<本発明の第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置の平面透視図であり、図2は、本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置の側面透視図(図1のX−X断面図)であり、図3は、本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置の処理炉、及び処理炉周辺の概略構成図(図1のY−Y断面図)である。
(1)基板処理装置の構成
図1、図2に示すように、本実施形態にかかる基板処理装置100は、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部(図1の下側)には、開口部としての正面メンテナンス口103が設けられている。また、正面メンテナンス口103には、正面メンテナンス口103を開閉する2枚の正面メンテナンス扉104a,104bが設けられている。
基板としてのウエハ200を筐体111内外へ搬送するには、基板収容容器(ウエハキャリアともいう)としてのポッド110が使用される。ポッド110内には、複数枚のウエハ200が格納されるように構成されている。筐体111の正面壁111aには、ポッド110を筐体111内外へ搬送するポッド搬入搬出口112が、筐体111の内外を連通するように設けられている。ポッド搬入搬出口112は、開閉機構としてのフロントシャッタ113によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口112の正面前方側には、基板収容器受渡し台としてのロードポート114が設けられている。ロードポート114上にはポッド110が載置され、ロードポート114上にてポッド110の位置合わせをすることが可能なように構成されている。ポッド110は、図示しない工程内搬送装置によってロードポート114上に載置され、また、ロードポート114上から搬出されるように構成されている。
筐体111内の前後方向の略中央部(図2に示す筐体111内の略中央部)における上部空間には、基板収容器載置棚としての回転式ポッド棚105が設けられている。回転式ポッド棚105は、垂直方向に設けられて水平面内で間欠回転する支柱116と、基板収容器載置台としての複数枚の棚板117と、を備えている。複数枚の棚板117は、支柱116における上下4段の各位置において、水平姿勢で放射状に固定されるようにそれぞれ構成されている。なお、各棚板117には、複数個のポッド110がそれぞれ載置されるように構成されている。
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、基板収容器搬送装置としてのポッド搬送装置118が設けられている。ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降移動する基板収容器昇降機構としてのポッドエレベータ118aと、ポッド110を保持したまま水平移動する基板収容器搬送機構としてのポッド搬送機構118bと、を備えている。ポッド搬送装置118は、ポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの協調動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、及び後述する載置台122との間で、ポッド110を搬送するように構成さ
れている。
筐体111内の下部空間には、筐体111内の略中央部から後端部にわたって、サブ筐体119が設けられている。サブ筐体119の正面壁119a(筐体111内の中央部側)には、ウエハ200をサブ筐体119内外に搬送する基板搬入搬出口としての一対のウエハ搬入搬出口120が、上下段に設けられている。上下段のウエハ搬入搬出口120には、ポッドオープナ121がそれぞれ設けられている。ポッドオープナ121は、ポッド110を載置する載置台122と、ポッド110の蓋体であるキャップを着脱する蓋体着脱機構としてのキャップ着脱機構123と、をそれぞれ備えている。ポッドオープナ121は、載置台122上に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することによって、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
サブ筐体119内には、移載室124が形成されている。移載室124は、ポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105等が設けられた筐体111内の他の空間から気密に隔離されるように構成されている。移載室124内の前側領域(筐体111内の中央部側)には、基板移載機構としてのウエハ移載機構125が設けられている。ウエハ移載機構125は、基板保持体としてのツイーザ125c上にウエハ200を載置して水平方向に移動させる基板移載装置としてのウエハ移載装置125aと、ウエハ移載装置125aを昇降移動させる基板移載装置昇降機構としてのウエハ移載装置エレベータ125bと、を備えている。これら、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの協調動作により、基板保持具としての後述するボート217にウエハ200を装填(チャージング)し、また、ボート217からウエハ200を取り出す(ディスチャージング)ことが可能なように構成されている。
また、図1に示すように、移載室124内の側壁部には、クリーンユニット134が設けられている。クリーンユニット134は、供給ファンおよび防塵フィルタを備えており、清浄化したガスもしくは不活性ガスであるクリーンエア133を移載室124内に供給するように構成されている。また、図1に示すように、ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、ウエハ200の周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置135が設けられている。クリーンユニット134から移載室124内に供給されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置135、ウエハ移載装置125a、ロードロック室141にあるボート217の周囲を通過した後に、図示しないダクトにより吸引される。そして、ダクトにより吸引されたガスは、筐体111の外部へと排気されるか、もしくは、クリーンユニット134の吸い込み側である一次側にまで循環されて清浄化された後、再び移載室124内に供給されるように構成されている。
