次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図14を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る成膜装置及び成膜方法を説明する。
初めに、図1乃至図12を参照し、本実施の形態に係る成膜装置の構成を説明する。
図1は、本実施の形態に係る成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。図1は、図3におけるB−B線に沿う縦断面図である。図2は、本実施の形態に係る成膜装置の構成を模式的に示す斜視図である。図3は、本実施の形態に係る成膜装置の構成を模式的に示す横断平面図である。図4は、本実施の形態に係る成膜装置を説明するための図であり、位置検知手段及び被検知部の配置の関係を説明するための斜視図である。図5(a)及び図5(b)は、本実施の形態に係る成膜装置において、位置検知手段の動作を模式的に示す断面図である。図5(a)は披検知部を検知しない状態を示し、図5(b)は被検知部を検知する状態を示す。図6は、本実施の形態に係る成膜装置を説明するための図であり、第1乃至第3の空間を示す断面図である。図6は、回転テーブルを含み回転テーブルより上側の部分を同心円に沿って切断し横に展開して示す展開図である。図7は、本実施の形態に係る成膜装置を説明するための図であり、第3の下面部の寸法例を説明するための横断面図及び縦断面図である。図8は、本実施の形態に係る成膜装置を説明するための図であり、第1の反応ガス供給部を示す斜視図である。図9は、本実施の形態に係る成膜装置の一部を説明するための図であり、図3におけるA−A線に沿う縦断面図である。図10は、本実施の形態に係る成膜装置の一部を第2の分離ガス、第3の分離ガス及び第4の分離ガスが流れる様子を説明するための図であり、図3におけるB−B線に沿う縦断面図である。図11は、本実施の形態に係る成膜装置の一部を示す破断斜視図である。図12は、本実施の形態に係る成膜装置の制御部の構成を模式的に示す図である。
図1乃至図3に示されるように、本実施の形態に係る成膜装置は、真空容器1、回転テーブル2、第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32、第1の分離ガス供給部41、42、レーザセンサ(本発明の位置検知手段に該当する)8を有する。
真空容器1は、図1乃至図3に示されるように、平面形状が略円形で扁平な形状を有する。真空容器1は、天板11、容器本体12、Oリング13、底面部14を有する。
天板11は、容器本体12から分離可能に備えられる。天板11は、内部の減圧状態により、封止部材例えばOリング13を介して容器本体12側に押し付けられ気密状態を維持する。また、天板11が容器本体12から分離される場合、図示しない駆動機構により上方に持ち上げられる。
次に、真空容器1及び真空容器1に収容される各部分のうち、天板11、回転テーブル2、天板11より下側であって回転テーブル2より上側に設けられる部分及び関連する部分を説明する。即ち、回転テーブル2、第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32、第1の分離ガス供給部41、42、天板11、第2の分離ガス供給部51について説明する。
回転テーブル2は、図1に示されるように、真空容器1の中心に回転中心を有するように設けられる。回転テーブル2は、ケース体20、20a、コア部21、回転軸22、駆動体23、凹部24、被検知部25を備える。
回転テーブル2は、中心部にて円筒形状のコア部21に固定され、コア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定される。回転軸22は真空容器1の底面部14を貫通し、その下端が回転軸22を鉛直軸周りに時計方向に回転させる駆動部23に取付けられる。回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した円筒状のケース体20に収納される。ケース体20、20aは、ケース体20、20aの上面に設けられたフランジ部分が真空容器1の底面部14の下面に気密に取付けられ、ケース体20、20aの内部雰囲気と外部雰囲気との気密状態が維持される。
凹部24は、図2及び図3に示されるように、回転方向(周方向)に沿って複数枚例えば5枚の基板であるウェハを載置するために、回転テーブル2の表面部に設けられる。凹部24は、円形状の形状を有する。凹部24は、ウェハを位置決めして回転テーブル2の回転に伴う遠心力により飛び出さないようにするためのものであり、本発明の基板載置部に相当する。なお図3には便宜上1個の凹部24だけにウェハWを図示する。
凹部24は、図4(a)に示されるように、凹部24の直径がウェハの直径よりも僅かに例えば4mm大きく、またその深さはウェハの厚みと同等の大きさに設定される。従って、ウェハを凹部24に落とし込むと、ウェハの表面と回転テーブル2の表面(ウェハが載置されない領域)との高さが揃う。ウェハの表面と回転テーブル2の表面との間の高さの差が大きいとその段差部分で圧力変動が生ずるので、膜厚の面内均一性を揃えるためには、ウェハの表面と回転テーブル2の表面との高さを揃えることが必要である。ウェハの表面と回転テーブル2の表面との高さを揃えることは、凹部24(基板載置部)に載置されたウェハ(基板)の表面が回転テーブル2の表面と同じ高さであるか、回転テーブル2の表面よりウェハ(基板)の表面が低い位置であることを意味するが、加工精度などに応じてできるだけ両面の高さの差をゼロに近づけるのがよく、両面の高さは5mm以内がよい。凹部24の底面には、ウェハの裏面を支えてウェハを昇降させるために、例えば図11を用いて後述するような3本の昇降ピンが貫通する貫通孔が形成される。
なお、基板載置部は、凹部に限らず、例えば回転テーブル2の表面にウェハの周縁をガイドするガイド部材をウェハの周方向に沿って複数並べた構成でもあってもよく、或いは回転テーブル2側に静電チャックなどのチャック機構を設けた構成であってもよい。回転テーブル2側にチャック機構を設けてウェハを吸着する場合には、吸着によりウェハが載置される領域が基板載置部となる。
被検知部25は、図1及び図4に示されるように、回転テーブル2の上面の周縁に設けられる。被検知部25は、回転テーブル2を回転させ、レーザセンサ(位置検知手段)8によって被検知部25を検知したときの回転位置を基準とし、回転テーブル2の位置補正を行うためのものである。被検知部25の形状は、レーザセンサ8によって検知されることができるのであれば、特に限定されるものではなく、回転テーブル2の表面の高さより高い部位、低い部位、等により構成することができる。本実施の形態では、回転テーブル2の周縁の一箇所から回転テーブル2の半径方向に形成されたケガキ線である。
被検知部25は回転テーブル2の周縁から半径方向に形成されたケガキ線であるため、被検知部25の回転テーブル2の半径方向に垂直な断面における形状は、図5(a)に示されるように、断面三角形状の溝である。
なお、被検知部25は、回転テーブル2の回転位置を精度良く検知するために回転テーブル2の周縁に設けられるのであれば、回転テーブル2の上面に限られるものではなく、回転テーブル2の側周面及び下面に設けることもできる。
レーザセンサ8は、回転テーブル2の被検知部25を検知できるように、図4及び図5に示されるように、回転テーブル2の上面の周縁から上側の位置に設けられる。レーザセンサ8は、レーザ光を発光する発光素子81及びレーザ光を受光する受光素子82を備え、回転テーブル2に回転に伴う回転テーブル2の上面に設けられた被検知部25の通過の検知を行うためのものである。レーザセンサ8は、真空容器1の内部に設けられなくてもよいのであって、本実施の形態では、レーザセンサ8は、図1に示されるように、真空容器1の天板11の上側に設けられる。このとき、真空容器1の天板11において、回転テーブル2の回転軸に平行にレーザセンサ8を投影した位置に、入射窓17が設けられる。入射窓17は、レーザセンサ8の発光素子81から発光されたレーザ光が回転テーブル2の上面に入射されると共に、回転テーブル2の上面で反射されたレーザ光がレーザセンサ8の受光素子82に入射されるためのものである。
なお、レーザセンサ8は、回転テーブル2の被検知部を検知できるのであれば、真空容器1の外部に設けられるのに限定されるものではなく、真空容器1の内部に設けられることもできる。この場合、真空容器1の天板11に設けられるレーザセンサ8から回転テーブル2への入射光の導入及び反射光の導出を行うための入射窓17を設けることを省略することができる。
ここで、図5(a)及び図5(b)を用いて本実施の形態に係る成膜装置におけるレーザセンサ8及び被検知部25を用いた回転テーブル2の回転位置の位置検知の作用について説明する。
図5(a)及び図5(b)は、本実施の形態に係る成膜装置を説明するための図であり、レーザセンサ8が被検知部25を検知する作用を模式的に示す図である。
図5(a)に示されるように、レーザセンサ8は、発光素子81から入射されたレーザ光が回転テーブル2の被検知部25が形成されていない場所に入射された場合に、反射光の殆ど全てが入射窓17から導出され、受光素子82に入射されるように、入射窓17との相対位置及び相対角度が調整される。また、この場合の受光素子82での受光量をE1とする。
一方、図5(b)に示されるように、回転テーブル2が回転され、発光素子81から入射されたレーザ光が回転テーブル2に入射される位置に被検知部25が移動されると、被検知部25は、断面三角形状を有するケガキ線であるため、レーザセンサ8から入射されたレーザ光の反射方向が変化し、レーザセンサ8の受光素子82に入射される光量は減少する。即ち、この場合の受光素子82での受光量をE2とすると、E2<E1となる。
従って、受光量E2とE1との差を検知することにより、回転テーブル2の上面に形成された被検知部25がレーザセンサ8及び入射窓17の下側を通過したことを検知することができる。更に、被検知部25の通過をレーザセンサ8により検知したときの回転位置を基準とすることによって、回転テーブル2の回転位置を精度良く補正することができる。具体的には、例えば回転テーブル2の直径が960mmφである場合、回転テーブル2の上面の周縁において、例えば回転方向の幅が1mm、半径方向の長さが5mm、深さが2mmのケガキ線を設けることにより、±0.3mmの精度で回転位置を検知及び補正することができる。
第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32、及び2本の第1の分離ガス供給部41、42は、図2及び図3に示されるように、第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給するために、回転テーブル2における凹部24の基板載置部と各々対向する位置に、真空容器1の周縁(回転テーブル2の周縁)の互いに異なる位置から回転中心に向かって各々設けられる。第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32、及び2本の第1の分離ガス供給部41、42は、下方側に反応ガスを吐出するための吐出孔が長さ方向に間隔を置いて穿設されるノズルである。
第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32、及び2本の第1の分離ガス供給部41、42は、例えば真空容器1の側壁に取り付けられ、その基端部であるガス導入ポート31a、32a、41a、42aは側壁を貫通する。本実施の形態では、一部図8に示されるように、ガス導入ポート31a、32a、41a、42aは真空容器1の側壁から導入されているが、環状の突出部53(後述)から導入しても良い。この場合、突出部53の外周面と天板11の外表面とに開口するL字型の導管を設け、真空容器1内でL字型の導管の一方の開口に第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32、及び2本の第1の分離ガス供給部41、42を接続し、真空容器1の外部でL字型の導管の他方の開口にガス導入ポート31a、32a、41a、42aを接続することができる。
第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32には、図6(a)及び図6(b)に示されるように、下方側に反応ガスを吐出するための吐出孔33がノズルの長さ方向に間隔を置いて穿設される。本実施の形態では、例えば、第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32を構成するガスノズルの長さ方向に沿って、真下に向いた例えば口径が0.5mmの吐出孔が10mmの間隔で穿設される。
第1の分離ガス供給部41、42には、図6(a)及び図6(b)に示されるように、下方側に分離ガスを吐出するための吐出孔40が長さ方向に間隔を置いて穿設される。本実施の形態では、例えば、第1の分離ガス供給部41、42を構成するガスノズルの長さ方向に沿って、真下に向いた例えば口径が0.5mmの吐出孔が10mmの間隔で穿設される。
第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32は、真空容器1の外部に配設される第1の反応ガスのガス供給源及び第2の反応ガスのガス供給源に接続され、第1の分離ガス供給部41、42は、真空容器1の外部に配設される第1の分離ガスのガス供給源に接続される。本実施の形態では、第2の反応ガス供給部32、第1の分離ガス供給部41、第1の反応ガス供給部31及び、第1の分離ガス供給部42が、この順に時計方向に配置される。
