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劣等生キタノカオリが残った理由
2024.11.10 Sunday 16:04

キタノカオリ応援団長の池田です。
2019から5年の時を経て再発売された「キタノカオリ100」。
それを記念し、江別製粉・安孫子俊之社長に”キタノカオリへの思い”を訊ねました。

−−なぜこのタイミングでキタノカオリ再発売?
「生産量の減少から2019年度、キタノカオリの終売としましたが、ここ数年にわたり気候にも恵まれて安定的な収穫が可能になったこと、さらには一定量のストックが確保できたこと、品質が当社基準をクリアしたことから再販売させていただくことになりました」

「そして継続的な種子生産の体制も確立ができて、地域としてキタノカオリのキチンとした生産を守っていく体制が整ったことも大きいです」

「農産物であるが故の収穫不安はありますが、しっかりとお客様とコンタクトを取り、収穫状況を丁寧にお伝えしてゆくのも江別製粉の使命と考えています」

−−江別製粉にとって、キタノカオリとはどういう品種ですか?

「それまで国産パン用小麦は、春まきのハルユタカ一択、毎年収穫が不安定で。収穫の比較的安定している秋まき小麦でパンに使える小麦って当時なかったわけで、しかもおいしい。キタノカオリはひじょうに画期的でした」

「一方、製粉や製パンの適性だとか、いわゆる小麦の評価試験では決して高い点数ではなかったのです。そういう意味でいくと、残っていけない品種だったのかもしれません」

「その後、品種登録の流れに乗って世に出てきたけど、当時の主力品種と比較して収量の少なさや天候リスクもあり、生産は限られた地域にとどまったのです」

「けれどみなさんご存知の通りキタノカオリの粉の色、パンにしたときの内層の黄色味、しっとりと味わいのある生地、これは絶対おいしいパンになると思いました」

−−品質評価も高くなかったし生産地も限定的、天候リスクで収量も不安定だった。

「ただ販売当初から一部のお客様より非常に高い評価を得ていましたが、その後、ベーカリーキャンプや新麦コレクションがはじまったり、パン屋さんの横の情報交換ができるようになって、近年の生産量の減少とは反比例するように需要が後からぐーっと伸びていった、そして広がっていった感じです」

「秋まきのパン用小麦としては、その後、超強力小麦のゆめちからが誕生したわけですが、その頃にはもうキタノカオリのおいしさの評判、需要が非常にに高まってきていて、ゆめちからではキタノカオリの代替にはならなかったのです」

−−ここ数年、種子生産の継続が危ぶまれたけど、それを乗り越えてキタノカオリは存続できることになったはみんなの声が届いたからですね

「そう、それは間違いないです。新麦コレクションのみなさんや、特に満寿屋商店の杉山社長が働きかけてくれたのも大きかったと思います」

−−農協や生産者にユーザーの声を届ける。
  その辺のコミュニケーションを密に取れるのは北海道にある江別製粉ならではですし、キタノカオリを残す使命感もある。

「キタノカオリの主産地であるJAいわみざわさんなどを通じて、生産者さんに対して首都圏のマーケットやリテールベーカリーさんの『おいしい』という声や『使いたい』というニーズをお届けしつづけけました」

「原料購買担当者が定期的にJAや生産者を訪問し、状況報告をつづけたり、JAいわみざわさんの担当者と首都圏ベーカリーを訪問したり」

−−キタノカオリがつづいているのは、地道な努力のおかげですね。

「ユーザーの声に動かされた。逆にありがたいと思うし、うちだってなくなったら悔しい。
 泡沫候補扱いで消えそうな頃を乗り越えてきたから。本当にお客さんから火がついて、じょじょにじょじょにニーズが積み重なっていまがあるわけだから」

−−キタノカオリはただの一品種ではない。
  ただ「パンが作れるから」ではなく「おいしいから」支持を得た小麦。
  北海道産のおいしさを知らしめてくれたという意味で、なくしちゃいけない。

「キタノカオリがなぜこれだけ支持されているかも頭の片隅に入れて品種を作っていかないといけないですね。耐病性や収量性の向上ももちろん大事にしながらパンや麺の味も評価されているっていうことも評価項目に組み入れられると良いですよね」

キタノカオリって品質評価では劣等生だったのかも。
でも、たくさんの品種が生まれては消えていくなかで、パン屋さん、そしてパンを食べる人、みんなの声によって、奇跡的に残りました。
これが本当の「食文化」なんだと思います。
キタノカオリは日本のパン文化の到達点。
大切にしたい、日本の宝です。

@ebetsuseifun_official

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能登半島震災復興支援「第22回チャリティー講習会」のお知らせ
2024.09.04 Wednesday 14:29

