本発明のコポリシランは、下記式(1)で表される構造単位を有している。すなわち、本発明のコポリシランは、下記式(1)で表される構造単位と他の構造単位(例えば、後述の構造単位(2)〜(4)など)とを有するコポリシランである。
(式中、R1は、水素原子又は置換基、nは1以上の整数を示す。)
上記式(1)において、置換基R1としては、例えば、有機基[例えば、炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基など)、これらの炭化水素基に対応するエーテル基(例えば、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など)など]、ヒドロキシル基、アミノ基、シリル基などが挙げられる。なお、これらの置換基は、さらに1又は複数の他の置換基[例えば、アルキル基(例えば、C1-10アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基)などの炭化水素基、アルコキシ基(例えば、C1-10アルコキシ基、好ましくはC1-6アルコキシ基、さらに好ましくはC1-4アルコキシ基)などの上記例示の置換基、アシル基(例えば、アセチル基などのC1-10アルキル−カルボニル基、好ましくはC1-6アルキル−カルボニル基、さらに好ましくはC1-4アルキル−カルボニル基など)など]で置換されていてもよい。
R1で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1-10アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基)などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシなどのC1-10アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、さらに好ましくはC1-4アルコキシ基)などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニルなどのC2-10アルケニル基(好ましくはC2-6アルケニル基、さらに好ましくはC2-4アルケニル基)などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなどのC5-10シクロアルキル基(好ましくはC5-8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5-6シクロアルキル基)などが挙げられる。シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどのC5-10シクロアルキルオキシ基(好ましくはC5-8シクロアルキルオキシ基、さらに好ましくはC5-6シクロアルキルオキシ基)などが挙げられる。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどのC5-10シクロアルケニル基(好ましくはC5-8シクロアルケニル基、さらに好ましくはC5-6シクロアルケニル基)などが挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、メチルフェニル(トリル)、エチルフェニル、ジメチルフェニル(キシリル)、ナフチル、メチルナフチル、メトキシフェニル、エトキシフェニル、メトキシナフチルなどのC6-20アリール基(好ましくはC6-15アリール基、さらに好ましくはC6-10アリール基)などが挙げられる。アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、ナフチルオキシなどのC6-20アリールオキシ基(好ましくはC6-15アリールオキシ基、さらに好ましくはC6-10アリールオキシ基)などが挙げられる。アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピルなどのC6-20アリール−C1-6アルキル基(好ましくはC6-15アリール−C1-4アルキル基、さらに好ましくはC6-10アリール−C1-2アルキル基)などが挙げられる。アラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロピルオキシなどのC6-20アリール−C1-6アルキルオキシ基(好ましくはC6-15アリール−C1-4アルキルオキシ基、さらに好ましくはC6-10アリール−C1-2アルキルオキシ基)などが挙げられる。
アミノ基としては、例えば、アミノ基(−NH2)の他、置換アミノ基(前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基などで置換されたN−モノ又はN,N−ジ置換アミノ基など)などが挙げられる。シリル基としては、シリル基、ジシラニル基、トリシラニル基などのSi1-10シラニル基(好ましくはSi1-6シラニル基)などの他、置換シリル基(例えば、前記アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基などで置換された置換シリル基)などが挙げられる。