本実施の形態では、第1の反応ガスとして、例えばBTBAS(ビスターシャルブチルアミノシラン)ガスを用いることができる。また、第2の反応ガスとして、例えばO3(オゾン)ガスを用いることができる。更に、第1の分離ガスとして、例えばN2(窒素)ガスを用いることができる。なお、第1の分離ガスは、N2ガスに限られずAr等の不活性ガスを用いることができるが、不活性ガスに限らず水素ガス等であってもよく、成膜処理に影響を与えないガスであれば、ガスの種類に関しては特に限定されるものではない。
天板11の下面は、図1乃至図3及び図6(a)に示されるように、回転テーブル2の上面と距離H1だけ離れた面である第1の下面部(第1の下面の領域)45、回転テーブル2の上面と距離H2だけ離れた面である第2の下面部(第2の下面の領域)45a、及び第1の下面部45と第2の下面部45aとの間に形成され、回転テーブル2の上面と距離H3だけ離れた面である第3の下面部(第3の下面の領域)44の3つの領域と、第1の下面部45及び第2の下面部45aにおいて、各々の領域の回転中心側に隣接する突出部53、更にコア部21に対応する回転中心側部5を有する。
第1の下面部45、第2の下面部45a及び第3の下面部44は、各々第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32、及び第1の分離ガス供給部41を含む天板11の下面の領域である。なお、第3の下面部44は、第1の分離ガス供給部41によって二分されている。
また、天板11の下面である第1の下面部45、第2の下面部45a及び2つの第3の下面部44の4つの領域の各々は、図1、図2、図3及び図6(a)に示されるように、回転テーブル2との間に、第1の空間P1、第2の空間P2及び2つの第3の空間Dを形成する。
天板11の第1の下面部45は、図6(a)及び図6(b)に示されるように、第1の反応ガス供給部31を含む天板11の下面の領域である。第2の下面部45aは、図6(a)及び図6(b)に示されるように、第2の反応ガス供給部32を含む天板11の下面の領域である。第3の下面部44は、図6(a)及び図6(b)に示されるように、第1の分離ガス供給部41、42を含む天板11の下面の領域である。また、第1の分離ガス供給部41、42の中心軸から扇形の形状を有する第3の下面部44の回転テーブル2の順回転方向及び逆回転方向における両縁までの距離は、同じ長さに設定される。
このとき、天板11の第3の下面部44は、各々第1の分離ガス供給部41、42に対する回転テーブル2の回転方向上流側において、回転テーブル2の周縁に位置する部位ほど幅を大きくすることができる。回転テーブル2が回転することによって、回転テーブル2の周縁に近い部位ほど、回転方向上流側から第3の下面部44に向かうガスの流れが速いためである。本実施の形態では、直径300mmのウェハWを被処理基板としており、第3の下面部44の周方向の長さ(回転テーブル2と同心円の円弧の長さ)は、回転中心から140mm離れた突出部53に近い部位において例えば146mmであり、凹部24(基板載置部)の最も外側の位置において例えば502mmである。なお、図6(a)に示されるように、この最も外側の位置において第1の分離ガス供給部41(42)の両端から夫々左右に位置する天板11の第3の下面部44の周方向の長さLでみれば、長さLは246mmである。
第1の反応ガス供給部31を含む天板11の第1の下面部45は、図1、図2、図3及び図6(a)に示されるように、回転テーブル2から第1の高さH1に設けられる。第2の反応ガス供給部32を含む第2の下面部45aは、図1及び図6(a)に示されるように、回転テーブル2から第2の高さH2に設けられる。第1の分離ガス供給部41を含む第3の下面部44は、図6(a)に示されるように、回転テーブル2から第3の高さH3に設けられる。第3の高さH3は、第1の高さH1及び第2の高さH2よりも低い。また、第1の高さH1と第2の高さH2との大小関係は、特に限定されるものではないが、例えばH1=H2とすることができる。従って、本実施の形態では、H3<H1=H2とすることができる。
即ち、図6(a)に示されるように、第1の分離ガス供給部41における回転方向両側には、回転テーブル2から第3の高さH3に設けられる天板11の下面である第3の下面部44が存在し、第3の下面部44の回転方向両側には、第3の下面部44より高い第1の下面部45及び第2の下面部45aが存在する。換言すれば、第1の分離ガス供給部41における回転方向両側には、第3の空間Dが存在し、第3の空間Dの回転方向両側には、第1の空間P1及び第2の空間P2が存在する。同様に、第1の空間P1の反対側及び第2の空間P2の反対側との間には、第3の空間Dが存在する。
第3の空間Dに対応する天板11の周縁部(真空容器1の外縁側の部位)は、図9に示されるように、回転テーブル2の外端面に対向するようにL字型に屈曲して屈曲部46を形成する。天板11は容器本体12から取り外せるようになっていることから、屈曲部46の外周面と容器本体12との間には僅かに隙間がある。この屈曲部46も第3の下面部44と同様に、第1の反応ガス及び第2の反応ガスが侵入することによって混合することを防止する目的で設けられており、屈曲部46の内周面と回転テーブル2の外端面との隙間、及び屈曲部46の外周面と容器本体12との隙間は、回転テーブル2の表面に対する第3の下面部44の高さH3と同様の寸法に設定される。即ち、回転テーブル2の表面側領域においては、屈曲部46の内周面が真空容器1の内周壁と同様の機能を有する。
なお、図2及び図3は、第1の下面部45及び第2の下面部45aよりも低く、第1の分離ガス供給部41、42よりも高い位置で、真空容器1の天板11を水平に切断して示している。
ここで、第3の空間Dの役割である第1の空間P1の雰囲気と第2の空間P2の雰囲気との分離作用について説明する。
第3の下面部44は、第1の分離ガス供給部41と組合せることによって、第3の空間Dに第1の反応ガス及び第2の反応ガスの侵入を阻止し、第1の反応ガスと第2の反応ガスとの混合を阻止するためのものである。即ち、第3の空間Dにおいては、回転テーブル2の逆回転方向側からの第2の反応ガスの侵入が阻止され、回転テーブル2の順回転方向側からの第1の反応ガスの侵入も阻止される。「ガスの侵入が阻止される」とは、第1の分離ガス供給部41から吐出した第1の分離ガスが第3の空間Dに拡散し、隣接する第2の下面部45aの下方側空間である第2の空間P2に吹き出し、これにより隣接する第1の空間P1及び第2の空間P2からのガスが侵入できないことを意味する。そして「ガスが侵入できない」とは、隣接する第1の空間P1及び第2の空間P2から第3の空間Dにガスが全く入り込むことができない状態のみを意味するのではなく、多少侵入はするが、両側から夫々侵入した第1の反応ガス及び第2の反応ガスが第3の空間Dで混合されない状態も意味する。これらの状態が得られる限り、第3の空間Dの役割である第1の空間P1の雰囲気と第2の空間P2の雰囲気との分離作用が確保される。なお、ウェハに吸着したガスは、第3の空間D内を通過することができるため、「ガスの侵入」におけるガスとは、気相中のガスを意味する。
また図6(a)に示されるように、天板11の第3の下面部44の回転テーブル2からの高さH3は、例えば約0.5mmから約10mmであって良く、約4mmであると好適である。この場合、回転テーブル2の回転数は例えば1rpm〜500rpmに設定される。第3の下面部44の分離機能を確保するためには、回転テーブル2の回転数の使用範囲などに応じて、第3の下面部44の大きさや第3の下面部44の回転テーブル2からの高さH3を例えば実験などに基づいて設定することになる。なお第1の分離ガスとしては、N2ガスに限られずArガスなどの不活性ガスを用いることができるが、不活性ガスに限らず水素ガスであってもよく、成膜処理に影響を与えないガスであれば、ガスの種類に関しては特に限定されるものではない。
そして第1の分離ガス供給部41(42)の両側に各々位置する狭隘な空間を形成する第3の下面部44は、図7(a)及び図7(b)に第1の分離ガス供給部41を代表して示すように、例えば300mm径のウェハWを被処理基板とする場合、ウェハWの中心WOが通過する部分の回転テーブル2の回転方向に沿った幅寸法Lが50mm以上であることが好ましい。第3の下面部44の両側から第3の下面部44の下方である第3の空間D(第1の高さH1及び第2の高さH2よりも低い第3の高さH3を有する狭隘な空間)に反応ガスが侵入することを有効に阻止するためには、幅寸法Lが短い場合には、それに応じて第3の下面部44と回転テーブル2との間の距離である第3の高さH3も小さくする必要がある。更に、第3の下面部44と回転テーブル2との間の距離である第3の高さH3をある寸法に設定したとすると、回転テーブル2の回転中心から離れる程、回転テーブル2の速度が速くなってくるので、反応ガスの侵入阻止効果を得るために要求される幅寸法Lは、回転中心から離れる程長くなる。このような観点から考察すると、ウェハWの中心WOが通過する部分における幅寸法Lが50mmよりも小さいと、第3の下面部44と回転テーブル2との距離である第3の高さH3をかなり小さくする必要があるため、回転テーブル2を回転したときに回転テーブル2あるいはウェハWと第3の下面部44との衝突を防止するために、回転テーブル2の振れを極力抑える工夫が要求される。更にまた回転テーブル2の回転数が高い程、第3の下面部44の上流側から第3の下面部44の下方側に反応ガスが侵入しやすくなるので、幅寸法Lを50mmよりも小さくすると、回転テーブル2の回転数を低くしなければならず、スループットの点で得策ではない。従って、幅寸法Lが50mm以上であることが好ましい。しかし、第3の下面部44のサイズは、上記のサイズに限定されることなく、使用されるプロセスパラメータやウェハサイズに従って調整して良い。また、狭隘な空間である第3の空間Dが、第3の空間Dから第1(第2)の空間P1(P2)への分離ガスの流れが形成される程度の高さを有している限りにおいて、上述の説明から明らかなように、狭隘な空間(第3の空間D)の高さ(第3の高さ)H3もまた、使用されるプロセスパラメータやウェハサイズに加えて、たとえば第3の下面部44の面積に応じて調整してよい。
天板11の突出部53は、第1の下面部45及び第2の下面部45aにおいて、図1に示されるように、各々の領域の回転中心側と、コア部21の外周側との間にあって、回転テーブル2と対向する領域である。また、天板11の突出部53は、2つの第3の下面部44において、図9に示されるように、各々の領域の回転中心側と連続して一体に形成され、その下面は第3の下面部44と同じ高さに形成される。ただし、天板11の突出部53と第3の下面部44は、必ずしも一体でなくても良く、別体であっても良い。
天板11の回転中心側部5は、突出部53の回転中心側に位置する領域である。本実施の形態において、回転中心側部5と突出部53との境界は、例えば回転中心から140mmの半径を有する円周上に設けることができる。
第2の分離ガス供給部51は、図1及び図9に示されるように、真空容器1の天板11を貫通し、真空容器1の中心部に接続される。第2の分離ガス供給部51は、天板11とコア部21との間の空間である中心部領域Cに第2の分離ガスを供給するためのものである。第2の分離ガスとして、特に限定されるものはないが、例えばN2ガスが用いられる。
中心部領域Cに供給された第2の分離ガスは、突出部53と回転テーブル2との狭い隙間50を介して回転テーブル2の基板載置部側の表面に沿って周縁に向けて吐出される。突出部53で囲まれる空間には第2の分離ガスが満たされるので、第1の空間P1と第2の空間P2との間で回転テーブル2の中心部を介して第1の反応ガスと第2の反応ガスとが混合することを阻止する。即ち、成膜装置は、第1の空間P1と第2の空間P2との雰囲気を分離するために回転テーブル2の回転中心部と真空容器1とにより区画され、第2の分離ガスが供給されると共に回転テーブル2の表面に分離ガスを吐出する吐出孔が回転方向に沿って形成された中心部領域Cを備える。なお、吐出孔は突出部53と回転テーブル2との狭い隙間50に相当する。
次に、真空容器1に収容される各部分のうち、回転テーブル2の外周面側及び回転テーブル2の下側であって底面部14よりも上側にある部材について説明する。即ち、容器本体12、排気空間6について説明する。
容器本体12の内周壁は、第3の空間Dにおいて、図9に示されるように、屈曲部46の外周面と接近して垂直面に形成される。一方、第3の空間D以外の部位においては、図1に示されるように、例えば回転テーブル2の外端面と対向する部位から底面部14に亘って縦断面形状が矩形に切欠かれて外方側に窪んだ構造を有する。この窪んだ部分は、排気空間6である。
排気空間6の底部には、図1及び図3に示されるように、例えば2つの排気口61、62が設けられる。排気口61、62は各々排気管63を介して真空排気手段である例えば共通の真空ポンプ64に接続される。また、排気口61と真空ポンプ64との間において、圧力調整手段65が排気管63に設けられる。圧力調整手段65は、排気口61、62ごとに設けてもよいし、共通化されてもよい。排気口61、62は、第3の空間Dの分離作用が確実に働くように、平面視において第3の空間Dの回転方向両側に設けられ、第1の反応ガス及び第2の反応ガスの排気を専用に行う。本実施の形態において、一方の排気口61は、第1の反応ガス供給部31と、第1の反応ガス供給部31に対して回転方向下流側に隣接する第3の空間Dとの間に設けられ、他方の排気口62は、第2の反応ガス供給部32と、第2の反応ガス供給部32に対して回転方向下流側に隣接する第3の空間Dとの間に設けられる。