移載室124内の後側領域(筐体111内の後端部側)には、内部を大気圧未満の圧力(負圧)に維持可能な気密機能を有する耐圧筐体140が設置されている。耐圧筐体140の内部には、ボート217を収容可能なロードロック方式の待機室としてのロードロック室141が形成されている。耐圧筐体140の正面壁140aには、ウエハ搬入搬出開口(基板搬入搬出開口)142が設けられている。ウエハ搬入搬出開口142に設けられたゲートバルブ143を開けることにより、ロードロック室141と移載室124とが連通するように構成されている。図1に示すように、耐圧筐体140の他の側壁には、ロードロック室141内へ窒素ガスを供給するガス供給管144と、ロードロック室141内を負圧に排気するための排気管145と、がそれぞれ設けられている。ロードロック室141の上方には、ウエハ200を処理する処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部には、処理炉202内と移載室124内とが連通するように開口が設けられている。処理炉202に設けられた開口は、炉口開閉機構としての炉口ゲートバルブ147により開閉されるように構成されている。耐圧筐体140の正面壁140aの上端部には、
炉口ゲートバルブカバー149が取り付けられている。
図1に示すように、筐体111内には、ボート217を昇降移動させるボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設けられている。ボートエレベータ115の下端部には連結具としてのアーム128が設けられており、アーム128上には蓋体としてのシールキャップ219が水平姿勢で設けられている。シールキャップ219は、ボート217を下方から垂直に支持するとともに、ボートエレベータ115が上昇した時に処理炉202に設けられた開口を閉塞するように構成されている。ボート217の構成については後述する。
(2)基板処理装置の動作
次に、本発明の第1の実施形態にかかる基板処理装置100の動作について説明する。
図1および図2に示すように、ポッド110がロードポート114上に載置されると、フロントシャッタ113が移動してポッド搬入搬出口112が開放される。そして、ポッド搬送装置118により、ロードポート114上のポッド110が、ポッド搬入搬出口112を介して筐体111内へと搬入される。筐体111内へ搬入されたポッド110は、直接に、もしくは、回転式ポッド棚105の棚板117上に載置されて一時的に保管された後に、上下4段のうちいずれか一の載置台122上へと移載される。
この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120は、キャップ着脱機構123によって閉じられている。また、ボートエレベータ115は降下した状態となっており、処理炉202の下端部の開口は炉口ゲートバルブ147により閉塞された状態となっている。また、移載室124内には、クリーンユニット134によりクリーンエア133が供給されている。例えば、クリーンエア133として窒素ガスを移載室124内に供給して充満させることにより、移載室124内の酸素濃度は、例えば20ppm以下と、筐体111内の他の領域よりも遥かに低くなっている。
載置台122上に載置されたポッド110は、そのキャップがウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられる。そして、キャップ着脱機構123によってキャップが取り外され、ポッド110のウエハ出し入れ口が開放される。そして、あらかじめ内部が大気圧状態とされていたロードロック室141のウエハ搬入搬出開口142が、ゲートバルブ143の動作により開放される。そして、ポッド110内のウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってピックアップされ、ウエハ出し入れ口を介して移載室124内に搬入され、ノッチ合わせ装置135によって周方向の向きが整合され、移載室124内の後方にあるロードロック室141内へ搬送され、ボート217内に装填(チャージング)される。その後、同様の動作が繰り返され、ポッド110内に残っているウエハ200がボート217内に装填される。
なお、上述の作業中には、他方の載置台122上には、回転式ポッド棚105から別のポッド110が移載される。そして、キャップ着脱機構123によってキャップが取り外され、ポッド110のウエハ出し入れ口が開放される。
予め指定された枚数のウエハ200がボート217内に装填(チャージング)されると、ウエハ搬入搬出開口142がゲートバルブ143によって閉じられる。そして、ロードロック室141内は排気管145により排気され、処理炉202内の圧力と同じ圧力まで減圧される。ロードロック室141内が処理炉202内の圧力まで減圧されたら、炉口ゲートバルブ147が水平移動して処理炉202の下端部の開口が開放される。続いて、ボートエレベータ115が上昇して、複数のウエハ200を保持したボート217が処理炉202内へ搬入(ロード)され、処理炉202の下端部の開口がシールキャップ219に
よって気密に閉塞される。
ボート217が処理炉202内へ搬入(ロード)された後は、処理炉202内にてウエハ200に任意の処理が実施される。かかる処理については後述する。その後、ノッチ合わせ装置135によるウエハ200の周方向の向きの整合工程を除き、上述の手順とはほぼ逆の手順により、処理後のウエハ200を格納したポッド110が筐体111の外部へと搬出される。
(3)処理炉の構成
続いて、本実施形態にかかる基板処理装置100が備える処理炉202及びその周辺の構成について、図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、本実施形態にかかる処理炉202は、反応管としてのアウターチューブ205を有している。アウターチューブ205は、石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウターチューブ205の内側の筒中空部には、基板としてのウエハ200を処理する処理室201が形成されている。処理室201は、ウエハ200を、後述するボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。
アウターチューブ205の外側には、アウターチューブ205と同心円状にヒータ206が設けられている。ヒータ206は円筒形状であり、ヒータ素線とその周囲に設けられた断熱部材とにより構成され、図示しない保持体に支持されることにより垂直に据え付けられている。なお、ヒータ206の近傍には、処理室201内の温度を検出する温度検出体としての温度センサ(図示せず)が設けられている。ヒータ206及び温度センサには、温度制御部238が電気的に接続されている。温度制御部238は、温度センサにより検出された温度情報に基づきヒータ206への通電具合を調節し、処理室201内の温度が所望のタイミングにて所望の温度分布となるよう制御する。主に、ヒータ206、温度センサ(図示せず)により、ウエハ200を加熱する加熱手段が構成される。
