【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性シリコン薄
膜トランジスタに用いるシリコン薄膜及び電界効果型ト
ランジスタに応用するための良質な半導体−絶縁膜界面
を形成する装置に関する。また本発明は、パルスレーザ
光を用いたシリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンカ
ーバイド(SiC)等のシリコン化合物、GaAs、GaN、CuIn
Se2、ZnSe等の化合物半導体等の半導体薄膜の製造装置
に関する。さらに本発明は、上記半導体薄膜あるいは電
界効果型薄膜トランジスタにより構成されるディスプレ
イ、センサー等の駆動素子または駆動回路を製造するた
めの装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板上に薄膜トランジスタ(TF
T)を形成する代表的な技術として、水素化アモルファ
スシリコンTFT技術及び、多結晶シリコンTFT技術
が挙げられる。前者は作製プロセス最高温度300℃程
度であり、移動度1cm2/Vsec程度のキャリア移動度を実
現している。この技術は、アクティブマトリクス型(A
M)液晶ディスプレイ(LCD)における各画素のスイ
ッチングトランジスタとして用いられ、画面周辺に配置
されたドライバー集積回路(IC、単結晶シリコン基板
上に形成されたLSI)によって駆動される。各画素毎
にスイッチング素子TFTがついているため、周辺ドラ
イバ回路から液晶駆動用の電気信号を送るパッシブマト
リクス型LCDに比べ、クロストーク等が低減され良好
な画像品質を得られるという特徴を有する。一方後者
は、例えば石英基板を用い1000℃程度のLSIと類
似した高温プロセスを用いることで、キャリア移動度3
0〜100 cm2/Vsecの性能を得ることができる。この
ような高いキャリア移動度の実現は、たとえば液晶ディ
スプレイに応用した場合、各画素を駆動する画素TFT
と同時に、周辺駆動回路部までもが同一ガラス基板上に
同時に形成することができるという製造プロセスコスト
の低減、小型化に関する利点がある。小型化、高解像度
化によりAM−LCD基板と周辺ドライバー集積回路の
接続ピッチが狭小化し、タブ接続やワイヤボンディング
法では対処しきれないからである。ところが、多結晶シ
リコンTFT技術において、上述のような高温プロセス
を用いる場合、前者のプロセスが用いることができる安
価な低軟化点ガラスを用いることができない。そこで多
結晶シリコンTFTプロセスの温度低減が必要になって
おり、レーザ結晶化技術を応用した多結晶シリコン膜の
低温形成技術が研究・開発されている。
【0003】一般に、これらのレーザ結晶化は図1に示
すような構成のパルスレーザ照射装置により実現され
る。パルスレーザ光源1101から供給されるレーザ光はミ
ラー1102,1103,1105及び空間的な強度の均一化を行うべ
く設置されるビームホモジナイザ1104 等の光学素子群
によって規定される光路 1106 を介し、被照射体である
ガラス基板1109上のシリコン薄膜1107に到達する。一般
にガラス基板に比べ1照射範囲が小さいため、xyステ
ージ1109 上のガラス基板を移動させることにより基板
上の任意の位置へのレーザ照射が行われている。xyス
テージの代わりに、上述の光学素子群を移動させること
や、光学素子群とステージを組み合わせる方法も可能で
ある。
【0004】公知資料1 J. Im and R. Sposili, Crys
talline Si films for integrated active-matrix-liqu
id-crystal displays", Materials Research Society B
ulletin誌, vol. 21, (1996), 39 本文献内Figure 6に、基板がx-方向ステージに、ホモジ
ナイザがy-方向ステージに載置されることが示されてい
る。
【0005】レーザ照射が真空チャンバ内で真空中ある
いは高純度ガス雰囲気下で行われることもある。また、
必要に応じてシリコン薄膜付きガラス基板入りカセット
 1110と基板搬送機構 1111 を有し、機械的にカセット
とステージ間の基板の取りだし収納を行うこともでき
る。
【0006】また、短波長パルスレーザ光を照射し非晶
質基板上の非晶質シリコン薄膜を結晶化し、薄膜トラン
ジスタに応用する技術が特公平7−118443号公報
に開示されている。本手法によれば基板全体を高温にす
ることなく非晶質シリコンの結晶化が可能であるため、
液晶ディスプレイ等の大面積かつガラス等の安価な基板
上への半導体素子、半導体集積回路を作製できるという
利点がある。ところが上記公報においても述べられてい
るように、短波長レーザによる非晶質シリコン薄膜の結
晶化には50 - 500 mJ/cm2程度の照射強度が必要であ
る。一方、現在一般に入手できるパルスレーザ装置の発
光出力は最大1 J/pulse程度であり、単純換算によって
も一度に照射できる面積は2 - 20 cm2程度にすぎない。
したがって、たとえば基板サイズ47 x 37 cm基板全面を
レーザ結晶化するためには、少なくとも87 - 870箇所に
レーザ照射が必要となる。1m角というように、基板サ
イズが拡大すれば、同様に照射箇所数が増加する。一般
に、これらのレーザ結晶化は上述のように図1に示すよ
うな構成のパルスレーザ照射装置により実現される。
【0007】上記の方法で大面積基板上に薄膜半導体素
子群を均一に形成するためには、特開平5−21116
7号公報(特願平3−315863号)に開示されてい
るような、素子群をレーザのビームサイズよりも小さく
分割し、ステップアンドリピートにより数パルス照射+
照射領域の移動+数パルス照射+照射領域の移動+…・
を繰り返す方法が有効であることが知られている。図2
(2)に示すように、レーザの発振とステージ(すなわ
ち基板もしくはビーム)の移動とが交互に行われる方法
である。ところが、本手法によっても現在入手しうる発
振強度均一性±5〜10%(連続発振時)程度のパルス
レーザ装置を用い、たとえば1パルス/場所〜20パル
ス/場所程度の照射を繰り返す場合、発振強度バラツキ
が±5〜10%を超え、結果として得られる多結晶シリ
コン薄膜並びに多結晶シリコン薄膜トランジスタ特性が
十分な均一性を有さないという問題があった。特にスパ
イキングと呼ばれる、レーザ発振初期の放電の不安定に
起因した、強光あるいは弱光の発生が不均一化の問題と
なっている。この補正を行うべく、積算強度結果により
次の発振時の印加電圧を制御するような方法では、スパ
イキングの発生は抑制できるもののかえって弱光を発振
してしまうという問題があった。すなわち、図3に示す
ように、照射時間と非発振時間とが交互に連続する場
合、各照射時間に発振される第1のパルス強度が、最も
不安定でありバラツキやすく、また照射箇所によって照
射強度履歴が異なるため、基板面内でのトランジスタ素
子及び薄膜集積回路の十分な均一性が得られないという
問題があった。このようなスパイキングの回避方法とし
ては、図2(1)に示すように、レーザ発振を、素子形
成領域への照射開始以前から開始することにより回避す
る方法が知られているが、図2(2)に示すようなレー
ザの発振とステージの移動とが断続的に繰り返す場合に
は応用できないという問題があった。さらにこれらの問
題を回避すべく、特開平5−90191号公報ではパル
スレーザ光源を連続発振させると共にステージの移動期
間には光遮蔽装置を用いて基板への照射を防ぐ方法が提
案されている。すなわち、図2(3)に示すようにレー
ザをある周波数で連続発振させ、所望の照射位置へのス
テージの移動と光路の遮蔽を同期させることによって、
強度の安定したレーザ光を所望の照射位置へ照射を可能
にした。ところが、本方法によればレーザビームの安定
した基板への照射が可能になるものの、多結晶シリコン
薄膜形成に寄与することのない無駄なレーザ発振が増
え、高価なレーザ光源や励起ガスの寿命に対する多結晶
シリコン薄膜の生産性及び、レーザ発振に要する電力等
に対する多結晶シリコン薄膜の生産効率が低下するた
め、生産コストの上昇を招くという問題があった。ま
た、レーザが露光される基板も、照射強度ばらつきによ
って所望の値に比べ過度な強光が照射されると、基板ダ
メージが生じる。LCD等のイメージングデバイスでは基
板を透過する光が、基板上のダメージを受けた領域にお
いて散乱等を引き起こし画像品質の低下が生じるという
問題があった。
【0008】光マスク上のパターンをシリコン薄膜上に
縮小投影しレーザ結晶化する技術は、 公知資料2、R. Sposili and J. Im, "Sequential late
ral solidification ofthin silicon films on SiO2",
Applied Physics Letters誌、vol. 69, (1996),2864及
び、 公知資料3、J. Im, R. Sposili and M. Crowder, "Sin
gle-crystal Si films for thin film transistor devi
ces", Applied Physics Letters誌、vol. 70, (1997),
3434に開示されている。本文献によれば、308nm excime
r laser, variable-energy attenuator, variable-focu
s field lens, patterned-mask, two-element imaging
lens, sub-micrometer-precision translation stage を用いて、1:5程度の縮小投影を行うことによって、
μmオーダのビームサイズとμmオーダの基板ステージ
の移動ピッチを実現している。ところが本方法を上記の
ような大型の基板処理に用いた場合、光マスク上に照射
されるレーザビームが光源に依存した空間的な強度プロ
ファイルを持つため、例えばマスク上の中心と周辺とを
透過した露光パターンに致命的な強度分布が生じ、所望
の均一性を持った結晶性シリコン薄膜を得ることができ
ないという問題があった。さらに、波長の短い紫外光を
縮小投影するためビームの焦点深度が小さく、基板のそ
り、たわみによる照射深度ずれが生じやすいという問題
があった。また、基板が大きくなるにつれてステージの
機械的精度を確保することが困難であり、ステージの傾
きや移動時のステージ上での基板のずれが、所望のレー
ザ照射条件を妨げるという問題もあった。
【0009】さて上記のようなレーザ照射を行う際に、
複数のパルスをある遅延時間をもたせて照射する方法が 公知資料4、Ryoichi Ishihara et al. "Effects of li
ght pulse duration onexcimer laser crystallization
 characteristics of silicon thin films", Japanese
journal of applied physics, vol. 34, No.4A, (1995)
 pp1759 に開示されている。上記公知文書によれば、レーザ再結
晶化プロセスにおける溶融シリコンの結晶化固化速度は
1m/sec以上であり、良好な結晶成長を得るために
は、固化速度の低減が必要である。固化が完了した直後
に第2のレーザパルスを照射することにより第2の照射
によってより固化速度の小さな再結晶化過程を得られる
というものである。さて、図4に示すようなシリコンの
温度変化(時間履歴曲線)によれば、レーザエネルギー
(例えば図5に示す強度パルス)の照射とともにシリコ
ンの温度が上昇し、出発材料がa−Siの場合、a−S
iの融点を経た後さらに温度が上昇、エネルギーの供給
が温度上昇に必要な値を下回ると、冷却が始まる。結晶
Siの凝固点において、凝固時間を経て固化が終了した
後、雰囲気温度まで冷却される。ここで、シリコンの固
化がシリコン−基板界面を起点に膜厚方向に進むとする
と、上記固化速度の平均値は以下のような式で表され
る。
【0010】 固化速度の平均値=シリコンの膜厚/凝固時間 すなわち、シリコンの膜厚が一定であれば、固化速度を
小さくするためには凝固時間の長時間化が有効である。
したがって、熱平衡学的に理想的な状態を維持したプロ
セスであれば、理想的な投入するエネルギーすなわちレ
ーザ照射エネルギーを大きくすることで、凝固時間の拡
大が可能である。ところが上記公知文書においても指摘
されているとおり、照射エネルギーの増大は膜の非晶質
化、微結晶化を引き起こすという問題があった。現実的
な溶融・再結晶化工程においては図4のような理想的な
温度変化を示さず、加熱時には温度の過上昇、冷却時に
は過冷却過程を経て安定状態に到達する。特に冷却時の
冷却速度が大きく過度の過冷却を経る場合、凝固点近傍
での結晶化が生ずることなく、急速冷却固化によりアモ
ルファス(非晶質)固体が形成されるためである。薄膜
においては上記公知文献中でも述べられているとおり、
条件によってアモルファスではなく、微結晶体を形成す
ることもある。微結晶体は、多結晶薄膜あるいは単結晶
薄膜に比べその粒径が極端に小さいために、粒界ポテン
シャルの大きな結晶粒界が多数存在し、たとえば薄膜ト
ランジスタへの応用ではオン電流の低下、あるいはオフ
リーク電流の増大を招くといった問題を有する。
【0011】一方で、被レーザ照射材料であるa-Si薄膜
の形成工程、レーザ照射工程、プラズマ水素化工程、ゲ
ート絶縁膜の形成工程を順次あるいは順を変えて、大気
暴露することなく行う技術が、下記の特許公報に開示さ
れている。
【0012】特開平5−182923号公報 非晶質半
導体薄膜を加熱処理した後、レーザを照射する工程を大
気暴露することなく行う。
【0013】特開平7−99321号公報 レーザ結晶
化多結晶シリコン薄膜を有する基板を大気暴露すること
なくプラズマ水素化、ゲート絶縁膜の形成工程に基板搬
送する。
【0014】特開平9−7911号公報 レーザ結晶化
多結晶シリコン薄膜を有する基板を大気暴露することな
くゲート絶縁膜の形成工程に基板搬送する。
【0015】特開平9−17729号公報 レーザ結晶
化多結晶シリコン薄膜を有する基板を大気暴露すること
なくゲート絶縁膜の形成工程に基板搬送し多結晶シリコ
ン表面への不純物の付着を防ぐ。
【0016】特開平9−148246号公報 非晶質シ
リコン薄膜の形成、レーザ結晶化、水素化、ゲート絶縁
膜の形成を大気暴露することなく連続して行う。
【0017】特開平10−116989号公報 非晶質
シリコン薄膜の形成、レーザ結晶化、水素化、ゲート絶
縁膜の形成を大気暴露することなく連続して行う。
【0018】特開平10−149984号公報 非晶質
シリコン薄膜の形成、レーザ結晶化、水素化、ゲート絶
縁膜の形成を大気暴露することなく連続して行う。
【0019】特開平11−17185号公報 非晶質シ
リコン薄膜の形成、レーザ結晶化、ゲート絶縁膜の形
成、ゲート電極の形成を大気暴露することなく連続して
行う。
【0020】これらの思想、技術は、レーザ結晶化によ
って形成されたシリコン表面が非常に活性であるため大
気中に曝すことにより不純物が付着しやすくなり、結果
として形成されるTFTの特性を劣化させる、あるいは
その特性にばらつきを生じさせるという問題を解決する
ために考案されている。そこで、出願人らはエキシマレ
ーザ結晶化技術と酸化シリコン膜形成技術を同一装置
(大気に曝さず別の装置に基板を搬送することを含む)
で行い、いったん大気に曝した場合との性能比較を行っ
た。 その結果、ゴミ、パーティクルの付着防止効果に
よる製品の歩留まり率の向上には大きな効果があったも
のの、この効果はクリーンルーム環境のクリーン度を高
めることである程度同等の効果が得られることがわかっ
た。歩留まり率の向上には、成膜装置よりも同一装置内
に基板の洗浄機構を組み込んだものが最も効果が大き
い。例えばa-Siの形成工程の形成条件によっては成膜中
に基板上にパーティクルが付着し、いったん大気中に解
放して洗浄工程を必要とするものもあった。一方で、薄
膜トランジスタの性能に着目すると、上記製造プロセス
の違いは顕著な差異をもたらさなかった。この理由は以
下のように考察できる。本出願人らは、例えば、 公知資料5、K. Yuda et al. "Improvement of structu
ral and electrical properties in low-temperature g
ate-oxides for poly-Si TFTs by controlling O2/SiH4
 ratios", Digest of technical papers 1997 internat
ional workshop on active matrix liquid crystal dis
plays, September 11-12, 1997, KogakuinUniv., Toky
o, Japan- ,87 において、300〜350℃程度の温度でプラズマを用
いて形成されるシリコン酸化膜や600℃程度の熱処理
を経て形成されるシリコン酸化膜の固定酸化膜電荷密度
(1011〜1012cm-2)や、シリコン基板との間の界面準
位密度(〜 6 x 1010cm-2eV-2)を開示している。この場
合、上記シリコン基板は一般にRCA洗浄と呼ばれる硫
酸/過酸化水素水、塩酸/過酸化水素水/水、アンモニ
ア/過酸化水素水/水、フッ酸/水等の酸性(必要に応
じて加熱)洗浄液をもちいて洗浄、水洗後、成膜装置内
に導入される。したがって、上記界面準位密度値は、単
結晶シリコン基板ではあるものの、清浄界面形成(洗
浄)後いったん大気に曝され、成膜工程に移った試料か
ら得たものである。ここで一方のレーザ結晶化シリコン
膜のトラップ準位密度に注目する。本出願人らは、例え
ば、 公知資料6、H. Tanabe et al., "Excimer laser cryst
allization of amorphous silicon films", NEC Resear
ch and Development誌, vol. 35, (1994), 254 において、レーザ結晶化シリコン膜を有する薄膜トラン
ジスタから、結晶化シリコン膜中のトラップ準位密度(1
012〜1013 cm-2)を開示している。 しかもこれらのトラ
ンジスタが示す電界効果移動度は40〜140 cm2/vsecと良
好な特性を示している。
【0021】さて、上記シリコン膜中のトラップ準位密
度と、界面準位密度(あるいは固定酸化膜電荷密度)を
比較すると明らかにトラップ準位密度の値のほうが大き
い。すなわち、同一装置内で大気の曝すことなくシリコ
ン膜/ゲート絶縁膜を形成した試料において、その清浄
性の効果を得るためには、シリコン膜の性能(トラップ
準位密度)が十分ではないという問題があることが判明
した。
【0022】次に、プラズマダメージを低減し良質なゲ
ート絶縁膜を形成する手段としてリモートプラズマCV
D(化学的気相成長)法が提案されている。例えば、特
開平5−21393号公報には、プラズマ発生室と基板
処理室を分離する構成が開示されている。このような構
成をとることにより、上述のような低固定酸化膜電荷密
度(1011〜1012cm-2)や、低界面準位密度(〜 6 x 10
10cm-2eV-2)が実現できると推察できるが、この効果は
上述のように予め形成されるシリコン膜の性能に制限さ
れてしまうという問題があった。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
述べてきた問題を克服すべく、トラップ準位密度の小さ
い半導体薄膜を光照射によって形成する技術を提供する
と共に、大面積基板上に再現性よくその技術を応用する
ための技術/装置を提供することにある。
【0024】本発明のもう一つの目的は、それらの良質
な半導体膜上に良質なゲート絶縁膜を形成する手段を提
供し、良好な半導体−絶縁膜界面すなわち優れた特性を
有する電界効果型トランジスタを製造する装置を提供す
ることにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】(1)本発明によれば、
光マスク上に形成した複数のパターンを半導体薄膜に投
影露光して、半導体薄膜の所定の領域を改質する半導体
薄膜形成装置において、露光されるべき光を、上記光マ
スク上の所定の領域において、該領域内の光の強度分布
が該領域内の光の平均強度の±11.2%以内の範囲に
含まれるように、均一化させる機構を有することを特徴
とする半導体薄膜形成装置が得られる。露光光を、ビー
ムホモジナイザを用いて空間均一性±11.2%程度以
下に均一化し、光マスク上に照射するため、半導体薄膜
に投影露光される光の少なくともピーク強度の場所分布
が、光マスク上の強度分布と同等に均一化される。その
結果露光領域全体において所望のレーザ改質が実現され
る。
【0026】(2)本発明によれば、光マスク上に形成
した露光パターンを、基板ステージに保持された基板上
の半導体薄膜に投影露光して、半導体薄膜の所定の領域
を改質する半導体薄膜形成装置において、光マスクまた
は基板ステージを個別または同時に駆動することによ
り、露光パターンを順次走査する機構を有することを特
徴とする半導体薄膜形成装置が得られる。光マスクによ
って基板上に投影露光できる面積が基板サイズに比べ小
さい場合、露光領域への基板の移動を基板ステージによ
って行う。基板を固定した状態でレーザの照射に合わせ
てマスクステージを移動させることによって、所望の領
域に順次露光する。
【0027】(3)本発明によれば、光マスク上に形成
した露光パターンを半導体薄膜に投影露光して、半導体