排気口の設置数は2個に限られるものではなく、例えば第1の分離ガス供給部42を含む第3の空間Dと第3の空間Dに対して回転方向下流側に隣接する第2の反応ガス供給部32との間に更に排気口を設置して3個としてもよく、4個以上であってもよい。この例では排気口61、62は、真空容器1の底面部14であって回転テーブル2よりも低い位置に設けることで真空容器1の内周壁と回転テーブル2の周縁との間の隙間から排気するようにしているが、真空容器1の底面部14に設けることには限られず、真空容器1の側壁に設けてもよい。また、排気口61、62は、真空容器の側壁に設ける場合には、回転テーブル2よりも高い位置に設けるようにしてもよい。このように排気口61、62を設けることにより、回転テーブル2上のガスは、回転テーブル2の外側に向けて流れるため、回転テーブル2に対向する天井面から排気する場合に比べてパーティクルの巻上げが抑えられるという観点において有利である。
次に、真空容器1に収容される各部分のうち、回転テーブル2より下側であって真空容器1の底面部14までの部分を説明する。即ち、ヒータユニット(加熱部)7、カバー部材71、底面部14、第3の分離ガス供給部72、第4の分離ガス供給部73を説明する。
ヒータユニット7は、図1及び図8に示されるように、回転テーブル2と、真空容器1の底面部14との間の空間に設けられる。ヒータユニット7は、回転テーブル2を介して回転テーブル2上のウェハをプロセスレシピで決められた温度に加熱するためのものである。ヒータユニット7は、回転テーブル2の下方側に設ける代わりに、回転テーブル2の上方側に設けてもよく、上下両側に設けてもよい。また、ヒータユニット7は、抵抗発熱体を用いるものに限られることはなく、赤外線ランプを用いるものでもよい。なお、ヒータユニット7の下半分の部分には、ヒータユニット7から発生した熱のうち、下側へ向かって発生された熱を上側に反射して熱効率を向上させるためのリフレクタ(反射板)が設けられてもよい。
ヒータユニット7によって加熱される回転テーブル2の温度は、真空容器1の底面部14に埋め込まれる熱電対によって測定される。熱電対によって測定された温度の値は、制御部100に伝えられ、ヒータユニット7に回転テーブル2の温度を所定を温度に保持するように制御部100から制御が行われる。
カバー部材71は、回転テーブル2の周縁側且つ下方側において、回転テーブル2の下方空間と排気空間6とを区画するために設けられる。カバー部材71は、ヒータユニット7を全周に亘って囲むように形成される。カバー部材71は、上縁が外側に屈曲されてフランジ状に形成され、屈曲面と回転テーブル2の下面との間の隙間を小さくして、カバー部材71の内周側に第1の反応ガス及び第2の反応ガスが侵入し、混合することを防止する。
底面部14は、ヒータユニット7が配置される空間より回転中心側の部位において、回転テーブル2の下面の中心部付近及びコア部21に、狭い隙間をもって接近する。底面部14は、底面部14を貫通する回転軸22の貫通孔においても、貫通孔の内周面と回転軸22との隙間は狭い。また、貫通孔はケース体20に連通する。
第3の分離ガス供給部72は、ケース体20に設けられる。第3の分離ガス供給部72は、第3の分離ガスを狭い空間内に供給するためものである。第3の分離ガスとして、特に限定されるものではないが、例えばN2ガスが用いられる。
第4の分離ガス供給部73は、真空容器1の底面部14において、ヒータユニット7の下方側の位置であって回転方向の複数個所に設けられる。第4の分離ガス供給部73は、ヒータユニット7が配置される空間に第4の分離ガスを供給するためのものである。第4の分離ガスとして、特に限定されるものではないが、例えばN2ガスが用いられる。
図10に第3の分離ガス乃至第4の分離ガスの流れを矢印で示すように、第3の分離ガス供給部72、第4の分離ガス供給部73を設けることにより、ケース体20内からヒータユニット7の配置空間に至るまでの空間に例えばN2ガスが供給され、N2ガスが回転テーブル2とカバー部材71との隙間から排気空間6を介して排気口61、62に排気される。これによって、第1空間P1及び第2の空間P2の一方から回転テーブル2の下方を介して他方に第1の反応ガス及び第2の反応ガスが回り込むことが阻止されるため、第3の分離ガスは、分離ガスとしての作用を有する。また、第1の空間P1及び第2の空間P2から回転テーブル2の下方にあるヒータユニット7の配置された空間に第1の反応ガス及び第2の反応ガスが侵入することを阻止することができるため、第4の分離ガスは、第1の反応ガス及び第2の反応ガスがヒータユニット7に吸着されるのを防ぐ作用も有する。
次に、真空容器1の外部に設けられる部分及び外部に設けられる部分との搬送のための部分について説明する。
真空容器1の側壁には、図2、図3及び図11に示されるように、外部の搬送アーム10と回転テーブル2との間でウェハの受け渡しを行うための搬送口15が形成され、搬送口15は図示しないゲートバルブにより開閉される。回転テーブル2における基板載置部である凹部24は、搬送口15の位置にて搬送アーム10との間でウェハWの受け渡しが行われることから、回転テーブル2の下方側において受け渡し位置に対応する部位に、凹部24を貫通してウェハを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン16の昇降機構が設けられる。
また、本実施の形態に係る成膜装置は、図1及び図3に示されるように、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部100が設けられる。制御部100には、図12に示されるように、CPUを備え成膜装置の各部を制御するプロセスコントローラ100aと、ユーザインターフェース部100bと、記憶部100cとが設けられる。
ユーザインターフェース部100bは、工程管理者が成膜装置を管理するためにコマンドの入力操作を行うキーボードや、成膜装置の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成される。
記憶部100cには、成膜装置で実行される各種処理をプロセスコントローラ100aの制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウェア)や処理条件データ等が記憶されたレシピが格納される。そして、必要に応じて、ユーザインターフェース部100bからの指示等により任意のレシピを記憶部100cから呼び出してプロセスコントローラ100aに実行させることで、プロセスコントローラ100aの制御下で、成膜装置での所望の処理が行われる。また、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータで読み取り可能なプログラム記録媒体(例えば、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フロッピーディスク等)に格納された状態のものをプロセスコントローラ100aにインストールして利用したり、或いは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させオンラインで利用したりすることも可能である。
次に、図11、図13及び図14を用いて本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜方法について説明する。
図13は、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜方法の手順を説明するための工程図である。また、図14は、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜方法を説明するための図であり、第1の反応ガス、第2の反応ガス及び第1の分離ガスが流れる様子を示す図である。図14は、図3と同様に、第1の下面部45及び第2の下面部45aよりも低く、第1の分離ガス供給部41、42よりも高い位置で、真空容器1の天板11を水平に切断して示している。
本実施の形態における成膜方法は、図13のステップS11乃至ステップS21に示されるように、回転テーブルの回転位置を補正する第1の位置補正工程と、回転テーブルに基板を載置する載置工程と、回転テーブルを回転させる回転工程と、回転テーブルを下側から加熱し、第1の反応ガス供給部及び第2の反応ガス供給部の各々から第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給し、第1の分離ガス供給部から加熱された第1の分離ガスを供給し、回転テーブル2の回転に伴って基板を移動させ、基板の表面への第1の反応ガスの供給、第1の反応ガスの停止、第2の反応ガスの供給及び第2の反応ガスの停止を繰り返して薄膜を成膜する成膜工程と、第1の反応ガス供給部及び第2の反応ガス供給部からの第1の反応ガス及び第2の反応ガスの供給を停止し、基板の加熱を停止し、各分離ガスの供給を停止し、回転テーブルの回転を停止する成膜停止工程と、回転テーブルの回転位置を補正する第2の位置補正工程と、基板を搬送アームにより搬出する搬出工程を含む。
始めに、ステップS11よりなる第1の位置補正工程を行う。ステップS11は、真空容器の外側に設けられた位置検知手段を用い、回転テーブルの被検知部を検知したときの回転位置を基準として回転テーブルの位置補正を行う工程である。
具体的には、回転テーブル2を通常の成膜工程における回転テーブル2の回転速度より小さな回転速度で回転し、レーザセンサ8の受光量E1の変化を測定し、受光量がE1より小さな値E2に変化した回転位置を新たな基準位置(原点)とし、回転テーブルの位置補正を行う。なお、回転位置補正工程における回転テーブル2の回転速度は、通常の成膜工程における回転速度よりも小さいため、例えば1rpm以下とすることができる。
次に、ステップS12よりなる載置工程をおこなう。ステップS12は、搬送アームを用い、回転位置が補正された回転テーブルに搬送口を通して基板を載置する工程である。
具体的には、図11に示されるように、ゲートバルブを開き、外部から搬送アーム10により搬送口15を介してウェハWを回転テーブル2の凹部24に受け渡す。この受け渡しは、図11に示されるように、凹部24が搬送口15に臨む位置に停止したときに、凹部24の底面の貫通孔を介して真空容器の底部側から昇降ピン16が昇降することによって行われる。このようなウェハWの受け渡しを回転テーブル2を間欠的に回転させながら行い、回転テーブル2の5つの凹部24内に夫々ウェハWを載置する。
次に、ステップS13よりなる回転工程を行う。ステップS13は、回転テーブル2を回転させる工程である。
次に、ステップS14乃至ステップS17を含む成膜工程を行う。ステップS14は、第1の分離ガス供給部、第2の分離ガス供給部、第3の分離ガス供給部及び第4の分離ガス供給部の各々から第1の分離ガス、第2の分離ガス、第3の分離ガス及び第4の分離ガスを供給する工程である。ステップS15は、ヒータユニットにより回転テーブルを下側から加熱する工程である。ステップS16は、第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32の各々から第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給する工程である。ステップS17は、回転テーブル2の回転に伴って基板を移動させ、基板の表面への第1の反応ガスの供給、第1の反応ガスの停止、第2の反応ガスの供給及び第2の反応ガスの停止を繰り返して薄膜を成膜する工程である。
まず、ステップS14を行う。真空ポンプ64により真空容器1内を予め設定した圧力に真空引きすると共に、第1の分離ガス供給部41、42、第2の分離ガス供給部51、第3の分離ガス供給部72及び第4の分離ガス供給部73の各々から第2の分離ガス、第3の分離ガス及び第4の分離ガスを供給する。
次に、ステップS15を行う。ヒータユニット7により基板Wを加熱する。この工程では、ウェハWが回転テーブル2に載置された後、ヒータユニット7により例えば300℃に加熱される。一方、回転テーブル2が、ヒータユニット7により予め例えば300℃に加熱されており、ウェハWがこの回転テーブル2に載置されることで加熱される工程を行うこともできる。
次に、ステップS16を行う。第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32の各々から第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給する。第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32から夫々BTBASガス及びO3ガスを吐出させる。このとき、基板Wの温度が設定温度で安定していることを、温度センサで計測しながら行う。また、回転テーブル2の下側から放射温度計で計測しながら行うこともできる。
なお、ステップS14、ステップS15、ステップS16は、順を追って行う方法に限定されるものではなく、順番を入替えて開始することも可能であり、同時に開始することも可能である。例えば、第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32から夫々BTBASガス及びO3ガスを吐出させると共に、第1の分離ガス供給部41、42から第1の分離ガスであるN2ガスを吐出するような手順で行うことも可能である。
