【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像表示装置の光学ユニットに関し、より詳しくは、立体映像表示を可能とする高精細映像表示装置の光学ユニット及びそれを用いた高精細立体表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高精細映像表示を実現させる方法として緑色の画素ずらし方式などが知られている。また、立体映像表示を実現させる方法としては偏光メガネ方式などの偏光方式の2眼立体表示法が知られている。
【0003】
まず、従来の緑色の画素ずらし方式による表示装置について、図6を参照して説明する。図6は、従来の表示装置による表示システム50の模式図である。図6に示した表示システム50は、RB投射型表示装置52と、デュアルG投射型表示装置51と、スクリーン43と、により構成される。
【0004】
ここで、RB投射型表示装置52は、R画像とB画像とをスクリーン43に投射するRB光学ユニット20、光源ランプ31及び投射レンズ32を備えた投射型表示装置である。
【0005】
また、デュアルG投射型表示装置51は、G画像と画素ずらししたG画像をスクリーン43に投射する緑色の画素ずらし方式のデュアルG光学ユニット10、光源ランプ31及び投射レンズ32を備えた投射型表示装置である。
【0006】
なお、R画像、G画像(及び画素ずらししたG画像)、B画像は、画像をR、G、Bの3原色に分離し3枚の表示素子(パネル)を用いて投射する三板式表示装置のR、G、Bそれぞれの画像に相当するものである。
【0007】
ここで、デュアルG光学ユニット10について、図2、図6及び図7を参照して説明する。図7は、従来のデュアルG光学ユニット10の構成を示したブロック図である。図7に示したデュアルG光学ユニット10は、光源ランプ31(図6参照)が放射する白色光よりG光のみを透過させるGダイクロ2と、Gダイクロ2を透過したG光を、互いに直交する偏光のS波とP波とに分離する板状PBS11と、S波とP波とに分離されたG光であるG光a(P波)、G光b(S波)を反射型液晶素子7、反射型液晶素子8に導くPBS5、PBS6と、それらのG光を入射してG映像光a(S波)を反射させる反射型液晶素子7、G映像光b(S波)を反射させる反射型液晶素子8と、G光b(S波)及びG映像光b(S波)の偏光方向を90°回転させるλ/2板12、13と、G映像光a(S波)とλ/2板13により偏光方向を90°回転させたG映像光b(P波)とを投射レンズ32へ導くPBS14と、を備えている。なお、PBS(Polarized  Beam  Splitter)とはS波を透過させP波を反射させる偏光ビームスプリッターと呼ばれる素子である。また、ダイクロとは所定の波長の光のみを透過させる素子である。
【0008】
次に、その動作について説明する。光源ランプ31が放射する白色光を入射したGダイクロ2は、G光を透過させる。このランダムな偏光であるG光を入射した板状PBS11は、そのうちG光a(P波)を反射させG光b(S波)を透過させる。以下、G光a、G光bに分けて説明する。
【0009】
(G光aの場合)
板状PBS11からのG光a(P波)を入射したPBS5は、このG光a(P波)を反射させその光路を90°折り曲げ反射型液晶素子7へ向け出射する。このG光a(P波)を入射した反射型液晶素子7は、その内部で偏光方向を90°回転させG映像光aをS波として出射する。このG映像光a(S波)を入射したPBS5は、それを透過させPBS14へ出射する。PBS5からのG映像光a(S波)を入射したPBS14は、それを透過させ投射レンズ32へ出射する。
【0010】
(G光bの場合)
