しかるに、上記の特許文献1、2に記載された従来の携帯通信端末では、3つの課題がある。第1の課題は、携帯電話機の外付け着信報知器のバッテリーライフが短いということである。その理由は、従来の携帯電話機の外付け着信報知器の電源制御は、使用者の意思に基づく手動でのスイッチのオン/オフ操作に委ねられているか、また仮に使用者が着信報知器を保持しているか否かを検出する保持検出手段を有していたとしても、保持していない状態(置き忘れなど)の発生をアラーム音で使用者に知らせるためだけに使用されており、当該保持検出手段は電源制御のためには使用されていなかったことによる。
  第2の課題は、携帯電話機の外付け着信報知器の使用者が一時的に着信報知器を保持していない間に着信があった場合、着信があったことを使用者が認識する手段が無いということである。その理由は、携帯電話機の外付け着信報知器を使用者が保持しているか否かの情報と着信があったかどうかの情報を管理する手段及びその情報を適切なタイミングで使用者に通知する手段を持ち合わせていなかったことによる。
  第3の課題は、携帯電話機の外付け着信報知器の報知に使用者が気付かなかった場合、発呼者が着信報知器の使用者の状況を全く把握できないということである。その理由は、携帯電話機の外付け着信報知器が、単に使用者に対して着信を報知する機能しか持ち合わせておらず、着信報知器の使用者の状況を発呼側に通知する手段を有していなかったことによる。
  本発明は以上の点に鑑みなされたもので、バッテリーライフの長い外付け着信報知器を備えた携帯通信端末を提供することを目的とする。
  また、本発明の他の目的は、外付け着信報知器の使用者が一時的に着信報知器を保持していない間に着信があった場合や、外付け着信報知器を保持中に着信があったことに気付かなかった場合においても、着信があったことを使用者に適切なタイミングで通知し得る携帯通信端末を提供することにある。
  また、本発明の更に他の目的は、外付け着信報知器の通知に使用者が気付かなかった場合においても、発呼者に着信側の外付け着信報知器の使用者の状況を通知し得る携帯通信端末を提供することにある。
  上記の目的を達成するため、第1の発明は、相手端末と通信を行うための回路部を備えており、着信検出時は着信信号を出力する携帯通信端末本体と、着信信号を検出して着信報知を行う、携帯通信端末本体とは別体の着信報知器とを有する携帯通信端末であって、着信報知器は、携帯通信端末本体から出力された着信信号を検出する着信検出手段と、人体が着信報知器に接触しているか否かを検出する保持検出手段と、着信を報知する着信報知手段と、少なくとも着信報知手段に対して電源を供給又は電源を遮断する電源部と、保持検出手段から人体が着信報知器に接触していることを示す第1の検出信号が入力され、かつ、着信検出手段により着信信号が検出されたときに、電源部から着信報知手段へ電源を供給させて着信報知動作をさせ、その着信報知動作を、保持検出手段から人体が着信報知器に非接触であることを示す第2の検出信号が入力されることにより電源部から着信報知手段への電源供給を遮断するまで継続させる制御手段とを有することを特徴とする。
  この発明では、着信検出手段により着信信号が検出されたことだけでは、電源部から着信報知手段への電源供給は行わず、使用者の意思によらず動作する保持検出手段から人体が着信報知器に接触していることを示す第1の検出信号が入力され、かつ、着信検出手段により着信信号が検出されたときに、はじめて電源部から着信報知手段へ電源を供給させて着信報知動作をさせることができる。