薄膜の所定の領域を改質する半導体薄膜形成装置におい
て、露光パターンを半導体薄膜に投影露光する際の、露
光パターンの半導体薄膜の所定の領域への焦点合わせを
行う焦点合わせ機構を有することを特徴とする半導体薄
膜形成装置が得られる。露光領域への基板の移動を基板
ステージによって行う場合、基板のそり、たわみ、厚さ
のばらつきなど、あるいは基板ステージの露光軸に対す
る垂直度などのずれによって、基板中心部と基板周辺部
等で焦点位置からのずれが生じても、随時焦点合わせを
行うことによって、再現性よく基板全面に所望の露光を
行うことができる。
【0028】(4)本発明によれば、光マスク上に形成
したパターンを半導体薄膜に露光ビームにより投影露光
して、半導体薄膜の所定の領域を改質する半導体薄膜形
成装置において、露光ビームの半導体薄膜に対する傾き
を補正する傾き補正機構を有することを特徴とする半導
体薄膜形成装置が得られる。露光領域への基板の移動を
基板ステージによって行う場合、基板のそり、たわみ、
厚さのばらつきなど、あるいは基板ステージの露光軸に
対する垂直度などのずれによって、基板中心部と基板周
辺部等で露光軸からのずれが生じても、随時傾き補正を
行うことによって、再現性よく基板全面に所望の露光を
行うことができる。
【0029】(5)本発明によれば、光マスク上に形成
したパターンを半導体薄膜に露光ビームにより投影露光
して、半導体薄膜の所定の領域を改質する半導体薄膜形
成装置において、半導体膜が堆積された基板上に形成さ
れたマークに対し、露光ビームの位置合わせを行うアラ
イメント機能を有することを特徴とする半導体薄膜形成
装置が得られる。予め設けられたアライメントマークを
基準に露光領域を決定することによって、所望の場所に
所望の露光条件で露光改質された半導体薄膜を形成する
ことができるため、例えばトランジスタのチャネル領域
のみを露光改質することができる。すなわち改質した領
域に対応して、ソース・ドレイン、チャネル領域を順次
次の工程でパターン形成することができる。
【0030】(6)本発明によれば、光マスク上に形成
したパターンを半導体薄膜に投影露光して、半導体薄膜
の所定の領域を改質する半導体薄膜形成装置において、
半導体膜が堆積された基板をステージ上に保持する機能
を有することを特徴とする半導体薄膜形成装置が得られ
る。光マスクによって基板上に投影露光できる面積が基
板サイズに比べ小さい場合、露光領域への基板の移動を
基板ステージによって行う。基板を固定した状態でレー
ザの照射に合わせてマスクステージを移動させることに
よって、所望の領域に順次露光する。このような場合、
基板ステージの移動等でステージ上の基板がずれる。特
に回転補正(θ補正)が必要な場合、ずれが発生したと
きにその都度補正を行なうことはスループットの妨げに
なるため、基板を保持することが必要になる。またステ
ージ上で基板加熱を行うような場合、加熱により基板の
そり、たわみが発生するため、それによる焦点ずれや露
光軸からの傾きが発生することを防止する。
【0031】(7)本発明によれば、光マスク上に形成
したパターンを半導体薄膜に露光ビームにより投影露光
して、半導体薄膜の所定の領域を改質する半導体薄膜形
成装置において、複数のレーザ光を前記露光ビームとし
て合成する合成機構を有することを特徴とする半導体薄
膜形成装置が得られる。
【0032】(8)本発明によれば、上記(7)に記載
の半導体薄膜形成装置において、前記複数のレーザ光が
第1および第2のレーザ光であり、前記合成機構は、第
1のレーザ光に対し第2のレーザ光が遅延して半導体薄
膜に照射されるように、第1および第2のレーザ光を前
記露光ビームとして合成することを特徴とする半導体薄
膜形成装置が得られる。
【0033】図6に膜厚75nmのシリコン薄膜に波長
308nmのエキシマレーザを照射した場合の、数値計
算から求めた最大冷却速度(Cooling rate, K/sec)と、
レーザ照射後の膜のSEM観察から得られた結晶化−微
結晶化の照射強度のしきい値を示す。図5は実験に用い
たレーザの発光パルス波形である。3つの主ピークを有
し発光時間は約120nsecに及ぶ。このようなパル
ス波形は、上記公知資料6に記載されているパルス幅2
1.4nsecの矩形パルスに比べ5倍以上の発光時間
を有することから、単一パルス照射であっても上記公知
資料6中で述べられているような固化速度の低減といっ
た効果が期待できる。さて、このようなパルス波形を用
いたレーザ再結晶化時の数値計算から求めたシリコンの
温度−時間曲線は図7に示すようになる。図7はシリコ
ン膜厚75nm、基板にSiO2、XeClレーザ(波
長308nm)照射強度が450mJ/cm2である時
のシリコン薄膜の温度変化を示す。第2の発光ピークが
ほぼ終了する約60nsec後に最高温度に達し冷却へ
と転じる。(なお、本数値計算では溶融・凝固点として
非晶質シリコンの値を用いており、凝固点付近の振る舞
いは現実のものとは異なる。特に結晶化膜が得られる場
合は、結晶シリコンの凝固点で結晶化が完了する。)い
ったん大きな傾きを持って冷却が開始されるが、第3の
ピークが存在する100nsec程度の傾きは非常に小
さくなることがわかる。完全に発光が終了する120n
sec以降では、再び急速な冷却過程を経て凝固する。
一般に、熱平衡過程を大きくはずれるような“急冷”を
経た液体からの固化過程の場合、結晶構造の形成に必要
な十分な凝固時間を得ることができず、アモルファス
(非晶質)固体を形成する。図7に示すようなシリコン
の温度−時間曲線から各照射強度に対し発光終了後の最
大冷却速度を見積もった結果を図6に示す。照射強度の
増大とともに冷却速度が増加することがわかる。一方、
レーザ照射後のシリコン薄膜の構造を走査型電子顕微鏡
を用いて観察したところ、照射強度の増大とともにいっ
たん粒径は増大するものの、470mJ/cm2程度の
設定照射強度条件において、微結晶化が観測された。同
様に照射パルス数を3パルスにした場合、470mJ/
cm2程度の設定照射強度条件においても、部分的に微
結晶化領域が残るものの1パルスの時とは異なり粒径の
飛躍的な増大が観測された(図8)。なお、実照射強度
は、エキシマレーザの特に最初の数パルスにおいて、設
定値に比べ5〜10%程度高くなるため、微結晶化が生
じるしきい強度は500mJ/cm2程度と見積もるこ
とができる。以上のような結果から、図6の500mJ
/cm2条件から冷却速度を見積もることにより、微結
晶化は約1.6x1010℃/sec以上の冷却速度条
件で生じることがわかった。被照射膜がa−Siの場
合、約500mJ/cm2以上の照射強度で微結晶化
が、同様に、被照射膜がpoly−Siの場合にこの冷
却速度を当てはめると、a−Siに比べ約30mJ/c
m2大きい照射強度が示唆される。したがって、冷却速
度を1.6x1010℃/sec以下に制御することに
よって、微結晶化、アモルファス化を防ぐことができ、
良好な結晶成長過程を得ることが可能になる。
【0034】第2のレーザ光を第1のレーザ光に遅延し
て導入した場合について述べる。すでに述べたように、
発光後期のレーザ光が冷却速度の増大を緩和するととも
に、発光終了後の冷却速度が結晶化を支配する。すなわ
ち、最終的に投入されたエネルギーによりそれ以前の冷
却過程は初期化されると考えられる。更に付加的なエネ
ルギーを投入することによって、それ以前の固化過程に
おいて急冷による非晶質化、微結晶化が生じていても、
エネルギーは保存されている(ナノ秒オーダと短時間の
ため、基板への熱伝導、雰囲気への放射は小さいと考え
られる。もちろん十分な熱の放出が可能な時間は考慮し
ない)ため一旦初期化され、再度固化過程を繰り返すも
のと考えられる。したがって再度投入されたエネルギー
による2次加熱終了後の冷却速度に注目することによっ
て、良好な結晶成長が期待できる。図9に示すように、
遅延時間を制御することによって冷却速度を所望の値に
コントロールする。
【0035】さて、照射されるビームの空間的な強度分
布について次に述べる。複数のスリットを用いたレーザ
照射においても、スリット内の空間分布が一定でありか
つスリット間の強度空間分布が一定であることが望まし
いが、光学素子設計や光学素子作製上の制限から、±数
%〜十数%程度のばらつきが生じてしまう。エキシマレ
ーザ光の経時変化や光学系の消耗、光学素子への異物の
付着等も考慮するとその分布は±数十%になる場合もあ
る。図10は、図8に示すような顕微鏡写真から求め
た、照射強度と照射回数(照射パルス回数)Nに依存し
た平均結晶粒径d(d=KNn,ここで、Kは定数、n
は傾きを示す)の変化を示している。図10が示唆する
ように、照射強度が450mJ/cm2程度を境に照射回数N
に対する粒径変化の傾きnが変化する。所望の作製条件
を照射強度と場所あたりの照射回数Nで設計する場合、
空間的な強度分布がn=1/4となるような条件とn=1/7とな
るような条件とを混在させないことが望ましい。したが
って、空間的なばらつきが生じた場合でも例えば521
〜470mJ/cm2の範囲(平均強度495.5mJ/cm2の約
±5.2%以内の範囲)あるいは424〜339mJ/cm2
の範囲(平均強度381.5mJ/cm2の約±11.2%以
内の範囲)に分布が収まるように照射を行えば、極端な
平均粒径の相違を抑制したSi薄膜のレーザ結晶化が可
能になる。
【0036】(9)本発明によれば、光マスク上に形成
したパターンを基板上の半導体薄膜に投影露光して、半
導体薄膜の所定の領域を改質するための処理室を有する
半導体薄膜形成装置において、大気に暴露することなく
別の処理室に基板を搬送する機構を有することを特徴と
する半導体薄膜形成装置が得られる。
【0037】(10)本発明によれば、上記(9)に記
載の半導体薄膜形成装置において、前記別の処理室が基
板に絶縁膜を形成するための絶縁膜形成室であることを
特徴とする半導体薄膜形成装置が得られる。
【0038】半導体膜中のトラップ準位密度が、界面準
位密度と同等かそれ以下になるために、同一装置内で大
気の曝すことなく半導体膜/ゲート絶縁膜を形成するこ
とによって、その清浄性維持の効果を十分活かし、良好
な半導体−絶縁膜界面を得ることが可能になる。
【0039】(11)本発明によれば、上記(9)に記
載の半導体薄膜形成装置において、前記別の処理室が基
板に半導体膜を形成するための半導体膜形成室であるこ
とを特徴とする半導体薄膜形成装置が得られる。
【0040】(12)本発明によれば、上記(9)に記
載の半導体薄膜形成装置において、前記別の処理室が基
板に加熱処理を施すための加熱処理室であることを特徴
とする半導体薄膜形成装置が得られる。
【0041】(13)本発明によれば、上記(9)に記
載の半導体薄膜形成装置において、前記別の処理室が基
板にプラズマ処理を施すためのプラズマ処理室であるこ
とを特徴とする半導体薄膜形成装置が得られる。
【0042】(14)本発明によれば、上記(9)に記
載の半導体薄膜形成装置において、前記処理室が、前記
光マスク上に形成したパターンを前記基板上の半導体薄
膜にレーザビームにより投影露光して、半導体薄膜の前
記所定の領域を改質するためのレーザ処理室であり、前
記別の処理室がもう一つのレーザ処理室であることを特
徴とする半導体薄膜形成装置が得られる。
【0043】このような構成をとることによって、高性
能、多機能半導体形成装置の提供、低コスト、高再現性
薄膜トランジスタ製造プロセスの提供、及び高性能薄膜
トランジスタの提供がそれぞれ可能になる。
【0044】具体的には、 1)薬液による洗浄工程削減が可能な安定性の高い半導
体薄膜プロセス装置の提供 2)同一装置において多工程を処理可能な多機能型装置
を提供することによって、トータルの工場設置面積を小
さくできる、省スペース半導体プロセス装置の提供 3)シリコン清浄表面(界面)を、薬液を用いることな
く維持可能な低コスト、高性能薄膜トランジスタの製造
方法の提供がそれぞれ可能になる。
【0045】(15)本発明によれば、上記(9)〜
(13)のいずれかに記載の半導体薄膜形成装置におい
て、前記別の処理室は、該別の処理室内の所定の領域に
プラズマを発生させるためのプラズマ発生源を有し、前
記別の処理室内の前記所定の領域外の領域に基板が配置
されることを特徴とする半導体薄膜形成装置が得られ
る。
【0046】(16)本発明によれば、上記(13)に
記載の半導体薄膜形成装置において、前記別の処理室
は、該別の処理室内の所定の領域にプラズマを発生させ
るためのプラズマ発生源を有し、前記別の処理室は、前
記所定の領域の前記プラズマにより励起されたガスと、
前記所定の領域を介さずに前記別の処理室内に導入され
る別のガスとを反応させることにより、前記基板に前記
プラズマ処理を施すものであることを特徴とする半導体
薄膜形成装置が得られる。
【0047】プラズマ発生室と基板処理室を分離する構
成によって、プラズマダメージを低減し良質なゲート絶
縁膜を形成する手段に加えて、シリコン膜中のトラップ
準位密度が、界面準位密度と同等かそれ以下になるため
に、良好な半導体−絶縁膜界面を得ることが可能にな
る。
【0048】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
図面を参照して説明する。
【0049】図11は本発明の実施の形態を表した例で
ある。第1のエキシマレーザEL1及び第2のエキシマレ
ーザEL2から供給されるパルスUV光は、ミラー類opt3,
 opt3'、レンズ類opt4を介してホモジナイザopt20'に導
かれる。ここでビームの強度プロファイルが光学マスク
opt21で所望の均一度、例えば面内分布±5%、になる
ように整形する。(エキシマレーザから供給されるオリ
ジナルなビームはその強度プロファイルや総エネルギー
量が、パルス間毎に変化する場合があるため、光学マス
ク上での強度が、空間的分布、パルス間ばらつきについ
て、より均一化されるための機構が設けられることが望
ましい。ホモジナイザとしては、フライアイレンズやシ
リンドリカルレンズを用いたものが一般的に用いられ
る。)上記光学マスクによって形成された光パターンは
縮小投影露光装置opt23'、レーザ導入窓W0を介して、真
空チャンバC0内に設置されたsub0基板に照射される。上
記基板は、基板ステージS0上に載置されており、基板ス
テージの動作によって所望の領域、例えばパターン転写
領域ex0に光パターンを露光することができる。図11
では縮小投影光学系を示したが、場合によっては等倍、
拡大投影を行ってもかまわない。基板ステージの移動
(図内X−Y)によって基板上の任意の領域に照射が行
われる。また、上記光学マスクはマスクステージ(図示
せず)上に設置され、露光可能領域内であれば、上記光
学マスクを移動して基板上に照射されるビームを操作す
ることも可能である。
【0050】次に所望の光パターンを所望の条件で基板
上に照射するために必要な機構について例示する。光軸
の調整には微妙な調整が必要となるため、いったん調整
を終えた光軸を固定して基板の位置を調整する方法を示
す。光軸に対する基板照射面の位置は、焦点(Z)方向
位置及び光軸に対する垂直度を補正する必要がある。し
たがって、図中θxy傾き補正方向、θxz傾き補正方向、
θyz傾き補正方向、X露光領域移動方向、Y露光領域移動
方向、Z焦点合わせ方向で示すうち、θxy傾き補正方
向、θxz傾き補正方向、θyz傾き補正方向の調整により
光軸に対する垂直度を補正する。また、Z焦点合わせ方
向を調整することにより光学系の焦点深度にあった位置
に基板照射面を配置制御する。
【0051】図12は上記の調整や基板のアライメント
機構の側面図について例示した。露光軸L0に対し、光学
マスクopt21、縮小投影露光装置opt23'、レーザ導入窓W
0が図のように配置される。真空チャンバC0内に配置さ
れた基板sub0は、基板吸着機構付きヒータH0、基板XYZ
θxyθxzθyzステージS0'上に配置される。真空チャン
バを用いているが実際の光照射は真空排気後置換された
不活性ガス、水素、酸素、窒素等の雰囲気中で行われる
ことが望ましく、雰囲気圧も大気圧前後の圧力であって
もよい。基板吸着機構付きヒータを用いることによって
光照射時に、室温〜400℃程度の基板加熱条件を選ぶ
ことができる。上記のように雰囲気圧を大気圧力程度に
することによって、真空チャック機能による基板の吸着
ができるため、チャンバ内での基板ステージの移動等が
あってもずれを防止でき、投入された基板に多少のそ
り、たわみがあっても基板ステージに固定することがで
きる。さらに加熱による基板のそり、たわみによる焦点
深度ずれを最小限に抑えることができる。
【0052】レーザ干渉計i1, i2は、測長用窓W-i、測
長用ミラーopt-iを介して、基板のアライメント及び基
板のZ方向位置の測定を行う。アライメントには、基板
上のアライメントマークをオフアクシス顕微鏡m0、顕微
鏡用光源Lm、顕微鏡用素子opt-mを用いて計測し、レー
ザ干渉系による基板位置情報を用いて所望の露光位置を
計測できる。図12ではオフアクシス法を例示したが、
Through The Lens方式やThrough The Mask (Reticle)方
式を応用することも可能である。また、複数の計測地点
から線形座標を、最小2乗法を用いて決定することによ
り、計測時に生じる測定誤差を平均化する手段をとるこ
ともできる。
【0053】図13(A)〜(C)にマスクパターンとアライ
メントマークの関係について示した。マスクはマスク
(非露光部)mask1とマスク(露光部)mask2とから構成
される。例えばエキシマレーザを光源にする場合、紫外
光が透過する石英基板上にアルミニウム、クロム、タン
グステンなどの金属や、誘電体多層膜といった紫外光を
吸収、反射する膜を形成し、フォトリソグラフィとエッ
チング技術を用いてパターンを形成する。マスク上の所
望のパターン(図13(A)において白色部で示される)
に応じて、シリコン膜が露光され図13(B)に示される
ように非露光Si(Si1)内に露光Si部(Si2)が形成され
る。このとき、必要に応じてマスク上マークmark1が基
板上マークmark2に一致するようにアライメント調整後
露光することによって、シリコン薄膜上の予め設計され
た位置を露光することが可能となる。また、上記シリコ
ン薄膜を用いた薄膜トランジスタ形成工程において、露
光プロセスが位置決めを必要とする第1工程の場合(す
なわちアライメントマークが予め形成されていない場
合)、シリコン薄膜への露光工程時に露光形成マークma
rk3を同時に露光することによって、a-Siと結晶Siとの
光学的色差を利用したアライメントマークが形成でき
る。したがってこのマークを基準に後工程におけるフォ
トリソグラフィ等を行うことによって、露光改質された
所望の領域に、トランジスタや所望の機構、機能を作り
込むことができる。露光工程後シリコン薄膜上にSi酸化
膜を形成し、シリコン層の所望の領域がエッチング除去
された状態を図13(C)に示す。Si除去部(Si3)は積層
されたシリコン膜とSi酸化膜がエッチング除去された領
域であり、非露光Si (Si1)と露光Si (Si2)上にSi酸
化膜(Si4, Si5)が積層された形状が示されている。こ
のように酸化膜で覆われたシリコン膜からなる島状構造
を作り込むことによって素子間分離された薄膜トランジ
スタのチャネル/ソース・ドレイン領域や後工程のアラ
イメントに必要なマークを形成することができる。
【0054】図14(1)(2)に主要動作のタイミングチャ
ートを示す。制御例1では基板ステージをの動作により
所望の露光位置に基板を移動させる。次に焦点合わせや
アライメント動作を行い精密に露光位置を調整する。こ
のとき、例えば0.1μm〜100μm程度といった、
所望の設定誤差精度にはいるように調整する。その動作
が完了した時点で、基板への光照射が実行される。これ
らの一連の動作を終了した時点で次の露光領域へ基板が
移動し、基板上の必要な箇所を照射終了した後、基板が
交換され第2の処理基板上で所定の一連の処理を行う。
制御例2では基板ステージをの動作により所望の露光位
置に基板を移動させる。次に焦点合わせやアライメント
動作を行い精密に露光位置を調整する。このとき、例え
ば0.1μm〜100μm程度といった、所望の設定誤
差精度にはいるように調整する。その動作が完了した時
点で、マスクステージの動作を始動する。始動時の移動
ステップ量のばらつきを避けるために、基板への光照射
はマスクステージ動作の開始よりもあとから開始される
チャートである。もちろんステージの移動によりアライ
メント位置から離れた地点に露光されるため、その分の
オフセット量は予め考慮する必要があることはいうまで
もない。基板への光照射よりも早く光源の運転を開始
し、光源の出力強度の安定性が高まった時点で、シャッ
タ等を開き基板への光照射を行うことも可能である。特
にエキシマレーザを光源に用い、発振期間と停止期間と
が繰り返されるような使用法をとった場合、初期の数1
0パルスが特に不安定なことが知られており、これらの
不安定なレーザパルスを照射したくない場合には、マス
クステージの動作に合わせてビームを遮断する方式をと
ることができる。これらの一連の動作を終了した時点で
次の露光領域へ基板が移動し、基板上の必要な箇所を照
射終了した後、基板が交換され第2の処理基板上で所定
の一連の処理を行う。
【0055】膜厚75nmのa-Si薄膜に対して1mm x 50μm
のビームを短軸方向に0.5μmピッチで走査した。一
つの光源を用いてレーザ照射強度は照射面で470mJ/cm2
としたところ、走査方向に連続する単結晶シリコン薄膜
が得られた。さらに、第2光源を照射面で150mJ/cm2と
なるように、100nsec遅延させて照射した条件では1.