東日本大震災の被災者支援のためにはじまったチャリティ講習会。

第22回目は、能登地震の被災地のすぐ近く、金沢で行われます。

講師に迎えるのは、地元の名店「パン屋たね」の藤田賢一シェフ、東京の人気店「BEAVER BREAD」割田健一シェフ。

レギュラーの3氏、山粼豊シェフ、 伊原靖友(Zopf)シェフ、井上克哉(Auvergne)ももちろん登場します。

石川県に行って地元にお金を落とすことも応援になるかと思います。

ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

 

拝啓 白露の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、東日本大震災の被災地の方々の復興支援を目的に始めました講習会も、22回目となります。5月に引き続き能登半島震災復興支援チャリティー講習会を、スーパースイーツ製菓専門学校の辻口博啓学校長のご協力の元金沢で開催する事となりました。
ご存じの通リ、1月1日午後4時10分ごろ能登半島で最大深度7の地震が発生しました。この震災で被災された方々に少しでも復興支援になればと考えております。復興はまだまだ道半ばであり、今回も製パン知識・製パン技術の向上につなげていただくと共に、お志を賜れば幸甚です。ご多忙とは存じますが、奮ってのご参加をいただきますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
敬具

 


1    実行委員及び講師
藤田 賢一氏(パン屋たね オーナーシェフ)ふすまパン/酒粕のフォカッチャ
割田 健一氏(BEAVER BREADシェフ) ポ・ワ・レ/その他当日お楽しみください
井上 克哉氏(Auvergneオーナーシェフ)    ソフトチーズグリッシーニ
伊原 靖友氏(Zopf オーナーシェフ)    セレアルフィセル/昼食(当日お楽しみください)
山粼 豊   氏(元 Gerard Mulotシェフ)    パーネマスカルポーネ

 

2    日時・場所
2024年11月14日(木)10時〜16時00(9時30分受付開始)
スーパースイーツ製菓専門学校
〒920−0919 金沢市南町6−12国際ビジネス学院ビル
※お車でお越しの場合は近郊の有料駐車場にお停めください。もしくは公共バスのご利用をお願い申し上げます。

 

3 会費
受講の方    10,000円(お一人当たり) *昼食付です
*    受講料は材料費等必要経費以外は全て「赤十字」に寄付する予定です。
講習会では個別領収書は発行致しませんのでご理解賜りますようお願い致します。

 

4    定員
40名 ※定員となり次第締切らせていただきます。

5    お申込方法
メールにて お申し込みください。(氏名、会社名、電話番号、人数を記入お願いいたします)
kizuna.charity2011.3.11@gmail.com

以上

 

★申し込み方法
申し込み・問い合わせアドレス(会場には 電話連絡をしないようにお願いいたします)
kizuna.charity2011.3.11@gmail.com

名前・会社名・電話番号・人数の記入をお願いいたします
*返信後 申し込み終了となります


JR金沢駅より北陸鉄道バスで「南町」下車徒歩2分

 

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能登にパンを届ける
2024.05.26 Sunday 07:48

2024年6月23日、能登・輪島市でパンをお配りいたしました。

被災者のみなさま及び、被災者を支えて日々がんばっておられるエッセンシャルワーカーのみなさまなどです。

パン、そしてドリンクや食材を以下のパン屋さん、パン職人さん、企業様にご提供いただきました。

改めてお礼を申し上げます。

本当にありがとうございました。

山粼豊@yamasaki_yutaka

Zopf@zopf_b.r.l@iharayasutomo

ブーランジュリーオーヴェルニュ@boulangerie_auvergne

BEAVER BREAD@beaver.bread@kenichi_warita

パティスリーブリーズ@patisserie_brise (以上、チャリティ講習会@正栄食品工業)

No.4@no.4_kojimachi

breadworks@breadworks@tysonsandcompany

パーラー江古田@parlour_ekoda@parlourkoji

panyano.. takesan!@pantake_283

ブーランジェリーレトン@boulangerie_laiton

アルザスエール@alsace.air

ベイクハウス イエローナイフ@bakehouse_yellowknife

大塚食品 JAVATEA@sinvino_javatea

タカナシ乳業@takanashi_milk_webshop (順不同・敬称略)

 

5/22、能登支援のために行われたチャリティ講習会で作られたパンをご提供いただきました。

講習会に参加されたすべての方にお礼を申し上げます。

 

また、ピッツェリア ジターリア ダ フィリッポ@gtaliadafilippo の岩澤正和シェフ@pizzaiwasawa には、支援窓口とおつなぎいただくなど、たいへんお世話になりました。

 

輪島市役所を通じて、以下の場所にお配りいたしました。

・輪島病院

・輪島診療所

・消防署

・教習所

・クリニック

・指定避難所

・幼稚園

600個全て配達させていただきました。 皆さんとても喜んでおられました。(輪島市役所)

 

また昼食では、輪島中学校にて、上記のパン屋さんにいただいたパンを使ってサンドイッチを作り、90人のみなさまに、スープ、そしてデザートとなるお菓子、JAVATEAとともにお配りいたしました。