  また、上記の目的を達成するため、第2の発明は、相手端末と通信を行うための回路部を備えており、着信検出時は着信信号を出力する携帯通信端末本体と、着信信号を検出して着信報知を行う、携帯通信端末本体とは別体の着信報知器とを有する携帯通信端末であって、着信報知器は、携帯通信端末本体から出力された着信信号を検出する着信検出手段と、人体が着信報知器に接触しているか否かを検出する保持検出手段と、着信を報知する着信報知手段と、少なくとも着信報知手段に対して電源を供給又は電源を遮断する電源部と、予め定めた規定の時間を計時するタイマ部と、着信に対して応答しなかったことを示す非応答情報を記憶する記憶手段と、保持検出手段から人体が着信報知器に接触していることを示す第1の検出信号が入力され、かつ、記憶手段に非応答情報が記録されていないときは、着信検出手段により着信信号が検出されたときに、電源部から着信報知手段へ電源を供給させて着信報知動作をさせると共に、タイマ部の動作を開始させ、タイマ部による規定の時間経過前に、着信検出手段による着信信号の検出が終了し、かつ、保持検出手段から人体が着信報知器に非接触であることを示す第2の検出信号が入力されることにより電源部から着信報知手段への電源供給を遮断するまで、着信報知動作を継続させる制御手段とを有することを特徴とする。
  この発明では、記憶手段に非応答情報が記録されていないときは、着信検出手段により着信信号が検出されたことだけでは、電源部から着信報知手段への電源供給は行わず、使用者の意思によらず動作する保持検出手段から人体が着信報知器に接触していることを示す第1の検出信号が入力され、かつ、着信検出手段により着信信号が検出されたときに、はじめて電源部から着信報知手段へ電源を供給させて着信報知動作をさせることができる。また、着信報知手段へ電源を供給して行わせる着信報知動作は、タイマ部による規定時間内に着信が終了して、保持検出手段から人体が着信報知器に非接触であることを示す第2の検出信号が入力されるまでの期間に限定することができる。
  また、上記の目的を達成するため、第3の発明は、第2の発明における制御手段が、第1の検出信号が入力され、かつ、記憶手段に非応答情報が記録されているときは、電源部から着信報知手段へ電源を供給させて着信報知動作をさせるように動作することを特徴とする。この発明では、着信報知器の使用者が、一時的に着信報知器を保持していない間に着信があったときや、着信報知器を保持している最中でも着信があったことに気付かなかったときは記憶手段に非応答情報を記憶し、記憶手段に非応答情報が記憶されているときには、人体に着信報知器が接触していることを示す上記の第1の検出信号入力により、着信信号検出に関係なく、着信報知をすることができる。
  また、上記の目的を達成するため、第4の発明は、第2の発明における制御手段が、保持検出手段から人体が着信報知器に非接触であることを示す第2の検出信号が入力され、かつ、記憶手段に非応答情報が記録されているときは、保持検出手段から人体が着信報知器に接触していることを示す第1の検出信号が入力されたときに、電源部から着信報知手段へ電源を供給させて着信報知動作をさせるように動作することを特徴とする。この発明では、記憶手段に非応答情報が記録されているときは、着信報知器の使用者が着信報知器に触れた適切なタイミングで、着信があったことを使用者に報知することができる。
  また、上記の目的を達成するため、第5の発明は、第2の発明における制御手段が、第1の検出信号が入力され、かつ、記憶手段に非応答情報が記録されているときは、電源部から着信報知手段へ電源を供給させて着信報知動作をさせ、その着信報知動作を、保持検出手段から人体が着信報知器に非接触であることを示す第2の検出信号が入力されることにより電源部から着信報知手段への電源供給を遮断するまで継続するように動作することを特徴とする。
  この発明では、記憶手段に非応答情報が記録されているときは、着信があったことを使用者に報知し、その報知中に着信報知器の使用者が着信報知器に非接触の状態となったときは、直ちに報知動作を停止し電源供給を遮断するようにしたため、無駄な電力消費を低減することができる。
  また、上記の目的を達成するため、第6の発明は、携帯通信端末本体と着信報知器との間の距離を検出して距離情報を生成する距離検出手段と、着信報知器の移動状況を検出して移動状況情報を生成する移動状況検出手段と、使用者の状態情報を通知する状態通知手段とを更に有し、制御手段は、タイマ部の動作開始後、第2の検出信号が入力されることなく規定の時間経過したときは、距離情報及び移動状況情報に基づいて、使用者の状態を予測し、その予測した使用者の状態情報を状態通知手段を介して携帯通信端末本体へ通知させ、携帯通信端末本体は、着信報知器から状態情報を通知されたときは、その状態情報を発呼者へ自動送信する送信手段を有することを特徴とする。