0μmの走査ピッチ条件でも走査方向に連続する単結晶
シリコン薄膜が得られた。上記結晶化シリコン膜中のト
ラップ準位密度は1012 cm-2より低い値を示した。
【0056】図15は、本発明の実施の形態を示す半導
体薄膜形成装置の側面図である。プラズマCVD室C2、
レーザ照射室C5、基板搬送室C7から構成され、ゲートバ
ルブGV2, GV5を介して基板の搬送が装置外部の雰囲気に
触れることなく真空中、不活性ガス、窒素、水素、酸素
等の雰囲気かつ高真空、減圧、加圧状態で可能である。
レーザ照射室においては400℃程度まで加熱可能なS5
基板ステージ上にチャック機構を用いて基板が設置され
る。プラズマCVD室では、400℃程度まで加熱可能な
基板ホルダーS2上に基板が設置される。この例ではガラ
ス基板Sub0上にシリコン薄膜(Si 1)が形成された状態
でレーザ照射室に導入され、表面のシリコン薄膜がレー
ザ照射により結晶性シリコン薄膜(Si 2)に改質され、
プラズマCVD室に搬送された状態を示している。
【0057】レーザ照射室に導入されるレーザ光は、エ
キシマレーザ1(EL 1)、エキシマレーザ2(EL 2)か
ら供給されるビームが第1のビームラインL 1、第2の
ビームラインL 2を通り、レーザ合成光学装置opt 1、ミ
ラーopt 11、透過ミラーopt12、レーザ照射光学装置opt
 2、ホモジナイザopt 20、光学マスクステージopt 22に
固定された光学マスクopt 21、投影光学装置opt 23、レ
ーザ導入窓W 1を介して基板表面に到達する。ここでは
2台のエキシマレーザを図示したが、光源としては1台
以上所望の台数を設置することもできる。またエキシマ
レーザに限らず、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ等のパ
ルスレーザや、アルゴンレーザ等のCW光源と高速シャ
ッタを用いてパルス上に供給してもよい。
【0058】一方プラズマCVD室はRF電極D 1と プラズ
マ閉じこめ電極D 3により プラズマ形成領域D 2が基板
が配置される領域とは離れた位置に形成される。プラズ
マ形成領域には例えば酸素とヘリウムを、 原料ガス導
入装置D 4を用いてシランガスを供給することにより、
基板上に酸化シリコン膜を形成することができる。
【0059】図16に本発明の実施の形態を示す半導体
薄膜形成装置の平面図を示す。ロード/アンロード室C
1、 プラズマCVD室 C2、基板加熱室C3、水素プラズマ
処理室C4、レーザ照射室C5、基板搬送室C7がそれぞれゲ
ートバルブGV1〜GV6を介して接続されている。第1のビ
ームラインL1、第2のビームラインL2から供給されるレ
ーザ光がレーザ合成光学装置opt1、レーザ照射光学装置
opt2、レーザ導入窓W1を介して基板表面に照射される。
また、それぞれのプロセス室、搬送室はガス導入装置ga
s1〜gas7、排気装置vent1〜vent7が接続されており、所
望のガス種の供給、プロセス圧の設定、排気、真空が調
整される。図に点線で示すように処理基板sub2, sub6が
平面上に配置される。
【0060】図17はプラズマCVD室 C2の概略図であ
る。高周波電源(13.56MHzあるいはそれ以上の
高周波が適する)RF1から電力が高周波電極RF2に供給さ
れる。ガス供給穴付き電極RF3と高周波電極の間にプラ
ズマが形成され、反応形成されたラジカルがガス供給穴
付き電極を通り基板が配置された領域に導かれる。平面
型ガス導入装置RF4によりプラズマに曝すことなく別の
ガスが導入され、気相反応を経て基板sub2上に薄膜が形
成される。基板ホルダーS2はヒータ等により室温から5
00℃程度までの加熱行うように設計した。図のよう
に、排気装置ven2、ガス導入装置gas2、酸素ラインgas2
1、ヘリウムラインgas22、水素ラインgas23、シランラ
インgas24、ヘリウムラインgas25、アルゴンラインgas2
6を用いて酸素ラジカルとシランガスを反応させること
によって酸化シリコン膜を形成できる。基板温度300
℃、圧力0.1torr、RF電力100W、シラン流
量10sccm、酸素流量400sccm、ヘリウム流
量400sccmの条件で膜形成を行ったところ、固定
酸化膜電荷密度(5x1011cm-2)と良好な特性を有する
シリコン酸化膜の形成を確認している。また、シランに
対する酸素流量比を大きくすることでより良好な酸化膜
の形成が可能である。プラズマCVD室の形態としては上
述のような平行平板型のRFプラズマCVD装置ばかり
でなく、減圧CVDや常圧CVDといったプラズマを利
用しない方法や、マイクロ波やECR(Electron Cycrot
ron Resonance)効果を用いたプラズマCVD法を用いる
ことも可能である。
【0061】表1は図17に示すプラズマCVD装置を
酸化シリコン膜以外の薄膜形成に用いる場合に必要なガ
ス種の例を示している。
【0062】
【表1】Si3N4窒化シリコン膜の形成にはN2(窒素)(あるいは
アンモニア)、キャリアガスとしてAr(アルゴン)、Si
H4(シラン)、キャリアガスとしてアルゴン等を用いる
ことができる。Siシリコン薄膜の形成にはH2水素とシラ
ン、水素(キャリアガスとしてアルゴン)とSiF44フッ
化シラン(キャリアガスとしてアルゴン)等の原料ガス
を用いることができる。また、成膜プロセスではない
が、水素プラズマを利用してシリコン薄膜や酸化シリコ
ン膜の水素プラズマ処理も可能である。
【0063】図18は本発明の半導体薄膜形成装置を薄
膜トランジスタの製造工程に応用した場合の工程フロー
図である。
【0064】(a)洗浄によって有機物や金属、微粒子等
を除去したガラス基板sub0上に基板カバー膜T1、シリコ
ン薄膜T2を順次形成する。基板カバー膜としてLPCVD
(減圧化学的気相成長)法でシランと酸素ガスを原料と
し、450℃で酸化シリコン膜を1μm形成する。LPCV
D法を用いることにより基板保持領域を除き基板外表面
全体をカバーすることも可能である(図示せず)。ある
いはテトラエトキシシラン(TEOS)と酸素を原料とした
プラズマCVD、TEOSとオゾンを原料とした常圧CV
D、図18に示すようなプラズマCVD等を利用するこ
とも可能であり、基板材料(アルカリ金属濃度を極力低
減したガラス、表面を研磨加工した石英・ガラス等)が
含む半導体デバイスに有害な不純物の拡散防止ができる
材料が基板カバー膜として有効である。シリコン薄膜は
LPCVDでジシランガスを原料として500℃で厚さ
75nm形成する。この場合膜中に含まれる水素原子濃
度が1原子%以下となるため、レーザ照射工程での水素
放出による膜荒れ等を防ぐことができる。あるいは図1
7に示すようなプラズマCVD法や広く普及しているプラ
ズマCVD法を用いても、基板温度や水素/シラン流量
比、水素/4フッ化シラン流量比等を調整することによ
って水素原子濃度が低いシリコン薄膜を形成できる。
【0065】(b)上記(a)工程で準備した基板を、有機物
や金属、微粒子、表面酸化膜等を除去するための洗浄工
程を経た後、本発明の薄膜形成装置に導入する。レーザ
光L0が照射し、シリコン薄膜を結晶化シリコン薄膜T2'
に改質する。レーザ結晶化は99.9999%以上の高
純度窒素700torr以上の雰囲気で行われる。
【0066】(c)上記工程を経た基板は、ガスが排気さ
れた後基板搬送室を介してプラズマCVD室に搬送され
る。第1のゲート絶縁膜T3として、シラン、ヘリウム、
酸素を原料ガスとして基板温度350度で酸化シリコン
膜を10nm堆積する。このあと必要に応じて水素プラ
ズマ処理や加熱アニールを行う。ここまでが本発明の薄
膜形成装置において処理される。
【0067】(d)次に、フォトリソグラフィとエッチン
グ技術を用いてシリコン薄膜と酸化シリコン膜積層膜の
アイランドを形成する。このとき、シリコン薄膜に比べ
酸化シリコン膜のエッチングレートが高いエッチング条
件を選択することがこのましい。図に示すようにパター
ン断面が階段状(あるいはテーパ状)に形成することに
よって、ゲートリークを防ぎ信頼性の高い薄膜トランジ
スタを提供できる。
【0068】(e)次に、有機物や金属、微粒子等を除去
するための洗浄を行った後、上記アイランドを被覆する
ように第2のゲート絶縁膜T4を形成する。ここでは、LP
CVD法でシランと酸素ガスを原料とし、450℃で酸化
シリコン膜を30nm形成した。あるいはテトラエトキ
シシラン(TEOS)と酸素を原料としたプラズマCVD、
TEOSとオゾンを原料とした常圧CVD、図18に示すよ
うなプラズマCVD等を利用することも可能である。次
にゲート電極としてn+シリコン膜を80nm、タングステン
シリサイド膜を110nm形成する。n+シリコン膜はプラズ
マCVDやLPCVD法で形成された結晶性のリンドープシリコ
ン膜が望ましい。その後、フォトリソグラフィとエッチ
ング工程を経て、T5パターン化されたゲート電極を形成
する。
【0069】(f1, f2)次に、ゲートをマスクとして不純
物注入領域T6, T6'を形成する。CMOS型回路を形成
する場合は、フォトリソグラフィを併用してn+領域が必
要なn-channel TFT及びp+領域を要するp-channel TFTを
作り分ける。注入される不純物イオンの質量分離を行わ
ないイオンドーピングや、イオン注入、プラズマドーピ
ング、レーザドーピング等の方法を採ることができる。
そのとき用途や不純物導入方法によって(f1)(f2)のよう
に表面の酸化シリコン膜を残したまま、あるいは除去し
た後に不純物の導入を行う。
【0070】(g1)(g2)層間分離絶縁膜T7, T7'を堆積、
コンタクトホールを開口後、金属を堆積、フォトリソグ
ラフィとエッチングにより金属配線T8を形成する。層間
分離絶縁膜としては、膜の平坦化が図れるTEOS系酸化膜
やシリカ系塗布膜、有機塗布膜を用いることができる。
コンタクトホール開口はフォトリソグラフィとエッチン
グにより、金属配線は抵抗の低いアルミニウム、銅ある
いはそれらをベースとした合金、タングステンやモリブ
デンといった高融点金属が応用できる。以上のような工
程を行うことによって、性能、信頼性の高い薄膜トラン
ジスタを形成することができる。
【0071】図19は予めアライメントマークを設け、
アライメントマークに応じたレーザ照射を行った場合の
実施例、図20はレーザ照射と同時にアライメントマー
クを形成する場合の実施例について、TFT製造工程フ
ローをもとに説明する。基本的には図18の説明と類似
しているため、特に異なる点を中心に説明する。
【0072】図19(a) 洗浄によって有機物や金属、
微粒子等を除去したガラス基板sub0上に基板カバー膜T
1、タングステンシリサイド膜を順次形成する。アライ
メントマークの形成のために、フォトリソグラフィとエ
ッチングによりパターン化しアライメントマークT9を基
板上に形成する。次にアライメントマークを保護するた
めにマーク保護膜T10を形成し、シリコン薄膜を形成す
る。
【0073】図19(b) レーザ光露光時にはアライメ
ントマークを基準に所望の領域が露光される。その後
は、予め設けられたアライメントマークや、結晶化シリ
コン薄膜パターニングによって形成されるアライメント
マーク(図示せず)を基準に、次工程のアライメントを
行うことができる。
【0074】図20(b) シリコン薄膜への露光と同時
に露光/非露光による改質の相違を利用した結晶化アラ
イメントマークT9'をシリコン薄膜に形成する。
【0075】図20(d) 結晶化アライメントマークT9'
を利用して、フォトリソグラフィ時の目合わせを行い、
エッチング工程を経てシリコン薄膜と酸化シリコン膜積
層膜のアイランドを形成する。
【0076】図21は、非晶質半導体を同期パルスによ
って加熱してレーザアニールを行うレーザアニール装置
であり、所望の波長及び波形のレーザ光を発生するレー
ザ発振装置3110と、レーザ発生部3110からのレ
ーザ光を利用して基板Wを実際に加工するレーザ照射処
理部3120と、これらの動作を統括的に制御する主制
御装置3130とを備える。なお、被加工体である基板
Wは、ガラス板等からなり、その表面には、例えば非晶
質半導体である非晶質Si層が堆積されており、このよ
うなレーザ光による加工によって非晶質Si層にあって
はこれが多結晶Si層になる。
【0077】レーザ発生部3110は、パルスタイプの
レーザ光を発生する一対のレーザ発振装置3111、3
112と、これらレーザ発振装置3111、3112の
発振タイミングを個別に制御して一対のパルス光を適当
な時間差で発生させる遅延制御部である発振制御装置3
113とを備える。ここで、第1レーザ発振装置311
1は、基板Wの加工に際して最初に照射される主たるレ
ーザ装置であり、第2レーザ発振装置3112は、基板
Wの加工に際して次に照射される従たるレーザ装置であ
る。第1及び第2レーザ発振装置3111、3112か
らの各レーザ光は、基板Wの加工に最適となるように時
間差及びパワーが適宜調整されており、両パルス光PL
を光合成系3170を介して重ね合わせることにより加
工用の同期パルス光となる。
【0078】発振制御装置3113は、コンピュータ、
信号整形回路等から構成されており、基準パルスを発生
する基準パルス発生回路3151と、同期パルス光を構
成する一対のパルス光PLの発生間隔すなわち時間差を
予め設定するディレイ時間設定回路3152と、ディレ
イ時間設定回路3152等からの信号出力に基づいて第
1及び第2レーザ発振装置3111、3112の動作タ
イミングを設定するとともにこれに相当する指令信号を
発生する演算回路3153と、演算回路3153からの
指令信号の出力を受けて第1及び第2レーザ発振装置3
111、3112を発振させるための第1及び第2トリ
ガ信号を発生するトリガパルス発生回路3154と、第
1及び第2レーザ発振装置3111、3112のレーザ
出力をそれぞれ高速で光電変換する光検出装置である第
1及び第2フォトセンサ3161、3162と、第1及
び第2のフォトセンサ3161、3162からの出力を
個別に増幅する一対のアンプ3163、3164と、両
アンプ3163、3164からの光検出信号を受けて両
光検出信号の時間差を検出するディレイ時間検出回路3
155とを備える。
【0079】ディレイ時間設定回路3152は、第1及
び第2レーザ発振装置3111、3112からのレーザ
光を重ね合わせた同期パルスの波形が基板Wの加工に最
適となるような時間差(以下、設定時間差t1)を設定
する。このような設定時間差t1は、外部からキーボー
ド等を介して入力すること、或いは基板Wの種類に応じ
て予め記憶した設定値を読み出すことで設定できる。
【0080】演算回路3153は、ディレイ時間設定回
路3152で設定された設定時間差t1に対応する指令
信号S2を発生する。また、ディレイ時間検出回路31
55のからの測定時間差t3の出力に基づいて、設定時
間差t1に修正を加えた修正時間差t2を算出し、この設
定時間差t2に対応する指令信号S2’を発生する。
【0081】トリガパルス発生回路3154は、演算回
路3153が出力する指令信号S2(S2’)を受けて適
当な信号処理を行い、基準パルス発生回路3151から
の基準パルスをトリガとして、第1及び第2レーザ発振
装置3111、3112を発振させるための第1及び第
2トリガ信号Tr1、Tr2を、それぞれ個別に時間差t
1(t2)だけずらして発生する。
【0082】ディレイ時間検出回路3155は、両アン
プ3163、3164からの一対の光検出信号を所定の
閾値で切り出すとともに、その立ち上がりのタイミング
の差から第1及び第2レーザ発振装置3111、311
2が出力する一対のレーザ光間のディレイ時間t3を検
出する。
【0083】レーザ照射処理部3120には、レーザ発
生部3110から出射し、ミラー3171、3172、
ハーフミラー3173等からなる光合成系3170を経
て合成された同期パルス光が入射する。このレーザ照射
処理部3120は、同期パルス光を所望の断面形状及び
エネルギー密度分布のビームとして基板W上に投影する
投影光学系3121と、基板Wを支持して走査に際して
基板Wとともに移動するステージ3122と、ステージ
3122の動作を制御するステージ駆動系3123とを
備える。
【0084】以下、図21のレーザ加工装置の動作につ
いて説明する。主制御装置3130は、発振制御装置3
113を制御して、第1及び第2レーザ発振装置311
1、3112から設定時間差t1だけずれた一対のパル
ス光PLを発生させる。両パルス光PLは、光合成系3
170を介して重ね合わされ、所定の波形を有する加工
用の同期パルス光として基板W上に照射される。同期パ
ルス光は、基準パルス発生回路3151からの基準パル
スをトリガとして発生するので、基準パルスの周期に対
応する周期で同期パルス光の基板W上への照射が繰り返
される。
【0085】この際、ディレイ時間検出回路3155が
出力するディレイ時間t3をモニタすることで、実際の
ディレイ時間t3が設定時間差t1からどの程度ずれてい
るかが分かり、このずれ量Δtを減算した修正時間差t
2=t1−Δt(=2×t1−t3)を新たな目標値とす
る。これにより、第1及び第2レーザ発振装置311
1、3112からほぼ設定時間差t1だけずれた一対の
パルス光PLを発生させることができる。つまり、第1
及び第2レーザ発振装置3111、3112の応答特
性、経時変化等の要因により、ディレイ時間検出回路3
155が出力するディレイ時間t3’が所定の上限値又
は下限値を超える場合、新たなずれ量Δt’を減算した
修正時間差t2’=t1−Δt’を新たな目標値とする。
以上を繰り返すことにより、同期パルス光を構成する一
対のパルス光PLの時間間隔を常に一定に保つことがで
きる。つまり、両レーザ発振装置3111、3112の
特性が異なり、経時的な変化や動作条件の変更等によっ
てトリガから発光までの応答時間にバラツキが生じる場
合であっても、安定した波形の同期パルス光を基板W上
に照射することができる。
【0086】図22は、図21の装置の動作タイミング
を説明するタイミングチャートである。図22(a)
は、波形発生器3151,3154から出力されるトリ
ガ信号Tr1を示し、図22(b)は、第1パルスレー
ザ発振器3111から射出されるパルス光PLを示し、
図22(c)は、トリガ遅延回路3153,3154か
ら出力されるトリガ信号Tr2を示し、図22(d)
は、第2パルスレーザ発振装置3112から射出される
パルス光PLを示す。図からも明らかなように、トリガ
遅延回路3154,3152に遅延時間Tsを設定すれ
ば、理論上は、所期のパルス時間間隔Td(=Td2−
Td1+Ts+Tc)となることが分かる。
【0087】次に、本発明の一実施形態である焦点調節
装置及び方法について説明する。
【0088】図23は、実施形態の焦点調節装置を組み
込んだレーザアニール装置の全体構造を説明する図であ
る。このレーザアニール装置は、ガラス板上にアモルフ
ァス状Si等の半導体薄膜を形成した被加工体であるワ
ークWを熱処理するためのもので、かかる半導体薄膜を
加熱するためのエキシマレーザその他のレーザ光ALを
発生するレーザ光源3710と、このレーザ光ALをラ
イン状或いはスポット状にして所定の照度でワークW上
に入射させる加工光学系である照射光学系3720と、
ワークWを載置してX−Y面内で滑らかに移動可能であ
るとともにX軸及びY軸の回りに傾斜可能なステージ3
730と、ワークWを載置したステージ3730を照射
光学系3720等に対して必要量だけ移動若しくは傾斜
させる駆動手段であるステージ駆動装置3740と、レ
ーザアニール装置の各部の動作を統括的に制御する主制
御装置3780とを備える。ここで、ステージ3730
及びステージ駆動装置3740は、ステージ装置を構成
し、ワークW周辺を減圧したりその雰囲気を調節するチ
ャンバ3790中に収容される。このチャンバ3790
は、除振装置3792を介して床上に設置されている。
【0089】さらに、このレーザアニール装置は、焦点
調節装置として、上記ステージ3730、ステージ駆動
装置3740及び主制御装置3780のほか、ステージ
3730の移動量を光学的な情報や電気的な情報として
検出する移動量計測装置3750と、ステージ3730
のステージ駆動装置3740に対する高さや傾斜量を光
学的な情報や電気的な情報として検出する傾斜計測装置
3760と、ワークWの照射光学系3720に対する高
さや傾斜量に対応する信号を検出する非接触変位計37
70とを備える。
【0090】ここで、照射光学系3720は、レーザ光
源3710からミラー3715を経て入射するレーザ光
ALを均一な分布とするホモジナイザ3720aと、ホ
モジナイザ3720aを経たレーザ光ALを所定のビー
ム形状に絞るスリットを有するマスク3720bと、マ
スク3720bのスリット像をワークW上に縮小投影す
る投影レンズ3720cとからなる。なお、照射光学系
3720は、チャンバ3790に設けた透過窓3790
aを介してワークWに対向するように配置されており、
図示を省略する部材によってチャンバ3790側に固定
されている。
【0091】ステージ駆動装置3740は、ステージ3
730をX軸及びY軸の回りに傾斜させるチルト装置3
742と、ステージ3730をチルト装置3742とと
もにX−Y面内で滑らかに移動させる並進装置3744
とを備える。ここで、チルト装置3742は、ベローズ
内部にシリンダを収容して任意の長さに伸縮自在である
3つの支持部材3742aと、支持部材3742aを伸
縮動作させる支持部材駆動装置3742bとを備える。
これら3つの支持部材3742aの長さを支持部材駆動
装置3742bを介して調節することにより、照射光学
系3720に対するステージ3730の傾きや距離を適
宜微調整することができる。つまり、照射光学系372
0に対するワークWのZ軸方向の位置(距離)と、X軸
回りのチルト角θXと、Y軸回りのチルト角θYとを調整
することができる。なお、ステージ3730直下にチル
ト装置3742側から延びている3つの傾斜計測装置3
760は、渦電流式センサ或いは静電容量センサであ
り、これらの出力から、ステージ3730がステージ駆
動装置3740に対してどの程度傾斜しているかが正確
に分かるようになっている。
【0092】非接触変位計3770は、レーザ変位計で
あり、ワークW上の平坦な領域を計測ターゲットTとし
て検査光DLを入射させる投光手段である投光部377
1と、計測ターゲットTからの正反射光RLを受けてこ
の正反射光RLの入射位置に関する情報を出力する受光
手段である受光部3772とを備える。投光部3771
と受光部3772とは、照射光学系3720を挟んで対
向して配置される。つまり、投光部3771は、照射光
学系3720の光軸に対して所定の角度だけ傾いた方向
に検査光DLを出射し、受光部3772には、照射光学
系3720の光軸に対して検査光DLとは反対の方向に
上記所定角度だけ傾いた方向に進行する反射光RLが入
射する。なお、主制御装置3780は、受光部3772
で検出された入射位置に関する情報に基づいて計測ター
ゲットTの高さに対応する情報を含む計測値を得る換算
手段としても機能し、非接触変位計3770の一部を構
