(実施の形態1)
  以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
  図2は本発明の実施の形態1に係るデジタル映像配信システムの概略図である。
  図2において、放送局である放送センタ201はデジタル映像を電波で配信する放送局であり、デジタル映像の放送とデータ放送を行うことができる。データ放送は、放送局が独自に作成した、デジタル映像に付随したBML(BML:Broadcast  Markup  Language)データや、独自フォーマットのデータを送信することが可能である。放送センタ201は、デジタル映像受信装置である端末203および端末205から送信されるデータをネットワーク207を介して受信し、データ放送のフォーマットに従って放送することができるものとする。
  ネットワーク上の映像サーバである配信センタ202は、デジタル映像データを、ネットワーク207を介して配信する映像サーバ群と、暗号鍵情報の配布を行う鍵サーバ群で構成される。デジタル映像データは、配信時もしくはあらかじめ暗号化されており、これを受信して映像を表示するにはデジタル映像データの暗号をデコードするための鍵情報が必要となる。また、デジタル映像データごとにデコードするための鍵情報は異なる。従って、配信センタ202から送信される映像を端末203もしくは端末205で視聴するためには、あらかじめ鍵サーバから適切な鍵情報を入手する必要がある。
  端末203および端末205は、放送センタ201から送信されるデジタル映像と、配信センタ202からネットワーク207を介して配信されるデジタル映像を受信し、表示する端末である。キーカード204およびキーカード206は使用者を特定するための識別子および鍵情報を記録するデバイスである。
  以下、デジタル放送受信装置およびキーカードの詳細を、図1を参照して説明する。
  図1は本発明の実施の形態1におけるデジタル映像受信装置の構成図である。
  図1において、キーカード部101は図2のキーカード204もしくはキーカード206に相当し、キーカード部101は少なくともキーカードの識別情報を保持するカードID格納部1012と、配信センタ202から取得した鍵情報を保存するキー格納部1013からなる。キーカードインタフェース部102は、キーカード部101が保持するカード識別情報の取得、キー格納部1013への鍵情報の保存と読み出し、キーカード部101から読み出した鍵情報の暗号処理部への設定、放送センタ201へのデータの送信、他のデジタル放送受信装置のキーカードインタフェース部との通信を行う。
  プロトコル処理部103は放送センタ201、配信センタ202および他のデジタル放送受信装置との通信において使用されるプロトコル処理を行う。通信プロトコルとして一般的に使用されるTCP(Transmission  Control  Protocol)/IP(Internet  Protocol)による通信およびSSL(Secure  Socket  Layer)などによる秘匿通信、また配信センタから送信されるデジタル映像を格納したUDP(User  Datagram  Protocol)による通信が可能である。
  ネットワークインタフェース部104は通信ネットワークの物理レイヤに相当し、たとえばEthernet(登録商標)インタフェースなどを用いる。個々のデジタル放送受信装置には、そのネットワークに固有のネットワークアドレス情報がサーバもしくはユーザから付与され、ネットワークインタフェース(I/F)部104に保持される。
  放送受信部105はアンテナ110によって放送センタ201から送信されるデジタル放送信号を受信する。ストリーム処理部106は、放送受信部105によって受信された放送信号から、デジタル映像データと、データ放送によって送信されたデータを分離する。
  端末情報検索部107は、ストリーム処理部106から出力された、データ放送に格納されたデータから、他の端末のカード識別子および、ネットワークアドレス情報を抽出する。暗号処理部108は、プロトコル処理部103で受信された配信センタからのデジタル映像データもしくはストリーム処理部106で分離されたデジタル映像データが入力され、また、キーカードインタフェース部102から暗号化されたデジタル映像データを復号するための鍵情報が入力され、暗号化されたデジタル映像データの復号が行われる。映像・音声再生部109は、暗号処理部108で復号されたデジタル映像データの復号が行われ、ブラウン管や液晶パネル(図示せず)に表示を行う。
  次に、図3を参照して、デジタル映像受信装置203が配信センタ202から鍵情報を取得し、デジタル映像データを再生し、保有する権利の一覧とネットワークアドレスを配信センタに登録するまでの動作を説明する。
  図3は、デジタル映像受信装置におけるキーカードインタフェース部102が、配信センタ202から鍵情報を取得し、デジタル映像データを再生するときの動作を示すフローチャートである。図3を用いて、端末203を例にとって、その動作を説明する。
  まず、ユーザはリモコンなどを操作し、配信センタ202に保存されたデジタル映像データから、視聴するデータを選択する。データを選択する手段は、画面上に表示されたGUI(Graphical  User  Interface)などから行う。視聴するデータが決定すると、その映像データを一意に特定するURL(Universal  Resource  Locater)をGUIから取得し、鍵情報の取得リクエストにURLを含めて配信センタ202に送信する(ステップS301)。