通常、置換基R1は、炭化水素基(置換基を有していてもよい炭化水素基)又は炭化水素基に対応するエーテル基(置換基を有していてもよい炭化水素基が結合又は置換したエーテル基)であってもよい。好ましい基R1には、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などの炭化水素基が含まれ、特にアルキル基(例えば、メチル基などのC1-4アルキル基など)又はアリール基(例えば、フェニル基などのC6-10アリール基)が好ましい。なお、置換基R1は、nによって同一又は異なっていてもよい。
なお、前記式(1)において、nは1以上であればよく、例えば、1〜1000(例えば、2〜800)、好ましくは3〜500、さらに好ましくは5〜200程度であってもよい。
また、本発明のコポリシランは、前記式(1)で表される構造単位を少なくとも有していればよく、前記式(1)で表される構造単位の割合は、ケイ素原子換算で(又はケイ素原子Si数に換算して、詳細にはポリシラン全体のケイ素原子換算で、以下同じ)、例えば、5〜99モル%(例えば、10〜97モル%)、好ましくは15〜95モル%(例えば、25〜90モル%)、さらに好ましくは30〜80モル%(例えば、35〜75モル%)程度であってもよい。なお、式(1)で表される構造単位の割合が高すぎると、分子内における架橋反応が促進され、不溶物が発生し、溶媒への溶解性が損なわれる可能性がある。
本発明のコポリシランは、通常、前記式(1)で表される構造単位と、他の構造単位(すなわち、前記式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位)とを有している。このような異なる構造単位は、ケイ素に直接結合した水素原子(又はSi−H結合、すなわちケイ素−水素結合)を有しない構造単位であれば特に限定されないが、通常、下記式(2)〜(4)で表される構造単位のうち少なくとも1つの構造単位であってもよい。
(式中、R2、R3およびR4は同一又は異なって置換基を示す。r、s及びtはそれぞれ0以上の整数を示す。ただし、r、s及びtの合計は1以上の整数である。)
上記式(2)又は(3)において、R2〜R4で表される置換基としては、前記置換基R1の項で例示の同様の置換基[例えば、炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基など)、これらの炭化水素基に対応するエーテル基(例えば、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など)など]などが挙げられる。
前記式(2)又は(3)において、好ましい置換基もまた前記と同様である。例えば、式(2)で表される好ましい構造単位には、R2及びR3の少なくとも一方がシクロアルキル基(例えば、C5-8シクロアルキル基)又はアリール基(例えば、C6-10アリール基)である構造単位が含まれ、特に、式(2)で表される構造単位は、R2がアリール基(例えば、C6-10アリール基)であり、かつR3がアルキル基(例えば、C1-4アルキル基)又はアリール基(例えば、C6-10アリール基)である構造単位であってもよい。
また、式(3)で表される好ましい構造単位には、R4がアルキル基(例えば、C1-4アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5-8シクロアルキル基)又はアリール基(例えば、C6-10アリール基)である構造単位が含まれ、特に、式(3)で表される構造単位は、R4がシクロアルキル基(例えば、C5-8シクロアルキル基)又はアリール基(例えば、C6-10アリール基)である構造単位であってもよい。
代表的な本発明のコポリシランとしては、(i)前記式(1)で表される構造単位と前記式(2)で表される構造単位とを有するコポリシラン[例えば、アルキルジハロシラン−アルキルアリールジハロシラン共重合体(例えば、メチルジクロロシラン−メチルフェニルジクロロシラン共重合体などのC1-4アルキルジハロシラン−C1-4アルキルC6-10アリールジハロシラン共重合体など)、アルキルジハロシラン−ジアリールジハロシラン共重合体(例えば、メチルジクロロシラン−ジフェニルジクロロシラン共重合体などのC1-4アルキルジハロシラン−ジC6-10アリールジハロシラン共重合体など)、アリールジハロシラン−アルキルアリールジハロシラン共重合体(例えば、フェニルジクロロシラン−メチルフェニルジクロロシラン共重合体などのC6-10アリールジハロシラン−C1-4アルキルC6-10アリールジハロシラン共重合体など)など]、(ii)前記式(1)で表される構造単位と、前記式(3)又は前記式(4)で表される構造単位を有するコポリシラン[例えば、アルキルジハロシラン−アリールトリハロシラン共重合体(例えば、メチルジクロロシラン−フェニルトリクロロシラン共重合体などのC1-4アルキルジハロシラン−C6-10アリールトリハロシラン共重合体など)、アリールジハロシラン−アリールトリハロシラン共重合体(例えば、フェニルジクロロシラン−フェニルトリクロロシラン共重合体などのC6-10アリールジハロシラン−C6-10アリールトリハロシラン共重合体など)、アルキルジハロシラン−テトラハロシラン共重合体(例えば、メチルジクロロシラン−テトラクロロシラン共重合体などのC1-4アルキルジハロシラン−テトラハロシラン共重合体など)、アリールジハロシラン−テトラハロシラン共重合体(例えば、フェニルジクロロシラン−テトラクロロシラン共重合体などのC6-10アリールジハロシラン−テトラハロシラン共重合体など)など]、(iii)前記式(1)で表される構造単位と、前記式(2)で表される構造単位、前記式(3)で表される構造単位および前記式(4)で表される構造単位から選択された複数の構造単位とを有するコポリシラン[例えば、アルキルジハロシラン−アルキルアリールジハロシラン−アリールトリハロシラン共重合体(例えば、メチルジクロロシラン−メチルフェニルジクロロシラン−フェニルトリクロロシラン共重合体などのC1-4アルキルジハロシラン−C1-4アルキルC6-10アリールジハロシラン−C6-10アリールトリハロシラン共重合体など)など]などが挙げられる。
好ましいコポリシランとしては、耐熱性やポリシランの重合性などの観点から、前記式(1)で表される構造単位と、前記式(3)で表される構造単位(特に、R4がシクロアルキル基又はアリール基である構造単位)および前記式(4)で表される構造単位から選択された少なくとも1つの分岐状構造単位とを有するコポリシラン[例えば、前記コポリシラン(ii)、前記アルキルジハロシラン−アルキルアリールジハロシラン−アリールトリハロシラン共重合体など]などが挙げられ、特に前記式(3)において、R4がシクロアルキル基又はアリール基(特にアリール基)である構造単位を有するコポリシランが好ましい。
なお、コポリシランが前記分岐状構造単位を有する場合、コポリシランにおいて、前記式(1)で表される構造単位と前記分岐状構造単位との割合は、ケイ素原子換算で、例えば、前者/後者(モル比)=99/1〜5/95(例えば、95/5〜10/90)、好ましくは90/10〜25/75、さらに好ましくは80/20〜30/70程度であってもよい。
また、好ましいコポリシランには、ケイ素原子に結合した炭化水素環基(例えば、シクロアルキル基、アリール基など)を有する構造単位を少なくとも有するコポリシラン、例えば、(a)前記式(2)においてR2及びR3の少なくとも一方がシクロアルキル基又はアリール基である構造単位を有するコポリシラン、(b)前記式(3)においてR4がシクロアルキル基又はアリール基である構造単位を有するコポリシラン、(c)前記式(4)で表される構造単位を有するコポリシラン、(d)これらの構造単位を組み合わせて有するコポリシランなども含まれる。このような炭化水素環基を有する構造単位(又はモノマー単位)は、反応性が高く、比較的大きい分子量のコポリシランを得るのに有利である。
なお、本発明のコポリシランは、Si−Si結合を有する直鎖状、環状又は分岐状構造のいずれの構造を有していてもよいが、通常、直鎖状又は分岐状構造(特に分岐状構造)を有していてもよい。また、コポリシランは、少なくとも前記式(1)で表される構造単位を有していればよく、ブロックコポリマー、ランダムコポリマーのいずれであってもよい。さらに、コポリシランは、前記式(1)で表される構造単位を単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよく、前記式(2)〜(4)で表される構造単位のそれぞれを単独で又は2種以上組み合わせて有するコポリシランであってもよい。なお、本発明では、式(1)で表される構造単位を含むコポリマーとすることにより、ホモポリマーと比較して幅広い溶媒に溶解し、応用範囲の広いポリシランが得られる。また、コポリシランの構造の立体規則性が高いと、溶解する溶媒の範囲が狭くなる場合がある。
コポリシランの重合度(例えば、構造単位(1)〜(4)におけるn、r、sおよびtの合計)は、2以上であればよく、例えば、3〜2000(例えば、5〜1000)、好ましくは10〜800(例えば、15〜500)、さらに好ましくは20〜300程度であってもよい。
コポリシランの分子量は、重量平均分子量で200〜100000(例えば、300〜50000)、好ましくは400〜30000、さらに好ましくは800〜25000程度であってもよい。
本発明のコポリシランは、ケイ素原子に直接結合した水素原子を有しているため、通常のポリシランに比べて、耐熱性が著しく高い。耐熱性が向上する理由は定かではないが、本発明のコポリシランに熱を作用させると、前記水素原子が酸化してヒドロキシル基を生じ、そして、このヒドロキシル基(シラノール基)を介してコポリシランの分子内及び/又は分子間において適度な架橋が生じるため、コポリシランの分解が抑制又は防止されるものと考えられる。