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状に、マニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えば、ステンレス等の金属材料からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。このマニホールド209は、アウターチューブ205を支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間には、シール部材としてのOリングが設けられている。また、マニホールド209の下方には、待機室としてのロードロック室141が設けられている。ロードロック室141を構成する耐圧筐体140の天板140bとマニホールド209との間には、シール部材としてのOリングが設けられている。このマニホールド209が天板140bにより支持されることにより、アウターチューブ205は垂直に据え付けられた状態となっている。このアウターチューブ205とマニホールド209とにより反応容器が形成される。なお、天板140bには、処理炉202の開口部である炉口161が設けられている。
マニホールド209の側壁には、処理室201内に成膜ガス供給ノズル280aと、処理室201内にコーティングガス供給ノズル280bと、がそれぞれ貫通するように接続されている。成膜ガス供給ノズル280a及びコーティングガス供給ノズル280bの下流側は、処理室201の内壁に沿って例えば鉛直方向に配設されている。成膜ガス供給ノズル280a及びコーティングガス供給ノズル280bの下流端(上端)には、ガス噴出口が設けられている。すなわち、本実施形態では、インナーチューブが設けられておらず、成膜ガス供給ノズル280a及びコーティングガス供給ノズル280bを用いて処理室
201内の上部から各種ガスの供給を行うように構成されている。成膜ガス供給ノズル280a及びコーティングガス供給ノズル280bの上流側は、マニホールド209の側壁を水平方向に貫通して、マニホールド209外周側に突出している。成膜ガス供給ノズル280a及びコーティングガス供給ノズル280bは石英(SiO2)や炭化シリコン(SiC)等により構成されている。
成膜ガス供給ノズル280aの上流端には、成膜ガス供給管232aが接続されている。成膜ガス供給管232aは上流側で4本に分岐している。4つに分岐した成膜ガス供給管232aは、バルブ171〜174、ガス流量制御装置としてのMFC181〜184を介して、第1ガス供給源191、第2ガス供給源192、第3ガス供給源193,第4ガス供給源194にそれぞれ接続されている。第1ガス供給源191は例えばシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)等のSi元素含有ガスを供給するように構成されている。第2ガス供給源192は例えばゲルマン(GeH4)等のGe元素含有ガスを供給するように構成されている。第3ガス供給源193はH2ガスを供給するように構成されている。第4ガス供給源194はパージガスとして例えばN2ガスを供給するように構成されている。バルブ171〜173を開けることにより、成膜ガスとしてのSi元素含有ガスとGe元素含有ガスとH2ガスとの混合ガスが、処理室201内に供給される。成膜ガスの組成や流量は、MFC181〜183により調整することが可能である。また、バルブ171〜173を閉め、バルブ174を開けることにより、成膜ガス供給ノズル280a内がパージガスとしてのN2ガスによりパージされる。パージガスの流量はMFC184により調整することが可能である。主に、成膜ガス供給ノズル280a、成膜ガス供給管232a、バルブ171〜174、MFC181〜184、第1ガス供給源191、第2ガス供給源192、第3ガス供給源193,第4ガス供給源194により、成膜ガス供給手段が構成される。
コーティングガス供給ノズル280bの上流端には、コーティングガス供給管232bが接続されている。コーティングガス供給管232bは上流側で2本に分岐している。2つに分岐したコーティングガス供給管232bは、バルブ175,176、ガス流量制御装置としてのMFC185,186を介して、第5ガス供給源195、第6ガス供給源196にそれぞれ接続されている。第5ガス供給源195は例えばシラン(SiH4)、ジシラン(Si2H6)、ジクロロシラン(SiH2Cl2)等のSi元素含有ガスを供給するように構成されている。第6ガス供給源196はH2ガスを供給するように構成されている。バルブ175,176を開けることにより、コーティングガスとしてのSi元素含有ガスとH2ガスとの混合ガスが、処理室201内に供給されるように構成されている。コーティングガスの組成や流量は、MFC185,186により調整することが可能である。主にコーティングガス供給ノズル280b、コーティングガス供給管232b、バルブ175,176、MFC185,186、第5ガス供給源195、第6ガス供給源196により、コーティングガス供給手段が構成される。
MFC181〜186、バルブ171〜176には、ガス流量制御部235が電気的に接続されている。ガス流量制御部235は、成膜ガス供給手段及びコーティングガス供給手段から処理室201内に所望のタイミングで所望の組成、所望の流量のガスを供給するようにMFC181〜186、バルブ171〜176をそれぞれ制御する。
また、マニホールド209の側壁にはガス排気管231が接続されている。ガス排気管231の下流側には、APC(Auto Pressure Controller)バルブ242を介して、真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されている。APCバルブ242は、その開度により処理室201内の圧力を調整する圧力調整器として構成されている。なお、APCバルブ242の上流側におけるガス排気管231内には、図示しないが、処理室201内の圧力を検知する圧力検知手段としての圧力センサが設けられてい
る。なお、圧力センサは、ガス排気管231内に限らず、処理室201内に設けられていてもよい。圧力センサ及びAPCバルブ242には、圧力制御部236が電気的に接続されている。圧力制御部236は、圧力センサにより検出された圧力に基づいてAPCバルブ242の開度を調節し、処理室201内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように制御する。主に、ガス排気管231、APCバルブ242、真空排気装置246、圧力センサ(図示せず)により、処理室201内の雰囲気を排気する排気手段が構成される。