成する。
【0093】ここで、投光部3771は、検査光を発生
する光源と投光光学系とを備え、透過窓3790aを介
してワークW上の計測ターゲットTに検査光DLのスポ
ット状のビームを入射させる。一方、受光部3772
は、この計測ターゲットTからの反射光RLを集光する
結像光学系と集光後の反射光RLが入射するラインセン
サとを備える。このラインセンサは、X−Z面内で反射
光RLの光軸に垂直な方向に延びており、ワークWの高
さ位置がラインセンサからの位置検出信号と線形な関係
になることを利用してワークWの高さ位置の変化を検出
する。ただし、ワークWが照射光学系3720の光軸に
対して傾いているとき、非接触変位計3770の出力
は、ワークWの高さ位置だけでなく、ワークWの傾きを
反映したものとなっている。したがって、後に詳述する
が、チルト装置3742を利用して一旦ワークWの傾き
を補正してワークWの法線が照射光学系3720の光軸
と平行になった時点で、チルト装置3742を構成する
3つの支持部材3742aを同量だけ伸縮させてワーク
Wと照射光学系3720との間隔を調整することにな
る。
【0094】計測ターゲットT1、T2、T3は、正三角
形の頂点の位置に配置されており、それぞれがワークW
上の加工領域(図の場合、ワークWの中央)から等距離
に設定されている。並進装置3744の制御によって、
投光部3771からの検査光DLをワークW上の各計測
ターゲットT1、T2、T3に順次入射させることができ
る。ワークWの傾きを補正する際には、各計測ターゲッ
トT1、T2、T3における受光部3772の出力を平均
化するようにチルト装置3742を動作させる。なお、
各計測ターゲットT1、T2、T3の配置や個数は、要求
される精度等に応じて適宜変更することができる。特に
ワークW表面に反り等の変形がある場合、対象とする加
工領域ごとにその近傍で3つ以上の計測ターゲットを改
めて選択する必要がある。また、以上で説明した計測タ
ーゲットT1、T2、T3は、単に平坦面であれば足り、
正反射光を形成できる限り、特定のマークを形成する必
要はない。
【0095】以下、本実施形態のレーザアニール装置の
動作について説明する。まず、レーザアニール装置のス
テージ3730上にワークWを搬送して載置する。次
に、アニール用のレーザ光ALを導く照射光学系372
0に対してステージ3730上のワークWをアライメン
トする。次に、照射光学系3720のマスク3720b
を移動させながら、或いは照射光学系3720に対して
ステージ3730を適宜移動させながら、レーザ光源3
710からのレーザ光ALをライン状或いはスポット状
にしてワークW上に入射させる。ワークW上には、アモ
ルファスSi等の非晶質半導体の薄膜が形成されてお
り、レーザ光ALの照射及び走査によって半導体の所望
領域がアニール、再結晶化され、電気的特性の優れた半
導体薄膜を提供することができる。
【0096】ステージ3730上のワークWの高さ及び
傾きを照射光学系3720に対してアライメントする動
作についてより詳細に説明する。まず、加工領域を中心
とする正三角形の頂点3点を計測ターゲットT1、T2、
T3と定める。並進装置3744の制御によってワーク
WをXY面内で適宜移動させ、ワークW上の各計測ター
ゲットT1、T2、T3を非接触変位計3770の計測点
に順次移動させ、投光部3771からの検査光DLを各
計測ターゲットT1、T2、T3に入射させる。各計測タ
ーゲットT1、T2、T3からの反射光RLは、受光部3
772で入射位置に相当する信号に変換される。主制御
装置3780では、受光部3772からの入射位置に関
する信号に基づいて各計測ターゲットT1、T2、T3の
高さに関する計測値を得る。3点T1、T2、T3の計測
結果については、いずれにも傾きによる誤差が含まれて
いると考えられるが、ここではそれを無視して、3点T
1、T2、T3の高さが同じ値になるようチルト装置37
42によりワークWのチルト角θX、θYを調整する。再
び、並進装置3744によってワークWをXY面内で適
宜移動させ、ワークW上の各計測ターゲットT1、T2、
T3について高さに関する計測値を得る。このようにし
て、3点T1、T2、T3の高さ計測とチルト角の調整と
を繰り返すことにより、傾きによる高さ計測の誤差は徐
々に小さくなる。最終的に3点T1、T2、T3の計測値
が一致した状態では、θX=0、θY=0となって傾き0
の状態となる。このときのいずれか1点の高さ計測値が
ワークW上の加工領域の高さとなる。最後に、チルト装
置3742をZステージとして動作させ、目的の高さに
なるよまでステージ3730すなわちワークWを昇降さ
せる。
【0097】以上実施形態に即してこの発明を説明した
が、この発明は上記実施形態に限定されるものではな
い。例えば、非接触変位計3770を3つ以上設けるこ
ともできる。この場合は、各非接触変位計3770によ
ってワークW上の異なる3を同時に計測することができ
るようにする。これにより、並進装置3744によって
ワークWを移動させることなくワークWの傾きを迅速に
修正できるようになる。
【0098】また、上記実施形態では、チルト装置37
42をZステージとして動作させたが、Zステージを独
立に設けてワークWのチルト調整と高さ調整とを完全に
分離して行うこともできる。
【0099】また、上記実施形態では、ワークWをガラ
ス基板に半導体薄膜を形成したものとしているが、正反
射光が得られるものであれば、ワークWの素材は問わな
い。
【0100】また、上記の焦点調節装置は、レーザ光A
Lを用いてワークW上の半導体層をアニーリングするレ
ーザアニール装置に組み込んだが、レーザ光源3710
や照射光学系3720等の構造を適宜変更すれば、半導
体材料のアニールのみならず各種材料の改質、切断、溶
着等を可能にするパルスレーザ加工装置等とすることも
できる。
【0101】本発明を適用した複合機の概略構成を図2
4に示す。ここでは、一次処理装置として、ガラス基板
(ワーク)に被膜形成処理を行うCVD装置3910が
使用され、二次処理装置として、被膜形成処理されたガ
ラス基板にレーザアニーリングを行うレーザアニーリン
グ装置3920が使用される場合について説明する。
【0102】レーザアニーリング装置3920は、密封
の可能なプロセスチャンバ3921を備えている。プロ
セスチャンバ3921内には、被膜形成処理されたガラ
ス基板3901を搭載するためのプロセスステージ39
22が設置されている。プロセスチャンバ3921の天
井壁には、後述するレーザ照射系からのレーザビームを
透過するための透過窓3923が設けられている。プロ
セスチャンバ3921の上方には、架台3924により
レーザ照射系3925が構成されている。
【0103】レーザ照射系3925は、レーザ発振器3
926で発生されたレーザビームを反射ミラー3927
を介して受け、所定の断面形状に整形してガラス基板3
901に焦点を結ぶように照射するためのものである。
ここでは、矩形ビーム用の構成のみを示しており、長尺
ビーム用の構成については後述する。
【0104】矩形ビーム用の構成要素として、マスクを
搭載しているマスクステージ3928、光学レンズ系3
929、センサ3930等を備えている。センサ393
0は、ガラス基板3901上でのビームの焦点位置を検
出するためのものであり、焦点位置を精度良く合わせる
ために用いられる。
【0105】このようなレーザアニーリング装置392
0が、後述する複数の除振台3940を介して床395
0に設置されている。
【0106】CVD装置3910とプロセスチャンバ3
921との間は、搬送機構としての基板搬送ロボット3
960を収容しているトランスファチャンバ3970を
介して連結されている。特に、図25に示されるよう
に、プロセスチャンバ3921とトランスファチャンバ
3970との間は、ベローズ3971によって連結する
ようにしている。なお、プロセスチャンバ3921とト
ランスファチャンバ3970との連結部は、基板搬送ロ
ボット3960によってCVD装置3910内のガラス
基板を把持してプロセスチャンバ3921内に受け渡す
部分であり、プロセスチャンバ3921内を真空または
ある一定圧力に保つために大気と遮断する必要があり、
ベローズ3971がその機能を果たしている。また、ト
ランスファチャンバ3970には、CVD装置3910
内とプロセスチャンバ3921内とが連通状態になるこ
とを防止するためにゲートバルブ機構が必要となるが、
このようなゲートバルブ機構は周知であるので、図示説
明は省略する。
【0107】次に、図26、図27を参照して、本発明
による除振装置の主要部である除振台3940の構造に
ついて説明する。除振台3940は、プロセスチャンバ
3921が搭載される上部台座4241と、エア式ダン
パ4242とが除振ゴム4243を介して連結されてい
る。エア式ダンパ4242には、コンプレッサ4244
からの圧縮空気が制御バルブ4245を経由して供給さ
れる。エア式ダンパ4242内には、導入された圧縮空
気に応じて上下動するピストン部4246と、振動時の
ピストン部4246の下側リミット位置を規定するため
の第1のストッパ部材4247とが配置されている。
【0108】上部台座4241には、除振台3940の
動作のオン、オフを規定すると共に、除振台3940の
上限リミット位置、厳密に言えばエア式ダンパ4242
を収容している容器の高さ方向の上限リミット位置を規
定するための第2のストッパ部材4148が設けられて
いる。一方、エア式ダンパ4242を収容している容器
には、第2のストッパ部材4148との間の相対距離を
検出するための位置検出器4149が設けられている。
位置検出器4149はまた、プロセスチャンバ3921
あるいはエア式ダンパ4242を収容している容器の変
位量があらかじめ定められた許容範囲を越えると、図2
6に示すように、その一部が第2のストッパ部材414
8に係合してリミットがかかる。
【0109】位置検出器4149からの検出信号はフィ
ードバック信号として制御装置42100に送出され
る。制御装置42100は、検出信号で示される第2の
ストッパ部材4148と位置検出器4149との間の相
対距離に応じて制御バルブ4245を制御して、プロセ
スチャンバ3921の振動を除去するように除振台39
40を動作させる。
【0110】制御装置42100は特に、上記の相対距
離が所定値以下、例えば位置検出器4149の一部が第
2のストッパ部材4148に当接したことを検出する
と、制御バルブ4245に対する制御動作を停止して除
振機能を停止させる。位置検出器4149の一部が第2
のストッパ部材4148に当接したということは、上部
台座4241あるいはエア式ダンパ4242の上下動が
許容範囲を越える値に達したことを意味する。なお、第
2のストッパ部材4148は、ねじ等の調整手段により
上下方向の位置が可変となるように構成されている。
【0111】以上の説明で理解できるように、各除振台
3940は、第2のストッパ部材4148と位置検出器
4149との間の相対距離が変化すると、除振性能を決
める圧縮空気の圧力を制御して、振動を除去するフィー
ドバック制御機能を持つ。そして、上部台座4241あ
るいはエア式ダンパ4242の上下動が許容範囲を越え
ると、フィードバック制御機能が働かなくなるようにし
ている。第2のストッパ部材4148の位置は手動で上
下に動かすことができ、どの位置で除振機能を停止させ
るかを任意に設定できる。
【0112】すなわち、除振台3940の機能は、ピス
トン部材4246が第1のストッパ部材4247に当た
る位置から、位置検出器4149の一部が第2のストッ
パ部材4148に当たる位置まで発揮される。この距離
を200μmにとれば、除振台3940は±100μm
の上下動の範囲内で機能することになる。
【0113】ここで、矩形ビームを使用しての精度の高
いスキャン時の動作について説明する。矩形ビームを使
用して処理を行う際に、プロセスチャンバ3921にお
ける振動はCVD装置3910あるいは床3950から
伝わるものが主である。この振動は大きくても高々±数
十μmの振幅であり、スキャンに起因してベローズ39
71が大きく変位することはない。そこで、矩形ビーム
を使用してスキャンしている時に間違いなく除振機能が
働くように、除振台3940の第2のストッパ部材41
48と位置検出器4149との相対距離を、例えば20
0μmというように予想される変位より少し大きめに設
定しておく。この場合、床3950からの振動はフィー
ドバック制御機能によって複数の除振台3940が吸収
し、CVD装置3910からの振動はべローズ3971
が吸収する。
【0114】次に、長尺ビームを使用しての精度の低い
スキャン時の除振性能について説明する。長尺ビームに
より処理を行う時には、プロセスチャンバ3921内の
プロセスステージ3922が動くので、プロセスチャン
バ3921内のプロセスステージ3922の重心位置が
ずれ、全体に大きく傾きやすい。傾きが小さい場合は矩
形ビームによる処理時と同じ除振機能が働くが、傾きが
大きくなると第2のストッパ部材4148によるリミッ
トがかかり、除振台3940は機能しなくなる。除振台
3940が機能しないとプロセスチャンバ3921とべ
ローズ3971とは一体に変位するので、プロセスチャ
ンバ3921とべローズ3971の相対位置のずれはな
くなり、変位量が大きくてもベローズ3971が破壊さ
れることはない。なお、長尺ビームによるスキャン精度
は矩形ビームに比べ数十倍の振動を許容するためスキャ
ン精度に大きな影響は与えない。
【0115】図28〜図29を参照して、本発明による
真空内リニアアクチュエータ機構のうち、機械構成につ
いてその実施の形態を説明する。ここでは、レーザアニ
ーリング用の真空チャンバ内に配置されるのに適した構
成について説明する。真空チャンバについては、図30
に象徴的に破線43100で示しており、大気圧から
1.0×10-6Torrまでの雰囲気下で使用可能なも
のであれば良い。
【0116】真空チャンバ43100内の底部に固定ベ
ース部材としてのステージベース4309が設置されて
いる。ステージベース4309には、離れた位置におい
てY軸方向に平行に延びるようにY軸リニアベアリング
4315、4320が取り付けられている。Y軸リニア
ベアリング4315、4320は、それらの上に組み合
わされるY軸ベース4314をY軸方向に直線案内する
ためのものである。Y軸ベース4314には、離れた位
置においてX軸方向に平行に延びるように一対のX軸リ
ニアベアリング4307が取り付けられている。X軸リ
ニアベアリング4307は、それらの上に組み合わされ
るX軸ベース4306をX軸方向に直線案内するための
ものである。X軸ベース4306には、加熱用のヒータ
を内蔵しているステージ4302を支持しているトロリ
4403が取り付けられ、ステージ4302上にはワー
ク(ガラス等)4301を載せる構成となっている。
【0117】X軸ベース4306は、X軸リニアベアリ
ング4307に隣接してY軸ベース4314に設けられ
た一対のX軸リニアモータ4408により駆動される。
X軸ベース4306の位置は、一方のX軸リニアモータ
4408に隣接してY軸ベース4314に設置されたX
軸リニアエンコーダ4410により検出される。これに
より、X軸ベース4306を直接駆動すると共に、位置
を直接計測することになり、従来のバックラッシによる
精度劣化等がなくなり、高速応答化が可能となってい
る。
【0118】Y軸ベース4314は、ステージベース4
309上に設けられた、各々独立に制御可能な2本のリ
ニアモータ4318、4323で駆動される。Y軸ベー
ス4314の位置は、リニアモータ4318、4323
に隣接してステージベース4309に配置された2本の
リニアエンコーダ4316、4321により互いに反対
側の2箇所において検出される。これにより、X軸と同
様にバックラッシュ等による精度劣化がなく、高速応答
化が可能となっている。また、Y軸ベース4314の互
いに反対端部における2箇所においてリニアエンコーダ
4316、4321によりY軸方向の位置を検出するこ
とで、各々の検出値の差によりY軸ベース4314の微
小回転を検出・制御することができる。Y軸ベース43
14の微小回転というのは、X軸、Y軸に直角なZ軸回
りの回転であり、以下、これをZ軸回りの回転θと呼
ぶ。
【0119】ステージ4302のヒータからの輻射熱が
X軸ベース4306や、Y軸ベース4314に伝達され
るのを防止するために、トロリ4403とX軸ベース4
306との間には、水冷板4304が設けられている。
また、X軸べース4306にも水冷機構が内蔵されてお
り、ステージ4302のヒータからの輻射熱によるリニ
アベアリング等のトラブルを防止している。更に、ステ
ージ動作中に発熱する各リニアモータのコイルは、各リ
ニアモータに設けたX軸モータコイル冷却板4411、
Y軸モータコイル冷却板4319、4324により冷却
する構成としている。また、X軸リニアエンコーダ43
10、Y軸リニアエンコーダ4316、4321に関し
ても、熱変形による破損・精度劣化を防ぐために、それ
ぞれにX軸エンコーダ冷却板4412、Y軸エンコーダ
冷却板4317、4322を設けることにより一定温度
に保持する構成としている。
【0120】なお、移動するX軸リニアエンコーダ44
10、Y軸リニアエンコーダ4316、4321から固
定部に検出信号用のケーブルを導出するために、X軸リ
ニアエンコーダ4410に対応してケーブルガイド44
13が設けられ、Y軸リニアエンコーダ4316、43
21に対応してそれぞれケーブルガイド4325が設け
られる。
【0121】図31,図32を参照して、本発明による
マスクステージ駆動機構の実施の形態について説明す
る。上部から順にステージ構成を説明すると、中央部に
大きな円形の開口を持つベースプレート4601が図示
しない固定部に固定される。ベースプレート4601の
開口の縁部にクロスローラベアリング4703が取り付
けられている。ベースプレート4601の下面側には、
クロスローラベアリング4703を介してθ軸、すなわ
ちZ軸回りに回動可能にθ軸可動部4604が設けられ
ている。θ軸可動部4604の中央部にもベースプレー
ト4601の開口に対応する開口が設けられている。θ
軸可動部4604の下面側には、Y軸方向に平行に延び
る一対のY軸リニアベアリング4706を介してY軸方
向に移動可能なようにY軸可動部4707が取り付けら
れている。Y軸可動部4707の中央部にもベースプレ
ート4601の開口に対応する開口が設けられている。
【0122】Y軸可動部4707には、Y軸リニアベア
リング4706の設置スペースを確保するために形成さ
れた空間を利用して、X軸可動部4610が設けられて
いる。X軸可動部4610は、リフト用エアベアリング
4611及びヨーガイド用エアベアリング4615、4
616によりX軸方向に関して案内される。X軸可動部
4610の中央部にもベースプレート4601の開口に
対応する開口が設けられている。
【0123】詳しく説明すると、X軸可動部4610
は、θ軸可動部4604とY軸可動部4707との間で
あって、Y軸可動部4707におけるX軸可動部461
0との対向面に設けられた複数のリフト用エアベアリン
グ4611を介してX軸の方向に可動に構成されてい
る。リフト用エアベアリング4611は、圧縮空気をX
軸可動部4610の下面に吹き付けることでX軸可動部
4610を浮上させるためのものであり、ここでは、X
軸可動部4610の中心に関して120度の角度間隔を
おいて3個設けられている。
【0124】また、X軸可動部4610は磁性材料で構
成され、Y軸可動部4707におけるX軸可動部461
0との対向面には更に、複数箇所に吸引用のマグネット
4618が配置されている。特に、マグネット4618
は、リフト用エアベアリング4611の周囲に3個ず
つ、合計9個配置されている。更に、X軸可動部461
0は、X軸の方向に平行な2つの端縁部を有し、これら
2つの端縁部をそれぞれ、Y軸可動部4707に設けた
ヨーガイド用エアベアリング4615、4616により
X軸方向の移動を案内するように構成されている。ヨー
ガイド用エアベアリング4615、4616はそれぞ
れ、X軸可動部4610の1つの端縁部に対して2つず
つ設けられている。加えて、X軸可動部4610におけ
る一方の端縁部側に設けられた2つのヨーガイド用エア
ベアリング4616にはそえぞれ、プリロード用のピス
トン4620が組み合わされ、前記一方の端縁部に対し
てプリロードがかけられている。X軸可動部4610に
は、ボス4710−1を介してマスクステージ4730
が組み合わされている。マスクステージ4730は、そ
の中央にベースプレート4601の開口よりやや小さな
開口を有すると共に、Y軸可動部4707の下面側から
突出しており、その下端部には、マスク4714の保持
部を有する。
【0125】以上の構成により、X軸、Y軸、θ軸の3
自由度マスクステージを構成している。θ軸駆動モータ
4605の出力軸がθ軸駆動モータ4605の回転に応
じて軸方向に移動し、θ軸駆動プレート4619を押
す。このことにより、θ軸可動部4604は、その中心
に関してZ軸回りの反時計方向に回動する。なお、θ軸
駆動モータ4605の出力軸は駆動プレート4619に
固定されていない。このため、ベースプレート4601
とθ軸可動部4604との間に引っ張りバネ4617を
設けて時計回り方向のプリロードをかける構成とし、ク
ロスローラベアリング4703の摩擦等によりバックラ
ッシ及び回転不良等が発生することを防いでいる。θ軸
可動部4604の回転角は、θ軸可動部4604に取り
付けられて一体的に回動する回転軸4704−1に組み
合わせた中空のロータリエンコーダ4702により計測
し、精度を確保している。
【0126】Y軸可動部4707は、θ軸可動部460
4の端部とY軸可動部4707の端部との間に配設され
たY軸リニアモータ4608によりY軸方向に駆動され
る。Y軸可動部4707の位置は、Y軸リニアモータ4
608の近傍に配置されたY軸リニアエンコーダ470
9により計測される。X軸可動部4610は、X軸リニ
アモータ4713により駆動される。X軸リニアモータ
4713は、Y軸可動部4707の下面側に配置されて
おり、その可動部分がボス4710−1と連結されてい
ることにより、X軸可動部4610とボス4710−1
とがX軸方向に駆動される。X軸可動部4610の位置
は、Y軸可動部4707の下面側とボス4710−1と
の間に配置されたX軸リニアエンコーダ4612により
計測される。
【0127】X軸可動部4610の案内機構の詳細につ
いて述べる。中央部の開口を光路として、マスク471
4の下方に配置されたワーク(図示せず)にレーザ光を
照射しながら一定速度で移動するスキャニングを行うた
め、X軸可動部4610は高い軌跡追従性能と位置決め
精度が要求される。そのため、X軸可動部4610の案
内機構には、静圧軸受けが採用されている。X軸可動部
4610の案内機構の構成は、上下方向(ラジアル)と
横方向の2つの案内機構により構成される。上下方向案
内の静圧軸受けは、Y軸可動部4707に取り付けられ
たリフト用エアベアリング4611とX軸可動部461
