【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両後退時にリヤビューカメラにより撮影された車両後方部の映像をモニタにより表示するリヤビューカメラシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両後退時に、バックミラーだけでは確認することが困難であった車両後方部の障害物等の映像を表示するバックモニタ装置が知られている。この種のバックモニタ装置は、車両後方部を撮影するリヤビューカメラ、リヤビューカメラの電源及び映像信号の制御を行なうカメラコントローラ、並びに撮影された映像を表示するモニタを備えており、リヤビューカメラにより撮影された映像をモニタに表示する。ここで、リヤビューカメラはリアウィンドウの近傍に設置されており、車室内に設置されているモニタ及び車両に設置されているカメラコントローラとは映像信号の出力を行なう映像線及び電力を受給するための電源線により接続されている。
【0003】
ところで、上述のリヤビューカメラとモニタ及びカメラコントローラとを接続する映像線及び電源線は、リヤビューカメラからリアウィンドウの周囲に引き回されて車両前方に設置されているカメラコントローラまで配線されている。従って、リヤビューカメラ使用時に、リヤビューカメラやカメラコントローラから出るノイズは、リアウィンドウにプリント配線されているカーラジオのアンテナ線にのり易く、ラジオの音声に雑音が混入する原因となっている。ラジオの音声に雑音が混入すると、運転者及び同乗者はラジオの音声を聞き取りにくいと感じるだけでなく、ラジオの音声に混入する雑音を不快に感じる。従来、リヤビューカメラやカメラコントローラから出るノイズを消去するために、リヤビューカメラ内部の回路の変更やカメラコントローラの筐体アースを取る等の対策がとられていた。なお、リヤビューカメラやカメラコントローラから出るノイズを消去するための装置として、カーラジオの音量を走行ノイズに依存して制御する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特表平10−504946号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の対策では、ラジオの音声に混入する雑音を完全に取り除くことができないだけでなく、高いコストを必要としていた。
【0006】
この発明の課題は、リヤビューカメラやカメラコントローラから出るノイズによって生じるラジオの音声に混入する雑音により、運転者及び同乗者に不快感を与えることのないリヤビューカメラシステムを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のリヤビューカメラシステムは、リヤビューカメラにより撮影された映像をモニタにより表示するリヤビューカメラシステムにおいて、リヤビューカメラが動作していることを検出する検出手段と、検出手段によりリヤビューカメラが動作していることが検出されたときに、カーラジオに対してミュート信号を出力するミュート信号出力手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
この請求項1記載のリヤビューカメラシステムによれば、リヤビューカメラ作動時にラジオの音声をミュートするため、リヤビューカメラのノイズの影響によりラジオの音声に混入する雑音により、運転者及び同乗者に不快感を与えることを防止することができる。
【0009】
また、請求項2記載のリヤビューカメラシステムは、検出手段がトランスミッション装置から出力されるリバース信号を検出するリバース信号検出手段を備え、ミュート信号出力手段は、リバース信号検出手段によりリバース信号が検出された場合に、ミュート信号を出力することを特徴とする。
【0010】
この請求項2記載のリヤビューカメラシステムによれば、トランスミッション装置から出力されるリバース信号が検出された場合にラジオの音声をミュートする。従って、リヤビューカメラのノイズの影響によりラジオの音声に混入する雑音により、運転者及び同乗者に不快感を与えることを防止することができる。
【0011】
また、請求項3記載のリヤビューカメラシステムは、検出手段がリヤビューカメラの映像信号を検出する映像信号検出手段を備え、ミュート信号出力手段は、映像信号検出手段により映像信号が検出された場合に、ミュート信号を出力することを特徴とする。
【0012】
この請求項3記載のリヤビューカメラシステムによれば、リヤビューカメラの映像信号を検出した場合にラジオの音声をミュートする。従って、リヤビューカメラのノイズの影響によりラジオの音声に混入する雑音により、運転者及び同乗者に不快感を与えることを防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、この実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムの構成を示すブロック図である。
【0014】
このリヤビューカメラシステムは、カメラコントローラ2を備えている。カメラコントローラ2は、電子制御ユニット(ECU)4を介してオートマチックトランスミッション(AT)6に接続されており、AT6から出力されるリバース信号をECU4を介して取得する。また、カメラコントローラ2は、リヤビューカメラ8に接続されており、リヤビューカメラ8の電源の制御を行なうと共にリヤビューカメラ8から出力される映像信号を取得する。
【0015】
ここで、リヤビューカメラ8は、図2に示すように、車両後部に設置されている。図3は、図2のA−A′断面の部分拡大図である。図3に示すように、リヤビューカメラ8は、リアゲートアウターパネル22に設置されており、リアゲートアウターパネル22とリアガーニッシュ24との間に位置している。リヤビューカメラ8と車両前方部に設置されているカメラコントローラ2とは、映像信号の出力を行なう映像線及び電力を受給するための電源線により接続されている。リヤビューカメラ8とカメラコントローラ2とを接続する映像線及び電源線は、リヤビューカメラ8からリアウィンドウ20の周囲に引き回されて車両前方に設置されているカメラコントローラ2まで配線されている。