このようにして、ステップS14乃至ステップS16の工程を行うことにより、ステップS17の工程を行うことができる。即ち、回転テーブル2の回転に伴って基板を移動させ、基板の表面への第1の反応ガスの供給、第1の反応ガスの停止、第2の反応ガスの供給及び第2の反応ガスの停止を繰り返して薄膜を成膜する。
ウェハWは回転テーブル2の回転により、第1の反応ガス供給部31が設けられる第1の空間P1と第2の反応ガス供給部32が設けられる第2の空間P2とを交互に通過するため、BTBASガスが吸着し、次いでO3ガスが吸着して、BTBAS分子が酸化されて酸化シリコンの分子層が1層あるいは複数層形成され、こうして酸化シリコンの分子層が順次積層されて所定の膜厚のシリコン酸化膜が成膜される。
このとき第2の分離ガス供給部51からも分離ガスであるN2ガスを供給し、これにより中心部領域Cから即ち突出部53と回転テーブル2の中心部との間から回転テーブル2の表面に沿ってN2ガスが吐出する。この例では第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32が配置される第1の下面部45及び第2の下面部45aの下方側の空間に沿った真空容器1の内周壁においては、既述したように内周壁が切り欠かれて広くなっており、この広い空間の下方には排気口61、62が位置しているので、第3の下面部44の下方側の狭隘な空間及び前記中心部領域Cの各圧力よりも第1の下面部45及び第2の下面部45aの下方側の空間の圧力の方が低くなる。この、第3の下面部44の下方側の空間及び中心部領域Cの各圧力よりも第1の下面部45及び第2の下面部45aの下方側の空間の圧力の方が低くなるのは、第3の下面部44の下方側の狭隘な空間が、第1(第2)の反応ガス供給部31(32)が配置されている空間、または第1(第2)の空間P1(P2)と狭隘な空間との間の圧力差が第3の高さH3によって維持され得るように形成されているためでもある。
ガスを各部位から吐出したときのガスの流れの状態を模式的に図14に示す。第2の反応ガス供給部32から下方側に吐出され、回転テーブル2の表面(凹部24に載置されたウェハWの表面、ウェハWの載置されない凹部24及び凹部24以外の表面)に当たり、回転テーブル2の表面に沿って回転方向上流側に向かうO3ガスは、回転方向上流側から流れてきたN2ガスに押し戻されながら、回転テーブル2の周縁と真空容器1の内周壁との間の隙間を通って排気空間6に流れ込み、排気口62により排気される。
また第2の反応ガス供給部32から下方側に吐出され、回転テーブル2の表面に当たり、回転テーブル2の表面に沿って回転方向下流側に向かうO3ガスは、中心部領域Cから吐出されるN2ガスの流れと排気口62の吸引作用により当該排気口62に向かおうとするが、一部は下流側に隣接する第3の空間Dに向かい、扇型の第3の下面部44の下方側に流入しようとする。ところがこの第3の下面部44の高さ及び回転方向の長さは、各ガスの流量などを含む運転時のプロセスパラメータにおいて第3の下面部44の下方側へのガスの侵入を防止できる寸法に設定されているため、図6(b)にも示されるように、O3ガスは扇型第3の下面部44の下方側にほとんど流入できないかあるいは少し流入したとしても第1の分離ガス供給部41付近までには到達できるものではなく、第1の分離ガス供給部41から吐出したN2ガスにより回転方向上流側、つまり第2の空間P2側に押し戻されてしまい、中心部領域Cから吐出されているN2ガスと共に、回転テーブル2の周縁と真空容器1の内周壁との間の隙間を通って排気空間6に流れ込み、排気口62により排気される。
また第1の反応ガス供給部31から下方側に吐出され、回転テーブル2の表面に沿って回転方向上流側及び下流側に夫々向かうBTBASガスは、その回転方向上流側及び下流側に隣接する扇型の第3の下面部44の下方側に全く侵入できないかあるいは侵入したとしても第1の空間P1側に押し戻され、中心部領域Cから吐出されているN2ガスと共に、排気空間6を介して排気口61に排気される。即ち、各第3の空間Dにおいては、雰囲気中を流れる反応ガスであるBTBASガスあるいはO3ガスの侵入を阻止するが、ウェハに吸着されているガス分子はそのまま分離領域つまり扇型の第3の下面部44の下方を通過し、成膜に寄与することになる。
更にまた第1の空間P1のBTBASガス及び第2の空間P2のO3ガスは、中心部領域C内に侵入しようとするが、図10及び図14に示されるように、中心部領域Cからは第2の分離ガスが回転テーブル2の周縁に向けて吐出されているので、第2の分離ガスにより侵入が阻止され、あるいは多少侵入したとしても押し戻され、この中心部領域Cを通って第1の空間P1及び第2の空間P2に流入することが阻止される。
そして第3の空間Dにおいては、天板11の扇型の周縁部が下方に屈曲され、屈曲部46と回転テーブル2の外端面との間の隙間が既述のように狭くなっていてガスの通過を実質阻止しているので、第1の空間P1のBTBASガス(第2の空間P2のO3ガス)は、回転テーブル2の外側を介して第2の空間P2(第1の空間P1)に流入することも阻止される。従って2つの第3の空間Dによって第1の空間P1の雰囲気と第2の空間P2の雰囲気とが完全に分離され、BTBASガスは排気口61に、またO3ガスは排気口62に夫々排気される。この結果、第1の反応ガスBTBASガス及び第2の反応ガスO3ガスは、雰囲気中においてもウェハ上においても交じり合うことがない。なおこの例では、第2の分離ガスであるN2ガスが、回転テーブル2の下方側に供給されるため、排気空間6に流入したガスが回転テーブル2の下方側を潜り抜けて、例えば第2の反応ガスであるBTBASガスが第2の反応ガスであるO3ガスの供給領域に流れ込むといったおそれも全くない。
成膜処理の後、ステップS18及びS19を含む成膜停止工程を行う。ステップS18は、第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32の各々からの第1の反応ガス及び第2の反応ガスの供給を停止する工程である。ステップS19は、ヒータユニット7による回転テーブル及び基板の加熱を停止し、第1の分離ガス、第2の分離ガス、第3の分離ガス及び第4の分離ガスの供給を停止し、回転テーブル2の回転を停止する工程である。
次に、ステップS20よりなる第2の位置補正工程を行う。ステップS20は、真空容器の外側に設けられた位置検知手段を用い、回転テーブルの被検知部を検知したときの回転位置を基準として回転テーブルの位置補正を行う工程であり、ステップS11の第1の位置補正工程と同様の工程である。
第2の位置補正工程の後、ステップS21よりなる搬出工程を行う。ステップS21は、搬送アーム10を用い、回転位置が補正された回転テーブルから基板を搬送口15を通して搬出する工程である。
ここで処理パラメータの一例について記載しておくと、回転テーブル2の回転数は、300mm径のウェハWを被処理基板とする場合、例えば1rpm〜500rpm、プロセス圧力は例えば1067Pa(8Torr)、ウェハWの加熱温度は例えば350℃、BTBASガス及びO3ガスの流量は例えば夫々100sccm及び10000sccm、分離ガスノズル41、42からのN2ガスの流量は例えば20000sccm、真空容器1の中心部の第2の分離ガス供給部51からのN2ガスの流量は例えば5000sccmである。また1枚のウェハに対する反応ガス供給のサイクル数、即ちウェハが第1の空間P1及び第2の空間P2の各々を通過する回数は目標膜厚に応じて変わるが、多数回例えば600回である。
本実施の形態によれば、回転テーブル2の回転方向に複数のウェハWを配置し、回転テーブル2を回転させて第1の空間P1と第2の空間P2とを順番に通過させていわゆるALD(あるいはMLD)を行うようにしているため、高いスループットで成膜処理を行うことができる。そして回転方向において第1の空間P1と第2の空間P2との間に低い天井面を備えた第3の空間Dを設けると共に回転テーブル2の回転中心部と真空容器1とにより区画した中心部領域Cから回転テーブル2の周縁に向けて分離ガスを吐出し、第3の空間Dの両側に拡散する分離ガス及び中心部領域Cから吐出する分離ガスと共に反応ガスが回転テーブル2の周縁と真空容器1の内周壁との隙間を介して排気されるため、両反応ガスの混合を防止することができ、この結果良好な成膜処理を行うことができるし、回転テーブル2上において反応生成物が生じることが全くないか極力抑えられ、パーティクルの発生が抑えられる。なお本発明は、回転テーブル2に1個のウェハWを載置する場合にも適用できる。
本発明で適用される処理ガスとしては、上述の例の他に、DCS(ジクロロシラン)、HCD(ヘキサクロロジシラン)、TMA(トリメチルアルミニウム)、3DMAS(トリジメチルアミノシラン)、TEMAZ(テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム)、TEMAH(テトラキスエチルメチルアミノハフニウム)、Sr(THD)2(ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト)、Ti(MPD)(THD)2(チタニウムメチルペンタンジオナトビステトラメチルヘプタンジオナト)、モノアミノシランなどを挙げることができる。
以上、本実施の形態に係る成膜装置によれば、高いスループットが得られ、基板上にて複数の反応ガスが混合されることを防止して良好な処理を行うことができ、回転テーブルの周縁に設けられた被検知部及び被検知部を検知するための位置検知手段を備えることにより、回転テーブルの回転位置を位置精度良く検知及び補正することができ、真空容器の外部との間で基板の搬入出を確実に行うことができる。
なお、本実施の形態に係る成膜装置において、2種類の反応ガスを用いる例を示すが、本発明は、2種類の反応ガスを用いることに限られず、3種類以上の反応ガスを順番に基板上に供給する場合にも適用することができる。例えば第1の反応ガス、第2の反応ガス及び第3の反応ガスの3種類のガスを反応ガスとして用いる場合、第1の反応ガス供給部、第1の分離ガス供給部、第2の反応ガス供給部、第1の分離ガス供給部、第3の反応ガス供給部及び第1の分離ガス供給部の順番になるように真空容器1の周方向に各ガス供給部を配置し、各ガス供給部を含む真空容器1の天板11の下面の領域が形成されるように配置することができる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図15及び図16を参照し、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る成膜装置を説明する。
図15は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。図16は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、位置検知手段及び被検知部の配置の関係を説明するための斜視図である。ただし、以下の文中では、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある(以下の変形例、実施の形態についても同様)。
本変形例に係る成膜装置は、被検知部が回転テーブルの側周面に形成される点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図15及び図16を参照するに、第1の実施の形態において、被検知部が回転テーブルの上面の周縁に形成されるのと相違し、本変形例においては、被検知部25aが回転テーブル2aの側周面に形成され、レーザセンサ8が真空容器1の容器本体12の側周面の外側に配置される。
被検知部25aは、図15及び図16に示されるように、回転テーブル2aの側周面に設けられる。被検知部25aの形状は、レーザセンサ8によって検知されることができるのであれば、特に限定されるものではなく、本変形例では、例えば、回転テーブル2aの側周面の一箇所に回転テーブル2aの回転軸方向に形成されたケガキ線である。
被検知部25aは回転テーブル2aの側周面に回転テーブル2aの回転軸方向に形成されたケガキ線であるため、被検知部25aの回転テーブル2aの回転軸に垂直な断面における形状は、第1の実施の形態と同様に、断面三角形状の溝である。
レーザセンサ8は、回転テーブル2aの被検知部25aを検知できるように、図15及び図16に示されるように、回転テーブル2aの側周面から半径方向外側の位置に設けられる。レーザセンサ8が、発光素子81及び受光素子82を備えるのは、第1の実施の形態と同様である。また、レーザセンサ8が、真空容器1の内部に設けられなくてもよいのは第1の実施の形態と同様であり、本変形例では、レーザセンサ8は、図15及び図16に示されるように、真空容器1の容器本体12の側周面の外側に設けられる。このとき、真空容器1の容器本体12の側周面において、回転テーブル2aの回転中心に向けてレーザセンサ8を投影した位置に、入射窓17aが設けられる。入射窓17aは、レーザセンサ8の発光素子81から発光されたレーザ光が回転テーブル2aの側周面に入射されると共に、回転テーブル2aの側周面で反射されたレーザ光がレーザセンサ8の受光素子82に入射されるためのものである。
なお、レーザセンサ8が、真空容器1の内部に設けられてもよく、その場合入射窓17aが省略可能であることは、第1の実施の形態と同様である。
また、本変形例において、レーザセンサ8及び被検知部25aを用いた回転テーブル2aの回転位置の位置検知の作用は、第1の実施の形態と同様であり、例えば回転テーブル2aの直径が960mmφである場合、回転テーブル2aの側周面において、例えば回転方向の幅が1mm、回転軸方向の長さが5mm、深さが2mmのケガキ線を設けることにより、±0.3mmの精度で回転位置を検知及び補正することができる。従って、被検知部25aを回転テーブル2aの側周面に設けた場合にも、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図17及び図18を参照し、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る成膜装置を説明する。