また、G光b(S波)を入射したλ/2板12は、その偏光方向を90°を回転させP波とする。このG光b(P波)を入射したPBS6は、それを反射させその光路を90°折り曲げ反射型液晶素子8へ向け出射する。このG光b(P波)を入射した反射型液晶素子8は、その内部で偏光方向を90°回転させG映像光bをS波として出射する。このG映像光b(S波)を入射したPBS6は、それを透過させλ/2板13へ出射する。PBS6からのG映像光b(S波)を入射したλ/2板13は、その偏光方向を90°回転させ映像光をP波としてPBS14へ出射する。このG映像光b(P波)を入射したPBS14は、それを反射させその光路を90°折り曲げ投射レンズ32へ向け出射する。
【0011】
ここで、例えば、G画像をG映像光a(S波)とし、画素ずらししたG画像をG映像光b(P波)として、RB投射型表示装置52のR映像光(S波)とB映像光(S波)と共にそれらをスクリーン43に投射することにより、緑色の画素ずらし方式による高精細表示を行うことができる。
【0012】
なお、緑色の画素ずらし方式による高精細表示装置に関しては、「液晶プロジェクタ装置」(特許文献1参照)、「投射システム」(特許文献2参照)などが開示されている。また、偏光方式の2眼立体表示法とは、観視者が偏光メガネをかけ異なる偏光をもつ2つの表示装置からの映像を右目、左目それぞれに分離して見ることにより2眼立体表示を実現する表示法である。
【0013】
【特許文献1】
特願2002−132485号(第5−12頁、第1図)
【特許文献2】
特願2002−131898号(第4−15頁、第1図)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、以上説明した従来の緑色の画素ずらし方式の表示装置では、それぞれの画像を異なる偏光(互いに直交した偏光)であるP波とS波として出力している。この状態で、さらに、この表示装置を2台使った偏光方式の2眼立体表示法(偏光メガネ方式など)による立体映像表示を行おうとしても、1台の表示装置から出力される光の偏光が揃っていないので実現することができない。すなわち、緑色の画素ずらし方式、偏光方式の2眼立体表示法のどちらも光の偏光を利用しているので、それらを両方同時に用いることができないという問題があった。そのため緑色の画素ずらし方式、2眼立体表示法のいずれかを光の偏光に依らないものとする必要が生じた。
【0015】
本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、光の偏光に依らない画素ずらし方式により高精細映像表示を可能とする表示装置の光学ユニット及びそれを用いた高精細立体映像表示を行う表示システムを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず請求項1に記載の光学ユニットは、白色光より所定の波長領域の色光を分離する色光分離手段と、この色光分離手段で分離された色光から、所定の偏光成分のみをもつ直線偏光色光を分離する直線偏光色光分離手段と、この直線偏光色光分離手段で分離された直線偏光色光を所定の波長で第1の照射光と第2の照射光とに分割する色光分割手段と、前記第1の照射光を前記第1の反射型表示素子へ導くと共に、前記第1の反射型表示素子で反射されて出力される前記第1の映像光を透過させる第1の照射光誘導手段と、前記第2の照射光を前記第2の反射型表示素子へ導くと共に、前記第2の反射型表示素子で反射されて出力される前記第2の映像光を透過させる第2の照射光誘導手段と、前記第1の映像光及び前記第2の映像光の出射方向を同一とする映像光路変更手段と、を備える構成とした。
【0017】
かかる構成によれば、光学ユニットは、色光分離手段により白色光から所定の波長領域の色光を分離し、直線偏光色光分離手段により所定の波長領域の色光から所定の偏光成分をもつ直線偏光色光を分離する。さらに、その直線偏光色光を色光分割手段により所定の波長で第1の照射光と第2の照射光とに分割する。そして、第1の照射光誘導手段により前記第1の照射光を前記第1の反射型表示素子へ導くと共に、前記第1の反射型表示素子で反射されて出力される前記第1の映像光を透過させる。また、第2の照射光誘導手段により前記第2の照射光を前記第2の反射型表示素子へ導くと共に、前記第2の反射型表示素子で反射されて出力される前記第1の映像光を透過させる。さらに、映像光路変更手段によりこの照射光を入射した第1の反射型表示素子、第2の反射型表示素子が出力する第1の映像光、第2の映像光の出射方向を同一とする。これにより、同一偏光で異なる波長の2映像光を出射する。