0の案内面とで構成される。特に、高い案内剛性が得ら
れる隙間(5〜10μm程度)を維持するために、Y軸
可動部4707に取り付けた複数のマグネット4618
の吸引力によりプリロードをかける構成としている。
【0128】通常、エアベアリングは可動部側に固定す
るが、X軸可動部4610の必要ストロークが短い点を
生かし、リフト用エアベアリング4611をX軸可動部
4610ではなく、X軸可動部4610のベースとなる
Y軸可動部4707側に固定する構成としている。これ
により、X軸可動部4610の重量低減をはかり、移動
時の外乱となるエアベアリングへのエア供給チューブの
接続数を減らしている。
【0129】X軸可動部4610の横方向案内の静圧軸
受けは、X軸可動部4610に取り付けた2組のヨーガ
イド用エアベアリング4615、4616で、X軸可動
部4610を挟み込む形で構成される。2個のヨーガイ
ド用エアベアリング4615は、各々アジャストボルト
4621により支持される。アジャストボルト4621
はX軸可動部4610に取り付けられて、その先端がヨ
ーガイド用エアベアリング4615に当接しており、そ
の出し入れ量を調整することにより、X軸可動部461
0の横方向の姿勢を調整することができる。
【0130】ヨーガイド用エアベアリング4615とは
反対側に取り付けられたヨーガイド用エアベアリング4
616は、プリロード用ピストン4620により支持さ
れ、一定の力により支持されている。このため、X軸可
動部4610やY軸可動部4707などの熱変形、機械
加工精度、組立誤差等の影響を受けることなく、一定の
静圧軸受け隙間を維持することが可能な構成となってい
る。
【0131】全てのエアベアリングの支持点は、セラミ
ック球により球面支持されており、相手面のうねり、熱
変形等、エアベアリング面と相手面の平行度が失われて
も、ある程度吸収できるような構成としている。
【0132】本発明による空気圧式チルト機構を備えた
真空チャンバ用ステージ装置の概略図を図33、図34
に示す。このステージ装置は、真空あるいは減圧状態を
得ることのできる真空チャンバ内に設置されるが、ここ
では、真空チャンバは図示を省略している。
【0133】本発明による空気圧式チルト機構は、ベー
ス5102上に空気圧駆動方式の3台のベローズシリン
ダ5104−1、5104−2、5104−3と板ばね
5103とを配置し、これらでステージ5201を支持
する構造となっている。板ばね5103は十文字の形状
をしており、板ばね5103の中央部(交差部)をステ
ージ5201の下面に設けた台状部にボルト等により固
定している。また、板ばね5103の4つの端部をそれ
ぞれ、支持台5202−1を介してベース2側に固定し
ている。
【0134】ベローズシリンダ5104−1〜5104
−3は、空気圧シリンダをベローズにて封止して成り、
空気圧シリンダから空気漏れがあっても漏れ空気が真空
チャンバ内に流入しないように構成されている。
【0135】本空気圧式チルト機構は、板ばね5103
によりステージ5201を支持し、各ベローズシリンダ
5104−1〜5104−3に圧縮空気を送ることでベ
ローズシリンダ5104−1〜5104−3を伸縮さ
せ、ステージ5201の高さ、傾きを調整する。
【0136】図35は、照射光学系5420の構成を説
明する図である。レーザ光源(図示せず)からのレーザ
光ALが入射するホモジナイザ5421は、縦横のビー
ムサイズを独立にコントロールするための第1〜第4シ
リンドリカルレンズアレイCA1〜CA4と、集光のため
のコンデンサレンズ5521aとからなる。ここで、第
1及び第3シリンドリカルレンズアレイCA1、CA3
は、紙面に平行な断面に曲率を有し、第2及び第4シリ
ンドリカルレンズアレイCA2、CA4は、紙面に垂直な
断面に曲率を有する。
【0137】ホモジナイザ5421からのレーザ光AL
は、ターンミラー5525を経て、マスク組立体542
2に入射する。このマスク組立体5422は、レーザ光
ALによって照明されるとともにワークWに照射すべき
パターンを下面5580に形成したマスク5522a
と、マスク5522aのパターンの光透過部(すなわち
開口)の周囲にレーザ光ALが入射して戻り光の原因と
なることを防止する反射部材5522bと、瞳位置を調
節するフィールドレンズ5522cとからなる。ここ
で、反射部材5522bは、マスク5522aに対して
傾いて配置されており、反射部材5522bの上面55
81からの反射光RLは、光軸OAから外れた方向に出
射し、フィールドレンズ5522cを経てビームダンパ
5526に入射する。なお、フィールドレンズ5522
cは、ホモジナイザ5421の一部と考えることもでき
る。
【0138】マスク5522aを通過したレーザ光AL
は、投影レンズ5423に入射する。この投影レンズ5
423は、レーザ光ALによって照明されたマスク55
22aに形成された光透過パターンであるスリット像を
ワークWの加工面上に縮小投影、すなわち結像・転写す
る。
【0139】次に、図36と図37を参照して本発明に
係るCVD装置の第1の実施形態を説明する。図36に
おいて、このCVD装置では、好ましくはシランを材料
ガスとして使用し、通常のTFT用ガラス基板7111
の上面にシリコン酸化膜をゲート絶縁膜として成膜す
る。CVD装置の容器7112は、成膜処理を行う際、
排気機構7113によってその内部が所望の真空状態に
保持される真空容器である。排気機構7113は真空容
器7112に形成された排気ポート7112b−1に接
続されている。
【0140】真空容器7112の内部には、上下方向の
中間位置にほぼ水平な状態で導電性部材で作られた隔壁
部7114が設けられており、平面形状が例えば方形の
隔壁部7114の周縁部が真空容器7112の周囲壁部
分に接触するように配置されている。真空容器7112
の内部は隔壁部7114によって上下の2つの室に隔離
される。上側の室はプラズマ生成空間7115を形成
し、下側の室は成膜処理空間7116を形成する。隔壁
部7114は、所望の特定の厚みを有し、かつ全体的に
平板状の形態を有し、さらに真空容器7112の水平断
面形状に類似した平面形状を有する。隔壁部7114に
は内部空間7124が形成されている。
【0141】上記ガラス基板7111は、成膜処理空間
7116に設けられた基板保持機構7117の上に配置
されている。ガラス基板7111は隔壁部7114に実
質的に平行であって、その成膜面(上面)が隔壁部71
14の下面に対向するように配置されている。基板保持
機構7117の電位は真空容器7112と同じ電位であ
る接地電位に保持される。さらに基板保持機構7117
の内部にはヒータ7118が設けられている。このヒー
タ7118によってガラス基板7111の温度は所定の
温度に保持される。
【0142】真空容器7112の構造を説明する。真空
容器7112は、その組立性を良好にする観点から、プ
ラズマ生成空間7115を形成する上容器7112a
と、成膜処理空間7116を形成する下容器7112b
とから構成される。上容器7112aと下容器7112
bを組み合わせて真空容器7112を作るとき、両者の
間に位置に隔壁部7114が設けられる。隔壁部711
4は、その周縁部が、後述するごとく電極7120を設
けるときに上容器7112aとの間に介設される環状絶
縁部材7121、7122のうち下側の絶縁部材712
2に接触するようにして取り付けられる。これによっ
て、隔壁部7114の上側と下側に、隔離されたプラズ
マ生成空間7115と成膜処理空間7116が形成され
る。隔壁部7114と上容器7112aとによってプラ
ズマ生成空間7115が形成される。プラズマ生成空間
7115においてプラズマ7119が生成されている領
域は、前述の隔壁部7114と上容器7112aとのほ
ぼ中央位置に配置される板状の電極(高周波電極)71
20とから形成されている。電極7120には複数の孔
7120aが形成されている。隔壁部7114と電極7
120は、上容器7112aの側部内面に沿って設けら
れた2つの環状絶縁部材7121、7122によって支
持され、固定される。環状絶縁部材7121には、外側
からプラズマ生成空間7115へ酸素ガスを導入する導
入パイプ7123が設けられている。導入パイプ712
3は流量制御を行うマスフローコントローラ(図示せ
ず)を介して酸素ガス供給源(図示せず)に接続されて
いる。
【0143】真空容器7112の内部は、隔壁部711
4によってプラズマ生成空間7115と成膜処理空間7
116に隔離されるが、隔壁部7114には所定条件を
満たす複数の貫通孔7125が内部空間7124を貫通
する状態で分散して形成されており、これらの貫通孔7
125を介してのみプラズマ生成空間7115と成膜処
理空間7116はつながっている。また隔壁部7114
内に形成された内部空間7124は、材料ガスを分散さ
せて均一に成膜処理空間7116に供給するための空間
である。さらに隔壁部7114の下壁には材料ガスを成
膜処理空間7116に供給する複数の拡散孔7126が
形成されている。上記貫通孔7125または拡散孔71
26はそれぞれ後述する所定の条件を満たすように作ら
れている。また上記内部空間7124には、材料ガスを
導入するための導入パイプ7128が接続されている。
導入パイプ7128は側方から接続されるように配置さ
れている。また内部空間7124の中には、材料ガスが
拡散孔7126から均一に供給されるように、複数の孔
7127aを有するように穿孔された均一板7127が
ほぼ水平に設けられている。図37に示すごとく、均一
板7127によって隔壁部7114の内部空間7124
は上下の二つの空間7124a、7124bに分けられ
ている。導入パイプ7128で内部空間7124に導入
される材料ガスは、上側の空間7124aに導入され、
均一板7127の孔7127aを通って下側の空間71
24bに至り、さらに拡散孔7126を通って成膜処理
空間7116に拡散されることになる。以上の構造に基
づいて、成膜処理空間7116の全体にわたって材料ガ
スを均一に供給することが可能となる。
【0144】図37では隔壁部7114の一部が拡大し
て示され、貫通孔7125と拡散孔7126と均一板7
127の要部が拡大して示される。貫通孔7125は、
一例として、プラズマ生成空間7115側が大きな径を
有し、成膜処理空間7116側が絞られ、小さい径で作
られている。
【0145】上容器7112aの天井部には、電極71
20に接続された電力導入棒7129が設けられてい
る。電力導入棒7129によって電極7120に放電用
高周波電力が給電される。電極7120は高周波電極と
して機能する。電力導入棒7129は絶縁物7131で
被われており、他の金属部分との絶縁が図られている。
【0146】上記のように構成されたCVD装置による
成膜方法を説明する。図示しない搬送ロボットによって
ガラス基板7111が真空容器7112の内部に搬入さ
れ、基板保持機構7117の上に配置される。真空容器
7112の内部は、排気機構7113によって排気さ
れ、減圧されて所定の真空状態に保持される。次に、導
入パイプ7123を通して酸素ガスが真空容器7112
のプラズマ生成空間7115に導入される。このとき酸
素ガスの流量は外部のマスフローコントローラで制御さ
れる。式(1),(2)を用いて、酸素ガスの流量(Q
O2)と圧力(PO2)、および温度(T)から酸素の流速
(u)が求められる。
【0147】 QO2=ρO2uA 式(1) PO2=(ρO2RT)/M 式(2) 一方、材料ガスであるシランが導入パイプ7128を通
して隔壁部7114の内部空間7124に導入される。
シランは、最初に内部空間7124の上側空間7124
aに導入され、均一板7127で均一化されて下側部分
7124bに移動し、次に拡散孔7126を通って成膜
処理空間7116に直接に、すなわちプラズマに接触す
ることなく導入される。成膜処理空間7116に設けら
れた基板保持機構7117は、ヒータ7118に通電が
行われているため、予め所定温度に保持されている。
【0148】上記の状態で、電極7120に対して電力
導入棒7129を介して高周波電力が供給される。高周
波電力によって放電が生じ、プラズマ生成空間7115
内において電極7120の周囲に酸素プラズマ7119
が生成される。酸素プラズマ7119を生成すること
で、中性の励起種であるラジカル(励起活性種)が生成
される。
【0149】基板7111の表面に成膜を行うとき、真
空容器7112の内部空間は、導電材料で形成された隔
壁部7114でプラズマ生成空間7115と成膜処理空
間7116に隔離された構成において、プラズマ生成空
間7115では酸素ガスを導入しかつ電極7120に高
周波電力を供給して酸素プラズマ7119を生成し、他
方、成膜処理空間7116では材料ガスであるシランが
隔壁部7114の内部空間7124および拡散孔712
6を通って直接に導入される。プラズマ生成空間711
5で生成された酸素プラズマ7119中のラジカルは隔
壁部7114の複数の貫通孔7125を通って成膜処理
空間7116に導入されると共に、シランは隔壁部71
14の内部空間7124および拡散孔7126を通って
成膜処理空間7116に直接導入される。また成膜処理
空間7116に直接導入されたシランは、貫通孔712
5の有する形態に基づきプラズマ生成空間の側に逆拡散
することが抑制される。このように、材料ガスであるシ
ランを成膜処理空間7116に導入するときシランが直
接に酸素プラズマ7119に触れることはなく、シラン
と酸素プラズマとが激しく反応することが防止される。
かくして、成膜処理空間7116において、隔壁部71
14の下面に対向して配置された基板7111の表面に
シリコン酸化膜が成膜される。
【0150】上記の構造において、隔壁部7114の複
数の貫通孔7125の大きさ等の形態は、プラズマ生成
空間7115における酸素ガスを貫通孔中の物質移動流
れとし、成膜処理空間7116におけるシランが、貫通
孔7125を通って反対側の空間に拡散移動を行うこと
を想定するとき、その移動量を所望範囲に制限するよう
に決められている。すなわち、例えば、温度Tにおける
隔壁部7114の貫通孔7125を流れる酸素ガスとシ
ランに関してその相互ガス拡散係数をDとし、かつ貫通
孔7125の最小径部分の長さ(貫通孔の特徴的長さ)
をLとするとき、ガス流速(ガスの流速uとする)を用
いて、uL/D>1の関係が満たされるように決められ
る。以上の貫通孔の形態に関する条件は、好ましくは、
隔壁部7114に形成された拡散孔7126に関しても
同様に適用される。
【0151】上記uL/D>1の関係は次のように導き
出される。例えば貫通孔7125を移動する酸素とシラ
ンの関係に関しシランガス密度(ρSiH4)と拡散流速
(uSiH4)と相互ガス拡散係数(DSiH4-O2)を用いて
下記の式(3)が成立する。貫通孔の特徴的長さをLと
すると、式(3)が式(4)に近似できる。式(4)の
両辺を比較した結果、シランの拡散流速(uSiH4)が−
DSiH4-O2/Lで表わされる。従って、上記の式(1)
と(2)から得られる酸素流速をuとし、シランの拡散
流速を−DSiH4-O2/Lとした場合に、これらの2つの
流速の絶対値の比、すなわち|−u/(−DSiH4-O2/
L)|=uL/DSiH4-O2の値は酸素物質移動速度とシ
ラン拡散速度の比であり、この比uL/DSiH4-O2を1
以上にすることは、拡散の流量に比較して対流による流
量が大きいことを意味する。すなわち、uL/D
SiH4-O2の値を1以上にすることは、シランの拡散影響
が少ないことを意味している。
【0152】 ρSiH4uSiH4=−DSiH4-O2gradρSiH4 (3) ρSiH4uSiH4≒−DSiH4-O2ρSiH4/L (4) 次に具体的な例を説明する。隔壁部7114の温度を3
00℃、隔壁部7114に形成された貫通孔7125の
直径を0.5mm、直径0.5mmの部分の長さ(L)
を3mm、貫通孔25の総数を500個、酸素ガスのガ
ス流量を500sccm、成膜処理空間7116の圧力10
0Paとすると、上記式(4)の値は11となる。この
ような場合には、シランガスの拡散に比較して流れの影
響が十分に大きいため、プラズマ生成空間7115へシ
ランガスが拡散することは少なくなる。
【0153】上記のように、プラズマ生成空間7115
と成膜処理空間7116は、上記特性を有する貫通孔7
125と拡散孔7126が多数形成された隔壁部711
4でそれぞれ閉じられた室となるように仕切られて隔離
されているため、成膜処理空間7116に直接導入され
たシランと酸素プラズマが接触することはほとんどな
い。従って、従来装置のごとく、シランと酸素プラズマ
が激しく反応することは防止される。
【0154】次に図38を参照して本発明に係るCVD
装置の第2の実施形態を説明する。図38において、図
36で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符
号を付し、ここで詳細な説明を反復することは省略す
る。本実施形態の特徴的構成は、上容器7112aの天
井部の内側に板状絶縁部材7333を設け、かつその下
側に電極7120を配置するようにした。電極7120
には上記孔7120aは形成されず、一枚状の板の形態
を有する。電極7120と隔壁部7114によって平行
平板型電極構造によるプラズマ生成空間7115を形成
する。その他の構成は第1実施形態の構成と実質的に同
じである。さらに、第2実施形態によるCVD装置によ
る作用、効果も前述の第1実施形態と同じである。
【0155】次に図39を参照して本発明に係るCVD
装置の第3の実施形態を説明する。図39において、図
36で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符
号を付し、ここで詳細な説明を反復することは省略す
る。本実施形態の特徴的構成は、上容器7112aの側
壁部の内側に設けられた環状絶縁部材7122には、外
側からプラズマ生成空間7115へ洗浄用ガスを導入す
る第2ガス導入パイプ7423が追加して設けられてい
る。導入パイプ7423は流量制御を行うマスフローコ
ントローラ(図示せず)を介して洗浄用ガス供給源(図
示せず)に接続されている。第2ガス導入パイプ742
3を通してプラズマ生成空間7115内に洗浄用ガスを
導入し、かつ高周波電源から電極7120に高周波電力
を供給すると、プラズマ生成空間7115内には、基板
7111上の膜表面の洗浄に使用されるラジカルを作る
ためのプラズマが生成される。洗浄用ガスとしては例え
ばNF3,ClF3,C2F4,C2F6,H
2,O2,N2,F2,Ar等(希ガス、ハロゲン
化ガス)が使用される。その他の構成は第1実施形態の
構成と実質的に同じである。
【0156】ガス導入パイプ7123と第2ガス供給パ
イプ7423の使用は択一的に実行されるように制御さ
れる。この実施形態では、最初に洗浄用ガスが導入され
て基板7111上の膜の表面洗浄が行われ、その後に成
膜用ガスが導入されて基板7111上の膜の表面上にゲ
ート絶縁膜が形成される。
【0157】すなわちレーザアニール処理が行われた膜
(ポリシリコン膜)を表面に形成した基板7111が基
板ホルダ7117上に搭載された後に、プラズマ生成空
間7115へ第2ガス導入パイプ7423から洗浄用ガ
スを導入し、電極7120に対して電力導入棒7129
を介して高周波電力が供給される。これによりプラズマ
生成空間7115で放電が開始され、洗浄用ガスプラズ
マ7419が生成される。その結果、プラズマ中ではラ
ジカルが生じ、当該ラジカルが隔壁部7114の複数の
貫通孔7125を通して成膜処理空間7116へ移動
し、基板7111上に形成された膜の表面をラジカルに
よって洗浄する。それによって、レーザアニール後に基
板の膜表面上に発生した不純物を除去することが可能と
なる。
【0158】上記の基板洗浄の工程を終了し、所定条件
を満たした後、プラズマ生成空間7115へガス供給パ
イプ7123から酸素ガスを導入し、電極7120に対
して電力導入棒7129を介して高周波電力が供給され
る。これによりプラズマ生成空間7115で放電が開始
され、酸素プラズマ7119が生成される。その結果、
プラズマ中ではラジカルが生じ、当該ラジカルが隔壁部
7114の複数の貫通孔7125を通して成膜処理空間
7116へ移動する。他方ラジカルの導入に併せて、導
入パイプ7128から隔壁部7114を通して材料ガス
を成膜処理空間7116へ導入する。成膜処理空間71
16ではラジカルが材料ガスと反応し、その結果、基板
7111上に形成された膜の表面上にゲート絶縁膜が形
成される。
【0159】なお、本発明に係る成膜装置は、真空一貫
で構成されることが好ましい。
【0160】次に、本発明の実施形態の装置を用いた成
膜方法について説明する。
【0161】図40は本発明に係る成膜装置の一例を示
す。図40において、7112は図36の真空容器であ
る。この真空容器7112は、前述の通り、多数の貫通
孔が形成された隔壁部7114によって、互いに隔離さ
れたプラズマ生成空間7115と成膜処理空間7116
を備えている。
【0162】図40で、7512は成膜用材料ガス供給
装置である。成膜用材料ガス供給装置7512から供給
される材料ガスは、MFC(マスフローコントローラ:
流量制御器)7513aを含むガス導入路7513を経
由して隔壁部7114内の上記内部空間7124へ導入
される。材料ガスとしては、SiH4等のケイ素水素
化合物(SinH2n+2(n=1,2,3,…))が
使用される。成膜処理空間7116においては、隔壁部
7114の内部空間7124通って導入される材料ガス
と、隔壁部7114に形成された多数の貫通孔7125
を通して導入されるラジカルとが反応し、材料ガスが分
解され、成膜室内に搬入された基板に対して酸化ケイ素
薄膜が堆積され、成膜が行われる。
【0163】7514は上位コントローラである。上位
コントローラ7514は、ガス導入路7513に設けら
れたMFC7513aにおける材料ガスの流量を制御す
る機能を有している。上記コントローラ7514によっ
て、MFC7513aにおける材料ガスの流量を制御
し、成膜処理空間7116へ導入される材料ガスの供給
量を後述するごとく所望の値に制御することが可能とな
る。図41に示されたグラフは、横軸が時間(t)、縦
軸が材料ガスの流量(sccm)が示され、材料ガス流
量の変化の一例が示されている。本実施形態では、MF
C7513aにおける材料ガスの流量を上記コントロー
ラ7514に基づいて制御し、成膜初期である放電開始
時において、成膜処理空間7116への材料ガスの導入
流量(供給量)を制限し、その後に増加させることに特
徴を有している。次に材料ガスの導入流量の制限の仕方
を説明する。
【0164】図42は材料ガスであるSiH4の供給
量の制御の一例を示し、横軸は時間であり、縦軸は導入
流量である。時間軸では、時刻t0,t1,t2が
設定されている。プラズマ生成用ガスとしては例えば酸
素(O2)が用いられている。時刻t0は、酸素ガス
がプラズマ生成室へ導入され、酸素ガスの放電が開始さ
れる時刻であり、成膜の開始時点である。時刻t
