本発明に係る第1の実施形態の電子機器を図1から図6を参照して説明する。図1に示す電子機器1は、本体2と表示装置3と反転ヒンジと支持ユニット5と回動ヒンジと操作装置7とを備える。以降、説明の都合上、電子機器を利用する側から見て、右側、左側、上、下、および、利用者に近い側を前、利用者から離れた側を後と定義する。
  本体2は、上面にキーボード8が露出している。表示装置3は、表示ユニット31とタッチパネル32と保持カバー33とを有している。表示ユニット31は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトリックルミネッセンスディスプレイ、表面電界ディスプレイを用いる。タッチパネル32は、表示ユニット31の表示面311に重ねて取り付けられ、表示される情報に振れることで入力を行える。
  反転ヒンジは、表示装置3を挟んで一対となる第1の反転ヒンジ41と第2の反転ヒンジ42とで構成される。第1の反転ヒンジ41は、表示装置3の左側に配置され、第2の反転ヒンジ42は、表示装置3の右側に配置されている。
  表示装置3は、第1の反転ヒンジ41と第2の反転ヒンジ42によって支持ユニット5と連結されている。表示装置3は、第1の反転ヒンジ41および第2の反転ヒンジ42によって、表示面311に沿って水平方向に設定される反転軸Aを中心に、図3に示すように回動される。反転軸Aは、表示面311を上下に等しく二分割する表示装置3の中心を通り水平に配置される。
  回動ヒンジは、表示装置3の幅方向に一対となる第1の回動ヒンジ61と第2の回動ヒンジ62とで構成されている。第1の回動ヒンジ61は、本体2の後側左寄りに配置され、第2の回動ヒンジ62は、本体2の後側右寄りに配置されている。
  支持ユニット5は、第1の回動ヒンジ61と第2の回動ヒンジ62とによって本体2と連結されている。支持ユニット5は、第1の回動ヒンジ61および第2の回動ヒンジ62によって、本体2の後部に沿って水平方向へ設定される回動軸Bを中心に本体2に対して回動する。支持ユニット5は、表示装置3の外周を囲い、本体2とほぼ同じ外周の枠形に形成されている。反転軸Aと回動軸Bは、本実施形態において互に平行に配置されている。
  操作装置7は、図1に示すように第1の反転ヒンジ41と同じく支持ユニット5の左側に、支持ユニット5から突出して設けられている。操作装置7は、図5に示すように、摘み部71と、ダイヤル検出スイッチ72と、押ボタンスイッチ73と、スプリングワッシャ74と反転検出スイッチ75a,75bとを備える。
  摘み部71は、キノコ状に形成され、中心軸が反転軸Aと同軸に配置されて、反転軸Aを中心に回転するとともに、反転軸Aに沿って移動する。摘み部71は、内周面に内輪歯車711が形成されている。この内輪歯車711は、ダイヤル検出スイッチ72と係合している。ダイヤル検出スイッチ72は、摘み部71が回転することにより、内輪歯車711の凹凸を検出し、パルス信号を出力する。
  押ボタンスイッチ73は、摘み部71を反転軸Aに沿って表示装置3側に押し込むと、摘み部71の内面と接触するように配置されている。押ボタンスイッチ73は、摘み部71が接触したことを検出し、信号を出力する。スプリングワッシャ74は、摘み部71が押ボタンスイッチ73に接触したままにならないようにするために、摘み部71を反転軸Aに沿って押し戻す。
  反転検出スイッチ75a,75bは、第1の反転ヒンジ41に面して配置されている。第1の反転ヒンジ41は、表示装置3にともなって回動する反転シャフト411を有している。支持ユニット5側に延びた反転シャフト411は、先端にストライカ412が固定されている。ストライカ412は、表示装置3が第1の状態となる位置で、反転検出スイッチ75aと当り、表示装置3が第3の状態となる位置で、反転検出スイッチ75bと当たる。
  ダイヤル検出スイッチ72、押ボタンスイッチ73、反転検出スイッチ75a,75bの信号ケーブルW1は、第1の回動ヒンジを通って本体2の内部に導かれる。なお、ダイヤル検出スイッチ72、押ボタンスイッチ73、反転検出スイッチ75a,75bは、接触式のスイッチに限らず、光学式センサ、磁気式センサ、圧電素子、ストレインゲージなどを用いても良い。
  また、第2の反転ヒンジ42は、第1の反転ヒンジ41と同じ構造を有している。ただし、図6に示すように、反転シャフト421は、反転軸Aに沿って同軸上にケーブル送通孔422が設けられている。表示装置3の信号ケーブルW2は、このケーブル送通孔422を介して支持ユニット5に導出される。したがって、表示装置3が支持ユニット5に対して180°反転させても信号ケーブルW2に大きな負荷がかかることがない。表示装置3の信号ケーブルW2は、第2の反転ヒンジ42と第2の回動ヒンジ62を通って本体2の内部に導かれている。
  なお、第1の反転ヒンジ41と第2の反転ヒンジ42は、表示装置3を支持する上で、十分な剛性および安定性が得られるのであれば、どちらか一方のみが反転軸A周りに表示装置を保持するための摩擦抵抗を有した片持ちの反転ヒンジであっても良い。
  また、第1の反転ヒンジ41および第2の反転ヒンジ42が内蔵される部分の支持ユニット5は、図1から図4に示すように、表示装置3の厚みよりも大きい外形を有しており、両側に膨らんでいる。本体2は、支持ユニット5が重ね合された状態で、支持ユニット5の膨らみに沿う凹部21を有している。
