図1は、本発明の概略全体構成例を正面方向から見た説明図を、図2は、図1に示す例を右側面方向から見た説明図をそれぞれ示す。
  これらの図によれば、その全体は、洗浄対象物である多数個のコインCが投入されるホッパ12と、該ホッパ12内のコインCを所定量毎に仕分けて次段に供給する供給量規制機構22と、該供給量規制機構22から送り樋32を介して供給される所定量のコインCをその内周面に沿わせて各別に起立させた状態のもとで支持する回転水車42と、該回転水車42の下側部を浸漬させて起立支持されているコインCを洗浄液L中で超音波洗浄する超音波洗浄槽52と、回転水車42の回転に伴い洗浄液L中から引き上げられたコインCが自然落下するのを受け取る受け樋35と、該受け樋35を介して送り込まれるコインCをその搬送始端62a側にて受け取る前上がりの無端搬送ベルト62と、該無端搬送ベルト62の搬送始端62a寄りの上方に位置させて搬送開始直後のコインCに対し水を注ぐシャワー機構72と、無端搬送ベルト62を経てその搬送終端62b側から送り込まれるコインCの付着液滴を除去する除液機構82とを少なくとも装置本体12に備えて構成されている。
  このうち、ホッパ12は、コインCが投入される上面開口部13と、該上面開口部13から投入されたコインCを滑落させる斜板部14と、該斜板部14を経て下面側に集まったコインC群を次段側へと送り出す筒状の送出口15とを備えて形成されている。
  供給量規制機構22は、図3に示すように、接続された送出口15から送り込まれるコインC群を斜め下方に案内する送り筒部23と、該送り筒部23内に収容されてモータM1により回転駆動される仕分け部24とで構成されている。
  この場合、仕分け部24は、図4に示すように、モータM1の図示しない回転軸に連結される回転支軸25と、該回転支軸25の軸方向に所要間隔を置いてその開放端部25a側の軸周りに形成されたコイン導入壁26と、該コイン導入壁26と所要間隔をおいて導入されたコインCを貯留させるためにその軸周りに形成された仕切り壁27とを備えている。
  また、コイン導入壁26は、ホッパ12側から送り込まれたコインC群を所定量ずつ導入するために等間隔に設けられた4個の切欠導入溝26aを備えている。
  さらに、コイン導入壁26と仕切り壁27との間に位置する回転支軸25には、その軸周りに等間隔に形成されて4つのストック空間29に仕切る隔壁28が切欠導入溝26aとは対面しない位置に各別に設けられている。
  しかも、送り筒部23は、回転時に上側に確保されるある1つのストック空間29と側面にて対面する部位に、この1つのストック空間29内にあるコインCを送り樋32を介して後段に送り出すための供給口23aを備えている。
  回転水車42は、図4に示すように、コインCの外径よりも小径な多数個の透孔43aがその周面に設けられた円筒状を呈する水車本体部43と、該水車本体部44の一側開口面側を覆う遮蔽板45と、他側開口面側に位置してコインCの落ちこぼれを防ぐ障壁部46と、水車本体部43の内周面の幅方向に等間隔に立設された多数個の仕切り壁47とを備えて形成されている。
  この場合、隣り合う仕切り壁47,47は、コインCの外径よりも短寸な相互間隔が付与されて立設されている。このため、送り樋32を経て送り込まれる各コインCは、それぞれの仕切り壁47,47相互間に起立した状態となって保持されることになる。なお、各仕切り壁47は、その先端部を回転水車42の回転方向に若干折曲しておくことにより、コインCの自然落下をやや遅らせるようにしておくこともできる。
  また、回転水車42は、超音波洗浄槽52の洗浄液L中にその下側部を浸漬させた状態のもとで、装置本体11に配設されているモータM2により駆動チェーン49を介して強制回転させることができるようになっている。
  中性洗剤や消泡剤を含む洗浄効果に富む1%以上の洗剤濃度の洗浄液Lがフロート(図示せず)を介して所定の液面高さにまで貯留される超音波洗浄槽52は、その底部53側に超音波振動子54が配設されており、その上方には図示しない超音波反射板を配置することで、該超音波振動子54を介して洗浄効果をより確実なものとすることができる。この場合に用いられる超音波振動子54およびこれを用いた洗浄方法としては、二つの異なる周波数を切り替え使用して洗浄する特許第2785022号公報、特許第2794438号公報、および特許第2832443号公報に記載のものを好適に用いることができる。なお、超音波洗浄槽52内には、洗浄液Lを暖める図示しないヒータを設置しておくこともできる。
  しかも、超音波洗浄槽52内には、図示しない送液路中に介在させたポンプにより貯留タンク内に貯留されている洗浄液を供給することができるようになっている。なお、超音波洗浄槽52内の洗浄液Lは、図示しないポンプを介して濾過手段へと圧送し、該濾過手段を経て濾過されたものを、再度、超音波洗浄槽52内に還流させることができる循環流路を形成することもできる。この場合、濾過手段としては、交換可能なフィルタを備える比較的大型なカートリッジ式のものを例えば装置本体11側に支持させた上で、好適に使用することができる。
  網み底を有する受け樋35は、回転水車42の回転に伴い超音波洗浄槽52内から引き上げられたコインCが自然落下するのを受け止めて、洗浄液Lを切りながら次段に送り出すために配設されている。