  従来の端末本体に外付けの着信報知器においては距離検出手段や移動状況検出手段を有していなかったのに対し、この発明においては着信報知器に距離検出手段と移動状況検出手段及び状態通知手段を備えたことにより、それらと前述の保持検出手段を併用することにより着信報知器の使用者がどのような状況にあるかを予測すると共に、予測した使用者の状態情報を状態通知手段を介して携帯通信端末本体へ通知し、携帯通信端末本体により、その状態情報を発呼者へ自動送信するようにしたため、着信報知器の報知に使用者が規定の時間内に気付かなかった場合においても、発呼者に着信報知器の使用者の状況を通知できる。
  本発明によれば、着信検出手段により着信信号が検出されたことだけでは、電源部から着信報知手段への電源供給は行わず、使用者の意思によらず動作する保持検出手段から人体が着信報知器に接触していることを示す第1の検出信号が入力され、かつ、着信検出手段により着信信号が検出されたときに、はじめて電源部から着信報知手段へ電源を供給させて着信報知動作をさせるようにしたため、電源部を構成するバッテリを長寿命化することができる。
  また、本発明によれば、着信があったことを使用者に適切なタイミングで通知することでき、更に着信報知器の報知に使用者が気付かなかった場合においても、発呼者に着信報知器の使用者の状況を通知できる。
  次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
    (第1の実施の形態)
  図1は本発明になる携帯通信端末の第1の実施の形態のブロック図を示す。同図に示すように、本実施の形態の携帯通信端末は、携帯電話本体10Aと着信報知器20Aとからなる。携帯電話本体10Aは、最寄りの基地局(図示せず)及び網を介して相手端末と通信を行うための周知の回路部を備えており、着信があったことを携帯電話本体10Aとは筐体を異にする(すなわち、別体で設けられた)着信報知器20Aへ伝えるための、着信通知部11を有する。なお、携帯電話本体10Aの基本構成は、当業者にとってよく知られており、また本発明と直接関係しないので、その詳細な説明は省略する。
  また、着信報知器20Aは、携帯電話本体10A内の着信通知部11から通知された着信を検出する着信検出部21と、着信報知器20A内の各部を統括的に制御する制御部22と、制御部22等に電源を供給する電源部23と、人体30に接触しているか否かを検出する接触センサ等で構成される保持検出部24と、人体30に対して着信を報知する着信報知部25とより構成される。人体30は、この携帯電話本体10Aを着信報知器20Aと共に携帯する使用者の人体のことである。着信報知器20Aは、後述する方法でカバンの取っ手に取り付けられる。
  次に、図1の着信報知器20Aの動作を、図2のフローチャートを併せ参照して説明する。まず、図1の電源部23のサブ電源をオン(ON)にする(ステップS1)。続いて、制御部22は保持検出部24の検出状態を監視し(ステップS2)、着信報知器20Aが人体30に接触しているか否か判定する(ステップS3)。制御部22は、保持検出部24の検出状態に基づき、着信報知器20Aが人体30に接触していないと判定したときは、ステップS2に戻り、引き続き保持検出部24の監視を継続し、一方、着信報知器20Aが人体30に接触していると判定したときは、電源部23のメイン電源をオン(ON)とする(ステップS4)。これにより、図1の着信検出部21の電源もオン状態となり、制御部22は着信検出部21の監視を開始する。
  その後、制御部22は、着信検出部21から着信検出信号が入力されたかどうか判定し(ステップS5)、着信検出信号が入力されるまで、すなわち、着信を検出するまで、着信検出部21の監視を継続する(着信があったかどうかを監視し続ける)。制御部22は、着信検出部21から着信検出信号が入力されたと判定した場合には、図1の着信報知部25をオン(ON)にして(ステップS6)、着信があったことを人体30に例えば振動等にて報知する。
