108)をさらに備えている。ピン(112)及び(114)は溝(104)及び(106)内にスライド可能に配置されている。組織刺し通し部材方向付け装置(108)は、組織刺し通し先端(117)及び内腔(121)を有する組織刺し通し部材(116)に結合されている。図示するように、組織刺し通し部材(116)は、組織刺し通し部材方向付け装置(108)の本体(110)内の孔(ここでは、管(123))を貫通する。しかしながら、場合によっては、組織刺し通し部材は、異なる方法で組織刺し通し部材方向付け装置に結合されてよい。例えば、組織刺し通し部材は、組織刺し通し部材方向付け装置の外面に取り付けられて(例えば溶接されて)よい。ある変形例では、組織刺し通し部材は、組織刺し通し部材方向付け装置に一体化されてよい。
この変形例では、組織刺し通し部材方向付け装置(108)は、引っ張り部材(118)にも結合される。引っ張り部材(118)は、例えば、組織刺し通し部材方向付け装置(108)の本体(110)内の孔(図示せず)を通って延びてよい。概して、引っ張り部材(118)は本体(110)に結合されてよい。例えば、引っ張り部材は、孔内で本体に、溶接され、融合され、接着され、成形され、又は、オーバーモールドされ、又は、任意の他の好適な方法で取り付けられ又は接続されてよい。この結合によって、引っ張り部材の操作は、組織刺し通し部材方向付け装置による対応の動作を生じさせることができる。1つの孔を説明したものの、場合によっては、引っ張り部材は、組織刺し通し部材方向付け装置の本体内の複数(少なくとも2つ)の孔を通って延びてよい。ある変形例では、引っ張り部材(118)は、一方の又は両方のピン(112)及び(114)に、代替として又は追加として、結合されてよい。一例として、引っ張り部材は、少なくともいずれか一方のピン周りに巻き付けられてよい。いくつかの変形例では、引っ張り部材は、少なくともいずれか一方のピンに融合されてよく、及び/又は、少なくとも一方のピン内の1以上の孔を通ってよい。
ある変形例では、装置は、例えば2つ、3つ、4つ、又は、5つの引っ張り部材といった複数の引っ張り部材を備えてよい。例えば、図1Uは、組織に1以上の経路を形成する装置(180)を示している。装置は、本体(184)、本体から突出する2つのピン(186)及び(188)、及び、1つが各ピンに接続された引っ張り部材(190)及び(192)を有する組織刺し通し部材方向付け装置(182)を備えている。引っ張り部材の一方又は両方が、組織刺し通し部材方向付け装置(182)の本体(184)の1以上の孔(図示せず)を通ってよく、いずれもが通らなくてよい。引っ張り部材の他の構成が使用されてもよい。
ピン(112)、(114)、(186)及び(188)を示す一方で、任意の適切な部材又は異なる突出部材(例えばポストなど)の組み合わせが、ここで説明する装置のいずれかで使用されてよい。さらに、装置は、任意の適切な部材又は突出部材の組み合わせを備えてもよく、場合によっては、(例えば、突出部材が装置の軌道又は溝内にスライド可能ではないように)突出部材が装置に固定されてよい。複数の突出部材を備える装置では、突出部材は、同一の形態、サイズ及び/又は形状であってもよく、又は、これらの点の少なくともいずれかが異なってもよい。ある変形例では、突出部材は個別に作動されてよい。ある変形例では、突出部材はばね荷重であってもよい。このことは、例えば、引っ張り部材を必要とせずにばねの張力の下で溝を突出部材が辿ることができることを可能にする。代替として又は追加として、ばね荷重の突出部材を使用することによって、溝内のずれを調整することを促進し、及び/又は、作動中の固着を防止し得る。
図1Aに示すように、装置(100)は、ハウジング(102)に結合されたプーリ(120)の形状の回転部材をさらに備えている。引っ張り部材(118)は、プーリ(120)周りに巻き付けられており、管状部材(122)を通って進む。従って、引っ張り部材(118)は、第1位置(124)でハウジング(102)に進入して組織刺し通し部材方向付け装置(108)に結合し、プーリ(120)周りに巻き付き、管状部材(122)を通って第2位置(126)でハウジング(102)から出る。引っ張り部材(118)は管状部材(122)を通って進む一方で、装置のいくつかの変形例は、経路を指定するこうした管状部材を有しなくてよく、又は、経路を指定するこうした管状部材(例えば、装置の異なる区画に位置決めされる)を複数備えてもよい。ある変形例では、装置は、引っ張り部材の経路を指定することを促進するために使用されてよい1以上の他の構成要素を有してよい。こうした変形例では、装置は、経路を指定する1以上の管状部材を有してよく、又は、有しなくてもよい。
引っ張り部材(118)がプーリ(120)周りに巻き付いているので、プーリ(120)は、引っ張り部材(118)の張力を変えることを促進し得る。装置(100)はプーリ(120)を備える一方で、装置のいくつかの変形例は、代替として又は追加として、引っ張り部材の張力を変えるために使用され得る1以上の他のタイプの構成要素を備えてよい。一例として、装置は、結節又はポスト周りに巻き付けられた引っ張り部材(例えば、結節又はポストと引っ張り部材との間の摩擦を低減するためにプラスチックに埋め込まれる)を備えてもよい。別の例として、ある変形例では、装置は、引っ張り部材の張力を変えるために使用され得るレバーを備えてよい。他の適切な構成要素が使用されてもよい。
引っ張り部材(118)は、張力が付与され得る任意の好適な部材、及び/又は、張力を伝達するために使用され得る任意の好適な部材であってよい。好適な引っ張り部材の非限定例は、単繊維の又は多繊維の(例えば編んだ)縫合糸又は繊維、編んだ金属ケーブル、並びに、1以上の金属、プラスチック及び/又は繊維強化ポリマーを備える平坦なバンド、ストリップ、又はベルトを含む。
図1Bを参照すると、第2位置(126)でハウジング(102)を出る引っ張り部材(118)の一部が(矢印(A1)の方向に)近位に引っ張られると、組織刺し通し部材方向付け装置(108)は、溝(104)及び(106)によって既定される進路に沿って遠位に前進する。組織刺し通し部材(116)は組織刺し通し部材方向付け装置(108)に結合されるので、組織刺し通し部材(116)は組織刺し通し部材方向付け装置(108)とともに前進する。その結果、組織刺し通し部材(116)はほぼ矢印(A2)の方向に前進する。しかしながら、組織刺し通し部材の前進の進路は溝(104)及び(106)の構造によって変化し得る。例えば、一方又は両方の溝が湾曲している場合、組織刺し通し部材方向付け装置(108)は、曲線に抗うので前進の方向を変化させ得る。
当然のことながら、図1Bが特定の構造及び形状を有する溝を示している一方で、任意の他の好適な構造及び形状が使用されてよい。さらに、装置は任意の適切な数の溝を有してよい。例えば、装置は、たった1つの溝、又は、2以上の溝を有してよい。溝は任意の好適な寸法を有してよい。装置が少なくとも2つの溝を含む変形例では、少なくとも2つの溝が同一のサイズ及び/又は形状を有してよく、又は、すべての溝が異なるサイズ及び/又は形状を有してよい。溝は、湾曲していてよく、角度を有してよく、真っ直ぐなどであってよい。いくつかの変形例では、溝は、明確に区別できる軌道又は隙間を備えてよく、又は、半球状の断面形状を有してよい。溝のサイズ、形状及び構造は、例えば、組織を通る組織刺し通し部材の前進の所望の進路に基づき選択されてよい。
さらに、組織刺し通し部材方向付け装置(108)が溝内でピンのスライド移動を介して前進する一方で、任意の他の好適な機構が使用されてよい。一例として、溝を有することに代えて、組織刺し通し部材方向付け装置は、1以上のレールを有するハウジングを有してよく、かつ、レールに沿ってスライド可能に前進することに適した特徴部を有してよい。別の例として、ピンを有することに代えて(又は、ピンを有することに加えて)、組織刺し通し部材方向付け装置は、装置のハウジング内で溝又は進路に沿って回転するように構成されるローラ又はベアリングを有してよい。
図1Cを参照すると、手術者が矢印(A1)の方向に引っ張り部材(118)の一部を引っ張り続けると、組織刺し通し部材方向付け装置(108)は、溝(104)及び(106)の湾曲の結果としてその方向を変化させる。このことは、組織刺し通し部材(116)の方向を変え、その結果、組織刺し通し部材(116)は、矢印(A3)の方向に遠位に前進する。同様に、組織刺し通し部材(116)は、前進し続けると再び方向を変え、その結果、図1Dに示すように、矢印(A4)の方向に前進する。ここで図1Eを参照すると、組織刺し通し部材(116)はその後、もう一度方向を変え、その結果、矢印(A5)の方向に前進する。当然のことながら、図1B〜図1Eは、組織刺し通し部材の様々な方向の変化及び前進の単なる一例を示しており、適切である任意の組み合わせが使用されてよい。組織刺し通し部材の前進及び方向変化の特定の組み合わせは、例えば、標的となる生体構造、他の生理的な患者の特性(例えば、予測される血液凝固時間)、形成される経路を通って導入されるツールの形状などに基づき選択されてよい。
図1Fに示すように、いくつかの変形例では、組織刺し通し部材(116)は、引っ込み可能であってもよく、その結果、装置(100)のハウジング(102)内に近位に引き戻され得る。さらに具体的には、(矢印(A6)の方向に)第1位置(124)でハウジング(102)から出る引っ張り部材(118)の一部を引っ張ることによって、組織刺し通し部材(116)が矢印(A7)の方向にハウジング(102)内に引き戻され得る。