【0018】
ここで、例えば、所定の偏光成分をP偏光成分、その波長領域をλ1からλ2、所定の波長をλ3(λ1<λ3<λ2)とすると、次のようになる。光学ユニットは、色光分離手段により白色光から所定の波長領域の色光を分離し、直線偏光色光分離手段によりその色光からP偏光成分をもつ色光(P波)を分離する。さらに、この色光(P波)を色光分割手段によりその波長領域λ1からλ2において波長λ3を境界に分割して第1の照射光(λ<λ3、P波)と第2の照射光(λ>λ3、P波)とにする。そして、第1の照射光誘導手段、第2の照射光誘導手段によりそれらの照射光を第1の反射型表示素子、第2の反射型表示素子に導き照射する。さらに、映像光路変更手段によりこの照射光を入射した第1の反射型表示素子、第2の反射型表示素子が出力する第1の映像光(λ<λ3、S波)、第2の映像光(λ>λ3、S波)の出射方向を同一とする。なお、第1の反射型表示素子、第2の反射型表示素子で反射される光の偏光は90°回転するので、P波の照射光に対して映像光はS波となる。すなわち、同一偏光(S波)で異なる波長の2映像光(λ>λ3、λ<λ3)を出射する。
【0019】
次に、請求項2に記載の光学ユニットは、請求項1に記載の光学ユニットにおいて、前記色光分離手段は、光の3原色のうち緑色の波長領域の色光であるG光を分離する手段であると共に、前記色光分割手段は、前記G光を第1の照射光と第2の照射光とに分割する手段であるとした。
【0020】
かかる構成によれば、光学ユニットは、色光分離手段により白色光から緑色光であるG光を分離し、直線偏光色光分離手段によりこのG光から所定の偏光成分をもつG偏光光を分離する。さらに、そのG偏光光を色光分割手段により所定の波長を境界として前記反射型表示素子の照射光として第1のG照射光と第2のG照射光とに分割し、第1の照射光誘導手段、第2の照射光誘導手段によりそれらの照射光を第1の反射型表示素子、第2の反射型表示素子に導き照射する。そして、映像光路変更手段により第1のG照射光、第2のG照射光を入射した第1の反射型表示素子、第2の反射型表示素子が出力する第1のG映像光、第2のG映像光の方向を同一とする。これにより、同一偏光で異なる波長の2つのG映像光を出射する。
【0021】
次に、請求項3に記載の映像表示システムは、右眼用の緑色の映像光であるG映像光を出射する請求項2に記載の光学ユニットを備えたG映像表示装置と、左眼用の前記G映像表示装置と、右眼用の赤色の映像光であるR映像光及び青色の映像光であるB映像光を出射するRB映像表示装置と、左眼用の前記RB映像表示装置と、右眼用又は左眼用の前記G映像表示装置及び前記RB映像表示装置が出射する映像光の偏光方向を回転させる偏光回転手段と、を備える構成とした。
【0022】
かかる構成によれば、映像表示システムは、請求項2に記載の光学ユニットを備えたG映像表示装置により波長の異なる2種類のG映像光をスクリーンに投射する。また、RB映像表示装置によりR映像光及びB映像光をスクリーンに投射する。これにより、高精細画像をスクリーンに投射する。さらに、右眼用、左眼用の映像表示装置は、互いに直交する偏光の映像光をスクリーンに投射する。
【0023】
次に、請求項4に記載の光学ユニットの映像光出力方法は、2映像光を異なる波長で出射する光学ユニットの映像光出力方法であって、白色光より所定の波長領域の色光を分離する色光分離ステップと、前記色光より所定の偏光成分のみをもつ前記直線偏光色光を分離する直線偏光光分離ステップと、前記直線偏光色光をその波長領域において所定の波長を境界に2分割して前記第1の照射光と前記第2の照射光とにする色光分割ステップと、前記第1の照射光を前記第1の反射型表示素子へ導く第1の照射光誘導ステップと、前記第2の照射光を前記第2の反射型表示素子へ導く第2の照射光誘導ステップと、前記第1の照射光を入射した前記第1の反射型表示素子が出力する前記第1の映像光及び前記第2の照射光を入射した前記第2の反射型表示素子が出力する前記第2の映像光の出射方向を同一とする映像光路変更ステップと、を備える構成とした。