具体的には、本発明のコポリシランは、分子量や前記式(1)で表される構造単位の導入割合にもよるが、室温(例えば、15〜25℃程度)から昇温したとき、重量が3重量%減少する温度が、通常、400℃以上(例えば、450〜800℃程度)、好ましくは500℃以上(例えば、520〜750℃程度)、さらに好ましくは550℃以上(例えば、600〜700℃程度)である。なお、通常のポリシラン(前記式(1)で表される構造単位が分子内に導入されていないポリシラン)では、通常、350〜400℃程度において分解して大きな重量減少を生じる。
そのため、本発明には、ポリシラン(又はコポリシラン)に、前記式(1)で表される構造単位を導入することにより、ポリシラン(又はコポリシラン)の耐熱性を向上させる方法も含まれる。
また、本発明のコポリシランは、前記水素原子(およびこの水素原子の酸化により生じるシラノール基)を有しているためか、溶媒に対する溶解性が高い。そのため、本発明のコポリシランは、適用範囲が広く、コーティング剤などとしての用途にも好適に適用できる。
[コポリシランの製造方法]
本発明のコポリシランは、種々のポリシランの製造方法を適用又は応用することにより調製できる。すなわち、本発明のコポリシランは、公知のポリシランの製造方法において、ポリシランを調製するためのモノマー成分(例えば、ハロシラン類)の一部として、前記式(1)で表される構造単位に対応するモノマー(例えば、アルキルジハロシラン、アリールジハロシランなど)を使用することにより調製できる。
ポリシランの代表的な合成方法としては、金属ナトリウムなどのアルカリ金属を用いてトルエン溶媒中のジアルキルジハロシランあるいはジハロテトラアルキルジシランを100℃以上の温度で強力に撹拌し、還元的にカップリングさせる方法[J.Am.Chem.Soc.,103(1981)7352]が知られている。しかし、この方法は、空気中で発火するアルカリ金属を加熱し、強力に攪拌・分散させる必要があるため、工業的規模での生産における安全性が懸念され、また、得られるポリシランの分子量分布が多峰性となり品質的にも十分でない場合が多い。
ポリシランの製造方法として、他にも(a)ビフェニルなどでマスクしたジシレンをアニオン重合させる方法(特開平1−23063号公報)、(b)環状シラン類を開環重合させる方法(特開平5−170913号公報)、(c)ヒドロシラン類を遷移金属錯体触媒により脱水素縮重合させる方法(特公平7−17753号公報)、(d)ジハロシラン類を室温以下の温度で電極還元してポリシランを製造する方法(特開平7−309953号公報)などが知られている。しかし、前記アニオン重合法(a)および開環重合法(b)は、複雑なモノマーを合成する必要があるなど煩雑な操作を伴い、モノマー合成からのトータルの収率が低いだけでなく、重合にアルキルリチウム試薬を必要とし安全性に難点がある。また、縮重合法(c)は、その反応機構上、分子量および得られたポリシランの構造(例えば、架橋構造が形成されるなど)に関して、未だ多くの改良すべき点がある。一方、電極還元法(d)は、高分子量で高品質のポリシランが安全に且つ高収率で得られ、優れた技術であるが、特殊な反応装置である電解槽を必要とする。従って、高付加価値の用途向けのポリシランの製造には適しているが、付加価値のあまり高くない用途向けのポリシラン製造には適した方法であるとはいえない。
以上のような観点から、本発明のコポリシランの製造方法に適用するための好ましいポリシランの製造方法には、マグネシウムを還元剤としてハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「マグネシウム還元法」、WO98/29476号公報、特開2003-277507号公報に記載の方法など)が挙げられる。このようなマグネシウム還元法(特に、特開2003-277507号公報に記載の方法)では、(1)汎用の化学合成装置により安定で安価な原料を用いて合成でき、安全性、コスト面で優位性がある、(2)ナトリウムや有機溶媒への不溶物等、光・電子材料などの用途として不適当な不純物が混入しない、(3)分子量のばらつきが少なく、有機溶媒に対する溶解性や透明性の高いポリシランが得られる、(4)高収率であるなどの優れた特徴を有する。
すなわち、本発明のコポリシランは、マグネシウム金属成分の存在下、前記式(1)で表される構造単位に対応するジハロシランを含むハロシラン類(ハロシラン化合物)を反応させることにより、特殊な装置を用いなくても、簡便にかつ効率よく製造できる。
(ハロシラン類)
前記式(1)で表される構造単位に対応するジハロシランとしては、下記式(1A)で表されるジハロシランが挙げられる。
(式中、X1およびX2はハロゲン原子、R1、nは前記と同じ。)
上記式(1A)において、X1およびX2で表されるハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれ、塩素原子および臭素原子(特に塩素原子)が好ましい。なお、X1およびX2は同一又は異なるハロゲン原子であってもよい。なお、上記式(1A)において、nは、前記と同様に1以上であればよい。すなわち、前記ジハロシランは、n=1であるジハロシラン(モノジハロシラン、単量体)であってもよく、nが複数(例えば、2〜1000程度)の多量体(ポリジハロシラン)であってもよい。なお、ポリジハロシランを用いると、ブロックコポリマーのコポリシランを得やすい。