また、上述したように、ロードロック室141を構成する耐圧筐体140の外面には、ボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115は、下基材245、ガイドシャフト264、ボール螺子244、上基材247、昇降モータ248、昇降基材252、及びベローズ265を備えている。下基材245は、ロードロック室141を構成する側壁の外面に水平姿勢で固定されている。下基材245には、昇降台249と嵌合するガイドシャフト264、及び昇降台249と螺合するボール螺子244がそれぞれ鉛直姿勢で設けられている。ガイドシャフト264及びボール螺子244の上端には、上基材247が水平姿勢で固定されている。ボール螺子244は、上基材247に設けられた昇降モータ248により回転させられるように構成されている。また、ガイドシャフト264は、昇降台249の上下動を許容しつつ水平方向の回転を抑制するように構成されている。そして、ボール螺子244を回転させることにより、昇降台249が昇降するように構成されている。
昇降台249には、中空の昇降シャフト250が垂直姿勢で固定されている。昇降台249と昇降シャフト250との連結部は、気密に構成されている。昇降シャフト250は、昇降台249と共に昇降するように構成されている。昇降シャフト250の下方側端部は、ロードロック室141を構成する天板140bを貫通している。天板140bに設けられる貫通穴の内径は、昇降シャフト250と天板140bとが接触することのない様に、昇降シャフト250の外径よりも大きく構成されている。ロードロック室141と昇降台249との間には、昇降シャフト250の周囲を覆うように、伸縮性を有する中空伸縮体としてのベローズ265が設けられている。昇降台249とベローズ265との連結部、及び天板140bとベローズ265との連結部はそれぞれ気密に構成されており、ロードロック室141内の気密が保持されるように構成されている。ベローズ265は、昇降台249の昇降量に対応できる充分な伸縮量を有している。ベローズ265の内径は、昇降シャフト250とベローズ265とが接触することのない様に、昇降シャフト250の外径よりも充分に大きく構成されている。
ロードロック室141内に突出した昇降シャフト250の下端には、昇降基材252が水平姿勢で固定されている。昇降シャフト250と昇降基材252との連結部は、気密に構成されている。昇降基材252の上面には、Oリング等のシール部材を介してシールキャップ219が気密に取付けられている。シールキャップ219は、例えばステンレス等の金属より構成され、円盤状に形成されている。昇降モータ248を駆動してボール螺子244を回転させ、昇降台249、昇降シャフト250、昇降基材252、及びシールキャップ219を上昇させることにより、処理炉202内にボート217が搬入(ボートロード)されると共に、処理炉202の開口部である炉口161がシールキャップ219により閉塞されるよう構成されている。また、昇降モータ248を駆動してボール螺子244を回転させ、昇降台249、昇降シャフト250、昇降基材252、及びシールキャップ219を下降させることにより、処理室201内からボート217が搬出(ボートアンロード)されるよう構成されている。昇降モータ248には、駆動制御部237が電気的に接続されている。駆動制御部237は、ボートエレベータ115が所望のタイミングにて所望の動作をするよう制御する。
昇降基材252の下面には、Oリング等のシール部材を介して駆動部カバー253が気密に取付けられている。昇降基材252と駆動部カバー253とにより駆動部収納ケース256が構成されている。駆動部収納ケース256の内部は、ロードロック室141内の雰囲気と隔離されている。駆動部収納ケース256の内部には、回転機構254が設けられている。回転機構254には電力供給ケーブル258が接続されている。電力供給ケーブル258は、昇降シャフト250の上端から昇降シャフト250内を通って回転機構254まで導かれており、回転機構254に電力を供給するように構成されている。回転機構254が備える回転軸255の上端部は、シールキャップ219を貫通して、基板保持具としてのボート217を下方から支持するように構成されている。回転機構254を作動させることにより、ボート217に保持されたウエハ200を処理室201内で回転させることが可能なように構成されている。回転機構254には、駆動制御部237が電気的に接続されている。駆動制御部237は、回転機構254が所望のタイミングにて所望の動作をするよう制御する。
また、駆動部収納ケース256の内部であって回転機構254の周囲には、冷却機構257が設けられている。冷却機構257及びシールキャップ219には冷却流路259が形成されている。冷却流路259には冷却水を供給する冷却水配管260が接続されている。冷却水配管260は、昇降シャフト250の上端から昇降シャフト250内を通って冷却流路259まで導かれ、冷却流路259にそれぞれ冷却水を供給するように構成されている。
基板保持具としてのボート217は、例えば石英(SiO2)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料から構成され、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なお、ボート217の下部には、例えば石英や炭化シリコン等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板216が、水平姿勢で多段に複数枚配置されている。断熱板216は、ヒータ206からの熱をマニホールド209側に伝えにくくするように機能する。
また、本実施形態にかかる基板処理装置100は、制御手段としてのコントローラ240を有している。コントローラ240は、CPU、メモリ、HDDなどの記憶装置、操作部、入出力部を備えた主制御部239を備えている。主制御部239は、上述のガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、ボートエレベータ115の昇降モータ248、及び回転機構254に電気的に接続されており、基板処理装置100全体を制御するように構成されている。そして、コントローラ240は、複数のウエハ200を所定の間隔で積層状に保持して処理室201内に搬入する工程と、コーティングガス供給ノズル280bによりコーティングガスを供給して処理室201内の石英部材をコーティングする工程と、成膜ガス供給ノズル280aにより成膜ガスを供給してウエハ200上に薄膜を形成する工程と、複数のウエハ200を処理室201内より搬出する工程と、を有するように制御する。かかる動作については後述する。