【0024】
かかる構成によれば、光学ユニットは、色光分離ステップにより白色光から所定の波長領域の色光を分離し、直線偏光色光分離ステップにより色光から所定の偏光成分をもつ直線偏光色光を分離する。さらに、その直線偏光色光を色光分割ステップによりその波長領域において所定の波長を境界に2分割して第1の照射光と第2の照射光とにする。そして、第1の照射光誘導ステップ、第2の照射光誘導ステップによりそれらの照射光を第1の反射型表示素子、第2の反射型表示素子に導き照射する。さらに、映像光路変更ステップによりこの照射光を入射した第1の反射型表示素子、第2の反射型表示素子が出力する第1の映像光、第2の映像光の出射方向を同一とする。これにより、同一偏光で異なる波長の2映像光を出射する。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第一の実施の形態)
第一の実施の形態である光学ユニット1の構成と機能について、図1から図3を参照して説明する。図1は、本発明における第一の実施の形態である光学ユニット1の構成を示したブロック図である。また、図2は、緑色と認識されるG光が波長λ3を中心に下限波長λ1から上限波長λ2の幅をもって存在することを示した図であり、図3は、G光がダイクロイックミラーにより中心波長λ3を境界にして反射又は透過することを示した説明図である。なお、ダイクロイックミラーとは所定の波長領域の光を反射しその他の波長領域の光を透過させることのできるミラーである。
【0026】
図1に示した光学ユニット1は、光源が放射する白色光よりG光を分離するGダイクロ2(色光分離手段)と、このG光を直線偏光光とする偏光板3(直線偏光色光分離手段)と、直線偏光光となったG光をさらに所定の波長を境界として2領域の波長のG光a(第1の照射光)とG光b(第2の照射光)とに分割するダイクロイックミラー4(色光分割手段)と、G光a、G光bの方向を反射型液晶素子(反射型表示素子)に向かうようにその光路を変えるPBS5(第1の照射光誘導手段)、PBS6(第2の照射光誘導手段)と、G光a、G光bをそれぞれ入射することによりG映像光を出力する反射型液晶素子7(第1の反射型表示素子)、反射型液晶素子8(第2の反射型表示素子)と、G光a、G光bを入射した反射型液晶素子7、反射型液晶素子8の各々が出射するG映像光a、G映像光bの方向を同一とするダイクロイックミラー9(映像光路変更手段)と、を備える構成とした。
【0027】
Gダイクロ2は、光源が放射する白色光より、図2に示すλ1からλ2の波長領域であるG光を透過させる素子である。また、偏光板3は、Gダイクロ2からのG光をP波とする素子である。
【0028】
ダイクロイックミラー4は、図2及び図3に示すように、λ1からλ2の波長領域であるG光を、中心波長λ3を境界としてG光a(λ<λ3、P波)を反射しG光b(λ>λ3、P波)を透過させる素子である。なお、厳密には、G光aとG光bとは波長が違うので異なる色となるが、一般的な画像においては色の違いは平均化されほとんど分からない。従って、G光a、G光bは、共に単なるG光として認識される。
【0029】
PBS5は、G光aを反射させ反射型液晶素子7へ導くと共に、反射型液晶素子7で反射され出力されるG映像光aを透過させる素子である。また、PBS6は、G光aを反射させ反射型液晶素子8へ導くと共に、反射型液晶素子8で反射され出力されるG映像光bを透過させる素子である。
【0030】