図1G〜図1Iを参照すると、組織刺し通し部材(116)が装置(100)から前進するにつれて装置に対する組織刺し通し部材の位置が変化する。このことは、溝(104)及び(106)に沿って進む際に組織刺し通し部材方向付け装置(108)がその方向を変化させる結果として生じる。ここで示すように、組織刺し通し部材(116)は、組織刺し通し部材(116)が前進するにつれて装置(100)に対して徐々により急勾配になる方向を採用している。しかしながら、組織に経路を形成する装置の他の変形例が使用時に異なる軌跡に沿って前進する組織刺し通し部材を備えてよいことが理解されよう。
図1Gは、組織刺し通し部材の展開の開始に近い位置の装置(100)を示している。図示するように、組織刺し通し部材(116)は長手方向軸線(LA1)を有しているとともに、ハウジング(102)の底面(130)は長手方向軸線(LA2)を有している。長手方向軸線(LA1)及び(LA2)はその間に角度(a1)を有している。いくつかの変形例では、図1Gに示すように、角度(a1)は最小で約0°及び/又は最大で約30°であってよい。例えば、図1Gに示すように、角度(a1)は、約0.5°〜約30°(例えば、約0.5°〜約20°、約0.5°〜約10°、約0.5°〜約5°)であってよく、又は、約0°〜約10°(例えば、約0°〜約5°)であってよい。
ここで図1Hを参照すると、組織刺し通し部材(116)が前進し続けるにつれて、角度(a1)は(例えば約1°〜約45°の範囲まで、例えば約2°〜約30°の範囲まで)増加する。同様に、図1I及び図1Jは、組織刺し通し部材(116)の連続した前進時に角度(a1)の大きさがさらに増加することを図示している。図1Iに示すように、例えば、角度(a1)は約10°〜約60°(例えば約10°〜約30°)であってよい。代替として又は追加として、図1Jに示すように、角度(a1)は、約12°〜約90°(例えば約12°〜約60°、又は、約20°〜約90°)であってよい。
組織経路形成方法中で使用され得る展開角度は、例えば、組織の特性に基づき選択されてよい。一例として、相対的に薄い組織(例えば腸管壁組織)に経路を形成するために装置が使用されるいくつかの変形例では、装置の組織刺し通し部材の展開角度は相対的に小さくてよい。場合によっては、最終的な組織刺し通し部材の展開角度(例えば組織を通って内腔内に入るために使用される角度)は相対的に大きくてよい。例えば、組織刺し通し部材を前進させることによって組織が、栓を挿入して開けられ得るか、又は、押しのけられ得る場合には、組織を完全に刺し通すことができる相対的に大きな展開角度を採用することが望ましい。
図1G〜図1Jに示す異なる展開角度は単なる例示であって、装置の他の変形例は他の構成の展開角度を有してよいことが理解されよう。例えば、装置は、より少ない数の異なる展開角度を有してよく、又は、より多くの数の異なる展開角度を有してよい。さらに、図1G〜図1Iは、展開中に増大する長手方向軸線(LA1)及び(LA2)の間の角度を示しているものの、場合によっては展開時のある時点の間で角度は減少してよい。ある変形例では、組織刺し通し部材方向付け装置は、組織刺し通し部材の前進の特定の角度を達成するように作動されてよい。いくつかの変形例では、組織刺し通し部材の前進の所望の角度は、組織壁がより厚くなるにつれてより急勾配になり得る。
図1K〜図1Qは、組織壁(200)に経路を形成するために使用される装置(100)を示している。まず、装置(100)は、標的部位、ここでは、組織壁(200)まで運搬される。装置(100)は、例えば、NOTES処置を用いて標的部位に運搬されてよい。一例として、組織壁(200)が胃壁である場合、装置(100)は、食道を介して組織壁(200)まで運搬されてよい。こうした経食道投与では、装置は、例えば、約13ミリメートルの直径を有する食道内に適合するように構成されるサイズを有してよい。標的部位への他のNOTESアプローチは、経胃の、経膣の、又は、経直腸のものであってよい。さらに、装置及び/又は方法のいくつかの変形例は、NOTES技術及び腹腔鏡技術の両方を包含する複合NOTES処置で、又は他の複合処置で使用されてよい。
装置(100)のハウジング(102)は、任意の適切な材料又は材料の組み合わせを備えてよく、かつ、1以上の生体適合性材料を通常は備えてよい。いくつかの変形例では、ハウジング(102)又はその一部(例えばその外周縁及び/又は組織接触面)は、1以上の相対的に柔軟な材料(例えば相対的に柔軟なプラスチック又はポリマー)から形成されてよいものの、装置(100)の内部構成要素及び/又はハウジング(102)のさらに中心の領域は、さらに剛体であってよい。このことは、例えば、処置中に標的部位に対して装置(100)が比較的に容易に操作されることを可能にし得る一方で、構造的な完全性及び十分なロバスト性を依然として維持する。
ハウジング(102)の使用に好適であり得る材料の例は、例えばポリアセタール(例えばDELRIN(登録商標)アセタール樹脂)、ポリスチレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(例えばTEFLON(登録商標)ポリマー)、ポリイミド、ナイロン、シリコーン、SANTOPRENE(登録商標)熱可塑性樹脂加硫物、及び、ポリビニルクロライド(PVC)などのポリマーを含む。いくつかのタイプ又は族のポリマーは、異なるデュロメータ又は硬度で利用可能であってよく、及び、この場合には、所望の特性のための適切な1つの又は複数のポリマーが使用されてよい。比較的に硬い材料の例は、PEEK、PEKK、ABS、又は、シリコーンを含み、比較的に柔らかい材料の例は、シリコーン、SANTOPRENE(登録商標)熱可塑性樹脂加硫物、及び、PEBAX(登録商標)ポリマーを含む。当然のことながら、これらは、単なる例示の材料であって、他の比較的に硬い又は比較的に柔らかい材料が使用されてもよい。さらに、特に柔らかくない又は硬くない材料が使用されてよい。さらに、いくつかの変形例では、異なる材料の組み合わせ(例えば混合物)が使用されてよい。例えば、ポリマーの混合物が使用されてよく、又は、1以上のポリマーと充填材料(例えばガラス繊維及び/又はガラス粒子、炭素繊維など)との複合物が使用されてよい。
いくつかの変形例では、装置(100)は、腹腔鏡下で標的部位に運搬されてよく、腹腔鏡手術で使用されるトロカール内に適合するように調整されてよい。ある変形例では、装置(100)は標的部位まで被覆内で前進してよい。装置(100)は、そうした被覆を通る前進を補助し得る平滑な及び/又は丸い外形(例えば、カップ形状又はクラムシェル形状)を有してよい。いくつかの変形例では、装置(100)は、1以上の手術切開を介して標的部位に運搬されてよい。例えば、装置(100)は、血管まで切り込まれた皮膚の切開を介して血管まで直接運搬されてよい。ある変形例では、装置(100)は、以下でさらに詳細に説明するように、その後に標的部位まで運搬されるさらに大きな装置全体内に組み込まれてよい。装置(100)は本願明細書で説明されるものの、装置(100)の特徴及び用途は、本願明細書で説明する他の装置に適用されてよく、必要に応じてその逆もまた同様であることが理解されよう。さらに、本願明細書で説明する任意の方法の特徴は、必要に応じて、本願明細書で説明する他の方法に適用されてよい。
図1Kに示すように、まず装置(100)が、組織壁(200)の表面(202)に対して位置を調整される。例えば、組織壁(200)が心臓の組織壁である場合、表面(202)は心臓の組織壁の外面であってよい。装置(100)は、図示するように、ハウジング(102)が表面(202)と同一平面になるように位置を調整されてよく、又は、代替として、ハウジング(102)の一部のみが表面(202)に接触するように、又は、ハウジング(102)のいずれもが表面(202)に接触しないように位置を調整されてよい。図1Kを再び参照すると、図示するように、組織壁(200)の一部はハウジング(102)の窪み部分(119)内に引き寄せられる。このことは、例えば、組織の表面に対して表面(202)を接触させて矢印(A8)の方向に装置(100)を移動させることによって、実現されてよい。代替として又は追加として、いくつかの変形例では、装置は、吸引又は真空特徴部を有する窪み部分、又は、窪んでいないものの所望の位置内に組織を引き込むために使用され得る吸引又は真空特徴部を有する部分を備えてよい。さらに、窪み部分を説明したものの、いくつかの変形例では、異なる構造を有する一部が、組織をその中に引き込むために使用されてよく、又は、そうでなければ、組織を位置決めする又は分離するために使用されてよい。例えば、装置は、窪み部分(119)に同様の機能を付与するさらに丸い溝部分を備えてよい。
図1Lに示すように、装置(100)が所望の位置に配置された後、第2位置(126)でハウジング(102)から出た引っ張り部材(118)の一部が、組織壁(200)内への組織刺し通し部材(116)の前進を開始させるために矢印(A1)の方向に引かれてよい。組織刺し通し部材は、その後、組織壁(図1N及び図1O)を通り抜けるまで、組織壁を通って前進し続ける(図1M)。例えば、組織壁(200)が血管壁である場合には、組織刺し通し部材は、血管壁によって画定される内腔に進入するまで血管壁を通って前進させられてよい。このようにして、組織刺し通し部材(116)は組織壁(200)に経路(204)を形成する(図1Q)。経路(204)の特徴は、例えば、組織壁(200)の1以上の特性に基づき選択されてよい。
場合によっては、例えば経路(204)などの経路は、装置(100)を使用して、及び/又は、本願明細書で説明する1以上の他の装置及び/又は方法を使用して、比較的に容易に形成され得る。例えば、装置(100)を適切に位置決めした後に引っ張り部材(118)を単純に引くことによって、手術者は組織経路を形成し得る。当然のことながら、引っ張り部材を説明したものの、制御の他の形態が代替として又は追加として採用されてよい。一例として、いくつかの変形例では、1以上のスライドアクチュエータ、スイッチ、ボタン又は他の同様の特徴部が経路形成装置を作動させるために使用されてよい。これらの作動特徴部は、近位に配置されてよく、又は、手術者による使用が容易に構成された位置に位置決めされてよい。