本格的なパンは、久しく食べていなかったとのことで、とてもよろこんでいただきました。

 

サンドイッチとスープは、旅するパン屋の中島華さん@mieux.bread を中心に、パンクラブのひのようこさん@kongaripandaと私が手伝って製造。

サバ缶とクリームチーズ(タカナシ乳業)のペースト、赤ワインヴィネガーでマリネした紫玉ねぎをはさみました。

 

避難所となっている体育館の中は、ダンボールハウスが立ち並んでおり、食べている様子はうかがえませんでしたが、外に出て食事を楽しんでいる方に写真を撮らせていただきました。

 

先日、仮設住宅の抽選に当選、つらかった避難所暮らしから抜けられると明るい表情で話してくださいましたが、復興への道のりはまだ遠いといえます。

「ここにいる人はみんななにかを抱えてますから」

という言葉が、なんとも重く響きました。

家族や友人を失い、仕事を失い、借金を背負い……震災の傷が癒えたとはとうてい言えないのですから。

 

輪島中学校避難所で、テント作りの急造の調理場を守っておられるのは、日本料理 富成の冨成寿明さん

@toshiaki.tominari 自身も店舗と家屋を失った被災者でありながら、4ヶ月半にわたって、避難所に避難された方々の食事を3食(現在は2食)提供されています。

最盛時には、1回につき450食を提供、それを3回ですから、1日1350食。

どれだけの激務であったか想像を絶します。

富成さんは、能登の食材にフォーカスし、1日4組だけの料理店を営んでおられました。

能登の漁師さんからとれたての魚をいただき、山に入って山菜をとり、自ら田んぼでコメを育て、能登を料理で表現することに全霊を傾けています。

ちょうど年末から、店舗の新装工事を行っていたところに発災。

工事期間に被災した物件は、補助金を受けられないとのこと。

いちばんがんばっている人が、国の支援から抜け落ちてしまうという法の矛盾になんともせつない気持ちになりました。

お店を再オープンする道筋はいまだ描けていません。

 

私たちの支援は、富成さんが毎日支えてきた、避難所の食のたった1回を肩代わりできただけ。

しかも、地震からかなり遅れて。

それでも、富成さんは、このように言ってくださいました。

「時が経つにつれて、支援がだんだん少なくなっているので、この時期に来ていただいたのがありがたかったです。

忘れられることがいちばんつらいですから」

 

能登地震はまだ終わっていません。

輪島市中心部も焼け跡や崩壊した家屋がそのまま残っており、復興には程遠い状況。

能登に引き続き思いを寄せ、これからもできることをしていきたいと思いました。

 

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パ道 secretチョコパ会
2024.04.24 Wednesday 20:22

パ道
SECRETチョコパ会
令和6年4月21日
於BEAVER BREAD BROTHERSなど
@虎ノ門ヒルズ ステーションタワー T-MARKET 

宗匠 池田浩明(パンラボ)
亭主 長谷川葉月(表千家講師)
パン調整 割田健一(BEAVER BREAD BROTHERS)
特別ゲスト 木村宗慎(茶人・芳心會)
進行役 ひのようこ(パンクラブ)
チョコレート Minimal Bean to Bar Chocolate
協賛 京都碾茶生産家 坂田又兵衛 https://sakatamatabei.com

 

まず、虎ノ門ヒルズステーションタワー BEAVER BREAD BROTHERS店内、厨房に面したカウンターにて、パンをおいしくする謎の瞑想。

 


チョコパン(割田健一シェフ調製による、ろのわの熊本産有機ミナミノカオリとMINIMALのfruity マダガスカル使用のサワードウ「chocolate tree」)とシェイクによる薄茶(BIO MATHA JAPAN)をいただく。
同T-Market内にある、BEAVER同様インテリアデザイナー片山正通が手掛けたミステリアスな小部屋に移動。

 

怪しく揺れるろうそくの灯に照らされつつ、茶人・木村宗慎に導かれ、チョコパン(ハルユタカ使用のスプリング型パン・オ・ショコラ「spring」)を食べ、濃茶(京都・久御山の木津川河川敷に特級茶園をもつ坂田又兵衛の「あさひ」)をいただく。


あらゆる時代、西洋と東洋の器を集合させた贅沢極まりない道具立て(末尾に詳述)。
カフェオレボウルを使用し、フランス人のひそみに倣い、パン・オ・ショコラを抹茶に浸けて食べる。

 

抹茶の草の香りの広がりとほろ苦さ、甘さ、ダシのような余韻がどんどん広がる。
MINIMALマダガスカルにある誘惑的なカカオの香りと桃のようなジューシーさ。
それを支える北海道産ハルユタカの甘さとバターの香り。
日本とアフリカが口の中でひとつにつながる不思議な体験だった。

 