反射型液晶素子7は、G光aを入射しその内部で偏光を90°回転させS波としたG映像光a(λ<λ3、S波)を反射する表示素子である。また、反射型液晶素子8は、G光bを入射しその内部で偏光を90°回転させS波としたG映像光b(λ>λ3、S波)を反射する表示素子である。
【0031】
ダイクロイックミラー9は、G映像光a(λ<λ3、S波)を反射させG映像光b(λ>λ3、S波)を透過させる素子である。ここでは、ダイクロイックミラー9は、反射型液晶素子7を出射しPBS5を透過したG映像光a(λ<λ3、S波)の進路を反射することで90°折り曲げる。また、反射型液晶素子8を出射しPBS6を透過したG映像光b(λ<λ3、S波)をさらに透過させる。これにより、G映像光a、G映像光bの出射方向を同一とする。
【0032】
以上の構成と機能を備えた光学ユニット1は、Gダイクロ2により光源が放射する白色光のうち図2で示すλ1からλ2の領域であるG光を透過させ、偏光板3によりGダイクロ2からのG光をP波とする。さらに、ダイクロイックミラー4によりこのG光(P波)を図2及び図3に示すように、λ3を境界としてG光a(λ<λ3、P波)、G光b(λ>λ3、P波)に分離し、PBS5、PBS6により反射型液晶素子7、反射型液晶素子8へ向かわせる。そして、ダイクロイックミラー9によりG光a、G光bを入射した反射型液晶素子7、反射型液晶素子8が反射するG映像光a(λ<λ3、S波)、G映像光b(λ>λ3、S波)の進路を同一とする。
【0033】
次に、光学ユニット1の動作について図1及び図8を参照して説明する。図8は、光学ユニット1の動作を示すフローチャートである。
[色光分離ステップ]
光源が放射する白色光を入射したGダイクロ2は、白色光より図2のλ1からλ2の範囲に相当するG光を透過(分離)させる(ステップS1)。
[直線偏光色光分離ステップ]
このGダイクロ2を透過したG光を入射した偏光板3は、P波のみを透過(分離)させる(ステップS2)。
【0034】
ここで、「λ1からλ2の範囲に相当するG光」は、特許請求の範囲における「所定の波長領域の色光」に相当し、また、「P波のみを透過させる」は、「所定の偏光成分のみをもつ直線偏光色光を分離する」に相当する。
【0035】
[色光分割ステップ]
偏光板3によりP波となったG光を入射したダイクロイックミラー4は、λ3を境界として、λ3以上の波長のG光b(λ>λ3、P波)を透過させPBS6へ出射する。また、λ3以下の波長のG光a(λ<λ3、P波)を反射させその光路を90°折り曲げてPBS5へ向け出射する(ステップS3)。
以下、G光a、G光bに分けて説明する。
【0036】
ここで、λ3はλ1からλ2の範囲のG光の中心値とする。この「λ3」は、特許請求の範囲における「所定の波長」に相当する。なお、G光の波長λがλ3に等しい場合(λ=λ3)は、透過、反射のいずれかとなる。
【0037】
(G光aの場合)
[第1の照射光誘導ステップ]
ダイクロイックミラー4で反射したG光a(λ<λ3、P波)を入射したPBS5は、そのG光aを反射させ光路を90°折り曲げ反射型液晶素子7へ向け出射する。このG光aを入射した反射型液晶素子7は、その内部で偏光を90°回転させS波となったG映像光a(λ<λ3、S波)をPBS5へ向け出射する。このG映像光aを入射したPBS5は、そのG映像光aを透過させダイクロイックミラー9へ出射して(ステップS4)、ステップS6へ進む。
[映像光路変更ステップ]
このG映像光aを入射したダイクロイックミラー9は、そのG映像光aを反射させその光路を90°折り曲げて投射レンズ(図示せず)へ向け出射する(ステップS6)。
【0038】
(G光bの場合)
[第2の照射光誘導ステップ]
ダイクロイックミラー4を透過したG光b(λ>λ3、P波)を入射したPBS6は、そのG光bを反射させ光路を90°折り曲げ反射型液晶素子8へ向け出射する。このG光bを入射した反射型液晶素子8は、その内部で偏光を90°回転させS波としたG映像光b(λ>λ3、S波)をPBS6へ向け出射する。このG映像光bを入射したPBS6は、そのG映像光bを透過させダイクロイックミラー9へ出射する(ステップS5)。