前記式(1A)で表される代表的なジハロシランとしては、例えば、アルキルジハロシラン類(例えば、メチルジクロロシラン、エチルジクロロシランなどのC1-4アルキルジハロシランおよびその多量体)、アリールジハロシラン類(例えば、フェニルジクロロシラン、トリルジクロロシラン、キシリルジクロロシラン、ナフチルジクロロシラン、メトキシフェニルジクロロシランなどのC6-10アリールジハロシラン及びその多量体)などが挙げられる。
また、本発明のコポリシランは、前記のように式(1)で表される構造単位とは異なる構造単位を有している。このような異なる構造単位が、前記式(2)〜(4)で表される構造単位である場合、これらの構造単位に対応するハロシランとしては、それぞれ、下記式(2A)〜(4A)で表されるハロシランが挙げられる。すなわち、前記ハロシラン類は、前記式(1A)で表されるジハロシランと、下記式(2A)〜(4A)で表されるハロシランのうち少なくとも1つのハロシラン(ジ乃至テトラハロシラン類)とで構成してもよい。
(式中、X3〜X11はハロゲン原子、R2〜R4、r、s及びtは前記と同じ。)
上記式(2A)〜(4A)において、X3〜X11で表されるハロゲン原子は、前記と同様であり、塩素原子および臭素原子(特に塩素原子)が好ましく、同一又は異なるハロゲン原子であってもよい。また、上記式(2A)〜(4A)において、r、s及びtは、それぞれ、前記と同様に1以上であればよく、単量体(r=s=t=1)であってもよく、多量体(r、sおよびtが2以上)であってもよい。例えば、式(2A)で表されるジハロシランにおいて、rは、1〜1000、好ましくは1〜500、さらに好ましくは1〜100(例えば、1〜10)程度であってもよい。rが大きい多量体を用いると、ブロックコポリマーを得やすく、単量体又はrが小さい多量体を用いるとランダムコポリマーを得やすい。コポリマーの製造効率の点からは、単量体又はrが小さい多量体(例えば、rが1〜2程度のハロシラン)を好適に用いてもよい。なお、トリハロシラン類およびテトラハロシラン類は、通常、単量体(s=t=1)で使用する場合が多い。
前記式(2A)〜(4A)で表される代表的なハロシランとしては、例えば、式(2A)で表されるジハロシラン類[例えば、ジアルキルジハロシラン(例えば、ジメチルジクロロシランなどのジC1-4アルキルジハロシラン及びその多量体)、アルキル−アリールジハロシラン(例えば、メチルフェニルジクロロシランなどのC1-4アルキル−C6-10アリールジハロシラン及びその多量体)、アルキル−シクロアルキルジハロシラン(例えば、メチルシクロヘキシルジクロロシランなどのC1-4アルキル−C5-10シクロアルキルジハロシラン及びその多量体)、ジアリールジハロシラン(例えば、ジフェニルジハロシラン、ジトリルジハロシラン、ジキシリルジハロシラン、フェニルトリルジハロシラン、ジメトキシフェニルジハロシランなどのジC6-10アリールジハロシラン及びその多量体など)など]、式(3A)で表されるトリハロシラン類[例えば、アルキルトリハロシラン(例えば、メチルトリクロロシランなどのC1-4アルキルトリハロシラン)、シクロアルキルトリハロシラン(例えば、シクロヘキシルトリクロロシランなどのC5-10シクロアルキルトリハロシラン)、アリールトリハロシラン(例えば、フェニルトリクロロシランなどのC6-10アリールトリハロシラン及びその多量体)など]、式(4A)で表されるテトラハロシラン類(例えば、テトラクロロシランなどのテトラハロシラン)などが例示できる。
また、前記ハロシラン類は、コポリシランの末端を封鎖するため、必要に応じて、さらにモノハロシラン類[例えば、トリアルキルハロシラン(例えば、トリメチルクロロシランなどのトリC1-4アルキルハロシラン)、トリアリールハロシラン(例えば、トリフェニルクロロシランなどのトリC6-10アリールハロシラン)など]で構成してもよい。
なお、前記式(1A)で表されるジハロシランと前記式(2A)〜(4A)で表されるハロシランとを組み合わせる場合、これらのハロシランの使用割合は、共重合割合に応じて適宜選択できる。通常、前記式(1A)で表されるジハロシラン類の割合は、前記式(1)で表される構造単位の割合に対応しており、ケイ素原子換算で(又はケイ素原子Si数に換算して)、例えば、ハロシラン類全体の5〜99モル%(例えば、10〜97モル%)、好ましくは15〜95モル%(例えば、25〜90モル%)、さらに好ましくは30〜80モル%(例えば、35〜75モル%)程度であってもよい。
なお、ハロシラン類は、できるだけ高純度であるのが好ましい。例えば、液体のハロシラン類については、水素化カルシウムなどの乾燥剤を用いて乾燥し、蒸留して使用するのが好ましく、固体のハロシラン類については、再結晶法などにより、精製して使用するのが好ましい。
