【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はカラー液晶表示装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー液晶表示装置の画素配列にはいく
つかの種類があり、目的により使い分けられている。例
えば、テレビ・ビデオ画像である動画を表示する場合に
は、フルカラーで表示するので、混色が自然となり、特
に輪郭部分等が不自然にならないように表示することを
目的として図4に示すように、デルタ画素配列のものが
主に用いられ、文字・図形を静止画像で表示する場合に
は、輪郭を明瞭に際立たせて表示することを目的として
図5に示すように、ストライプ画素配列のものが主に用
いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、デルタ
画素配列の液晶表示装置でテレビ・ビデオ画像表示と文
字・図形表示とを行う場合には、文字・図形の表示の輪
郭が不鮮明となり表示が見にくくなってしまう。一方、
ストライプ画素配列の液晶表示装置でテレビ・ビデオ画
像表示と文字・図形表示とを行う場合には、テレビ・ビ
デオ画像の混色が悪くなり、テレビ・ビデオ画像が見に
くくなってしまう。したがって、いずれの画素配列の液
晶表示装置であっても、テレビ・ビデオ画像と文字・図
形との双方を良好に表示することができないという問題
があった。この発明の課題は、テレビ・ビデオ画像と文
字・図形とを共に良好に表示することができるようにす
ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、それぞれが各画素電極に対応する3種類のカラーフ
ィルタ要素により1画素を構成するカラー液晶表示装置
において、前記画素電極はストライプ配列を有し、前記
カラーフィルタ要素は各列が同色とされ、1画素を構成
する3種類のカラーフィルタ要素は、各画素電極よりも
小さい面積に形成され且つ実質的に二等辺三角形または
正三角形の各頂点にその中心を有することことを特徴と
するものである。請求項2に記載の発明は、請求項1に
記載の発明において、前記各画素電極の周囲に形成され
たブラックマスクを有し、前記カラーフィルタ要素の行
方向両側辺と前記ブラックマスクとの間に隙間を設けた
ものである。請求項3に記載の発明は、請求項1または
2に記載の発明において、前記3種類のカラーフィルタ
要素の面積を互いに異ならせたものである。請求項4に
記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明に
おいて、前記3種類のカラーフィルタ要素を赤、緑、青
のカラーフィルタ要素であることを特徴とするカラー液
晶表示装置。請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、前記赤カラーフィルタ要素の面積を1
画素の透過面積の1/3の90〜95%程度とし、前記
緑カラーフィルタ要素の面積を1画素の透過面積の1/
3の70〜80%程度とし、前記青カラーフィルタ要素
の面積を1画素の透過面積の1/3の85〜90%程度
としたものである。そして、請求項1に記載の発明によ
れば、画素電極の配列をストライプ配列としているの
で、文字・図形を良好に表示することができ、しかもカ
ラーフィルタ要素を各列で同色とし、1画素を構成する
3種類のカラーフィルタ要素を、各画素電極よりも小さ
い面積に形成し且つ実質的に二等辺三角形または正三角
形の各頂点にその中心を有するものとしているので、1
画素を構成する3種類のカラーフィルタ要素の配列がほ
ぼデルタ配列となり、したがってテレビ・ビデオ画像も
良好に表示することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の一実施形態にお
けるカラー液晶表示装置の要部の透過平面図を示したも
のである。このカラー液晶表示装置は、ガラス基板等か
らなる薄膜トランジスタ基板1および対向基板(図示せ
ず)を備えている。薄膜トランジスタ基板1の上面側に
は走査信号ライン2とデータ信号ライン3がマトリクス
状に設けられ、その各交点近傍には薄膜トランジスタ4
および赤、緑、青の画素電極5R、5G、5Bが設けら
れている。画素電極5R、5G、5Bは薄膜トランジス
タ4を介して走査信号ライン2およびデータ信号ライン
3に接続されている。画素電極5R、5G、5Bは行方
向および列方向に一直線上に配列され、つまりストライ
プ配列されされている。なお、画素電極5R、5G、5
Bの下辺部の下側には補助容量電極ライン6が走査信号
ライン2と平行して設けられている。
【0006】一方、対向基板の下面側には、図1おいて
一点鎖線で示すように、ブラックマスクおよび赤、緑、
青のカラーフィルタ要素が設けられている。この場合、
図1において画素電極5R、5G、5Bよりもやや小さ
めの一点鎖線で示すものは、ブラックマスクの開口部7
である。図1において左側の画素電極5Rに対応するブ
ラックマスクの開口部7の部分においては、列方向の上
側ほぼ1/3を除く部分に、赤のカラーフィルタ要素8
Rが設けられている。その右側の画素電極5Gに対応す
るブラックマスクの開口部7の部分においては、列方向
の下側ほぼ1/3を除く部分に、緑のカラーフィルタ要
素8Gが設けられている。その右側の画素電5Bに対応
するブラックマスクの開口部7の部分においては、列方
向の上側ほぼ1/3を除く部分に、青のカラーフィルタ
要素8Bが設けられている。その右側の画素電極5Rに
対応するブラックマスクの開口部7の部分においては、
列方向の下側ほぼ1/3を除く部分に、赤のカラーフィ
ルタ要素8Rが設けられている(この場合、図1におい