あまりに夢のような出来事で、小部屋を出て現実に戻ると、本当にあったのかなかったのか自分でも不思議である。

ご参加いただきましたみなさま、どうもありがとうございました。
上記名前を出させていただいた方の他、
森ビル杉山隆様、BIO matcha長谷川葉月様、パンクラブひのようこ様、BEAVER BREAD金子様、MINIMAL木暮様、その他ご協力いただきましたみなさま、ありがとうございました。

 

以下、パ道 #4会記より

宗匠随筆「パンに潜む”永遠性”を発見する」
さてここで、パ道の極意というものを、宗匠自ら記してみよう(えっへんと咳払い)。
宗匠は、人生において数万個というパンを食べ、パンをめちゃめちゃおいしく食べる極意にたどりついた…というわけではなく、子供の頃からやけにおいしかった。 
パンを嗜む最中の私に話しかけても、ガン無視である(と、家族からクレームを受けている)。
宗匠は無心にパンと向き合い、心通わせ合い、パンと会話を繰り広げ、最後には自分がパンとなり、パンを生み出す大地と一体化する(大袈裟)。
この境地は、茶道と同じと思い込み、「だから、パンがうまいのだ!」とバカボンパパのように宣言、ウナギイヌよろしくパンと茶道を合体させ、パ道をはじめるに至った。
茶道にはお作法があり、お辞儀はこうせよ、歩き方はこう、茶碗をまわせとたいへんむずかしい。
我は宗匠であるからして、そのようなパ道の作法を独断で決めていい。
「食べる前にパンを3回まわし、2回ガッツポーズし、メッカの方向に3回土下座」と決めてもよかったが、誰もやってくれないだろうと、冷静な判断をくだし、思いとどまってよかったと、いまはほっとしている(ゆえにパ道はフリースタイルである)。
パン以外全ジャンル門外漢である宗匠の知識の及ぶところではないが、茶道には、お茶を飲むという行為を、特別なものに高める知恵が詰まっているという。
たとえば、茶室の躙口(にじりぐち)もなんであんな狭いところをわざわざ通るのか謎だったが、くぐったところから別世界がはじまると、木村宗慎さんはおっしゃる。
この言葉に相性はやたら共鳴し、だいぶ飛躍して、こんな極意が爆誕した。
「パンを食べる瞬間に潜む”永遠性”を発見する」
そんなわけのわかrないことをどうやって?
無論、おいしいBEAVER BREAD BROTHERS割田健一シェフのパンがあってこそだが、それだけではない。
パ道は、「うまいパンが食べたい!」と私たちと同じ志を持つ方々にわざわざ足を運んでいただくことにはじまる。
同じ思いをもって集うところに場が生まれ、食べる側ともてなす側と全員の思いが共振する…はずだ。
そうなるには、なにより心が大切である。
客人を心の底から超ど本気でおもてなしする姿勢、それもまた茶人としての木村さんの立ち居振る舞いが教えてくれたのだ。
我々もそうでなくてはならない!
パ道メンバー一同、全力おもてなしで、みなさまをお迎えすることを、ここに約束するものである。

【濃茶席】
茶碗 BIO抹茶碗 中田誠作
茶 バニラフレーバー抹茶 BIO抹茶詰
麵麭(パン) プチカンパーニュ「chocolate tree」 熊本産ろのわの有機ミナミノカオリ Minimal -Bean to Bar Chocolate- FRUITY-マダガスカル

【濃茶席】
汲出 古染付 浅絳手 湯沸瓶掛 芳心軒好 吉羽与兵衛作 
䑓 清朝 染付唐草タイル
盆 李朝 済州盆
茶器 黒中継 藤重作
替 グラスシリンダー ロブマイヤー製
茶杓 象牙 撥鏤
茶碗 呉器
替 御本呉器
仝 英 小花文様 Worcester窯 M.サッチャー旧蔵 
仝 カフェ・オレ・ボウル 仏 白磁 Gien製 
仝 同 仏 黄釉 ぼかし Badonviller製 
仝 同 仏 青釉 ぼかし Badonviller製 
仝 同 仏 赤ストライプ Digoin製
仝 同 仏 青格子 
仝 同 越南 染付印判手 ソンベ焼 帛紗 伊 銀鱗文染 ヴェネチアMariano Fortuny 工房製 
textile n +R 仕立 替 益田類間道
仝 古渡 蜀江錦
仝 波斯 ダマスク織
蓋置 英 シルバー ナプキンリング
建水 棒ノ先 浄益作
麵麭器 柳絵詩画 土器皿 乾山作 
替 蘭 赤絵皿 デルフト窯 
仝 英 柿右衛門写 八角皿 Worcester窯 
仝 英 伊万里写 菊絵皿 Worcester窯 
仝 溜塗片木板 桶屋近藤製 西村圭功塗
茶 あさひ 坂田又兵衛詰 
麵麭 麵麭 チョコクロ「spring-Spring」ビーバーブレッド製 江別製粉ハルユタカ Minimal -Bean to Bar Chocolate- FRUITY-マダガスカル 
湯次 南鐐浄瓶 