1で、SiH4の供給が開始される。従って、時刻t
0から時刻t1の間、SiH4の供給は行われな
い。時刻t1から時刻t2の間では、SiH4の供
給量は時間に応じて次第に増加し時刻t2でSiH4
の供給量は一定値に到達する。時刻t2以降、SiH
4の供給量は一定値に保持される。以上のごとく、放
電開始を含む成膜初期(t0〜t1およびt1に近
い時期)には材料ガスの供給量が制限されることにより
成膜初期のケイ素過剰な酸化ケイ素薄膜の形成を抑制す
ることができ、かつその後において材料ガスの供給量が
徐々に増加されることにより成膜時間を短縮し、実用性
を高めている。
【0165】また、t1〜t2での供給量の増大をス
テップ関数または種々の関数、例えば比例、一次関数、
二次関数、指数関数等で変化させるように制御を行って
もよい。
【0166】前述の各実施形態では、材料ガスとしてシ
ランの例を説明したが、これに限定されず、TEOS等
の他の材料ガスを用いることができるのはもちろんであ
る。またシリコン酸化膜のみならず、シリコン窒化膜等
その他の成膜にも応用することができる。本発明の原理
的考えは、材料ガスがプラズマに接することによりパー
ティクルが発生すること、基板へイオンが入射すること
が問題となるすべての処理に応用でき、成膜、表面処
理、等方エッチング等に応用できる。さらに前述の実施
形態では、隔壁部は二重構造になっているが、必要に応
じて多層構造にできるのはもちろんである。
【0167】以上の説明で明らかなように本発明によれ
ば、大面積基板にプラズマCVDによりシラン等の材料
ガスを用いてシリコン酸化膜等を成膜する場合に、所定
条件を満たす複数の貫通孔あるいは拡散孔が形成された
隔壁部を設けることによって真空容器の内部をプラズマ
生成空間と成膜処理空間に隔離し、プラズマ生成空間で
生成された活性種は隔壁部の貫通孔を通して成膜処理空
間に導入され、材料ガスは隔壁部の内部空間および拡散
孔を通してプラズマに触れることなく直接に成膜処理空
間に導入するようにしたため、材料ガスとプラズマとの
間の激しい化学反応を防止でき、その結果、パーティク
ルの発生を抑制し、基板へのイオン入射を防止すること
ができる。
【0168】また材料ガスを均一に導入でき、かつ隔壁
部に形成された複数の貫通孔によって酸素ガスのラジカ
ルも成膜処理空間に均一に供給でき、これによって基板
の表面近傍でのラジカルとシラン等の分布を良好にし、
大面積基板への成膜を有効に行うことができる。
【0169】図43は、クラスターツール型の装置を横
から見た断面図である。この装置は、基板8109の表
面にゲート絶縁膜となる酸化シリコン膜を作製する成膜
チャンバー8101と、ロードロックチャンバー810
2と、内部に搬送機構としての搬送ロボット8130を
備えた搬送チャンバー8103とを有している。
【0170】成膜チャンバー8101は内部にCVDユ
ニット8113を備えている。このCVDユニット81
13内でプラズマを生成し、プラズマ中から取り出した
活性種を利用することにより酸化シリコン膜を作製する
ようになっている。さて、本実施形態の装置の大きな特
徴点は、搬送チャンバー8103の構成にある。図43
に示すように、搬送チャンバー8103は、内部の圧力
調整のため、成膜チャンバー8101内での成膜に悪影
響を与えないガスを内部に導入するガス導入系(以下、
調圧用ガス導入系)8132を有している。本実施形態
では、調圧用ガス導入系8132は水素ガスを導入する
ようになっている。調圧用ガス導入系8132は、不図
示の流量調整器やフィルタを備えており、純度の高い調
圧用ガスを所定の流量で導入できるようになっている。
【0171】なお、「成膜に悪影響を与えないガス」と
は、作製される薄膜の品質に悪影響を与えないガスの意
味である。このガスには、水素のように成膜には直接的
には関与しないガスや、膜質を向上させる効果を持つガ
スが含まれる。
【0172】搬送チャンバー8103が調圧用ガス導入
系8132を備えることは、搬送チャンバー8103の
排気系8131についての特有の技術思想に関連してい
る。つまり、本実施形態の装置では、搬送チャンバー8
103内の圧力を成膜チャンバー8101内の圧力より
も若干低い真空圧力となるように維持する構成となって
いる。
【0173】搬送チャンバー8103の排気系8131
は、このように比較的高い圧力に排気すれば足りるもの
であるため、安価な構成となっている。搬送チャンバー
8103の排気系8131には、例えば、安価なドライ
ポンプとメカニカルブースターポンプとの組み合わせが
採用できる。
【0174】搬送チャンバー8103の排気系8131
には、通常、成膜チャンバー8101よりも排気速度の
大きなものが使用され、搬送チャンバー8103を成膜
チャンバー8101よりも低い圧力にまで排気するよう
構成されている。しかしながら、このような構成である
と、前述したように、排気系8131の構成が高価なも
のとなってしまう。例えば、前述した成膜チャンバー8
101内の到達圧力を得るためには、ターボ分子ポンプ
のような非常に高価な真空ポンプを使用する必要があ
る。到達圧力が1Pa以上であれば安価なドライポンプ
とメカニカルブースターポンプの組み合わせで足りるも
のの、到達圧力が1Paより低くなると、これより数倍
高価なターボ分子ポンプ等が必要になる。
【0175】また、搬送チャンバー8103内の圧力が
比較的高く設定されるので、装置の稼動開始時等におけ
る排気動作が短時間に済む。従って、装置全体の生産効
率が高くなる。
【0176】本実施例の装置の別の大きな特徴点は、搬
送チャンバー8103内に、基板8109の表面の改質
作用がある化学種(以下、改質種)を供給する改質種供
給部8133が設けられている点である。この点につい
て、以下に説明する。
【0177】改質種供給部8133は、改質用ガス導入
系8134によって導入されたガスにエネルギーを与え
てプラズマを形成する構成となっている。改質種供給部
8133の構成について図44を使用して説明する。図
44は図43に示す装置の搬送チャンバー8103内に
設けられた改質種供給部8133の構成を示す側断面概
略図である。
【0178】改質種供給部8133は、基本的に図36
とほぼ同様の構成である。但し、材料ガスを導入する構
成はなく、隔壁部7114は複数の孔のあいた板状にな
っている。改質種供給部8133は図43から解るよう
に、搬送チャンバー8103内であって、成膜チャンバ
8101ーとの境界部分のゲートバルブ8104cに近
い位置に配置されており、基板8109の搬送ラインの
上側に位置している。
【0179】改質用ガス導入系8134は、調圧用ガス
導入系8132と同様に水素ガスをプラズマ生成空間に
供給するようになっている。調圧用ガス導入系8132
の配管を分岐させて改質種供給部8133に接続し、調
圧用ガス導入系8132を改質用ガス導入系8134に
兼用してもよい。
【0180】改質用ガス導入系8134によって水素ガ
スがプラズマ生成空間に導入されている状態で、高周波
電源が動作すると、プラズマが形成され、水素活性種が
下方流出するようになっている。この水素活性種が、本
実施形態では改質種に相当しており、これが基板の表面
に供給されることで、改質が行われる。例えば、基板8
109の表面が酸化している場合、これを還元する。ま
た、表面に結合端が存在している場合、水素活性種はこ
れを終端し、表面の状態を化学的に安定させる。この改
質の際、基板8109を搬送ライン上で停止させてもよ
く、また効率化させるため、移動させながら行ってもよ
い。
【0181】第2の実施形態の装置の大きな特徴点は、
チャンネル層にポリシリコン膜を使用したTFT−LC
Dの製造に必要なレーザーアニール工程及びゲート絶縁
膜作成工程を真空中で連続してできるようになっている
ことである。この第2の実施形態の装置においても、搬
送チャンバー8103は調圧用ガス導入系8132を備
えており、搬送チャンバー8103内は真空圧力ではあ
るものの1Paより高く、かつ成膜チャンバ−8101
より低い圧力に維持されるようになっている。調圧用ガ
ス導入系8132は、同様に水素ガスを搬送チャンバー
8103内に導入するようになっている。
【0182】この第2の実施形態によれば、アニール工
程の後、改質種の供給によって基板8109の表面が改
質される構成は、TFTの動作特性を向上させる上で極
めて重要な意義を有している。アニール工程で非晶質シ
リコン膜を結晶化させて得られたポリシリコン膜の表面
には、シリコンの未結合端(ダングリングボンド)が存
在している。従って、この基板8109がアニールチャ
ンバー(図示せず)から成膜チャンバー8101に搬送
される際、雰囲気に酸素のようなシリコンと反応し易い
ガスが存在していると、未結合端において容易にシリコ
ンと反応し、ポリシリコン膜の表面に汚損された領域を
作ってしまう。このような汚損領域がポリシリコン膜と
ゲート絶縁膜の界面に存在していると、化学量論的組成
が得られず、欠陥準位の発生等、TFTの動作特性を阻
害する問題が生じ易い。
【0183】本実施形態では、アニール工程の後、水素
活性種で表面を改質し、シリコンの未結合端を水素で終
端しているので、上記のような問題が抑制される。さら
に搬送チャンバー8103は比較的高い圧力の真空であ
るものの、水素ガスでパージされているため、未結合端
が存在していてもそれに汚損物質が反応するおそれが低
減し、かつ、水素と反応して同様に安定的に終端する可
能性が高くなっている。このようなことから、本実施形
態の装置によればポリシリコンTFTを製造する上で極
めて重要な技術事項であるポリシリコン膜とゲート絶縁
膜の界面状態を極めて良質なものにすることができる。
【0184】また、改質種供給部が活性種を供給する点
は、アニール工程後の改質ということに関連して重要な
意義を有する。前述した通り、基板8109の表面の改
質には、活性種の他、イオン入射を利用することもあり
得る。しかしながら、アニール工程後の改質にイオン入
射を利用することは、問題を生ずる。アニール工程によ
って結晶化したポリシリコン膜は、比較的弱い結晶構造
である。従って、イオンを入射させてしまうと、容易に
結合が壊れ、ポリシリコン膜の表面が粗くなった凹凸が
形成されたりする。この結果、界面特性が阻害された
り、チャンネル抵抗が増大したりする問題が発生するお
それがある。
【0185】本実施形態では、CVDユニット8113
を使用し、基板の表面から離れた領域にプラズマを形成
して活性種を供給している。従って、基板の表面へのイ
オンの入射は本質的になく、上述したような問題は生じ
ない。
【0186】図45は、本発明に係るレーザアニール装
置の構造を説明する図である。
【0187】このレーザアニール装置は、アモルファス
状Si等の半導体薄膜を表面上に形成したガラス板であ
るワークWを載置して3次元的に滑らかに移動可能なス
テージ3210と、一対の特性の異なるレーザビームL
B1、LB2をそれぞれ発生する一対のレーザ光源322
1、3222と、これらのレーザビームLB1、LB2を
合成する合成光学系3230と、合成光学系3230に
よって合成された合成光CLを線条ビームABにして所
定の照度でワークW上に入射させる照射光学系3240
と、照射光学系3240中に設けたマスク3242を移
動させてワークW上に投射した線条 ビームABをワー
クW上で走査させる走査手段であるマスク駆動装置32
50と、ワークWを載置したステージ3210を照射光
学系3240等に対して必要量だけ適宜移動させるステ
ージ駆動装置3260と、レーザアニール装置全体の各
部の動作を統括的に制御する主制御装置32100とを
備える。
【0188】一対のレーザ光源3221、3222は、
ともにワークW上の半導体薄膜を加熱するためのエキシ
マレーザその他のパルス光源であり、発光時間やピーク
強度、或いは波長等の特性が互いに異なる一対のレーザ
ビームLB1、LB2をそれぞれ個別に発生する。
【0189】合成光学系3230は、両レーザ光源32
21、3222からの一対のレーザビームLB1、LB2
を空間的に継ぎ合わせて合成光CLを形成するためのも
ので、一対の平行に配置されたナイフエッジミラー32
31、3232からなる。なお、合成光学系3230と
両レーザ光源3221、3222との間には、それぞれ
ダイバージェンス光学系3271とテレスコープ光学系
3272とを調整装置として設けている。ダイバージェ
ンス光学系3271は、レーザ光源3221からの第1
ビームLB1について、照射光学系3240に設けたホ
モジナイザ3241による光軸方向結像位置(ビーム形
成位置)を微調整する調整光学系としての役割を有す
る。テレスコープ光学系3272は、レーザ光源322
2からの第2ビームLB2について、そのビームサイズ
を調節して合成光学系3230に入射する第1ビームL
B1のビームサイズと一致させるアフォーカル光学系と
しての役割を有する。
【0190】照射光学系3240は、合成光学系323
0からの合成光CLを一旦複数に分割するとともにこれ
らの分割光を矩形のビームにして所定面上に重畳して均
一に入射させるホモジナイザ3241と、スリット状の
透過パターンを有するとともに、所定面上に配置されて
合成光CLを遮るマスク3242と、マスク3242に
形成された透過パターンを線条ビームABとしてワーク
W上に縮小投影する投影レンズ3243とを備える。
【0191】ステージ駆動装置3260は、ステージ3
210を駆動してワークW上の所定領域を照射光学系3
240に対して位置合わせするアライメントを行う。ま
た、ステージ駆動装置3260は、マスク駆動装置32
50によって線条ビームABがワークW上の所定領域で
走査されて所定領域のレーザアニールが終了した段階
で、マスク3242を上記の所定領域に隣接する領域に
ステップ移動させるアライメントを行う。なお、ステー
ジ駆動装置3260によるステージ3210の駆動量
は、位置検出装置3280によって常時監視されてい
る。
【0192】以下、図45の装置の動作について説明す
る。まず、レーザアニール装置のステージ3210上に
ワークWを搬送して載置する。次に、照射光学系324
0に対してステージ3210上のワークWをアライメン
トする。次に、照射光学系3240のマスク3242を
移動させながら、一対のレーザ光源3221、3222
から得た合成光CLを線条ビームABにしてワークW上
の所定領域に入射させる。ワークW上には、非晶質半導
体のアモルファスSi等の薄膜が形成されており、線条
ビームABの照射及び走査によって半導体の所定領域が
アニール、再結晶化され、電気的特性の優れた半導体薄
膜を提供することができる。以上のようなレーザアニー
ルは、ワークWに設けた複数の所定領域で繰返され、ワ
ークWに設けた複数の所定領域で半導体薄膜がアニール
される。
【0193】この際、上記装置では、合成光学系323
0が一対のレーザ光源3221、3222からの一対の
レーザビームLB1、LB2を空間的に継ぎ合わせて合成
光CLを形成するので、一対のレーザビームLB1、L
B2をロスを最小限に抑えて合成することができ、合成
後は、ホモジナイザ3241によって一対のレーザビー
ムLB1、LB2について均一な矩形ビームをそれぞれ所
定面であるマスク3242上に形成することができる。
さらに、ワークW上に入射する線条ビームABは、レー
ザビームLB1、LB2を効率的に合成したものであり、
多様なレーザアニールが可能になる。
【0194】図46は、合成光学系3230及びその周
辺の構造を説明する図である。既に説明したように、合
成光学系3230は、一対のナイフエッジミラー323
1、3232からなり、第1ビームLB1を一対のナイ
フエッジ3231a、3232a間に通過させるととも
に第2ビームLB2を一対のナイフエッジ3231a、
3232aによって分割する。第1ビームLB1につい
てホモジナイザ3241による結像位置を微調整するダ
イバージェンス光学系3271は、凸レンズ3271a
と凹レンズ3271bとを組み合わせたアフォーカル系
となっている。第2ビームLB2のビームサイズを第1
ビームLB1のビームサイズと一致させるテレスコープ
光学系3272も、凹レンズ3272aと凸レンズ32
72bとを組み合わせたアフォーカル系となっている。
テレスコープ光学系3272と合成光学系3230との
間には、ターンミラー3233を設けて第2ビームLB
2を案内している。一方、両レーザビームLB1、LB2
を合成した合成光CLが入射するホモジナイザ3241
は、第1〜第4シリンドリカルレンズアレイCA1〜C
A4と、凸レンズのコンデンサレンズ3241aとから
なる。ここで、第1及び第3シリンドリカルレンズアレ
イCA1、CA3は、紙面に平行な断面に曲率を有し、第
2及び第4シリンドリカルレンズアレイCA2、CA4
は、紙面に垂直で光軸を含む断面に曲率を有する。
【0195】以下、動作の概要について説明する。第1
ビームLB1は、ナイフエッジ3231a、3232a
間、すなわちホモジナイザ3241の光軸OAを含む中
央側瞳領域を通り、第2ビームLB2は、ナイフエッジ
ミラー3231、3232によって2つに分割されて第
1ビームLB1の両端、すなわちホモジナイザ3241
の一対の外側瞳領域を通って、それぞれホモジナイザ3
241に入射する。ホモジナイザ3241は、合成光C
Lが入射できるようにビーム2つ分の入射瞳のサイズに
してあり、コンデンサレンズ3241a等のレンズ系は
その入射瞳に合わせて収差補正がされている。
【0196】ホモジナイザ3241に入射した合成光C
Lは、第1〜第4シリンドリカルレンズアレイCA1〜
CA4によって、シリンドリカルレンズを構成するセグ
メント数に分割された2次光源を形成する。分割された
2次光源からの光ビームは、コンデンサレンズ3241
aに入射し、コンデンサレンズ3241aのバックフォ
ーカス位置に配置された被照射面ISで重ね合わされて
均一な矩形ビームを形成する。
【0197】ここで、ダイバージェンス光学系3271
やテレスコープ光学系3272は、第1ビームLB1と
第2ビームLB2のビーム特性やその相違等に起因し
て、ホモジナイザ3241によって形成される矩形ビー
ムについてフォーカス位置の違いやビームサイズの違
い、さらにユニフォーミティの違いが生じてしまうこと
を防止している。
【0198】前者のダイバージェンス光学系3271
は、ホモジナイザ3241に入射する第1ビームLB1
のNAを僅かに変えてホモジナイザ3241によるベス
トフォーカス位置及びビームサイズを調整する。後者の
テレスコープ光学系3272は、ホモジナイザ3241
に入射する第1ビームLB1のビームサイズに第2ビー
ムLB2のビームサイズを一致させる。これにより、両
レーザビームLB1、LB2について、シリンドリカルレ
ンズアレイCA1〜CA4による分割数を一致させて同様
のユニフォーミティを得ることができる。
【0199】以下、動作の詳細について説明する。第1
ビームLB1は、図示してないビームデリバリー(ター
ンミラー等)を経て第1ビーム用のダイバージェンス光
学系3271に入射する。このダイバージェンス光学系
3271は、ほぼ等倍のアフォーカル系であり、2つの
レンズ3271a、3271bのレンズ間距離を変える
ことにより、このダイバージェンス光学系3271から
出射する第1ビームLB1のビームサイズをほとんど変
えることなく、この第1ビームLB1のNAを僅かに変
えることができる。具体的な実施例では、ダイバージェ
ンス光学系3271による出射NA(第1ビームLB1
の広がり角)の可変調節範囲を数mrad程度とした。
なお、2枚のレンズ3271a、3271bは凸凹の2
群系であり、各々のパワーも小さいため、両レンズ32
71a、3271bの間隔を変えても収差の変化はほと
んど生じない。
【0200】ダイバージェンス光学系3271を出射し
た第1ビームLB1は、2枚のナイフエッジミラー32
31、3232の間、すなわちホモジナイザ3241の
光軸中心側を通過するのみである。ナイフエッジミラー
3231、3232間を通過した第1ビームLB1は、
その後ホモジナイザ3241のシリンドリカルレンズア
レイCA1の中央部(第1ビームLB1に割り当てられた
シリンドリカルレンズ)に入射し、シリンドリカルレン
ズの個数(図46では6本)に分割される。分割された
各ビームは、コンデンサレンズ3241aにより重ね合
わされて被照射面ISで均一ビームを形成する。
【0201】一方、第2ビームLB2は、図示していな
いビームデリバリーを経て第2ビーム用のテレスコープ
光学系3272に入射する。このテレスコープ光学系3
272に入射した第2ビームLB2は、本光学系で拡大
または縮小されて第1ビームLB1と同一のビームサイ
ズとなってここから出射して合成光学系3230に向か
う。合成光学系3230では、ナイフエッジミラー32
31、3232によって第2ビームLB2が2つのビー
ム部分LB2a、LB2bに分割され、それぞれ第1ビーム
LB1の両端を通過してホモジナイザ3241へと向か
う。両ビーム部分LB2a、LB2bは、ホモジナイザ32
41の光軸中心の外側、すなわちホモジナイザ3241
のシリンドリカルレンズアレイCA1の両端部(第2ビ
ームLB2に割り当てられたシリンドリカルレンズ)に
入射し、シリンドリカルレンズの個数(図46では上下
3本ずつの計6本)に分割される。分割された各ビーム
は、コンデンサレンズ3241aにより重ね合わせられ
て被照射面ISで均一ビームを形成する。
【0202】以上の説明では、第1ビームLB1及び第
2ビームLB2共に「被照射面ISで均一ビームを形成
する」と記したが、実は両者のベストフォーカス位置
は、主に光源から出射するビームの拡がり角等の特性の
違いにより異なることがある。また、このようにベスト
フォーカスが異なっている場合、ビームサイズも異なっ
ていることが多い。したがって、第1ビームLB1及び
第2ビームLB2の特性の差を補償する必要がある。こ
のため、第2ビームLB2のベストフォーカス位置を真
の被照射面IS(基準面)として、この基準面に第1ビ
ームLB1のベストフォーカス位置を一致させる。具体
的には、ダイバージェンス光学系3271により第1ビ
ームLB1の出射NA、すなわちホモジナイザ3241
から見た場合の入射NAを変える。ホモジナイザ324
1から見た入射NAを変更すると、それに応じてホモジ
ナイザ3241通過後のベストフォーカス位置が変わ
る。これにより、第1ビームLB1のベストフォーカス
位置を微調し、第2ビームLB2のそれに一致させるこ
とができる。なお、ホモジナイザ3241のレンズ構成
によって出射NAとベストフォーカス位置のずれとの対
応は異なるのでかかる調整の詳細な説明は省略する。
【0203】図47は、本発明に係るレーザ加工装置の
一実施形態であるレーザアニーリング装置の構造を概念
的に説明する図である。
【0204】このレーザアニーリング装置は、ガラス基
板上にアモルファス状Si等の半導体薄膜を形成したワ
ークWを熱処理するためのもので、かかる半導体薄膜を
加熱するためのエキシマレーザその他のレーザ光ALを
発生するレーザ光源3310と、このレーザ光ALをラ
イン状(微細な矩形)にして所定の照度でワークW上に