  制御部22は、続いて、着信検出を終了したかどうかを、着信検出部21から着信検出信号が入力されなくなったかどうかで判定し(ステップS7)、着信検出信号が入力されている間は、着信報知部25をONし続け(ステップS6)、着信報知部25により着信があったことを人体30に報知するのを継続させる。
  ステップS7で着信検出が終了したと判定した場合には、制御部22は、保持検出部24の状態を再び監視して、着信報知器20Aが人体30に接触しているか否か判定する(ステップS8)。制御部22は、ステップS8にて保持検出部24の検出状態に基づき、着信報知器20Aが人体30に接触していると判定したときは、「使用者は、着信報知器20Aを身に着けてはいるが、着信に気付いていない。」と捉え、ステップS6に戻り、着信報知を継続する。
  一方、ステップS8において、制御部22は、保持検出部24の検出状態に基づき、着信報知器20Aが人体30に接触していないと判定したときは、「使用者は、着信報知に気付いたか、若しくは着信報知器20Aを身に着けていない」と捉え、着信報知部25をオフ(OFF)した後(ステップS9)、電源部23のメイン電源をOFFし(ステップS10)、サブ電源ONの状態に戻る。
  このように、本実施の形態によれば、保持検出部24にて着信報知器20Aが使用者の人体30に接触しているか否かを監視し、着信報知器20Aが使用者の人体30に接触しているとの監視結果が得られた場合にのみ、電源部22のメイン電源をONにして着信報知を行うようにしているので、電源部22のバッテリーライフが長くなるという効果がある。
  なお、前記特許文献3には接触センサにより使用者が携帯端末に触れていないことを検出した場合は、携帯端末を使用していないと判断して、電源回路に対し電源の制限を指示する構成が開示されているが、本実施の形態のように、保持検出部24にて人体30に接触していると判断した時に、着信を検出した場合にメイン電源をONして着信報知する構成は開示されていない。また、前記特許文献4には節電モード中に使用者が接触センサに接触した場合にのみ、通常モードとして表示部に電源を供給する構成が開示されているだけであり、上記の本実施の形態は開示されていない。
  また、この実施の形態では、着信検出の終了後も保持検出部24の状態を監視し、監視結果に応じて着信報知部25のON/OFFを制御しているので、仮に使用者が着信検出中に着信に気付かなかった場合でも、必要に応じて使用者への報知を継続することができるため、使用者が着信のあったことに早く気付くことができるという効果もある。
  なお、上記の保持検出部24の実現手段としては、荷重を検出する圧力センサをはじめ、振動を検出する加速度センサや、人体の体温を感知する温度センサでもよい。また、上記実施の形態の着信報知部25の実現手段としては、バイブレータとして説明したが、音を発するスピーカや、光を発する発光ダイオードや、熱を発生する発熱器等としてもよい。更に、携帯電話本体10Aの着信通知部11から着信報知器20Aの着信検出部21への情報伝達手段については、ブルーツース(Bluetooth)などの近距離無線通信、赤外線通信、音波による通信、ケーブル接続による通信など、いずれの手段でもよい。
  次に、図1の着信報知器20Aの実際の使用例について、図3及び図4と共に説明する。図3は、着信報知器20Aをカバン41の取っ手42に取り付けておくことにより、カバン41の中に収納されている携帯電話本体10Aの着信が、所定の情報伝達手段を介して取っ手42に取り付けられた着信報知器20Aに伝達され、更に着信報知器20Aから人体30に着信が通知される様子を示している。