装置(100)は、相対的に一定の厚さを有する組織の一部に、又は、異なる厚さを有する組織の一部に経路を形成するために使用されてよい。さらに、いくつかの変形例では、装置は、2以上の異なるタイプの組織を横切り得る組織刺し通し部材を有してよい。例えば、装置は、2つの異なる軌跡を有する組織刺し通し部材を有してよく、その一方が、胃の漿膜を横切るために使用されてよく、その他方が、胃の粘膜を横切るために使用されてよい。
図示して上述した方法は、組織を通る経路を形成する1つの方法であるものの、他の好適な方法が当然のことながら使用されてよい。例えば、いくつかの方法は、装置作動の組織刺し通し部材の前進及び手動の組織刺し通し部材の前進の組み合わせを採用してよい。さらに、ある変形例では、経路の第1部分が第1組織刺し通し部材によって形成されてよく、経路の第2部分が第2の異なる組織刺し通し部材によって形成されてよい。組織刺し通し部材の任意の好適な数及び組み合わせが組織経路を形成するために使用されてよい。
いくつかの変形例では、組織刺し通し部材が組織壁に経路を形成した後、組織刺し通し部材は組織壁内に残ったままであってよい一方で、1以上の案内ワイヤ及び/又は他のツール又は装置が、組織刺し通し部材を通って又は組織刺し通し部材上で前進させられる。このようにして、組織刺し通し部材は、案内ワイヤ、ツール及び/又は装置に、組織壁を通る又は組織壁内へのアクセス及び通過を提供してよい。ある変形例では、案内ワイヤが組織刺し通し部材を通ってよく、組織刺し通し部材が引き戻されてよい。案内ワイヤは、その後、組織壁を通って1以上のツール又は装置を前進させるために使用されてよい。経路を通って前進するツールが、例えば、診断処置及び/又は治療処置で使用されてよい。
図1Pは、経路(204)が組織壁(200)に形成された後、組織壁(200)から引き戻された組織刺し通し部材(116)を図示している。図示するように、第1位置(124)でハウジング(102)から出る引っ張り部材(118)の一部が、組織壁から組織刺し通し部材を引き戻すために(矢印(A6)の方向に)近位に引っ張られてよい。手術者は、例えば、組織刺し通し部材が必要でない場合、又は、組織刺し通し部材が非標的部位に不注意で展開された場合、組織刺し通し部材を引き戻すことを選択してよい。
ここで図1Qを参照すると、上述したように、経路(204)は組織刺し通し部材(116)によって形成される。図1Qに示すように、経路(204)は、長さ(L)及び高さ(H)を有する徐々に傾斜した形状を有している。しかしながら、経路(204)は、組織を貫通して形成され得る経路構造の単なる一例であり、他の適切な構造が代替として又は追加として使用されてよいことが理解されよう。一例として、経路は、さらに角度を有してよく、又は、斜めであってよく、又は、1以上の斜め部分を有してよい。いくつかの変形例では、経路は、1以上の傾斜領域、1以上の平坦領域、及び/又は、長手方向軸線及び/又は組織壁の表面にほぼ平行な1以上の領域を備えてよい。血管壁(例えば動脈壁)に経路が形成されるある変形例では、経路は、血管の内腔の長手方向軸線にほぼ平行な1以上の領域、及び/又は、血管壁の表面にほぼ平行な1以上の領域を備えてよい。いくつかの変形例では、組織刺し通し部材は、うねり経路に沿って組織内に前進するように構成されてよく、及びそれによって、組織を貫通するうねり経路を形成してよい。うねり経路は、例えば、相対的に直線の進路を辿る他の組織刺し通し部材によって形成された経路よりも大きな表面積を有してよい。この大きな表面積は、(例えば前述の1以上の理由のため)経路がセルフシールすることを比較的に容易に可能にし得る。経路のうねりの度合いは、場合によっては、わずかな部分であってよく、又は、かなりの部分であってよい。経路の他の構造(例えば鋸歯状経路、振動経路など)が、手近な特定の用途に好適なものとして、形成されてもよい。
経路の長さ(例えば経路(204)の長さ(L))は任意の好適な又は所望の長さであってよい。いくつかの変形例では、長さは、経路の比較的に迅速なシールを促進することを助けるために選択されてよい。例えば、本願明細書で説明する装置及び方法が血管系に使用される場合、経路のシールを助け得る有用な生物学的要因(例えば、成長因子、組織因子など)をより長い経路が露出させ得ると考えられているので、より長い経路が所望であり得る。このことは、他の組織の場合も同様である。さらに、より長い経路は、さらに迅速に経路をシールさせ得る機械的圧力が作用するさらに大きな面積を有し得る。いくつかの変形例では、長さ(L)は、(例えば、経路(204)が形成される組織壁(200)の位置内で、又は、組織壁(200)の平均厚さに対して)組織壁(200)の厚さよりも大きくてよい。ここでは、当然のことながら、経路(204)の高さ(H)は組織壁(200)の厚さに等しくてよい。しかしながら、場合によっては、経路は、組織壁の厚さよりも小さい高さを有してよい。例えば、経路は、組織の一部の内側区画内に1以上の治療剤を置くために形成されてよい。血管壁内に経路が形成されるある変形例では、経路の一部(例えば大部分又は小部分)が、血管壁の長手方向軸線に対して、及び/又は、血管壁の表面に対して、ほぼ平行な血管壁を横切ってよい。
経路は、経路が形成される組織に対して任意の適切な方向又は構造を有してよい。一例として、図1Rは、組織壁(208)内の例示的な経路(206)を示している。図示するように、経路(206)は、組織壁(208)を貫通する斜めの経路を形成する。組織壁(208)は外面(210)及び内面(212)を有している。例えば、いくつかの変形例では、組織壁(208)は血管壁であってよく、及び、内面(212)は血管壁の内腔に面してよい。図1Rに示すように、経路(206)と内面(212)との間には角度(a2)が存在する。いくつかの変形例では、角度(a2)は、約30°以下(例えば、19°以下、15°以下、10°以下、又は、5°以下)であってよい。ある変形例では、角度(a2)は約1°〜約30°(例えば1°〜約19°、約1°〜約15°、約1°〜約10°、約1°〜約5°、約5°〜約15°、又は、約5°〜約10°)であってよい。ある変形例では、角度(a2)は、組織又は手近な処置に基づき選択されてよい。
図1Sは、内腔(220)を有する血管(218)の壁(216)を貫通する別の経路(214)を示している。図示するように、内腔(220)は長手方向軸線(LA3)を有しており、経路(214)は長手方向軸線(LA3)に対して角度(a3)を形成している。いくつかの変形例では、角度(a3)は、約30°以下(例えば約19°以下、約15°以下、約10°以下、又は、約5°以下)であってよい。ある変形例では、角度(a2)は、約1°〜約30°(例えば約1°〜約19°、約1°〜約15°、約1°〜約10°、約1°〜約5°、約5°〜約15°、又は、約5°〜約10°)であってよい。
ある変形例では、組織を貫通する経路は、例えば組織の表面、組織の長手方向軸線、又は、血管の場合には、血管の内腔の長手方向軸線などの基準に対して異なった角度を有する複数の(例えば少なくとも2つの)異なる領域を有してよい。一例として、図1Tは、外面(226)及び内面(228)を有する組織壁(224)を貫通する経路(222)を示している。経路(222)は、第1領域(230)と、第1領域に対して角度を有する第2領域(232)と、第2領域に対して角度を有する第3領域(234)と、を備えている。図1Tでは、内面(228)に平行な点線(228’)及び(228”)が、内面(228)に対する経路(222)の異なる領域の位置の図示を助けるために使用されている。図示するように、第1領域(230)は点線(228”)に対して(及び従って、内面(228)に対して)角度(a4)を形成しており、第2領域(232)は点線(228’)に対して(及び従って、内面(228)に対して)異なる角度(a5)を形成しており、第3領域(234)は内面(228)に対してさらに別の異なる角度(a6)を形成している。いくつかの変形例では、角度(a4)は約0.5°〜約45°(例えば約1°〜約30°)であってよく、角度(a5)は約1°〜約90°(例えば約5°〜約60°)であってよく、及び/又は、角度(a6)は約0.5°〜約45°(例えば約1°〜約45°)であってよい。当然のことながら、これらの角度の各々が他の角度と異なってよく、いくつかの変形例では、組織を貫通する経路の少なくとも2つの異なる領域が、組織の表面及び/又は組織の長手方向軸線に対して同一の角度を形成してよい。さらに、上述したように、経路は、単なる例示であるここで示す構造を有する必要はない。例えば、経路は、ここで示すものよりもより多い又はより少ない領域を有してよく、湾曲した領域、角度を有する領域、及び/又は、振動する領域の組み合わせを有してよく、又は、任意の他の適切な構造を有してよい。
例えば血圧などの圧力が、本願明細書で説明する1以上の装置及び/又は方法を使用して形成された経路に作用し、及びそれによって、追加の閉鎖装置を必要とせずに比較的に迅速に経路をシールさせ得る。例えば、経路は、15分以下(例えば12分以下、10分以下、9分以下、6分以下、5分以下、3分以下、1分以下など)でシールしてよく、必要とされ得る任意の外部からの圧迫の継続時間を減少させる。当然のことながら、必要であれば、1以上の追加の閉鎖装置(例えば栓、クリップ、接着剤、縫合糸など)が使用されてよく、及び/又は、追加の閉鎖方法(例えば機械的圧力の適用、吸引の適用、1以上のシーリング剤の適用など)が使用されてよい。これらの追加の閉鎖装置及び/又は方法はシーリング工程を促進することを助け得る。