て左側の赤のカラーフィルタ要素8Rの列方向の配置と
逆となっている。)。
【0007】すなわち、ブラックマスクの開口部7の部
分においては、列方向の上側ほぼ1/3または下側ほぼ
1/3を除く部分に、カラーフィルタ要素8R、8G、
8Bが設けられ、列方向の上側ほぼ1/3または下側ほ
ぼ1/3の部分にはいずれのカラーフィルタ要素も設け
られていない。換言すれば、1画素を構成する行方向の
3つの画素電極5R、5G、5Bにそれぞれ対応する位
置であって両側の画素電極5R、5Bの列方向各一端部
を含む実質的に二等辺三角形または正三角形の各頂点に
対応する部分を除く部分に3種類のカラーフィルタ要素
8R、8G、8Bが設けられ、実質的に二等辺三角形ま
たは正三角形の各頂点に対応する部分にはいずれのカラ
ーフィルタ要素も設けられていない。また、行方向に隣
接する同種のカラーフィルタ要素8R、8G、8Bの列
方向の配置は互いに逆となっている。さらに、3種類の
カラーフィルタ要素8R、8G、8Bは各列で同色とな
っている。この結果、図2に示すように、画素電極5
R、5G、5Bの配列はストライプ配列となっており、
カラーフィルタ要素8R、8G、8Bの配列はほぼデル
タ配列となっている。
【0008】このように、このカラー液晶表示装置で
は、画素電極5R、5G、5Bの配列をストライプ配列
としているので、文字・図形を良好に表示することがで
きる。また、1画素を構成する3種類のカラーフィルタ
要素8R、8G、8Bの配列をほぼデルタ配列としてい
るので、テレビ・ビデオ画像も良好に表示することがで
きる。ところで、このカラー液晶表示装置は透過型と反
射型のいずれであってもよく、また両機能を備えたもの
であってもよいが、反射型として使用する場合、ブラッ
クマスクの開口部7の部分においてカラーフィルタ要素
が設けられていない部分を、外光およびその反射光がそ
のまま透過し、より一層明るい表示を得ることができ
る。
【0009】なお、上記実施形態では、ブラックマスク
の開口部7の部分においては、列方向の上側ほぼ1/3
または下側ほぼ1/3を除く部分に、カラーフィルタ要
素8R、8G、8Bを設け、列方向の上側ほぼ1/3ま
たは下側ほぼ1/3の部分にはいずれのカラーフィルタ
要素も設けていない場合について説明したが、これに限
定されるものではない。例えば、図3に示すこの発明の
他の実施形態のように、カラーフィルタ要素8R、8
G、8Bの行方向両側辺とブラックマスクの開口部7の
縁部との間に隙間を設けるようにしてもよい。
【0010】また、上記各実施形態では、カラーフィル
タ要素8R、8G、8Bの面積をほぼ同じとした場合に
ついて説明したが、これに限定されるものではない。例
えば、赤、緑、青のカラーフィルタ要素8R、8G、8
Bの各透過波長帯域は互いに異なっており、赤のカラー
フィルタ要素8Rは可視光帯域のうち長波長帯域の波長
成分の光を透過させ、緑のカラーフィルタ要素8Gは中
間波長帯域の波長成分の光を透過させ、青のカラーフィ
ルタ要素8Bは短波長帯域の波長成分の光を透過させ
る。
【0011】そこで、図示していないが、カラーフィル
タ要素8R、8G、8Bの面積を、符号8R、8G、8
Bで説明すると、8R>8B>8Gとしてもよい。この
場合、図1において、カラーフィルタ要素8R、8G、
8Bの設けられていない部分の列方向の長さを変えても
よく、また図3において、カラーフィルタ要素8R、8
G、8Bの行方向両側辺とブラックマスクの開口部7の
縁部との間の隙間の間隔を変えてもよい。このようにす
ると、赤、緑、青の各カラー画素の彩度および明るさを
バランスさせ、色再現性の良いカラー画像を表示するこ
とができる。
【0012】一例として、赤カラーフィルタ要素8Rの
面積を1画素の透過面積の1/3の90〜95%程度と
し、緑カラーフィルタ要素8Gの面積を1画素の透過面
積の1/3の70〜80%程度とし、青カラーフィルタ
要素8Bの面積を1画素の透過面積の1/3の85〜9
0%程度としてもよい。より具体的には、赤カラーフィ
ルタ要素8Rの面積を1画素の透過面積の1/3の90
%程度とし、緑カラーフィルタ要素8Gの面積を1画素
の透過面積の1/3の70%程度とし、青カラーフィル
タ要素8Bの面積を1画素の透過面積の1/3の85%
程度としてもよい。
【0013】さらに、上記各実施形態では、カラーフィ
ルタ要素8R、8G、8Bを対向基板に設けた場合につ
いて説明したが、これに限らず、薄膜トランジスタ基板
1に設けるようにしてもよい。また、上記各実施形態で
は、この発明を薄膜トランジスタを備えたアクティブマ
トリクス型カラー液晶表示装置に適用した場合について
説明したが、これに限らず、単純マトリクス型カラー液
晶表示装置にも適用することができる。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、画素電極の配列をストライプ配列としているので、
文字・図形を良好に表示することができ、しかも1画素
を構成する3種類のカラーフィルタ要素の配列をほぼデ
ルタ配列としているので、テレビ・ビデオ画像も良好に
表示することができる。
【図面の簡単な説明】【図1】この発明の一実施形態におけるカラー液晶表示
装置の要部の透過平面図。
【図2】図1の画素電極配列およびカラーフィルタ要素
配列を示す図。
【図3】この発明の他の実施形態におけるカラー液晶表
示装置の要部の透過平面図。
【図4】デルタ画素配列を示す図。
【図5】ストライプ画素配列を示す図。
【符号の説明】 1 薄膜トランジスタ基板 2 走査信号ライン 3 データ信号ライン 4 薄膜トランジスタ 5R、5G、5B 画素電極 7 ブラックマスクの開口部 8R、8G、8B カラーフィルタ要素