(4)基板処理工程
続いて、半導体装置の製造工程の一工程として、ウエハ200上の一部表面にSiGeエピタキシャル膜を選択的に成長させる基板処理工程について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理工程を例示するフロー図である。本基板処理工程は、上述の基板処理装置100により実施される。また、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作は、コントローラ240により制御される。
(クリーニング工程(S10))
まず、処理室201内壁やボート217表面をクリーニングする。具体的には、空のボ
ート217(ウエハ200を装填していないボート217)を処理室201内に搬入(ボートロード)し、真空排気装置246を作動させて処理室201内の雰囲気を排気する。そして、図示しないエッチングガス供給手段を用いて、処理室201内に例えばClF3ガスやF2ガス等のエッチングガスを供給し、処理室201内壁やボート217表面に付着した堆積物や異物等をエッチングして除去する。所定時間経過後、処理室201内へのエッチングガスの供給を停止し、処理室201内に残留しているエッチングガスやエッチング生成物を排気する。このとき、バルブ171〜173を閉めたままバルブ174を開け、成膜ガス供給ノズル280aから処理室201内へパージガスとしてのN2ガスを供給することで、処理室201内からのエッチングガスやエッチング生成物等の排出を促すことが出来る。その後、APCバルブ242の開度をフィードバック制御し、処理室201内とロードロック室141内とを同程度の圧力とし、昇降モータ248を駆動してボート217を処理室201内から搬出(アンロード)し、ボート217を降下状態とする。
(初回判定工程(S11))
続いて、次回行う成膜処理が、クリーニング直後に行われる初回の成膜処理であるか否かを判定する。ここでは、次回行う成膜処理が初回の成膜処理であることから、成膜処理に先立ち処理室201内の石英部材をSiによりコーティングする必要があると判断し、後述する工程S12から実行する(図5の工程S11において「Yes」に分岐する)。
(空のボートのロード工程(S12))
昇降モータ248を駆動して、空のボート217(ウエハ200を装填していないボート217)を処理室201内に搬入(ボートロード)すると共に、処理炉202の開口部である炉口161をシールキャップ219により閉塞する。そして、回転機構254により、ボート217を回転させる。
(コーティング工程(S13))
続いて、APCバルブ242の開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力(コーティング処理圧力)とする。そして、温度センサ(図示せず)により検出した温度情報に基づき、ヒータ206への通電具合をフィードバック制御し、処理室201内を所望の温度分布とする。具体的には、処理室201内壁やボート217表面の温度が例えば650℃〜680℃の範囲内の温度となるようにする。そして、バルブ175,176を開け、コーティングガスとしてのSi元素含有ガスとH2ガスとの混合ガスを処理室201内に供給する。このとき、コーティングガスの組成や流量は、MFC185,186により調整する。処理室201内に導入されたコーティングガスは、図4に破線で矢示するように、処理室201上方から下方へと流れ、ガス排気管231から排気される。コーティングガスは、処理室201内を通過する際に処理室201内壁やボート217表面と接触する。そして、処理室201内壁やボート217表面に多結晶Si(Poly−Si)等からなるSi薄膜が形成される。所定時間経過後、バルブ175,176を閉めて処理室201内へのコーティングガスの供給を停止し、処理室201内に残留しているコーティングガス等を排気する。以上により、処理室201内壁やボート217表面が例えば30nmから1μm程度の膜厚のSi薄膜により覆われる(コーティングされる)こととなる。
これにより、次回のSiGeエピタキシャル膜成長において、処理室201内に設けられた石英部材表面(アウターチューブ203内壁やボート217表面等)に起因するウエハ200の汚染を抑制することができる。また、処理室201(アウターチューブ203)内壁がSi薄膜によりコーティングされることで、アウターチューブ203の熱伝導効率が向上され、基板処理の品質や生産性を向上させることができる。
このように、本実施形態では、処理室201内へのコーティングガスの供給を、成膜ガ
ス供給手段とは独立して設けられたコーティングガス供給手段により行うこととしている。すなわち、本実施形態では、コーティングガスを、成膜ガス供給ノズル280aを介さずにコーティングガス供給ノズル280bを介して供給することとしている。そのため、成膜ガス供給ノズル280aの内壁にSi薄膜が形成されてしまうことが抑制される。すなわち、成膜ガス供給ノズル280aの内壁面には、主に石英(SiO2)や炭化シリコン(SiC)のみが露出しており、エピタキシャル成長の下地となるSi膜がほとんど存在しない状態が保持される。そして、後述の工程S22を繰り返し実施したとしても(成膜ガス供給ノズル280a内への成膜ガスの供給を繰り返したとしても)、成膜ガス供給ノズル280aの内壁面へのSiGeエピタキシャル膜の成長が抑制される。その結果、成膜ガス供給ノズル280aの閉塞や破損を抑制することができる。また、成膜ガス供給ノズル280a内にて成膜ガスが消費されてしまうことを抑制でき、ウエハ200に供給される成膜ガスの流量制御を容易に行うことが可能となり、成膜ガスを安定に供給して基板処理の品質を向上させることができる。
なお、本実施形態では、バルブ175,176を開けて処理室201内にコーティングガスを供給している間、或いは処理室201内にコーティングガスが残留している間は、バルブ174を開け、成膜ガス供給ノズル280a内をパージガスとしてのN2ガスによりパージしてもよい。これにより、成膜ガス供給ノズル280a内へのコーティングガスの侵入を効果的に抑制でき、成膜ガス供給ノズル280a内壁におけるSi薄膜の形成を更に抑制できる。また、処理室201内に残留しているコーティングガス等を排気する際に処理室201内にパージガスを供給することで、処理室201内から成膜ガス供給ノズル280aへのコーティングガスの排気を促すことが出来る。なお、パージガスの流量は、MFC184により調整する。
(ボートのアンロード工程(S14))