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キタノカオリの帰還 〜江別製粉「キタノカオリ100」再販売〜
2024.04.05 Friday 10:46

僕たちに国産小麦の本当のおいしさを教えてくれた偉大な品種「キタノカオリ」。

5年ぶりとなる、江別製粉「キタノカオリ100」の再販売に際して、キタノカオリが結んでくれている絆について、いま一度語っておきたいと思います。https://haruyutaka.com/archives/13350

 

製粉各社がキタノカオリの販売中止を発表し、もうキタノカオリが食べられなくなるのではと、みんなが本気で心配した2019年。

なぜ、そんなことが起きたかといえば、天候に左右されやすく生産が不安定なキタノカオリから他の品種に切り替える地域が増えたこと、そしてそのタイミングでそれまでキタノカオリの種子生産を一手に担っていた地域が種子生産をやめるという苦渋の決断をしたこととが理由です。

種子の生産は、利益が薄いわりに、厳密さが求められる困難な仕事。

とはいえ、種子がないことには生産継続ができない。そんなジレンマの中、キタノカオリを愛する人々をがっかりさせたくない、そんな思いで自ら種子圃場を作ることを決めた地域があります。

目に見えることはないけれどかけがえのない誰かの働きがあってこそ、私たちは小麦を食べる(使う)ことができる。

危機は私たちに改めて教えてくれました。

もちろん、種子農家だけではなく、穂発芽に弱いキタノカオリの生産が、すべての生産者のリスクと努力の上に成り立っているのだということも忘れることはできません。

 

この穂発芽という現象はどういうものか説明します(念のため)。

小麦の穂ができあがり、いよいよ収穫という時期に雨が降ると、キタノカオリのデンプン質は他の品種よりたやすく溶けて、アミロ値(粘りの強さを表す数値)が下がり、「低アミロ」という状態になります。

つまり、粘りがなくなって、生地にならなくなってしまうわけです。

アミロ値が基準値以下に下がれば、品質検査で等外となり、買い手がいなくなります。

 

無事出荷できたとしても、キタノカオリは他の品種以上のむずかしさをはらんでいます。

不安定さゆえに毎日加水量が異なったり、生地がダレたりと、うまく使いこなせるかはパン屋さんの腕にかかっているといえるでしょう。

 

こうしたことがなぜ起きるのか。

キタノカオリでは、デンプンを分解し糖に変えてしまう酵素「アミラーゼ」の活性が高いことに起因しているでしょう。

母にキタノカオリを持つ「つるきち」は、穂発芽が起きにくいよう、アミラーゼ活性が十分に低いことを確認して育種が行われています。

(「秋まきコムギ新品種「つるきち」の育成」参照 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2030872590.pdf)

キタノカオリは、生産者にとっての欠点を抱えたまま世に出て、パン屋さん(ひいては消費者)の熱烈な支持によって、今まで作りつづけられているのです。

この”エラー”は、奇跡だったのだと僕は思っています。

 

欠点は長所でもあります。

キタノカオリならではの甘さ。

それはアミラーゼ活性が高いことによるのでしょう。

キタノカオリでできたパンを食べてみてください。

噛むたびに、お米を噛みつづけたときに現れるような甘い香りが、喉のほうに向かって吹き出すのを感じることができます。

唾液の中に含まれるアミラーゼが、噛んだとき生地と混ざりあい、キタノカオリと反応するからだと僕は考えています。

生産者をほとほと困らせ、パン職人の手を焼かせているものこそ、キタノカオリのおいしさの秘密である。

私たちは、キタノカオリを通じて、たしかにつながっているのです。

 

発売中止から5年を経てのキタノカオリ100の再販売。

それには、天候が味方し、ここ数年豊作がつづいたことが大きな理由としてあります。

関係者の方々の努力、そしてキタノカオリを愛する方々の願いが通じたのかなと。

 

5年間で製パン技術も大きく進化しました。

湯種や湯ゲル、麹…。

どれもアミラーゼの活性を高め、パンを甘くする側面を持っています。

キタノカオリなしで、おいしいパンを作ろうとするパン職人さんの意欲が、進歩を後押ししたのではないか?