  図4は、着信報知器をカバンの取っ手に取り付ける手法の一具体例を示す。図4において、長方形のシート状の巻き付け用素材44の所定位置に着信報知器20Aを埋め込み、その巻き付け用素材44をカバンの取っ手43に巻き付け、巻き付け用素材44の四隅に設けた接合部45a及び接合部45bで固定する。接合部45a及び接合部45bにマジックテープ(登録商標)等の着脱可能な手段を用いることにより、着信報知器20Aを任意のカバンの取っ手43に取り付け可能となる。
  なお、図3及び図4では着信報知器20Aをカバンの取っ手42、43に装着する例を記載しているが、装着する場所は使用者の人体30に接触する可能性のある場所であれば、カバンの取っ手以外のいずれの場所でも構わない。例えば、靴の中敷、ネックレス、眼鏡のツル、腕時計などである。
    (第2の実施の形態)
  次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図5は本発明になる携帯通信端末の第2の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付してある。図5に示す実施の形態の基本的構成は、図1の第1の実施の形態と同様であるが、更に細かな電源制御及び報知機能を付加するようにしたものである。
  図5において、本実施の形態の携帯通信端末は、携帯電話本体10Bと着信報知器20Bとからなる。携帯電話本体10Bは、着信があったことを携帯電話本体10Bとは筐体を異にする(すなわち、別体で設けられた)着信報知器20Bへ伝えるための、着信通知部11と、着信報知器20Bから通知された状態情報を検出する状態検出部12とを有する。なお、携帯電話本体10Bの基本構成は、当業者にとってよく知られており、また本発明と直接関係しないので、その詳細な説明は省略する。
  また、着信報知器20Bは、携帯電話本体10B内の着信通知部11から通知された着信を検出する着信検出部21と、着信報知器20B内の各部を統括的に制御する制御部26と、制御部26等に電源を供給する電源部23と、人体30に接触しているか否かを検出する接触センサ等で構成される保持検出部24と、人体30に対して着信を報知する着信報知部25と、移動状況を検出する移動状況検出部27と、距離検出部28と、メモリ部29と、タイマ部2Aと、状態通知部2Bとから構成される。着信報知器20Bは図3又は図4と同様の方法でカバンの取っ手、又は人体30に接触する可能性のある場所に取り付けられる。
  移動状況検出部27は、着信報知器20Bの移動状況を検出する回路部で、例えば、加速度センサあるいは全世界測位システム(GPS;Global Positioning System)を構成するGPS衛星から送信されたGPS信号を受信して位置情報を取得するGPS受信機などで構成され、検出された移動状況情報は着信報知器20Bの使用者の状況を予測するための判断材料として用いられる。
  距離検出部28は、着信報知器20Bと携帯電話本体10Bの距離を検出する回路部であり、携帯電話本体10Bの着信通知部11から着信報知器20Bの着信検出部21への情報伝達手段である、Bluetooth通信、赤外線通信、音波による通信、又はケーブル接続による通信などいずれかの手段の信号遅延等を算出することにより、上記の距離を検出し、得られた距離情報は着信報知器20Bの使用者の状況を予測するための判断材料として用いられる。
  メモリ部29は、着信報知器20Bの使用者が一時的に着信報知器20Bを保持していない間に着信があったこと、又は着信報知器20Bを保持している間に着信に気付かなかったこと、すなわち着信非応答情報を記憶する。タイマ部2Aは、規定の時間内に着信報知器20Bの使用者が着信に気付くかどうかを判断するための判断材料として、予め定めた規定時間を計時し、規定時間満了時にタイマ信号を出力する。
  状態通知部2Bは、着信報知器20Bの状態情報を携帯電話本体10B内の状態検出部12に通知する回路部で、Bluetooth通信、赤外線通信、音波による通信、ケーブル接続による通信などのうち、いずれかの手段で状態情報を通知する。制御部26は、保持検出部24、移動状況検出部27及び距離検出部28より得た各種情報に基づいて着信報知器20Bの使用者の状況を予測し、予測した使用者の状況情報を状態通知部2Bにより携帯電話本体10Bへ通知させる。