[映像光路変更手段]
ダイクロイックミラー9は、ステップS4で透過されたG映像光aを反射させその光路を90°折り曲げて投射レンズ(図示せず)へ向け出射し、ステップS5で透過されたG映像光bをそのまま透過させ投射レンズへ出射することで、同一の方向へ2つのS波として出射する(ステップS6)。
【0039】
以上、一実施形態に基づいて、光学ユニットについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本実施の形態おいては緑色の画素ずらし方式を実現するためG映像光を出射する光学ユニットとしているが、ダイクロ及びダイクロイックミラーの分光特性を変えることにより所望の色の映像光(例えば、R映像光、B映像光)を出射する光学ユニットとすることもできる。
【0040】
(第二の実施の形態)
第二の実施の形態である立体表示システム40(表示システム)の構成と機能について、図5を参照して説明する。図5は、本発明における第二の実施の形態である立体表示システム40の模式図である。図5に示すように、立体表示システム40は、右眼用及び左眼用のRB投射型表示装置52(RB映像表示装置)と、G投射型表示装置30(G映像表示装置)と、λ/2板41(偏光回転手段)と、スクリーン43と、を備える構成とした。
【0041】
なお、RB投射型表示装置52は、R画像及びB画像を同一偏光であるR映像光及びB映像光としてスクリーン43に投射する「従来の技術」で説明した表示装置である。また、λ/2板41は、入射光の偏光方向を90°回転させ出射させる素子であり、右眼用、左眼用いずれかのRB投射型表示装置52及びG投射型表示装置30に装着するものである。スクリーン43は、表示装置が投射する映像を表示するものであり、偏光メガネ42は、異なる偏光をもつ右眼用及び左眼用の表示装置からの映像を観視者が右目、左目それぞれに分離して見るためにかける左右異なる偏光をもつメガネである。
【0042】
また、G投射型表示装置30は、第一の実施の形態の光学ユニット1を備え、G画像及び画素ずらししたG画像を同一偏光で異なる波長のG映像光としてスクリーン43に投射する表示装置である。
【0043】
ここで、このG投射型表示装置30の構成と機能について、図4を参照して説明する。図4は、G投射型表示装置30の構成を示した説明図である。図4に示すように、G投射型表示装置30は、光学ユニット1と、光源ランプ31と、投射レンズ32と、を備える構成とした。光源ランプ31は、照射光である白色光を光学ユニット1に向け出射するものであり、投射レンズ32は、光源ランプ31が放射する白色光を入射した光学ユニット1が出射する映像光をスクリーン43に投射するものである。光学ユニット1は、第一の実施の形態における光学ユニット1と同一のものであるので説明は省略する。
【0044】
以上の構成と機能を備えたG投射型表示装置30は、光源ランプ31により白色光を照射光として光学ユニット1に出射し、それを入射した光学ユニット1によりG映像光a、G映像光bを出射する。そして、それらのG映像光を投射レンズ32によりスクリーン43に投射する。すなわち、光学ユニット1の反射型液晶素子7、反射型液晶素子8のG画像を同一偏光で異なる波長のG映像光a(λ<λ3、S波)、G映像光b(λ>λ3、S波)としてスクリーン43に投射する。
【0045】
図5に戻って、立体表示システム40の説明を続ける。以上の構成と機能を備えた立体表示システム40は、右眼用のG投射型表示装置30が出射するG映像光ar(λ<λ3、S波)、G映像光br(λ>λ3、S波)、及びRB投射型表示装置52が出射するR映像光r(S波)、B映像光r(S波)をλ/2板41(偏光回転手段)により偏光方向を90°回転し全てP波としてスクリーン43に投射する。また、左眼用のG投射型表示装置30が出射するG映像光al(λ<λ3、S波)、G映像光bl(λ>λ3、S波)、及びRB投射型表示装置52が出射するR映像光l(S波)、B映像光l(S波)をそのままスクリーン43に投射する。すなわち、右眼用及び左眼用の映像光を互いに直交する偏光光(S波、P波)としてスクリーン43に投射する。