新たなステージにいる私たちは、再会をどんなふうに感じるのだろう。

それも、キタノカオリ100の帰還が楽しみな理由のひとつです。

 

※江別製粉より、キタノカオリ応援団長を拝命しました。

これからキタノカオリ100のニュースをSNSなどを通じてお伝えしていきます。

よろしくお願いします。

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令和六年能登半島震災復興支援 「第21回チャリティー製パン講習会」のご案内
2024.03.29 Friday 17:09

(写真は第17回より)

東日本大震災のチャリティを20回にわたって行っていた「チャリティ製パン講習会」が帰ってきました。

レギュラーメンバーである、山粼豊さん、伊原靖友さん、井上克哉さんの大物シェフ3氏に加え、パティスリーブリーズシェフ高橋 教導さん、BEAVER BREAD割田健一さんの人気シェフを加えた豪華な講師陣です。

収益はすべて能登半島支援のために寄付されます。

どうぞご参加ください。

 

 

 

拝啓 早春の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、東日本大震災の被災地の方々の復興支援を目的に始めました講習会も、21回目となります。コロナ過で中々開催出来ませんでしたが、皆様のお志をいただき、今回開催する運びになりました。
ご存じの通リ、1月1日午後4時10分ごろ能登半島で最大深度7の地震が発生しました。この震災で被災された方々に少しでも復興支援になればと考え今回は、能登半島震災復興支援のチャリティー講習会とさせて頂きます。
今回も製パン知識・製パン技術の向上につなげていただくと共にお志を賜れば幸甚です。ご多忙とは存じますが、奮ってのご参加をいただきますよう何卒宜しくお願い申し上げます。
敬具

 


1    実行委員及び講師
高橋 教導 氏(パティスリーブリーズシェフ)アメリカンソフトクッキー
割田 健一    氏(BEAVER BREADシェフ) queue(クー)、シナモンロール
井上 克哉    氏(Auvergneオーナーシェフ)    グラフェッドバタークランブルメープル風味
伊原 靖友    氏(Zopf オーナーシェフ)    昼食(当日お楽しみください)
山粼 豊    氏(元 Gerard Mulotシェフ)    米粉使用ブレッド

 

2    日時・場所
2024年5月22日(水)10時〜16時00(9時30分受付開始)
正栄食品工業株式会社
〒110−8723 東京都台東区秋葉原5−7
※お車でのご来場はご遠慮ください。鉄道など公共交通機関のご利用をお願い申し上げます。

 

3    会費
受講の方    10,000円(お一人当たり) *昼食付です
メディアの方    2,000円(昼食代として)
*    受講料は材料費以外は全て「赤十字」に寄付する予定です。
講習会では個別領収書は発行致しませんのでご理解賜りますようお願い致します。

 

4    定員
100名 ※定員となり次第締切らせていただきます。

 

5    お申込方法
メールにて お申し込みください。(氏名、会社名、電話番号、人数を記入お願いいたします)
kizuna.charity2011.3.11@gmail.com

 

5/26追記
義援金57万円が赤十字に振り込まれたそうです。
ご参加された方々の尽力に頭が下がります。
- comments(1) -
ハルユタカ生産者にハルユタカのラーメンを食べてもらう話
2023.12.04 Monday 02:06

「らぁ麺 飯田商店」の飯田将太さんが、北海道江別市で小麦生産者を前に講演を行った。

11月28日、江別市畑作生産部会主催の「ハルユタカが紡いだ人との繋がり」という講演会だ。

江別市はハルユタカの生産地。

かつては「幻の小麦」と言われた。

それほど不作が多く、なかなか出回らなかったかったということだが、ハルユタカの父といわれる江別市の生産者片岡弘正さん(故人)が「初冬まき」という技術を確立、安定して収穫できるようになった。

 

飯田さんがあこがれた故佐野実さん(支那そばや店主)が、自家製麺に使っていたのがハルユタカ。

佐野さんのようにハルユタカを使いたい、畑を訪れてみたいと、衝動的に江別製粉を訪れたのが約10年前、飯田商店創業当時のこと。

まだハルユタカの不作がつづいている頃で、売ってはもらえなかった。

でも、江別製粉の社員が、工場からほど近いハルユタカの畑に連れていってくれた。

飯田さんは畑に生えていた麦の穂から取り出した一粒を口にしたという。

初夏、小麦が硬く熟する前のまだ青い、やわらかい状態。

甘くてミルキーな小麦の滴が舌の上にしたたった。

「俺はこういう麺が打ちたい。やっぱりハルユタカが使いたい」

そのとき得たインスピレーションはいまも麺を作る上での原点。

2年後、片岡さんから直接ハルユタカを買えるようになり、以後ハルユタカはずっと変わらず飯田商店のメインの粉となっている。

 

「味の濃さだったらもっと濃い小麦はあると思う。ハルユタカは、1個奥に味があって、後からおいしくなってくる。しなやかでありながら、製麺の仕方によって、もちもち感も強く出せる。でも、主張が100じゃない。奥ゆかしい魅力がある」

 

講演会のあとの懇親会では、来場していた数十人の小麦生産者たちに飯田さんがラーメンを振る舞った。

麺はハルユタカ100%、亡くなった片岡さんが好きだった塩ラーメン。

スープはほぼ鶏のみとごくシンプルに、ハルユタカの風味を引き立たせようという狙いだ。

 

飯田さんのイメージ通りのラーメンを小麦生産者に提供する重大任務を、「僕に仕切らせてください」と買って出たのは、地元・札幌の超人気ラーメン店「Japanese Ramen Noodle Lab Q」の平岡寛視さん。