図17は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。図18は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、位置検知手段及び被検知部の配置の関係を説明するための斜視図である。
本変形例に係る成膜装置は、被検知部が回転テーブルの下面に形成される点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図17及び図18を参照するに、第1の実施の形態において、被検知部が回転テーブルの上面の周縁に形成されるのと相違し、本変形例においては、被検知部25bが回転テーブル2bの下面に形成され、レーザセンサ8が真空容器1の底面部14の下側に配置される。
被検知部25bは、図17及び図18に示されるように、回転テーブル2bの下面に設けられる。被検知部25bの形状は、レーザセンサ8によって検知されることができるのであれば、特に限定されるものではなく、本変形例では、例えば、回転テーブル2bの下面の周縁の一箇所に回転テーブル2bの半径方向に形成されたケガキ線である。
被検知部25bは回転テーブル2bの下面に回転テーブル2bの回転軸方向に形成されたケガキ線であるため、被検知部25bの回転テーブル2bの半径方向に垂直な断面における形状は、第1の実施の形態と同様に、断面三角形状の溝である。
レーザセンサ8は、回転テーブル2bの被検知部25bを検知できるように、図17及び図18に示されるように、回転テーブル2bの下面の周縁から下側の位置に設けられる。レーザセンサ8が、発光素子81及び受光素子82を備えるのは、第1の実施の形態と同様である。また、レーザセンサ8が、真空容器1の内部に設けられなくてもよいのも第1の実施の形態と同様であり、本変形例では、レーザセンサ8は、図17及び図18に示されるように、真空容器1の底面部14の下側に設けられる。このとき、真空容器1の底面部14において、回転テーブル2bの回転軸に平行にレーザセンサ8を投影した位置に、入射窓17bが設けられる。入射窓17bは、レーザセンサ8の発光素子81から発光されたレーザ光が回転テーブル2bの下面に入射されると共に、回転テーブル2bの下面で反射されたレーザ光がレーザセンサ8の受光素子82に入射されるためのものである。
なお、レーザセンサ8が、真空容器1の内部に設けられてもよく、その場合入射窓17bが省略可能であることは、第1の実施の形態と同様である。
また、本変形例において、レーザセンサ8及び被検知部25bを用いた回転テーブル2bの回転位置の位置検知の作用は、第1の実施の形態と同様であり、例えば回転テーブル2bの直径が960mmφである場合、回転テーブル2bの下面の周縁において、例えば回転方向の幅が1mm、半径方向の長さが5mm、深さが2mmのケガキ線を設けることにより、±0.3mmの精度で回転位置を検知及び補正することができる。従って、被検知部25bを回転テーブル2bの下面に設けた場合にも、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
(第1の実施の形態の第3の変形例)
次に、図19乃至図21(b)を参照し、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例に係る成膜装置を説明する。
図19は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。図20は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、位置検知手段及び被検知部の配置の関係を説明するための斜視図である。図21(a)及び図21(b)は、本変形例に係る成膜装置において、位置検知手段の動作を模式的に示す断面図である。図21(a)は披検知部を検知しない状態を示し、図21(b)は被検知部を検知する状態を示す。
本変形例に係る成膜装置は、被検知部が貫通孔である点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図19乃至図21(b)を参照するに、第1の実施の形態において、被検知部が回転テーブルの半径方向のケガキ線であるのと相違し、本変形例においては、被検知部25cが貫通孔である。
被検知部25cは、図19及び図20に示されるように、回転テーブル2cの上面の周縁に設けられる。被検知部25cは上面と下面を貫通する貫通孔であり、円筒状の形状を有する。
被検知部25cは回転テーブル2cの上面の周縁に設けられた貫通孔であるため、被検知部25cの回転テーブル2cの半径方向に垂直な断面における形状は、図21(a)及び図21(b)に示されるように、矩形形状に切り欠かれた空間を有する。
図19に示されるように、レーザセンサ8が真空容器1の天板11の上側に設けられること、及び入射窓17が天板11において回転テーブル2cの回転軸に平行にレーザセンサ8を投影した位置に設けられるのは、第1の実施の形態と同様である。
ここで、図21(a)及び図21(b)を用いて本変形例に係る成膜装置におけるレーザセンサ8及び被検知部25cを用いた回転テーブル2cの回転位置の位置検知の作用について説明する。
図21(a)に示されるように、レーザセンサ8は、レーザ光が被検知部25cでない場所に入射された場合、第1の実施の形態と同様に、反射光の殆ど全てが受光素子82に反射されるように位置が調整される。この場合の受光素子82での受光量をE3とする。
一方、図21(b)に示されるように、回転テーブル2cが回転移動し、レーザ光が被検知部25cに入射されると、被検知部25cが貫通孔であるため、レーザセンサ8から入射されたレーザ光は反射されなくなり、レーザセンサ8の受光素子82に入射される光量は減少する。この場合の受光素子82での受光量をE4とすると、E4<E3となる。
従って、受光量E4とE3との差を検知することにより、回転テーブル2cの上面に形成された被検知部25cが通過したことを検知することができる。更に、被検知部25cの通過をレーザセンサ8により検知したときの回転位置を基準とすることによって、回転テーブル2cの回転位置を精度良く補正することができる。具体的には、例えば回転テーブル2cの直径が960mmφである場合、回転テーブル2cの上面の周縁において、直径2mmの貫通孔を設けることにより、±0.3mmの精度で回転位置を検知及び補正することができる。従って、回転テーブル2cの上面の周縁に被検知部25cとして貫通孔を設けた場合にも、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、被検知部25cは、被検知部25cの形成されない回転テーブル2cの上面の部分に比べ、被検知部25cの形成された回転テーブル2cの上面の部分で反射する反射光の量を減少させることができるのであれば、必ずしも貫通する必要はなく、例えば直径2mmφ、深さ1〜2mmの貫通しない穴を設けて被検知部25cとすることも可能である。
(第1の実施の形態の第4の変形例)
次に、図22を参照し、本発明の第1の実施の形態の第4の変形例に係る成膜装置を説明する。
図22は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
本変形例に係る成膜装置は、位置検知手段がカメラである点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図22を参照するに、第1の実施の形態において、位置検知手段がレーザセンサであるのと相違し、本変形例においては、位置検知手段がカメラ8aである。
被検知部25が、回転テーブル2の上面の周縁に設けられた半径方向のケガキ線であるのは、第1の実施の形態と同様である。
しかし、第1の実施の形態と異なり、位置検知手段としてカメラ8aが用いられる。カメラとして、公知のものが用いられることができ、例えばCCD(電荷結合素子:Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(相補形金属酸化膜半導体:Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラが用いられる。
カメラ8aは、回転テーブル2の被検知部25を観察できるように、図22に示されるように、回転テーブル2の上面の周縁から上側の位置に設けられる。また、真空容器1の天板11において、カメラ8aから回転テーブル2の被検知部25を観察できるような位置に観察窓17dが設けられる。
ここで、本変形例に係る成膜装置におけるカメラ8a及び被検知部25を用いた回転テーブル2の回転位置の検知の作用について説明する。
例えば、被検知部25がカメラ8aの観察位置を通過する際にカメラ8aが受光する受光量が変化することを利用し、回転位置の検知を行うことができる。また、被検知部25の形成された回転テーブル2の上面の部分の撮影画像と、被検知部25以外の回転テーブル2の上面の部分の撮影画像を予め記録しておき、回転テーブル2が回転するときのカメラの撮影画像を記録した画像と比較することにより、回転位置の検知を行うこともできる。
なお、カメラ8aによって画像として認識できるのであれば、被検知部25の構成は特に限定されるものではなく、他の回転テーブル2の部分と異なる形状を有する構成でもよく、他の回転テーブル2の部分と異なる色彩を有する構成でもよい。
具体的には、100万画素のCCDカメラを用いた場合、回転テーブル2の上面の周縁において、例えば回転方向の幅が1mm、回転軸方向の長さが5mm、深さが2mmのケガキ線を設けることにより、±0.1mmの精度で回転位置を検知及び補正することができる。
以上、位置検知手段をカメラにすることによって、第1の実施の形態より更に位置検知の精度が高くなる効果が得られる。
(第1の実施の形態の第5の変形例)
次に、図13、図23乃至図27を参照し、本発明の第1の実施の形態の第5の変形例に係る成膜装置を説明する。
始めに、図23乃至図25を参照し、本変形例に係る成膜装置について説明する。図23は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。図24は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、位置検知手段及び被検知部の配置の関係を説明するための斜視図である。図25は、本変形例に係る成膜装置の回転テーブルの被検知部付近の拡大図である。図25(a)は平面図であり、図25(b)は回転テーブルの回転方向に沿う断面図である。
本変形例に係る成膜装置は、位置検知手段であるレーザセンサが、レーザセンサと回転テーブルの表面との間の距離の変化により被検知部を検知する点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図23及び図24を参照するに、第1の実施の形態において、レーザセンサの発光素子からのレーザ光が回転テーブルで反射されてレーザセンサの受光素子に入射される受光量を測定し、受光量の変化により被検知部を検知するのと相違し、本変形例においては、レーザセンサ8bと回転テーブル2dの表面との間の距離を計測し、距離の変化により被検知部25dを検知する。
本変形例に係る成膜装置は、位置検知手段及び被検知部以外の構成は、第1の実施に形態に係る成膜装置と同様である。すなわち、図23及び図24に示されるように、本変形例に係る成膜装置において、真空容器1、第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス供給部32、第1の分離ガス供給部41、42その他の回転テーブル2d、レーザセンサ8b以外の部分は、第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。一方、本変形例に係る成膜装置において、回転テーブル2d、レーザセンサ8bは、第1の実施の形態と異なる。
回転テーブル2dについては、真空容器1の中心に回転中心を有するように設けられ、ケース体20、20a、コア部21、回転軸22、駆動体23、凹部24、を備えるのは、第1の実施の形態と同様である。
一方、被検知部25dは、回転テーブル2dの上面の周縁に設けられること以外については、第1の実施の形態と異なる。被検知部25dは、後述するように、レーザセンサ8bと回転テーブル2dとの距離を測定するための部分である。従って、被検知部25dは、第1の実施の形態のようなケガキ線ではなく、図25(a)及び図25(b)に示すように、回転テーブル2dの表面から互いに異なる段差を有する第1及び第2の段差部25e、25fを備える。本変形例では、第1及び第2の段差部25e、25fは、図25(a)及び図25(b)に示すように、回転テーブル2dの上面からそれぞれ所定の段差T1、T2で形成された平らな底面を有する凹部である。
また、第1及び第2の段差部25e、25fは、回転テーブル2dの回転方向に沿って互いに前後に接して設けられる。また、第2の段差部25fが、回転テーブル2dの回転方向に沿って第1の段差部25eの後方に接して設けられる場合、第2の段差部25fの回転テーブル2dの上面からの段差T2が、第1の段差部25eの回転テーブル2dの上面からの段差T1より大きくなるように、すなわちT2>T1となるように設けることができる。段差T1、T2の値は、特に限定されるものではないが、一例として、それぞれ3mm程度、6mm程度とすることができる。