【0046】
ここで、例えば、右眼用G画像をG映像光ar(λ<λ3、P波)、画素ずらしした右眼用G画像をG映像光br(λ>λ3、P波)、右眼用R画像をR映像光r(P波)、右眼用B画像をB映像光r(P波)とし、さらに、左眼用G画像をG映像光ar(λ<λ3、S波)、画素ずらしした左眼用G画像をG映像光br(λ>λ3、S波)、左眼用R画像をR映像光r(S波)、左眼用B画像をB映像光r(S波)としてスクリーン43に投射することにより、緑色の画素ずらし方式と偏光方式の2眼立体表示法とを組み合わせた高精細立体映像表示が可能となる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の光学ユニット及びそれを用いた表示システム並びに映像光出力方法は、以下に示す優れた効果を奏する。
【0048】
請求項1及び請求項4に記載の発明によれば、同一偏光で異なる波長の映像光を出射することができ、画素ずらし方式と偏光方式の2眼立体表示法とを組み合わせ高精細立体映像表示システムを構成しようとした場合の課題を、画素ずらし方式において偏光の異なる映像光(S波とP波)の代わりに同一偏光で異なる波長の映像光を用いることにより解決できる。これにより、画素ずらし方式と偏光方式の2眼立体表示法とを組み合わせた高精細立体映像表示を可能とする表示システムを構成する表示装置の光学ユニットを提供することができる。
【0049】
請求項2に記載の発明によれば、同一偏光で異なる波長のG映像光を出射することができ、緑の画素ずらし方式と偏光方式の2眼立体表示法とを組み合わせ高精細立体映像表示システムを構成しようとした場合の課題を、緑の画素ずらし方式において偏光の異なる映像光(S波とP波)の代わりに同一偏光で異なる波長のG映像光を用いることにより解決できる。これにより、緑の画素ずらし方式と偏光方式の2眼立体表示法とを組み合わせた高精細立体映像表示を可能とする表示システムを構成する表示装置の光学ユニットを提供することができる。
【0050】
請求項3に記載の発明によれば、請求項3の光学ユニットを備えた表示装置を用いた構成となるので、緑の画素ずらし方式と偏光方式の2眼立体表示法とを組み合わせた高精細立体映像表示を可能とする表示システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第一の実施の形態である光学ユニットの構成を示したブロック図である。
【図2】緑色の光の波長がλ3を中心にλ1からλ2の幅をもって存在することを示す説明図である。
【図3】緑色の光がダイクロイックミラーにより反射又は透過する様子を示す説明図である。
【図4】表示装置の構成を示したブロック図である。
【図5】本発明における第二の実施の形態である表示システムの模式図である。
【図6】従来の高精細表示システムの模式図である。
【図7】従来のデュアルG光学ユニットの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明における第一の実施の形態である光学ユニットの動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1……光学ユニット
2……Gダイクロ
3……偏光板
4……ダイクロイックミラー
5,6……PBS
7,8……反射型液晶素子
9……ダイクロイックミラー
10……デュアルG光学ユニット
11……板状PBS
12,13……λ/2板
14……PBS
20……RB光学ユニット
30……G投射型表示装置
31……光源ランプ
32……投射レンズ
40……立体表示システム
41……λ/2板
42……偏光メガネ
43……スクリーン
50……表示システム
51……デュアルG投射型表示装置
52……RB投射型表示装置