【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、利用者が処理装
置の使用中にヘルプ情報を得ることに関し、特に音声に
よって、自然言語データベース及びヘルプデータベース
を検索してヘルプ情報を得るオンラインヘルプシステム
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の操作方法や不具合解決方法などの
ヘルプ情報をデータベース化したオンラインヘルプシス
テムでは、紙マニュアルやPDFなどの電子マニュアル
のコンテンツを作成するときに、開発者側がヘルプ情報
を目的別に分類してタイトル情報を付加したり、またヘ
ルプ情報に記述される術語をキーワードにした目次検索
や索引検索をし易いように編成したヘルプデータベース
が提供されている。このヘルプデータベースを目次検索
や索引検索をキー入力で行うことは、従来の通常のやり
方であり、利用者が解決したい問題の目次あるいは索引
に関する知識を持っていることが前提になる。
【0003】更に、ヘルプデータベースに対する問い合
わせを音声入力する例に、特開平11−312032号
公報がある。利用者の自然言語による問い合わせから、
目的機能を示すオブジェクト名と、操作及び処置を示す
述語部を取り出し、オブジェクトで、オブジェクトトリ
ーを検索し、オブジェクトレベル以上を述語で検索して
記述内容を問い合わせに対する回答として出力する対話
型ヘルプシステムが説明されている。この公報によれ
ば、音声で的確な術語を用いて、問い合わせを音声入力
できることが要件になる。したがって、利用者には、問
題を的確に術語を用いて問い合わせができる知識がある
ことが前提になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来技術
には、次のような問題点があった。第1の問題点は、こ
のヘルプシステムで使用する目次語や索引語が、利用者
が普段に使用する用語、言葉、及び表現で記述されてい
るとは限らないため、解決を要する事態が生じたとき、
利用者は、事態から想起する日常的な用語を用いて検索
することができず、専門術語の目次や索引を考えて検索
したり、あるいは、目次や索引のリストを参照した上
で、関連の目次や索引を選択して検索するなど、目的の
ヘルプ情報をすぐに探し出すことができないという点で
ある。
【0005】また、第2の問題点は、例えば「線の描
画」の操作に見られるように、検索時の目次語や索引語
としては同一でも、使用しているアプリケーションプロ
グラムによって、操作方法や不具合解決方法が異なる場
合がある。利用者は、同種のヘルプ情報が複数存在する
とき、アプリケーションプログラム名などの追加の検索
条件を与える必要があるという点である。
【0006】この発明の目的は、日常的な自然言語の音
声を認識して抽出された単語と、処理装置の動作や操作
の状況を示す処理装置状態と、を照合して、自然言語デ
ータベースを検索して対象を絞り、事態の解決方法ある
いは操作方法を記述したヘルプ情報を検索する音声応答
型のオンラインヘルプシステムを提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのため、この発明の、
利用者が、処理装置の使用中に操作方法や不具合の解決
方法が分からない事態に直面したとき、ヘルプ情報を参
照できるオンラインヘルプシステムにおいて、利用者
が、前記事態を説明する音声による自然言語を解析抽出
した単語と処理装置の動作状況や操作状況を示す処理装
置状態とによって自然言語データベースを検索し、前記
単語群と処理装置状態とから推測される事態の解決方法
や事例を格納するヘルプデータベースの検索レコード番
号を出力し、前記検索レコード番号で前記ヘルプデータ
ベースを検索して、前記事態に対処するヘルプ情報を表
示、あるいは音声で出力する手段を備えることを特徴と
する。
【0008】更に、前記単語は、音声の自然言語を認識
して文章化し、前記文章を解析抽出した得られる単語群
から主語と述語とを選択して得られる単語であることを
特徴とする。
【0009】更に、前記自然言語データベースは、前記
単語群と前記処理装置状態で分類された項目に対するヘ
ルプデータベースの検索レコード番号を含むことを特徴
とする。
【0010】更に、前記ヘルプデータベースは、前記検
索レコード番号で検索され、解決方法及び事例に対する
説明文でなることを特徴とする。
【0011】更に、前記処理装置状態は、オペレーティ
ングシステムに組み込まれた監視ツールによる、オペレ
ーティングシステムやアプリケーションプログラムの動
作状態や操作状態やハードウェア状態を示す通知である
ことを特徴とする。
【0012】更に、前記オンラインヘルプシステムは、
利用者の音声を入力するマイクロホンと、ヘルプ情報を
音声出力するスピーカと、ヘルプ情報を表示する表示装
置と、利用者が操作あるいは応答を入力する入力デバイ
スと、利用者が直面する事態を説明する音声を認識して
得られた単語群と、前記事態が生じたときの処理装置状
態と、を照合して、自然言語データベース及びヘルプデ
ータベースを検索してヘルプ情報を出力する処理装置
と、を備え、前記処理装置は、参照要求をマイクロホン
を介して入力される音声を受ける音声入力部と、前記音