【0016】
また、カメラコントローラ2は、モニタ制御装置10を介して車室内に設置されているモニタ12に接続されており、モニタ制御装置10にリヤビューカメラ8の映像信号を出力する。また、モニタ制御装置10は、ラジオ14に接続されており、ラジオ14にミュート信号を出力する。
【0017】
次に、図4に示すフローチャートを参照して、第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムのカメラコントローラ2の動作について説明する。
【0018】
まず、AT6をリバースにシフトした場合に、カメラコントローラ2は、ECU4を介して、AT6がリバースにシフトされたことを通知するために出力するリバース信号を取得する(ステップS10)。次に、カメラコントローラ2は、車両後方部をモニタ12に映し出すために設置されたリヤビューカメラ8の電源をオンにする(ステップS11)。次に、ステップS11において電源がオンになり撮影を開始したリヤビューカメラ8から出力される映像信号を取得する(ステップS12)。次に、ステップS12において取得したリヤビューカメラ8の映像信号をモニタ制御装置10に出力する(ステップS13)。
【0019】
次に、カメラコントローラ2は、ECU4からリバース信号が出力されているか否かの判定を行なう(ステップS14)。ステップS14において、ECU4からリバース信号が出力されていると判定された場合には、ステップS12の動作に戻り、ECU4からリバース信号が出力されていないと判定されるまで、ステップS12〜ステップS14の動作を繰り返す。一方、ステップS14において、ECU4からリバース信号が出力されていないと判定された場合には、カメラコントローラ2は、リヤビューカメラ8の電源をオフにする(ステップS15)。
【0020】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムのモニタ制御装置10の動作について説明する。
【0021】
まず、図4のステップS10と同様に、AT6をリバースにシフトした場合に、モニタ制御装置10は、ECU4を介してAT6がリバースにシフトされたことを通知するために出力するリバース信号を取得する(ステップS20)。次に、モニタ制御装置10は、リヤビューカメラ8が撮影する映像を表示するために、モニタ12の画面を通常地図等が表示されているナビゲーションシステムの画面からリヤビューカメラ8からの映像画面に切り替える(ステップS21)。ステップS21の動作と同時に、ラジオ14の音声をミュートするためにラジオ14に対してミュート信号を出力する(ステップS22)。次に、図4のステップS13においてカメラコントローラ2より出力されたリヤビューカメラ8の映像信号を取得する(ステップS23)。そして、ステップS23において取得したリヤビューカメラ8の映像信号に基づいて、リヤビューカメラ8からの映像をモニタ12に表示する(ステップS24)。
【0022】
次に、モニタ制御装置10は、ECU4からリバース信号が出力されているか否かの判定を行なう(ステップS25)。ステップS25においてECU4からリバース信号が出力されていると判定された場合には、ステップS22の動作に戻り、ECU4からリバース信号が出力されていないと判定されるまで、ステップS22〜ステップS25の動作を繰り返す。一方、ステップS25においてECU4からリバース信号が出力されていないと判定された場合には、モニタ制御装置10は、モニタ12の画面をリヤビューカメラ8の映像画面からナビゲーションシステムの地図等が表示されている画面に切り替えると同時に、ラジオ14に対してのミュート信号出力を停止する(ステップS26)。
【0023】
なお、図6は、AT6がリバース信号出力を開始した時点からのリバース信号、リヤビューカメラ電源、リヤビューカメラ映像信号、及びミュート信号のオンオフの状態を示すタイムチャートである。一方、図7は、AT6がリバース信号出力を停止した時点からのリバース信号、リヤビューカメラ電源、リヤビューカメラ映像信号、及びミュート信号のオンオフの状態を示すタイムチャートである。図6に示すように、リヤビューカメラ8の電源がオンされる前に、ラジオ14の音声をミュートするためのミュート信号が出力されラジオ14の音声はミュートされている。また、リバース信号がオンされた後に、リヤビューカメラ8が色調整等を経て立ち上がり映像信号を出力するときには、ラジオ14の音声は確実にミュートされている。
【0024】
一方、図7に示すように、リヤビューカメラの電源がオフされた後に、ラジオ14の音声をミュートするためのミュート信号の出力が停止される。従って、リヤビューカメラの電源がオンの状態のときには、ラジオの音声は確実にミュートされているため、ラジオに混入したカメラノイズの影響による雑音により運転者及び同乗者に不快感を与えることなく、運転者は快適に運転することができる。
【0025】
この第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムによれば、リヤビューカメラ作動時にラジオの音声をミュートするため、リヤビューカメラのノイズの影響によりラジオの音声に混入する雑音により、運転者及び同乗者に不快感を与えることを防止することができる。
【0026】
次に、この発明の第2の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムについて説明する。なお、この第2の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムは、第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムと同一の構成である。この第2の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムの説明においては、第1の実施の形態の説明で用いたのと同一の符号を用いて説明を行なう。