APCバルブ242の開度をフィードバック制御し、処理室201内とロードロック室141内とを同程度の圧力とし、昇降モータ248を駆動してボート217を処理室201内から搬出(アンロード)し、降下状態とする。
(ダミーウエハの装填工程(S15))
次に、コーティング工程を終えたボート217にダミーウエハを装填する。ダミーウエハは、SiGe膜を成膜する処理対象ウエハ200を装填する領域の上下に任意の枚数、例えば上下に10枚ずつ、計20枚を装填する。このダミーウエハを装填することによって、ガス供給ノズル280bからガスを導入する際に成膜ガスが十分活性な状態でウエハに到達することが可能となる。また、ダミーウエハを装填することによって排気系から発生する汚染からの保護や、パーティクルを吸着する為、成膜ウエハへの付着抑制などの効果が期待できる。
(ダミーウエハ装填ボートのロード工程(S16))
空のボートのロード工程(S12)と同様にして、ダミーウエハを装填したボート217を処理室ロード201内に搬入(ボートロード)すると共に、処理炉202の開口部である炉口161をシールキャップ219により閉塞する。そして、回転機構254により、ボート217を回転させる。
(ダミーウエハのSiコーティング工程(S17))
コーティング工程(S13)と同様に、ダミーウエハを装填したボート217に対してSiコーティングを行う。その際に、装填されたダミーウエハがSiコーティングされることになり、ダミーウエハ起因による成膜不良の抑制効果が期待できる。
(ダミーウエハ装填ボートのアンロード工程(S18))
ボートのアンロード工程(S14)と同様にして、Siコーティングをされたダミーウエハを装填したボートをアンロードする。
(ウエハの装填工程(S19))
ウエハ移載機構125により、降下状態のボート217に複数枚の処理対象のウエハ200を装填する。複数のウエハ200は、ボート217により互いに所定の間隔で積層状に保持される。なお、ウエハ200の表面上には、少なくともSi面と絶縁膜面とが露出しているものとする。具体的には、シリコンウエハとして構成されたウエハ200の表面の少なくとも一部に、例えばSiO2あるいはSiN等からなる絶縁膜が形成されており、Si面及び絶縁膜面がそれぞれ露出しているように構成されている。なお、ウエハ200表面に露出しているSi面は、後述するSiGeエピタキシャル膜が成長する下地となる。
(ボートのロード工程(S20))
ボート217へのウエハ200の装填が完了したら、昇降モータ248を駆動して、図3に示すように、所定枚数のウエハ200を保持したボート217を処理室201内に搬入(ボートロード)すると共に、処理炉202の開口部である炉口161をシールキャップ219により閉塞する。その後、回転機構254により、ボート217を回転させる。
(プレクリーニング工程(S21))
続いて、成膜前にウエハ表面に残る残渣成分、例えば、酸化膜や有機物などを取り除くためのウエハ・プレクリーニング工程を行う。プレクリーニングの一つである水素ベークの場合には、APCバルブ242の開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力(H2ベーク処理圧力)とする。そして、温度センサ(図示せず)により検出した温度情報に基づき、ヒータ206への通電具合をフィードバック制御し、処理室201内を所望の温度分布とする。具体的には、ウエハ200の表面温度が例えば700℃〜1000℃、好ましくは800℃以上の温度となるようにする。そして、バルブ173を開け、還元ガスとしてのH2ガスを処理室201内に供給する。このとき、H2ガスの流量が例えば5slm程度、好ましくは、20slm以上になるようにMFC183を制御する。処理室201内に導入されたH2ガスは、図4に実線で矢示するように、処理室201上方から下方へと流れ、ガス排気管231から排気される。H2ガスは、処理室201内を通過する際にウエハ200表面と接触し、ウエハ200表面の酸素(O)を還元する。例えば30分程度の時間が経過した後、バルブ173を閉めて処理室201内へのH2ガスの供給を停止し、処理室201内に残留しているH2ガスや反応生成物等を排気する。このとき、バルブ174を開け、処理室201内にパージガスとしてのN2ガスを供給すれば、処理室201内からの成膜ガスや反応生成物等の排気が促される。以上により、ウエハ200表面の酸素(O)濃度が例えば1017(atoms/cm3)程度にまで低下する。
(SiGeエピタキシャル膜の選択成膜(S22))
続いて、APCバルブ242の開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力(成膜処理圧力)とする。そして、温度センサ(図示せず)により検出した温度情報に基づき、ヒータ206への通電具合をフィードバック制御し、処理室201内を所望の温度分布とする。具体的には、ウエハ200の表面温度が例えば450℃〜600℃の範囲内の温度となるようにする。そして、バルブ171〜173を開け、成膜ガスとしてのSi元素含有ガスとGe元素含有ガスとH2ガスとの混合ガスを、処理室201内に供給する。成膜ガスの組成や流量は、MFC181〜183により調整することができる。処理室201内に導入された成膜ガスは、図4に実線で矢示するように、処理室201上方から下方へと流れつつウエハ200表面へ供給され、ガス排気管231から排気される。成膜ガスは処理室201内を通過する際にウエハ200表面と接触する。そして、ウエハ
200表面のSi面を下地としてSiGeエピタキシャル膜が選択的に成長する。
本実施形態のようなエピタキシャル成長法を用いた成膜工程においては、形成される膜の品質、すなわち膜のモフォロジーや、膜質・膜厚の均一性等は、成膜ガスの流れる道筋、移動速度、組成比等によって大きく左右される。本実施形態では、成膜ガス供給ノズル280aが下流端(上端)に設けられたガス噴出口から成膜ガスを噴出させることで、処理室201上方から下方への成膜ガスの流れを作り、成膜ガスの上記挙動を制御することが可能である。
所定時間の経過後、バルブ171〜173を閉めて処理室201内への成膜ガスの供給を停止し、処理室201内に残留している成膜ガスや反応生成物等を排気する。このとき、バルブ174を開け、処理室201内にパージガスとしてのN2ガスを供給するようにすれば、処理室201内からの成膜ガスや反応生成物等の排気が促される。
(ボートのアンロード工程(S23))
続いて、APCバルブ242の開度をフィードバック制御し、処理室201内とロードロック室141内とを同程度の圧力とし、昇降モータ248を駆動してボート217を処理室201内から搬出(アンロード)し、ボート217を降下状態とする。
(ウエハの脱装工程(S24))
続いて、ウエハ移載機構125により、降下状態のボート217から処理済みウエハ200を脱装(ウエハディスチャージ)し、ポッド110内に収納する。