なお、第1及び第2の段差部25e、25fは、回転テーブル2dの回転方向に沿って互いに前後に近い場所に設けられてもよい。また、第1及び第2の段差部25e、25fは、回転テーブル2dの上面から段差T1、T2で上方に突出した凸部であってもよい。更に、第1及び第2の段差部25e、25fが凹部、凸部のいずれかによらず、段差T1、T2の間に大小関係があればよく、T2<T1とすることも可能である。
レーザセンサ8bが、回転テーブル2dの被検知部25dを検知できるように、図23及び図24に示されるように、回転テーブル2dの上面の周縁から上側の位置に設けられるのは、第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態と同様に、レーザセンサ8bは、図23及び図24に示されるように、真空容器1の天板11の上側に設けられ、真空容器1の天板11において、回転テーブル2dの回転軸に平行にレーザセンサ8bを投影した位置に、入射窓17が設けられる。また、レーザセンサ8bは、真空容器1の外部に設けられるのに限定されるものではなく、真空容器1の内部に設けられることもできる。
また、レーザセンサ8bは、図示しないレーザ光を発光する発光素子及び図示しないレーザ光を受光する受光素子を内蔵するが、第1の実施の形態と相違し、被測定物との距離を測定する機能を有するものである。レーザセンサ8bの距離を測定する方式については、特に限定されるものではなく、例えば、入射光と反射光の位相差を測定することによって距離を測定する方式等を用いることができる。その他、距離を測定することができるものであれば、レーザセンサ8bとしていずれの方式のものを用いてもよい。
次に、図13、図26及び図27を参照し、本変形例に係る成膜装置を用いた成膜方法について説明する。図26は、本変形例に係る成膜装置の位置補正工程の手順を説明する工程図である。また、図27(a)乃至図27(c)は、本変形例に係る成膜装置の位置補正工程におけるレーザセンサ及び回転テーブルの状態を模式的に示す断面図である。
本変形例に係る成膜装置を用いた成膜方法のうち、位置補正工程以外の工程は、第1の実施の形態に係る成膜装置と同様であり、図13に示す成膜方法と同様の手順で行うことができる。すなわち、図13のステップS11乃至ステップS21に示される工程のうち、ステップS12乃至ステップS19及びステップS21については、第1の実施の形態と同様にして行うことができる。ステップS12は、回転テーブル2dに基板を載置する載置工程である。ステップS13は、回転テーブル2dを回転させる回転工程である。ステップS14乃至ステップS17は、回転テーブル2dを下側から加熱し、第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32の各々から第1の反応ガス及び第2の反応ガスを供給し、第1の分離ガス供給部41、42から加熱された第1の分離ガスを供給し、回転テーブル2dの回転に伴って基板を移動させ、基板の表面への第1の反応ガスの供給、第1の反応ガスの停止、第2の反応ガスの供給及び第2の反応ガスの停止を繰り返して薄膜を成膜する成膜工程である。ステップS18及びステップS19は、第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32からの第1の反応ガス及び第2の反応ガスの供給を停止し、基板の加熱を停止し、各分離ガスの供給を停止し、回転テーブル2dの回転を停止する成膜停止工程である。ステップS21は、基板を搬送アームにより搬出する搬出工程である。
一方、本変形例において、図13のステップS11及びステップS20である第1及び第2の位置補正工程については、第1の実施の形態における位置補正工程と方法が異なる。すなわち、本変形例における位置補正工程は、図26に示すように、ステップS31乃至ステップS36の工程を有する。また、本変形例における位置補正工程は、回転テーブル2dを高速で回転させた状態で第1の段差部25eを用いて回転位置を粗決めし、次に回転テーブル2dを低速で回転させた状態で第2の段差部25fを用いて回転位置を精密に決定するものである。
始めに、ステップS31を行う。ステップS31は、所定の回転速度Vで回転テーブル2dを回転させる工程である。ステップS31における回転テーブル2dの回転速度Vを、第1の回転速度V1とする。V1の値としては、特に限定されるものではないが、例えば1rpm程度とすることができる。そして、V1の値を1rpm程度とする場合、第1の段差部25eの回転方向の長さは、例えば30mm程度とすることができる。
次に、ステップS32を行う。ステップS32は、レーザセンサ8bにより回転テーブル2dの第1の段差部25eを検知したか否かの判定を行う工程である。具体的には、レーザセンサ8bによりレーザセンサ8bと回転テーブル2dの表面との距離を測定し、測定した距離が、回転テーブル2dの上面における所定の値から、段差T1に対応して予め設定したきい値を超えて変化しているか否かを判定する。判定の結果、回転テーブル2dの第1の段差部25eを検知していなければ、再びレーザセンサ8bによるレーザセンサ8bと回転テーブル2dの表面との距離の測定及び判定を繰り返す。
図27(a)は、回転テーブル2dが回転速度V=V1で回転しており、レーザセンサ8bからの入射光が第1の段差部25eの手前の回転テーブル2dの上面に入射されており、ステップS32の判定の結果、回転テーブル2dの第1の段差部25eを検知したと判定していない状態を示す。
ステップS32の判定の結果、回転テーブル2dの第1の段差部25eを検知したと判定した場合、ステップS33に進む。ステップS33は、回転テーブル2dを第1の回転速度V1から減速する工程である。減速した後の回転速度を第2の回転速度V2とすると、ステップS33は、第1の回転速度V1よりも遅い第2の回転速度V2で回転テーブル2dを回転させる工程である。すなわち、V2<V1である。V2の値としては、特に限定されるものではないが、例えば0.1rpm程度とすることができる。そして、V2の値を0.1rpm程度とする場合、第2の段差部25fの回転方向の長さは、例えば10mm程度とすることができる。
次に、ステップS34を行う。ステップS34は、レーザセンサ8bにより回転テーブル2dの第2の段差部25fを検知したか否かの判定を行う工程である。具体的には、レーザセンサ8bによりレーザセンサ8bと回転テーブル2dの表面との距離を測定し、測定した距離が、回転テーブル2dの上面における所定の値から、段差T2に対応して予め設定したしきい値を超えて変化しているか否かを判定する。あるいは、測定した距離が、第1の段差部25eを検知したときの値から、段差T2−T1に対応して予め設定したしきい値を超えて変化しているか否かを判定してもよい。判定の結果、回転テーブル2dの第2の段差部25fを検知していなければ、再びレーザセンサ8bによるレーザセンサ8bと回転テーブル2dの表面との距離の測定及び判定を繰り返す。
図27(b)は、回転テーブル2dが回転速度V=V2で回転しており、レーザセンサ8bからの入射光が第2の段差部25fの手前の第1の段差部25eに入射されており、ステップS34の判定の結果、回転テーブル2dの第2の段差部25fを検知したと判定していない状態を示す。
ステップS34の判定の結果、回転テーブル2dの第2の段差部25fを検知したと判定した場合、ステップS35に進む。ステップS35は、回転テーブル2dを停止する工程である。回転テーブル2dの回転速度Vは、V=0になる。
図27(c)は、回転テーブル2dが停止(V=0)しており、レーザセンサ8bからの入射光が第2の段差部25fに入射されている状態を示す。
次に、ステップS36を行う。ステップS36は、停止したときの回転位置を基準として回転テーブル2dの位置補正を行う工程である。ステップS31からステップS35を行うことにより、回転テーブル2dは、再現性よく、所定の位置で停止する。従って、例えばこの角度位置を0度とすることにより、回転テーブル2dの回転角を再現性よく補正することができる。
なお、ステップS34の判定の結果、回転テーブル2dの第2の段差部25fを検知したと判定するのと略同時にステップS36の位置補正ができるのであれば、ステップS35において、回転テーブル2dの回転を停止させなくてもよい。
本変形例に係る成膜装置によれば、真空容器内の状態に関わらず、外部から回転角度を監視し、位置決めを行うことができる。また、高速(V=V1)で回転させながら第1の段差部を用いて回転テーブルの回転位置を粗決めした後、低速(V=V2<V1)で回転させながら第2の段差部を用いて回転テーブルの回転位置を精密に位置決めすることができる。従って、位置補正工程に要する時間を短縮するとともに、位置決めを精密に行うことができる。
なお、被検知部である第1及び第2の段差部は、第1の実施の形態の第1の変形例と同様に、回転テーブルの側周面に設けられてもよい。この場合、レーザセンサは、真空容器の容器本体の側周面の外側に設けることができる。また、真空容器の容器本体の側周面において、回転テーブルの回転中心に向けてレーザセンサを投影した位置に、入射窓を設けることができる。入射窓の位置は、例えば、第1の実施の形態の第1の変形例において図15及び図16を用いて説明したような位置にすることができる。
また、被検知部である第1及び第2の段差部は、第1の実施の形態の第2の変形例と同様に、回転テーブルの下面に設けられてもよい。この場合、レーザセンサは、真空容器の底面部の下側に設けることができる。また、真空容器の底面部において、回転テーブルの回転軸に平行にレーザセンサを投影した位置に、入射窓を設けることができる。入射窓の位置は、例えば、第1の実施の形態の第2の変形例において図17及び図18を用いて説明したような位置にすることができる。
また、第1及び第2の段差部を備えた上で、次の第1の実施の形態の第6の変形例で説明するような、回転テーブルの回転軸の回転を検出するキッカーとフォトセンサを、更に設けてもよい。このとき、キッカーとフォトセンサは、レーザセンサが第1の段差部を検知する前に予め検知できるように設けることができる。予めキッカーとフォトセンサを併用することにより、位置補正工程において、最初に第1の回転速度V1より速い回転速度である予備回転速度V0で回転させることができる。これにより、位置補正工程に要する時間を更に短縮することができる。
(第1の実施の形態の第6の変形例)
次に、図13、図28乃至図32を参照し、本発明の第1の実施の形態の第6の変形例に係る成膜装置を説明する。
始めに、図28乃至図30を参照し、本変形例に係る成膜装置について説明する。図28は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。図29は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、位置検知手段及び被検知部の配置の関係を説明するための斜視図である。図30は、本変形例に係る成膜装置の回転テーブルの被検知部付近の拡大図である。図30(a)は平面図であり、図30(b)は回転テーブルの回転方向に沿う断面図である。
本変形例に係る成膜装置は、回転テーブルの周縁に設けられた被検知部と被検知部に対応して設けられた位置検知手段の他に、回転テーブルの回転軸に設けられたキッカーと、キッカーに対応して真空容器内に設けられたフォトセンサを有する点で、第1の実施の形態の第5の変形例に係る成膜装置と相違する。
図28を参照するに、第1の実施の形態の第5の変形例において、回転テーブルの周縁部に設けられた2つの被検知部と被検知部に対応して設けられた位置検知手段とを備えるのと相違し、本変形例においては、回転テーブル2eの周縁に1つの被検知部として段差部25gが設けられ、回転テーブル2eの回転軸22にもう1つの被検知部としてキッカー25hが設けられ、キッカー25hに対応して、真空容器1内にフォトセンサ8cが設けられる。
本変形例に係る成膜装置は、図28及び図29に示すように、披検知部及び位置検知手段以外の構成は、第1の実施の形態の第5の変形例に係る成膜装置と同様である。一方、本変形例に係る成膜装置において、披検知部及び位置検知手段の構成は、第1の実施の形態の第5の変形例と異なる。
回転テーブル2eについては、真空容器1の中心に回転中心を有するように設けられ、ケース体20、20a、コア部21、回転軸22、駆動体23、凹部24、を備えるのは、第1の実施の形態の第5の変形例と同様である。
一方、被検知部については、第1の実施の形態の第5の変形例において回転テーブルが互いに異なる段差を有する2つの段差部を備えるのと相違し、本変形例では、回転テーブル2eの周縁には、1つの段差部25gのみを備える。また、第1の実施の形態の第5の変形例で回転テーブルの周縁に設けられていたもう1つの段差部に代え、本変形例では、図28に示すように、回転テーブル2eの回転軸22にキッカー25hが設けられ、キッカー25hに対応してフォトセンサ8cが設けられる。
段差部25gは、第1の実施の形態の第5の変形例と同様に、レーザセンサ8bと回転テーブル2eとの距離を測定するための部分である。従って、段差部25gは、図30(a)及び図30(b)に示すように、回転テーブル2eの上面から所定の段差T3で形成された平らな底面を有する凹部である。
レーザセンサ8bが、回転テーブル2eの被検知部25eを検知できるように、図28及び図29に示すように、回転テーブル2eの上面の周縁から上側の位置に設けられるのは、第1の実施の形態の第5の変形例と同様である。また、レーザセンサ8bが、被測定物との距離を測定する機能を有するものであることも、第1の実施の形態の第5の変形例と同様である。