声を認識して文章化する音声認識部と、前記文章をから
単語を抽出し、文脈解析して主語及び述語を抽出する文
脈認識/単語抽出部と、前記処理装置状態を監視する操
作状態認識部と、前記処理装置状態並びに前記主語及び
述語を索引として自然言語データベースを検索して得る
検索レコード番号でヘルプデータベースを検索し、ヘル
プ情報を得るデータベース制御部と、前記ヘルプ情報を
表示出力する表示制御部と、前記ヘルプ情報を音声出力
する音声出力部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して説明する。図1は、この発明の一実
施例のオンラインヘルプシステム1のシステム構成を示
し、音声入力するためのマイクロホン6と、音声入力で
ヘルプ情報(以降、「ヘルプ」と略す)のデータベース
(以降、「DB」と略す)から検索された操作方法や事
例を音声案内するためのスピーカ3と、パーソナルコン
ピュータ等の処理装置2と、音声入力でヘルプのDBか
ら検索された操作方法や事例を画面表示するためのCR
Tディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置4と、
キーボードやマウスやタッチパネル等の入力デバイス5
と、を備え、処理装置2には、マイクロホン6、スピー
カ3、表示装置4、入力デバイス5が接続される。
【0014】図2は、図1の処理装置2の機能ブロック
を説明するための図である。処理装置2の機能ブロック
は、マイクロホン6から入力される利用者の音声を受け
る音声入力部21と、音声を認識して文章を生成する音
声認識部22と、文章を解析して単語を抽出する文脈認
識/単語抽出部23と、処理装置2の動作状況や操作状
況をオペレーティングシステムの監視ツールから通知さ
れる処理装置状態を認識する操作状態認識部24と、抽
出された単語及び処理装置状態から自然言語DB26を
検索して、利用者の音声内容及び処理装置状態から推測
されるヘルプ情報の検索レコード番号で、ヘルプDB2
7を検索し、結果を表示制御部28及び音声出力部29
に出力するデータベース制御部25と、を備える。
【0015】図3は、オンラインヘルプシステム1で使
用する自然言語DB26の内部構成を示し、大きく、ヘ
ルプDB27のヘルプ情報(計n件)のヘルプDB検索
レコード番号264のレコード番号4−1乃至レコード
番号4−nに1対1に対応する項番261で構成され
る。項番261には、処理装置状態に対する操作分類2
63と、操作分類263に対応する単語群262と、を
含んでいる。単語群262には、文脈解析から抽出され
る主語2621に当たる単語群のレコード番号1−1〜
レコード番号1−nと、述語2622に相当する単語群
のレコード番号2−1〜レコード番号2−nとを含み、
操作分類263には、処理装置状態に対応する、オペレ
ーティングシステム、ハードウェア種別、アプリケーシ
ョン種別の各ヘルプ情報に対する操作分類263のレコ
ード番号3−1〜レコード番号3−nとを含み、ヘルプ
検索レコード番号264には、ヘルプDB27から該当
のヘルプ情報を引き出すためのレコード番号4−1〜レ
コード番号4−nとを含んで構成される。上述の各単語
群262は、処理装置2の操作方法や不具合の解決方法
が分からない時、利用者がこれから操作したいと思って
いることや現在の不具合状況を言葉で表現すると思われ
る音声内容をあらかじめ集録し、その音声内容を構成す
る各単語を文脈認識/単語抽出部23によって、主語の
単語群2621と述語の単語群2622にリスト化した
ものである。
【0016】図4は、利用者の各音声例に対し、図2に
おける各機能ブロックの動作と出力結果とを、フローチ
ャートに示したものである。
【0017】次に、この実施の形態の動作について図面
を参照して説明する。図1、図2、図3を援用して、図
4のフローチャートによって、各動作を説明する。処理
装置2に搭載のアプリケーションソフトウェアなどの操
作方法や不具合解決方法が分からない時に、利用者がこ
れから操作したいと思っていることや現在の不具合状況
を説明する主語と述語で構成される簡潔な自然言語で発
声する(ステップ41)。発声内容はマイクロホン6を
通じ、音声入力され、電気信号(音声信号)に変換され
た後、音声入力部21で増幅処理などを経て、適切なレ
ベルに調整された後、アナログ/デジタル(A/D)変換
でデジタル信号化し、音声認識部22で、そのデジタル
信号化された音声信号の特徴を抽出して、入力音声を認
識し、その認識結果(利用者の説明内容)を文字コード
化され(ステップ42)、さらに文脈認識/単語抽出部
23では、この文字コード化された文字コード列をかな
漢字変換を行うなど、文章を類推し、その文章から全て
の単語を抽出する(ステップ43)。次に、利用者の音
声を音声認識部22が誤認識したり、文脈認識/単語抽
出部23が文字列の区切りを誤り、利用者の意図する単
語が抽出できない場合の対応として、文脈認識/単語抽
出部23の処理が完了した時点で、一旦、抽出した単語
のリストを表示制御部28や音声出力部29を通じ、表
示装置4に画面表示、又はスピーカ3から音声出力して
(ステップ44)、単語の抽出に誤りがないかどうかを
確認させ、このまま処理を継続するか、しないかを利用
者に判断させる出力をする(ステップ45)。このと