上述したように、ある変形例では、セルフシール組織経路が形成されてよい。セルフシール組織経路は、そのシールを促進するための介在装置又は介在方法を必要としない−定義によれば、セルフシール組織経路は自動的にシールする。例えば、セルフシール組織経路は、そのシールを促進するために、栓、エネルギー、シーラント、クリップ、縫合糸などを必要としない。場合によっては、組織刺し通し部材と組織の表面又は組織壁(例えば血管壁)の長手方向軸線軸線との間の角度は、セルフシール経路を形成するために選択されてよい。例えば、角度は、例えば約30°以下(約19°以下、約15°以下、約10°以下、約5°以下、約1°〜約30°、約1°〜約19°、約1°〜約15°、約1°〜約10°、約1°〜約5°、約5°〜約15°、又は、約5°〜約10°)などの比較的に小さい角度であってよい。
図1Vは、血管(284)の壁(283)の一部(282)を貫通する例示的なセルフシール経路(280)を示しており、血管は内腔(286)を有している。図示するように、経路(280)はほぼ斜めであって、長さ(L2)を有している。経路の長さは、経路の比較的に迅速なシーリングを促進することを助けるために、任意の好適な又は所望の長さであってよい。例えば、本願明細書で説明する装置及び方法が血管系に使用される場合、より長い経路が所望され得る。このことは、簡単に上述したように、より長い経路が、経路のシールを助け得る有用な生物学的因子(例えば成長因子など)を露出させ得ると考えられているからである。このことは他の組織の場合にも同様であり得る。さらに、より長い経路は、さらに迅速に経路にシールさせ得る機械的圧力が作用する比較的に大きな面積を有し得る。いくつかの変形例では、長さ(L2)は、(例えば経路(280)が形成される一部(282)の位置で)壁(283)の一部(282)の厚さよりも大きくてよい。
図1Vに示す矢印は、経路上に作用する圧力が、追加の閉鎖装置を必要とせずに比較的に迅速にどのように経路をシールさせ得るかを示している。経路は、経路に沿った例えば対向する組織部分(290)及び(292)などの対向する組織部分が相互に接触してシールを形成する場合にシールし得る。いくつかの変形例では、経路は、15分以下、12分以下、10分以下、9分以下、6分以下、3分以下、1分以下などでシールしてよく、もしあれば、必要とされ得る任意の外部からの圧迫の継続時間を減少させる。当然のことながら、必要であれば、1以上の追加の閉鎖装置(例えば栓、クリップ、接着剤、縫合糸など)が使用されてよい。
本願明細書で説明する方法は、単なる経路の形成に加えて他の態様を含んでよい。例えば、方法は、エネルギーの作用、1以上の流体又は有用な薬品の運搬、(例えば経路を通じた)組織部位への1以上の有用なツールの運搬、温度、圧力及び/又は血流の検出、1以上の処置の実行、可視化、組織に対する装置の位置の特定、その組み合わせなどを備えてもよい。例えば、図示しないものの、いくつかの変形例では、組織刺し通し部材(116)が管状部材に結合されてよく、管状部材が同様に、(例えば装置上の又は装置とは別個の)1以上のポートに結合される。管状部材は、組織刺し通し部材と同時に移動してよく、1つの又は複数のポートと組織刺し通し部材を流体連通させてよい。このようにして、1以上の治療剤が、1つの又は複数のポート及び管状部材を介して組織刺し通し部材を通って運搬されてよく、治療される組織に結果として進入してよい。
いくつかの変形例では、本願明細書で説明する1以上の装置が、回転して再配置され、及び/又は、そうでなければ操作されてよい。ある変形例では、本願明細書で説明する1以上の装置が、ロボットの及び/又は遠隔の操作又は作動のために構成されてよい。
組織を貫通する単一の経路の形成を説明したものの、いくつかの変形例では、複数の経路が組織を貫通して形成されてよい。経路は、同一の装置によって形成されてよく、又は、複数の異なる装置によって形成されてよい。一例として、いくつかの変形例では、単一の装置が、組織に2つの異なる経路を形成するために、同時に又は他方の後に一方が展開され得る2つの異なる組織刺し通し部材を備えてよい。
本願明細書で説明する装置及び/又は方法とともに使用される組織刺し通し部材は、任意の適切なサイズ、形状及び構造を有してよい。これらは、例えばステンレス鋼又は超弾性及び/又は形状記憶材料(例えばニチノール)などの任意の適切な1つの又は複数の材料を備えてもよい。いくつかの変形例では、組織刺し通し部材は中空であってよい一方で、他の変形例では、組織刺し通し部材は中実であってよい。組織刺し通し部材のある変形例は1以上の内腔及び/又は開口部を備えてよい。これは、例えば、組織刺し通し部材を通って(及び、例えば、組織が血管を備える場合には血管の内腔内へ)ワイヤが前進することを許容し得る。いくつかの変形例では、装置は、針内に針の形状の組織刺し通し部材を備えてよい。装置のある変形例は1以上の組織刺し通し部材を備えてよい。一例として、装置は、相対的に大きな断面径を有する第1組織刺し通し部材と、相対的に小さな断面径を有する第2組織刺し通し部材と、を備えてよい。相対的に大きな組織刺し通し部材は、例えば、標的部位への相対的に大きなツールの展開のために経路を形成するために選択されてよい一方で、相対的に小さな組織刺し通し部材は、例えば、標的部位への相対的に小さなツールの展開のために経路を形成するために選択されてよい。こうした選択性は、装置が多くの異なる処置に使用されることを可能にし得る。装置が複数の組織刺し通し部材を備えるいくつかの変形例では、少なくとも2つの組織刺し通し部材が、組織刺し通し部材方向付け装置に結合されてよい一方で、他の変形例では、少なくとも2つの組織刺し通し部材が、異なる組織刺し通し部材方向付け装置に結合されてよく、及び/又は、少なくとも1つの組織刺し通し部材が、任意の組織刺し通し部材方向付け装置に結合されなくてよい。ある変形例では、装置は、極微針の形状の複数の組織刺し通し部材を備えてよい。複数の極微針は例えば薬物運搬の用途に使用されてよい。他のタイプの組織刺し通し部材が薬物運搬の用途に使用されてもよい。
いくつかの変形例では、組織に1以上の経路を形成する装置は、標的部位に案内ワイヤを配置することを促進するために使用されてよい。案内ワイヤは、組織に経路を形成するために、組織を通る組織刺し通し部材の展開前、展開中、及び/又は、展開後に組織刺し通し部材内に少なくとも部分的に配置されてよい。代替として、案内ワイヤは、経路が形成されて組織刺し通し部材が引き戻された後に経路内に配置されてよい。
図2A〜図2Gは、組織壁(252)に案内ワイヤ(250)を配置するために使用される装置(100)を示している。図2Aに示すように、案内ワイヤ(250)は、組織壁を通る組織刺し通し部材の前進前に組織刺し通し部材(116)の内腔(121)内に位置決めされる。装置(100)は、例えば、内腔(121)内に予め位置決めされた案内ワイヤ(250)とともに販売され又は提供され、若しくは、手術者又は他の医療従事者が使用前に内腔(121)内に案内ワイヤ(250)を装着してよい。いくつかの変形例では、図示していないものの、案内ワイヤは、組織刺し通し部材の前進が始まった後、又は、組織刺し通し部材が組織に経路を形成するために使用された後、組織刺し通し部材内に装填されてよい。
ここで図2Bを参照すると、組織刺し通し部材(116)が組織壁(252)内に前進する際、案内ワイヤ(250)は組織刺し通し部材とともに前進しなくてよい。しかしながら、いくつかの変形例では、案内ワイヤは、組織刺し通し部材に一時的に結合されてよく、その結果、案内ワイヤは組織刺し通し部材と同時に移動する。代替例として、ある変形例では、手術者は、組織刺し通し部材が前進する際に案内ワイヤを手動で前進させてよい。
図2C及び図2Dに示すように、組織刺し通し部材(116)は、組織刺し通し部材が組織壁に経路を形成するまで、組織壁(252)内に前進し続ける。そして、ここで図2Eを参照すると、案内ワイヤ(250)は、矢印(A9)の方向に組織刺し通し部材(116)を通って前進してよく、その結果、案内ワイヤ(250)は組織壁(252)の他方の側面の空間(254)に進入する。その後、図2Fに示すように、組織刺し通し部材(116)は、組織壁(252)から引き戻されてよく、所定の位置に案内ワイヤ(250)を残す。その結果、図2Gに示すように、案内ワイヤ(250)は、組織刺し通し部材(116)によって形成された経路(256)内に位置決めされる。図2A〜図2Gは、組織を通る案内ワイヤの配置を示している一方で、構成要素又は装置の他の変形例が、必要に応じて同一の方法又は同様の方法を使用して位置決めされてもよいことに留意されたい。
ある変形例では、組織に1以上の経路を形成する装置の1以上の表面は、経路形成中に組織を把持する又は固定することを助けるように構成されてよい。例えば、装置は、少なくとも1つのテクスチャ加工面、溝付き面、鋸歯状面、多孔面、スパイク付き面、研磨面などを有してよい。いくつかの変形例では、装置は、組織に係合するために使用され得る1以上の特徴部(例えば隆起、フック、とげなど)を含んでよい。