  配信センタ202は指定されたURLの映像データの暗号をデコードするための鍵情報を生成し、リクエストを送信した端末203に取得レスポンスとして送信する。キーカードインタフェース部102は、ネットワークインタフェース部104、プロトコル処理部103を介して受信した取得レスポンスより鍵情報を取り出す(ステップS302)。鍵情報には有効期限や利用回数制限などの付帯情報が付属していてもよい。キーカードインタフェース部102は取り出した鍵情報と、取得リクエストで送信したURLをペアとして、キーカード部のキー格納部1013に記録する(ステップS303)。
  次に、キーカードインタフェース部102は、ユーザからのリモコン操作などによる指示を待ち(ステップS304)、再生開始が指示された場合は(ステップS305)、URLを検索条件としてキー格納部1013から鍵情報を取得し(ステップS3051)、暗号処理部108に鍵情報を設定する(S3052)。次に、配信センタ202に映像データの送信をRTSP(Real−Time  Streaming  Protocol)などを用いて指示する(ステップS3053)。
  次に、キーカードインタフェース部102は、カードID格納部1012およびキー格納部1013から保存されている鍵情報に関連付けられたURLの一覧とキーカード識別子を取得し(ステップS307)、プロトコル処理部103、ネットワークインタフェース部104を介してネットワークアドレスを付加して放送センタ201に送信する(ステップS308)。このとき、放送センタ201の通信は第3者から通信内容を秘匿するために、暗号化通信などの手段を用いる。
  キーカードインタフェース部102は、再生停止が指示された場合は(ステップS306)、配信センタ202にRTSPなどの手段でデータ送信停止を指示し(ステップS3061)、鍵情報の有効判定を行う。キーカードインタフェース部102は、鍵情報の付帯情報に基づき、有効期限や利用回数の判定を行い、鍵情報が無効と判定された場合は(ステップS3062)、キー格納部1013の鍵情報およびそれに関連付けられたURL、付帯情報を消去する(ステップS3063)。キーカードインタフェース部102は、消去処理を終えると、上述したステップS307、ステップS308の処理を行い、ユーザからの支持を待つ(ステップS304)。また、ステップS306において、再生停止が指示されていない場合もステップS304に戻る。
  この動作により、配信センタ202から暗号化された映像データを取得し、映像データの視聴を行い、かつユーザが視聴可能なコンテンツの情報を放送センタ201に送信することができる。
  次に、図4を参照して、端末205が端末203に格納された鍵情報を利用し、配信センタ202から受信したデジタル映像を表示するまでの動作を説明する。
  図4は、キーカードインタフェース部102および端末情報検索部107が、配信センタ202から送信された鍵情報を取得し、デジタル映像データを再生するときの動作を示すフローチャートである。
  端末205が、放送センタ201から、端末203が送信したURLの一覧とキーカード識別子、ネットワークアドレスを受信すると(図示せず)、端末205の端末情報検索部107は受信したキーカード識別子と、自装置に装着されたキーカード部101のカードID格納部1012に格納されたキーカード識別子を比較する(ステップS401)。端末205のキーカードインタフェース部102は端末情報検索部107による検索結果が、キーカード識別子が同一である場合(ステップS402)、放送センタ201から受信したデータに含まれていたネットワークアドレスで示される端末203と通信を行うためのコネクションをプロトコル処理部103、ネットワークインタフェース部104を制御して作成する(ステップS403)。なお、コネクション作成時に、キーカード識別子を用いた認証や、暗号化によるセキュアな通信を行ってもよい。
  次に、ユーザが端末205のリモコンを操作して、ステップS401で取得したURLの一覧が示すデジタル映像データを選択する。端末205のキーカードインタフェース部102は、URLが確定すると、ステップS403で作成したコネクションを通じて、端末203に対して、鍵設定リクエストをURLとともに送信する(ステップS404)。端末205のキーカードインターフェース部102は、デジタル映像データが選択されると、配信センタ202より鍵情報を受信し、暗号処理部108に鍵情報を設定する(ステップ405)。鍵設定リクエストおよびURLを受信した端末203は(ステップS406)、キーカードインタフェース102がURLと関連付けられた鍵情報をキー格納部1013から取得し(ステップS407)、鍵情報を、ネットワークを介して端末205の暗号処理部108に設定する(ステップS408)。鍵情報の設定は、RPC(Remote  Procedure  Call)などの仕組みを用い、端末203から端末205の機能を直接呼び出してもよい。
  上記の動作により、直接同報通信ができない異なるネットワークセグメントに属した端末間であっても、同じキー識別子を持つキーカードが装着された端末間で、データ放送を利用したデータ配信によって鍵情報が格納された端末のネットワークアドレスを取得することができ、また鍵情報を複製することなくデジタル映像データの鍵情報を取得した端末と別の端末でデジタル映像データを視聴することができる。
  なお、本実施の形態では、映像受信装置が2台の場合について説明したが、3台以上ネットワークに接続されている場合でも同様の処理を行う。
  また、映像データの通信としてRTSP、鍵情報の設定としてRPCを用いたが、これに限定するものではない。