入射させる照射光学系3320と、ワークWを載置して
ワークWをX−Y面内で滑らかに並進移動させることが
できるとともにZ軸の回りに回転移動させることができ
るプロセスステージ装置3330とを備える。
【0205】照射光学系3320は、入射したレーザ光
ALを均一な分布とするホモジナイザ3321と、ホモ
ジナイザ3321を経たレーザ光ALを細い矩形ビーム
に絞るスリットを形成したマスクを有するマスク組立体
3322と、マスクのスリット像をワークW上に縮小投
影する投影レンズ3323とからなる。このうち、マス
ク組立体3322は、マスクステージ装置3340に交
換可能に支持されており、マスクステージ装置3340
に駆動されてX−Y面内で滑らかに並進移動可能である
とともにZ軸の回りに回転移動可能となっている。
【0206】プロセスステージ装置3330は、プロセ
スチャンバ3350内に収容されており、ワークWをプ
ロセスチャンバ3350内に支持するとともに照射光学
系3320に対して適宜移動させることができる。照射
光学系3320からのレーザ光ALは、ウィンドウ33
50aを介してプロセスチャンバ3350内の適所に支
持されたワークW上に照射される。
【0207】なお、投影レンズ3323の両側には、ウ
ィンドウ3350aを介して検査光をワークW表面に入
射させる投光装置3361と、ワークW表面からの反射
光を検出する受光装置3362とからなる位置検出装置
等が設置されており、プロセスステージ装置3330上
のワークWを照射光学系3320に対して精密に位置合
わせすることができるようになっている。
【0208】ここで、マスクステージ装置3340や投
影レンズ3323は、プロセスチャンバ3350から延
びる架台3365に吊り下げられて固定されている。な
お、図示を省略しているが、ホモジナイザ3321は架
台3365に対して間接的に固定されている。
【0209】マスクステージ装置3340に支持された
マスク組立体3322は、円柱状の取付け冶具3370
の下端に吊り下げられて、マスクステージ装置3340
に設けた挿入口3340aの底部に挿入され、ここに固
定される。マスク組立体3322は、スリットを形成し
たマスク3322aと、マスク3322a上方にマスク
3322aに対して傾斜して配置されてマスク3322
aからの戻り光に起因して他の光学要素にダメージが発
生することを防止する反射部材3322bと、マスク3
322aに入射するレーザ光ALの広がり角を調整する
フィールドレンズ3322cとを備え、これらマスク3
322a、反射部材3322b及びフィールドレンズ3
322cを一体的に保持する。
【0210】図48は、マスクステージ装置3340の
構造とマスク組立体3322の支持とを説明する図であ
り、図48(a)は、マスクステージ装置3340等の
側方断面図であり、図48(b)は、取付け冶具337
0の平面図である。
【0211】マスクステージ装置3340は、マスク組
立体3322をX軸方向に並進移動させるX軸ステージ
部3441と、X軸ステージ3441とともにマスク組
立体3322をY軸方向に並進移動させるY軸ステージ
部3442と、X軸ステージ3441及びY軸ステージ
部3442をZ軸の回りに回転移動させるθ軸ステージ
3443とからなる。X軸ステージ3441とY軸ステ
ージ部3442とは、スライドガイド3445を介して
摺動可能に連結されている。一方、Y軸ステージ部34
42とθ軸ステージ3443とは、軸受3446を介し
て回転可能に連結されている。
【0212】マスク組立体3322は、マスク3322
a、反射部材3322b及びフィールドレンズ3322
cを保持する筒状のマスクホルダ本体3422dの外周
に、下方に向けて細くなるテーパ外面TP1を有する。
一方、X軸ステージ3441も、底部3441aに設け
た円形開口に、テーパ外面TP1に嵌合するテーパ内面
TP2を有する。この結果、X軸ステージ3441の底
部3441aに設けた円形開口にマスク組立体3322
を挿入するだけで、テーパ外面TP1とテーパ内面TP2
とが嵌合して、X軸ステージ3441に対してマスク組
立体3322を精密に位置合わせすることができる。さ
らに、マスク組立体3322は、X軸ステージ3441
の底部3441aにねじ込まれた環状の固定ナット34
25によって下方に一定の力で付勢される。
【0213】マスク組立体3322や固定ナット342
5は、取付け冶具3370を利用して、X軸ステージ3
441の底部3441aに取り付けられる。マスク組立
体3322は、取付け冶具3370の下面に設けた鈎状
の引掛け部材3471と係合する陥凹部3422gを有
し、取付け冶具3370の操作にともなって昇降する。
これにより、X軸ステージ3441の底部3441aに
設けた円形開口にマスク組立体3322を簡易・確実に
挿入することができる。また、固定ナット3425も、
取付け冶具3370の引掛け部材3471と係合する陥
凹部3425gを有し、取付け冶具3370の操作にと
もなって昇降する。これにより、X軸ステージ3441
の底部3441aに挿入されたマスク組立体3322の
上方から固定ナット3425をねじ込んで、マスク組立
体3322を簡易・確実に固定することができる。
【0214】取付け治具3370は、円柱状の本体34
70aと、本体3470a下端に固定されて引掛け部材
3471を支持する円盤状の支持部材3470bと、本
体3470aを支持部材3470bとともに回転させた
り昇降させたりするためのハンドル3470cとを備え
る。なお、ハンドル3470cは、操作の便宜等を考慮
して、図48(b)に示すように、3方に延びる取っ手
3473を有している。
【0215】取付け冶具3370の下部にマスク組立体
3322を取り付けた状態で、マスクステージ装置33
40の挿入口3440aからマスク組立体3322を挿
入し、底部3441aまでマスク組立体3322を降下
させたところで取付け冶具3370を時計方向に回転さ
せると、マスク組立体3322は取付け冶具3370と
分離される。
【0216】次に、固定ナット3425を、マスク組立
体3322と同様に取付け冶具3370の下部に取り付
けて、マスクステージ装置3340の挿入口3440a
から挿入する。下端に達したところで、固定ナット34
25を反時計方向に回転させて所定の位置まで締め付け
れば、マスク組立体3322は皿ばね3425c皿の一
定圧力で底部3441aに押し付けられる。この際、マ
スクホルダ本体3422dに設けたテーパ外面TP1
と、底部3441aに設けたテーパ内面TP2とが密着
するので、マスク組立体3322をマスクステージ装置
3340に精度良く取り付けることができる。その後、
取付け冶具3370を時計方向に回転させると、固定ナ
ット3425は取付け冶具3370と分離され、取付け
冶具3370のみ取り出すことができる。
【0217】マスク組立体3322のマスクステージ装
置3340からの取り外しに際しては、上記の操作を全
く逆にたどればよい。すなわち、取付け冶具3370を
マスクステージ装置3340の挿入口3440aに挿入
し、固定ナット3425をゆるめて取り外し、さらに同
じ取付け冶具3370の先端をマスク組立体3322上
の陥凹部3422gに引っ掛ける。その後、ゆっくり取
付け冶具3370を引き上げると、マスク組立体332
2が取付け治具3370と一体となって引き出される。
さらに、マスク3322a及び反射部材3322bのマ
スク組立体3322からの取り外しも、詳細な説明は省
略するが、これらの取付け時と反対の手順で容易に行え
る。
【0218】なお、以上の操作によってマスク3322
aはマスクステージ装置3340に対して精度良く取り
付けられることになるが、更に精密な位置決めは、マス
ク面に付けられたアライメントマークをCCDカメラ
(不図示)等で目視観察しながら、調整することにな
る。
【0219】次に本発明に係る実施形態の位置計測装置
及び方法について、図面を参照しつつ具体的に説明す
る。
【0220】図49は、実施形態の位置計測装置を組み
込んだレーザアニール装置の構造を概念的に説明する図
である。レーザアニール装置は、ガラス板であるワーク
W上に形成したアモルファス状Si等の半導体薄膜を加
熱するためのエキシマレーザその他のレーザ光ALを発
生するレーザ光源3510と、このレーザ光ALをライ
ン状或いはスポット状にして所定の照度でワークW上に
入射させる照射光学系3520と、ワークWを載置して
X−Y面内で滑らかに移動可能であるとともにZ軸の回
りに回転可能なステージ3530と、ワークWを載置し
たステージ3530を照射光学系3520等に対して必
要量だけ移動させる駆動手段であるステージ駆動装置3
540とを備える。なお、照射光学系3520は、例え
ば入射したレーザ光ALを均一な分布とするホモジナイ
ザ3520aと、ホモジナイザ3520aを経たレーザ
光ALを所定のビーム形状に絞るスリットを有するマス
ク3520bと、マスク3520bのスリット像をワー
クW上に縮小投影する投影レンズ3520cとからなる
ものとすることができる。
【0221】さらに、このレーザアニール装置は、位置
計測装置として、上記ステージ3530及びステージ駆
動装置3540のほか、ステージ3530の移動量を光
学的な情報や電気的な情報として検出する移動量計測装
置3550と、ワークW上のアライメントマークを結像
する同軸タイプで2眼2倍率の投影光学系3560と、
投影光学系3560によって投影された比較的低倍の第
1倍率の像を画像信号に変換する第1撮像装置3571
と、投影光学系3560によって投影された比較的高倍
率の第2倍率の像を画像信号に変換する第2撮像装置3
572と、第1及び第2撮像装置3571、3572か
ら出力された画像信号に適当な信号処理を施す画像処理
装置3580と、ワークW表面を照明するため投影光学
系3560に照明光を供給する照明用ランプ3565と
を備える。なお、主制御装置3585は、この位置計測
装置のみならず、レーザアニール装置の各部の動作を統
括的に制御する。
【0222】投影光学系3560についてより詳細に説
明する。この投影光学系3560は、既に述べたように
同軸タイプの2眼2倍率の光学系であり、ステージ35
30上のワークWの像を比較的低倍率の第1倍率で第1
撮像装置3571上に投影する第1レンズ系3561
a、3561bと、これを比較的高倍の第2倍率で第2
撮像装置3572上に投影する第2レンズ系3562
a、3562bと、ワークWからの像光ILを分割して
第1レンズ系3561a、3561b及び第2レンズ系
3562a、3562bに導くハーフミラー3563
と、レーザ光源3510と異なる波長の照明光を発生す
る照明用ランプ3565からの照明光を、ケーブル35
66を介して第2撮像装置3572の光軸上に導く落射
照明系3567とを備える。
【0223】ここで、第1レンズ系3561a、356
1bと、第2レンズ系3562a、3562bとは、光
軸を共有する同軸光学系となっている。つまり、第1レ
ンズ系3561a、3561bの光軸に沿ってワークW
から出射した像光ILは、ハーフミラー3563で反射
された場合には第1撮像装置3571の画界の中心に入
射するとともに、ハーフミラー3563を透過した場合
には第2レンズ系3562a、3562bの光軸に沿っ
て第2撮像装置3572の画界の中心に入射する。ま
た、落射照明系3567も、第2レンズ系3562a、
3562bと同軸に配置されており、第1及び第2撮像
装置3571、3572の画界に対応するワークW上の
領域が一様に照明される。
【0224】なお、第1撮像装置3571は、固体撮像
素子であるCCD素子からなり、レンズ3561bと併
せてCCDカメラ3573を構成する。このCCDカメ
ラ3573は、レンズ3561aを収容する鏡筒357
5の一端に固定されている。一方、第2撮像装置357
2も、CCD素子からなり、レンズ3562bと併せて
CCDカメラ3574を構成する。このCCDカメラ3
574は、レンズ3562aを収容する鏡筒3576の
一端に固定されている。両鏡筒3576の他端は、ハー
フミラー3563を収納するケースに固定されている。
【0225】図50は、図49のステージ3530に載
置されるワークWの表面に形成されるアライメントマー
クの配置の一例を示す図である。図示のアライメントマ
ークM1、M2は、ともに明暗2値の十字パターンを大小
組み合わせた2重パターンである。
【0226】第1アライメントマークM1は、ワークW
の4隅の一箇所に形成されており、第2アライメントマ
ークM2は、ワークWの4隅の他の箇所に形成されてい
る。このように、第1及び第2アライメントマークM
1、M2をワークW上の2箇所に形成しているのは、ワー
クWの位置だけでなくワークWの回転も検出するためで
ある。つまり、第1及び第2アライメントマークM1、
M2の位置計測により、ワークW上の2つの基準点の座
標が分かることになり、ワークWの姿勢を修正した上で
ワークWを適正な位置に移動させるアライメントが可能
になる。
【0227】次に図49のレーザアニール装置の動作に
ついて説明する。まず、レーザアニール装置のステージ
3530上にワークWを搬送して載置する。次に、アニ
ール用のレーザ光ALを導く照射光学系3520に対し
てステージ3530上のワークWをアライメントする。
次に、照射光学系3520に対してステージ3530を
適宜移動させながら、レーザ光源3510からのレーザ
光ALをライン状或いはスポット状にしてワークW上に
入射させる。ワークW上には、アモルファスSi等の非
晶質半導体の薄膜が形成されており、レーザ光ALの照
射によって半導体がアニール、再結晶化され、電気的特
性の優れた半導体薄膜を提供することができる。
【0228】照射光学系3520に対してステージ35
30上のワークWをアライメントするに際しては、位置
計測装置を利用する。すなわち、ステージ3530をス
テージ駆動装置3540によって適宜移動させて、第1
アライメントマークM1、すなわちグローバルマークM1
1及びファインマークM12を第1撮像装置3571の画
界内に導く(ステップS1)。ステージ3530上のワ
ークWの位置は一定の搬送精度範囲(実施例では、0.
5〜1mm)内に収まっているので、投影光学系356
0に対してステージ3530を適宜移動させて、第1レ
ンズ系3561a、3561bの視野内、すなわち第1
撮像装置3571の画界(実施例では、5mmサイズ)
中に第1アライメントマークM1を移動させることがで
きる。例えば、ワークW上の第1アライメントマークM
1の位置をデータとして予め入力し記憶しておけば、第
1アライメントマークM1の位置データに基づいて、ス
テージ3530を適宜移動させて、第1撮像装置357
1の画界中に第1アライメントマークM1をほぼ確実に
入れることが保証される。
【0229】次に、第1アライメントマークM1のうち
まずグローバルマークM11について、画像処理装置35
80において低倍率の第1撮像装置3571からの画像
信号処理することによりその位置を計測する(ステップ
S2)。なお、第1撮像装置3571の画素とステージ
3530上の距離との間には精密な対応関係があり、第
1撮像装置3571の中心、すなわち第1レンズ系35
61a、3561bの光軸からグローバルマークM11の
中心までの距離のXY成分が精密に判定できる。
【0230】次に、移動量計測装置3550で移動量を
計測しながら、ステージ駆動装置3540を駆動してス
テージ3530をXY面内で移動させることにより、第
1レンズ系3561a、3561bの光軸にグローバル
マークM11の中心を一致させる(ステップS3)。な
お、移動量計測装置3550が計測する移動量は、ステ
ップS2で求めた距離に対応する。この際、グローバル
マークM11による位置決め精度は、実施例では〜10μ
m程度である。以上のようなサーチアライメントによ
り、グローバルマークM11の中心に配置されたファイン
マークM12を高倍率の第2撮像装置3572の画界(実
施例では、0.5mmサイズ)中に確実に移動させるこ
とができる。
【0231】次に、ファインマークM12について、画像
処理装置3580において第2撮像装置3572からの
画像信号処理することによりその位置を計測する(ステ
ップS4)。なお、第2撮像装置3572の画素とステ
ージ3530上の距離との間には精密な対応関係があ
り、第2撮像装置3572の中心、すなわち第2レンズ
系3562a、3562bの光軸からファインマークM
12の中心までの距離が精密に判定できる。ファインマー
クM12による位置計測精度は、実施例では〜1μm程度
である。
【0232】ここで、ファインマークM12の位置を計測
している投影光学系3560は、レーザアニール用の照
射光学系3520に対して所定の位置関係にあり、この
位置関係は、予め計測され、或いは調整されている。し
たがって、第2レンズ系3562a、3562bの光軸
からファインマークM12の中心までの距離を、上記位置
関係に基づいて、レーザアニール用の照射光学系352
0からファインマークM12の中心までの距離に換算する
ことができる(ステップS5)。以上により、第1アラ
イメントマークM1の精密な座標決定が可能になる。
【0233】以上の計測(ステップS1〜S5)は、第
2アライメントマークM2についても同様に行われ、第
2アライメントマークM2についても精密な座標決定が
可能になる(ステップS6)。なお、実施例では、第2
撮像装置3572の1画素を1μmとし、1μm程度の
精度で位置検出が行われた。
【0234】次に、ステップS5、S6で得た第1及び
第2アライメントマークM1、M2の精密な座標測定結果
に基づいて、照射光学系3520に対してワークWをア
ライメントする(ステップS7)。具体的には、照射光
学系3520を基準とした第1及び第2アライメントマ
ークM1、M2のファインマークについての座標測定値に
基づいて、ワークWの位置と回転を求め、この結果から
レーザアニールの開始に際して必要となる位置に必要な
回転姿勢でワークWを配置する。
【0235】次に、照射光学系3520から照射される
レーザスポットやレーザライン等のレーザ光ALを、ス
テージ駆動装置3540及び移動量計測装置3550を
用いてワークW上で走査させながら、ワークW上のアモ
ルファス薄膜を再結晶化させ、ワークW上に多結晶薄膜
を順次形成する。この際、移動量計測装置3550で移
動量を観測しながらステージ駆動装置3540によって
ステージ3530をX方向又はY方向に移動させること
で、レーザ光ALの走査が可能になる。また、照射光学
系3520に走査機能を持たせること、例えば照射光学
系3520内部のマスク3520bを移動させることに
よっても、レーザ光ALの走査が可能になる。
【0236】以上説明した第1実施形態の位置計測方法
によれば、ワークWをステージ3530上に搬送載置し
た後において、グローバルマークM11を用いたサーチア
ライメントによるワークWの移動のみで高精度の位置計
測が可能になり、ワークWの位置計測が迅速なものとな
る。また、グローバルマークM11とファインマークM12
の輪郭を相似形としているので、両マークM11、M12を
計測する際の画像計測アルゴリズムをほぼ共通のものと
できるので、演算処理等を簡素化することができる。
【0237】図51は、ステージ3530(図49参
照)上に載置されるワークWの表面に形成されるアライ
メントマークの配置を説明する斜視図である。
【0238】第1及び第2グローバルマークM111、M2
11は、ワークWの4隅のいずれかにそれぞれ形成されて
いる。両グローバルマークM111、M211は、ワークX軸
について座標が等しく、ワークY軸について座標が異な
っている。一方、第1及び第2ファインマークM112、
M212は、ワークW上の加工領域PAの近傍にそれぞれ
配置されている。両ファインマークM112、M212は、ワ
ークX軸について座標が等しく、ワークY軸について座
標が異なっている。なお、加工領域PAは、投影レンズ
3520cによってマスク3520bのスリット像等を
投影すべき領域であり、ワークW上に適当な間隔で配列
されている(図面では、2つのみ例示)。
【0239】第1及び第2グローバルマークM111、M2
11の位置計測により、ワークW周辺の2つの基準点の座
標が分かることになり、ワークWの姿勢を修正した上
で、第1及び第2ファインマークM112、M212のそれぞ
れを高倍率側の第2撮像装置3572(図49参照)の
画界に入れるサーチアライメント(グローバルアライメ
ント)が可能になる。一方、第1及び第2ファインマー
クM112、M212の位置計測により、これらに対応する加
工領域PA周辺の2つの基準点の精密な座標が分かるの
で、ワークWを適宜移動させて、マスク3520bのス
リット像を加工領域PA上に精密に投影することができ
る。
【0240】図52は、本発明に係るレーザ加工装置の
一実施形態であるレーザアニーリング装置の構造を概念
的に説明する図である。
【0241】このレーザアニーリング装置は、ガラス基
板上にアモルファス状Si等の半導体薄膜を形成したワ
ークWを熱処理するためのもので、かかる半導体薄膜を
加熱するためのエキシマレーザその他のレーザ光ALを
発生するレーザ光源5310と、このレーザ光ALをラ
イン状(正確には微細な矩形)にして所定の照度でワー
クW上に入射させる照射光学系5320と、ワークWを
載置してワークWをX−Y面内で滑らかに並進移動させ
ることができるとともにZ軸の回りに回転移動させるこ
とができるプロセスステージ装置5330と、プロセス
ステージ装置5330の動作を制御するステージ制御装
置5340と、レーザアニーリング装置の各部の動作を
統括的に制御する主制御装置53100とを備える。
【0242】照射光学系5320は、入射したレーザ光
ALを均一な分布とするホモジナイザ5320aと、ホ
モジナイザ5320aを経たレーザ光ALを矩形のビー
ム形状に絞るスリットを有するマスク5320bと、マ
スク5320bのスリット像をワークW上に縮小投影す
る投影光学系である投影レンズ5320cとからなる。
このうちマスク5320bは、マスクステージ装置53
50に交換可能に保持されており、X−Y面内で滑らか
に並進移動可能になっているとともにZ軸の回りに回転
移動可能となっている。マスクステージ装置5350の
動作は、ステージ制御装置5360によって制御されて
おり、マスク5320bの並進や回転移動のタイミング
やその移動量を監視できるようになっている。なお、こ
れらマスクステージ装置5350及びステージ制御装置
5360は、マスク駆動装置を構成する。
【0243】プロセスステージ装置5330は、プロセ
スチャンバ5370内に収容されている。照射光学系5
320からのレーザ光ALは、ウィンドウ5370aを
介してプロセスチャンバ5370内に配置したプロセス
ステージ装置5330にお保持されたワークW上に照射
される。プロセスステージ装置5330の並進移動量や
回転移動量は、ステージ制御装置5340によって監視
されている。
【0244】なお、プロセスチャンバ5370の上面に
設けたウィンドウ5370aの隅部分の直上には、ワー
クアライメントカメラ5380が固定されている。この
ワークアライメントカメラ5380は、プロセスステー