一例として、図3Aは、組織(304)を貫通して組織刺し通し部材(302)を前進させることを促進するために使用され得る装置(300)を示している。図示するように、装置(300)は、指部(310)を備える窪み部分(308)を有するハウジング(306)を備えている。指部(310)は、図3Aに示すように、組織(304)に装置(300)を一時的に結合することを促進し得る。この一時的な結合は、例えば、組織刺し通し部材(302)が組織(304)に経路を形成するために組織(304)内に及び組織(304)を貫通して前進する際に組織(304)を安定化させ得る。別の例として、図3Bは、ハウジング(322)と、ハウジングを貫通して組織内に前進し得る組織刺し通し部材(324)と、とげ又はフック(328)を備える窪み部分(326)と、を備える装置(320)を示している。とげ又はフック(328)は、組織(組織(330)として図示する)に係合するために使用されてよく、それによって、組織刺し通し部材(324)によって刺し通すために組織を位置決めすることを助ける。さらなる例として、図3Cは、ハウジング(342)と、ハウジングを通って組織内に前進し得る組織刺し通し部材(344)と、スパイク(348)を備える窪み部分(346)と、を備える装置(340)を示している。指部(310)及びとげ又はフック(328)と同様に、スパイク(348)は、組織(組織(350)として図示する)に係合するために使用されてよく、それによって、組織刺し通し部材(344)によって刺し通すために組織を位置決めする又は切り離すために使用されてよい。当然のことながら、これらは例示的な特徴部であり、組織と係合する、組織を切り離す、及び/又は、組織を位置決めする任意の適切な特徴部が使用されてよい。例えば、いくつかの変形例では、装置は、真空ポートを含む窪み部分を有するハウジングを備えてよい。真空は、窪み部分内に組織を引き込むために作用されてよい。
さらに、いくつかの変形例では、そうした特徴部による組織の係合が、組織に対して装置を安定させることを促進し得ることに留意されたい。さらに、異なるタイプの表面及び/又は特徴部の組み合わせが、ある変形例で使用されてよい。例えば、組織に1以上の経路を形成する装置は、溝付き面を有する部分及びスパイク付き面を有する部分、又は、鋸歯付き面を有する部分及び平滑面を有する部分などを有してよい。こうした面及び/又は特徴部は、必ずしも装置の窪み部分に限定されなくてよく、代わりに、装置上の任意の好適な位置に採用されてよく、場合によっては、窪み部分を有していない装置に採用されてよい。
ある変形例では、組織に1以上の経路を形成する装置は、例えばポリマー被覆などの1以上の被覆を備える少なくとも1つの表面を有してよい。1つの又は複数の被覆は、例えば、組織の表面の把持を向上させ得る。一例として、いくつかの変形例では、装置は、シリコーン被覆を有する表面を備えてよい。ある変形例では、装置は、1以上の親水性被覆、及び/又は、1以上の疎水性被覆を有する表面を備えてよい。一例として、装置の一部が親水性被覆によって被覆されてよい一方で、装置の別の一部が疎水性被覆によって被覆されてよい。被覆のいくつかの変形例は、多孔性被覆であってよく、及び/又は、繊維、織物及び/又は吸収性材料を備えてよい。いくつかのこうした被覆の変形例は、水分又は粘液の除去又は抽出を促進し得る(例えば、それによって、結合された又は噛み合わせられた組織の表面による牽引を向上させる)。ある変形例では、組織に1以上の経路を形成する装置の少なくとも一部上に使用される被覆のタイプは、包含される組織のタイプに基づき選択されてよい。
組織刺し通し部材方向付け装置の1つの変形例を上述したものの、他の構造を有する組織刺し通し部材方向付け装置の他の変形例が、組織に1以上の経路を形成するために使用されてもよい。一例として、いくつかの変形例では、装置は、組織刺し通し部材を位置決めし、方向付け、及び/又は、前進させるために操作され得る少なくとも1つの管状部材を有してよい。例えば、図4A〜図4Dは、ハウジング(402)と、ハウジング内に形成された軌道(404)と、を備える組織刺し通し部材方向付け装置(400)を示している。軌道(404)は、例えば、ハウジング内の溝又は溝孔の形態である。2つの突出部材(406)及び(408)は、軌道内に配置され、軌道内でスライド可能に移動することができる。
装置(400)は、突出部材(406)及び(408)の間に位置決めされた遠位部分(412)を有する管状部材(410)をさらに備えている。管状部材(410)は、例えば、1以上の弾性材料から形成されてよい。いくつかの変形例では、管状部材(410)は、例えばシリコーン、ステンレス鋼、コバルトクロニウム、ニチノール、又は、任意の他の金属合金又はポリマーなどの相対的に柔らかい1以上の材料から形成されてよい。管状部材(410)の遠位端(414)は、旋回点(416)(図4A)でハウジング(402)に結合されており、管状部材は旋回点(416)回りで旋回してよい。例えば、遠位端(414)は、1以上のピンによってハウジング(402)に結合されてよく、及び/又は、ハウジング(402)に結合された1以上のピンの間に配置されてよい。いくつかの変形例では、遠位端(414)自身が、ハウジング(402)の対応の凹部内に回転可能なピン又はタブを備えてよい。ある変形例では、凹部は、旋回するピン又はタブを捕らえるために(例えば薄い被服材料によって)被覆されてよい。ピン又はタブは、例えば、管状部材(410)上に溶接され、搭載され、圧入され、及び/又は、成形されてよい。旋回点(416)の存在は、ハウジング(402)の底面に対する管状部材(410)の角度に拘わらず、組織壁に対して同一の概略位置に管状部材(410)の遠位端(414)を残すことを可能にし得る。
図4A〜図4Cに示すように、突出部材(406)及び(408)の一方又は両方が、管状部材(410)の遠位端(414)の方向を変化させるために異なる位置に動かされてよい。突出部材が異なる位置に移動する際に遠位端(414)が旋回点(416)回りに回転又は旋回するので、遠位端(414)の方向は変化し得る。遠位端の所望の位置及び方向が達成されると、組織刺し通し部材(418)(図4D)が管状部材(410)を通って(及び、例えば組織壁内に)前進し得る。場合によっては、管状部材(410)自体による移動は、突出部材(406)及び(408)の一方又は両方を動かしてよい。例えば、突出部材は、ハウジング(402)の底面に対する管状部材の角度がさらに小さくなるにつれて相互にさらに離れていってよい。
組織刺し通し部材方向付け装置とともに使用する管状部材は、可撓性、変形可能、ヒンジ可動、及び/又は、関節接合、などであってよく、その結果、組織刺し通し部材の展開のために比較的に容易に位置決めされることが可能である。いくつかの変形例では、管状部材及び/又はそこを通って前進する組織刺し通し部材は比較的に弾性があってよい。このことは、(例えば、位置決めのために1つのみの突出部材を使用して)管状部材がその位置を比較的に容易に変化させることを助け得る。ある変形例では、組織刺し通し部材方向付け装置の管状部材は、管状部材の先端、及び/又は、任意の他の特徴部が、管状部材の残りの部分に対して選択的にさらに可撓性であることを可能にするテーパ状壁部分を有してよい。このことは、例えば、ある領域で管状部材を変形させることを比較的に容易にする。いくつかの変形例では、装置は、管状部材の形状ではない少なくとも1つの組織刺し通し部材方向付け構成要素を有してよい。例えば、装置は、細長いコイルの形状である組織刺し通し部材位置決め構成要素を有してよく、組織刺し通し部材はコイルの中心を通るように構成される。
ある変形例では、装置は、1以上のスライド部材上に配置された1以上の突出部材を備えてよい。1つの又は複数のスライド部材は、同様に、装置のハウジングの1以上の軌道にスライド可能に係合されてよい。例えば、図5Aは、当該ハウジング(552)に形成された軌道(554)を有するハウジング(552)と、軌道(554)にスライド可能に係合するスライド部材(556)と、を備える装置(550)を示している。2つの突出部材(558)及び(560)が、スライド部材(556)から突出して、管状部材(562)を位置決めして方向付けることを助けるために使用されてよい。図5Aに示すように、突出部材(558)及び(560)は互いに対してずれている。しかしながら、装置の他の変形例は、一直線上に並んだ突出部材を代替として又は追加として有してよい。一例として、図5Bは、ハウジング(566)と、ハウジング(566)内の軌道(568)と、軌道(568)内にスライド可能に配置されるスライド部材(570)であって当該スライド部材(570)から突出する2つの突出部材(572)及び(574)を有するスライド部材(570)と、2つの突出部材の間に配置された管状部材(576)と、を備える装置(564)を示している。図5Bに示すように、突出部材(572)及び(574)は、スライド部材(570)に沿って一直線上に並べられている。場合によっては、本願明細書で説明する管状部材に対する調整によって、突出部材の受身の分離又は他の移動が生じてよい。例えば、管状部材の湾曲が増大するにつれて及び/又はハウジングの底面に対する管状部材の角度が減少するにつれて(すなわち、より小さくなるにつれて)、管状部材の両側の突出部材が、その変化に対応するために適応してよい。
管状部材を位置決めして方向付けることを促進するために使用される部材は、1つの軌道内に配置される必要はなく、及び、異なる構造を有してよい。それらの部材は、同時に操作されてよく、又は、場合によっては、相互に独立して操作されることが可能であってよい。例えば、図5Cは、ハウジング(502)と、ハウジング内に形成された2つの軌道(504)及び(506)と、を備える組織刺し通し部材方向付け装置(500)の変形例を示している。スライド部材(508)及び(510)は各軌道内に配置されており、各スライド部材は、当該スライド部材から突出する突出部材(512)又は(514)を備えている。操作ワイヤ(516)及び(518)を使用することによって、スライド部材(508)及び(510)は、軌道(504)及び(506)に沿って独立して移動してよい。図示しないものの、装置(500)は、突出部材(512)及び(514)の間に配置された少なくとも1つの管状部材を備えてよい。上述したように、管状部材は、所望の進路に沿って組織内に前進するために組織刺し通し部材を位置決めして方向付けるために使用されてよい。