  前上がりに例えば37度前後傾斜させた無端搬送ベルト62は、受け樋35を介して送り込まれたコインCをその搬送始端62a側にて受け取ることができる配置関係のもとで装置本体11内に配設されている。
  この場合、無端搬送ベルト62は、長さや幅を微調整することができるキャタピラーのようなモジュラーベルトを用いるのが望ましい。また、無端搬送ベルト62は、その搬送面の幅方向に一定間隔をおいてコインCの滑り落ちを防ぐ突起を設けておくこともできる。
  また、無端搬送ベルト62は、例えばギアードモータなどのモータM3により駆動チェーン66を介して強制回転される回転軸67に軸支させた回転ローラ68を介して従動させることができるように配設されている。
  シャワー機構72は、図1に示すように送水管73中に介在させたポンプPと、送水管73の始端73a側が水中に没入されている貯水タンク74と、送水管73の終端73b側に連結されて無端搬送ベルト62の搬送始端62a寄りの上方に位置させて搬送開始直後のコインCに対し水を注ぐ散水部75とを備えて構成されている。なお、図中の符号76は、散水部75から注がれた水を下方で受けて貯留する水受け槽を示す。
  また、無端搬送ベルト62の搬送路面63上には、図1に示すように重なり合って搬送されるコインCの重なりを崩して1枚のみの通過を許すゴム材などからなる当接部材55が例えば搬送方向での2箇所に配設されている。
  除液機構82は、モータM3を駆動原として従動回転する第1従動ローラ83と、該第1従動ローラ83により従動回転される第2従動ローラ84と、該第2従動ローラ84により従動回転されるとを少なくとも備えて構成されている。
  この場合、無端搬送ベルト62の終端62b側に到達したコインCは、第1従動ローラ83と第2従動ローラ84との間を経て付着液滴が除去されることになる。また、第2従動ローラ84に付着した液滴は、スキージーローラ85で掻き取られ、流下樋78を介して超音波洗浄液槽52内へと戻すことができるようになっている。
  次に、本発明の作用・効果を図示例に基づいて説明すれば、電源投入後、まず、ホッパ12内に洗浄対象物であるコインCが上面開口部13から所定量投入される。
  コインCが所定量投入されたホッパ12は、斜板部14を経て送出口15に集まり、供給量規制機構22側へと送り出される。送り筒部23内で回転している仕分け部24は、そのコイン導入壁26の各切欠導入溝26aを介して対応するストック空間29内に所定量のコインC群を順次送り込む。
  各ストック空間29内にあるコインC群は、送り筒部23内を回転することで順に供給口23と対面し、その対面時に該供給口23から送り樋32側に送り出される。
  送り樋32を経たコインC群は、回転している回転水車42のコインCの外径より短寸な間隔を保持する仕切り板47,47相互間に落とし込まれ、起立した状態で支持されることになる。
  しかも、回転水車42の下側部は、超音波洗浄槽52内の洗浄液L内に入り込んでいるので、洗浄液L中に浸漬されている各コインCも超音波振動子54が発する超音波振動を受けて洗浄される。この場合、複数個のコインCは、仮に仕切り板47,47相互間で重なり合うように起立していても、超音波振動を受けて個別に洗浄されることになる。
  つまり、洗浄液L中のコインCは、洗浄液Lによる化学的な洗浄と超音波洗浄による物理的な洗浄とを複合させることで、付着している汚れをより確実に落とすことができることになる。
  この場合、超音波振動子54として二つの異なる周波数を切り替え使用することができるものを用いている場合には、超音波の中で汚れがよく落ちる位置(定在波位置)の移動で洗浄ムラをなくすことができる。また、超音波洗浄を行う場合には、そのキャビテーション効果により、コインCからしつこい汚れを分離させることができるほか、コインCの細かい部分にまで超音波が回り込むことで、いままでは届かなかった部位の汚れを効果的に落とすこともできる。なお、超音波洗浄槽52が図示しない超音波反射板を備えている場合は、それだけ効率よく超音波洗浄を行うこともできる。
  仕切り板47,47相互間に位置するコインCは、回転水車42が回転するに伴って、やがて洗浄液L中から引き上げられ、上方へと移動しながらその重量により自然落下する。
  コインCが自然落下する下方位置には、受け樋35が配置されているので、網み底を介して付着洗浄液を切りながら次段へと送り込むことができる。
  受け樋35を経たコインCは、無端搬送ベルト62の搬送始端62a側に位置する搬送路面63上に落下し、搬送終端62b側へと搬送される。この場合、搬送始端62a寄りに位置する搬送路面63上には、シャワー機構72を構成している散水部75が配設されているので、該散水部75から注がれるシャワー水により付着洗浄水が洗い流される。
  しかも、無端搬送ベルト62の搬送路面63上に当接部材65が配設されている場合には、コインCを常に1枚ずつ寝かせた状態にして次段の除液機構82側へと送り込むことができる。
  このようにして水洗いされて1枚1枚別々に寝かされた状態となっている各コインCは、搬送終端62b側へと搬送され、徐液機構82を経ることで付着液滴が除去され、回収されることになる。
  ゲーム用のコインを洗浄するコイン洗浄装置としてのほか、コイン形状を呈するものでさえあればその他の用途に供されるコインを洗浄する際の洗浄装置としての用途にも適用できる。