ジ装置5330上に載置されたワークWの位置ズレを検
出するためのもので、結像光学系とCCD等の撮像素子
からなる。ワークアライメントカメラ5380の画像信
号出力は、画像処理装置5381で処理される。画像処
理装置5381が出力する信号は、主制御装置5310
0に入力され、照射光学系5320を構成する投影レン
ズ5320cに対してワークWを位置合わせする際に利
用される。
【0245】また、マスク5320bの隅部分の直下に
は、撮像装置であるマスクアライメントカメラ5384
が固定されている。このマスクアライメントカメラ53
84は、マスクステージ装置5350に保持されたマス
ク5320bの位置ズレを検出するためのもので、その
画像信号出力は、画像処理装置5385で処理され、撮
影した画像は表示装置であるディスプレイ5386に表
示され、ワークWに対してマスク5320bを位置合わ
せする際に利用される。
【0246】ここで、マスクステージ装置5350や投
影レンズ5320cは、プロセスチャンバ5370から
延びる架台5390に固定されている。また、マスクア
ライメントカメラ5384も支持部材5391を介して
架台5390に固定されている。この支持部材5391
は、詳細な説明は省略するが、マスクアライメントカメ
ラ5384のマスクステージ装置5350に対する位置
を調整できるようになっている。つまり、マスクアライ
メントカメラ5384は、X−Y面内で並進移動し、Z
軸の回りに回転移動するとともに、必要な調節移動が終
了した後は、架台5390に対してしっかり固定するこ
とができるようになっている。
【0247】以上の装置では、マスク5320bをマス
クステージ装置5350によって投影レンズ5320c
に対して移動させつつ、ディスプレイ5386によって
マスクアライメントマークAMの像を表示するので、マ
スク5320bの位置を視覚的に確認しながらリアルタ
イムで精密かつ確実な位置決めを行うことができる。
【0248】
【発明の効果】以下に本発明の効果を列挙する。
【0249】(1)光マスク上に形成した複数のパター
ンを半導体薄膜に投影露光して、半導体薄膜の所定の領
域を改質する半導体薄膜形成装置において、露光される
べき光を、上記光マスク上の所定の領域において、該領
域内の光の強度分布がっぷ該領域内の光の平均強度の±
11.2%以内の範囲に含まれるように、均一化させる
機構を有することによって、パターンが露光される所望
の領域において、均一性の高い半導体薄膜の改質を行う
ことができた。LCDのようなイメージングデバイスへ
の応用時にも光源の強度ばらつきに起因した基板ダメー
ジ、それによる画像品質の低下を防ぐことが可能になっ
た。
【0250】(2)光マスク上に形成した露光パターン
を、基板ステージに保持された基板上の半導体薄膜に投
影露光して、半導体薄膜の所定の領域を改質する半導体
薄膜形成装置において、光マスクまたは基板ステージを
個別または同時に駆動することにより、露光パターンを
順次走査することにした結果、基板上の任意の領域を順
次高スループットで改質することが可能になった。LC
Dのようなイメージングデバイスへの応用時にも光源の
強度ばらつきに起因した基板ダメージ、それによる画像
品質の低下を防ぐことが可能になった。また、トラップ
準位密度が1012cm-2より低い値を示す結晶化シリコン膜
の提供が可能になった。
【0251】(3)光マスク上に形成した露光パターン
を半導体薄膜に投影露光して、半導体薄膜の所定の領域
を改質する半導体薄膜形成装置において、露光パターン
を半導体薄膜に投影露光する際の、露光パターンの半導
体薄膜の前記所定の領域への焦点合わせを行う焦点合わ
せ機構を有することにより、改質処理の信頼性、再現性
の高い半導体薄膜形成装置を提供することができた。
【0252】(4)光マスク上に形成したパターンを半
導体薄膜に露光ビームにより投影露光して、半導体薄膜
の所定の領域を改質する半導体薄膜形成装置において、
露光ビームの半導体薄膜に対する傾きを補正する傾き補
正機構を有することにより、改質処理の信頼性、再現性
の高い半導体薄膜形成装置を提供することができた。
【0253】(5)光マスク上に形成したパターンを半
導体薄膜に露光ビームにより投影露光して、半導体薄膜
の所定の領域を改質する半導体薄膜形成装置において、
半導体膜が堆積された基板上に形成されたマークに対
し、露光ビームの位置合わせを行うアライメント機能を
有することにより、所望の領域へμmオーダ以上の位置
精度を持たせて露光することを可能にした。LCDのよ
うなイメージングデバイスへの応用時にも光源の強度ば
らつきに起因した基板ダメージ、それによる画像品質の
低下を防ぐことが可能になった。
【0254】(6)光マスク上に形成したパターンを半
導体薄膜に投影露光して、半導体薄膜の所定の領域を改
質する半導体薄膜形成装置において、半導体膜が堆積さ
れた基板をステージ上に保持する機能を有するにより、
改質処理の信頼性、再現性の高い半導体薄膜形成装置を
提供することができた。
【0255】(7)光マスク上に形成したパターンを半
導体薄膜に露光ビームにより投影露光して、半導体薄膜
の所定の領域を改質する半導体薄膜形成装置において、
複数のレーザ光を前記露光ビームとして合成する合成機
構を有することによって、パターンが露光される所望の
領域において、均一性の高い高品質な半導体薄膜の改質
を行うことができた。併せて、基板上の任意の領域を順
次高スループットで改質することが可能になった。
【0256】(8)上記(7)に記載の半導体薄膜形成
装置形成装置において、前記複数のレーザ光が第1およ
び第2のレーザ光であり、前記合成機構は、第1のレー
ザ光に対し第2のレーザ光が遅延して半導体薄膜に照射
されるように、第1および第2のレーザ光を前記露光ビ
ームとして合成することによって、パターンが露光され
る所望の領域において、均一性の高い高品質な半導体薄
膜の改質を行うことができた。併せて、基板上の任意の
領域を順次高スループットで改質することが可能になっ
た。
【0257】(9)光マスク上に形成したパターンを基
板上の半導体薄膜に投影露光して、半導体薄膜の所定の
領域を改質する半導体薄膜形成装置において、大気に暴
露することなく別の処理室に基板を搬送する機構を有す
る半導体薄膜形成装置を提供することによって、単結晶
半導体薄膜と同等の高品質かつ化学的に活性な表面を有
する半導体薄膜を、不純物やゴミによる汚染を受けるこ
となく次工程に送ることが可能となり、洗浄工程の削減
による半導体装置製造コストの低減や、各真空装置内で
の排気時間や洗浄時間の削減によるスループットを向上
させることができた。
【0258】(10)上記(9)に記載の半導体薄膜形
成装置形成装置において、前記別の処理室が基板に絶縁
膜を形成するための絶縁膜形成室であることを特徴とす
る半導体薄膜形成装置を提供することによって、単結晶
半導体薄膜と同等の高品質かつ化学的に活性な表面を有
する半導体薄膜を、不純物やゴミによる汚染を受けるこ
となくゲート絶縁膜形成工程に送ることができ、シリコ
ンとシリコン熱酸化との界面に形成されるような良好な
半導体−絶縁体界面を有する半導体デバイス製造を、6
00℃以下の低温プロセスで実現した。トラップ準位密
度が1012 cm-2より低い値を示す結晶化シリコン膜の提
供が可能になるとともに低界面準位密度を示すシリコン
−絶縁膜界面の提供を可能にした。
【0259】(11)上記(9)に記載の半導体薄膜形
成装置形成装置において、前記別の処理室が基板に半導
体膜を形成するための半導体膜形成室であることを特徴
とする半導体薄膜形成装置を提供することによって、単
結晶半導体薄膜と同等の高品質かつ化学的に活性な表面
を有する半導体薄膜を形成するために必要な前記半導体
膜を、不純物やゴミによる汚染を受けることなく光照射
工程に送ることが可能となり、洗浄工程の削減による半
導体装置製造コストの低減や、各真空装置内での排気時
間や洗浄時間の削減によるスループットを向上させるこ
とができた。
【0260】(12)上記(9)に記載の半導体薄膜形
成装置形成装置において、前記別の処理室が基板に加熱
処理を施すための加熱処理室であることを特徴とする半
導体薄膜形成装置を得ることができた。
【0261】(13)上記(9)に記載の半導体薄膜形
成装置形成装置において、前記別の処理室が基板にプラ
ズマ処理を施すためのプラズマ処理室であることを特徴
とする半導体薄膜形成装置を提供することによって、単
結晶半導体薄膜と同等の高品質かつ化学的に活性な表面
を有する半導体薄膜を、不純物やゴミによる汚染を受け
ることなく次工程に送ることが可能となり、洗浄工程の
削減による半導体装置製造コストの低減や、各真空装置
内での排気時間や洗浄時間の削減によるスループットを
向上させることができた。
【0262】(14)上記(9)に記載の半導体薄膜形
成装置形成装置において、前記処理室が、前記光マスク
上に形成したパターンを前記基板上の半導体薄膜にレー
ザビームにより投影露光して、半導体薄膜の前記所定の
領域を改質するためのレーザ処理室であり、前記別の処
理室がもう一つのレーザ処理室であることを特徴とする
半導体薄膜形成装置を提供することによって、単結晶半
導体薄膜と同等の高品質かつ化学的に活性な表面を有す
る半導体薄膜を、不純物やゴミによる汚染を受けること
なく次工程に送ることが可能となり、洗浄工程の削減に
よる半導体装置製造コストの低減や、各真空装置内での
排気時間や洗浄時間の削減によるスループットを向上さ
せることができた。
【0263】(15)上記(9)〜(13)に記載の半
導体薄膜形成装置において、前記別の処理室は、該別の
処理室内の所定の領域にプラズマを発生させるためのプ
ラズマ発生源を有し、前記別の処理室内の前記所定の領
域外の領域に基板が配置されることを特徴とする半導体
薄膜形成装置を提供することによって、不純物やゴミに
よる汚染を受けることなく次工程に送られた単結晶半導
体薄膜と同等の高品質かつ化学的に活性な表面を有する
半導体薄膜へのプラズマダメージを抑制することを実現
した。
【0264】(16)上記(9)〜(13)に記載の半
導体薄膜形成装置において、前記別の処理室は、該別の
処理室内の所定の領域にプラズマを発生させるためのプ
ラズマ発生源を有し、前記別の処理室は、前記所定の領
域の前記プラズマにより励起されたガスと、前記所定の
領域を介さずに前記別の処理室内に導入される別のガス
とを反応させることにより、前記基板に前記プラズマ処
理を施すものであることを特徴とする半導体薄膜形成装
置を提供することによって、シリコンとシリコン熱酸化
との界面に形成されるような良好な半導体−絶縁体界面
を有する半導体デバイス製造を、400℃以下の低温プ
ロセスで実現した。
【図面の簡単な説明】【図1】従来のエキシマレーザアニール装置の概念図で
ある。
【図2】従来のレーザ運転方法を説明するためのタイミ
ングチャートである。
【図3】レーザパルス強度のパルス間分布の例を示した
図である。
【図4】シリコン膜温度変化の例を示した図である。
【図5】レーザパルス波形の一例を示した図である。
【図6】照射強度と冷却速度、非晶質化が生じる冷却速
度を示した図である。
【図7】シリコン薄膜温度変化の計算結果例を示した図
である。
【図8】各照射強度に対するシリコン薄膜の結晶形態を
示す図である。
【図9】第2パルス投入後の最大冷却速度と凝固点近傍
の冷却速度を示した図である。
【図10】平均結晶粒径のプロセス条件依存性を示した
図である。
【図11】本発明の露光装置の実施の形態(全体)を説
明するための 図である。
【図12】本発明の露光装置の実施の形態(アライメン
ト方法)を説明するための 図である。
【図13】本発明の露光装置の実施の形態(マスク投影
法)を説明するための 図である。
【図14】本発明の露光装置の実施の形態(制御例)を
説明するための タイミングチャートである。
【図15】本発明の露光装置、搬送室、プラズマCVD
室の側面断面図である。
【図16】本発明の露光装置、搬送室、プラズマCVD
室等複合装置の平面図である。
【図17】本発明のプラズマCVD室の側面断面図であ
る。
【図18】本発明のTFT製造プロセスを説明するため
の断面図である。
【図19】本発明のアライメントマークを用いたTFT
製造プロセスを説明するための断面図である。
【図20】本発明のアライメントマーク形成を含むTF
T製造プロセスを説明するための断面図である。
【図21】本発明による複数の光源のパルス発振遅延制
御の実施例を説明するために使用する図である。
【図22】本発明による複数の光源のパルス発振遅延の
例を説明するために使用する図である。
【図23】本発明による焦点調節装置を組み込んだレー
ザアニール装置を示した図である。
【図24】本発明による複合機の概略構成を示した図で
ある。
【図25】図24におけるベローズを拡大して示した図
である。
【図26】図24におけるプロセスチャンバと除振台と
の関係を示した図である。
【図27】図26における除振台の構造を拡大して示し
た図である。
【図28】本発明による真空内リニアアクチュエータ駆
動機構の縦断面図である。
【図29】図28の線C−Cによる縦断面図である。
【図30】図28の駆動機構の概略構成を説明するため
の図である。
【図31】本発明によるマスクステージ駆動機構の平面
図である。
【図32】図31の線B−Bによる縦断面図である。
【図33】本発明による空気圧式チルト機構を備えたス
テージ装置を、ステージを除いた状態で示す平面図であ
る。
【図34】本発明による空気圧式チルト機構の側面図で
ある。
【図35】本発明による戻り光除去方法と装置を説明す
るための図である。
【図36】本発明の実施形態の構成を示す縦断面図であ
る。
【図37】隔壁部に形成された各種の孔の拡大断面図で
ある。
【図38】本発明の実施形態の構成を示す縦断面図であ
る。
【図39】本発明の実施形態の構成を示す縦断面図であ
る。
【図40】本発明に係るDPR式による参加ケイ素薄膜
の成膜装置の構成を示すブロック図である。
【図41】材料ガスの供給量の変化状態の一例を示すグ
ラフである。
【図42】材料ガスの供給量の変化状態の他の例を示す
グラフである。
【図43】本発明の実施形態の薄膜作成装置の側断面概
略図である。
【図44】図43に示す装置の搬送チャンバーに設けら
れた改質種供給部8133の構成を示す側断面概略図で
ある。
【図45】本発明による複数ビームの合成光学系の実施
例を説明するために使用する図である。
【図46】本発明による複数ビームの合成光学系の実施
例を説明するために使用する図である。
【図47】本発明によるマスクステージ機構の実施例を
説明するために使用する図である。
【図48】本発明によるマスクステージ機構の実施例を
説明するために使用する図である。
【図49】本発明による矩形ビーム用精密アライメント
装置と方法を説明するために使用する図である。
【図50】本発明を説明するために使用するアライメン
トマーク配置例を示した図である。
【図51】アライメントマークの配置を説明する斜視図
である。
【図52】本発明の実施形態であるレーザアニーリング
装置の構造を示す図である。
【符号の説明】 5410 レーザ光源 5420 照射光学系 5421 ホモジナイザ 5422 マスク組立体 5522a マスク 5522b 反射部材 5522c フィールドレンズ 5423 投影レンズ 5525 反射ミラー 5526 ビームダンパ 5430 プロセスステージ装置 5440 マスクステージ装置 5450 プロセスチャンバ 5450a ウィンドウ 5465 架台 LS 矩形スリット OA 光軸 SS 矩形スリット W ワーク 5310 レーザ光源 5320 照射光学系 5320a ホモジナイザ 5320b マスク 5320c 投影レンズ 5330 プロセスステージ装置 5340 ステージ制御装置 5350 マスクステージ装置 5360 ステージ制御装置 5370 プロセスチャンバ 5380 ワークアライメントカメラ 5384 マスクアライメントカメラ 5386 ディスプレイ 53100 主制御装置 AL レーザ光 AM マスクアライメントマーク W ワーク 5201 ステージ 5102 ベース 5202−1 支持台 5103 板ばね 5104−1〜5104−3 ベローズシリンダ 5105−1〜5105−3 変位センサ 4601 ベースプレート1 4702 ロータリエンコーダ 4703 クロスローラベアリング 4704−1 回転軸 4604 θ軸可動部 4605 θ軸駆動モータ 4706 Y軸リニアベアリング 4707 Y軸可動部 4608 Y軸リニアモータ 4709 Y軸リニアエンコーダ 4610 X軸可動部 4710−1 ボス 4611 リフト用エアベアリング 4612 X軸リニアエンコーダ 4713 X軸リニアモータ 4714 マスク 4615、4616 ヨーガイド用エアベアリング 4617 引っ張りバネ 4718 マグネット 4620 プリロード用のピストン 4301 ワーク 4302 ステージ 4403 トロリ 4304 水冷板 4306 X軸ベース 4307 X軸リニアベアリング 4408 X軸リニアモータ 4309 ステージベース 4410 X軸リニアエンコーダ 4314 Y軸ベース 4315、4320 Y軸リニアベアリング 4318、4323 Y軸リニアモータ 4316、4321 Y軸リニアエンコーダ 43100 真空チャンバ 3901 ガラス基板 3910 CVD装置 3920 レーザアニーリング装置 3921 プロセスチャンバ 3922 プロセスステージ 3923 透過窓 3924 架台 3925 レーザ照射系 3926 レーザ発振器 3927 反射ミラー 3928 マスクステージ 3929 レンズ光学系 3940 除振台 4242 エア式ダンパ 4244 コンプレッサ 4246 ピストン部 4247 第1のストッパ部材 4148 第2のストッパ部材 4149 位置検出器 3950 床 3960 基板搬送ロボット 3970 トランスファチャンバ 3971 ベローズ 42100 制御装置 3710 レーザ光源 3720 照射光学系 3730 ステージ 3740 ステージ駆動装置 3742 チルト装置 3744 並進装置 3750 移動量計測装置 3760 傾斜計測装置 3770 非接触変位計 3771 投光部 3772 受光部 3780 主制御装置 3790 チャンバ DL 検査光 RL 反射光 T 計測ターゲット W ワーク θX,θY チルト角 3510 レーザ光源 3520 照射光学系 3530 ステージ 3540 ステージ駆動装置 3550 移動量計測装置 3560 投影光学系 3561a, 3561b 第1レンズ系 3562a, 3562b 第2レンズ系 3565 照明用ランプ 3571, 3572 第1及び第2撮像装置 3573, 3574 カメラ 3580 画像処理装置 3585 主制御装置 IL 像光 M1,M2 第1及び第2アライメントマーク 3310 レーザ光源 3320 照射光学系 3321 ホモジナイザ 3322 マスク組立体 3322a マスク 3322b 反射部材 3322c フィールドレンズ 3422d マスクホルダ本体 3422g 陥凹部 3323 投影レンズ 3425 固定ナット 3425g 陥凹部 3330 プロセスステージ装置 3340 マスクステージ装置 3340a 挿入口 3350 プロセスチャンバ 3350a ウィンドウ 3365 架台 3370 冶具 3470a 本体 3470b 支持部材 3470c ハンドル 3471 引掛け部材 AL レーザ光 TP1 テーパ外面 TP2 テーパ内面 W ワーク 3110 レーザ発生部 3111 第1レーザ発振装置 3112 第2レーザ発振装置 3113 発振制御装置 3120 レーザ照射処理部 3121 投影光学系 3122 ステージ 3123 ステージ駆動系 3130 主制御装置 3151 基準パルス発生回路 3152 ディレイ時間設定回路 3153 演算回路 3154 トリガパルス発生回路 3155 ディレイ時間検出回路 3161, 3162 フォトセンサ 3163,3164 アンプ 3170 光合成系 W 基板 3210 ステージ 3221, 3222 レーザ光源 3230 合成光学系 3231, 3232 ナイフエッジミラー 3240 照射光学系 3241 ホモジナイザ 3242 マスク 3243 投影レンズ 3250 マスク駆動装置 3260 ステージ駆動装置 3271 ダイバージェンス光学系 3272 テレスコープ光学系 3280 位置検出装置 32100 主制御装置 AB 線条ビーム CL 合成光 LB1 第1ビーム LB2 第2ビーム W ワーク 7111 ガラス基板 7112 真空容器 7114 隔壁部 7115 プラズマ生成空間 7116 成膜処理空間 7117 基板保持機構 7120 電極 7123 導入パイプ 7124 内部空間 7125 貫通孔 7126 拡散孔 7127 均一板 7128 導入パイプ 7333 板状絶縁部材 7423 第2導入パイプ 7512 成膜用材料ガス供給装置 7513 マスフローコントローラ(MFC) 7514 上位コントローラ
 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 29/786 H01S 3/00 B 21/336 H01L 29/78 627G H01S 3/00  (72)発明者 田邉 浩 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 明石 友行 神奈川県平塚市夕陽ヶ丘63番30号 住友重 機械工業株式会社平塚事業所内 (72)発明者 渡部 嘉 東京都府中市四谷五丁目8番1号 アネル バ株式会社内 Fターム(参考) 4K029 BD01 CA01 DB20 HA00 5F045 AA06 AA08 AA12 AB01 AB02 AB03 AB06 AB10 AB14 AB22 AB32 AB33 AB40 AC01 AC02 AC07 AC11 AC12 AC16 AC17 AD07 AD08 AE19 AE29 AF03 AF07 BB07 BB08 BB14 BB16 CA15 DB02 DQ15 DQ17 EB02 EB08 EE04 EE12 EG03 EH05 EH14 EH18 EM04 EN04 HA11 HA16 HA18 HA25 5F052 AA02 BA02 BA07 BA14 BA18 BB07 DA02 DB02 DB03 FA05 FA07 JA01 JA10 5F072 AA06 HH07 KK30 MM07 MM08 MM12 RR05 SS06 YY08 5F110 AA06 AA12 AA17 AA26 AA28 BB04 CC02 DD02 DD03 DD13 DD24 EE05 EE08 EE14 EE45 FF02 FF09 FF12 FF29 FF30 FF32 FF36 GG02 GG13 GG22 GG25 GG45 GG47 HJ12 HJ13 HJ17 HJ18 HL02 HL03 HL04 HL06 NN02 NN23 NN27 PP03 PP05 PP06 PP13 PP31 PP35 QQ01 QQ09 QQ11