組織刺し通し部材方向付け装置のさらに他の変形例が使用されてよい。例えば、図6A及び図6Bは、当該ハウジング(602)に形成された軌道(604)を有するハウジング(602)と、軌道内にスライド可能に配置されて突出部材(608)を備えるスライド部材(606)と、を備える組織刺し通し部材方向付け装置(600)を示している。装置(600)はまた、管状部材(610)と、管状部材を位置決めする又は配置するために使用され得るボス(612)と、を備えている。例えば、使用時、ボス(612)及び/又はスライド部材(606)は、管状部材(610)の所望の位置及び方向が達成されるまで移動して調整されてよい。一例として、これらの特徴部の一方又は両方が、図6Aに示す位置から図6Bに示す位置まで管状部材(610)を移動させるように調整されてよい。代替として、ある変形例では、ボス(612)は、移動可能ではなくてよいものの、管状部材の位置が位置決めされ得る及び/又は安定化され得る位置を提供してよい。例えば、いくつかの変形例では、ボス(612)は、管状部材(610)の偏向を初期化するための基準点を提供してよい。管状部材(610)は、突出部材(608)及び/又はボス(612)に結合されてよく、又は、これらの特徴部のいずれかに結合されなくてよい(例えば、管状部材は2つの特徴部の間に単純に位置決めされてよい)。さらに、いくつかの変形例では、装置は、ボスと、装置の管状部材を位置決めして方向付けるためにともに使用され得る少なくとも2つのスライド部材と、を有してよい。
組織刺し通し部材方向付け装置の追加の構造が組織経路形成工程に使用されてよい。例えば、図7A〜図7Cは、当該ハウジング(702)に形成された軌道(704)を有するハウジング(702)と、軌道(704)内に配置された回転部材(706)と、ハウジング(702)に結合された又は一体化されたボス(707)と、管状部材(708)と、を備える組織刺し通し方向付け装置(700)を図示している。管状部材(708)は、ボス(707)の下側を通って進み、管状部材(708)の遠位部分(710)は回転部材(706)内の管(712)を通る。回転可能であることに加えて、回転部材(706)は、軌道(704)内にスライド可能に配置されている。従って、ボス及び/又は回転部材は、例えば図7A及び図7Bによって実際に示すように、管状部材(708)の遠位端(714)を再び方向付けるように操作されてよい。ここで図7Cを参照すると、組織刺し通し部材(716)は、その後、管状部材(708)を通って(及び、例えば組織壁内に)前進してよい。
管状部材(708)は、回転部材(706)及び/又はボス(707)に結合されてよく、又は、いずれの特徴部にも結合されなくてよい。さらに、いくつかの変形例では、管状部材は装置ハウジングに結合されてよい。一例として、管状部材(708)は装置(700)のハウジング(702)に結合されてよい。例えば、管状部材のさらに近位部分が装置ハウジングに結合されてよく(それによって、管状部材の遠位部分のより容易な操作を提供する)、及び/又は、管状部材の遠位端が旋回点で装置ハウジングに結合されてよい。
回転部材、ボス、突出部材、及び、スライド部材を説明したものの、これらの特徴部のいずれかの任意の組み合わせが組織刺し通し部材方向付け装置で使用されてよい。これらの各特徴部の少なくとも1つが使用されてよい一方で、又は、いくつかの変形例では、ある特徴部のみが使用されてよい一方で、他の特徴部が装置に含まれなくてよい。装置は、1つのみのこうした特徴部を有してよく、又は、(例えば、同じタイプ又は異なるタイプの)複数のこうした特徴部を有してよい。さらに、管状部材及び/又は組織刺し通し部材を位置決めすることに好適な他の特徴部が、上述した1以上の特徴部を使用して、代替として又は追加として使用されてよい。
組織刺し通し部材を方向付けるために使用され得る特徴部のさらなる例は可撓性部材である。一例として、図8A及び図8Bは、組織に1以上の経路を形成する装置(800)を示しており、装置は、当該ハウジング(802)に溝(804)を有するハウジング(802)と、溝内に部分的に配置された可撓性部材(806)と、を備えている。可撓性部材(806)は、組織刺し通し部材(810)が配置されたホルダ(808)に結合されている。しかしながら、いくつかの変形例では、可撓性部材は、組織刺し通し部材に直接結合されてよい。使用時、可撓性部材(806)は、ホルダ(808)を再位置決めするために(例えば図8Bに示すように)操作されてよい。その結果、組織刺し通し部材(810)が再位置決めされ、その組織刺し通し先端(812)の位置が変化する。図示するように、ここでは、組織刺し通し部材(810)がハウジング(802)に対して移動して回転する。このことによって、回転点が、装置(800)の外側にあることを可能にし、旋回中にシフトすることを可能にする。その結果、組織刺し通し部材の前進中の組織の偏向が最小限に抑えられ得る。装置(800)は、可撓性部材を有する装置の単なる1つの構造であり、他の構造が代替として採用されてよい。一例として、いくつかの変形例では、複数の可撓性部材を備える装置が採用されてよい。さらに、可撓性部材を説明したものの、装置のいくつかの変形例は、代替として又は追加として、他のタイプの屈曲機構又は移動機構を備えてよい。例えば、装置は、針ポートに結合されるとともに針ポートの位置を調整することが可能な1以上のヒンジ又は関節接合部材を有してよい。
上述したもののような組織刺し通し部材方向付け装置は、それら自身上で使用されてよく、又は、別のタイプの装置内に組み込まれてよい。例えば、図9Aは、組織刺し通し部材による経路形成のために組織を位置決めして切り離すために使用され得る装置(938)を図示している。いくつかの変形例では、組織刺し通し部材方向付け装置(図示せず)が装置(938)内に組み込まれてよい。装置(938)は、所定の位置に組織を引き込むために組織に吸引力を作用させてよい。この組織の引き込みは、例えば、組織を扱うことが困難であり得る胃の処置中に特に有用であり得る。そして、装置の組織刺し通し部材は、組織に1以上の経路を形成するために組織を通って前進してよい。いくつかの変形例では、組織に吸引力を作用させて組織を位置決めすることによって、装置は、組織刺し通し部材が組織の表面をかすめて行くことを防止する。図9Aに示すように、装置(938)は、吸引部材(940)と、細長部材(942)と、真空ホース又はコネクタ(944)と、を備えている。使用時、吸引部材(940)は、さらに以下に詳細に説明するように、組織を位置決めする又は切り離すことを促進し得る。
いくつかの変形例では、1以上の吸引部材を有する装置が、組織に隣接して前進してよく、吸引力が、1以上の吸引部材に対して組織を引き寄せるために作用されてよく、その後、組織刺し通し部材が、組織に(例えば、組織を貫通する)経路を形成するために、引き寄せられた組織を貫通して前進してよい。前進時、組織刺し通し部材は、組織刺し通し部材方向付け装置によって既定された進路を辿ってよい。図9Aはある装置(938)を示している一方で、いくつかの変形例では、装置は、複数の吸引部材、1以上のエネルギーアプリケータ(例えば、超音波、RF、光、磁気、その組み合わせなど)、1以上のセンサ(例えば、温度、圧力、血流、その組み合わせなどを検出する)、1以上の組織刺し通し部材と、1以上の組織刺し通し部材方向付け装置などを備えてよい。
ここで図を特に参照すると、図9B〜図9Nは、組織に経路を形成する1つの例示的な方法を示している。図9Bに示すように、吸引部材(940)を備える装置(938)が組織(904)に隣接して前進する。吸引力は、その後、図9Cに示すように、吸引部材が組織に接触するまで組織に向かって引き寄せられるように、吸引部材(940)に作用される。組織は、吸引部材に対して又は吸引部材内に、及び/又は、図9Dの矢印によって示すように、装置の組織接触領域の任意の特徴部又は開口部内で、上昇する又は変形する。当然のことながら、吸引力は、組織経路形成方法の任意のステージで作用されてよい。例えば、吸引力は常にオンのままでよく、かつ、装置は、吸引力がオンのままの間に前進してよい。反対に、装置は、組織に隣接して前進してよく、かつ、ここで示すように、吸引力はその後に作用されてよい。代替として、吸引力は、真空の強度又は流れを制御するために、オンオフが切り替えられ、調節され、又はそうでなければ、調節されてよい。
図に戻ると、組織が吸引部材に対して引き寄せられたら、組織刺し通し部材方向付け装置(図示せず)は、組織に経路を形成するように、引き寄せられた組織を貫通して組織刺し通し部材を前進させるために使用されてよい(図9E)。経路は、任意の長さを有してよく、かつ、図9Fに示すように、組織を通って横切ってよい。経路が形成されると、1以上のツールが経路を通って前進してよい。例えば、図9Gに示すように、案内ワイヤ(908)は、組織刺し通し部材を通って及び経路を通って前進してよい。
案内ワイヤ(908)は、対応の組織刺し通し部材(906)とともに使用するために適した直径を有する任意の案内ワイヤであってよい。案内ワイヤ(908)は、1以上の拡張可能部材(例えば、図9Hに示すような膨張可能な風船、図9Iに示すような拡張可能ケージ又は花ワイヤ形成、伸展可能アームなど)、又は、その遠位端(910)上に同様のそうした特徴部を有してもよい。このようにして、案内ワイヤの遠位端は、組織に対して装置を配置する又は位置決めすることを促進して、処置の一部に対してその位置を維持するために使用されてよい。例えば、案内ワイヤ(908)は、組織(904)を貫通して前進してよく、及び、遠位の拡張可能特徴部が拡張する。案内ワイヤ(908)は、その後、近位に(すなわち、組織の方向に)ゆっくり引き寄せられてよい。拡張可能部材が組織に(既定されるように、例えば、触覚のフィードバックを介して)隣接すると、組織の位置が特定されて、この情報が処置の残りのためのガイドとして使用されてよい。代替として、拡張可能部材は、装置の交換又は取り外し中、及び/又は、案内ワイヤに沿った異なる装置の前進中、案内ワイヤの突然の前進を防止してよい。当然のことながら、上述した組織配置方法は、間接(例えば透視案内、超音波など)の又は直接(例えばカメラ、顕微鏡など)の可視化が採用される場合には必要でなくてよく、可視化の技術は、本願明細書で説明する任意の方法ととともに使用されてよい。組織の位置、又は、組織に対する装置の位置を特定する際に真空検査も有用であり得る。