一方、キッカー25hとフォトセンサ8cは、以下のように設けられる。回転テーブル2eの下方に取り付けられた回転軸22から離れ固定された場所である真空容器1の容器本体12の内壁に、回転軸22に平行な光を各々発光及び受光することが可能な一組のLED81a及びフォトダイオード82aを設け、フォトセンサ8cとする。また、回転軸22が一回転する間に、LED81aから発光された光がフォトダイオード82aに受光されるのを一回遮ることが可能なように、キッカー25hを回転軸22の側周面に設ける。更に、キッカー25hは、回転テーブル2eの回転方向に沿って、フォトセンサ8cがキッカー25hを検知した後に、レーザセンサ8bが段差部25gを検知するように設けることができる。
なお、LED81a、フォトダイオード82a及びキッカー25hのそれぞれは、本発明における発光素子、受光素子及び遮光部のそれぞれに相当する。
次に、図13、図31及び図32を参照し、本変形例に係る成膜装置を用いた成膜方法をについて説明する。図31は、本変形例に係る成膜装置の位置補正工程の手順を説明する工程図である。また、図32(a)乃至図32(c)は、本変形例に係る成膜装置の位置補正工程における位置検知手段及び被検知部の状態を模式的に示す一部断面を含む図である。図32(a)乃至図32(c)の各図において、左側がレーザセンサ8b及び回転テーブル2eの状態を示し、右側がキッカー25h及びフォトセンサ8cの状態を示す。
本変形例に係る成膜装置を用いた成膜方法のうち、位置補正工程以外の工程は、第1の実施の形態に係る成膜装置と同様であり、図13に示す成膜方法と同様の手順で行うことができる。
一方、本変形例において、図13のステップS11及びステップS20である第1及び第2の位置補正工程については、第1の実施の形態における位置補正工程と方法が異なる。すなわち、本変形例における位置補正工程は、図31に示すように、ステップS41乃至ステップS46の工程を有する。また、本変形例における位置補正工程は、回転テーブル2eを高速で回転させた状態でキッカー25h及びフォトセンサ8cを用いて回転位置を粗決めし、次に回転テーブル2eを低速で回転させた状態で段差部25g及びレーザセンサ8bを用いて回転位置を精密に決定するものである。
始めに、ステップS41を行う。ステップS41は、所定の回転速度Vで回転テーブル2eを回転させる工程である。ステップS41における回転テーブル2eの回転速度Vを、第1の回転速度V1とする。V1の値としては、特に限定されるものではないが、例えば1rpm程度とすることができる。
次に、ステップS42を行う。ステップS42は、フォトセンサ8cによりキッカー25hを検知したか否かの判定を行う工程である。具体的には、フォトセンサ8cのフォトダイオード82aの受光量を測定し、LED81aとフォトダイオード82aとの間がキッカー25hで遮られていない状態でのフォトセンサ8cの受光量の値から、LED81aとフォトダイオード82aとの間がキッカー25hで遮られている状態に対応して予め設定したしきい値を超えて受光量が変化しているか否かを判定する。判定の結果、キッカー25hをフォトセンサ8cにより検知していなければ、再びフォトセンサ8cのフォトダイオード82aの受光量の測定及び判定を繰り返す。
図32(a)は、回転テーブル2eが回転速度V=V1で回転しており、レーザセンサ8bからの入射光が段差部25gの手前の回転テーブル2eの上面に入射されており、キッカー25hがフォトセンサ8cのLED81aとフォトダイオード82aの間を遮っておらず、ステップS42の判定の結果、キッカー25hをフォトセンサ8cにより検知したと判定していない状態を示す。
ステップS42の判定の結果、キッカー25hをフォトセンサ8cにより検知したと判定した場合、ステップS43に進む。ステップS43は、回転テーブル2eを第1の回転速度V1から第2の回転速度V2(<V1)に減速する工程である。
次に、ステップS44を行う。ステップS44は、レーザセンサ8bにより回転テーブル2eの段差部25gを検知したか否かの判定を行う工程である。具体的には、レーザ8bによりレーザセンサ8bと回転テーブル2eとの表面との距離を測定し、測定した距離が、所定の回転テーブル2eの上面における所定の値から、段差T3に対応して予め設定したしきい値を超えて変化しているか否かを判定する。判定の結果、回転テーブル2eの段差部25gを検知していなければ、再びレーザセンサ8bによるレーザセンサ8bと回転テーブル2eの表面との距離の測定及び判定を繰り返す。
図32(b)は、回転テーブル2eが回転速度V=V2で回転しており、レーザセンサ8bからの入射光が段差部25gの手前の回転テーブル2eの上面に入射されており、キッカー25hがフォトセンサ8cのLED81aとフォトダイオード82aの間を遮っており、ステップS44の判定の結果、回転テーブル2eの段差部25gを検知したと判定していない状態を示す。
ステップS44の判定の結果、回転テーブル2eの段差部25gを検知したと判定した場合、ステップS45に進む。ステップS45は、回転テーブル2eを停止する工程である。回転テーブル2eの回転速度Vは、V=0になる。
図32(c)は、回転テーブル2eが停止(V=0)しており、レーザセンサ8bからの入射光が段差部25gに入射されており、キッカー25hがフォトセンサ8cのLED81aとフォトダイオード82aの間を遮っている状態を示す。
次に、ステップS46を行う。ステップS46は、停止したときの回転位置を基準として回転テーブル2eの位置補正を行う工程である。ステップS41からステップS45を行うことにより、回転テーブル2eは、再現性よく、所定の位置で停止する。従って、例えばこの角度位置を0度とすることにより、回転テーブル2eの回転角を再現性よく補正することができる。
なお、ステップS44の判定の結果、回転テーブル2eの段差部25gを検知したと判定するのと略同時にステップS46の位置補正ができるのであれば、ステップS45において、回転テーブル2eの回転を停止させなくてもよい。
本変形例に係る成膜装置によれば、高速(V=V1)で回転させながら回転テーブルの回転軸に設けられたキッカー及びフォトセンサを用いて回転テーブルの回転位置を粗決めした後、低速(V=V2<V1)で回転させながら段差部及びレーザセンサを用いて回転テーブルの回転位置を精密に位置決めすることができる。従って、位置補正工程に要する時間を短縮するとともに、位置決めを精密に行うことができる。
なお、被検知部である段差部は、第1の実施の形態の第5の変形例で説明したのと同様に、回転テーブルの側周面又は下面に設けられてもよい。この場合、レーザセンサは、真空容器の容器本体の側周面の外側又は底面部の下側に設けることができる。また、真空容器の容器本体の側周面又は底面部において、入射窓を設けることができる。
また、本変形例では、キッカー及びフォトセンサは真空容器1の容器本体12と連通するケース体20、20a内に設けられている。しかしながら、回転軸22の下方側を収容するケース体20、20aが真空容器1の容器本体12と気密可能に連通していなくてもよく、キッカー及びフォトセンサが真空容器1の容器本体12と気密可能に連通していないケース体20、20a内に設けられていてもよい。あるいは、回転軸22がケース体20、20aの更に下方側であって真空容器1の外側に延長され、キッカー及びフォトセンサが、回転軸22の真空容器1の外側に延長された部分に設けられていてもよい。
(第1の実施の形態の第7の変形例)
次に、図33を参照し、本発明の第1の実施の形態の第7の変形例に係る成膜装置を説明する。
図33は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、第3の下面部における天板の形状の他の例を示す縦断面図である。
本変形例に係る成膜装置は、第3の空間Dにおける天板11の内部に第1の分離ガスの通流室47が回転テーブル2の半径方向に形成される点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図33を参照するに、第1の実施の形態において、第1の分離ガス供給部の両側に第3の下面部が配設されるよう、第1の分離ガス供給部に対応した部分に溝が形成されるのと相違し、本変形例においては、第3の空間Dにおける真空容器1の天板11の内部に第1の分離ガスの通流室47が回転テーブル2の半径方向に形成され、通流室47の底部に長さ方向に沿って多数のガス吐出孔40が穿設される。
従って、通流室47の他に、第1の分離ガス供給部を新たに設ける必要がなく、第1の実施の形態と同様な効果を得ることができると共に部品点数を減らすことができる。
(第1の実施の形態の第8の変形例)
次に、図34(a)乃至図34(c)を参照し、本発明の第1の実施の形態の第8の変形例に係る成膜装置を説明する。
図34(a)乃至図34(c)は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、第3の下面部における天板の下面の形状の他の例を示す縦断面図である。
本変形例に係る成膜装置は、第3の空間Dにおける第3の下面部が曲面である点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図34(a)乃至図34(c)を参照するに、第1の実施の形態において、第1の分離ガス供給の両側における第3の下面部は平面であるのと相違し、本変形例においては、第1の分離ガス供給部41(42)の両側における第3の下面部44は曲面である。
第3の下面部44は、第1の反応ガス及び第2の反応ガスを分離することができるのであれば、第1の実施の形態にように平面である場合に限られるものではなく、図34(a)に示されるように凹面でもよく、図34(b)に示されるように凸面でもよく、図34(c)に示されるように波型形状でもよい。例えば、図34(a)に示されるように凹面である場合、第3の下面部44が第1の下面部45又は第2の下面部45aと隣接する端部において、回転テーブル2から第3の下面部44までの高さを低くすることができるため、第3の下面部44への第1の反応ガス及び第2の反応ガスの侵入をより効率良く阻止することができる。また、例えば、図34(b)に示されるように凸面である場合、凸面の頂点に対応する第3の下面部44において、回転テーブル2から第3の下面部44までの高さを低くすることができるため、第3の下面部44への第1の反応ガス及び第2の反応ガスの侵入をより効率良く阻止することができる。また、例えば、図34(c)に示されるように波型形状である場合、図34(b)に示されるような凸面の頂点を複数設けることに対応するため、第3の下面部44への第1の反応ガス及び第2の反応ガスの侵入をより効率良く阻止することができる。
なお、第3の下面部44は、天板11の下面であるが、天板11とは別の部材の下面を上記の形状とし、天板11に取付ける構成を有することも可能である。
(第1の実施の形態の第9の変形例)
次に、図35A(a)乃至図35A(c)を参照し、本発明の第1の実施の形態の第9の変形例に係る成膜装置を説明する。
図35A(a)乃至図35A(c)は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、第1の反応ガス供給部のガス吐出孔の形状の他の例を示す底面図である。また、図35B(d)乃至図35B(g)は、本変形例に係る成膜装置を説明するための図であり、第3の下面部の形状の他の例を示す底面図である。なお、図35A(a)乃至図35A(c)においては、第3の下面部44及び吐出孔33の配置位置が図示される。
本変形例に係る成膜装置は、第1の分離ガス供給部に形成される吐出孔が、回転テーブル2の周縁から回転中心に直線状に配列されない点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図35A(a)乃至図35A(c)を参照するに、第1の分離ガス供給部に形成される吐出孔33が、回転テーブル2の周縁から回転中心に直線状に並ぶように配置されるのと相違し、本変形例においては、回転テーブル2の周縁から回転中心に直線状に並ぶように配置されない。
吐出孔33は、基板に対して第1の分離ガスを均一に供給することができるのであれば、第1の実施の形態のように回転テーブル2の周縁から回転中心に直線状に並ぶように配置されるのに限定されるものではなく、以下のように配置されてもよい。
図35A(a)に示されるように、回転テーブル2の直径に対して斜めに向いた矩形形状を有するスリットからなる多数の吐出孔33が、直径方向に所定の間隔をおいて配置される。また、図35A(b)に示されるように、多数の円形形状を有する吐出孔33が蛇行するように配置される。また、図35A(c)に示されるように、多数の円弧形状を有するスリットからなる吐出孔33が回転テーブル2の回転中心に対し同心に配置される。
また、第3の下面部44は中空であって良く、中空内に第1の分離ガスを導入するように構成しても良い。この場合も、複数のガス吐出孔33を、図35A(a)、図35A(b)、図35A(c)に示すように配列することができる。