(メンテナンス膜厚判定工程(S25))
続いて、直前に行った成膜処理までのボート217上の累積膜厚がメンテナンス膜厚に到達したのか否かを判定する。直前に行った成膜処理により累積膜厚がメンテナンス膜厚に到達していない場合(Noの場合)には、上述のダミーウエハの装填工程(S15)以降を再度実施する。
SiGeエピタキシャル膜成膜工程後に、上述のダミーウエハのSiコーティング(工程S15〜S18)を行うことによって、例えば、前回のSiGeエピタキシャル膜の成膜処理により、処理室201内壁やボート217表面等にGeO等の反応生成物や異物が吸着することがある。本実施形態によれば、処理室201内壁やボート217表面等をSi薄膜によりコーティングすることで、これらの反応生成物や異物が処理室201内壁やボート217表面等から脱落し、処理室201内で飛散することを防止でき、ウエハ200の汚染を抑制することが可能となる。
メンテナンス膜厚に到達していた場合(Yesの場合)には、初回工程であるクリーニング工程(S10)から行うことになる。
(5)本実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたはそれ以上の効果を奏する。
本実施形態によれば、処理室201内へのコーティングガスの供給を、成膜ガス供給手段とは独立して設けられたコーティングガス供給手段により行うこととしている。すなわち、本実施形態では、コーティングガスを、成膜ガス供給ノズル280aを介さずにコーティングガス供給ノズル280bを介して供給することとしている。そのため、成膜ガス供給ノズル280aの内壁にSi薄膜が形成されてしまうことを抑制できる。すなわち、成膜ガス供給ノズル280aの内壁面には、主に石英(SiO2)や炭化シリコン(SiC)のみが露出しており、エピタキシャル成長の下地となるSi膜がほとんど存在しない
状態が保持される。そして、上述の工程S22を繰り返し実施したとしても(成膜ガス供給ノズル280a内への成膜ガスの供給を繰り返したとしても)、成膜ガス供給ノズル280aの内壁面へのSiGeエピタキシャル膜の成長が抑制される。その結果、成膜ガス供給ノズル280aの閉塞や破損を抑制することができる。また、成膜ガス供給ノズル280a内にて成膜ガスが消費されてしまうことを抑制でき、ウエハ200に供給される成膜ガスの流量制御を容易に行うことが可能となり、成膜ガスを安定に供給して基板処理の品質を向上させることができる。
また本実施形態によれば、成膜ガス供給ノズル280aにより成膜ガスを供給して前記基板上にエピタキシャル膜を形成することとしている。このように、主に石英(SiO2)や炭化シリコン(SiC)のみが露出した成膜ガス供給ノズル280aにより成膜ガスを供給することで、成膜ガスの流量・組成比を正確に制御することができるので、形成されるエピタキシャル膜の品質が向上する。
また、本実施形態では、バルブ175,176を開けて処理室201内にコーティングガスを供給している間、或いは処理室201内にコーティングガスが残留している間は、バルブ174を開け、成膜ガス供給ノズル280a内をパージガスとしてのN2ガスによりパージする。これにより、成膜ガス供給ノズル280a内へのコーティングガスの侵入を効果的に抑制でき、成膜ガス供給ノズル280a内壁におけるSi薄膜の形成を更に抑制できる。そのため、成膜ガス供給ノズル280a内壁のSi薄膜をクリーニングするメンテナンス周期を長くすることも出来る。
また、本実施形態によれば、上述のコーティング工程(S13)を実施することで、処理室201内壁やボート217表面等を例えば30nmから1μm程度の膜厚のSi薄膜により覆う(コーティングする)。これにより、次回のSiGeエピタキシャル膜成長において、処理室201内に設けられた石英部材表面(アウターチューブ203内壁やボート217表面等)に起因するウエハ200の汚染を抑制することができる。また例えば、前回のSiGeエピタキシャル膜の成膜処理により、処理室201内壁やボート217表面等に吸着したGeO等の反応生成物や異物が次回のSiGeエピタキシャル膜成長時に残っている場合がある。本実施形態によれば、処理室201内壁やボート217表面をSi薄膜によりコーティングすることで、これらの反応生成物や異物が処理室201内壁やボート217表面から脱落し、処理室201内で飛散することを防止でき、ウエハ200の汚染を抑制することが可能となる。また、処理室201(アウターチューブ203)内壁がSi薄膜によりコーティングされることで、アウターチューブ203の熱伝導効率が向上され、基板処理の品質や生産性を向上させることができる。
また、本実施形態のクリーニング工程(S10)、プレクリーニング工程(S21)、SiGeエピタキシャル膜の選択成膜(S22)、空のボートのSiコーティング工程(S13)、ダミーウエハとボートのSiコーティング工程(S17)において、バルブ174を開け、処理室201内にパージガスとしてのN2ガスを供給することで、処理室201内からの残留ガス等の排気を促すことができる。そして、基板処理の生産性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、初回判定工程(S11)において、次回行う成膜処理が、初回の成膜処理であるか否かを判定している。そして、次回行う成膜処理が初回の成膜処理でない場合には、成膜処理に先立ち処理室201内の石英部材をコーティングする必要はないものと判断し、上述の工程S12〜S14を実行することなく、工程S15以降の実行を開始することとしている。これにより、基板処理の生産性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、インナーチューブが設けられておらず、成膜ガス供給ノズル280a及びコーティングガス供給ノズル280bを用いて処理室201内の上部から成膜各種ガスを供給している。このため、処理室201内の下方に残留している汚染物質の拡散を抑制できる。その結果、ウエハ200表面などへの異物の吸着が抑制され、基板処理の品質を向上させることができる。
<本発明の第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態にかかる基板処理装置について説明する。本実施形態にかかる基板処理装置においては、コーティングガス供給手段に関わる構成が第1の実施形態と異なっている。したがって、それ以外の構成については第1の実施形態にかかる説明および図3を参照するものとし、詳細な説明は省略する。