【0027】
また、第2の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムのカメラコントローラ2の動作については、第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムのカメラコントローラ2の動作と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0028】
次に、図8に示すフローチャートを参照して、第2の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムのモニタ制御装置10の動作について説明する。
【0029】
まず、AT6をリバースにシフトした場合に、モニタ制御装置10は、ECU4を介してAT6より出力されるリバース信号を取得する(ステップS50)。次に、モニタ制御装置10は、リヤビューカメラ8からの映像を表示するために、モニタ12の画面を通常地図等が表示されているナビゲーションシステムの画面からリヤビューカメラ8からの映像画面に切り替える(ステップS51)。次に、カメラコントローラ2より出力されたリヤビューカメラ8の映像信号を取得する(ステップS52)。次に、ラジオ14の音声をミュートするためにラジオ14に対してミュート信号を出力する(ステップS53)。次に、ステップS52において取得したリヤビューカメラ8の映像信号に基づいて、リヤビューカメラ8からの映像をモニタ12に表示する(ステップS54)。
【0030】
次に、モニタ制御装置10は、カメラコントローラ2より映像信号が出力されているか否かの判定を行なう(ステップS55)。ステップS55においてカメラコントローラ2より映像信号が出力されていると判定された場合には、ステップS53の動作に戻り、カメラコントローラ2より映像信号が出力されていないと判定されるまで、ステップS53〜ステップS55の動作を繰り返す。一方、ステップS55においてカメラコントローラ2より映像信号が出力されていないと判定された場合には、モニタ制御装置10は、モニタ12の画面をリヤビューカメラ8の映像画面からナビゲーションシステムの地図等が表示されている画面に切り替えると同時に、ラジオ14に対してのミュート信号出力を停止する(ステップS56)。
【0031】
この第2の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムによれば、リヤビューカメラ作動時にラジオの音声をミュートするため、リヤビューカメラのノイズの影響によりラジオの音声に混入する雑音により、運転者及び同乗者に不快感を与えることを防止することができる。
【0032】
なお、上述の各実施の形態においては、モニタ制御装置10がラジオ14に対してミュート信号を出力しているが、カメラコントローラ2またはECU4がラジオ14に対してミュート信号を出力するようにしてもよい。即ち、カメラコントローラ2がラジオ14に対してミュート信号を出力する場合、カメラコントローラ2は、AT6より出力されるリバース信号をECU4を介して取得したときに、ラジオ14にミュート信号を出力する。一方、AT6がリバース信号を出力しなくなったときに、ラジオ14に対するミュート信号の出力を停止する。
【0033】
また、ECU4がラジオ14に対してミュート信号を出力する場合、ECU4は、AT6より出力されるリバース信号を取得したときにラジオ14にミュート信号を出力する。一方、AT6がリバース信号を出力しなくなったときにラジオ14に対するミュート信号の出力を停止する。
【0034】
なお、上述の実施の形態では、オートマチックトランスミッション装置からリバース信号を取得する例を示したが、マニュアルトランスミッション装置の場合も同様である。
【0035】
また、ミュート信号はカーラジオに出力する例を示したが、リヤビューカメラの動作によりリヤビューカメラからのノイズの影響を受ける他の音響機器に適用してもよい。
【0036】
【発明の効果】
この発明のリヤビューカメラシステムによれば、リヤビューカメラ作動時にラジオの音声をミュートするため、リヤビューカメラのノイズの影響によりラジオの音声に混入する雑音により、運転者及び同乗者に不快感を与えることを防止することができる。
【0037】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムのブロック構成図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラの設置位置を説明するための図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラの設置位置を説明するための部分拡大図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態にかかるカメラコントローラの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】この発明の第1の実施の形態にかかるモニタ制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】この発明の第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムの動作開始時における処理を説明するためのタイムチャートである。
【図7】この発明の第1の実施の形態にかかるリヤビューカメラシステムの動作終了時における処理を説明するためのタイムチャートである。
【図8】この発明の第2の実施の形態にかかるモニタ制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2…カメラコントローラ、4…ECU、6…オートマチックトランスミッション、8…リヤビューカメラ、10…モニタ制御装置、12…モニタ、14…ラジオ。