なお、ハロシラン類の反応は、通常、反応に不活性な溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、非プロトン性溶媒(不活性溶媒)が広く使用でき、例えば、エーテル類(1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状C4-6エーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテルなどの鎖状C4-6エーテル)、カーボネート類(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、ニトリル類(アセトニトリル、ベンゾニトリルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、ハロゲン含有化合物(塩化メチレン、クロロホルム、ブロモホルム、クロロベンゼン、ブロモベンゼンなどのハロゲン化炭化水素など)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、シクロオクタンなどの鎖状又は環状炭化水素類)などが挙げられ、これらの溶媒は混合溶媒として使用してもよい。溶媒としては、極性溶媒単独(テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなど)、2種以上の極性溶媒の混合物、極性溶媒と非極性溶媒との混合物などが好ましい。極性溶媒と非極性溶媒との混合物を使用する場合、両者の割合は、前者/後者(重量比)=1/0.01〜1/20程度である。
溶媒(反応液)中のハロシラン類の濃度は、通常、20モル/L以下(例えば、0.05〜20モル/L)、好ましくは10モル/L以下(例えば、0.2〜10モル/L)、特に5モル/L以下(例えば、0.3〜5モル/L)程度である。
(マグネシウム金属成分)
前記ハロシラン類(前記式(1)で表される構造単位に対応するジハロシランを少なくとも含むハロシラン類)の反応は、マグネシウム金属成分の存在下で好適に行うことができ、マグネシウム金属成分を作用させることにより、コポリシランを効率よく生成できる。
マグネシウム金属成分は、少なくともマグネシウムが含まれていればよく、マグネシウム金属単体又はマグネシウム系合金、あるいは前記マグネシウム金属又は合金を含む混合物などであってもよい。マグネシウム合金の種類は特に制限されず、慣用のマグネシウム合金、例えば、アルミニウム、亜鉛、希土類元素(スカンジウム、イットリウムなど)などの成分を含むマグネシウム合金が例示できる。これらのマグネシウム金属成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
マグネシウム金属成分の形状は、ハロシラン化合物の反応を損なわない限り特に限定されないが、粉粒状(粉体、粒状体など)、リボン状体、切削片状体、塊状体、棒状体、平板などが例示され、特に表面積の大きい形状(粉体、粒状体、リボン状体、切削片状体など)であるのが好ましい。マグネシウム金属成分が粉粒状の場合、平均粒径は、1〜10000μm、好ましくは10〜5000μm、さらに好ましくは20〜1000μm程度である。
なお、マグネシウム金属成分の保存状況などによっては、金属表面に被膜(酸化被膜など)が形成されることがある。この被膜は反応に悪影響を及ぼすことがあるので、必要に応じて、切削や溶出(塩酸洗浄などの酸洗)などの適当な方法によって除去してもよい。
マグネシウム金属成分の使用量は、通常、ハロシラン類のハロゲン原子に対して、マグネシウム換算で、0.5〜10当量であり、好ましくは0.55〜7当量、さらに好ましくは0.6〜6当量(例えば、1.2〜5当量)程度である。
マグネシウム金属成分は、前記ハロシラン類を還元して、コポリシランを形成させるとともに、マグネシウム自身は酸化されてハロゲン化物を形成する。
反応は、少なくとも前記マグネシウム金属成分の存在下で行えばよいが、ハロシランの重合を促進するため、リチウム化合物及び金属ハロゲン化物から選択された少なくとも一種(促進剤又は触媒)の共存下、特にリチウム化合物及び金属ハロゲン化物の双方の共存下で行うのが有利である。
(リチウム化合物)
リチウム化合物としては、ハロゲン化リチウム(塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウムなど)、無機酸塩(硝酸リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、塩酸リチウム、硫酸リチウム、過塩素酸リチウム、リン酸リチウムなど)などが使用できる。これらのリチウム化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。好ましいリチウム化合物は、ハロゲン化リチウム(特に塩化リチウム)である。
溶媒(反応液)中のリチウム化合物の濃度は、通常、0.05〜5モル/L、好ましくは0.1〜4モル/L、特に0.15〜3モル/L程度である。