  以上のように構成された電子機器1は、反転ヒンジと回動ヒンジを備えることによって、表示装置3を図2に示す第1の状態と、図1に示す第2の状態と、図4に示す第3の状態とに移動する。第1の状態では、表示装置3は、表示面311をキーボード8に向けて重ね合されている。したがって、第1の状態において、電子機器は、使用されない、いわゆる閉状態である。第2の状態では、表示装置3は、本体2に対してたて起された状態である。したがって、第2の状態において、電子機器1は、主にキーボード8で操作される、いわゆるキー入力状態である。第3の状態では、表示装置3は、表示面311をキーボード8に対して反対に向けて本体に重ね合わされている。したがって、第3の状態において、電子機器1は、主に表示装置3に取り付けられたタッチパネル32を用いて操作される、いわゆるタブレット入力状態である。
  また、第2の状態および第3の状態において、電子機器1は、インストールされたアプリケーションによって表示装置3に表示される情報を、操作装置7から出力される信号を基に操作することができるように構成されている。摘み部71を回転させることによってダイヤル検出スイッチ72から出力される信号と、摘み部71を反転軸Aに沿って押し込むことで押ボタンスイッチ73から出力される信号とを組合せて、より複雑な操作を可能にする。
  特に、摘み部71を回転させることによってダイヤル検出スイッチ72から出力される信号は、利用者が摘み部71を捻る動作に則した操作に対応させる。このようにすることで、利用者にとって、操作装置7を感覚的に操作することができるため、操作性が向上する。具体的には、表示された図柄や文字列を回転方向に合わせてスクロールさせたり、表示されているランチャーのアプリケーションを切換えたり、画面の輝度やスピーカの音量を変化させたり、選択した画像を拡大または縮小したり、することに、信号の出力を割り当てるとよい。
  また、摘み部71を押し込むことによって押ボタンスイッチ73から出力される信号は、つまみ部71を回転させることによって選択されたり調整されたりしたものをさらに決定する、あるいは、短時間に2回連続して操作することによって一つ前に決定した操作を取り消すなど、の動作に割り当てると良い。
  操作装置7が支持ユニット5よりも外側に突出しているので、表示装置3が第2の状態にある場合に限らず、第3の状態にある場合にも同様に操作することができる。特に、第3の状態においては、表示装置3によってキーボード8が覆い隠されているため、操作装置7が利用できることは、都合が良い。
  また、操作装置7が支持ユニット5よりも突出していることにより、利用者は、親指と人差指とで反転軸Aを挟む両側から摘み部71を摘むことができる。つまり、支持ユニット5が本体2に対してどのような角度に回動していても、操作装置7を操作することに関する操作性が変わることがなく、安定した操作性が得られる。
  本実施形態の電子機器1において、第2の状態における表示装置3の左側に操作装置7は、配置されている。これに対して、右側に操作装置7を配置しても良い。この場合、第1の反転ヒンジ41を右側に、第2の反転ヒンジ42を左側に設ける。表示装置3の信号ケーブルW2は、表示装置3を挟んで操作装置7と反対側に設けられる第2の反転ヒンジ42と同じくケーブル送通孔422を有した反転ヒンジを介して導出される。
  次に、本発明に係る第2の実施形態の電子機器1Aを図7から図10を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能を有する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、第1の反転ヒンジ41および第2の反転ヒンジ、操作装置7の断面構造は、第1の実施形態で説明したとおりであるので、図5および図6ならびにこれに付随する説明を参照するものとし、ここでの説明を省略する。
  電子機器1Aは、反転軸Aが回動軸Bに対して直交する方向に配置されている。したがって、図8に示すように第1の状態において、第1の反転ヒンジ41は、前側に設けられ、第2の反転ヒンジ42は、後ろ側に設けられている。第1の反転ヒンジ41が設けられる位置、および第2の反転ヒンジ42が設けられる位置に対応して、凹部21が本体2の上部に設けられている。
  この電子機器1Aにおいて、図8に示す第1の状態と、図7に示す第2の状態と、図10に示す第3の状態とに、表示装置3が移動する。表示装置3は、第1の状態と第3の状態とにするために、図9に示すように第2の状態の時に、第1の反転ヒンジ41および第2の反転ヒンジ42によって反転軸Aを中心に回転される。
  以上のように構成された電子機器1Aは、特に、操作装置7が表示装置3の左右幅方向に中央に配置されているので、左右のどちらの手でも操作装置7を操作しやすい。
  第1の実施形態および第2の実施形態において、操作装置7は、ダイヤル検出スイッチ72と押ボタンスイッチ73をと内蔵している他に、反転軸Aに沿って表示装置3から離れる方向へ摘み部71を引っ張る操作を検出する引張検出スイッチを設けても良い。この場合、時計の竜頭のように、一段階あるいは二段階に引き出すように設けてもよい。
  1,1A…電子機器、2…本体、3…表示装置、5…支持ユニット、7…操作装置、8…キーボード、21…凹部、311…表示面、41…第1の反転ヒンジ、42…第2の反転ヒンジ、61…第1の回動ヒンジ、62…第2の回動ヒンジ、A…反転軸、B…回動軸、W1…(操作装置の)信号ケーブル、W2…(表示装置の)信号ケーブル。