本実施形態において、コーティングガス供給ノズル280bの直径は、成膜ガス供給ノズル280aの直径より大きくなっている。あるいは、コーティングガス供給ノズル280bの、鉛直方向に延びる下流側の直径のみを、成膜ガス供給ノズル280aの下流側の直径より大きくしてもよい。また、コーティングガス供給ノズル280bの直径に応じて、コーティングガスの最適な流速、流量が得られるよう、コーティングガス供給ノズル280bの下流端(上端)に設けられたガス噴出口の口径を最適化してもよい。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたはそれ以上の効果を奏する。
本実施形態においても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。さらに本実施形態によれば、コーティングガス供給ノズル280bの直径は、前記成膜ガス供給ノズル280aの直径よりも大きい構成となっている。これにより、メンテナンス時期を延ばすことができる。コーティングガス供給時、コーティングガス供給ノズル280bの内壁には徐々にSi薄膜が形成される。このためSi薄膜がある厚さ以上に達した場合は、コーティングガス供給ノズル280bの閉塞や破損を回避するために、Si薄膜の除去やコーティングガス供給ノズル280bの交換といった、メンテナンスが必要となる。コーティングガス供給ノズル280bを太く構成することで、このメンテナンス時期を延ばし、メンテナンス頻度を抑えることができる。
<本発明の他の実施形態>
上述の実施形態では、ウエハ200の表面上に、少なくともSi面と絶縁膜面とが露出しており、Si面上に選択的にエピタキシャル膜を堆積する場合について説明したが、本発明は上述の形態に限定されない。すなわち、選択的にエピタキシャル膜を堆積する場合に限らず、ウエハ200の表面全域にエピタキシャル膜を成長させる場合にも好適に適用可能である。また、選択エピタキシャル成長に限らず、選択多結晶成長(Poly成長)その他選択成長にも好適に適用可能である。
上述の実施形態では、成膜ガスとしてSi元素含有ガスとGe元素含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用い、ウエハ200上にSiGeエピタキシャル膜を成長させる場合について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、成膜ガスとしてSi元素含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用い、ウエハ200上にSiエピタキシャル膜を成長させる場合等にも本発明は好適に適用可能である。そして、本発明は、上述の実施形態のように成膜ガス供給管232aが4つに分岐する形態に限定されず、供給するガスの種別に応じて3つ以下に分岐していてもよく、5つ以上に分岐していてもよい。
上述の実施形態では、コーティングガスとしてSi元素含有ガスとH2ガスとの混合ガスを用い、処理室201内に設けられた石英部材表面(アウターチューブ203内壁やボート217表面等)に例えば多結晶Si(Poly−Si)等からなるSi薄膜を成長さ
せる場合について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。そして、本発明は、上述の実施形態のようにコーティングガス供給管232bが2つに分岐する形態に限定されず、供給するガスの種別に応じて分岐していなくてもよく、3つ以上に分岐していてもよい。
上述の実施形態では、基板処理装置100が縦型CVD装置として構成されている場合について説明したが、本発明は係る形態に限定されない。例えば、横型CVD、枚葉型CVD装置など、減圧下でウエハ等の基板を処理する処理室を備える基板処理装置にも本発明は好適に適用可能である。
以上、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、前記基板を加熱する加熱手段と、前記処理室内にコーティングガスを供給するコーティングガス供給ノズルを含むコーティングガス供給手段と、前記処理室内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ノズルを含む成膜ガス供給手段と、前記加熱手段、前記コーティングガス供給手段、及び前記成膜ガス供給手段を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記コーティングガス供給ノズルによりコーティングガスを供給して前記処理室内の石英部材をコーティングし、前記成膜ガス供給ノズルにより成膜ガスを供給して前記基板上にエピタキシャル膜を形成するように制御する基板処理装置が提供される。
好ましくは、前記制御部は、前記成膜ガス供給ノズル内にパージガスを供給しつつ、前記処理室内の石英部材をコーティングする。
また好ましくは、前記コーティングガス供給ノズルの直径は、前記成膜ガス供給ノズルの直径よりも大きい。
本発明の他の態様によれば、複数の基板を所定の間隔で積層状に保持して処理室内に搬入する工程と、前記処理室内に設けられたコーティングガス供給ノズルによりコーティングガスを供給して前記処理室内の石英部材をコーティングする工程と、前記処理室内に設けられた成膜ガス供給ノズルにより成膜ガスを供給してエピタキシャル膜を形成する工程と、前記基板を前記処理室内より搬出する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、前記基板を加熱する加熱手段と、前記処理室内にコーティングガスを供給するコーティングガス供給ノズルを含むコーティングガス供給手段と、前記処理室内に成膜ガスを供給する成膜ガス供給ノズルを含む成膜ガス供給手段と、前記加熱手段、前記コーティングガス供給手段、及び前記成膜ガス供給手段を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記コーティングガス供給ノズルによりコーティングガスを供給して前記処理室内の石英部材をコーティングする工程と、前記成膜ガス供給ノズルにより成膜ガスを供給して前記基板上に薄膜を形成する工程と、を有するように制御する基板処理装置が提供される。
好ましくは、前記処理室内の石英部材をコーティングする工程では、前記成膜ガス供給ノズル内にパージガスを供給する。
また好ましくは、前記コーティングガスはSi含有ガスである。
本発明の他の態様によれば、複数の基板を所定の間隔で積層状に保持して処理室内に搬入する工程と、前記処理室内に設けられたコーティングガス供給ノズルによりコーティングガスを供給して前記処理室内の石英部材をコーティングする工程と、前記処理室内に設けられた成膜ガス供給ノズルにより成膜ガスを供給して薄膜を形成する工程と、前記基板を前記処理室内より搬出する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。