ここで図9Jに戻ると、案内ワイヤ(908)が、(例えば組織刺し通し部材の内腔を介して)組織を貫通して前進した後、組織刺し通し部材(906)は引き戻されてよい。吸引力がオフにされて、必要であれば、装置は、図9Kに示すように、近位に引き戻されてよい。組織経路を拡張させるために必要であれば、1以上の拡張器(又は1つの漸増拡張器)又は導入器(912)(図9L)が案内ワイヤ(908)上を前進してよい。標的部位に対する十分なアクセスが達成されると、案内ワイヤ(908)は、図9L〜図9Nに示すように、引き戻されてよい。1以上の追加のツールが、その後、任意の好適な処置を実行するために、導入器を通って導入されてよい。いくつかの変形例では、本願明細書で説明した方法は、血管系へのアクセスを提供するために動脈切開を実行するために使用されてよい。すべての処置が実行されると、ツール及び導入器が取り外されて経路がセルフシールすることを可能にする。当然のことながら、上述したように、経路のシールは、機会的圧力、エネルギーの伝達(RF、超音波、マイクロ波など)、及び/又は、1以上の媒介の使用、及び/又は、閉鎖装置、前述の組み合わせなどによって容易にされる又は促進されてよい。
図10Aは、胃内の組織又は胃を貫通する、又は、胃の組織に1以上の経路を形成するために吸引装置(1000)がどのように使用され得るかの概観を示す図である。この変形例では、装置は、胃鏡とともに使用されず、ここでは、可視化が、一連のカメラ、若しくは、光源又は照明源(1004)の組み合わせによる他の可視化装置(1002)によって可能にされる。この特定の方法は、例えば、自然開口部越経管腔的内視鏡手術で極めて有用であり得る。図10Aはまた、ここでは、スライドアクチュエータ(1006)の形態の、装置(1000)の例示的な近位制御を詳述する。スライドアクチュエータ(1006)は、例えば、組織刺し通し部材を前進させ引っ込めて、1以上の可視化装置(1002)をオンオフし、照明源(1004)をオンオフし、又は、そのいくつかの組み合わせをオンオフするために、使用されてよい。組織刺し通し部材方向付け装置とスライドアクチュエータとを有する装置では、スライドアクチュエータは、組織刺し通し部材を前進させる及び/又は引っ込めることができてよく、及び/又は、組織刺し通し部材方向付け装置を作動させるために使用されてよい。一例として、ある変形例では、スライドアクチュエータは、所望の組織刺し通し進路を達成するために、制御されたシーケンスで組織刺し通し部材及び組織刺し通し部材方向付け装置の両方を作動させるために使用されてよい。
装置のいくつかの変形例は複数のスライドアクチュエータを有してよい。例えば、装置は、装置の組織刺し通し部材を作動させるために使用され得るスライドアクチュエータと、装置の組織刺し通し部材方向付け装置を作動させるために使用され得る別個のスライドアクチュエータと、を備えてよい。当然のことながら、スライドアクチュエータを上述したものの、装置は、任意の数の機能又は機能の組み合わせ(例えば、真空、可視化、組織刺し通し部材及び/又は組織刺し通し部材方向付け装置の作動、照明、流体の流出など)を制御するために、任意の数及びタイプの近位制御(スライド、スイッチ、ボタンなど)を有してよい。
吸引力、流体注入などの例示的な使用を図10Aに示す。ここでは、三方向弁(1008)が、示されており、真空(1010)、バッグ注入器(1012)及び注射器(1014)に接続してそれらの使用を制御することを助ける。すなわち、三方向弁(1008)は、真空又は(バッグ注入器又は注射器を介して)流体をオンオフするためにその様々な位置の間に切り替えられてよい。真空をオンオフする能力を有することは、例えば、装置が1以上の組織の表面上に又は表面に対して固まることになる場合に特に有用であり得る。流体の注入又は運搬をオンオフすることは、例えば、水を流す、水を注ぐ、又は、1以上の物質を組織に運搬することが所望される場合に特に有用であり得る。当然のことながら、図10Aに図示する制御は、説明した機能を制御する又は作動させる単なる1つの方法である。任意の好適な構造(所定の特徴部を制御するものの別のものは制御しない二方向弁を有すること、追加の近位制御を有すること、前述のものの組み合わせなど)が使用されてよいことが理解されよう。
図10B及び図10Cは、吸引部材が依然として真空下にある一方で、1以上の流体(治療、流水、滅菌など)が組織(1024)に運搬される変形例を概略的に表している。例えば、図10Bは、1以上の流体を通す(矢印(1023)によって示す)運搬又は通過のために、1以上の周辺ポート(1022)をその上に又はそれに沿って有する吸引部材(1020)を示している。この変形例では、流体は、1以上の周辺ポート(1022)及び/又は他のポート(例えば針ポートなど)を通って注入され又は運搬されてよく、その後、組織(1024)が吸引力によって捕獲されたままである一方で真空ポート(1026)を通って収集されてよい。図10Cは、流体が真空ポート(1036)を通って収集されない代替の変形例を図示している。組織(1038)に1以上の流体(例えば治療、流水、滅菌など)を運搬するために当該吸引部材(1030)上に又は当該吸引部材(1030)に沿って1以上の周辺ポート(1032)を有する吸引部材(1030)が示されている。この変形例では、流体は、第1注射器(1040)又は他の運搬システムを通って注入され、別個の第2注射器(1042)又は他の好適な収集システムによって収集され、その結果、真空ポート(1036)は、流体を収集するために機能する必要がない。この変形例のプッシュプル注射器は、例えば、真空が注射器の内容物を空にすることを防止することを助けてよい。
図11A〜図11Iは、胃の組織に(例えば貫通する)経路を形成する方法を図示している。これらの図には装置の遠位部分のみが示されていること、図示するように組織経路を形成するためにこの方法が使用されてよいこと、装置がスタンドアロンの装置であるかどうか、又は、胃鏡とともに使用されるかどうか又はいくつかの他の層状構造(装置が、操縦装置、可視化、照明などを有する又は有しないで、任意のタイプの胃鏡、内視鏡、腹腔鏡などの作動溝内に背負い込まれる場合を含む)を通って前進するかどうか、が理解されよう。ここで図11Aに戻ると、吸引部材(1102)を備える装置(1100)が、組織、ここでは、胃の組織に隣接して前進するように示されている。図11Bでは、真空又は吸引力がオンにされて、組織が、その図で矢印によって示すように吸引部材(1102)に対して又は吸引部材(1102)内に引き込まれ又は引き寄せられる。次に、組織刺し通し部材(1104)(例えば針又は他の組織刺し通しカニューレ)が、図11Cに示すように、組織に経路を形成するために、装置から前進して、装置から、引き込まれた組織を通って前進する。
経路が形成されると、案内ワイヤ(1106)、案内要素などは、図11Dに示すように、(例えば、組織刺し通し部材の内腔を通る前進によって)経路を通って前進してよく、組織刺し通し部材(1104)は、図11Eに示すように、引き戻される。漸増拡張器(1108)又は一連の拡張器(図示せず)がその後、図11Fに示すように、案内ワイヤ(1106)上を前進してよい。このようにして、例えば、経路の断面積は拡張する又は拡大してよい。経路が拡張した後、拡張器(1108)の一部であり得る導入器(1110)が、図11Gに示すように、所定の位置に残されて、経路を通って追加のツールを導入するための導管として使用される。図11Hは、エンドエフェクタ(図示するように、グリッパ(1114)であるものの、他の適切なエンドエフェクタが使用されてよい)を有するツール(1112)が処置での使用のために導入器(1110)を通って前進してよい1つの例示的な方法を示している。任意の数又はタイプのツールがこのようにして導入器を通って前進してよい。処置が実行された後、ツール及び導入器が取り外され、経路(1116)をセルフシールさせる(図1I)。当然のことながら、シーリングは、任意の好適な追加の機構によって(例えば、機械的圧力、超音波、1以上の閉鎖装置などを介して)促進されてよい。
経路は、体の1以上の他の領域の組織に形成されてもよい。例えば、図12A〜図12Dは、心臓(H)の組織を貫通する経路を形成するために、心膜の空間内に本願明細書で説明する装置を前進させる1つの方法を示している。図に示すように、切開(1200)が形成されて(例えば剣状突起など)、切開(1200)を通ってツールの適切な運搬又は交換を提供するために切開(1200)を通ってポート(1202)が配置される。ポート(1202)が配置されると、本願明細書で説明した装置(1204)のいずれかが、図13A〜図13Kを参照してさらに詳細に説明するように、心臓(H)の組織内に又は組織を貫通する経路を形成するためにポート(1202)を通って配置されてよい。