飯田さんの盟友であり、弟分と呼ぶ存在だ。

 

飯田さんは湯河原から麺の材料を送り込んだ。

麺にチャーシューやネギといった具材、スープ、調味料…それらをもとに、平岡さんの指揮のもと、「青森中華そば オールウェイズ」里村慶人さん、「らぁ麺 紫陽花」戸谷真佐男さん、「Ramen FeeL」渡邊大介さん、それに飯田商店の弟子たちという豪華な面々が、飯田さん不在でも万全にラーメンを作り上げるはずだった。

ところが…。

当日の朝、会場に届いていた箱を開けた平岡さんはびっくりして固まってしまったという。

箱の中身はスープではなく、鶏ガラと丸鶏と昆布と水。

スープの材料しか入っていなかったのだ。

気持ちを立て直し、迫りくる時間の中、タレは作らず、塩と地鶏と昆布だけのシンプルなスープを仕上げた。

平岡さんの仕事に「期待以上のスープ。ちゃんとハルユタカの味を大事にしてくれるバランス」と、飯田さんも納得顔だ。

 

それはハルユタカを活かすものだった。

イタズラの謎解きをするなら、ハルユタカのよさがもっとも活きるのは、湯河原から送ったものではなく、フレッシュな躍動感のあるスープだということではないのか。

淡麗でありつつ、鶏の力強い香りも表現されていたのだが、自家製粉した全粒粉も加えたハルユタカ100%の細麺は、やわらかでありながら、自身も濃厚なミルキーさや力強いコクによって応えていた。

特に、食べ進んだとき、小麦がスープに溶けてくると、鍋の締めで食べる煮込んだラーメンをほうふつとさせるぐらい、香りがむんむんししていた。

そこにも飯田さんの狙いがあり、あえてスープを少なめに、麺の量を多く入れることで、”ダシ”としてのハルユタカを感じてもらおうとしたのだ。

 

実は、小麦生産者が、自ら作った小麦を食べる機会は多くない。

なぜなら、ニンジン農家が畑から採ったニンジンをそのまま口にできるのとは異なり、小麦は製粉会社や、ラーメン屋さんのような職人の手を経なければ、味わうことはむずかしいからだ。

しかも、この日のような小麦の個性が余すところなく表現されたラーメンとなればなおさら。

飯田さんは、急遽思いついて打ったという生麺を、おみやげとして生産者全員に渡した。

お父さんの仕事のかっこよさを生産者の家族にも知ってほしいという思いからだ。

帰り際、ある生産者の目に光るものを飯田さんは見たという。

 

会場には終始あたたかな雰囲気が流れていた。

立ち上っていた湯気のせいばかりではない。

この講演会のタイトル通り、ハルユタカはラーメンとなって改めて人との繋がりを紡ぎ、生産者からJA、製粉会社、ラーメン職人へとつながる見えないつながりを浮かび上がらせていたからだろう。

 

NPO法人新麦コレクション

新麦という切り口で日本中で栽培されているすばらしい小麦たちを広めています。
ぜひ活動にご参加ください。
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パンラボ公式ホームページ
2023.11.11 Saturday 21:20

ホームページはこちらです

 

パンラボ公式

https://painlabo.com/

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パンラボキーホルダーがガチャになった
2023.11.11 Saturday 21:15

あの伝説のパンラボキーホルダー(絵・堀道広)が、ガチャとなって帰ってきた!

発表と同時にぜんパンラボキーホルダーの胸を熱くさせているこのプロジェクト、ついに初号機を設置!

 

その場所とは!

ジャーン!

 

いまいちばん旬な場所、11月1日より虎ノ門ヒルズにオープンしたBEAVER BREAD BORTHERS!(パチパチパチ)

あの有名デザイナー片山正通氏が手掛けた超おっしゃれーな店内に置かれているというのけ?(CV:アミダババア)

 

シニャモンロールほしさに思わず5回まわしてしまう人が出るなど、ヒルズ族のみなさま、港区女子のみなさま、もしくはその他の族のみなさまの間で人気爆発中らしい!!

マンガ化されカルト的人気を誇ったクロックムッシュ氏!
キーホルダー未発売の新麦たぬき!

そして、新キャラクターのシニャモンロールはシナモンロールとネコが合体した新時代のウナギイヌ!

不肖、私がモデルとされるバゲットを持つ男!

 

そして、イギリスの貴族はティータイムにきゅうりサンドを食べるという聞き齧りが暴走、勘違いのまま訂正されることなくイラスト化されたキュウリー夫人まで!(いや、別の勘違いもごちゃ混ぜになってますけど!)

 

11月 BEAVER BREAD BROTHERS(東京・虎ノ門)

12月 パンピーポー(埼玉・川越)
1月  La boulangerie de Harimaya(福岡・北九州)
2月  イイパン(栃木・小山)

とパンラボガチャ筐体が全国縦断ツアーの旅に出る予定!