また、本変形例では、第3の下面部44はほぼ扇形の上面形状を有するが、図35B(d)に示す長方形、又は正方形の上面形状を有して良い。また、第3の下面部44は、図35B(e)に示すように、上面は全体として扇形であり、凹状に湾曲した側面44Scを有していても良い。加えて、第3の下面部44は、図35B(f)に示すように、上面は全体として扇形であり、凸状に湾曲した側面44Svを有していても良い。さらにまた、図35B(g)に示すとおり、第3の下面部44の回転テーブル2(図1)の回転方向の上流側の部分が凹状の側面44Scを有し、第3の下面部44の回転テーブル2(図1)の回転方向の下流側の部分が平面状の側面44Sfを有していても構わない。なお、図35B(d)から図35B(g)において、点線は第3の下面部44に形成された溝部43(図4(a)、図4(b))を示している。これらの場合、溝部43に収容される第1の分離ガス供給部41、42(図2)は真空容器1の中央部、例えば突出部53(図1)から伸びる。
このように吐出孔33が配置されることによって、第3の下面部44において第1の分離ガスがより均一に供給されるため、第3の下面部44への第1の反応ガス及び第2の反応ガスの侵入をより効率良く阻止することができる。
(第1の実施の形態の第10の変形例)
次に、図36を参照し、本発明の第1の実施の形態の第10の変形例に係る成膜装置を説明する。
図36は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す横断平面図である。また、図36は、真空容器1の天板11が分離された状態における平面図である。
本変形例に係る成膜装置は、第2の反応ガス供給部が搬送口よりも回転テーブルの回転方向上流側に設けられる点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図36を参照するに、第1の実施の形態において、第2の反応ガス供給部が搬送口よりも回転テーブルの回転方向下流側に設けられるのと相違し、本変形例においては、第2の反応ガス供給部32が搬送口15よりも回転テーブル2の回転方向上流側に設けられる。
このようなレイアウトであっても、第1の反応ガスと第2の反応ガスをより効率良く分離することができると共に、第1の分離ガスの第1の下面部45及び第2の下面部45aへの侵入を阻止することができるため、第1の下面部45及び第2の下面部45aにおいて、各々第1の反応ガス及び第2の反応ガスをより効率良くウェハに供給することができる。
(第1の実施の形態の第11の変形例)
次に、図37を参照し、本発明の第1の実施の形態の第11の変形例に係る成膜装置を説明する。
図37は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す横断平面図である。図37は、第1の下面部45及び第2の下面部45aよりも低く、第1の分離ガス供給部41、42よりも高い位置で、真空容器1の天板11を水平に切断して示している。
本変形例に係る成膜装置は、第3の下面部が周方向に2つに分割され、その間に第1の分離ガス供給部が設けられる点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図37を参照するに、第1の実施の形態において、第3の下面部の全ての部分で回転テーブルから天板の下面までの高さが同じであるのと相違し、本変形例においては、第1の分離ガス供給部41、42を含み、回転テーブル2から第3の高さH3より高く設けられる第3の下面部44aと、第3の下面部44aに隣接し、回転テーブルから第3の高さH3に設けられる第3の下面部44bとを備える。
このような領域を設けることによって、第1の反応ガスと第2の反応ガスをより効率良く分離することができると共に、第1の分離ガスの第1の下面部45及び第2の下面部45aへの侵入を阻止することができるため、第1の下面部45及び第2の下面部45aにおいて、各々第1の反応ガス及び第2の反応ガスをより効率良くウェハに供給することができる。
なお、第3の下面部44bと第1の分離ガス供給部41、42との距離や、第3の下面部44bの形状及び大きさは、第1の反応ガス、第2の反応ガス及び第1の分離ガスの吐出流量等を考慮して最適に設計することができる。
(第1の実施の形態の第12の変形例)
次に、図38を参照し、本発明の第1の実施の形態の第12の変形例に係る成膜装置を説明する。
図38は、本変形例に係る成膜装置を模式的に示す斜視図である。
本変形例に係る成膜装置は、第2の下面部に代え、第6の下面部と第7の下面部とを備える点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図38を参照するに、第1の実施の形態において、第2の下面部の全ての部分で回転テーブルから真空容器の天板の下面までの高さが同じであるのと相違し、本変形例においては、第2の下面部に代え、第2の反応ガス供給部32を含み、回転テーブル2から第2の高さH2より低く設けられる第6の下面部45bと、第6の下面部45bに隣接し、回転テーブル2から第2の高さH2に設けられる第7の下面部45aとを備える。
従って、第6の下面部45bは、第1の分離ガス供給部41又は42の代わりに第2の反応ガス供給部32を設けた以外は、第3の下面部44と全く同様である。
このように、第6の下面部45bを設けることによって、第1の反応ガスと第2の反応ガスをより効率良く分離することができると共に、第1の分離ガス及び第1の反応ガスの第6の下面部45bへの侵入を阻止することができるため、第6の下面部45bにおいて、第2の反応ガスをより効率良くウェハに供給することができる。
なお、第6の下面部45bは、図35A(a)から図35A(c)に一例を示す中空の第3の下面部44と同様に構成されても良い。
また、本変形例では、第2の下面部に代え、第6の下面部と第7の下面部とを備えるが、第1の下面部に代え、第1の反応ガス供給部を含み、回転テーブルから第1の高さH1より低く設けられる第4の下面部と、第4の下面部に隣接し、回転テーブルから第1の高さH1に設けられる第5の下面部とを備えることもできる。第4の下面部を設けることによっても、第1の反応ガスと第2の反応ガスをより効率良く分離することができると共に、第1の分離ガス及び第1の反応ガスの第4の下面部への侵入を阻止することができるため、第4の下面部において、第1の反応ガスをより効率良くウェハに供給することができる。
(第1の実施の形態の第13の変形例)
次に、図39を参照し、本発明の第1の実施の形態の第13の変形例に係る成膜装置を説明する。
図39は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す横断平面図である。また、図39は、真空容器の天板が分離された状態における平面図である。
本変形例に係る成膜装置は、第1の反応ガス供給部及び第2の反応ガス供給部の両側にも低い天井が設けられる点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図39を参照するに、第1の実施の形態において、第1の分離ガス供給部の両側に狭隘な空間を形成するために第1の下面部及び第2の下面部より低い天井面である第3の下面部が設けられるのと相違し、本変形例においては、第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32の両側にも第3の下面部と同様に低い天井面である第3の下面部44c〜44fが設けられ、これら第3の下面部44c〜44fが連続する構成を有する。
図39に示されるように、第1の分離ガス供給部41(42)、第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32が設けられる領域以外は、回転テーブル2に対向する領域全面において、第3の下面部が設けられる構成を有する。この構成は、別の見方をすれば、第1の分離ガス供給部41(42)の両側の第3の下面部44が第1及び第2の反応ガス供給部31、32まで広がった例である。この場合には、第1の分離ガス供給部41(42)の両側に第1の分離ガスが拡散し、第1の反応ガス供給部31及び第2の反応ガス供給部32の両側に第1の反応ガス及び第2の反応ガスが拡散し、両ガスが第3の下面部44c〜44fの下方側であって第3の下面部44c〜44fと回転テーブル2との間の空間(狭隘な空間)にて合流するが、これらのガスは第1(第2)の反応ガス供給部31(32)と第1の分離ガス供給部42(41)との間に位置する排気口61(62)から排気される。このように、本変形例においても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、第3の下面部44c〜44fは、図35A(a)から図35A(c)のいずれかに示す中空の下面部を組合わせることにより構成し、第1の反応ガス供給部31、第2の反応ガス32、第1の分離ガス供給部41、42を用いずに、第1の反応ガス、第2の反応ガス及び分離ガスを、対応する中空の第3の下面部44c〜44fの吐出孔33からそれぞれガスを吐出するようにしても良い。
(第1の実施の形態の第14の変形例)
次に、図40を参照し、本発明の第1の実施の形態の第14の変形例に係る成膜装置を説明する。
図40は、本変形例に係る成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
本変形例に係る成膜装置は、真空容器の中心部において真空容器の底面部と天板との間に支柱を介在させて反応ガスの混合を防止する点で、第1の実施の形態に係る成膜装置と相違する。
図40を参照するに、第1の実施の形態において、回転テーブルの回転軸は真空容器の中心部に設けられ、回転テーブルの中心部と天板との間の空間に分離ガスがパージされるのと相違し、本変形例においては、真空容器1の中央領域の上面に凹部80aが形成され、真空容器1の中心部において収容空間80の底部と凹部80aの上面との間に支柱81bが設けられる。
図40に示されるように、真空容器1の中央領域の底面部14が下方側に突出され、駆動部の収容空間80が形成されると共に、真空容器1の中央領域の上面に凹部80aが形成され、真空容器1の中心部において収容空間80の底部と凹部80aの上面との間に支柱81bを介在させることによって、第1の反応ガス供給部31からのBTBASガスと第2の反応ガス供給部32からのO3ガスとが中心部を介して混ざり合うことを防止している。
回転テーブル2を回転させる機構については、支柱81bを囲むように回転スリーブ82bを設け、この回転スリーブ82bに沿ってリング状の回転テーブル2を設けている。そして収容空間80にモータ83により駆動される駆動ギヤ部84、85を設け、この駆動ギヤ部84、85により、回転スリーブ82bを回転させるようにしている。86、87及び88は軸受け部である。また収容空間80の底部に第3の分離ガスを供給する第3の分離ガス供給部72を接続すると共に、凹部80aの側面と回転スリーブ82bの上端部との間の空間に第2の分離ガスを供給するための第2の分離ガス供給部51を真空容器1の上部に接続している。図40では、凹部80aの側面と回転スリーブ82bの上端部との間の空間に第2の分離ガスを供給するための開口部51aは、左右2箇所に記載してあるが、回転スリーブ82bの近傍領域を介してBTBASガスとO3ガスとが混じり合わないようにするために、開口部51a(第2の分離ガス供給部51)の配列数を設計することが好ましい。
また、図40の変形例では、回転テーブル2側から見ると、凹部80aの側面と回転スリーブ82bの上端部との間の空間は分離ガス吐出孔に相当し、そしてこの分離ガス吐出孔、回転スリーブ82b及び支柱81bにより、真空容器1の中心部に位置する中心部領域Cが構成される。
(第2の実施の形態)
次に、図41を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る基板処理装置を説明する。
図41は本実施の形態に係る基板処理装置の構成を模式的に示す平面図である。
図41に示されるように、本実施の形態に係る基板処理装置は、搬送容器101、大気搬送室102、搬送アーム103、ロードロック室(本発明における予備真空室に該当する)104、105、真空搬送室106、搬送アーム107、成膜装置108、109を備える。
搬送容器101は、例えば25枚のウェハを収納するフープと呼ばれる密閉型の搬送容器である。大気搬送室102は、搬送アーム103が配置される大気搬送室である。ロードロック室104、105は、大気雰囲気と真空雰囲気との間で雰囲気が切換え可能である。真空搬送室106は、2基の搬送アーム107が配置された真空搬送室である。成膜装置108、109は、本発明の第1の実施の形態に係る成膜装置である。
搬送容器101は、図示しない載置台を備えた搬入搬出ポートに外部から搬送され、設置される。搬送容器101が設置された後、図示しない開閉機構により大気搬送室102の蓋が開けられ、搬送アーム103によって搬送容器101内からウェハが取出される。搬送容器101内から取出されたウェハは、ロードロック室104又は105内に搬入される。次に、ロードロック室104又は105の内部が大気雰囲気から真空雰囲気に切り換えられる。次に、搬送アーム107によってウェハがロードロック室104又は105から取出され、成膜装置108又は109に搬入される。その後、成膜装置108又は109において、既述した成膜方法を行うことにより、成膜処理が施される。
本実施の形態では、本発明の第1の実施の形態に係る例えば5枚処理用の成膜装置を複数個例えば2個備えることにより、ALD又はMLDの成膜処理を高いスループットで実施することが可能である。
また、本実施の形態では、本発明の第1の実施の形態に係る成膜装置108、109を用いるため、成膜装置において、回転テーブルの周縁に設けられた被検知部及び被検知部を検知するための位置検知手段を備えることにより、回転テーブルの回転位置を位置精度良く検知及び補正することができ、真空容器の外部との間で基板の搬入出を確実に行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。