リチウム化合物の割合は、ハロシラン類の総量100重量部に対して、0.1〜200重量部、好ましくは1〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部(例えば、5〜75重量部)程度であり、通常、10〜80重量部程度である。
(金属ハロゲン化合物)
金属ハロゲン化物(リチウムハロゲン化物を除く金属ハロゲン化物)としては、多価金属ハロゲン化物、例えば、遷移金属(例えば、サマリウムなどの周期表3A族元素、チタンなどの周期表4A族元素、バナジウムなどの周期表5A族元素、鉄、ニッケル、コバルト、パラジウムなどの周期表8族元素、銅などの周期表1B族元素、亜鉛などの周期表2B族元素など)、周期表3B族金属(アルミニウムなど)、周期表4B族金属(スズなど)などの金属のハロゲン化物(塩化物、臭化物又はヨウ化物など)が挙げられる。金属ハロゲン化物を構成する前記金属の価数は、特に制限されないが、好ましくは2〜4価、特に2又は3価である。これらの金属ハロゲン化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
金属ハロゲン化物としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、銅、スズ、ニッケル、コバルト、バナジウム、チタン、パラジウム、サマリウムなどから選択された少なくとも一種の金属の塩化物又は臭化物が好ましい。
このような金属ハロゲン化物としては、例えば、塩化物(FeCl2、FeCl3などの塩化鉄;AlCl3、ZnCl2、SnCl2、CoCl2、VCl2、TiCl4、PdCl2、SmCl2など)、臭化物(FeBr2、FeBr3などの臭化鉄など)、ヨウ化物(SmI2など)などが例示できる。これらの金属ハロゲン化物のうち、塩化物(例えば、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)などの塩化鉄、塩化亜鉛など)及び臭化物が好ましい。通常、塩化鉄及び/又は塩化亜鉛などが使用される。
溶媒中の金属ハロゲン化物の濃度は、通常、0.001〜6モル/L程度であり、好ましくは0.005〜4モル/L程度であり、より好ましくは0.01〜3モル/L程度である。
金属ハロゲン化物の割合は、前記ハロシラン化合物の総量100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは2〜20重量部程度である。
(反応方法)
ハロシラン類の反応方法は、例えば、密閉可能な反応容器に、前記ハロシラン類、マグネシウム金属成分、及び必要に応じてリチウム化合物及び/又は金属ハロゲン化物を溶媒とともに収容し、好ましくは機械的又は磁気的に攪拌しつつ、反応を行ってもよい。原料のハロシラン類は、予め、複数のハロシラン類の混合物として用いてもよいし、複数のハロシラン類を並行又は間欠的に添加してもよく、時系列的に添加してもよい(例えば、第一のハロシラン成分を反応系に添加して、反応を進行させてポリシラン又はオリゴシランを生成した後、第二のハロシラン成分を添加して反応させてもよい)。複数のハロシラン化合物の混合物として用いる前者の方法は、ランダムコポリマー(ランダムコポリシラン)を得るのに好適である。第一のハロシラン成分の反応途中で第二のハロシラン成分を添加する後者の方法は、ブロックコポリマーを得るのに好適である。すなわち、前記式(1A)で表されるジハロシラン、および前記式(2A)〜(4A)で表されるジ乃至テトラハロシランから選択された少なくとも一種のうち、一方の成分を反応させてポリシラン又はオリゴシランを生成した後、他方の成分を反応系に添加して反応させてポリシランを生成させてもよい。
反応容器は、密閉できる限り、形状や構造についての制限は特にない。反応容器内は、乾燥雰囲気であればよいが、乾燥した不活性ガス(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス)雰囲気、特に、脱酸素し、乾燥したアルゴンガス雰囲気が好ましい。
反応時間は、ハロシラン類、マグネシウム金属成分や触媒成分(リチウム化合物、金属ハロゲン化物)の量などにより異なるが、通常、5分以上であり、30分〜100時間程度である。反応時間やマグネシウム金属成分量、触媒の種類、触媒の量などを調整することにより、コポリシランの分子量制御、構造制御が可能となる。
反応温度は、通常、−20℃から使用する溶媒の沸点までの温度範囲内であり、好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは20〜70℃程度である。生成したコポリマーは慣用の方法、例えば、良溶媒と貧溶媒を用いる再沈法、抽出法などの方法で精製してもよい。
このような方法では、室温近傍の温度で撹拌操作を行うという簡便な方法で、分子量の揃ったコポリシランを高収率で製造できる。また、高価な試薬などを使用せずに市販の原料を用い、光照射器、超音波照射装置、電極反応装置等の特殊な装置を使用しないので、上記ポリシランを安価に製造できる。さらに、モノマー濃度、触媒の種類、触媒の量、反応時間を調整するだけで、所望の構造を有するコポリシランを製造できる。