  次に、図5の着信報知器20Bの動作を、図6のフローチャートを併せ参照して説明する。まず、図5の電源部23のサブ電源をオン(ON)にする(ステップS11)。続いて、制御部26は保持検出部24の検出状態を監視し(ステップS12)、着信報知器20Bが人体30に接触しているか否か判定する(ステップS13)。制御部26は、保持検出部24の検出状態に基づき、着信報知器20Bが人体30に接触していないと判定したときは、ステップS12に戻り、引き続き保持検出部24の監視を継続し、一方、着信報知器20Bが人体30に接触していると判定したときは、電源部23のメイン電源をオン(ON)とする(ステップS14)。これにより、図5の着信検出部21の電源もオン状態となり、制御部26は着信検出部21の監視を開始する。
  その後、制御部26は、図5のメモリ部29に着信があった旨の記録(着信に対して応答しなかったことを示す非応答情報の記録)が残っているかどうか確認する(ステップS15)。確認の結果、着信があった旨の記録が残っていた場合には、着信報知部25をONとして人体30に着信があった旨を人体30に報知した後(ステップS16)、メモリ部29の記録をクリアし(ステップS17)、更に着信報知部25をOFFにした後(ステップS18)、電源部23のメイン電源を再びOFFとして(ステップS19)、着信報知器20Bをサブ電源ONの状態に戻す。
  一方、制御部26は、ステップS15の確認の結果、メモリ部29に、着信があった旨の記録が残っていないことを確認した場合には、着信検出部21の監視を開始する。すなわち、制御部26は、着信検出部21から着信検出信号が入力されたかどうか判定し(ステップS20)、着信検出信号が入力されるまで、すなわち、着信を検出するまで、ステップS15、S20の処理を繰り返し、着信検出部21の監視を継続する(着信があったかどうかを監視し続ける)。
  制御部26は、着信検出部21から着信検出信号が入力されたと判定した場合には、図5のタイマ部2Aの監視を開始し(ステップS21)、続いて図5の着信報知部25をONにして(ステップS22)、着信があったことを人体30に例えば振動等にて報知する。制御部26は、続いて、タイマ部2Aが規定時間を経過したかどうか判定し(ステップS23)、規定時間を経過していない場合は着信検出を終了したかどうかを、着信検出部21から着信検出信号が入力されなくなったかどうかで判定し(ステップS24)、着信検出信号が入力されている間は、着信報知部25をONし続け(ステップS22)、着信報知部25により着信があったことを人体30に報知するのを継続させる。
  制御部26は、ステップS24で着信検出が終了したと判定した時は、保持検出部24の状態を再び監視して、着信報知器20Bが人体30に接触しているか否か判定する(ステップS25)。制御部26は、ステップS25にて図5の保持検出部24の検出状態に基づき、着信報知器20Bが人体30に接触していると判定したときは、「使用者は、着信報知器20Bを身に着けてはいるが、着信に気付いていない。」と捉え、ステップS22に戻り、着信報知を継続する。
  一方、ステップS25において、制御部26は、保持検出部24の検出状態に基づき、着信報知器20Bが人体30に接触していないと判定したときは、「使用者は、着信報知に気付いたか、若しくは着信報知器20Bを身に着けていない」と捉え、タイマ部2Aの監視を終了し(ステップS26)、更に着信報知部25をOFFした後(ステップS27)、電源部23のメイン電源をOFFし(ステップS28)、サブ電源ONの状態に戻る。
  また、ステップS23において、制御部26は、タイマ部2Aが規定時間を経過したと判定した場合は、図5の距離検出部28にて携帯電話本体10Bと着信報知器20Bとの距離情報を入手し(ステップS29)、更に図5の移動状況検出部27から着信報知器20Bの移動状態を入手した後、図5の保持検出部24の情報を入手する(ステップS31)。その後、制御部26は、入手した各種の情報を基に、着信報知器20Bの使用者がどういう状況にあるかを予測する(ステップS32)。