き、「はい」/「いいえ」や「Yes」/「No」などの
選択を入力デバイス5からキー入力したり、マイクロホ
ン6から音声コマンドを入力して、誤りがあるため継続
できないと判断した場合(ステップ45のNo)、これ
までの処理を中断し、発声からやり直すよう、利用者に
促す案内を行う。また、利用者が誤りがなく、継続する
と判断した場合(ステップ45のYes)、次の段階に
移行する。
【0018】次に、DB制御部25は、各種アプリケー
ションプログラムの起動/アクティブやFD/CD−R
OM/CD−R/CD−RWの各種記憶媒体挿入などの
処理装置2の動作状態や操作状態を通知する処理装置状
態を常時監視している操作状態認識部24から操作分類
263の処理装置状態を入手する(ステップ46)。抽
出された単語群262の主語2621と述語2622と
操作分類263とでもって、自然言語DB26を検索し
て、ヘルプDB27の該当する検索レコード番号264
を引き出す(ステップ47)。利用者の音声内容から抽
出した各単語群262だけでは、単語情報として不足
し、自然言語DB26から複数のレコード情報が検索さ
れ、検索レコード番号264を絞り込めない場合(ステ
ップ48のNO)、検索レコード番号264をいずれか
1件に絞り込むための追加の単語情報を表示制御部28
や音声出力部29を通じて、表示装置4に画面表示、又
はスピーカ3から音声出力することで、利用者に複数候
補の選択肢を提示し、どの検索レコード番号264が候
補に該当するかを利用者に選択させる。この時、利用者
は「1」/「2」/「3」や「A」/「B」/「C」などの
選択を入力デバイス5からキー入力したり、マイクロホ
ン6から音声コマンドを入力することで、各選択肢に対
応した1件の検索レコード番号264を表示制御部28
や音声出力部29を通じ、表示装置4に画面表示、又は
スピーカ3から音声出力する(ステップ49)。検索レ
コード番号264が1件に絞り込めた場合(ステップ4
8のYES)、ヘルプDB27の検索に移る。
【0019】データベース制御部25は、自然言語DB
26を検索し、各単語群262のレコード番号1−X、
レコード番号2−X(1≦X≦n)を含み、かつ操作状
態情報と一致する操作分類情報のレコード番号3−X
(1≦X≦n)となる検索レコード情報4−Xを引き出
し(ステップ47)、この検索レコード番号264内の
レコード番号4−X(1≦X≦n)を参照して、ヘルプ
DB27から対応するヘルプ情報を引き出す(ステップ
50)。表示制御部28や音声出力部29を通じて、目
的の操作説明や事例のヘルプ情報をそれぞれ表示装置4
に画面表示、又はスピーカ3から音声出力する(ステッ
プ51)。
【0020】
【発明の効果】この発明の第1の効果は、初心者などに
多く見られる、専門術語が分からない、思いつかないな
どの語彙の不足や自分の求める表現や感じた表現と違う
などの説明の相違する点で、ヘルプデータベースから目
的の操作方法や事例を検索できない、また索引自体を知
ることが難しい、検索に時間がかかるなどの不都合がな
くなり、特に、多機能なパーソナルコンピュータ等の処
理装置などにおいて、膨大なヘルプ情報から目的の情報
を検索することを容易にする。その理由は、音声で入力
した自然言語から抽出した単語と、処理装置状態とを照
合して、検索レコード番号を選択できることにある。
【0021】更に、第2の効果は、利用者の音声行為の
みで、目的のヘルプ情報が検索できるため、操作方法な
どにおいては、現在の作業に支障を与えることなく、次
の作業に向けてのヘルプ情報を入手することが可能にな
る。その理由は、利用者が処理装置による作業を中断し
て、索引語を調べる必要がないことである。
【0022】更に、第3の効果は、検索条件とする操作
目的や不具合事象が同一であっても、使用アプリケーシ
ョンによって操作方法や不具合解決方法が異なるなど、
複数のヘルプ情報が存在しても、処理装置状態を照合し
て、目的のヘルプ情報が検索できる。その理由は、処理
装置状態を照合して、妥当な単語を選択できることにあ
る。
【図面の簡単な説明】【図1】この発明のシステム構成を示す図である。
【図2】図1の処理装置の構成を示す図である。
【図3】図1の自然言語データベースの内部構成を示す
図である。
【図4】図1の処理装置の動作を示すフローチャートで
ある。
【符号の説明】 1 オンラインヘルプシステム 2 処理装置 3 スピーカ 4 表示装置 5 入力デバイス 6 マイクロホン 21 音声入力部 22 音声認識部 23 文脈認識/単語抽出部 24 操作状態認識部 25 データベース制御部 26 自然言語データベース 27 ヘルプデータベース 28 表示制御部 29 音声出力部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G10L 15/18 G10L 3/00 537Z 15/00 551P 15/28  Fターム(参考) 5B075 NK32 PP02 PP03 PP07 PQ02 PQ04 QP01 5D015 AA01 HH00 KK02 LL05 LL06 5D045 AB01 AB30 5E501 AA30 BA05 CA02 CB02 CB05 CB09 CB15 DA11 DA15 EA21 FA32 FA42 FB43