[樹脂組成物]
本発明のコポリシランは、前記のように耐熱性に著しく優れており、樹脂に添加すると樹脂の耐熱性も向上できる。そのため、本発明では、前記コポリシランと樹脂とで樹脂組成物を構成することもできる。すなわち、本発明のコポリシラン(コポリシラン、又はポリシラン混合物)は、樹脂に添加するための添加剤(樹脂の耐熱性を向上するための添加剤)として使用してもよい。
前記樹脂の種類は、特に限定されず、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、非晶質ポリオレフィンなど)、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニル、フッ化樹脂など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂など)、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂など)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、液晶ポリエステルなど)、ポリアセタール系樹脂、ポリアミド系樹脂(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミドMXDなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(変性ポリフェニレンエーテルなど)、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリイミド系樹脂(例えば、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなど)、マレイミド系樹脂(例えば、ポリアミノビスマレイミド、ビスマレイミドトリアジン樹脂など)、熱可塑性エラストマーなどが例示できる。
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、アミノ樹脂[尿素樹脂、メラミン樹脂など]、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などが例示できる。熱硬化性樹脂は初期縮合物であってもよい。
これらの樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。複数の樹脂を用いる場合、ポリマーアロイを形成していてもよい。特に、前記コポリシランと、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂など)とを組み合わせると、前記コポリシランが熱硬化性樹脂の硬化剤として作用するためか、高い耐熱性ととともにポリシランの特性(耐薬品性、低誘電率など)を効率よく付与できるようである。そのため、前記樹脂組成物は、前記コポリシランと熱硬化性樹脂とで好適に構成してもよい。
コポリシランの添加量は、樹脂とコポリシランの種類や用途によって異なるが、概ね樹脂100重量部に対し、例えば、0.01〜50重量部、好ましくは0.05〜40重量部、さらに好ましくは0.1〜30重量部程度であってもよい。
本発明の樹脂組成物は、用途に応じて種々の添加剤、例えば、溶剤、充填剤、強化剤、可塑剤、硬化剤、重合開始剤、触媒、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、離型剤、帯電防止剤、着色剤、加硫剤、消泡剤、レベリング剤、分散剤、流動調整剤などを含んでいてもよい。
樹脂へのコポリシランの添加混合方法は、特に制限されず、通常、樹脂ペレットと、コポリシランと、必要により添加剤とを溶融混合する場合が多い。例えば、樹脂ペレットと安定剤などの成分とを予備混合したのち、コポリシランを、必要により強化剤や充填剤などの添加剤とともに混練装置で溶融混合してもよい。溶融混合された樹脂組成物は、通常、ペレット化され、成形に供される。混練装置はバッチ式と連続式がある。バッチ式混練装置としては、ミキシングロール、ニーダー、インテンシブミキサーなどが例示できる。連続式混練装置としては、単軸スクリュー押出機、噛合型2軸スクリュー押出機、非噛合型2軸押出機などが例示できる。
熱硬化性樹脂においては、一般的に、硬化剤などの各種樹脂添加剤とともに、コポリシランと樹脂初期縮合物とを混合することにより硬化性組成物を調製してもよい。なお、ポリシランと樹脂初期縮合物とを混合又は溶解槽にて混合するとともに、必要により強化剤などの添加剤と混練して硬化性組成物を調製し、この硬化性組成物を基布などに含浸して乾燥し硬化させてもよい。
樹脂組成物の成形方法としては、樹脂の種類、用途によって異なるが、熱可塑性樹脂の場合は、押出成形、射出成形、ブロー成形、延伸フィルム成形、圧縮成形、カレンダー成形、RIM成形などの方法が例示できる。熱硬化性樹脂の場合は、圧縮成形、トランスファー成形、積層成形、注型成形、RIM成形などの方法が例示できる。