  続いて、制御部26は、予測した着信報知器20Bの使用者の状態を図5の状態通知部2Bを介して携帯電話本体10Bの状態検出部12に通知させる(ステップS33)。続いて、制御部26は、図5のメモリ部29に着信があった旨を記録しておく(ステップS34)。その後、制御部26は、図5のタイマ部2Aの監視を終了し(ステップS26)、更に着信報知部25をOFFした後(ステップS27)、電源部23のメイン電源をOFFし(ステップS28)、サブ電源ONの状態に戻る。
  このように、この第2の実施の形態では、仮に着信報知器20Bの使用者が着信に気付かずタイマ部2Aで設定した規定時間を経過した場合は、メモリ部29に着信があったことを記録しておき、それに基づいて着信報知部25をONにして着信を報知するようにしたため、着信報知器20Bの使用者に対し、気付かなかった着信があることを知らせることができるという効果がある。
  なお、図6では着信報知器20Bが人体30に接触している場合にのみ、メモリ部29に着信があったことの記録に基づいて着信報知部25をONにして、使用者に気付かなかった着信を報知するようにしているが(ステップS12〜S19)、メモリ部29に着信があったことの記録に基づいて、より適切なタイミングで着信報知器20Bの使用者に対して、気付かなかった着信があることを確実に知らせることができる。
  すなわち、「適切なタイミング」の一例として、着信に応答しなかったこと(着信があった旨)がメモリ部29に記憶されている場合で、かつ、着信報知器20Bが使用者の人体30に接触していない場合は、着信報知器20Bが人体30へ新たに接触したタイミングで気付かなかった着信があることの報知を開始する。また、「適切なタイミング」の他の例として、着信に応答しなかったこと(着信があった旨)がメモリ部29に記憶されている場合で、かつ、着信報知器20Bが使用者の人体30に接触している場合は、着信報知を継続するが、この報知継続中に、着信報知器20Bが人体30へ接触していない状態になった時には、着信報知を終了する。
  例えば、携帯電話本体10Bがカバンの中に入れられた状態で、使用者がカバンから離れていた場合、従来はカバンの中に入れられている携帯電話本体に触れて液晶画面を見なければ着信に応答しなかったことに気付かないが、この実施の形態では、着信報知器20Bが図3又は図4と同様の方法でカバンの取っ手に取り付けられるようにしたため、その後に使用者がカバンの取っ手に触れるだけで着信に応答しなかったことに気付くことができる。
  また、この実施の形態では、着信報知器20Bに移動状況検出部27と距離検出部28とを備え、保持検出部24と併用することにより、着信報知器20Bの使用者がどのような状況にあるかを予測すると共に、予測した状況情報を状態通知部2Bを介して携帯電話本体10Bへ通知するようにしたため、携帯電話本体10Bが状態検出部12で得られた状況情報を自動応答メッセージ等にて発呼先へ通知することにより、仮に着信報知器20Bの使用者が着信に気付かなかった場合でも、発呼者に対して着信報知器20Bの使用者の状況を知らせることができるという効果がある。
  なお、前記の特許文献5には、着信未応答の情報と共に着信した相手の名前及び電話番号を着信メモリに記憶する技術が開示されているが、本実施の形態のように、メモリ部29に着信に応答しなかったことを記憶しておき、それを利用し、かつ、人体30との接触状況をも加味して、適切なタイミングで着信報知したり、あるいは発呼者に対して自動応答メッセージで着信に気付かないことを知らせることは全く開示されておらず、仮に、前記の特許文献3や特許文献4に記載の接触センサの検出結果に応じた電源制御の発明を特許文献5記載の発明と組み合わせても、この実施の形態を構成することはできない。
  なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、簡易型携帯電話機(PHS)、簡易型携帯情報機器(PDA)等の他の携帯通信端末にも本発明を適用できることは勿論である。