お近くの方は楽しみに待っていてください!

 

全国でみなさまにガチャっと回してほしい。
そのためには、ぜひたくさんの方に置いていただきたいです!🙇

 

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志賀勝栄シェフ密着撮影メモ(または声なきナレーション)
2023.09.02 Saturday 17:05

 

パンラボYouTube
巨匠・志賀勝栄シェフ、シニフィアンシニフィエ世田谷本店での最後の仕事。[ASMR]

ASMR動画で現場そのものの音声をお届けしており、私のナレーションは入らない。
ただ、カメラを構えながら無言で呟いていた心のナレーション、もしくはカメラの前以外で志賀シェフに教えていただいたことを書き記したい。

 

0:10 志賀シェフの背中
厨房で実際の志賀シェフを見たときの凄み、もしくは不思議な違和感。
それを顕著に表すのは背中だ。
長老、あるいは導師然とした顔つきに比べ、背中は驚くほど若く、30代の青年に見える。
実際に動き出せば、ますますその印象は際立つ。
誰よりも機敏に、厨房に足を踏み入れた夜の9時から翌朝までひと時も休まず、動き続ける姿はアスリート。
1955年生まれ。
だが、30代のときから体力が落ちた自覚が一切ないという。
「厨房でパンを作ること自体がトレーニング」
パン職人になった日から厨房では常にフルスロットルで動きつづけたからこそこの肉体が維持されているのだ。

0:15 生地の入れ替え
厨房に入るなり最初にドウコンへ向かい、生地の状態をチェックする。
志賀シェフの作る生地は、自家培養の発酵種、もしくは超低イースト。
甘く、口溶けよく、香り豊かである引き換えに、酵素によって毎日生地の状態が変わるパンになるかぎりぎり。
早番のスタッフが仕込んだ生地の状態を見て、瞬時に焼き上がりまでのプランを立て、ふさわしい発酵温度にするため、生地を入れ替えたり、移動させたりしているのだ。

25:56 パンドミの押し丸め
ホップ種など自家培養した発酵種のみでイーストを使わず、また副材料も加えないという、ボリュームを要求される食パンとしては高いハードルを自らに課す。
それをどのように超えるか?
秘密のひとつは缶に生地を詰めるときの押し丸め。
志賀シェフの師匠、福田元吉氏から受け継がれたテクニック。
それは、さらに福田さんの師匠、ロシア・ロマノフ家の宮廷料理人であったイワン・サゴヤンから伝わったものだ。
手つきはあまりに手早く、普通の丸めと見分けがつきにくいが、生地がスムーズに上方向へと持ち上がるよう、一瞬の動きで畳み込んでいるのだ。

34:58 掃除
夜から翌朝まで、その10時間超の仕事の中で、何度掃除を繰り返しただろう。
麺台やオーブン、水回りは無論。
床は掃除機だけではなく、拭きあげる。
機械の下や天井まであらゆる場所を。
培養する発酵種に雑菌が入らないようにするため必要だという。
あるいは、小麦粉は匂いが吸着しやすいため、厨房をうつくしく保てばパンの味もクリアに保たれるだろう。
スタッフだけでなく、志賀シェフ自身も、この地道な仕事を行う姿は、派手な仕事よりもかえって感動的だった。

47:15 発送作業
オーブンから出た熱々のパンはすぐさまショックフリーザーに入れられ冷凍、焼きたての香りが封じ込められる。
発送作業はスタッフさんがやられるのかと思っていたら、レストランなど卸先への発送は、志賀シェフ自身が行うのだ。
ぴかぴかの包装材を用い、箱のふたを止めるときのテープさえ狂いなくまっすぐに。
「こういう細部こそブランドの価値が宿るんです」

52:00 粉を落とす
オーブンから出たパンに丹念にブラシをかけ、余計な粉をすっかり落とす。
これもシニフィアンシニフィエとその出身者ベーカリー以外であまり見ない光景だ。
シニフィアンのパンの多くは高加水。
生地は扱いにくく、スリップピールや炉床にくっつかないよう多くの手粉を必要とし、役目を終えたら取り除かれるのだ。
「この粉はパン職人のためのもの。お客様のためのものではありません」

1:02:21 厨房を出る
夜を徹した仕事のあと、まるで疲れも見せず、志賀シェフは去っていた。
あふれる朝日の中へと。
志賀シェフの「パン作り」はこれで終わりではない。
90歳、100歳までパンを作り続けるためランニングし、常識にとらわれない思考を得るため宇宙物理学や生命科学の本を耽読する。
ECサイトへと移行、聖地世田谷ラボは一旦閉じたものの、それはおそらく次なる驚きへの跳躍台だ。

シニフィアンシニフィエ公式ECサイトはこちらから。
https://www.instagram.com/signifiantsignifie_official/?hl=ja
サイトのリニューアルが完成、パンの販売が再開された!
伝説は終わらない。

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