ここで図13Aを参照すると、吸引部材(1302)を備える装置(1300)は心臓組織に隣接して前進する。装置は、任意の好適な方法(例えば、上述したポート(1202)を通って)心臓組織に隣接して前進してよい。真空又は吸引力が、図13Bに示すように、吸引部材(1302)に対して又は吸引部材(1302)内に心臓組織を引き込むために作用される。次に、組織刺し通し部材方向付け装置(図示せず)が、図13Cに示すように、組織経路を形成するために装置から(例えば吸引部材を通って)、引き込まれた組織を通って組織刺し通し部材(1304)を前進させるために使用されてよい。案内ワイヤ(1306)又は他の好適な案内要素が、その後、(例えば、図13Dに示すように、組織刺し通し部材(1304)の内腔を通って前進することによって)経路を通って前進してよい。組織刺し通し部材(1304)及び装置(1300)は、その後、図13E及び図13Fのそれぞれによって示すように、取り外されてよい。
漸増拡張器(1308)又は一連の拡張器(図示せず)が、その後、図13Gに示すように、案内ワイヤ(1306)上を前進してよい。このようにして、例えば、経路の断面積が拡張される又は拡大される。経路が拡張された後、拡張器(1308)の一部であり得る導入器(1310)が、図13Hに示すように、所定の位置に残されて、経路を通って追加のツールを導入するための導管として使用されてよい。図13Iは、ツール(1312)が処置での使用のために導入器(1310)を通って前進する1つの例示的な方法を示している。ここでは、左心室のアクセスが達成され、及び従って、大動脈弁又は僧帽弁の治療又は交換に関連したこれらの方法の使用が特定の有用性を発見することがある。任意の数又はタイプのツールがこのようにして導入器を通って前進してよい。処置が実行された後、ツール及び導入器が除去され、図13J及び図13Kに示すように、経路(1314)をセルフシールさせる。当然のことながら、シールは、任意の好適な追加の機構によって(例えば、機械的圧力、超音波、1以上の閉鎖装置などを介して)促進されてよい。
装置のある変形例を図示して説明したものの、組織刺し通し部材方向付け装置は、1以上の他のタイプの装置の構成要素を形成してよい。例えば、組織刺し通し部材方向付け装置はクランプ装置の構成要素であってよい。クランプ装置は、組織刺し通し部材が組織の特定の部分を通って刺し通すことができるように、組織をクランプして固定するクランプアームを備えてよい。従って、クランプ装置は、組織刺し通し部材方向付け装置に関連して、組織を通って組織刺し通し部材の比較的に予測可能な展開及び前進を提供してよい。クランプ装置は、例えば、米国特許出願第12/507,043号(米国特許出願公開第2010/0016810号)明細書で説明されており、当該出願はその全体が参照によってここに予め組み入れられる。いくつかの変形例では、装置はクランプ及び吸引の両方の特徴部を有してよい。
ある変形例では、装置は、組織刺し通し部材による刺し通しによって組織を位置決めすることを助け得る1以上の膨張可能部材を有してよい。例えば、1つの又は複数の膨張可能部材は、組織刺し通し部材が特定の角度で組織に進入するように組織を位置決めしてよい。組織を位置決めすることを助けることに加えて、1つの又は複数の膨張可能部材は、(例えば、標的部位で装置を一時的に固定することによって)使用時に装置を安定させることを助け得る。例えば、血管壁に経路を形成するために使用される場合、1つの又は複数の膨張可能部材が、血管の内腔の対向する壁の表面に接触し得る。このことは、装置がスリップすることを防止し、又は、位置から外れて配置されることになること又は移動することを防止し得る。膨張可能部材は、球状、ドーナツ形状などであってよい。さらに、いくつかの変形例では、装置は、異なるサイズ及び/又は形状を有する複数の膨張可能部材を備えてよい。膨張可能部材を説明したものの、これに限定されないものの、輪又はリング(例えば複数のワイヤの輪)、及び、ステント又はステント状の構造を含む任意の好適な拡張可能領域が採用されてよい。
いくつかの変形例では、本願明細書で説明した1以上の装置及び/又は方法は、回転した組織に1以上の経路を形成するために使用されてよい。例えば、方法は、組織壁の一部に隣接して装置を位置決めする工程と、組織壁の一部を(例えば装置を使用して)回転させる工程と、経路を形成するために回転した組織を通って組織刺し通し部材を前進させる工程と、を備えてよい。回転させる工程は、組織壁に対して組織刺し通し部材を位置決めすることを助け得る。組織は、組織の周囲周りのいずれの方向にも回転し得る(例えば、0°〜360°、0°〜180°、0°〜45°、45°〜90°など)。しかしながら、組織は、かなりの量を回転する必要はなく(例えば、組織は1°、5°、10°、15°などにわたって回転してよく)、組織全体の厚さが回転する必要はない。
いくつかの変形例では、組織の一部が、一度のみ回転してよい一方で、他の変形例では、(例えば、同一の方向に又は異なる方向に)複数回回転してもよい。経路の形成に先立つ及び/又は経路の形成中の組織の回転は、所望の組織刺し通し部材の位置を達成するために有用であり、その結果、今度は、両側で好適な厚さの組織を有する経路を形成するために有用であり得る。このことは、経路が様々なツールのそれぞれの挿入に耐えるのに十分に丈夫であることを保証することを助ける。さらに、経路の両側の十分な組織の厚さを有することによってさらに迅速に経路シールを助け得る。組織壁の1以上の表面から離れた組織刺し通し部材の初期の位置決めは、さらに急速なシールを保証することに有用であり得るより長い経路の形成も助け得る。組織の一部は、1以上の他の方法で代替として又は追加として操作されてよい。例えば、組織の一部は栓で広げられてよい。米国特許出願第11/873,957号(米国特許出願公開第2009/015744号)明細書及び米国特許出願第12/507,038号(米国特許出願公開第2010/0016786号)明細書には、組織を操作する及び/又は組織に真空を作用させる方法が説明されており、その両出願の全体が参照によってここに予め組み入れられる。
本願明細書で説明した装置のいくつかの変形例は、1以上の加熱素子、電極、及び/又は、センサ(例えば、ドップラー温度センサ、圧力センサ、神経センサ、血流センサ、超音波センサなど)、その表面に沿った1以上の薬物運搬ポート、可視化を促進するための1以上のX線不透過性のマーカーなどを備えてよい。一例として、いくつかの変形例では、装置は、(例えば、装置の1以上の部分に)経路形成をモニタすることを助けるために使用され得る1以上のX線不透過性材料を備えてよい。例えば、組織刺し通し部材は、1以上のX線不透過性材料から形成されてよく、又は、X線蛍光透視法のもとで組織刺し通し部材を目に見える状態にするX線不透過性マーキングを有してよい。装置が1以上のセンサを備えるある変形例では、装置は、例えば温度、圧力、組織識別子又は位置(例えば神経又は様々な解剖学上の構造)、及び/又は、血管内の血流などの少なくとも1つの有用なパラメータを検出するために使用されてよい。例えば、パラメータが血管内の血流である場合、装置は、血管内の血流が検知される場合に再位置決めされてよい。
いくつかの変形例では、装置は、1以上のエネルギーアプリケータを備えてよく、組織にエネルギーを作用させるために使用されてよい。このことは、例えば、組織をシールすることを助け得る。エネルギーは、任意の好適なエネルギー源(例えば、超音波、無線周波数(RF)、光、磁気、又はその組み合わせからなる群から選択されたエネルギー)から生じてよい。さらに、装置のある変形例は、(例えば直接の可視化を促進するために)1以上のカメラを備えてよい。1つの又は複数のカメラは、対応の光源又は照明源を有してよく又は有しなくてよく、装置上の任意の好適な位置に含まれてよい。
いくつかの変形例では、装置の構成要素は、例えば、皮膚表面に接触するために1以上の比較的に柔軟な特徴部を有してよい。一例として、装置の構成要素は、例えば比較的に柔軟な風船などの、装置の使用時に皮膚表面に接触する膨張可能部材を有してよい。代替として又は追加として、装置の構成要素は、(例えば、組織の一部を切り離すために皮膚表面に対して十分なテンションを提供するために)装置の使用時に皮膚表面に接触する1以上のばねを備えてよい。
いくつかの変形例では、1以上の経路が、1以上の不規則な組織の表面を有する組織に形成されてよい。不規則な表面は、例えば、うねり、屈曲、湾曲、凹部、突起、これらの任意の組み合わせなどの形態であってよい。不規則な表面に経路を形成する方法は、例えば、米国特許出願第11/873,957号(米国特許出願公開第2009/0105744号)明細書で説明されており、当該出願の全体が参照によって組み入れられる。
いくつかの変形例では、キットが、本願明細書で説明する1以上の装置及び/又は装置構成要素を組み込んでよい。ある変形例では、キットは、本願明細書で説明した組織を貫通する経路を形成する1以上の装置、本願明細書で説明した1以上の装置構成要素(例えば組織刺し通し部材)、及び/又は、1以上の追加のツール、を有してよい。例えば、ツールは、処置の実行中に経路を通って前進するもの(例えば、案内ワイヤ、はさみ、グリッパ、結紮器具など)、閉鎖を助けるための1以上の補助ツール(例えば、エネルギー伝達装置、閉鎖装置など)、処置を助けるための1以上のツール(例えば、胃鏡、内視鏡、カメラ、光源など)、その組み合わせなど、であってよい。当然のことながら、使用するための取扱説明書がキットとともに提供されてもよい。
装置、方法及びキットは、図及び例によって本願明細書でいくらかの詳細を説明したものの、そうした図及び例は理解の明確化のみのためである。本願明細書の教示の観点において、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱せずに所定の変化及び変形がなされてよいことは当業者には容易に明白であろう。一例として、組織刺し通し部材に結合された組織刺し通し部材方向付け装置を説明したものの、いくつかの変形例では、組織刺し通し部材方向付け装置は、組織刺し通し部材方向付け装置の本体に結合されない組織刺し通し部材を運搬するために使用されてよい。